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自民党県議団 代表質問 平成22年12月7日(火)

   12月1日(水)に開会した12月議会は12月7日(火)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 代表質問の前に、現在の政治に対する県民の素直な気持ちを代弁したいと思います。
 夏目漱石の草枕の前文にこのように書いています。
 山道を登りながら、こう考えた。
  智に働けば角が立つ。
  情に棹させば流される。
  意地を通せば窮屈だ。
  とかくに人の世は住みにくい。
 昨年八月三十一日、ドラスティックな政権交代があり、民主政権が誕生しました。多くの原因があると思われますが、その中の一つには民主党のマニフェストがあります。当時国民は民主党の智に働く政策、つまり無駄を省き、予算の組み替えをすればいくらでも財源がでてくるという政策を信じさせられました。また、子ども手当等働く母の情に訴える政策も功を奏しました。沖縄では米軍基地は少なくとも県外に移せると約束し、さらにはコンクリートから人への合い言葉で八ツ場(やんば)ダムの中止、高速道路の無料化、小沢問題、企業献金の廃止等、意地を通せば通すほど窮屈な政治的状況に陥り、たった一年で平然と公約違反を重ねています。また、尖閣諸島、北方領土での対応のまずさなど色々な問題が山積みしております。
 さらに、福岡県に最も身近な隣の国、韓国が、北朝鮮の全く非道な砲弾攻撃にさらされても、その対応は遅く、再度の朝鮮戦争も懸念されるなかで、平成二十二年もやがて幕を閉じようとしてます。
 日本国民としても、県民としても気の休まらない日々が続きます。
 こうしたなか、県民に福岡県政史における麻生県政誕生の意義とその功績とは何か、このような思いも込め、ただ今より代表質問をさせて戴きます。

