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自民党県議団 代表質問 平成22年3月3日(水)

   2月24日(水)に開会した2月議会は3月3日(水)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 さて、冒頭まず県町村会事件と副知事逮捕問題についてただします。この事件は我々にとって、まさに驚愕の出来事でありました。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体収支報告書虚偽記載事件が不起訴になったことについて東京都の石原都知事は「非常に不愉快、不透明、不可解」と、誠に的確な言葉で批判しています。本県の後期高齢者医療広域連合の設立に絡むとされる前副知事と県町村会長の収賄事件も、その言葉がそのまま拝借できるような事件であり、誠に残念なところです。

 知事は、平成十一年以来、十年以上にわたって前副知事を重用されてきました。
 特に、全国知事会長に就任以来、県政の多くの部分を前副知事の「力量」と「手腕」に任せ切りにされてきた印象を受けるのであります。
 十年以上も「懐刀」として濃密に接しながら、前副知事の言動や態度から、今回の事件に関して、その予兆、気配を一度も感じ取ることがなかったのか。そこでまず、一体、知事は中島前副知事について、その手腕、力量、人格等どのように評価されて選任、起用に至られたのか、特にどのような点について高い評価をされていたのかなど、率直な見解をお尋ねします。

 また、知事は就任以来、長年の慣行であった県庁の幹部人材の多くを国に求める方針を徐々に転換しながら、県庁生抜き職員で固めてきました。勿論、このことについては、地方分権確立の第一歩として評価の向きも強かったわけですが、昨年四月からは三人の副知事ポストすべてを地元職員で固めました。
 しかも、その間には、国からの出向職員が所掌していた総務部の人事・財政の権限まで中島第一副知事一人にすべて集中させてきました。いわば副知事権力の集中であります。

 なぜ、一人の人物に権限を集中させられたのでしょうか。これまでの人事政策、県政のガバナンスに誤りはなかったのか、とくに中島前副知事の起用、とりわけ三期目について、どのような抱負、気持ちで議会に対して選任、同意を提案されたのか、率直なる心ばえをお聞きするとともに、その任命責任と監督責任についていかが考えておられるのか、そして多くの県民の不信を招くことになった福岡県政を今後どのように立て直す方針なのか、その基本的な考え方を明らかに願います。

 また今回の事件は同一副知事の起用が長期にわたったことが強く指摘され、任期制もとりざたされています。知事として今日どのような思いに至っておられるのか、任期を設けるのならばどれくらいが望ましい、と考えられてるのか、見解をお示しください。

 次に、本県では条例により副知事三人制とされております。知事としては今回の事件と条例を勘案されたとき、いったいこの副知事問題について、どのように対処される方針なのか、率直なる見解をお示しください。

 また、この際提起しておきます。副知事という職責は、一般職員と公選で選ばれる知事との谷間にあり、資産公開の対象でもなければ、倫理条例、倫理規定の適用外になっていることは識者の間でつとに指摘されていることであります。今回の事柄に鑑みても、この谷間にある副知事職については、一般職員に課されている任用時の憲法順守等の宣誓も含めて検討すべき時期に来ているのではないかと考えますので、併せてお示し願います。

 さて、今回の事件は、単に福岡県の問題に止まらない性格を持っています。その当事者は、国家的課題の地方分権を推進する重責を担う全国知事会長県のナンバー2と全国町村会長自身であります。それ故、全国の地方自治体に対する国民の信頼を失墜させかねない重大性には看過できないものがあります。

 そこで、最後に、県民の信頼を失った今回の事件に対し、いかに県政を立て直し、信頼を回復させるのか、知事の明解な政治姿勢を明らかに願います。

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)
 1.いわゆる町村会事件と副知事問題

 前副知事の評価について

 中島前副知事は、福岡県を発展させたいという、一貫した強い情熱を持っており、幅広い経験、行動力があり、多様な課題について、積極的に取り組む前向きな人物であったと考え、全面的な信頼をおいておりました。
  しかし、今回のこのような事件を前にし、衝撃を受けております。
 

 三期目提案の理由について

 中島副知事の三期目の選任を考えた当時、私の重要な選挙公約は、雇用をつくり、県民所得を上げること、少子高齢化を踏まえた新しい社会づくりを行うということなどでありました。
 中島前副知事は、中小企業の振興や企業誘致に非常に熱心であり、さらに新しい社会づくりについても、明確な意見を持っていたことから、選任したいと考えたところです。
 


 知事の責任と今後の県政立て直しに当たって の基本的考え方について

 今回の事態は、県民の皆様の県政に対する信頼を大きく損なうものであり、私自身の責任も痛感しております。
 まず、調査委員会による早急な真相究明を行い、これを踏まえ、私自身を含む必要な措置を行う考えです。 
 また、今回のようなことが二度と起こらないよう、再発防止に積極的に取り組むことが重要であると考えております。まず、副知事の公務員倫理の確保について、何らかの形で行為規範を明確にしていく必要があると考えております。
 さらに、職員の倫理問題に対する意識の徹底を図るため、研修のあり方や倫理規程の運用のあり方についても見直しが必要であると考えております。
 具体的な取組については、調査委員会の提言も踏まえて、検討する必要がありますが、早急にこれらの対策を講じ、県民の信頼を回復してまいります。



 副知事の任期等について

 副知事の任期については、今回の事態を考えますと、率直に言って、三期の任命は長すぎたと考えざるを得ません。今後は、二期以内が原則であろうと考えております。
 また、副知事の公務員としての倫理を確保することが重要であり、何らかの形で副知事の行為規範を明らかにし、その遵守を就任にあたって宣誓させることなどを定めることが必要であると考えております。



 副知事の体制について

 本県は、人口五百万人を有する大きな県であり、その県政の範囲は極めて幅広く、多岐に亘っております。このため、現在、条例で三人の副知事体制がとられております。
 今後、県政を的確かつ効果的に運営するためには、現在欠員となっております副知事につきまして、今議会中にその選任を行い、県政運営体制の整備、強化を図っていきたいと考えておりますので、是非ご理解をお願い申し上げます。
  


 今回の事件に対する政治姿勢について

 今回の事件は、県民の皆様の県政に対する信頼を損なっただけでなく、地方分権を担う地方自治体そのものへの信頼をゆるがしかねないものであります。
 真相究明と厳格な再発防止対策を早急に講じ、公正・明朗な県政を実行し、県民の信頼回復に向けて、全力を挙げて県政に取り組んでまいる所存であります。

 それでは、これより本議会に提案された来年度当初予算案を中心に、本県の税財政問題について、知事の基本的な見解や政治姿勢をお尋ねします。

 平成二十二年度一般会計歳入歳出規模は、一兆五千九百億円、対前年比僅か八億円増、ほぼ前年度と同額の予算案となっています。公債費等を除く一般的政策経費である一般歳出規模では一兆二千四百四十六億円、対前年比二百十一億円、一.七パーセント増であります。

 来年度地方財政計画の一般歳出を上回る伸びを確保されたことは、現下の厳しい経済・雇用情勢からすれば当然というべきでしょう。

 しかし、歳入、歳出を子細に見れば、いくつかの問題が内在しております。

 まず、県税等歳入については、対前年比八百九十億円十四,一パーセント減を見込んでいますが、その発射台となる本年度の県税収を最終的にどの程度見込んでいるか。これまでの議会答弁で、知事は予算計上額を大幅に下回るものと予想されていますので、主な税目ごとに税収見通しをお示しください。

 また、予算割れに対する補てんをどうされるつもりなのか、方針をご説明ください。

 次に、来年度の税収見通しについても、主要税目ごとにその根拠を含め説明願います。

 併せて本県経済・景気動向をどのように予想されているのか、知事の見解をお尋ねします。

 ところで、ここ三年、連続して大幅な予算割れを引き起こしながら、知事や県税当局はその責任の重大性を真摯に受け止めているのでしようか。その都度、当然のごとく減収補てん債を増発し、穴埋めを済ませてきました。 また、一昨年には、当初予算に密かに減収補てん債を計上し、我が会派から厳しい指弾がなされました。減収補てん債とは言え、元利償還の全部を地方交付税で措置されるわけではありません。将来的に県民の負担増となるものです。最近引き続く税収の見込み違いに対する説明を願います。

