その33 舟志の紅葉


 

 対馬の東海岸を比田勝から南へ下っていくと、舟志街道という紅葉の美しい県道がある。琴にある大銀杏と並んで秋には実に美しい景色を楽しむことができる。
 山道の多い対馬の道の中でも、この東海岸の道路は紅葉の樹木がずっと並んでいる。そして、山と川と海の自然が周りを包み込み絵になる光景が広がる。
 しかし道幅はどんどん狭くなっていく。そして、志越という部落から先は道幅が車がやっと通れるくらいの広さになる。道路工事は遅々として進まない対馬の山道であるが、将来は広い2車線道路が計画されている。これができると南北の町の距離もかなり縮まると思う。
 この紅葉と道路に落ちる秋の日射しが、黄色やオレンジのカクテル光線のように私のまぶたに落ちる。その対馬の光景は秋の夜の到来とともに今日も闇の中へ隠れていくのだ。
 

 
舟志の紅葉