麻生渡知事 答弁要旨

 さて麻生知事は、平成七年四月の知事選挙に立候補して当選され、戦後初代の杉本勝次知事より数えて六代目の福岡県知事に就任されました。麻生県政が福岡県政史で最も特筆されることは、共産党を除く保守革新すべての政党、会派の推薦をうけて誕生し、知事が存分にその手腕を発揮されたことではないでしょうか。それまでの福岡県政は保守陣営と革新陣営の間で、いわば不毛の争いをつづけて、その名を全国にとどろかせていました。もし県政が依然として、保革の争いを続けていたならば、如何だったでしょうか。この十六年間は、二十世紀から二十一世紀にかけて社会構造や経済情勢が大きく変化した激動の時代でありました。
でありますから、不毛の争いにかまけて本県だけが時代の流れに乗ることができず、発展と振興から取り残されていたかもしれないことは容易に想像できるところであります。 
 しかしながら、保革不毛の争いの枠外にあった麻生県政は県民の期待に応え、手腕を十二分に発揮されました。麻生知事の経験と知見に裏打ちされた洞察力と豊かな発想力は、時代の要請を見事につかみ、福岡県民が求める新しい政策を具体的に展開されてきたのであります。これは県民として本当に望ましく、喜ばしいことでありました。
 また私たち自民党県議団も、県政の発展のため、さまざまな側面から、知事を支えて参りました。麻生知事に強力なエールを送り、また時には厳しく指摘をし、知事と議論を重ねてきました。これも、県民一人ひとりの福祉の向上を目指していきたいという、わが会派の思いと麻生知事の考えが一致したからに他ならない、と思っています。
 そこで、私は、麻生県政のこれまでの成果を具体的に振り返りながら、これからの福岡県政に必要とされることが何なのかを具体的にお聞きしてまいりたいと思います。
 まず中小企業対策についてであります。
 知事は元気フクオカ資金を平成十五年度に創設され、担保に頼らない新たな資金供給という仕組みを導入されました。
 制度創設以来、こてにより約一万八千件、総額三千億円弱の融資が県内中小企業に実行された、と聞いています。
 次に企業の生産活動を促進するという点で特記されることは、北部九州自動車一五〇万台生産拠点プロジェクトの実現を上げられたことです。世界で九か国しか存在しないという自動車一五〇万台以上の生産能力を、北部九州だけで備えるわけであります。
 世界同時不況の影響で見通しが極めて心配されましたが、今年度は過去最高に並ぶ一一三万台に回復する見込みのようで、今後できるだけ早く、目標であります一五〇万台生産を実現させて頂きたいものであります。
 経済を発展させるためには、新規雇用を生み出し、社会全体のパイを増やしていくということが不可欠であるというのが知事の持論であった、とうかがっています。
 このような発想から、新しい時代に向けて新しい産業の育成を積極的に手掛けられたことは、専門的なことにもかかわらず今や多くの県民が知るところであります。
 まずは、先端半導体開発拠点の整備であります。平成十六年開業の「福岡システムLSI総合開発センター」に始まり、現在建築中で来春完成予定の「半導体先端実装研究センター」及び「先端社会システム実証研究センター」により、半導体関連企業の集積がさらに加速することになると構想されているようです。また、ロボット、コンテンツ産業、バイオ、ルビーなど先端成長産業の育成・振興施策についても、極めて独創的に取組んでこられました。
 そこで県内中小企業は、こうした分野において自らの活路を是非とも見いだしていただきたいものであります。
 次に将来を見据えた取組として注視されているのが、世界有数、国内随一の水素エネルギー研究開発拠点の整備であります。
 「福岡水素エネルギー戦略会議」は、水素エネルギー・燃料電池分野における世界最大の産学官連携組織であり、「水素エネルギー製品研究試験センター」も唯一無二の試験機関だとうかがってます。
 家庭用燃料電池百五十基を集中配置した糸島市の「福岡水素タウン」も世界最大の実証を誇るもののようです。
 このほか、地域商品券の発行による地元商店街の振興や博多織、大川家具のブランド化による地場産業の育成等、実行された産業政策は試験研究開発を中心に本当に多岐にわたります。
 そこでお尋ねいたします。知事はこれまでの四期十六年間に講じられた産業政策を自らどのように総括されているのか。また、現在の経済状況をどのように見て、今後どのような政策が必要と考えておられるのか、その抱負をお聞かせください。
 次に農業政策についてであります。
 後ほど農政問題もお聞きしますので、ここでは研究開発分野を中心にしたその功績をあげさせていただきます。
 まず独自品種開発による付加価値の高い農産物のブランド化をわが自由民主党農政懇話会の強力な支持のもとで推進され、強い農業づくりに尽力されました。
 米についても、夢つくしが県内シェアの四割以上を占めるなど、県民ブランドとして浸透し、また、新開発の元気つくしは夏の暑さに強く、一等米比率が高く、味や食感も高評価を受けるに至っていると聞いています。
 ラー麦というネーミングもユニークな小麦でありますが、これまで輸入に頼ってきた麺用小麦に対し、その名のとおり全国で初めて開発されたラーメン専用小麦であります。
 あまおうは日本一の市場価格を六年間連続して維持しており、ナショナルブランドとして確固たる地位を築きました。
 とよみつひめは甘みが強く、果汁豊富でなめらかな食感により、京浜市場における価格は他品種の三割高という評価を受けているようです。
 雪姫は花持ち、葉持ちに優れ、十月から六月まで長期にわたる出荷期間を備える白菊であります。
 豊前一粒かきは粒が大きく身入りが十分で、味わい濃厚な滋養あふれる牡蠣であります。
 豊前本ガニは身入りの良いものだけを選りすぐった高品質なガザミで、豊前海は全国有数の産地として確立されております。
 こうした取組を通じ、本県農林水産業も大いに力をつけたということではないでしょうか。
 そこでお尋ねいたします。こうした農林水産物のブランド化をはじめ、品種開発などにより本県農林水産業がどのように変化し、今なお、どんな課題をかかえているのか、お答え願いたいと存じます。
 次は子育て支援についてであります。
 国が将来に向けてその礎とすべきは、私たちの子どもたちが健康で安心な暮らしを享受できるような社会づくりであり、また、今現在の親たちが子どもを安心して育てられる環境づくりということであります。
 知事は、子育て支援として、周産期母子医療センターや保育所、放課後児童クラブなどのハード整備はもちろん、三歳未満の乳幼児医療の無償化、また県立大学に看護学部の開設など、地域医療の充実にも積極的に取り組んでこられました。
 また、本県独自の取組として、「子育て応援宣言企業」、「子育て応援の店」制度を導入されました。「子育て応援宣言企業」は企業のトップに対し、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための取組を宣言・実行させる制度であり、その登録企業数三千社も間近に迫っております。
 「子育て応援の店」は、子育て家庭に対しさまざまな支援サービスを行う店舗を募集し、広くPRするものであります。登録店舗も一万件を突破しております。
 これらの施策は、「にっけい子育て支援大賞(十九年度)」、「ベストマザー特別賞(二十年度)」、「ワーク・ライフ・バランス大賞優秀賞(二十年度)」など、数々の栄誉を受けたことは耳目に新しいものがあります。
 そこでお尋ねいたします。知事はこれまでの子育て支援策をどのように総括され、今後必要とされる政策は何なのか、率直な見解をお伺いします。
 「少子化」ということとセットで語られることの多い「高齢化」の問題についてでありますが、この点についても、知事は介護施設の整備促進を図るほか、ねんりんスポーツ文化祭の開催による高齢者の生きがい、仲間、健康づくりなどを推進してこられました。
 また、最近では「七十歳現役社会づくり」をめざして幅広い議論を展開されているようです。このことについては後ほど、具体的にお聞きする予定ですが、まさに時宜を得たものと評価しています。そこで既に高齢社会を迎えている我が国の現状をどのように捉え、また、今後必要とされる政策としては、どんなものを考えておられるのか、お伺いいたします。
 さて、国家の礎は「人」であります。知事は、次世代を担うたくましい人材の育成にも力を入れてこられました。
 まず、青少年アンビシャス運動の全県的展開であります。
 私ども自由民主党福岡県議団がこの県議会で呼びかけた「読書県民運動」の展開を契機として、青少年健全育成としてのアンビシャス運動を始められたことは既に県民の多くがよく知っています。
 平成十三年度の活動開始以来、参加団体は千四百団体に上り、まさに県民運動として定着してきたと聞いております。本運動から生まれた事業は、アンビシャス広場をはじめ、青年リーダー育成、幼児読書推進、サマーキャンプ、青少年の翼、外国留学奨学金、外国大学支援事業など数多くのものがあるようです。
 そこでお尋ねします。知事は、教育も含めた我が県の青少年の育成、人材育成に関する、これまでの政策をどのように総括し、また、今後どのような点に特に力を入れていくべきとお考えなのか、見解をお伺いします。

 さて明治三十二年、岡倉天心による「九州に国立博物館を」の声以来、多くの人々の悲願であった九州国立博物館が、オープン以来既に五年を迎えています。国と地元が連携・協力を行いながら一体として運営を行う方式を我が国で初めてとり入れて、開館五周年で七百九十五万人という驚異的な来館者を記録するなど、京都・奈良を超える圧倒的な人気を誇る国立博物館に成長いたしました。振り返ってみますと、誘致、着工、開館に向けては、実に長い年月を要しました。とりわけ、誘致運動が佳境に差しかかった五十八年に、県政が亀井知事から奥田革新県政と交代し、九州国博運動は大変困難な時期を迎えましたが、私たち自民党県議団が誘致運動の中心となってきました。このあと麻生知事とわが自民党との連携により、平成十四年三月に着工へと至ったと聞いています。
 また、九州歴史資料館は、古代から近世・近代に至る本県の歴史を幅広く調査・研究・発信するとともに、文化財の収集・保存を担う拠点施設として、つい先だって移転開館しました。正倉院にも通じる伝統的な日本建築の雰囲気を有する外観が非常に特徴的な建物であります。
 さて、福岡県の地勢的特徴を考えると、アジアが我が県に持つ意味合いは、国内のどの地域よりも、強く、深いものがあります。
 アジアに向けて福岡を積極的に発信していくということなくして、経済界のみならず、福岡県の持続的な発展は考えられません。
 この点については、知事は我が自民党と思いを同じにしてこれまで政策を展開されております。
 まず、アジアに向けた社会基盤の整備という面で言えば、なんと言っても、福岡空港と北九州空港の整備促進であります。
 知事は福岡空港将来構想の具体化にいち早く着手されました。今後の需要増大を見込み、滑走路増設の早期着手・完成に向けた道筋が明確になり、県民も安堵したものと思われます。 
 また、西日本で唯一の二十四時間運行可能な海上空港である北九州空港については、アジアを取り込む本格的な貨物拠点空港とするため、積極的な取組を展開されています。
 さらにアジアの目線は、こうした社会基盤の整備にとどまらず、経済交流、観光交流、環境面でのアジア諸国支援等幅広い観点からの政策を展開されています。
 そこで知事にお伺いします。これは、相当幅広い分野が関係してくるかもしれませんが、知事は、現在、福岡を取り巻くアジアの情勢を、特に観光や経済の面でどのような情勢にあるとお考えでしょうか。そしてまた、今後、アジア戦略をどのように進めていくべきとお考えでしょうか、見解をお伺いします。