 総務省でここ数年臨時財政対策債が実質的地方交付税扱いされているせいか、来年度予算の説明資料などで、県債は大きく減少しているかのように見えますが、通常債と合わせれば県債の対前年伸び率はどの程度になりますか。併せて、来年度末の県債残高はどの程度まで膨らむのか、お答えください。

 こんな表面的な見栄えは決して気にすることではありません。気にするべきは県税収入の見込み違いが少しでもないように努力すべきことであります。私共はそのように思いますが、いかがですか。

 また、来年度は、地方交付税が十一年ぶりに一兆円以上増額され、臨時財政特例債を含む実質的な地方交付税が過去最高の二十四兆六千億円確保されたこともあり、本県においてもこれらの財源の増額が図られています。

 そのせいか、三基金からの繰り入れは、前年度と比べて二十五億円減の九十九億円となっています。

 三基金について来年度末の残高状況をお聞きするとともに、県債残高や三基金の状況が新財政構造改革プランの計画額と比較して、どの程度の乖離を示しているのか、改めてお尋ねします。

 さらに、一昨年のリーマン・ショックに発する世界経済危機や、我が国経済の急激な落ち込みなどの影響もあり、財革プランに盛られた県税収の動向をはじめとする、あらゆる財政指標の現実的な妥当性が喪失していると想定されます。

 プランの見直しについてどのようなスケジュールを描いているのか、明らかにしてください。

 歳出面については、単独事業について、対前年度比十五.八パーセント増の千百四十六億円を計上しています。

 雇用・景気対策の観点から、積極的に対応されようとする知事の姿勢にはそれなりの評価をしますが、一方、賢い支出、いわゆるワイズ・スペンディングが要
請される昨今です。

 単なるばらまき的な公共事業では、県民の理解が得られないでしよう。知事はどのような理念と、どのような事業でもって大幅に拡大された投資単独事業を執行するつもりなのか。また、どのような財源を想定しているのかお尋ねします。

 さらに、来年度の新規事業の財源確保のため、どのような既存事業を見直したのか。その規模はどの程度か。また、それによる新規事業の重点はどこに置いたのか。

 これに伴い、県民生活に関わりの大きい社会福祉系統の事業が一方的に削られていることはないのか、これらについてそれぞれ確認や説明を求めます。

 次に目につく施策が二つあります。

 一つは地域商品券の大幅拡大であります。我が会派のかねてからの提言もあり、昨年度、本県では県下で総額七十億円近くの地域商品券が発行され、地元商店街に賑わいがもどり、地域経済の活性化が図られたと認識しております。

 今回はこの倍以上の発行を想定されているようでありますが、麻生知事はこの地域商品券の経済効果についてどのように考えておられるのか。県民の評価も含め、具体的な答弁を求めるものであります。

 もう一つは、アジア特区構想関連予算であります。アジア中小企業大学校推進費やアジア高度医療拠点調査費など、予算の芽出しが行われておりますが、これらの予算がねらいとするところは、今や世界経済の牽引車となったアジアの成長力を本県に取り込むことだと想像しています。

 地政学的に見て、本県が非常に有利な立場にあることは多くが認めるところであります。

 そこで改めて伺います。アジア特区にかける知事の思い、期待される経済効果についてお答えください。

 また、これは、提案ともなりましょうが、アジア特区構想を描く時、ポイントとすべきもののひとつは、中国北京との関係だと思います。江蘇省や上海市との友好提携に既に成果を上げている今日、首都北京との関係が、希薄であったようです。福岡フェアーの開催、アンテナショップなど、まずは北京への窓口をつくるべきではないか、と考えますが見解をお聞かせ下さい。

 さて、今回の予算は、麻生県政四期十六年の総仕上げの予算とも評価できるものであります。知事は、通産省出身でもあり、知事就任以来、産業政策にとりわけ力を注いでこられました。

 そこで、平成七年以来、十六回に及ぶ当初予算に「新規」として計上した事業の延べ件数とその総額、また、それぞれに占める産業政策関連の新規予算の割合を明らかにされれば、社会福祉系統分野などと比較して極めて大きいウエイトづけがされてきた傾向をきっと証明できるでしよう。

 このことは、それなりに麻生県政のカラーとして評価する向きも当然あるでしょう。

 一方、雇用情勢をはじめ県下経済の厳しい諸指標を見るにつけ、偏重した予算に見合うだけの成果が本当に上がっているのか、疑問視する声も当然あります。

 知事のこれまでの取組みについて、政権十六年の総括として、この際、知事の所見をお聞かせ願います。


 2.平成二十二年度福岡県予算編成方針と税財政問題

 今年度の税収見通し等について


 企業の生産活動や消費の低迷などにより、主力の法人二税や地方消費税が、それぞれ百億円を超える減収となるほか、ほとんどの税目で減収となり、最終的には、当初見込みから、県税全体で、三百十三億円余り下回る見通しです。
 県税の減収に対しては、減収補てん債の活用や基金からの繰り入れなど歳入の確保を図るとともに、経費節減により対応していく考えであります。


 地域商品券の効果について

 今年度の地域商品券の取組は、消費意欲が冷え込む中、即日完売が相次ぐなど消費者に大変好評であり、また、発行額をはるかに上回る消費喚起効果があったことから、各団体からも継続発行支援を望む声が多数寄せられています。
 このため、来年度は、県内全域で総額百五十億円の地域商品券の発行を促すことで、さらなる地域内の消費を喚起し、商店街をはじめ地域経済の活性化につなげて参りたいと考えております。 


 「福岡・アジア新時代創造特区」について

 本県が持続的に繁栄していくためには、アジアの発展のエネルギーを積極的に取り入れていくことが重要です。
 このため、多様な交流の実績を基に、アジアとの関係において、イノベーション・先端成長産業の拠点、中小企業のビジネス拠点、環境先端拠点、高度医療・健康拠点、ファッション・若者文化の拠点、先進社会資本拠点の六つの拠点づくりを進める「福岡・アジア新時代創造特区政策」を推進することとしております。
 国に対して、規制緩和や重点投資等の支援を行う総合的な特区制度を提案し、この政策を実現することにより、本県の繁栄を図ってまいりたいと考えております。


 北京との経済交流について

 北京は、中国の政治文化の中心であると同時に、経済面でも著しく成長しています。
 一人あたりのGDPは広州、上海に並び、消費も著しく伸びており、北京における本県のPRは大きな効果が望めると考えております。
 本県では、これまで、九州観光推進機構と協力して北京国際観光展への出展や旅行業者に対する観光説明会の開催など、観光面でのPRに取り組んできたところですが、今後は、国際食品見本市への出展や県内特産品の商談会などの開催も検討してまいります。

 
 本県の産業政策の成果について

 本県では、雇用の八割を担う中小企業に対し、金融対策や経営革新、技術開発など総合的な支援を行うとともに、将来大きく発展する先端成長産業の育成に取り組んで参りました。
 これらの結果、中小企業の経営革新認定企業数が平成二十年度は全国第二位となったのをはじめ、先端半導体では、百七十社のシステムLSI関連企業が新たに集積し、自動車では、日産車体の開業により百五十四万台の生産能力を有することとなりました。バイオでは、八十三社のベンチャー企業の創出や画期的ながん治療法であるペプチドワクチンの開発、水素では、世界最大の水素タウンや水素ハイウェイの整備等による研究開発・実証拠点を実現したところです。
 また、過去十四年間で八百六十九社の企業が立地するとともに、全国三位の創業率を維持しております。
 統計的にみても、平成七年度と最新のデータである平成十九年度を比較すると、県内総生産については全国四・三%増に対し七・二%増、雇用者数については全国〇・五%増に対し三・七%増と、それぞれ全国の伸びを大きく上回るなど、本県経済や雇用に大きな効果があったものと考えております。
 

