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自民党県議団 代表質問 平成22年9月27日(月)

   9月17日(金)に開会した9月議会は9月27日(月)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 福岡の巷(ちまた)では昨日の二十六日、地元球団ソフトバンクホークスが七年ぶりにリーグ優勝に輝き、沸き返っていますが、今、国民の目は尖閣諸島沖での漁船衝突事件をめぐって、処分保留のまま釈放した中国船長の問題に厳しく注がれています。中国に対するわが国の軟弱外交振りを見事なまでに示した、この民主党、菅政権の体たらくは、いくら検察独自の判断などと、言い逃れようとも今後のわが国の外交政策、いや国の在り方に大きな禍根を残すものであり、心から怒りを覚えるところです。政府に大いなる反省を求める、という会派としての所信を冒頭、まず披瀝して、それではただ今より、当面する福岡県政の重要課題について知事はじめ執行部各位に代表質問を行います。

麻生渡知事 答弁要旨

 まず最初に当面するわが国と本県の景気動向についてただしておきます。
 政府と日銀は九月十五日、突如六年半ぶりに単独で為替介入を実施し、円高対策に乗り出しましたが、それまでの無策ぶりは目に余るものがありました。少し振り返ってみます。
 八月、円相場の急激な上昇であわてふためいた政府は、日銀総裁と緊急に電話で協議されたようであります。
 ところが皮肉にも、いや、無惨にもその後も円は急伸し、菅首相続投が決まった九月十四日には八十二円台を記録し、あたかも逆祝儀のごとく円高水準を記録したところであります。一体全体、一国の首相と中央銀行総裁によってどのような会談が行われれば、自国通貨の水準が両者の思惑と真逆の動きをするものなのでしょうか。八月三十日に公表された基本方針でも真水はわずか九千二百億円に過ぎません。
 しかもその財源は、麻生内閣時代に創設された経済危機対応予備費を真似て計上した予備費の執行残を活用するというもので、あとは今後の動向を踏まえ、必要な場合には補正予算の編成も考えるという、お粗末な内容でありました。三十兆円になんなんとするといわれる需給ギャップを埋めるには、全く役不足であることは明々白々であります。
 そこで、伺います。本県では今回の補正予算で、二百五十億円を超える追加の雇用・景気対策を講じられています。これは、昨年の景気雇用特別委員会審議や今年度の予算特別委員会審議等、あらゆる機会を通じて我々が現下の経済情勢の厳しさを指摘し、これに呼応した十分なる財政投入、すなわち景気対策、雇用対策を強く要請したことに対し、真摯に応えられたものと判断します。従って、このことについては高く評価するところです。また、他県に比べても確かにこの補正予算規模は大きいようです。しかしながら民主党がもたらした、いわば「政権不況」なるものが極めて深刻であります。果たしてこの程度の措置でこの不況が乗り切れるのでしょうか。見解を示し願います。
 さらに公共工事の前倒し発注につづき、下半期について一応の追加措置は確かになされていますが、当然ながら下半期の予算は少なく、さらなる措置が必要であります。併せて見解と方針をお示し下さい。
 麻生知事はこれまでの民主党政権の経済政策、なかんずく、追加経済対策や円高対策、あるいは財源対策もなにも考慮せず、ただ単に政権公約、国民の人気取りのための子ども手当や高速道路の無料化等についてどのように評価・認識をされているのか。特に子ども手当については高く評価された経緯がありますが、今日でもなおそのような認識をされているのか、政権に阿ねることなく率直なご見解をお伺いいたします。
 更には、我が国経済の現状を踏まえた上で、今、最も優先して政府が取り組むべき課題は何なのか、また、その国家課題に関連し、県としてはどのような取組ないし対応方針をお持ちか、併せてお答えください。
 また、当面、県政のなかで最も気がかりなことは県税収入の見通しであります。
 過去三年間、収入が見込みを大幅に下回り減額補正を余儀なくされてきました。いわば「三球三振」の状況で、見通しの甘さを指摘されてきました。
 四千五百十八億円の県税収入を見込んでいる今年度はいかがですか、その見通しを明らかにして下さい。
 

 (知事の政治姿勢について)
 1.本県の景気動向・税収見通しなど

 補正予算案及び下半期の公共事業について


 本県経済は、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況が続いております。このため、若者の就職支援、県民の安全向上のための公共事業の実施など、県としてできる限りの雇用・景気対策を実施するとの考え方のもと、予算を編成いたしました。
  これにより下半期の公共事業については、ほぼ前年度並みの事業費を確保したところであります。
 国においては、円高対策に加え、本県をはじめとする地方公共団体の努力に呼応する形で、早急に雇用・景気対策を講じるべきであります。


 政権公約に対する評価について

 現在の長期的な日本の課題は急速に進む少子化・人口の減少であり、これに対する抜本的な対策を講じなければ日本の展望は開けないと考えております。
 少子化対策としての子ども手当は公約どおり実施すべきであると思いますが、残念ながら腰砕けになりそうな状況で誠に遺憾であります。
 また、高速道路の無料化については交通体系全体の中で考えるべきであり、高速道路の維持管理や新たな道路整備、債務償還の財源を確保する必要があることから、その政策効果を見極め、慎重に検討すべきであると思います。



 民主党政権の経済政策に対する評価について

 日本経済の最大の課題は長期にわたるデフレ経済からの脱却であります。
 このためには、第一には三十兆円弱とも計算されるデフレギャップを当面政策的に埋めるための積極的な景気対策が不可欠であります。
 第二には成長戦略を果敢に実行することが必要です。成長の基本は企業が新しい魅力的な製品やサービスを創造し、これによって新たな市場を創出することであります。このため、企業の技術革新、積極的な投資を促す思い切った政策を実行することが不可欠であります。
 このような観点から見た場合には、これらの政策については民主党政権下においては、まだ本格的に着手されていない状況であります。
 加えて、現在の円高が定着した場合にはデフレ経済が一層深刻化し、工場の海外移転や雇用の流出をもたらすことになります。従って断固たる円高対策を実施する必要があると考えています。