 「安全安心のまちづくり」についても、ドクターヘリの配備をはじめ、公共施設や高齢者施設の耐震化促進、災害拠点病院の整備に努められてきましたが、とりわけ評価されるのは、極めて実効性の高い暴力団排除条例の制定であります。全国最多の五つの指定暴力団が存する本県から暴力団を排除するため、全国に例を見ない法的手段強化策として制定されました。
 暴力団に対する徹底した利益供与の禁止と罰則の適用により、必ずや成果が上がるものと期待しているところですが、その抱負をお示し願うところです。

 さて麻生県政の功績で決して見落としてはならないものが、県立病院の民間移譲だと思っています。
 皆さんご承知のとおり、県立五病院のうち、朝倉、遠賀、嘉穂、柳川の四病院については完全なる民間移譲が実現し、県に必置義務のある精神病院として、太宰府病院についてのみ公設民営という型となったわけであります。
 平成十九年四月、柳川病院及び嘉穂病院の移譲により民営化が終了することになるまで、丸六年間の歳月を要しているようです。
 この間、県職労や自称市民団体などによる病院の存続署名運動や抗議集会の開催などの抵抗活動もありましたが、知事は初志を貫徹されたわけであります。
 この快挙は、公立病院の赤字に苦しむ全国自治体の嚆矢となるものでありました。他県から視察が相次いだのも、本県のこの民間移譲が高く評価されていたに他なりません。この事業について知事の率直なる所見をお聞かせ下さい。
 また、全国知事会長としての地方分権の推進に向けた数々の政策提言は麻生県政の大きな功績でありましょう。
 平成十七年二月の知事会長就任以来、第二期地方分権改革や地方消費税の充実に向けた運動の推進、地方交付税の増額実現、道路財源に係る暫定税率の回復と「地方枠」の確保、地方にとって自由度の高いさまざまな交付金の創設等経済・雇用対策の実現、「行動し成果を勝ち取る知事会」の推進、「先進政策創造会議」の設置による都道府県のさらなる政策立案能力の向上など、まさに駆け足で取り組んで来られました。
 また、今も現内閣に対し、地方分権関連三法案の今臨時国会での成立や、経済対策の早期実施、ひも付き補助金の一括交付金化、国の出先機関の廃止、地方税制改革、義務づけ・枠付けの見直し、基礎自治体への権限移譲、地方自治法の抜本見直しなどを強力に要請してこられました。
 今日の民主党政権のていたらくぶりでは、到底実現はおぼつかないでしょうが、今後の地方分権の推進に当たって、特に重点的に取り組むべき事項をどのようにお考えか、長きにわたる知事会長の経験もふまえ、考えを伺いたいと思います。

 (麻生県政四期十六年の総括について)
 これまでの産業政策の総括について


 本県では、雇用の約八割を担う中小企業の振興と、高い所得・雇用を創出する先端成長産業の育成を柱に産業政策に取り組んで参りました。

 中小・ベンチャー企業の振興では、フクオカベンチャーマーケットを中心としたベンチャー育成支援や経営革新支援、さらに県営インターネット通販サイト「福岡よかもん市場」の開設、プレミアム地域商品券による商店街活性化、ファッション産業の振興など総合的な政策を実施して参りました。

 これにより、全国トップクラスの創業率を維持するとともに、経営革新件数は全国第三位となるなどの成果を上げております。

 自動車では、北部九州における生産能力が百五十万台を超え、世界有数の生産拠点を実現するとともに、地元調達率も五割から六割まで上昇しました。

 先端半導体では、新たに二百社を超えるシステムLSI関連企業が集積し、半導体の設計・開発から試作・実証・製品化まで一貫して行うイノベーション拠点の構築を進めております。

 水素では、世界最先端の研究開発や水素タウン、水素ステーションなど世界最大規模の社会実証、さらに水素エネルギー製品研究試験センターによる製品開発支援など、低炭素社会実現に向け、世界トップレベルの水素戦略を推進して参りました。

 バイオでは、約九十社のベンチャー企業を創出するとともに、世界が注目する画期的ながん治療法であるペプチドワクチンを開発しました。 

 この他にも、Rubyビジネスやコンテンツ産業、ロボット産業などの新たな成長産業の育成、集積に取り組んで参りました。

 これらの政策により、平成七年以降、九百十五社の企業が立地するとともに、県内総生産や雇用者数についても全国の伸びを大きく上回ったところであります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

   今後の産業政策について

 わが国は、少子化の進展などにより、国内市場の大幅な拡大が望めない状況にあります。

 一方、アジア地域は、今年の実質経済成長率が、日本の二・八%に対し、九・四%と予測されるなど、世界の成長センターとして大きな発展を遂げております。

 本県経済の活性化を図るためには、アジアとの連携を深め、その活力を取り込んでいくことが重要であり、中小企業のアジアビジネス、環境、イノベーション・新成長産業等の分野においてアジアの拠点となる「福岡・アジア国際戦略特区」構想を推進してまいります。