 来年度の税収見通しについて

 主要法人に聞き取り調査を行ったところ、依然として企業業績の見通しには厳しいものがあり、法人二税で前年度当初予算を四百五十六億円余り下回る額を計上しております。
 また、地方消費税について、消費や輸入の低迷により百二十億円余りの減収となるほか、ほとんどの税目で減収を見込んでおります。
 
  
 本県経済・景気動向の見通しについて

 本県経済は、アジアをはじめとする新興国向けの輸出に牽引され、製造業の生産も緩やかながら回復していくと見込まれます。
  しかし、雇用の改善は遅れており、厳しい情 勢が続くことが予想されます。また、デフレにより企業の収益や賃金の減少が懸念されます。
  こうした状況を踏まえ、雇用・景気対策に重 点的に取り組むことが不可欠であると考えております。


 税収の見込み違いについて

 税収は、政府の経済見通しを基に策定される地方財政計画を踏まえ、企業への聞き取り調査などによる県内状況を加味して算定しております。
 しかし、世界的な金融市場の混乱などにより、税収算定の根拠としております地方財政計画に見込み違いが大きく生じ、計画額と実績額との間に乖離が生じたため、本県の税収見込みにも狂いが生じたものであります。
  政府においては、適切な地方財政計画の策定が求められるとともに、本県においても、税収確保のために、景気雇用対策に取り組んで参る考えであります。


 県債の伸び率及び残高について

 平成二十二年度当初予算においては、臨時財政対策債を含む県債発行額の対前年度伸び率は約十六パーセントで、二十二年度末の残高は二兆九千二百四十七億円となる見込みであります。
 このうち臨時財政対策債など償還の際に地方交付税等で財源措置される県債が残高の約五十五パーセントを占めております。
  

 県債及び三基金残高の新財政構造改革プランとの乖離について

 県債残高は、実質的な地方交付税である臨時財政対策債と減収補てん債の増により、新財政構造改革プランの見込みを三千三百億円程度上回ることとなります。
 二十二年度末の三基金の残高は、新財政構造改革プランの見込みが二百五十億円であるのに対し、今後の補正予算等も見込みますと二百三十億円程度になるものと考えております。
  

 新財政構造改革プランの見直しについて

 地方における中長期的な財政運営の指針となるべき国の中長期的財政収支見通しやその前提となる成長戦略について、政府は未だ明らかにしておりません。
 加えて、我が国経済は、リーマンショック後の世界同時不況からようやく回復に向かいだしたものの、その足取りは弱く、二番底懸念も払拭されていない状況であります。
 こうした状況では、県として確たる見通しを立てることは困難であり、これらの諸条件が一定程度明確になった段階で検討したいと考えております。
 現時点では、まず雇用・景気対策により、経済の立て直しを図ることが重要であると考えております。


  県単独公共事業について

 雇用・景気対策を積極的に進めるとともに、県民生活の利便性と将来の地域の発展力を高めるため、県単独公共事業費を大幅に伸ばしたところであります。
 道路・河川事業などに加え、今回は医療や社会福祉施設、県立学校等における耐震化や防災工事、特別養護老人ホームの前倒し整備などに重点的に取り組むこととしました。
 財源につきましては、県債に加え、国の経済対策を活用して設置した基金からの繰入金も充当することにより、対応したところであります。


 事業の見直しと重点施策について

 費用対効果や施策の優先順位を全庁的に検証し、県単独補助金や外郭団体に対する財政支出、管理経費の削減などで約六十八億円の見直しを行いました。
 来年度予算における重点施策として、雇用・景気対策に積極的に取り組むとともに、子育て支援や高齢者、障害者の暮らしを守る「新しい共助社会の構築」、救急医療や地域医療等の充実を図る「安全安心な社会づくり」などの県民生活に密着した緊要な政策課題にも的確に対応することとし、財源の重点配分を行ったところであります。
 

 次に予算関連で緊急に知事の見解をお聞きしておきたい問題があります。それは、地場中小の建設業対策についてであります。
 折角回復の兆しを見せ始めていたわが国の景気動向も、「コンクリートから人へ」などという世迷いごとを並べ立てる新政権によって、再び冷え込み、これにより最も深刻な影響を受けてきたのが本県における地場中小の建設業者であります。
 「今日はあそこ」、「昨日はどこそこ」と毎日のように地場中小建設業者の倒産が伝えられています。堅実な実績を誇ってきた優良の企業でさえ例外ではなくなってきました。長い会社の歴史にピリオドを打って、倒産に追い込まれた例が数多くあることは、地域経済にともしてきた火がまさに消える思いで誠に寂しい限りであります。
 改めて申すまでもないことでしょうが、私共は少し数字を調べてみました。民間も含めた本県における建設投資額が、平成二年度の約二兆五千億円をピークに、昨年度は約三十一%減の一兆七千億円減少しています。特に公共投資は平成十二年の一兆円から昨年度は四十七%も落ち込んで五千四百億円にとどまっています。
 こうしたなか本県発注の公共事業は、県外企業の受注が逆に増えているようです。
 これでは地場建設業の火が次々に消えるのも当然のことといえるのではないでしょうか。
 ちなみに申し上げておきます。昨年の本県における企業倒産は四百八十件であり、前年比マイナス十二%でありますが、建設業だけは逆に増え百五十七件、全体の三十二%を占めているのが現状であります。
 我々はこれまで、地域経済浮揚と地場企業の育成の観点から、地場企業への優先発注等を訴えてきました。
 しかしながら、現状は既に「育成」などという生易しい状況にないようです。
 今は地場建設会社「救済」の観点から、地場優先を求めなければならないほどに状況は悪化しているのが現実であります。
 あらゆる方策を駆使して、最悪の事態を回避しなければいけないところです。
 そこでまず伺いますが、知事は本県の地場中小建設業の現状をどのようにとらえているのか、その評価をお示しください。
 次に、最悪の事態を避けることを望むのであれば、知事は軸足を明確に大手建設業すなわち、ゼネコン・マリコンから地場中小に移して、これからの建設行政について大胆な地元中小企業優先策を打ち出すべきであります。
 これまで本県でもいわゆる分離、分割発注の推進や、一般競争入札における適切な地域要件の設定など、地場建設業の受注機会の確保に、努められてきたことはそれなりに評価するところですが、現状は最早その程度で収まる状況ではないところに至っています。
 しかもこれは県土整備部、建築都市部に限ったことではなく、農林水産部を含めた、いわゆる公共三部についてであります。
 そこでただ今、私が申しました点について知事の明確な見解を求めます。
 はっきりと申し上げます。本県の地元中小建設業に対する育成優遇策は、九州各県と比較して最も遅れていると断じざるを得ません。
他県ではほとんどのところが、WTO案件、すなわち事業費二十六億円を超すもの以外については原則として、県内企業に発注するなどして県内企業優先発注の方針を明確にしているのであります。
 しかしながら、もはや知事と論争している時期ではなく、ただ知事の決断あるのみです。
 こうした事情を十分斟酌されて不退転の決意のもとでの答弁がなされるよう、改めて申し添えておきます。

(地場中小の建設業対策について)
 本県の地場中小企業の現状について


 本県では、従来から官公需契約において、地場中小企業への優先発注を行っております。
  また、本年度は上半期に契約を集中させ、そ の後は補正予算により、年間切れ目のない発注を行い、受注の確保に努めてきたところです。
  この結果、建設業の景況は官公需を中心とし て改善の傾向が見られますが、依然として民間需要は低迷している状況であります。














