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自民党県議団 代表質問 平成21年9月29日(火)

   9月18日(金)に開会した9月議会は9月29日(火)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 我が自由民主党は、昭和三十年の保守合同以来、僅かな一時期を除き一貫して政権の重責を担い、国家の安寧保持と国民の福祉向上に大なる貢献を果たして参りました。
 今回、総選挙の結果、有権者の審判によって、政権与党の信任を得られずに下野する事態を招来したことにつきましては、ご支持戴いた多くの県民の皆さまには大変申し訳なく、誠に慚愧の念に耐えません。
 これから粉骨砕身、勇気を持って党再生に努め、現下の困難に力強く立ち向かってゆくことを、改めて県民の皆さまにお誓い申しあげるところであります。
 以下、そうした思いでまず、知事の基本的な政治姿勢について代表質問を行います。
 さて、これからは福岡県政はもとより地方の政治・行政のあり方も、新たな政権の下、これまでの進め方の再検討を余儀なくされるものと予想されます。
 その際、重要なことは、新政権の体質と政治手法を冷静に見極め、教育、民生、経済、農政、自治などこれまで培ってきた幅広い行政分野の基盤や実績が決して後退することのないよう、新政権に対して毅然とした態度を貫くことが肝要かと存じます。
 とりわけ麻生知事は、福岡県の知事にとどまらず、全国知事会長としての立場にもあるわけですから、この点、よくよく肝に銘じて頂きたいと存じます。
 そこでまず今回の政権交代について、どのように評価されているのか。また、選挙期間を通じて、民主党なり連立政権の政治理念をどのように受け止められたか。その上で、今後新政権に対してどのような政治姿勢で臨まれるのか。知事の政治家としての率直な見解をお尋ねします。
 また、今回の選挙は本格的な政権公約選挙、まあ俗に「マニフェスト選挙」といわれ、マスコミではもてはやされました。
 しかし、民主党の公約が必ずしも支持されていたわけでなかったことは、その後の世論調査で明らかになっていることであり、各位ご承知のことと存じます。
 にもかかわらず、鳩山代表は、選挙期間中、約束したことが実現できなければ潔く政権の座を降りる、そんな趣旨の勇ましい演説までしています。
 そこで、「マニフェスト選挙」に対する知事の冷静な認識を、併せてお尋ねします。その上で、以下、地方行政、地方自治と関わりが深く、それだけに大変懸念される民主党新政権の体質や公約の問題点などについて、貝体的にいくつか、知事の見解や対応方針をお尋ねします。
 まずは、地方分権についてであります。
 これまで長年にわたって着実に推進されてきた地方分権改革が後退するのではないかと、大変心配されるところです。
 と申しますのも、民主党の政権公約(マニフェスト)では、「中央集権から、地域主権へ」を高らかに政権構想の柱に掲げ、事務権限の地方への移譲と「自主財源」の大幅増を強調しております。
 ところが、そのため最も必要とされる地方税源の充実や税源移譲、望ましい地方税体系については、敢えて言及していないからであります。
 また、民主党のいう「自主財源」は、国の「ひもつき補助金」を廃止してつくる「一括交付金」を意味しているだけであります。
 国が財布を握り、国から交付される資金が「自主財源」になるはずがありません。
 地方の貴重な固有財源である地方交付税との関係も明らかにされていません。
 加えて、国・地方の役割分担の見直しは、無駄や不正の排除を主目的にする「行政刷新会議」で行うこととされています。国の行政改革の一環として地方分権を位置づけていることが明らかです。
 現に、公共事業や人件費、補助金改革など地方財政に関係深い分野を含め九.一兆円の節約を図るとされています。これでは、一括交付金化を名目に、地方交付税も含めて地方の一般財源が一方的に削減される恐れが大いにあるといわざるを得ません。
 さらに、民主党は、ガソリン税、軽油引取税、自動車取得税などの暫定税率を全廃することを目玉にしております。
 これに伴う地方税収への影響にも極めて大きなものがあります。
 つまるところ、民主党の主張する地方分権は、自主財源の大幅増を唱えながら、政府の財政当局がこれまで強力に進めてきた地方歳出削減一辺倒の地方分権改革になりかねないものです。
 地方が未だにその後遺症に悩む三位一体改革の再現になってよいものでしようか。
 去る八月七日、知事は、全国知事会長として、地方分権改革に関する討論会を主催し、自民、公明、民主各党の政策責任者と意見を戦わせました。翌日には、地方分権に関する政権公約について、各党政権公約の採点結果まで公表されておられます。
 地方税について、自民・公明は具体的提言を行っています。にもかかわらず自民・公明と僅差の採点が民主にもなされました。
 この三党との討論会の場で、地方税源の拡充について、一体、民主党からどれだけ納得いく説明を受けることができたのでしようか。この点、まず知事に確認致します。
 次に、我が国の成長戦略についてであります。
 先月末に公表された七月の完全失業率は、五.七%と、過去最悪の水準に達しました。
 我が麻生政権時代のあいついだ経済対策の、その効果によって、我が国景気は今のところ底入れした、とみられていますが、決して楽観できる状況にはありません。
 経済対策の着実な実行が、今、最も要請されています。
 しかしながら、新政権は、明確な経済成長戦略を明らかにしないままであります。
 不備を指摘されて政権公約(マニフェスト)に追加した経済政策も、結局はバラマキと言うべき、子ども手当等による家計への現金支給に過ぎませんでした。
 そこでまず、新政権の当面の経済政策をどのように評価されているのか、信頼に足るものと考えられているのか、知事にお尋ねいたします。
 