  




















 本県農林水産業の変化と課題について

 農業においては、県独自の品種を開発し、ブランド化を進めることで、新たな市場を開拓して参りました。中でも、収益性の高い園芸農業については力を入れており、農業産出額の過半を占めるまでになっております。

 水産業においても、これまでの獲る漁業から、つくり育てる漁業へ誘導を図っているところであり、「福岡のり」のブランド化をはじめ、「豊前海一粒かき」など直接消費者に販売する新たな取組も定着しているところであります。

 農林水産物の価格が低迷する中、本県農林水産業が力強く持続していくためには、消費者に魅力のある農林水産物を開発するとともに、輸出も含め、新たな需要を開拓する政策も必要と考えております。




 

 














 子育て支援策の総括と今後の政策について

 少子化の進行は生産年齢人口の減少や人口構造の変化をもたらし、社会、経済に大きな影響を及ぼすことになります。

 このため、少子化の流れを変えることを目指し、若者の就業支援や結婚応援、安心して妊娠・出産できる周産期医療体制の整備、子育てと仕事の両立を支援するための保育所整備や子育て応援宣言企業の推進、地域全体で子育てを応援する子育て応援の店の拡大など様々な施策を組み合わせて、総合的に取り組んで参りました。 

 こうした取組の効果もあって、本県の出生数は、平成十七年の四万三千人を底に、平成二十一年には四万六千人まで回復しており、今年、策定した「出会い・子育て応援プラン」では、出生数が現在の水準以上となることを目標に掲げているところです。

 今後、少子化対策を実効あるものとするためには、地方においては、地域の実情に応じた保育サービスの提供など施策の一層の充実を図るとともに、国においては、子ども手当の満額支給や大学等の高等教育に係る経済的負担の軽減、女性の更なる社会進出を推進する取組が必要であると考えております。




 高齢社会の現状と今後の政策について

 我が国は、世界に例のない速度で高齢化が進み、他の国が経験したことのない高齢社会を迎えております。
 また、平均寿命は、男女とも世界トップクラスとなっており、これは、医療や所得水準の向上など豊かな社会づくりに取り組んできた成果であり、世界に誇るべきことだと考えております。
 今後、活力ある社会を築いていくためには、高齢者の方々が、七十歳でも現役で働ける社会づくりの実現、将来にわたり持続可能な社会保障制度の確立、健康づくりの推進や社会参加の促進などに取り組むことが重要であると考えております。


 青少年アンビシャス運動の総括及び今後の方向性について

 この運動は「誉めて伸ばす」という原則のもと、「豊かな心、幅広い視野、それぞれの志を持つたくましい青少年の育成」を目指して、アンビシャス広場や青少年アンビシャスの翼など各種事業を行ってまいりました。その結果、子どもたちの自尊心や自主性、積極性などが向上しただけではなく、地域の大人たちには広場運営やイベントの共同開催を通じて新たな協力や連携が生まれ、経済界にも支援の輪が広がるなど、福岡県の代表的な県民運動となりました。

 今後も、グローバル社会を視野に、志を持って様々なことに挑戦するたくましい青少年を育成するため、教育力向上福岡県民運動と車の両輪として連携しながら、積極的に推進することが重要であると考えます。




  
 今後のアジア経済戦略について

 市場としての魅力を増すアジアとの経済交流は、本県の新たな成長の鍵となります。

 アジア情勢を踏まえれば、各地域との多角的な交流を進める必要があり、中国、韓国はもとより、中国市場参入にとっても重要な台湾、自動車産業を中心に発展するタイなどのアセアン地域や、巨大市場へと成長するインドなどへの市場参入政策を積極的に進めることとしております。

 具体的には、特区政策に掲げている県内中小企業のアジアへの事業展開や環境ビジネスの推進、クルーズ船の寄港促進等によるアジア観光客の誘致、さらには多言語サイト「アジアンビート」や「福岡アジアコレクション」などによる若者文化の海外への発信を積極的に行って参ります。



  


  
























 暴力団対策への抱負について

 本県には、全国に二十二ある指定暴力団のうち、最多の五つの団体が存在し、暴力団による抗争事件や企業・県民を狙った卑劣な発砲事件が繰り返されるなど、全国的に見ても極めて特異な状況にあります。
 このことは、県民の平穏な生活に脅威を与えるだけでなく、福岡県のイメージを著しく損ない、企業進出をはじめとした地域振興に深刻な影響を与えております。
 これまでも、警察官の増員等による取締りの強化や行政・事業者・県民が一体となった暴力団排除運動を進めて参りました。
 さらに、暴力団を壊滅に追い込むためには、資金源を断つことが極めて重要であり、全国に先駆けて、公共事業からの排除や罰則付きで利益供与を禁止する暴力団排除条例を施行し、その成果も着実に現れてきております。
 今後も、条例を効果的に活用して、地域や社会経済活動からの排除を徹底するとともに、暴力団のない福岡県を実現して参ります。



 県立病院の民間移譲について
 
 県内の医療供給体制が質・量ともに充足し、県立病院としての役割や存在意義が希薄化する中で、県立病院の経営がますます厳しさを増していたことから、それまでの病院改革とは異なった大胆な取り組みが必要であると判断し、全国で初めて、県立病院すべての民営化に踏み切りました。
 
 この改革により、県財政に大きく寄与するとともに、県として周産期・小児医療の充実に重点的に取り組むことができました。

 また、移譲先病院においても、診療科や医療機能が充実され、地域医療に多大に貢献しているものと考えております。

 




 分権改革の重点課題について

 実効ある分権改革を推進するために極めて重要な「国と地方の協議の場に関する法律案」など関連三法案については、先の臨時国会で不成立となりました。誠に遺憾であります。次期国会で一刻も早く成立させなければなりません。

 また、政府は、国の出先機関の原則廃止、義務付け・枠付けの見直し、地方税財政基盤の強化などを地域主権戦略大綱において閣議決定しており、これを速やか、かつ強力に実行することが重要であります。