 経済状況を踏まえた国の課題と県の取組について

 政府が最優先に取り組むべき課題は、先ほど申し上げましたように、デフレ経済からの脱却と成長戦略の実行であります。
 政府もようやく補正予算を組んで経済対策を実施する動きが出てきたところですが、県としては、独自でも、できる限りの経済対策を打つ必要があるという考えから、今議会に積極的な補正予算を提案しているところであります。
 今後とも、金融、技術革新など中小企業への総合的支援や自動車、バイオ、水素、半導体等の先端成長産業の育成を図るとともに、収益性の高い農林水産業の振興に全力を挙げてまいります。
 加えて、アジアの活力を取り込む「福岡・アジア国際戦略特区」構想を国に提案し、強力に進めてまいる考えであります。

 今年度の税収見通しについて

 八月末の実績では、所得の減少により個人県民税がやや減収となっていますが、法人関係税が堅調に推移しておりますので、県税全体としては、当初予算で見込んだ水準にあると考えております。
 今後の見通しについては、円高の影響など不確定要素もあることから、主要企業の十一月の中間申告の状況などを注意深く見極めていく必要があると考えております。

 さて次に、知事に対し全国自治体の代表として民主党政権に対決的な強いリーダーシップを発揮いただきたいことについて、ひと言申し添えます。
 日本国家が今置かれている厳しい諸情勢もまったく顧みない、まさに国民不在の単なる「権力闘争」ともいうべき、民主党代表選挙が、さる九月十四日に行われ、この結果、菅内閣が継続することになりました。
 代表選の課程で、菅内閣が政治主導を体現し得ているのか、主要な論争テーマになりました。その「政治主導」を、官僚の発想を超えた視点から多様な政治課題を統合する意思と能力と定義するなら、政治的スローガンとしての地域主権ひとつとっても、菅政権の一体どこに政治主導があるというのでしょうか。まったく空々しくなってきます。
 実態は、官僚主導、それも財務官僚に毒された財務官僚洗脳内閣以外の何ものでもありません。またこの際、再び申しておきますが、地域主権などというものは、主権国家のわが国では政治的スローガンではあり得ても、現実にはあり得ませんので、知事にも誤解なきよう申しあげておきます。
 そこで知事は、代表選に際して発表された菅総理の政見をご覧になられたでしょうか。
 そこでは、「地域主権の設計図を国民参加で描く」と地方分権に賛同する者に期待を抱かせる見出しを掲げながら、その肝心要の権限・財源の移譲に関しては、「新設する「地域主権推進会議」で結論を出す」を含む権限の移譲、義務付け・枠付けの緩和、地方消費税の拡充などについて、菅内閣にはほとんど期待できないということです。
 その有力な証拠として、厚生労働省が来年度予算概算要求で本年限りの暫定措置とされていた子ども手当の地方負担を盛り込んだことがあります。
 これにはさすがに抗議声明を出されたようですが、全国知事会長である麻生知事には、政府に対し相当厳しい対決姿勢で臨まなければ、地方分権の確たる成果を勝ち得ないと予想されます。
 今後、地方分権の推進に向け、どのようにリーダーシップを発揮して全国自治体を束ねるつもりなのか、菅政権に対してどのような政治姿勢、基本方針で対応するのか、強い決意と併せてお尋ねします。

 地方分権の推進のための基本方針等について

 国会で継続審議となった「国と地方の協議の場に関する法律案」など実効ある分権改革を推進するために不可欠な関連三法案を、来る臨時国会で成立させることが極めて重要であります。

 また、地方税財源の強化、国の出先機関の原則廃止や義務付け・枠付けの見直しなども着実に進めていかなければなりません。

 このため、地方六団体が一致結束し、菅政権にこれらの実現を強く求めるとともに、いわゆる「ねじれ国会」の下、自由民主党、公明党など各政党にも積極的に働きかけ、理解を求めてまいる考えであります。 



  

