時間の記憶・プロジェクト

十年 泉南の森(大阪) 2003年−2013年

水、土の成分、生き物、地中に生育している微生物、自然や人が引き起こすさまざまな出来事、そして時間の経過。これらの要因が金属を変化させる。
私がすること。
いかなる微細な変化にそなえるため、金属の表面を−古代の人々がしたように−鏡のように磨き上げること。地中に埋めること。その変化を待つこと。一年に一度、地中から掘り出し、変化の痕跡を記録すること。 この行為を十年間、繰り返すこと。
-10年後、この作品は完成する。−

2003年4月26日 山ア由美子

view1 2003


view1 2003


地面に埋める寸前の銅板 (直径300mm、厚さ0.8mm 2003年5月)

時間の記憶 プロジェクト 十年 泉南の森(大阪)について

作品 時間の記憶・十年 は、直径300mm、厚さ0.8mmの銅板を鏡のように磨きあげることによってこれから起こり得る変化に備えました。そこで手を加えることなく自然のままの状態で放置します。その結果、その場の気候、土壌の成分など自然の条件下で銅の板は変化します。その変化を記録するため、1年に一度その銅板を地中から掘り出し、その表面の刻印された変化(自然条件によって腐食された)を版画にし、記録します。この行為を十年繰り返すことにより、自然によって創られた十年の時間の記録作品が完成します。

2003年5月、大阪、泉南の林に銅板を埋めました。約一年後、2004年4月、この銅板を掘り出します。


時間の記憶 プロジェクト 十年 泉南の森(大阪)

約1年後 2004年
view 2004
2004年4月25日 地中から掘り出した銅版 (直径300mm、厚さ0.8mm)
約2年後 2005年

view 2005

2005年6月12日 地中から掘り出した銅版 (直径300mm、厚さ0.8mm)
 

シリーズ作品「時間の記憶」コンセプト

私が考えている自然とは、
風(空気)、雨(水)、太陽(光)、地面(土)、
そして時間。
これらは、地球上のありとあらゆる生物にとって最も根源的な要素です。
それらがひとつでも欠ける事があれば、
私たち人間の存在はおろか生物、全ての存在は、ありません。
違った角度から考えると、
自然の意志により私たちは、生かされていると、考える事もできます。
このような考え方が、
今の私たちに、必要であると考えています。

しかし、私たちは、自然の意志を感じる事は可能です。
が、それを形として見ることはできません。
しかし、他の媒体に置き換えることによって、
それを表現することは、可能であると、私は考えています。
自然によって創られる構成や、バランス、
そして、その美を私は、この目で見たいのです。
自然の意志を具体化(作品として、提示すること)は、
私、一人だけにとって重要なことではなく、
私たち全てにとって必要であると、 考えています。

私の考える「自然の意志」を視覚可能なものとし置き換えることが、私の作品制作の重要な目的です。