 さて先程も予め述べておきましたが、次に「七十歳現役社会づくり」について、具体的にお尋ねします。
わが国は、平均寿命が男性八十歳、女性が八十六歳と、長年にわたって人類の希望であった長寿社会を実現しました。まことに喜ばしいことでありますが、一方では、少子高齢化が急速に進行し人口構造は大きく変化していきます。
 将来推計人口では、現在五人に一人が六十五歳以上ですが、二十五年後には高齢化率は三十三.七%と、三人に一人は六十五歳以上の高齢者となることが見込まれています。また、生産年齢人口は、二千五年の八千四百四十二万人から二千三十五年には、約四分の一に当たる二千百五十万人が減少し六千二百九十二万人となることが予想されています。
 このことは、現在、生産年齢人口三.三人で高齢者一人を支える人口構造が、二十五年後の二千三十五年には一.七人で高齢者一人を支える構造に変化するものであり、これまでと同じような社会の仕組みでは、社会経済の活力が失われ、この国は成り立たなくなるのではないでしょうか。
 一方、高齢者の皆さんの八割は、要介護・要支援認定を受けていない元気な高齢者です。また、その多くは働きたい、社会に貢献したいと思っています。この方達が、社会の支え手として、職場や地域で活躍していただければ社会の活力は維持できます。
 このようななか、麻生知事は、高齢者がいきいきと働き活躍できる「七十歳現役社会づくり」に取組み、本県が高齢社会のモデル地区となることを目指すと表明されました。そして、今年六月には、有識者や経済団体、労働団体など関係団体の代表からなる「七十歳現役社会づくり研究会」を設置されました。
 研究会では、高齢者が働き活躍できる社会づくりに向けた課題や方策について議論されており、先月には東京で研究会を開催され、国会議員や経済界、労働界の代表、さらに、この分野では第一人者である慶應義塾大学の清家篤塾長が出席し、意見交換が行われたと聞いています。
 わが党の鴨下政調会長代理も出席し、本県の取り組みを評価されたと聞いています。
 地方でこのような取組みを行っているところは他にないわけで、知事のこの取り組みには後世、高く評価されるものと確信いたしております。
 そこで知事にお尋ねします。このテーマは日本の将来にとって非常に重要なものだと思いますが、このような取り組みに至った知事の思いを改めてお尋ねします。
 また、研究会の報告は来年一月頃と聞いていますが、現在、研究会の中ではどのような議論がなされているのか、お尋ねします。
 現在企業では、法律で義務付けられた六十五歳までの雇用確保措置に取り組んでいるところであり、さらに六十五歳を超えて働き活躍できる社会の実現には、県だけでなく、企業をはじめ県民の理解や制度面での改善が必要と思いますが、これからどのように取り組んでいかなければならないと考えているのか、お尋ねします。

(七十歳現役社会づくりについて)
 七十歳現役社会づくりに取り組む理由について

 我が国の高齢化は、世界に類をみないスピードで進行しており、二十年後には三人に一人が六十五歳以上となります。これに伴い、生産年齢人口は大きく減少し、社会保障制度を維持するための若い世代の負担が増え続けることとなり、社会の仕組みを変えていかなければ、我が国の経済の活力は失われ、社会は成り立たなくなります。
 一方、六十五歳からを高齢者と定義した昭和三十一年当時の平均寿命は約六十五歳でしたが、五十年を経た現在は、平均寿命は男性八十歳、女性八十六歳と大きく伸び、高齢者と呼ばれる方々は、まだまだ元気で能力も高く、多くの方が働きたい、社会貢献をしたいという意欲に溢れています。
 このような高齢者の気持ちにも応え、社会経済の持続的発展を図っていくためには、経験豊かな高齢者が社会の重要な構成員として、いきいきと働き活躍できる社会を実現しなければならないと考え、七十歳現役社会づくりに取り組むこととしました。




 研究会での議論について

 研究会では、高齢者がいきいきと働くことのできる仕組みづくりと共助社会づくりへの参画という二つの柱から、主に議論をいただいています。
 働くという視点からは、高齢者の就業を促進する税制度や年金制度の見直し、企業が高齢者を継続して雇用できる環境づくり、さらにはシルバー人材センターや高齢者派遣事業の活性化による多様な就業機会の確保などについて議論いただいています。
 また、共助社会への参画という視点からは、高齢者のNPO・ボランティア活動への参加促進や高齢者の培った技能等を社会に活用する仕組みなどについて議論いただいています。 






 今後の取組について

 七十歳現役社会づくりのためには、法制度の見直しなど国の措置が必要な部分もあることから、「七十歳現役特区」の指定を受けるとともに、経済団体、労働団体など関係団体と幅広く連携した取組を進め、高齢者が活躍できる環境づくりや社会全体の意識改革を図っていくことが必要と考えています。
 また、高齢化の進む地方全体の課題であることから、本県の取組を積極的に全国に発信するとともに、今後高齢化が進行するアジア諸国の先進モデルとなることを目指して、七十歳現役社会づくりに取り組んでいかなければならないと考えています。