 次に、知事の県政運営における基本姿勢についてお尋ねします。
 麻生県政も四期十六年が経過しようとしております。その間、知事は、元通産官僚としての豊富な学識と経験を遺憾なく発揮され、県勢発展に尽力されるばかりか、三期目からは全国知事会長の要職をつとめられ、我々が求めているところの地方分権の推進に取り組んでこられました。
 これまでの実績については、それ なりに高く評価されるべきでありま しょう。しかし、対外的に華々しい
成果を上げられてきただけに、この ところ相次いだ県庁職員の不祥事の 続発は大変残念であり、正直なとこ ろ戸惑いを覚えるところです。
 ちなみに平成十二年度以降、すなわち、麻生県政二期目初頭から今日に至るまでのこの十一年間に一般職員に対し何と四十三件の懲戒処分がなされております。
 免職処分が実に十件、次に重い停職処分が十八件、減給処分九件などとなっています。免職と停職で半分以上を占めています。
 最近でも、昨年度、土木関係職員の過去の収賄の発覚や、県町村会事件に関連しての職員の倫理条例違反などにより、五件の懲戒処分がなされています。
 県組織の奥底に潜む行政のマンネリズムが十年以上の長きにたって深く静かに進行拡大し、職員の心を蝕んできたのではないか、そんな感慨を抱かざるを得ない実態であります。
 もちろん県町村会事件以後、知事も県庁組織の立て直しに向け、その決意と対策を明らかにはされました。
 しかし、本年度に入ってからも、金銭不正や飲酒運転などにより、すでに三件の懲戒処分がなされ、いずれも免職や停職という重い処分が続いています。このような事態を目の当たりにしますと、県庁組織と県政への不信感も増幅し、暗澹たる気分にさせられます。
 このように不祥事の連鎖を直視して、県庁組織のガバナンスに最終責任を負う麻生知事は、この状況についてどのような基本認識を持っておられるのか、その原因や責任の所在を含めお尋ねします。
 次に麻生知事は、知事就任以来十六年間にわたる県政担当のなかで、実のその半分以上に当たる通算九年六ヶ月間にわたって給料減額の処分を自らに課されてきたと聞いております。この中には当然、職員の不祥事の責任を既にとって、給料の減額を行ったものが含まれているものと思われますが、改めて給料減額の背景、その減額理由、減額内容の全てについてこの際お示し願います。
 さらに不祥事に関連してこの際、公務員に対するいわば「失業保険」ともいうべきものについてただしておきます。
 公務員は身分が安定していることなどから雇用保険の適用除外となっています。従って雇用保険料も負担していません。これは多くの国民が知るところであります。
 しかしながら、各種の事情から退職金が少ない一部に対しては、雇用保険で支給される民間の失業保険給付相当額との差額を「失業者の退職手当」として支給する制度があると聞いております。そして、あろうことかこの「失業者の退職手当」は通常、退職金も支給されない懲戒免職者に対しても支給されるとのことのようです。
 雇用保険料を負担していない公務員に対し、失業給付相当の手当が支給される、ましてや懲戒処分となりペナルティとして退職手当が不支給となった公務員にまで、失業給付相当との名目で退職手当が支給されるのは、恐らく公務員優遇であり、ごく普通の県民感情からしてもまったく納得がいきません。
 また、知事は、これまでも不祥事が発生する都度、再発防止対策を明らかにされ、関係者に対する厳正な処分はもとより、綱紀粛正の徹底を強調され、職員倫理条例の徹底、倫理研修の強化、会計制度や入札制度の改善などに取り組んでこられたことは高く評価しています。
 とりわけ土木については、かつて、組織・人事のあり方まで踏み込んだ改革方針を明らかにされ、実行された経緯もあります。
 問題は、その成果を適正に評価されてきたかどうかにあります。適正な評価がなければ、再発防止対策としての効果を上げることなどほとんど期待できないと考えます。
 次に麻生知事は、三期目就任の当初、職員研修体制の抜本的な見直しに着手される方針を明らかにされ、政策能力の向上と並んで職員倫理の確立を大きな改革の柱とされていたはずであります。不祥事の根絶は究極的には職員の意識改革にかかっているかでありますが、その方針がどのような変遷を経て、今日の政策につながっているのか、改めてお尋ねします。
 また、職員の意識改革の必要性については、平成一五年三月議会の総務常任委員会に「私たちの自己改革のための行動計画―意識改革アクションプラン―(案)」と題したユニークな報告書が提出されたと聞いています。
 当時の理事者側の報告によれば、このアクションプランは、職員中心のワーキングチームにより手作りで検討されてきたようで、職員の意識改革を進めるため、○対話と議論、○自前の言葉で考え、行動していく、○新しい組織風土の確立、など斬新な視点に基づいて、職員が主体的に意識改革運動を展開していく方向性が示された画期的な報告書であったようです。
 ところが正式に常任委員会に報告されていたにもかかわらず、このプランに基づく意識改革運動を実行には移されなかったようです。 知事のその真意と併せ、率直な感慨をお尋ねします。
 職員の不祥事防止対策の王道は、職員が自らの公的使命を自覚し、充実感を持って仕事に打ち込める職場環境をつくることであります。公務員になったからには自分は、世のため・人のため役立っている、もっと勉強してもっとお役に立てるようにしよう、そんな思いに日々掻き立てられていれば、通常、不祥事は起こりえないでしょう。
 その意味で、こうした職員をひとりでも多く育てることのできる環境をどのようにつくっていくか、県庁全ての職員を統率する知事の責任は誠に大きいのであります。
 そのためには、知事をはじめ上司が職員の意見をよく聞き、議論し、そして、叱咤するだけでなく時には些細な成果や長所でも、あえてこれを取り上げ褒めてやる心配りが、リーダーには不可欠な資質であります。
 福岡県庁での人間関係が、空虚でそらぞらしく、且つ、とげとげしい職場環境に陥っているとしたら、職員の士気は弛緩し、職場の雰囲気は益々沈滞していくのであります。
 いわば不祥事が続発する真の原因も、職場の風土自体が生み出すことになります。
 この点について知事はどのような見解をお持ちかお示し願います。

 2.職員の不祥事と職員の意識改革など

 職員の不祥事について


 不祥事の発生は、県民の皆様の県政に対する信頼を損うもので、非常に遺憾であります。
 個々の不祥事の態様は様々ですが、職員の倫理意識の徹底、職場の適正な業務運営のためのチェック体制、職場におけるコミュニケーションの不足等が原因と考えられます。こうした原因を踏まえた再発防止策を繰返し実施していく必要があり、現在、全庁挙げて取組んでおります。






 知事の給料減額について

 本県の厳しい財政事情を踏まえ、十一年八月から十九年三月まで、給料月額の五ないし八パーセント及び期末手当の二十パーセントを減額しています。
 また、職員の不祥事の責任として、九年四月から十年七月まで給料月額の五十パーセントを、十三年八月から十月まで給料月額の十パーセントを、二十二年四月から九月まで給料月額の五十パーセントをそれぞれ減額しています。