 地場中小企業優先策について

 社会資本の整備や管理及び災害時における緊急活動を担う地場中小建設業の育成は重要な課題と考えております。
 このため、これまでも工事の発注においては、施工区域を分割することなどにより、地場中小建設業の受注機会の確保に努めております。
 今後は、総合評価において、地域に精通した県内企業を優位に評価するなど、地場中小建設業の活用に繋がる施策を新年度に導入して参ります。

 


 

 次に全国知事会長としての麻生知事に二点ほどお聞きしておきます。
 まず地方交付税対策についてであります。
 平成二十二年度の地方財政対策は、大幅な地方税の減収という、交付税の算定の仕組みからしますと、当然増額が必要な状況とはいえ、原資となる国税も大幅に減収となる中ですから、厳しい環境の下での激しい議論となったと聞いております。最終的には地方交付税は約一兆円の増となるなど、三年連続の増加となっているところです。
 これらについては関係方面に対して、地方財政の厳しい実情を訴え適切な対応を訴えてきた全国知事会長としての麻生会長の活動を我々としてもそれなりに評価するものであります。
 そこでまず、今年度の政府予算における地方税財政面の対応を知事はどのように評価し、またこの間の全国知事会の対応をどのように自己評価しているのか伺います。
 一方、このように財源対策は当面、地方の要望を取り入れる形となっているようです。
 地方を取り巻く課題は山積しております。現下の経済状態は極めて厳しく、積極果敢な財政出動が不可欠と考えます。
 政権交代前の昨年の今頃は、政府からも地域活性化・経済危機対策のための地方向けの臨時交付金制度などが創設され、地方での取り組みも相当進められました。
 しかしながらが、今の民主党政権では需要創出につながるような対応はとんと聞こえてきません。また、地方分権に関しても、まったくたわいのない「地域主権」などという言葉を揚げつつ、子ども手当の地方負担の導入といった地方無視とも言える対応などを見るにつけ、あれは選挙のためのリップサービスに過ぎなかったのだな、ということが国民の間でも徐々に認識されつつあると思います。
 一体、知事は現下の民主党政権とその政策、とりわけ次々に自分たちが掲げた政権公約に違反する政策を打ち出していることについて、どのような評価を持たれているのか、率直にお聞かせください。
 また、知事会長として地方の活性化や地方分権の推進にどのような戦略を持って臨もうと考えているのか、具体的にお答え下さい。

(地方交付税対策について)
 平成二十二年度の地方財政対策について

 地方交付税の大幅な削減に加え、少子高齢化の進行に伴う社会保障費の増加や景気後退による地方税収の大幅な減少などにより、地方財政はまさに危機的な状況に陥っております。
 全国知事会といたしましては、国と地方の協議の場や政府主催の全国知事会議等において、地方のこのような実情を率直に訴えるとともに地方交付税の復元・増額など地方財源の拡充に全力を注いでまいりました。
 このような運動が功を奏し、地方交付税の大幅増額や暫定税率の維持など疲弊する地方財政への配慮も相当程度なされたものと考えております。


 
 民主党の政権公約に対する評価について

 民主党の政権公約では、子ども手当ての実施、高校の実質無償化、高速道路の段階的無料化など、多くの公約がなされておりますが、政府の二十二年度予算では、そのとおり実施されているもの、あるいは公約の実現方向で動いてはいるものの、完全な実施にいたっていないものなど、その公約により進展度合いが異なっている状況であります。
 公約を完全に実施するには、膨大な財源が必要となり、現在の景気動向や税収の落ち込みを考えますと、非常に多くの困難があり、新しい成長戦略、税制の見直しを含め、多大な努力が必要と考えております。



 地方の活性化や分権推進のための戦略に
ついて

 
 地方を活性化し、その自立・再生を図るためには、国の権限・財源を地方に移譲し、地域の個性や特性を生かした地域づくりが可能となる分権型社会を構築する必要があります。
  このため、全国知事会において、義務付け・枠付けの見直し、国の出先機関の原則廃止、地方税財源の強化など様々な分野について検討を進めているところであり、国と地方の協議の場などを活用し、実現を図ってまいる考えであります。  

 次に、子ども手当のあり方についてであります。
 民主党マニフェストの最大の目玉施策である子ども手当は、平成二十二年度については、暫定措置として、児童手当と子ども手当を併給し両方併せて月一万三千円を支給することとなりました。財源のつじつまあわせのために、あたかも木に竹を接ぐようなやり方で、結果としてギリシャ神話でいえばキマイラのような、いや日本語で申すならば「ぬえ」の如き珍妙な仕組みとなってしまいました。
 民主党は、こうせざるを得なかった理由を、景気後退による税収の大幅な減少に求めていますが、一昨年のリーマンショック以来、平成二十二年度の税収が大幅に落ち込むであろうことは誰の目にも明らかであったはずです。
 それをあたかも政権交代前だったので見通せなかったと言い訳をするのは無責任の謗りを免れないでしょう。ましてや、衆院選前、民主党は「政権交代こそが最大の景気対策」と言っていたのにも関わらず、その後景気は悪化しこそすれ一向に好転しないのですから何をかいわんやであります。このような状況から早くも平成二十三年度における子ども手当の満額二万六千円の支給は困難ではないかとの見通しが政府与党関係者から漏れてきているようです。
 そこでまず、知事に伺ます。知事は昨年の総選挙で民主党が掲げた公約のなかで、この子ども手当を最も評価されていたようですが、それはどのような理由からだったのでしょうか。詳細に説明頂くとともに、今このように民主党の当初の目論みどおりに子ども手当の支給が困難となっていることの理由は何だとお考えでしょうか。今ほど申しあげたように財源不足の理由が景気後退というのは理由にならないと思いますがいかがでしょうか。率直な考えをお聞かせ下さい。
 早くも黄信号が点っている子ども手当ですが、ここで心配なのが、財源不足のツケを地方自治体が負わされるのではないかということです。ダムをはじめとする公共事業のカットや、小沢幹事長に権力を集中させるための、あたかも共産主義国家を思わせる中央主権的、国家統制的な手法を採る現政権ですから、一方的に地方の懐に手を突っ込んでくることは容易に考えられます。住民税の扶養控除等の見直しによる自治体の税収増の分を召し上げようという動きもあると聞きます。
 知事会をはじめ地方六団体としても、子ども手当に対する地方負担を拒否する旨の声明や意見書を出されていると聞いております。去る一月十三日には長妻厚生労働大臣と地方六団体との意見交換会が開催されたとのことですが、残念ながら地方に負担を求めないとの言質を大臣からとるまでには至らなかったようであり、詰めの甘さを感じる次第であります。
 あらためて伺いますが、今後、国と地方の協議の場等において、この問題が議論されることとなるかと思いますが、麻生知事としての基本スタンスは、子ども手当に対する地方負担は一切拒否するということで間違いないでしょうか。
 仮に地方負担を求められるようなことになった場合、知事会長としての責任をどのように考えておられるのでしょうか。明確なご回答をお願いします。


(子ども手当のあり方について)

 子ども手当の評価および平成二十三年度以降
の満額支給について


 我が国の出生率が低迷を続ける一方で、手厚い経済支援を実施する欧州諸国の出生率が回復している現状を見れば、少子化対策として思い切った現金給付を国が実施すること自体は意義があるものと考えます。
 しかし、これと併せて地方が担う保育所などのサービス給付の充実が不可欠であり、そのためには地方財源の確保及び地方の自由度を高めることが必要です。
 二十三年度以降の子ども手当の満額支給については、現政権の主要な選挙公約であり、国の財源において実施されるものと考えております。





  


  

 


 子ども手当の地方負担について

 全国知事会をはじめ地方六団体は、保育所のようなサービス給付については地域の実態に応じ地方自治体が創意工夫しながら担当すべきである一方、子ども手当のような全国一律の現金給付については国が担当し全額を負担すべきと主張してまいりました。
 平成二十三年度分以降の本格的な制度設計については、地方負担を求められることがないよう、国と地方の協議の場等も活用しながら地方六団体で一致結束して強く主張してまいります。 





  

  

