初恋のきた道

1999年中国作品
出演 章子怡(チャン・ツィイー)
導演 張芸謀(チャン・イーモウ)

祝DVD発売!

って最近こればっかりだね(汗)
DVDになったら買ってしまおうと思っていた一本。張芸謀監督繋がりで「あの子を探して」とセットになってるのも発売になっていて、「あの子……」は未見だったけど評判が良かったしセット特価だからって2枚組で買ってしまいました。

語り手は我(息子)。父親の急逝で村に帰ってきたところから始まります。40年以上前、父親が20歳、母親が18歳のときの出会いの話が綴られていきます。

田舎の小村である三合屯に初めてできる学校の先生として駱(ルオ)がやってきます。出迎える村人の中に田(ディ)もいました。一瞬の視線の邂逅で十分、ディの一目惚れでしょうね〜。それから、あの手この手でルオへの思いを伝えようとするディ。はたしてその思いにルオは気づくのか……。
って、ディの恋がかなうから冒頭のシーンがあるわけで、わざわざぼかすまでもないんですけどね。ディの努力がとても健気でじれったく、時にはちょっと怖いくらいで(汗)

この手の映画が生理的に好かない人は無理だと思うけど、野郎が10人いれば9人まではディみたいにされたらグラッとくると思います。「いいかげん応えろよルオ先生」と。だってね〜、たぶんルオ先生以外の村人たちはみんな気づいてたと思いますから。もっとも、ルオ先生のほうもまんざらでもなく、ひょっとしたらけっこう早い段階でディのことが気になってかもしれません。原作ではその辺がもうちょっと鮮明なんですが、映画でも薄々感じさせてくれるようなシーンもあります。

それにしても、これが初映画のチャン・ツィイーの魅力全開ですね〜。チャン・イーモウは「紅いコーリャン」でコン・リー(鞏俐)を見出し彼女はスターになりましたが、今回のチャン・ツィイーは第2のコン・リーと言われてるとか。本作の次の「臥虎藏龍(グリーン・デスティニー)」はハリウッドでも注目を浴び、チャン・ツィイーも中国だけじゃなくて世界の女優になるかも。これからとても楽しみな女優の1人です。そして、彼女の魅力を引き出すチャン・イーモウの演出も見事です。音楽もまた雰囲気を盛り立ててくれてすばらしいです。

ちなみに、原作は「紀念」、映画の中国名は「我的父親母親」、英語名が「The Road Home」、そして邦題が「初恋のきた道」。原作の「紀念」は日本語で言う「形見」なのだそうで、映画の題名が違うのは原作とは視点も描き方も異にしているからなのだと思います。そして、中国と英語と日本語で題名がこれだけ違うのは、民族の違いなのかもしれないですね。同じ作品を見てもきっと見方が違うのだと。個人的には、この邦題は日本人的には最高の題名なのではないかと思います。

ところで、公開当時に某所でディの現在の姿について「たかだか60歳の女性にしてはあまりにも老けすぎていてリアリティーがない。だからこの映画の描写はおかしい」という評を読んだことがあります。馬鹿だねこの人。風雪に耐え太陽に晒されて働く人は、その苦労を外見に刻むもの。老け込んだ姿はその生き方の勲章なのだと思います。件の評を書いた人はある意味苦労知らずなんでしょう、気の毒にも思いますが。

愚痴はさておき、ディの一途さが際立つ秀作です。ぜひご覧あれ。

 2001.08.10