 職員の意識改革のための研修について

 これまで職員倫理の確立のための研修の充実強化に取組んでまいりました。
  具体的には、民間の外部講師の活用、ケース スタディの技法導入による実践的な研修の実施など、研修内容や技法の見直しに加え、今年度から、職員倫理規程の一層の徹底のための幹部職員研修、各所属及び研修所研修の拡充などを行い、さらなる職員の倫理意識の確立に努めております。 








 「意識改革アクションプラン」について

 職員がそれぞれの仕事に取り組むに当たっての意識の改革については、「意識改革アクションプラン」及び現行の行革大綱に基づき、優れた職員提案に対する予算措置や職員研修の見直しのほか、全職場参加の職場改善運動や能力・実績に基づく人事評価制度を導入するなどの取組を実施しております。
              






 不祥事の発生と職場の環境について

 職員一人ひとりが意欲と自覚を持って業務に取組めるような職場づくりが、不祥事防止のためには必要であると考えております。
 このため、これまで県庁で培われた、業務に臨む心構えや重要な知識、ノウハウ、物事の判断の仕方などを、職場の中で着実に継承し定着させる、いわゆる暗黙知が重要であると考え、現在、職場討議等を通じ全庁的な取組を進めております。今後とも、機会ある毎に各職場での取組みを促してまいります。

 次に、高齢者医療制度問題についてお聞きします。
 民主政権により、現行の後期高齢者医療制度を平成二十四年度末までに廃止することとされ現在、新しい制度の骨格案が取りまとめられています。
 ひと言で申しあげるならば、議論があまりにも拙速であります。国民生活にとって極めて重要なこの高齢者医療問題を後期高齢者医療制度は廃止する、と政権公約で掲げたメンツだけで取り組み、挙げ句の果てには、その中身をよく検討してみますと、これならば現行制度の改善の方が得策である、とマスコミや国民の多くから指摘される始末であります。
 いくつか例を挙げてみます。例えば財源の負担割合の問題。原則として同じ都道府県で、同じ所得であれば同じ保険料という保険料負担の問題。現役並の所得者を除けば、誰もが同じ一割の窓口負担の問題。そして都道府県単位でつくられるひとつの運営主体によって行われる保険運営問題。
 これらはすべて制度の根幹にかかわることであります。従いまして、この根幹部分がなんら変更されないのであれば、廃止や新制度の創設などと大騒ぎすることはないのであります。これは我々だけの意見ではありません。多くの心ある国民がそのように考えていることであります。
 メンツだけで廃止を唱えたり、新制度と称して空虚なものをつくりあげても、所詮私たちが抱えている高齢者医療制度の多くの難題解決にはならないことは言うまでもないことです。
 こうした事態を見越して、福岡県議会では昨年の九月県議会で現行制度の堅持と制度安定化のための改善策、とりわけ国が公費負担の大幅拡大に取り組むことを求めた意見書を採択していますが、まさに卓見だと思います。
 そこで、この後期高齢者医療制度をめぐる現状についてどのように認識されているのか、そして、ただ今私が指摘いたしました目先を変えるだけの制度変更ではなく、現行制度の改善、とりわけ公費投入を大幅に増やし、高齢者の負担を少なくすることによって、国民生活への定着を図っていく方が極めて現実的であり、いわば得策だと思うわけですが、知事の見解をお示し願います。

(高齢者医療制度について)

 後期高齢者医療制度をめぐる現状について


 新たな制度として検討されている案では、後期高齢者医療制度を廃止し、高齢者は国民健康保険と被用者保険にそれぞれ移行するとされています。
 しかし、肝心な財源の問題をはじめとして、高齢者と現役世代の負担の問題や都道府県単位の運営主体をどこが担うかなど、多くの重要な課題について深い検討に至っていない状況であると認識しております。
 加えて、年齢区分について、六十五歳以上とする案を中心に考えておりましたが、最近、国では七十五歳以上とする方向に傾いているとも伝えられております。
 このような点を見極めてまいります。


 公費投入による制度の定着について

 制度を将来に向かって持続可能なものとするためには、今後も増加が見込まれる高齢者の医療費を安定的に支える財源を確保し、必要な公費を投入していくことが最大の課題であると考えます。
 このため、医療費等の将来推計に基づく財政試算を行ったうえで、制度設計者である国の責任において恒久的な財源を確保するよう求めてまいります。
 


 次に、高齢者に関連して不可解な所在不明問題にひとことただしておきます。
 先日、東京都足立区で起こった都内最高齢の、百十一歳とされた男性のミイラ化した死体が発見された事件は、誠に衝撃的でありました。家族が年金の不正受給を目的に親の死を隠していたからというだけではありません。この事件をきっかけに、所在不明高齢者が全国各地に存在することが明らかになったからであります。
一体何故、このような事態になったのでしょうか。この問題を巡っては、日本人のモラルの低下や貧困・格差社会の拡大あるいは、行政の怠慢や、民生委員の高齢化など、その原因を巡っては百花繚乱の様相を呈したところです。また、何事につけ、わが国と張り合いたい隣国からは世界一とされる、わが国の平均寿命にけちを付けられる笑いぐさにまでなったところです。
 すべての案件が年金不正受給という犯罪によるものというわけではありませんし、形式的な問題として、届出主義を原則とする戸籍・住民基本台帳の制度的な限界が根底にあることは事実であります。
 しかしながら、この問題の本質は、世界有数の長寿国であり、急速な高齢化の最先端を行く我が国の今日的社会問題であるということではないでしょうか。
 一人暮らし高齢者の増加、家族関係の希薄化、都市化による匿名性やプライバシーを重視するライフスタイルの定着、その裏返しとしての地域コミュニティの崩壊、旅先など非居住地で身元不明のまま亡くなられる行旅(こうりょ)死亡人の存在、この中にはホームレスなども含まれているものと考えられますが、このようにさまざまな社会的要因が考えられるところであります。
 これからますます高齢化は進みます。若者の非婚化・晩婚化、都市圏への人口の更なる集中など、条件は悪くなる一方であります。高齢者の社会的孤立は更に進むことになるのではないでしょうか。
 ここは年金の不正受給や戸籍制度の不備などを原因にとどめることなく、人類が抱える二十一世紀的社会問題として、世界に先駆けて日本が取り組んでいくべき課題ではないでしょうか。
 行政任せにするのではなく、ボランティアやNPOなどと一体となって、地域コミュニティの再構築による高齢者を地域で支え合う社会づくりと、高齢者の居場所づくりに積極的に取り組んでいくべきであると考える次第であります。
 そこで今回の事件に鑑み、このような高齢者の不明問題について本県での実情と私がただ今指摘しました超高齢社会を迎えたわが国での、いわば取り組みについて知事の忌憚のない考えを披露下さい。