 さて次に自殺対策について、知事にお尋ねします。
 我が国の平成二十一年の自殺者数は、警察庁の統計によると、三万二千七百五十三人であり、平成十年以降、連続して十二年三万人を超えるという由々しき事態が続いているようです。
 これは、一日、九十名近くの方が自ら大切な命を絶っているということであり、その問題の大きさが実感されます。また、自殺者の半数近くは、三十歳から六十四歳までの中高年男性であり、残された遺族に与える悲しみ、苦しみなど心理的苦痛そして経済的困窮や社会的損失を考えるとその影響は計り知れないものがあるといえます。
 かつて、「交通戦争」という言葉がありましたが、今日では交通事故死は年間五千人を割り、自殺者の六分の一までに減ってきたところです。今や完全に自殺者の方がまさに戦争状態とも言える状況にあるようです。
 さて、このような状況の中、平成十八年には、世界保健機関が、「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」であると明言しています。このことを踏まえ、関係機関が連携して、総合的な対策に取り組むため、自殺対策基本法が制定され、国、都道府県等で自殺対策の取組が始まりました。
 前政権である麻生政権下において相次いで編成された、平成二十一年度政府補正予算において、緊急に地域における自殺対策を強化するため、百億円の地域自殺対策緊急強化基金が、全国の都道府県に交付され、今後三か年に渡り、都道府県及び市町村で対策に取り組むこととされました。
 本県においても、昨年の六月県議会において、三億円余の基金が設置されるとともに、五千六百万円余の補正予算成立のもと、対策を進めてきたところであるとは聞いています。
 私から改めて申すまでもないことだとは思いますが、この取組にあたっては、地域において、自殺を考えている人を早期に発見し、相談を受け、適切な機関につなぐための「気づき」、「つなぎ」、「見守り」の体制を強化し、生きるための支援を行う体制の強化を図る必要があるのではないでしょうか。 
 そのため、県においては、民間機関と連携した広域的な施策の実施や、市町村での対策が難しい企業等の事業所に対する取組の充実をしていただきたいと考えるものであります。
 そこで知事にお尋ねします。
 この基金を活用し、県では、来年度、どのような取組をされるのか、お聞かせください。
 また、この基金により、それまで、充分な対策が実施されていなかった市町村に対しても基金を活用し、県から補助金が交付されるようになりました。そのため、県と市町村が一体となった地域における取組の充実が求められます。
 そこで知事にお尋ねします。
 県では、この基金を利用して市町村が行う自殺対策に対し、来年度、どのような指導をされるのか、お聞かせください。
 次に、命の大切さを考えたときに忘れてはいけない、「がん」の対策についてお尋ねします。
 今や、日本人の三人に一人ががんで亡くなっています。
 全国の患者調査等では、継続的に医療を受けているがん患者は百五十二万人程度と推計されているとともに、一年間に罹る人は現在約六十四万人とされています。
 本県におきましても、昭和五十二年から死因の第一位であり、平成二十年においては年間に約一万四千人の方が亡くなられています。
 平成十九年六月に国で策定した「がん対策推進基本計画」に基づき、本県では翌年三月に「がん対策推進計画」を策定し、がん対策を推進されているようです。
 そこで知事にお尋ねします。本県では、適切ながん医療がどこでも受けられるよう、どのような取組を推進されておられるのでしょうか、お聞かせください。
 次に近年、がんの治療方法が進歩し過去とは比べるべくもないと言われてはいますが、私の見聞きする範囲内においては、依然として厳しい闘病生活を強いられているようです。
 このため、がん患者やその家族の皆さんが可能な限り質の高い療養生活を送れるようにするためには、「緩和ケア」が治療の初期段階から行われるとともに、診断、治療、在宅医療など様々な場面において切れ目なく実施される必要があると聞いているところであります。
 先日もテレビの長時間番組の中で詳細な紹介があっていましたので、知ったかぶりをするようですが、残念ながらわが国ではこの緩和ケアについての認識が十分でないようです。
 欧米先進諸国に比べて、わが国のがん性疼痛の緩和等に用いられる医療用薬品の消費量がまだ数分の一程度にとどまっていることなどからも明らかとされているようです。
 そこで、知事にお尋ねします。まず知事自身、この緩和ケアなるものについてどのような認識、評価をされているのか率直にお聞かせください。
 次にこの緩和ケアについて、どのような取組をしておられるのか、また、今後、どのように推進していかれるのかお聞かせください。
 今後、県内どこの医療機関でも、緩和ケアをがん診療の早期から適切に提供される体制が整備されることにより、がん患者のつらさが最小限に止められるようにと願うものであります。

(自殺対策、がん対策について)

 基金を活用した来年度の自殺対策について


 自殺を予防するためには、精神的に追い込まれた人が、いつでも相談できる体制を整備することや、職場や地域などで、うつ病の疑いのある人を早期に発見し、医療機関で診察を受けるようにすることが重要と考えます。

 そのため、ボランティア団体と連携した二十四時間相談の実施や、企業の人事担当者に対するメンタルヘルス研修会の開催、市町村が行う自殺予防に関する相談や普及啓発事業などへの助成を行い、取組の充実強化を図ってまいりたいと考えています。







 市町村への指導について

 住民に身近な場所での充実した相談などが行えるよう、市町村職員が必要な知識や技術を習得するための研修会を開催してまいります。

 また、地域の実態に即した効果的な対策が実施されるよう、保健福祉環境事務所単位での関係機関のネットワーク会議の開催や、情報提供、助言を行ってまいります。






 がん医療の推進について
 
 本県では、十五か所のがん診療連携拠点病院を指定し、手術、放射線療法及び化学療法を組み合わせた効果的で適切な治療が受けられる体制を整備しているところです。

 また、これらの病院を中心に、かかりつけ医との診療連携体制を構築するとともに、医療従事者の資質向上のための研修を行っております。

 来年度、三か所の病院を新たに拠点病院として指定し、がん診療提供体制の充実を図ることとしております。







 緩和ケアに対する認識・評価について
 
 以前の緩和ケアは、がん治療の末期に身体の痛みを和らげることを目的として、主に病院内で行われておりました。

 しかし、現在では、治療の時期や場所を問わず、身体や心の痛みを和らげながら、生活面も含めて患者を支えるための緩和ケアが求められていると認識しており、治療の初期段階から行われることにより、患者の療養生活の質の向上が図られるものと考えております。








 緩和ケアに対する取組について
 
 本県では、かかりつけ医や看護師等の地域の医療従事者を対象とした研修を実施するとともに、在宅での緩和ケアを推進するために、訪問看護ステーションが緩和ケアに対応できるよう支援しております。

 また、病院での緩和ケアの充実を図るために、国立がんセンターの指導者育成研修や認定看護師育成研修に、医師や看護師を派遣し、専門従事者を養成しているところであり、より多くのがん患者が緩和ケアを受けられるよう、努めて参ります。

