未来のゆくえ
やまむらはじめ短編集


やまむらはじめ作
2000年1月1日
発行所:株式会社少年画報社



書店に並んでいるのを、なんだか呼ばれるような気がして何気に買ってしまうことがあります。ちょうどJ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」などはそうだったんですが、この「未来のゆくえ」もそうです。

やまむらはじめという漫画家の存在は知っていたけど、あまり気にしていませんでした。どちらかというと知らない人のほうが多いでしょうね。今は某誌で「エンブリヲン・ロード」という連載をしていますが、これも知らない人のほうが多いと思います。この単行本の時も気にかけている漫画家ではなかったのですが、なんとなく買ったほうがいいような気がして手に取ったのでした。

      やられた!

まさにやられました。“呼ばれて”買った本にいままではずれはないのですが、「未来のゆくえ」もまさに大当たり。たぶん当分のあいだ自分的漫画ベスト10に入ることでしょう。

やまむらはじめという漫画家は、ひょっとしたらとてもうまいのかもしれません。それぞれいろいろなスタイルがありますが、彼の作風?は、佳境にさしかかると次第に台詞が減って、最低限の活字だけであとは絵で見せるような気がします。時には、登場人物の名前すらない、主人公なのに。やたら説明的な台詞やモノローグの多い作品は漫画や映画に限らず多々あるけど、それを絵で見せるってことは、ひょっとしたらすごい実力の持ち主なのかもしれないと思ってしまいます。

「未来のゆくえ」は短編集で、全部で6本納められています。
中でも「肩幅の未来」にはすっかり鷲掴みにされています。たかだか22ページなのであらすじを書くとネタばらしになるからやめますが、とにかくまいってます。さとると彼女の関係が痛い。ハートマークつきの約束の台詞がしみます。

ほかにもそれぞれの話について語りたいことはたくさんあるんだけど、う〜、ネタバレになるからな〜。我慢我慢。読んだ人、よかったら別途お話しましょうか。問題は、書店で見つけるのがけっこう大変かもしれないということ。うちの近所では全滅です。でもちょっと大きめの本屋だったら大丈夫じゃないかな。少年画報社のコーナーさえ見つけられればあとはたぶん簡単。「立ち読みでも」なんて言ったら全国の本屋に怒られそうですけど、それでもいいからたくさんの人にぜひ一度読んで欲しい逸品です。

2000.11.25