(高齢者不明問題について)

 高齢者の所在不明問題に係る本県の実情について

 所在不明高齢者については、転居や失踪、死亡などの際、本人や家族から届出がなされなかったこと、身元が確認できない死亡者が存在すること、更には、市町村における部局間での所在情報の連絡が必ずしも十分でなかったことなどの要因によるものと考えております。
  



 





 超高齢社会を迎えたわが国での取組について

 高齢者の皆さんが、地域で孤立せず、安心して生活するためには、身近な地域の皆さんによる支え合い活動が不可欠であります。
 このため、本県では、個人情報の取扱いに関するガイドラインを作成するなど、民生委員や老人クラブなどの皆さんによる「ひとり暮らし高齢者等見守りネットワーク協議会」の設置を支援してきたところです。
 今後、我が国の高齢化が一層進行するなかにおいては、住民の連帯意識、信頼関係を深め、地域で共に支え合う共助社会づくりを進めていくことが重要であると考えております。
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 次に、農林水産問題についてであります。
 私の地元の朝倉市は、筑後川の流域に水田が大きく広がり、心安らぐ田園風景であります。こうした農業や農村がはぐくんできた景観は、貴重な財産として後世に残していかなければならないと考えています。
 このような中、今年度実施される戸別所得補償モデル対策の加入申請が六月末で終了したようですが、地元の農家からは、「せっかく集落営農組織の法人化に向けた機運が高まってきたのにこの戸別所得補償制度は、まさに水を差すようなもの。」「農地や農作業の担い手への集約化が進まなくなるのではないか。」といった疑問の声が聞こえて参ります。
 県では担い手などを対象に、戸別所得補償制度の影響について調査を行ったと聞きました。
 そこで知事に伺います。集落営農組織の法人化の影響などを含め、この調査の結果について、知事の率直な意見をお聞かせ下さい。
 来年度からは、米に加え、麦や大豆などの畑作物も対象に、販売価格と生産費の差額を交付する農業者戸別所得補償制度が、本格実施される訳です。このために約八千億円もの予算要求となっているようです。
 農業農村整備事業や農産物の生産・出荷に必要な集出荷貯蔵施設などの、いわゆるインフラ整備をないがしろにしてまで、ばらまきをさらに拡大し本格実施されるこの農業者戸別所得補償制度について、改めて、知事の見解を、示し願います。
 ただ単に選挙対策のために実施されるような制度は、政策とは到底言えるものではありません。
 このような民主党政権の農業ばらまき政策は、大規模化したり、組織化して少しでも生産コストを下げる努力をしてきた、これまでの農家の取り組みを阻害するものであると考えます。知事の考えをお聞かせ下さい。
 次に、「水田農業担い手機械導入支援事業」についてお伺いします。
 この事業は、生産コストの低減に取り組む担い手育成と集落営農組織の法人化を推進するものであり、トラクターやコンバイン等の高性能農業用機械の導入を支援するものであります。この事業は今年度が最終年度のようで、これまでにこの事業を通じて、法人化を目指す集落営農組織や、大規模農家など経営感覚に優れ意欲ある担い手の育成に大きく寄与してきたと、高く評価されてきた事業だけに勿論、存続が望まれることは言うまでもないところです。今後の方針について知事の見解ををお聞かせ下さい。
 次に、農業農村整備事業についてであります。本県のほ場整備率は、平成二十一年度までで八十.七%まで進んでいると聞いておりますが、まだまだ道半ばであり、今後とも着実に実施していく必要があると考えております。
 このような中、民主党政権の愚策である戸別所得補償制度のあおりを受け、平成二十二年度の国の農業、農村整備事業費は対前年比で約三十七%、新たに措置された農山漁村地域整備交付金を含めても、農林水産関係の公共事業費は対前年比約六十六%と大幅に減額されています。本県においても、平成二十二年度の農業農村整備事業関係の公共予算は、約百十五億円で対前年比約七十七%の減額となっており、ばらまき予算の悪影響が及んでいると言わざるを得ません。
 このような水準が毎年続くようなことになれば、農業、農村の発展に甚大なる支障が生じるのではないかと心配でなりません。
 例えば、ため池を例にあげて申します。
 農業上の役割だけでなく洪水調整機能を持つとされるため池ですが、本県には九州では一番多く約五千カ所あり、その多くが古くに造られているもので、老朽化が進んでいると聞いております。昨年七月の「中国・九州北部豪雨」において、直方市のため池の堤防が崩落してしまいました。
 直方市は三百五十世帯七百人に避難指示を出すなどの大騒ぎになりました。幸いに、消防署員による懸命なポンプでの水のくみ出し作業により、何とかその場は事なきを得た模様であります。
 今年も全国各地で豪雨が観測されており、老朽化したため池の改修は防災上からも大きな課題となっているようです。
 そこで知事に伺います。農業農村整備事業の必要性について、どのようにお考えなのか認識をお示し下さい。
 次に有明海特別措置法の特例措置の延長についてであります。
 有明海は、広大な干潟を有し、有明海特有の多種多様な魚介類が数多く生息する生産性の高い海であります。この有明海は約三千人の漁業者の生活を支えており、それに関連した産業も多く、本県南部地域の基幹産業の一つとなるなど、有明海はまさに「宝の海」であります。
 しかしながら、平成十二年度にはこれまで類を見ない不漁不作となり、漁業者からは有明海再生に向けた取り組みの要望が高まり、自民党議員による議員立法でこの法律は可決、成立し、平成十四年十一月に施行されております。有明海特別措置法では、第八条の規定に基づき、覆砂事業に要する経費に対し、国の補助率の嵩上げの特例措置が講じられております。法律が施行されて以降、本県では平成二十二年度まで延べ約七百七十ヘクタールの覆砂事業が実施され、非常に高い効果が出ていると聞いております。
 このため、覆砂事業の継続実施は当然必要であると考えておりますが、国の補助率の嵩上げの特例措置が適用される期間が平成二十三年度までとされていることから、平成二十四年度以降もこの特例措置が適用できるよう、法律を改正し、期限を延長する必要があると考えますが、知事のお考えをお示し願います。
 最後に、口蹄疫対策についてであります。
 さる四月二十日に宮崎県で発生した家畜伝染病である口蹄疫については、関係者の懸命な作業により、七月二十七日には全ての区域において家畜の移動・搬出制限が解除され、八月二十七日には発生農場内に残った家畜排せつ物の無害化処理が終了し、新たな発生の恐れがなくなったとして、終息宣言がなされました。
 当時の農林水産大臣のあきれた認識の甘さもあってか初動が遅れ、結果として約二十九万頭の家畜が殺処分されるなど、四ヶ月余りもの長く苦しい期間がようやく終わり、後は一日も早い復興を願うばかりであります。
 幸い、本県をはじめ、近隣の県へ被害は拡大しなかった訳ですが、現在国の口蹄疫疫学調査チームが感染経路の解明をはじめ、防疫対応などの調査・検証を行っており、埋却地の確保や迅速な診断体制等の整備が提言されるなど、今後、また何時何処で発生するかわからないのがこの病気の特徴であります。
 私はこの際、今度の宮崎県での出来事を教訓としてしっかり反省し、今後の口蹄疫対策に取り組むべきですが、まずお答え願います。
 さらに併せて狂犬病を含めた動物由来感染症対策を確立し、今後の取組に生かしていかなければならないと考えます。
 今後県として、どのように対応していくつもりなのかお答え下さい。