 次に県下の路線バス対策について、お聞きします。
 高速道路の通行料金については、平成二十年度から実施されている経済対策により限定的に割引が実施されています。
 この施策によって都市間の人の移動が高速バスから乗用車に移った影響で、福岡県内相互や九州内相互、さらには九州と関東・関西地方などを結ぶ高速バスの乗客が大きく減少しております。
 高速バスと路線バスの両方を運行しているバス事業者では、これまで好調な高速バスの収益で赤字の地方路線バスを支え、地域のバス路線を維持してきたところです。
 ところが、高速バスの乗客が減少したことで、こうした方法で地方バス路線を維持することが困難になり、福岡県内でも昨年九月末に福岡都市圏を中心に路線バスが大幅に減便されたのに続き、本年四月からは十五路線のバスの廃止と、五十路線で減便が予定されていると報道されています。
 ところで、本来、高速道路の割引は経済対策として実施されたものであり、二年間に限っての特別措置のはずでした。
 これであれば、地方の路線バスに対する影響もさほどではなかったはずです。
 しかし、ご承知のように新政権により高速道路は現在、原則無料化の方向で検討が進められています。
 平成二十二年度は一千億円の予算が計上され、全国の三七路線五〇区間、首都高速と阪神高速を除く高速道路の総延長の十八%に相当する、千六百二十六キロメートルで無料化の社会実験を実施する案が示されました。
 今後、高速道路の無料化の実施が全国に拡大し、将来にわたって制度が継続された場合には、地方バス路線に対する影響は今の限定的なものではおさまらず、一層の地方バス路線の廃止が進むと考えられます。
 これにより中山間地域を中心に地方バス路線網が崩壊していわゆる「公共交通の空白地帯」が拡大し、学生や高齢者をはじめとした自動車を持たない、あるいは運転できない人たちが移動できなくなった場合には、地域の活力が失われ生活を維持していくことさえ難しくなるでしよう。
 高速道路の無料化は、地域のバス路線網を衰退させ、地域の活力を失わせることに繋がる可能性があるため、私たちは基本的にこの施策には反対です。
 しかしながら、政府がこの施策を実施していくのであれば、当然のことではありますが、地方のバス路線網に対して支援策などもあわせて実施していくことが、政府の責任ある対応のはずです。
 また、地方自治体も地方のバス路線網を維持・確保していくための素早い取り組みが必要です。
 そこで知事にお伺いします。複数市町村にまたがる幹線的なバス路線については、県が支援し、市町村内の路線やコミュニティーバスについては市町村で行うという役割分担がなされると聞いていますが、財政力の弱い市町村に果たして本当の支援策が可能でしょうか。このような役割分担のもとで本当に地域住民の足ともいうべき路線バスの存続が図られるとは考えにくいところです。
 高速道路無料化の時代を見据えたならば、役割分担にとらわれることなく、地方のバス路線、少なくとも中山間地域を中心とした過疎地域のバス路線については、県の支援により維持・確保を図っていくべきと考えますがお答えください。

(県下の路線バス対策について)

 路線バス対策について

 バス事業者の不採算路線からの撤退が相次ぐ中、地域住民に最も身近な移動手段である市町村内の路線バスやコミュニティバスなどの生活交通の確保は、県民が安心して暮らせる県土づくりを目指す県にとっても大きな課題となってきていると考えております。

 県としましては、今後、これまでの県と市町村との役割分担のあり方も含め、地域ごとの実態に即した生活交通の確保方策について、市町村と協議を行ってまいりたいと考えております。


 次に、農林水産問題について伺います。
 まずは、農業農村整備事業についてであります。
農業農村整備事業は、かんがい排水施設やほ場整備などの生産基盤整備と農道や集落排水施設などの農村整備、さらには、地滑り防止などの農地防災や用排水機の保全管理などを通じて、食料生産はもちろんのこと農村の環境維持など農業・農村の総合的な発展を支えてきたはずです。
 私はその一例として、ほ場整備と麦の収穫の因果関係に着目しています。本県のほ場整備率は、昭和四十年代は僅か十%台にとどまり、麦の収量も十アール当たり二百キロ台でとどまっていたはずです。
 それが今日ではいかがでしょう。飛躍的に伸びているではありませんか。
 そこで、今日におけるほ場整備率と正確な麦の収量を示して、その所見をまず伺っておきます。
 もちろん収穫量の高い品種への切替や、生産技術の進歩などの要因はありますが、やはり、ほ場整備による大区画化や排水の改良が収量の向上に大きく寄与していることは明らかです。
 また、県内には、ほ場整備を契機に設立された農業生産法人に農作業の集約化を進めた結果、水稲の労働時間が約七割短縮し、生産費は約六割縮減するなど、効率的な営農体系が確立された町村があると聞いています。
 このように、ほ場整備は生産の効率化や担い手育成を進める上で、農業の構造改革を進める上で重要な役割を担ってきた、と私たちは評価しているところです。
 しかし、来年度の国の農業農村整備事業費は前年比約三十七パーセントとの概算決定がなされ、加えて森林整備事業や治山事業並びに水産基盤整備事業なども軒並み減額されました。一方、農山漁村地域の総合的な整備を進めるための農山漁村地域整備交付金が新たに千五百億円計上されたものの、これを含めても農林水産関係の公共事業費は前年比約六十六パーセントと過去最大の減額となっているようです。
 さらに、農業農村整備事業は、下水道や道路整備などに比ペ中小企業への発注率が高く地域経済に及ぼす効果が大きいと言われています。地域の経済の疲弊が叫ばれる中、予算の削減は地域経済への大きな打撃であります。
 そこで、知事に伺います。国の予算が大きく削減されるなか、本県ではほ場整備をはじめとした農業農村整備事業について、これからの方向性をどのように描いているのか、お示し頂くと共に、当面、新年度の県関係予算案にどう反映させているのか、具体的に説明してお答え願います。
 次は水田農業対策についてであります。
 我々 は、戸別所得補償制度の最大の欠点は、現行制度に比べて助成対象の農家数を大幅に拡大したことであり、将来にわたる見通しのない「典型的なバラマキ政策」であることをこれまでの議会で再三指摘して来ました。
 農業従事者の高齢化の進行や担い手の減少に歯止めがかからない中、県民の財産とも言うべき水田農業を安心して次世代に引き継いでゆく体制作りが喫緊の課題でありそのためには、一定規模以上の農家に施策を集中して、その人たちが地域の水田農業を将来に亘って担うような構造となるような政策を行なって参りました。
 しかしながら政権交代により、二十二年度から戸別所得補償制度が実施されることが決定されましたが、依然として新たな制度が水田農業をどのような姿に導くのか、どのように構造を変えてゆくのか方向性が見えないままであります。
 現場の農家からは、制度の内容が明らかになるにつれて、「集落営農組織からの脱会者が出るのではないか」とか、「農地の貸しはがしにつながるのではないか。」など不安の声が聞こえてきます。
 そのような中、政府は、戸別所得補償制度に関するモデル対策として、新たに約五千六百億円の予算を計上しました。
 そのうち約六割が米の赤字補填に対する助成であります。標準的な販売価格と生産費の差額を十アール当たり一万五千円助成するというものですが、仮に今年の米の販売価格がさらに下落すれば、その分生産費との差額が拡大するため補填を上乗せするというものです。今後、米価が継続的に下落すれば、必要な財源がどんどん膨らんでゆきます。
 さらに、平成二十三年度からは麦や大豆なども対象品目を加え、さらには畜産物や漁業にもこの制度を拡大していくと聞いています。
 国の来年度の農林水産予算は公共事業を大幅に削減して、戸別所得補償の財源を捻出していますが、今後も不況の影響で税収の増加が望めない中、このような補助金の大盤振る舞いでは、近い将来、必ず財源問題で行き詰まることは明白と、判断しています。
 これまでは、米に代わって大豆など産地化を図りたい品目に対して、生産調整、いわゆる転作にかかる産地確立交付金を多めに配分するなど、地域の裁量で決めることができましたが、戸別所得補償制度の中の水田利活用自給力向上事業においては、麦、大豆、新規需要米などを対象に全国一律の助成額にしたことで、これまでの地域独自の取り組みを台無しにした点も非常に問題であります。
 ここに民主党政権が実施しようとしているこの戸別所得補償制度の問題点が集中していると言えます。
 一体この補償制度は社会政策として考えられたのか、それとも産業政策なのか。私たちは単なる選挙対策としてのバラマキとしか捉えていませんが、知事はこれをどのようにみなしておられるのか、見解を詳細にお聞かせ下さい。また、このような農業の政策で本当に我が国農業に展望が拓けるものかどうか、所見をお示し願います。
 次に、心配される集落営農組織からの脱会や、俗にいう「農地の貸しはがし」の問題が現実に起きていないかどうか、詳細に説明を求めます。
 さて本県は、これまで水田農業の振興品目として、麦や大豆などに取り組んできました。具体的には、製粉会社などの実需者ニーズにあった品種の選定、技術改善による品質向上など、生産者一丸となって課題解決に取り組んできました。
 農家の皆さんの努力が実を結び、現在では、全国有数の麦や大豆の主産県になっています。 しかし、来年度からの制度変更には大いに不安を抱いている農家が決して少なくありません。
 そこで、戸別所得補償制度が実施される中、本県の水田農業を支える主要品目である麦、大豆の振興にどのように取り組んでいくのか最後に知事の考えをお伺いします。

