夢館


佐々木丸美 著
1980年3月12日初版発行
発行所:講談社

ハードカバー、文庫とも絶版


思い起こせばもう××年前、仙台の某高等学校の学生だった私はせっせと図書室に通い詰めておりました。年間借り出し数が250を超える生徒があの時3人もいたけど、いまでもそんな本の虫はいるんでしょうかね〜。先輩が引退して委員長となったときにはやりたいほうだいさせていただきました。著作権の話が当時はまだあやふやだったのをいいことに、校内ビデオ上映会を敢行。生徒のニーズにこたえると称して自分の見たい作品をチョイス。文化祭の委員会企画では、某有名アニメ監督の某有名空飛ぶ城のビデオを上映、立ち見が出るほど大盛況。それから予算で購入した本の中には、一般書架には一度も並ばないまま書庫に封印されたものもあったりして。どちらも今ではできないだろうなと思うとちょっと寂しかったりして(汗)

思い出話はさておき、佐々木丸美の本と出合ったのもこの図書室通いのころでした。なんと、我が母校にはかなりの数が揃っていたのです。と言ってもピンと来ない人も多いかもしれませんね。あまり有名ではないし、残念ながらヒット作に恵まれたとは言えません。斉藤由貴主演の映画「雪の断章-情熱-」と聞けば分かる人もいるかもしれません。でも、この映画もけっしてヒット作とは言えないので、やっぱりマイナー。そのため著作は既にすべて絶版なのですが、人づてに紹介されたり、文庫は古本屋でも比較的入手しやすいのでそれを読んだりして、はまる人が後を絶ちません。たぶん好き嫌いは激しく分かれると思うけど、一度はまったら二度と抜け出せないでしょう。そして、古本探索の日々が続くのです。って脅かしてどうするんだ、紹介だろ(汗)

この佐々木丸美作品で一番最初に読んだのは「夢館」だったので、代表でこれを紹介しようと図書室設置のときから決めていました。でも、アタゴオル同様なんて感想の書きにくい本を選んでしまったのだろう。ハードカバーの帯から引用します。

       神秘の精神世界  超常ミステリー

       既視感覚に導かれて会うべくして会いえた輪廻転生の二人の男女。
       しかし男の背後には、先代以来の愛憎が渦巻き、幼い女に襲いかかる。
       閉じこめられた地下室の壁に描く必死の救助の電話
          −不可思議、超常現象の世界。

ちょっとでも心ひかれた方、すぐに古本屋に走りましょう。とりあえず講談社文庫なら見つけやすいはず。なんか気が引けてしまった方、う〜んどうしましょ(汗)
この帯を読むとおどろおどろしいホラーサスペンスみたいな感じもしますが、実際はそうじゃないです。たしかに輪廻転生とか占星術、果ては霊的なものまで出てきますから“超常”的な部分はあります。でも、物語の大きな流れは「運命に導かれ、生まれ変わった二人が出合う物語」です。たぶんはまり込んでしまう人たちはここにグッと引き寄せられるのだと思います。

ちなみに、ファンの間では「館シリーズ」と呼ばれるシリーズのこれは3作目です。前2作は「崖の館」と「水に描かれた館」です。これも文庫なら比較的見つかりやすいです。個人的には夢が一番好きですが、崖から読まないと話の流れが分かりにくいと思います。
あと、俗に「遺産シリーズ」と呼ばれる「雪の断章」「忘れな草」「花嫁人形」、それから「伝説シリーズ」の「橡家の伝説」と「榛家の伝説」も好きで、この辺はハードカバーで持ってます。でもそれ以外は手薄なんですね。文庫は全部持ってるけど、ハードはあと6冊足りない。あの頃に全部買っておけばよかった。全部揃うのはいったいいつになるかわからないけど、やっぱり揃えてみたいものです。

2000.11.05