(農林水産問題について)

 戸別所得補償制度の実施による影響について


 これまで水田農業の担い手として育成を図ってきた個別大規模農家、法人や任意の集落営農組織全てが戸別所得補償制度に加入しており、
 現時点では貸した農地を戻して欲しいとの声や、組織からの離脱はみられておりません。
 しかしながら、法人化に至っていない三百七十組織のうち、三分の二に当たる二百四十七では、法人化の意欲を喪失しており、特に組織の中心的な役割を担う専業農家がいない百三十七 では、組織そのものの存続が懸念される状況になっております。





 戸別所得補償制度の評価について

 今後更に高齢化が進行し、農作業を行う担い手が減少していくことを考えますと、法人化された集落営農組織や大規模農家など永続性のある担い手を育成していくことが必要であり、これまで担い手への農作業の集約化を進めて参りました。
 今回の調査では、法人化意欲の喪失や、中心的な役割を担う専業農家がいない組織では存続が懸念されるといった結果となっていることから、法人化要件の付与や一定規模以上の農家への加算など、農作業の集約化が促進される仕組みが不可欠であると考えます。


 戸別所得補償制度が農家の経営改善努力に及ぼす影響について

 水田農業の持続的発展のためには、法人化された集落営農組織など永続性ある担い手が中心となる生産構造に誘導し、これら担い手の経営を安定させることが不可欠であります。
 本制度では、規模の大小に関わらず全ての農家を対象として一律に支援することとされていることから、農作業の集約化が進まず、農家の経営規模拡大や組織化による生産コスト低減の取り組みが停滞することが懸念されます。
  




 水田農業担い手機械導入支援事業について

 この事業は、農作業を集約化するために、法人化を目指す集落営農組織や大規模農家を対象に実施しているものであり、法人化した集落営農組織が三年間で六十四から八十八となるなど、一定の成果を上げております。
 今回の戸別所得補償制度の導入により、集落営農組織が法人化意欲を喪失し、存続が懸念される組織もみられていることから、本事業の継続の必要性は増していると考えております。




 農業農村整備事業の必要性について

 農業農村整備事業は、ほ場や水路の整備により農業生産性の向上を図るとともに、農道やため池の改修などを実施することにより良好な農村生活環境の保全に寄与しております。
 事業の推進は、国の予算に大きく依存しており、今後とも計画的な整備を行っていくためには、国において必要な予算を確保すべきと考えております。      



 有明海特別措置法の特例措置の延長について

 本県は、この法律に基づき覆砂事業を積極的に実施してまいりました。これにより、アサリ等の資源の回復がみられるとともに、ノリ養殖の安定化につながっております。
 覆砂事業は、漁場の環境改善及び水産資源の回復に、有効な手段と考えております。このため、関係県と協力して特例措置の延長を国に求めてまいります。




 口蹄疫対策について

 宮崎県での発生を受け、県では、知事命令による農場の強制的な消毒や、車両消毒ポイントを設置するなどの防疫措置を講じた結果、本県への侵入は防止できたところであります。
 口蹄疫は、病原体を侵入させない、万が一発生した場合でも拡大させないことが、極めて重要であり、引き続き、農場における消毒徹底などの指導を強化して参ります。
 また、現在、国が行っている疫学調査や検証委員会の検討結果も踏まえ、県独自のマニュアル整備や定期的な防疫演習の実施など、初動対応がすみやかにできるよう努めて参ります。


