時間の記憶 植物作品「時間の記憶」コンセプト |
私が考えている自然とは、
つまり、その植物の位置関係、バランスを和紙の中に漉き込み作品として提示することによって、私の考える「自然の意志」を視覚可能なものとし置き換えることが、私の作品制作の重要な目的です。 |
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シリーズ作品「時間の記憶・植物」プロジェクトについて |
第一回目の試みは、シリーズ作品 時間の記憶・植物のために、1999年、アーティスト イン レジデンスのために使われていた美濃市の工房の庭を選びました。私は、その庭の一部の表面 を12箇所、2cm掘り下げました。その表面にある存在している植物、その根、小さな石、落ち葉などを全て取り去り、地面 を露出させることによってこれから起こりうる変化にそなえました。約、2ヶ月間、待つことにより、自然によって運ばれてきた種がその場に根付き、小さな植物が芽生えました。そして、私は自然によって創られたその植物の構成や位置関係を変えず、和紙の中に漉き込みました。その後、大阪府堺市、北海道士幌町とこのプロジェクトは続き、今回の奈良県橿原市でシリーズの5回目の試みとなります。 時間の記憶・植物は、紙のなかに漉きこまれた植物の平面作品と、ビデオ映像を組み合わせることによって成立します。紙の中に存在している植物の変化の歴史をビデオ映像上で見てとることができます。 また、それら作品を制作する上で重要な役割を持っているのがこのフィールドワークです。もちろん私の作品にはその場の特徴や、条件、が影響します。作品には、常にその場に、その期間中に起こった出来事が記録されます。
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素材として和紙について |
一定期間内に自然発生した植物を和紙の中に漉き込むことによって、時間、自然の根源的な要素を漉き込むという考えのもと、植物と和紙、この二つの素材がそのコンセプトを表現するための最も物理的にみても最適な素材であると考えています。ここでの和紙は、「こうぞ」という植物から作られており、別 ないいかたをすれば、植物のなかに植物を漉き込むと、考えられます。時間や、気候の変化にも同時に変化し、風化しにくく柔軟性のある丈夫な素材として、また、自然の白さと質感の良さと透明感、また、それを制作する過程でまったく接着剤を使わないことにより変色しにくいという素材の持つ特徴がすぐれているということが、和紙を選んだ理由の一つです。
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