(農政問題について)

 ほ場整備の進捗と麦の収量の変化について


 麦は本来、畑地で栽培される作物であり、水田に作付される本県では、排水不良により安定した収量が得られないことから、ほ場整備によ る暗渠(あんきょ)排水を行って参りました 。

 ほ場整備率が四十パーセントを超えた昭和六十年には小麦の収量が十アール当たり約三百二十キロとなり、整備率が約八十パーセントとなった現在では、収量も約三百八十キロと増加しており、ほ場整備の効果があがっているものと考えております。










 国の予算が大きく削減される中での農業農村 整備事業の推進について

 農業農村整備事業は、ほ場や農道の整備、ため池改修などの実施により、生産性の向上や生 活環境の改善を図り、本県農業・農村の振興に 貢献しております。

 事業の推進は、国の予算に大きく依存しており、今後とも計画的な整備を行っていくためには、国としての一定の予算確保が必要と考えております。

 平成二十二年度予算につきましては、継続地区の早期完了や緊急性の高い新規地区の着手に必要な予算を計上しております。      

       






 戸別所得補償制度に対する見解と水田農業の展望について

 この制度は、県下約四万三千戸の水稲共済加入者をはじめ、米を販売する全ての農家が対象であり、規模の大小に関わらず一律に支援する仕組みになっていることから、政策のねらいがわかりにくくなっています。

 今後、更に高齢化が進行していくことを考えますと、県としましては、法人化された組織など永続性のある担い手が中心となる生産構造に誘導していくことが、水田農業の持続的な発展に必要であると考えており、これに資する制度となるよう提案しております。




 






 集落営農組織からの離脱等の動きについて

 組織リーダーを対象とした経営改善研修会や、市町村、JAなど関係機関による担い手育成検討会などにおいて、「法人化が進まなくなる。」「集団的な土地利用調整ができなくなる。」また、「大規模農家の中には、組織から離脱したいという声が一部にある。」などが報告されています。

 現在、戸別所得補償制度の説明会が、集落段階において行われておりますが、集落営農組織からの離脱や、地権者からの農地の返還要求などの具体的事例は発生しておりません。











  国の制度が変更される中での麦・大豆の振興について

 今回の制度変更により、麦や大豆に対する交付単価が全国一律とされ、助成水準が低下する地域が生じることから、生産意欲の減退が懸念されます。

 しかしながら、麦・大豆は、本県の水田農業にとって不可欠な作物であり、担い手の経営安定に繋がる支援が必要と考えています。

 このため、大豆では、新たに収量向上と安定生産をめざす新品種の開発に取り組むとともに、麦では、昨年販売を開始した「ラー麦」のブランド化を更に進めて参ります。 



 次に教育問題についてお尋ねします。

 文部科学省は、来年度予算について事業仕分けで廃止や見直しなどの指摘を受けた事業に対して、国民の意見と予算結果がどうなったかをホームページで公表しています。

 それによりますと、対象事業七十四項目のうち文科省の予算要求通りの仕分け結果が出た一項目と国民から寄せられた意見で賛成・反対の割合が明確になっていない三項目を除く七十項目で、驚くべきことに実に六十七項目の事業に対して、国民から寄せられた意見の五割以上が事業仕分けの結果を評価しないとしています。

 ノーベル賞受賞の科学者たちや芸能、スポーツ関係者たちが異を唱えたことからも明らかなように、まさに事業仕分け自体が国民の意見とどれだけ乖離していたかが明確に示されています。
 さらに不思議なことに、事業仕分けで廃止とされた事業で国民の反対意見が多かったにもかかわらず、「学校ICT活用推進事業」のように予算化できなかったものもあれば、「子どもの読書活動推進事業のように」削減されながらも予算化されたものもあり、これでは事業仕分けの意味自体がないことを白日の下にさらけ出したようなものであります。
 むしろ公表すべきは財務省と各省庁の査定のやりとりの内容ではないでしょうか。
もともと、文科省に対する事業仕分けは、現政権が政権を取る前、昨年四月二十三日に「学力・体力調査」、「心のノート」、「教員免許更新制」など6項目に絞って実施していますが、ここで対象となっている内容はまさにこれまで日教組が実施そのものに反対をしてきたものであります。
 まさに日教組による恣意的な仕分けであり、この流れが今回の事業仕分けにもつながっているわけでありますから、日本の教育の危機であると危惧するものです。
 しかも、この六項目の絞り込みについては、前の議会でも指摘しておきましたが、本県で義務教育課長をも務めたことがある文部省OBも関わっていたことは誠に遺憾、というよりは腹立たしい思いでもあります。
そこで教育長に伺います。今回の非常に奇妙な事業仕分けによる国の予算が本県の来年度の教育予算の内容にどのような影響を与えたのか総括的な意見をお伺いします。
 次に国の予算では道徳教育や子どもの読書活動などが削減されているようで、誠に残念なことであります
 日本の伝統と文化を尊重し、日本国民としての誇りと自覚を持たせる教育を求める私たちは、このような教育こそしっかりと行うべきであると考えるところです。こうした点を含めて福岡県の今後の教育方針について明確な答弁を求めます。
次に学力テストについてお伺いします。
 これも事業仕分けの結果文科省要求の抽出率約四割がさらに縮減され、約三割となっていますが、こうした結果自体が正に「競争」という言葉自体を嫌う日教組に配慮した結果といえます。
 公教育に今必要なことは、競争や評価を適切に行い子どもたちが良い意味で切磋琢磨することであり、そのためには今の教育現場に見られる事なかれ主義体質にメスを入れることではないでしょうか。
 学力テストについては、教育長はこれまで我が会派の質問に対して何度も「本県の重要な課題であるから悉皆で実施したい旨」答弁されていますが、実際の予算査定状況はどうなったのですか。市町村はすべて参加するのですか、費用負担はどうするのかお伺いします。
 また本県の今後の学力向上の取り組みは新たな予算の下でどのように進めていくのかお伺いします。
さらに本県は体力の向上も非常に重要な課題であります。国の予算では抽出率約二割となったようですが、本県はどのように実施していくつもりなのですか、学力と同様、体力についても今後の取り組み方針も含めてお伺いします。
 次は教員の精神疾患についてです。
文部科学省のまとめによると、平成二十年度に全国の公立学校の教職員で病気休職になった者は、八千五百七十八人でそのうち精神疾患で休職した者が五千四百人に上り、率にして六十三%を占め、精神疾患の休職者は十六年連続の増加で、初めて五千人台になったということです。
 そのうち福岡県では、病気休職者二百三人のうち精神疾患で休職した者は百三十七人と人数は昨年度より減少していますが、率にすると約六十七%と全国平均を上回っている状況であります。
 さらにこの百三十七人のうち新規の休職者は七十九人であり、残りの五十八人は同じ人が何度も精神疾患により病気を繰り返している状況のようです。
 本県では教職員のメンタルヘルス対策や復職支援をどのように勧めているのか、まず教育長にお伺いします。
 教員が、子どもたちに教育を施すという重大な使命を帯びた職業であり、その負担や苦労は並大抵のことでないことは我々も否定はいたしません。
 しかしながら社会の変化に伴い仕事の内容が変わることや、顧客や取引先など外部からの苦情やクレームは、多かれ少なかれどの職業にも見られることであり、教員だけを特別扱いにするまでもないことです。
 もともと教師としての資質のない人物を採用したがために精神疾患による病気休職になった人物が少なからずいるのではないのでしょうか。そうであれは本人にとっても教育現場にとっても大変不幸なことであります。
「学校現場の多忙化を解消するためには教員を増やすべき」と先の国の事業仕分けにおいてもそのような趣旨のやりとりが行われたようですが、単に教員を増やしても資質のない教員を採用すればさらに病気休職者が増えるだけであります。まず教師の質の向上が先ではないのでしょうか。そのためには教員を適切に評価し、指導力不足の教員を教壇に立たせず、優秀な教員には給与や処遇等で報いるなどメリハリのきいた施策が必要であると考えますが、この点について教育長の考えをお伺いします。


