好きになるひと
高橋しん初期短編集完全版


高橋しん著
2000年2月1日初版第一刷
発行所:小学館
「収録作品初出年」
     世界で一番近い島(1991年)
     TWO HEARTS(1992年)
     ANCHOR(1991年)
     歩いていこう。(1993年)
     好きになるひと(1993年)



たぶんドラマにもなった「いいひと」が一番有名なのだと思います。これを書いている現在スピリッツに連載中の「最終兵器彼女」も好評の高橋しんさんの初期短編集です。

たしか一番最初に読んだのは学生の頃だったよなと思っていたら、もう10年たつんですね。あの頃はサークル室に雑誌が転がっていて、その中にスピリッツもあったのでよく読んでいました。そして、掲載されたこれら短編集についつい引き込まれていったところで「いいひと」の連載が始まって、すっかりはまってしまったものでした。ひょっとしてそういう人って多い?

とても真っ直ぐなお話を書かれると思います。登場人物たちも、とても真っ直ぐなんだけどとても不器用な生き方をしているように思え、そして時として歯がゆくなるくらいの恋愛をしています。だから正直言って「最終兵器彼女」は私には痛すぎたりします。でもなんだか目が離せないんですよね。連載で読んでると気になってしょうがないので、「最終兵器彼女」は全巻で揃ったところでまとめて読むつもりだったりします(今は二巻までしか読んでないんです)。

さてさて短編集の話でしたね。
この短編集はリミックスなので、初出の時の筋を元に絵や内容を改めたものがほとんどだそうで、厳密に言えば別物なのかと思います。でも、当時の絵とか正確な筋は忘れてしまったので、まあこれが私にとっては初出そのままのようなものなのですが(汗)
ただ、「TWO HEARTS」で気になりだして、「歩いていこう。」でがっちり捕まった記憶があります。だから、今回の短編集の中でもやはり「歩いていこう。」が一番好きです。
中学の頃から10年来の付き合いの陸上選手のケンジと看護婦の千歌。結婚を約束していますが、一流の陸上部で監督をしている千歌の父は、平凡な実業団の選手のケンジを認めていません。認めてもらうためには走りで見せるしかない、ケンジは二人の未来のために走ります。しかし、爆弾を抱えていることを知った千歌は……。
お約束な展開だとは思うんですけど、大好きです、こういう展開(笑)

でも、ひょっとしたら「ANCHER」が一番“らしい”話なのかもしれません。箱根駅伝の選手だった経歴を持つ高橋しんさんですから、たすきを繋ぐ気持ちについてはおそらく漫画家の中で一番よくご存知のことと思いますので。

そのほかの内容は……、読んでください(汗)
短編集だからよけいにまとめにくいんです、と言い訳。短い話ではちょっとでも余計なことを書くと楽しみをそいでしまいそうで怖いです。いい作品集だと思います。だから、ぜひ読んでください。

2001.03.25