 

 狂犬病を含めた動物由来感染症対策について

 県内で発生した場合の医師や獣医師による届出を徹底し、初動対応が迅速かつ確実に行われるよう準備して参ります。
  狂犬病については、登録率や予防注射接種率の向上に努めるとともに、発生時に速やかな情報伝達等を行うためのネットワーク構築について、現在、獣医師会との協議を進めております。




 次に教育問題についてお聞きします。まず全国学力テストについてお尋ねします。
 先に、文部科学省はテストの結果を公表したところですが、その結果の公表の仕方が、まず非常に不可解です。
 過去三回の調査では、国語何点、算数何点と国民にわかりやすく平均点を明確に表示していたのに、今回は抽出調査のため、「平均正答率の九十五%の信頼区間」という表記で、訳の分からない数値の公表になっています。
 テストを実施する以上、明確に点数を示すのはあたりまえではないでしょうか。
 今回の抽出による公表の仕方は、まさに点数による競争を嫌う日教組の意向が見え隠れしています。教育長は今回のこうした抽出による公表の仕方をどのように考えているのか。まずお伺いします。
 本県では地域ごとの差が非常に大きいことが過去の悉皆調査で明確になっています。
 今回の抽出方式では全くそうした状況は分かりません。幸いに我が会派の強い要望により、本県においては悉皆調査が予算化されていますが、その予算を採択するにあたって本県議会で反対した会派もあったようですが、良識ある本県の市町村は全てテスト参加しました。
 テスト結果をすべての学校、すべての児童生徒のきめ細かな指導につなげる機会を保障するのは国として当然の責務です。そのためには悉皆調査が最良の方法と考えます。
 県は今後他県と協力して、再び悉皆調査に戻すことをしっかりと要望すべきだと考えますが、悉皆調査を実施しなかったことの問題点も含めて教育長の考えを伺います。
次に今回の抽出の結果ですが、ある雑誌に都道府県ごとの順位が昨年との比較で掲載されていましたが、それによると小学校は全体的に良い結果で国語Aなどは昨年三十二位から二十二位へと躍進する一方、中学校はすべてが下位に低迷しています。
 今回、小学校の成績が良かったのは、自民党政権で悉皆調査を実施し本県の学力課題が明らかになったため、学力向上に本腰を入れ、そのため関係者が「鉄は熱いうちに打て」のたとえどおり、必至になって小学校低学年から学習指導に取り組んだためともみられています。県教委は本県の今回の小学校、中学校の結果をどのように捉え、今後どのような指導に結びつけていくつもりなのかお伺いします。
 ところで、つい先頃悉皆調査の結果が公表されましたが、国と異なり平均点が明確に示されたところです。ところが、国は今回の抽出調査について九十五パーセントの信頼があると断言していましたが、本県悉皆調査の結果では半分の教科で外れており、抽出調査の精度がいかに低いかが明らかになりました。
 悉皆調査を実施していたときの費用約五十七億円を民主党は無駄といっていましたが、意味のない公表をするなどすべてが中途半端で全く今後の指導に生かせないのに約三十三億円もかけた今回の抽出調査の方が遙かに無駄ではないでしょうか。この際、県教委の来年度以降の学力調査の考え方について教育長の明確な答弁を求めます。
 次に、読書運動の推進についてお伺いします。先日気になる新聞記事がありました。
 それは九州各県で学校現場で読書活動の推進役を果たす司書教諭の配置が非常に低いということです。
 この司書教諭は、法律上十二学級以上の学校では配置が義務づけられているため、どの県でもほぼ百%配置されているようですが、問題は十一学級以下の学校の配置率が非常に低く、本県でも平成二十一年度で小学校三百一校中五十一校、中学校では百六十二校中三十二校とともに二割以下の配置率しかありません。
 どの学校でも子どもがいる以上、すべての学校に司書教諭を配置し、学校教育のなかでしっかりと読書活動に取り組んでいくべきだと考えます。これは、わが会派がこれまで先輩議員の努力によって進められてきた読書運動のさらなる推進にも深く関わりを持つことでもあります。
 そこで教育長は司書教諭の役割をどのように考えているのか。さらに十一学級以下の学校で、なぜ低い配置率にとどまっているのか、その理由と今後の配置についてどのように考えているのか明確な答弁を求めます。
ところで、私もつい最近になって知ったことですが、ことしは「国民読書年」なるものだそうです。
 これは平成二十年六月に、衆参両議院で採択された決議に基づき定められたようですが、広がりと、盛り上がりが見られないのがまったく残念でなりません。今、読書運動先進県として注目されるようになった我が福岡県こそ、こうした機会や、時期を大いに活用して、さらに読書活動を推進、拡大していくべきであります。
 そこで、国民読書年に当たり本県ではどのような取組みを行ってきたのか、あるいはこれから実施していくのか。さらにその取組みの効果を私たち県民にどのように反映させようとしているのか、教育長の答弁を求めます。
 こうした国民読書年などを利用して、福岡県が「全国的に誇れる読書活動推進県」と胸を張って言えるよう、県としての図書館の機能役割の充実をさらに図っていくべきだと考えますが、教育長の答弁を求めます。


    教育長答弁資料

(教育問題について)

 全国学力テストの抽出による公表について


 文部科学省は平均正答率の公表に当たり、抽出調査のため誤差を含めた数値の幅で示すことが適当であると説明しています。しかし、過去との比較が困難になり調査の継続性が途切れた資料となっているとともに、教育関係者はもとより県民から見て分かりにくくなったのではないかという印象を持っております。