 次に、農政問題についてお伺いします。
 菅政権は、さる十月一日の衆参両院本会議の所信表明演説のなかで、「環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定交渉などへの参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と述べ、突然、TPPへの参加を含めた経済連携協定を加速する方針を示しました。農家にとっては、まさに青天の霹靂であります。
 その後、政府・民主党は、TPPについて交渉参加は明記しなかったものの、十一月九日には、「関係国との協議を開始する」とした基本方針を閣議決定し、十一月十三日から行われたAPEC首脳会議において、菅首相はこの基本方針に沿って関係国との協議を始める考えを表明しました。
 我々は、経団連等が主張するように我が国の今後の経済発展にとって重要な経済連携を戦略的に進める必要性についてはもとより是認するところであります。
 しかしながら、TPPに関しては、一部の人の思いつきで、プロセスを無視し、極めて慎重さに欠ける取り組みを進めているところに、この問題の大きな本質があるのではないかと私は思っております。従って、この福岡県議会でも一日に慎重な対応を求めて、緊急に意見書を全会一致で採択したわけであります。
 何の準備もせずに貿易自由化に踏み切れば、国内の食料生産に壊滅的打撃を与え、中長期的には、我が国の食料の安定供給を決定的に損ねることは確実であります。
 政府が基本方針を閣議決定した十一月九日に行われた知事定例記者会見の中で、知事が述べられた内容をみれば、知事の考えはだいたいのところはわかりますが、県内の農家にあらぬ誤解や不安、さらには警戒感や危機感を与えてはいけませんので、再度知事のご所見をお聞かせ願います。
 さて、今年も収穫の季節を終えたところでありますが、農家のみなさんは複雑な思いで師走を迎えていることと思います。
 平成二十二年産米の全国的な価格の下落であります。これは、本県議会が十月に採択し、政府に提出した「緊急的な米需給調整対策に関する意見書」にある措置を何一つも実施せず、無為無策の結果であることは明白であります。知事も先日、自ら現地に赴き集落営農組織のリーダーと意見交換をされたと伺っております。
 これまで、我が会派は戸別所得補償制度に対する知事の見解を問うて参りましたが、我々と考えは同じであり、一律助成ではこれまで進めてきた担い手育成の取り組みが進まなくなるのではないかと懸念されていたようです。農家と直接対話をされ、知事はどのように感じられたのかお答え願います。
 次に、本県農業が持続的に発展していくためには、県農業を将来に向けて担っていく若い人たちが、農業を職業として選択していくことが大変重要であると考えるわけです。
 県農業白書によりますと、新規就農者は年間百五十人程度で推移しているようですが、私はもっと多くの新規就農者を確保していかなければ、本県農業の将来はないものと考えます。
 一部であっても農家出身ではない方から、「農業に魅力を感じている。是非やってみたい。」といった話しも耳にします。
 知事は雇用就農者を含めた新規就農者の育成・確保についてどのようにお考えなのかお聞かせ願います。
 最後に、中山間地域等直接支払制度についてであります。
 改めて申すまでもなく、この制度は中山間地域に対し国が光を当てた農政史上初めての取り組みであり、またWTO農業協定上の緑の政策として国際的に通用するものでもあることから、我が会派としてもつねにこの制度を高く評価をしてきたところであります。
 第二期の最終年度であります平成二十一年度末の取り組み実績は、交付額で約八億五千万円、協定農地面積は対象面積の八十六%と高い割合で取り組まれており、中山間地域の農業振興に必要不可欠な制度としてしっかりと定着し、大いにその役割を果たしているものと考えております。
 そこで知事にお伺いします。本県中山間地域の農業振興のため、また耕作放棄地をこれ以上増やさないためにも、中山間地域を対象にした国の直接支払制度に加え、県独自の振興策が必要と考えますが、知事の所見をお聞かせ願います。

(農政問題について)
 1.TPPに対する見解
 TPPに対する見解について


 農業は、多くの国と同じように、重要かつ基本的な産業であり、TPPに関する協議に参加するにあたっては、その前提として、農業をしっかりと保護し、成り立っていくという政策が作られ実行されることが、不可欠であります。

 TPPについては、不透明な部分もありますが、我が国は、世界貿易の中で生きている通商国家であることから、自由貿易を推進しようという考えは必要であります。



  
  

 集落営農組織リーダーとの意見交換について

 県では、これまで法人化された集落営農組織や、個別大規模農家といった永続性のある担い手の育成に努めて参りました。

 しかしながら、規模の大小に関わらず一律に支援する戸別所得補償政策が本年度から実施されており、県がこれまで進めてきた担い手への農作業の集約化など、農業の構造改善を阻害することが懸念されます。
 このため、これまで取り組んできた農業政策がうまくいくのか点検するために、直接、組織リーダーと意見交換を行いました。

 リーダーからは、「政策が変わり、先が見通せない」「法人の経営が安定しないため、後継者が安心して農業に取り組めない」など、むしろ政策がマイナスに働いているといった声が多く聞こえてきました。

 県としましては、この所得補償制度は、担い手にウエイトをかけるべきであり、将来に渡り農業が継続できるような構造となるような制度であるべきと、繰り返し国に提言しているところでありますが、国が現在のような政策を行うのであれば、独自の政策を思い切って実施しなければならないと、強く感じたところです。



 2.若者の就農促進など
 若者の就農促進について


 多くの若者が農業に魅力を感じ、農業を職業として選択するためには、収益性が高く安定した農業経営が可能である、と実感することが重要であります。

 また、国際化の進行等変化している農業情勢の中で、収益性の高い農業経営を行うためには、生産にとどまらず販売戦略や販路開拓など、自ら考え行動する資質と能力が必要であり、今後、このような人材を育成することが重要と考えております。



 

        
 中山間地域等直接支払制度と中山間地域農業 の振興について

 これまで、本制度を活用した農作業の共同化や水路の維持管理など、集落全体での取り組みを推進しているところであり、また、棚田米や葉ワサビなど立地条件を活かした特徴ある農産物の生産拡大支援を行って参りました。

 さらに、本年度からは、隣接する集落間の共同作業が可能となるなど、制度の改善がなされ、県としては、今後とも、この制度を活用して参る考えでありますが、戸別所得補償制度との政策目的の相違が議論された経緯もあることから、今後の国の動きに注視して参ります。

 


