山崎由美子展　　Backside of the Sky
２００４年　９月２０日（月）〜２６日（日）
堺市文化館ギャラリー しょうぶ２

銅のディスクはインスタレーションアートワーク、スカイプロジェクト、堺（日本）そして、スカイプロジェクト、スムター、サウスカロライナ（アメリカ合衆国）の１部分として使われました。これらのプロジェクトの為に、私は堺とスムター、それぞれの環境に１カ月間、１２枚の銅のディスクを地面の上に置きました。

空の裏側　山崎由美子による版画作品
エッセイ：ジェーン　イングラム　アレン

日本人のアーティスト、山崎由美子によるこの一連のエッチング版画は、特定の場所の時間の経過と自然の条件を具体的に表したビジュアル表現です。
これらの版画は、12枚の銅のディスク上に時間と自然の結果を見事に詩的な方法で表現しています。
そのディスクは山崎の進行中のスカイプロジェクトの一過程として、２００３年9月、アメリカ合衆国、サウスカロライナ、スムター、そして、２００３年6月堺（日本）に設置されました。また、山崎のスカイプロジェクト堺とスムターのドキュメンタリー写真インスタレーションもこの展覧会に含まれています。
作家は、スムターのインスタレーションで使用した銅のディスク１点、堺のインスタレーションで使用した銅のディスク1点をこのギャラリーに設置しました。また、スムターで設置された12枚の銅のディスクから制作された12の枚の版画、堺で設置された12枚の銅のディスクから制作された12枚の版画作品を展示しています。
「スカイプロジェクト」は限定された時間と特別の場所の露出した地面上での精密に磨き上げられた反射性の12枚の銅のディスクの公的なインスタレーション作品を含む、多様な事実に基づいたコンセプチュアル・アート・プロジェクトです。
その地面は、ディスクが、草のなかに規則的しくぴったりと穴に置かれるように慎重に切断され、地表が露出するように全ての植物などを、すべてはがし取り、ディスクが置かれる時に、それらディスクが正確に地面を覆い水平に保つことができるように、設置前に準備されます。
「空プロジェクト」の設置場所は、ディスクに空が明瞭な視界に入るよう、作品と鑑賞者とのインタラクティブ、相互作用のための機会を捉えられるよう、作家によって選ばれます。
銅のディスクの表面は精密に風景を映し出します。地面に置かれた時、ディスクは、特にその場所および時間の変化によって変化し、現れる空の風景を映し出します。鑑賞者は、新しい見え方の空におそらく気づき、これらの地面上にある鏡に映し出される自分の顔や他の人々、動物、周囲の景観、建物などを見て、映りこむディスクと対話します。「空プロジェクト」のドキュメンテーションの一部として日々変化する空の見え方と同様に、鑑賞者とそのディスクの関係も、作家によって撮影されます。
ディスクは、展示の間に地面の上におかれ、自然の営みによって当然腐食さえます。各ディスクの裏面は、雨、湿度、熱や寒さ、土壌の差、各場所および時間などの条件によって異なって腐食されます。土の条件と天候がサウスカロライナと日本において異なるので、人は各場所からディスクおよび印刷に違いおよび類似性の両方を見出すことができます。山崎は、作品を制作するためにパートナーとして自然を使用しています。いくつかは、この過程で芸術家によってコントロールされますが、多くは自然的な発生にゆだねています。この仕事はその概念においてやや禅に類似しています。また、自然を変え、自然をコントロールする試みをしません。単に自然なアクションが生じるのを待ちます。

展示期間の規定された時間の経過後に、作家はディスクを取り外し、エッチング版画作品を制作するために、各ディスクの裏面を使用します。腐食された銅のディスクは、インクを詰められ、強い手漉き紙上に、プレス機で、普通の版画制作方法を使用してプレスされます。その版画は、自然の特別の営みと芸術家の技術が、目には見えない「空の裏」を私たちに見せることを意図した美しい芸術作品といえます。

ジェーン　イングラム　アレン
アメリカの芸術家、美術評論家、インディペンデントキュレーター。フルブライト奨学基金、台湾文化芸術基金を得、2005年7月まで、台湾で作品制作中。