  


 悉皆調査に戻すための要望等について

 抽出調査では、地域別の結果等が示されないため、学力状況の詳細な分析や教育施策の検証が困難であると考えております。
 このため、本県ではこれまでも国に対し悉皆調査の復活を要望するとともに、全国都道府県教育長協議会等を通じて、抽出調査を実施する場合は抽出外の全ての学校への問題配布や情報提供などについて要請してきており、今後も引き続き、国に働きかけを行って参ります。



  

 今回のテスト結果と今後の指導について

 今回の学力テストについては、未だ過半の教科で全国平均を下回っているものの、全体としてみれば、平成二十年以降、一貫して着実に向上している結果が出ています。これは、全国学力テストの結果を踏まえた各学校や市町村教育委員会の取組が成果を上げつつあるものと考えております。  
 今後は、調査結果の分析を詳細に行い、個々の市町村への指導の強化を図るとともに、教師用指導資料の作成や学力向上支援チームの派遣等を一層充実させて参ります。


  


 来年度以降の学力調査について

 本県児童生徒の学力向上のためには、教育の成果を具体的に検証し、授業改善を進めることが重要であり、そのためには、児童生徒や各学校の個別の学力状況を悉皆で把握することが肝要であると考えます。
 本県では、これまでの悉皆調査で、検証改善サイクルが確立され、地域ぐるみの取組等によりその成果が上がってきており、引き続き悉皆による学力調査が必要であると考えております。


  

 司書教諭の役割と配置について

 司書教諭は、図書資料の整備・活用や児童生徒の読書活動への指導等について中心的な役割を担っており、学校規模にかかわらず、読書活動推進のために重要な存在であると認識しています。ただ、資格を有する教員数等の制約から小規模校について市町村の配置が進んでいないものと考えています。
 このため、県では、司書教諭講習の受講促進や市町村への指導に一層努めるとともに、教員養成段階での資格取得の推進を大学等に働きかけて参りたいと考えています。

  

 「国民読書年」の取組と効果について

 読書離れ等の状況を踏まえ、本県では図書資料の整備をはじめ、市町村への支援や学校における読書活動、地域でのボランティア活動等の充実を図り、着実な成果を収めてきましたが、「国民読書年」の広がりは今一つのようです。
 そこで本年は、この機を捉え、県をあげての読書まつりや図書館講座等を開催することとしています。また、読書に親しむ気運を高めるため、県内各地で様々な行事等が進められています。
 今後とも、このような取組を通して、本県の読書活動が一層広がりますよう、取組の充実に努めてまいりたい。



 図書館の機能・役割の充実について

 図書館は、県民の読書活動を支援し、それを広げていくための拠点として、重要な役割を担っています。
 その中で、住民に身近な市町村立図書館には、資料の収集・提供や学習機会の提供等、様々なニーズへの対応が求められています。
 県立図書館では、市町村立図書館の役割を踏まえ、利用促進のための仕組づくりや情報提供、人材育成などに取り組み、読書活動の拡充を図っているところです。    
 今後とも、市町村立図書館への指導や支援を通して、図書館機能の充実に努めてまいります。

 さて私は、自民党会派を代表してのこの質問を閉じるにあたり、十月一日より引き上げが予定されています、たばこ税問題についてひと言触れておきます。
 全世界的な禁煙推進運動のなかで、わが国においてもたばこを好まない人たちが喫煙に巻き込まれる受動喫煙防止のため、厚生労働省は飲食店や娯楽施設など多数の人物が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙にすることを求めて、都道府県知事に通知しているようです。
 病院、劇場、百貨店、官公庁、飲食店、駅、ホテル等が対象となるようで、特に官公庁や医療施設については少なくとも、全面禁煙とすること。また、全面禁煙が困難な施設については、当面の間、喫煙可能区域を設定するなどの対策を講じ、将来的に全面禁煙を目指すことなどが通知されたと聞いています。
 当局の説明では、今年度の本県の税収見込みは値上げ分を含め、一〇二億円余、前年度比一〇〇.六%、税額にして六千三百万円余の伸び見込みとなっています。税率引き上げによる増収分は三億円程度とのようですので、この中の一部をいわゆる受動喫煙防止のための分煙化推進に積極的に活用することも、ひとつの方策ではないでしょうか。いわば一種の目的税でもあります。
 そこで知事にお伺いします。現在の受動喫煙防止の取組状況及びその状況について知事はどのような認識をお持ちでしょうか。私の提案も含めて、どのような対策を考えているのか。知事の考えをお伺いします。


    知 事 答 弁 資 料

(その他県政一般について)

 現在の受動喫煙防止の取組状況とそれに対す
 る認識について

 
 本県では、研修会の開催や県のホームページ、ちらしの配布等により、受動喫煙防止対策の必要性について啓発を図っているところです。
 本県で実施したアンケート調査によると、建物内禁煙または分煙を実施している割合は、官公庁で百パーセント、医療機関で九十八パーセント、飲食店や宿泊施設等で六十九パーセントであります。今後、受動喫煙防止対策の効果を高めるために、県民意識の醸成を図りながら、建物内禁煙の取り組みを推進する必要があると考えております。
 


 今後の受動喫煙防止対策について

 たばこ税を目的税的に活用してはどうかとのご提案がありましたが、まずは、対策を推進すべき立場にある官公庁や病弱者が利用する医療施設における建物内禁煙を進めて参りたいと考えております。
 また、その他の施設については、たばこ対策推進会議において、飲食店、娯楽施設、宿泊施設等の関係者の意見を聞きながら、対策を検討して参りたいと考えております。
 
 なお、残余については、総務部長から答弁させます。

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