夏への扉


ロバート・A・ハインライン著
昭和54年5月31日発行
発行所:早川書房

ハヤカワ文庫 SF345



ハインラインと言えば、SF界の “超” がいくつもつく巨匠。たくさんの作品が日本でも愛読されています。ためしにネット検索してみると……、うっわあるある。たとえば “ハインライン”で検索したら、 Googleで約3800件、infoseekで3306件、gooで2489件(2001.02.18現在)。もちろん同名別物のサイトもあるんでしょうけど、でもゆうに4桁のサイトがあるのは間違いないでしょう。う〜ん、いまさら文才皆無のわたくしめが書いても……。でも好きな作家だから書く(笑)


 “ぼく” の同居人、いや同居猫のピートはいつもぼくにせがむ、家中の扉を開けるようにと。どうやら寒い冬でもどこかの扉が夏へと通じていると信じているらしい。そしてぼくも夏への扉を探していた。親友マイルズに裏切られ、恋人ベルに逃げられ、そして会社からも追い出され……。まさにこの世の終わり。この世界で生きる意味なんてあるのだろうか。そんな時目に飛び込んできたのが冷凍睡眠の看板。そう、人口冬眠によって歳を重ねずに未来へ行くことのできる方法。ぼくは30年の冷凍睡眠を契約した。きっと今よりも暮らしやすくなっていることを期待して。それなりの財産も利益を生み出してくれているはずだし。しかし、マイルズとベルの姦計に落ちてしまい、さらにどん底へ突き落とされてしまうのだった。未来世界で路頭に迷う “ぼく”。いったいどうすれば……。


最初はまったくもって後ろ向きの主人公。実際にこんな奴が友達だったらじれったくてしょうがないでしょうね〜。でもこの “ぼく” が時間旅行していく中で次第に成長し、運命を切り開いていく姿には共感できる部分もあります。

それに、脇役に魅力的なキャラが配置されているのがじつにいい。筆頭はやはりピートでしょう。ちょっと江戸っ子っぽい話し方(もちろんそう翻訳されたってことですけど)をするこの主人公の相棒は、様々な場面で活躍。とくに戦闘ではその戦略眼と爪で戦闘力を発揮します、ってそんなおおげさなことあるかい(汗)

それからリッキイ。登場時はたしか10歳くらいの少女なんですが、この子がこの物語のヒロイン。彼女にまつわるエピソードを書くとネタバレになってしまうので避けますが、彼女なくしてこの作品がはたしてハインラインの代表作になれただろうか。いやたぶん無理でしょう。「夏への扉」の名作たる所以がリッキイにあると思います。でも考えてみれば登場シーンはそれほど多くないんですよね。きっと、リッキイなくして主人公の成功はなかったこと、それから素敵な未来、この2つが読者を引き付けるんだと思います。

ちなみに、ハインライン原作の映画はいくつかありますが、残念ながらこの「夏への扉」はまだ。ぜひ映画化して欲しい一作です。でも、リッキイの人選次第では「ちっが〜う!!」って文句言いまくるでしょうけども(笑)

2001.02.18