季節の中で

1999年アメリカ作品
出演 ドン・ズオン
グエン・ゴック・ヒエップ
チャン・マイン・クオン
ゾーイ・ブイ
グエン・ヒュー・ドゥオック
ハーベイ・カイテル
監督 トニー・ブイ

1999年のサンダンス映画祭で審査員グランプリを獲った作品です。アメリカ資本だからアメリカ作品になってますけど、ヴェトナム人の監督とヴェトナム人の俳優たちでヴェトナムを舞台に撮られたから、ヴェトナム映画と言ってもいいんじゃないかなと思います。もちろん、ハーベイ・カイテルはアメリカ人ですが。


シクロ乗りのハイと娼婦のラン。
蓮摘みのキエン・アンと屋敷の主人ダオ。
ヴェトナム戦争時代に現地人との間に生まれた娘を探す元米兵ジェイムス。
そして、ストリートキッズのウッディ。
四者四様の物語が交錯しながらそれぞれの人生を描いた作品です。だからといっていやに複雑に糸を絡ませるなんて野暮なことはせずに、不思議なくらい静かでゆっくりとした世界を作っています。


中でも、ハイとランのエピソードがとても好きです。じつは自分が娼婦であることに負い目を感じつつもその生き方を変えられないランと、そんなランを純に思いつづけるハイ。自分らしく生きる道へと導いていく、少々不器用なハイを応援したくなります。
それからキエン・アンとダオの物語。別に恋とか愛とかそういうものとは違うんだと思いますけど、不思議な心の交流が心地よいです。ラストシーンでのキエン・アンの行動にもなんだかゆっくりうなずいてしまうような。

公開当時これを見たときは、ハーベイ・カイテル演じる米兵のエピソードだけが妙に浮いているような気がして、そこだけ好きになれませんでした。でも今は、このエピソードなくしてヴェトナムの暗部とゆるやかな再生を語ることはできないのかなと思うようになっています。あの戦争はきっとヴェトナムにとっては忘れるわけにはいかない傷なのかなと。

ゆったりした癒し系の映画がお望みの方にはオススメできる一本です。
きっと、ヴェトナムを訪れたくなると思いますよ。

 2000.08.29