竜の夜明け
<パーンの竜騎士 / 外伝1>


アン・マキャフリイ著
1990年3月31日発行
発行所:早川書房

ハヤカワ文庫 SF860〜861
上下巻



先に紹介した「竜の戦士」で始まるアン・マキャフリイ著  パーンの竜騎士シリーズの外伝第一巻です。

ルクバトと呼ばれる星系の第三惑星パーンを舞台に、竜に乗り空からの脅威「糸胞」と戦う竜騎士やそれを取り巻く人達が繰り広げる “本編” に対して、傍流の歴史を描く外伝。中でも「竜の夜明け」が描くのは、パーンの歴史すべての始まりです。



人類が宇宙に進出した時代、3隻の恒星間移民船に乗った人々がルクバト星系へやってきた。この星系の第3惑星が植民向きと報告した200年前の探検隊の報告を元に、この星へ移住するために。空気組成も重力も気温も、すべてが良好。すばらしい新天地へやってきた人と動物達は、順調にその版図を広げていった。

じつはその探検隊がこの星を訪れた時は今ほどの植物の繁茂はなく、地上のいたるところに丸い奇妙な不毛地帯が広がっていたのだが、植物が生い茂り原生動物達が闊歩する繁栄した星を目の前にして、過去の報告の奇妙な付録を気にする者は誰もいなかった。

しかし、まるで悪魔のような生命体が人々の頭上に忍び寄っていたのだった……。



竜騎士シリーズは未来の人類を描いていて、しかも恒星間移民を行った人たちの末裔です。しかし、その民俗はまるで中世のヨーロッパを思わせ、とても恒星を渡ってきたとは思えない生活です。その上、火を吐く竜に乗る騎士たちが空を飛び交う……。SFというよりはファンタジーの世界です。この謎が解けるのが「竜の夜明け」、日本では「竜の戦士」が邦訳されてから実に8年後の出版でした。いやはや待った待った(汗)

なぜ人々は科学技術を失うことになったのか。どうやって竜と “感合” し、糸胞と戦うようになったのか。それから地名の由来などもわかります。先にこの「竜の夜明け」を読んだほうが正伝を読み進める時も分かりやすいかもしれませんね。
でもやっぱりこっちを後にしましょう。だって、すこしは謎があったほうが面白いじゃないですか。それに、謎への欲求不満が高まったところでこの「竜の夜明け」を読んだほうが、「な〜るほどそうだったのか」っていう楽しみもありますしね。個人的には、「竜の戦士」「竜の探索」「白い竜」の3作を最低でも読んでから、「竜の夜明け」に入ったほうがいいと思います。

2001.02.12