    教育長答弁資料

(教育問題について)
 事業仕分けによる教育予算への影響について

 国の仕分けにおきまして、全国学力テストを始めとして、読書活動、教員免許更新制、道徳教育等の事業について、廃止や縮減、あるいは今後の検討等との見直しがなされましたが、平成二十二年度予算への大きな影響は生じておりません。

 

 今後の教育方針について

 教育は国家百年の計とも言われるように、その推進には、普遍性と中立性を旨とし、長期的な展望を持って取り組むことが重要です。

 このため、これまでも、教育基本法の理念に基づき、具体的な教育施策や事業を実施してきたところであり、特に、本県の教育指針である「福岡県の教育施策」においては、平成十八年に改正された教育基本法の趣旨を踏まえ、基本目標の中に、道徳心や公共の精神の育成、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛する態度の育成などの理念を明確に示したところです。

 今後とも、教育基本法の理念等の一層の具現化に努めて参りたいと考えております。




 本県学力テストの悉皆による実施について

 本県においては、児童生徒の学力向上を最重要課題と位置付け、悉皆による調査が不可欠であるという認識の下、来年度も引き続き悉皆による学力調査を実施することとしております。

 現在、すべての市町村が本調査への参加を表明しており、当初予算においては、調査に要する経費のうち、国の抽出調査部分を除く事業費を計上しているところです。

 


 本県における今後の学力向上の取組について

 これまでの悉皆による学力調査により、各市 町村や学校では、学力向上に関する積極的な検 証改善サイクルが確立され、授業改善や教職員 の研修の充実、市町村が主体となった地域ぐる みの取組等がなされております。

  今後も、こうした取組を基盤として、学力向上新戦略に基づき、強化市町村等への学力向上支援チームの派遣や非常勤講師の配置等の施策を通して、本県児童生徒の一層の学力向上に努めて参ります。

 

 体力調査の実施について

 文部科学省が実施する「全国体力調査」は抽出となりましたが、本県では、各学校における指導上の改善点を明確にするため、児童生徒一人一人の体力状況を把握することが重要であると考えております。

 したがって、来年度は、小学校1年生から高等学校3年生までの全学年を対象に全ての学校で「体力調査」を実施するよう指導して参ります。



  
 今後の体力向上の取組について

 本県においては「ふくおか体力アップ推進事業」を実施するとともに、教育力向上福岡県民運動において、学校を中心に家庭や地域と連携し、子どもたちの外遊びや運動・スポーツの奨励などの活動を展開しております。

 来年度は、小学校に模範演技や技術指導等を行う外部指導者を派遣するとともに、運動が得意でない児童生徒に対する方策を講じるなど、さらに体力向上の取組を充実させて参りたいと考えております。




 メンタルヘルス対策や復職支援について

 県教育委員会では、教職員のメンタルヘルス対策として、精神科医等によるカウンセリングをはじめとして、複数の窓口で相談に応じますとともに、管理職や中堅職員を対象として、ストレスマネジメント研修を実施しております。

 また、心身の故障により休職となった教職員が復職する場合、復職前に職場において訓練を実施することとしており、これにより長期間職場を離れていた教職員の勤務に対する不安を取り除いたり、良好な職場環境づくりを事前に整備できるなどの効果が得られております。




 教員の適切な評価と処遇面での対応について

 本県では、全教職員を対象に人事評価を実施し教員一人一人の意識改革や資質能力の向上に努めているところです。
 その中で指導力が不足している教員に対しては、学校外での研修施設で課題克服に向けた研修を命じるとともに、研修期間中は勤勉手当の成績率や昇給号給数を減じることとしております。
 また優秀な教員に対しましては表彰を行うとともに、直近の勤勉手当の成績率を優遇しており、今後も給与等の処遇について評価に見合ったメリハリある施策の検討をしてまいりたい。

 教育問題の最後に、というよりも私の代表質問の最後として、教職員の大量退職と採用問題について伺っておきます。
 団塊の世代が大量に定年退職を迎え、そのピークが二〇〇七年にあたることから、
二〇〇七年問題としてその的確なる対応が、数年前からこの県議会でも多くの論議を呼びました。
 教職員については、雇用総人数を決めるのが、主に各学校の学級数であるため、単純に二〇〇七年問題とは連動しないようでしたが、改めて本県の教職員の年齢構成を見ますと、五十歳以上が全体の四十%を占めているではありませんか。
 ここ五年の間に小中学校だけでも千七百人を超す教員が退職するようで、これから順次いわゆる二〇〇七年問題が起きてくるわけです。
 大量に退職するということは、実は大量に採用する必要が生じてくるということに繋がります。子どもの数の減少も歯止めがかかった今、学級数の大幅な減は考えにくいところです。とすれば、教員採用者数を増やすということになりますが、その場合の倍率はどのくらいになるのでしょうか。
 あまり低い場合は、優秀でない教員を採用してしまう結果になりはしないでしょうか。
 確かに再任用制度がありますが、大きくは新規採用での対応となると考えます。
 結果として、優秀でない教員を採用せざるを得ないということになれば、最も被害を被るのは子どもたちです。全国的にも学力テストの結果が悪い本県で、力のない教員が教壇に立つことは避けるべきです。
 既に大量退職期に入っている都道府県もあると思いますが、そういったところではどのように対応しているのでしょうか。
 「大量退職による蓄積された教師力の後退」から、「能力の高くない教員の採用による授業の質の低下」、ひいては「子どもの学ぼうとする意欲の減少」、そして学力テストは依然として全国平均より低迷、というまさに好ましくない連鎖状況が容易に想定できるところです。
 もし民主政権が現在の四十人学級編成を三十五人学級にすれば、さらに大量の新人を採用する、つまり優秀とは言えない教員の採用がますます増えてしまうことになりかねません。これを止めるためには、教員採用の平準化、つまり大量退職前の前倒し採用をするべきではないでしょうか。
 本県には県警察本部が平成十四年から十七年にかけてこの制度を採用し、防犯対策をはじめ県民の治安維持につながった前例があります。県民も初めてではないし、我が子のため、明日の福岡県のため、前倒し採用による一時的な負担増は十分理解して頂けるのではないでしょうか。
 県教委としても是非、このことに取り組むべきだと考えますので、その決意のほどをお聞きいたします。
 以上で私の自民党県議団会派を代表しての質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

    教育長答弁資料

(教育問題について)

 教員の大量退職と採用について


 大量退職期においては、新規採用者数の増に対応できる受験者の質や量を確保するとともに、年齢構成の適正化や、新規採用教員の指導力を高めることにより、学校の教育力を維持向上することが課題と捉えております。

 このため、一人でも多くの受験者が確保できるよう、大学等への積極的な広報活動等を行うとともに、経験豊富な退職教員を任用し、新規採用教員の指導に当たらせるなど指導技術の維持向上に努めて参りたいと考えております。

 併せて、大量退職期を見据えて、新規採用数を増加することにより、採用数の平準化を図り、優秀な教員の確保に努めて参りたいと考えております。




  教員の大量退職期における他県の対応について

 既に大量退職期を迎えている県においては、大量に優秀な受験者を確保する必要があるため、積極的に県外へ出向いての採用試験説明会を実施したり、福岡県や宮城県などで採用試験を実施する等して、新規採用教員の確保に努めていると伺っております。


   
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