 次に、教育問題について伺います。
  我が福岡県では、過去教職員組合が「子どもたちへの教育」を置き去りにして、学力調査や国旗・国歌、勤務評定など国や県の教育施策に悉く反対して、ストライキを繰り返すなど大変不幸な歴史があります。
 こうした教育の不正常化を憂えた心ある関係者たちが正常化に向けて血のにじむような努力をされてきたところであります。麻生知事におかれても四期十六年間に渡る県政運営の中で、様々な教育課題の解決に向けて取り組んでこられたことに対し、改めて敬意を表するものであります。
 とりわけ知事の姿勢が明確に示されたのは、学力向上に対する取組みではないでしょうか。
 平成十九年度から始まった全国学力テストですが、昨年の政権交代で、この学力テストが悉皆調査から抽出調査に変更されると、全国に先駆け悉皆調査の必要性を唱えられ、本県での悉皆調査を実施するための手立てを講じられたところです。
 今年の本県の子どもたちの学力テストの結果を見ますと、まだまだ課題は沢山ありそうですが、学力向上に向けた着実な一定の足取りが確認されることは大変喜ばしいことです。
 そうした麻生県政がいよいよ幕を下ろすことは、大変残念ではありますが、本県教育行政の停滞は一刻も許されません。
 私が会派は、知事が営々と築かれた成果を引き継ぎ、更なる教育課題の解決に努めなければならないと決意を新たにするところです。
 そこで、まず、知事の熱い思いとこうした成果を踏まえて、来年度以降の全国学力テストに臨む本県の考え方について、改めて教育長に決意をお伺いします。
次に残された教育課題の中でとりわけ重要な問題を三点ほど取り上げたいと思います。
まず、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」と教育基本法に定められている、愛国心を育む教育の問題です。
 これからの我が国を担う若者たちに対しては、義務教育段階で正しい愛国心教育をしっかりと行い、彼らが将来国政を預かる立場になった時、決して過去に国歌「君が代」を歌うことを拒否した経歴がないように願うものであります。
そこで教育長にお尋ねします。教育長は教育基本法に定める愛国心の規定をどのように捉え、本県の教育にどう位置付けていこうとしているのか明確な答弁を求めます。
 次に小学校の教科書の内容が来年度から、中学校は再来年度から変わる予定ですが、この新しい教科書に愛国心教育はどのように示され、具体的にどのような指導を行っていくのか、さらに県教委は教職員に対して愛国心教育の必要性をどう指導していくのか具体的な答弁を求めます。また愛国心と並んで重要な課題である道徳教育についても学習指導要領の改訂によりどのように充実させていくのか併せてお伺いします。

 次に教員免許更新制の問題についてであります。
新聞報道によると、今年度中に免許の更新が必要な全国の教員約八万五千人のうち、推計で約五千百人が今年九月時点で更新に必要な講習を受講しておらず、このまま講習を受講しなければ来年三月末で免許が失効する可能性があることが分かったということであります。
 これは大変深刻な問題であります。この制度は、教員に最新の知識技能を習得し、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得るため、平成二十一年四月から実施され始めたばかりであります。教員の資質能力の向上が究極的には子どもたちの教育力向上に繋がること、つまり子どもたちの将来をしっかりと考えて作られた制度であります。
 ところが、この更新制度の廃止をマニフェストでうたった民主党政権が誕生したため、一部の教員が、将来この制度が廃止されるかも知れないからという期待を抱いて意図的に受講してこなかった人が多くいるのではないでしょうか。
 他県ではそのような例をしばしば聞いております。

 そこで、教育長に伺います。本県では教員免許更新のための講習の受講について、今まで学校現場にどのような周知徹底を図ってきたのか。現在本県の講習の未受講者は何人いてその理由は何なのか。さらに今後の受講予定とともに、未受講者に対して今後どのような指導を行っていくのか、納得のいく明確な答弁を求めます。

 また、この際「指導力不足教員」の定義を改めて伺うとともに、法律を無視して免許更新のための受講を行っていない教諭はまさに指導力不足教員に含まれると思われますが、教育長の見解を伺います。
以上、いくつか項目を絞って教育問題を正してきましたが、これ以外にもいじめや暴力行為、不登校問題、幼、小、中、高の連携や特別支援教育など数えきれないほどの課題があります。

 教育長におかれては「教育は国家百年の計である」という言葉を改めて噛みしめ、現政権のふらふらした教育施策に決して惑わされることなく、知事が替わる来年度以降もしっかりとした教育の舵取りを行うことを切に期待して、教育の質問を終わります。

(教育問題について)
1.来年度以降の全国学力テスト
 来年度以降の全国学力テストについて

 学力向上のためには、悉皆による学力調査結果に基づいて児童生徒や各学校の状況を正確に把握し、学校の教育活動や教育委員会の教育施策を具体的に検証・改善することによって、確かな学力をはぐくむ教育指導を着実に推進していくことが重要です。
 このため、引き続き悉皆による学力調査の実施が必要不可欠であると考えております。

 






2.免許状更新講習の未受講問題など
 教育基本法に定める愛国心教育の位置付けについて


 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うことは、国や社会の形成者として必要な資質であり、グローバル化が進む国際社会を生きていく上で大切であることから、こうした内容が新たに教育基本法に規定されたと認識しております。
 本県では、教育の指針である「福岡県の教育施策」の基本目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」ことを掲げており、市町村や学校に対し、その趣旨の徹底を図っているところです。


 小中学校における愛国心教育について

 教育基本法に「我が国を愛する態度を養うこと」が教育の目標として掲げられ、新しい教科書では、国語科で古典、社会科で歴史、音楽科で唱歌、和楽器等の教育内容が拡充されることになっており、今後、これらの教科書を使用して我が国の伝統や文化を継承・発展させるための指導の充実を図って参ります。
 また、現在、全ての教員を対象にした説明会の実施や指導資料の作成等に取り組み、教育基本法の趣旨の徹底と新学習指導要領の確実な実施に努めているところです。

 


 道徳教育の充実について

 新学習指導要領では、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じ、規範意識や公共の精神、自尊感情や思いやりの心などの道徳性を養うことが示されております。
 このため、本県では、全国に先駆けて道徳教育の中核となる教員を養成する研修を行うとともに、現在、先人の生き方等を題材にした「ふくおか郷土資料」を作成しており、来年度から道徳の時間等で活用することとしています。

 

 免許状更新講習受講の学校への周知について

 本県では、教員免許更新制の実施に伴い、県内の全学校に制度の概要等を解説したマニュアルを配布するなど、講習の受講と免許状更新に必要な手続等の周知に努めてきたところです。
 また、県教育委員会の任命に係る職員については、各学校の全職員の修了確認期限を記載した一覧を配布し、講習の受講状況等を管理するよう指導しております。
 特に、本年度末が修了確認期限となる職員については、これまで四回にわたり受講状況等の確認を行い、期限までに確実に講習を受講・修了するよう周知徹底を図ったところです。


 更新講習の未受講者数とその理由について

 県教育委員会の任命に係る職員で本年度末が修了確認期限となる者千八百十四人に対し、全員が免許状を更新できるよう各学校において個別に講習受講の周知徹底を図るなど、様々な指導を積み重ねました結果、平成二十二年十一月末現在、未受講者は五人という全国的にみても極めて少数となっております。
 また、その理由についても、校務多忙であったことや病気休暇を取得したこと等により、やむを得ず受講時期が遅れたものであります。


 更新講習未受講者の今後の受講予定と未受講者に対する指導について

 講習未受講の五人については、いずれも本年十二月から来年二月までの間に開設される講習を受講する予定であり、既に申込手続を終えております。
 これらの職員に対しては、引き続き確実に講習を受講・修了するよう個別に受講状況等の確認を行って参りたい。


 指導力不足教員の定義と講習を受講しない教員に関する見解について

 いわゆる指導力不足教員とは、学習指導や生徒指導等において十分に職責を果たせない教員であります。
 意図的に修了確認期限までに講習を受講・修了しない場合は、指導力不足以前の問題として、法令を遵守し校務を処理すべき教員としての資質を欠くものと考えております。

 さて、これまで数々の業績を残してこられました麻生知事ですが、この代表質問を終わるにあたり、わが会派として最後に強く要望しておきたいことがあります。
 それは、福岡県知事というより全国知事会長として、早急に行動に移し、残された短い任期において何としても、見通しを立てていただきたい重大問題であります。
 近年、外国資本−とりわけ中国、韓国関係法人等による森林をはじめとするわが国土の買収が急速に進み、国家の安全保障に危機が切迫しております。韓国資本による対馬の土地買収、自衛隊施設の隣接地まで買収されていた実態が報道され、この忌々しき問題が広く国民に知られるところとなりました。対馬にとどまらず、沖永良部や徳之島、大島など離島の買収が着々と進行しているとの報道もあります。九州以外では、北海道の倶知安(くっちゃん)町やニセコ町等で広大な水源森林が買収されていたことが判明し、北海道も調査に乗り出していると聞きます。
 地元自治体では公有地として買い戻したり、外国人による土地取得を条例で規制しようとする動きも見られます。九州、北海道に限らず全国各地の水源林などが、真の買収者や買収意図も不明なまま、至る所で秘かに買い占められる野放し状況が続いています。
 国家安全保障の観点から極めて異常で、危機的な事態であります。
 こんな状況になるのも、欧州諸国とは異なりわが国では、外国人や外国資本の土地所有に対する規制がなく、日本人と同様に簡単に土地所有が可能であることに加え、所有権には強い規制も課されていないからであります。
 不動産の取得の事実を公示するものとして不動産の登記がありますが、登記簿からは、登記名義人の国籍等を把握することができません。しかるに、民主党内閣は、この不動産登記の不備を理由として、「外国人等による不動産の取得の実態について調査等を行い、詳細を把握することは困難である」と、まるで他人事のようで、危機感が全く欠如していると云わざるをえません。
 また、国土利用計画法では、一定の土地売買について都道府県知事に事後の届出が義務付けられていますが、届出書は不動産登記の必要書類ではないため、この制度によっても売買の正確な実態が掴めないのが現実です。
 更に、戦前につくられ、現在も生きている法律に「外国人土地法」があります。その第4条では、国防上必要な地区では政令によって外国人や外国法人の土地に関する権利の取得について禁止や制限をすることができるようになっています。しかし、戦後この法律が使われたことは一度もないと聞きます。一方、韓国では、「外国人土地法」に基づき、土地取得に許可や申告が義務付けられています。
 民主党政権の怒りを覚えるような軟弱、弱腰外交によって、中国や韓国等によるわが国領土の買収はこれからも一段と加速化していくものと予想されます。北方領土問題や竹島問題、尖閣諸島での中国漁船の不埒な領海侵犯などを取り上げるまでもありません。わが領土はいかなる手段に訴えても必ず守り抜くという強固な意志と姿勢を世界に向けてはっきりと示しておかなければ、いつの間にか領土が掠め取られている事態も招きかねないのであります。
 外国資本等による国土の買収実態を一刻も早く調査に着手するとともに、不動産登記法や国土利用計画法の抜本的な見直し、外国人土地法の今日的な活用方策などに早急に取り組むべきだと考えます。
 しかるに、菅内閣では、「現在のところ、土地の買収に関し、新たな事前承認制度の導入等の措置を講ずる特段の必要性があるとは考えていない」、「外国人及び外国資本による不動産の取得に制限を設けることについては、関係府省庁の連携を図りつつ安全保障上の必要性や個人の財産権の観点等の諸事情を総合考慮した上での検討が必要」などと、一事が万事、相変わらず一片の危機感も感じられない体たらくです。
 秘かに進行する外国資本等による国土の買収は国家存立に関わる重大かつ緊急の事態です。麻生会長におかれては、私どもと強い危機感を共有いただき、政府が直ちに土地買収の実態調査を開始するよう、さらにその調査結果を踏まえて、関係法律の整備を早急に図るように、全国知事会長として今すぐ立ち上がり、残された任期中、会長としてこの問題に専心いただきたいと考えますが、麻生会長の決意をお尋ねします。

知事答弁資料

(全国知事会長としての知事の政治姿勢について)
1.外国資本等による国土の買収問題
 外国資本等による国土の買収について


 国家の安全保障の観点から外国資本による土地の取得・保有を規制することについては、まさに国の役割の根幹に関わる重要な問題であり国会でも様々な議論がなされ、これを受け、国では外国人土地法に関し調査に着手されたもの と承知しております。

 今後、知事会としても関心を持って国の動きを見守り、県民の生活を守る上で必要と考える提言や行動をとって参りたいと考えております



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