麻生渡知事 答弁要旨


(知事の基本的な政治姿勢について)
 今回の政権交代について

 わが国においては、東京一極集中がますます進む一方、高齢化と人口減少が同時進行し、多くの地方が疲弊しております。また、将来の社会保障制度に対する不安や、長期にわたる日本経済の停滞による閉塞感が拡大しております。 今回の選挙は、このような状況に対し、新しい、希望の持てる社会を作ってもらいたいという思いが託されているものと考えております。



 民主党なり連立政権の政治理念について

 民主党の政治理念は、国民の生活が第一と考える国民主権を貫徹すること、また、活力ある地方を創造し地域主権の国家を築くこと、さらに、官僚主導を打破し、政治主導のやり方に変えていくこと、の3つが中心であると考えております。
  
  



 新政権への対応について

 新政権には、地方重視の政策が取られることを特に期待しております。新政権が地域主権を目指す中、真の地方分権の実現を強く求めてまいりたいと考えております。
 また、医療・福祉をはじめとする社会保障制度改革、中小企業の活性化・農林水産業の振興等による地域の再生など、共通の目標に向けて、積極的に働きかけていきたいと考えております。




 マニフェスト選挙に対する認識について

 マニフェストは、有権者に政策を明確に知らせる政権公約であり、政党による政策研究が真剣に行われ、各政党が政策を競い合うことにより、政策重視の政治へと転換するものであります。
 また、マニフェストにより、政策が確実に実行されているか検証できるようになり、責任ある政権運営が求められることとなります。
  





 民主党の地方税源の拡充に対する考え方について
 
 民主党のマニフェストでは、地方税源の拡充について明記されておりませんでしたが、公開討論会においては、国から地方への事務事業の移譲に伴い税源移譲を行うことや、年金制度改革に伴う税制抜本改革の際、地方消費税の拡充は有力な選択肢であるとの考え方が示されたところであります。
  



  


  

 新政権における当面の経済政策について

 現在の経済状況は、一部に持ち直しの兆しががあるものの、依然として厳しい状況であり、経済・雇用対策は一刻も猶予できないと考えております。
 このような状況下、国の補正予算の見直しにあたっては、地方の実情、事業の必要性を強く訴えてきたところであります。
 また、景気が二番底に入る可能性もあり、細心の注意を払って景気対策を実行することを期待しております。



 次に、暫定税率の廃止問題と高速道路の無料化についてであります。知事の見解を確認しておきたいと思います。
 いわゆる道路特定財源問題については、昨年当初、当時野党の民主党による政局至上主義ともいうべき無責任な対応と駆け引きの中で、四月一日からの一か月間ではありましたが、その短い期間に揮発油税や軽油引取税、自動車取得税の税率が上下し、国民生活や石油業界、自動車販売業界、さらには地方財政にも大変な混乱と迷惑を及ぼす結果になったことは記憶に新しく、今でも苦々しい思いを忘れることができません。
 当時、麻生知事は、暫定税率の廃止は地方財政に大きな歳入欠陥をもたらすだけでなく、国民の経済活動にも多大な影響を及ぼすとみて、全国知事会長として暫定税率の維持に努められています。このことは記憶に新しいところであります。
 翻って今回、鳩山政権は、数を頼みに再びあの暴挙、いや愚挙を繰り替えさんとしています。地方財政がさらに苦境に陥ることは確実であり、地方政治に関わるものとして、怒りを覚えるところであります。
 そこで知事にお伺いします。今回、暫定税率が廃止された場合、本県でどれだけの減収となるのでしょうか。また、その場合、たとえば道路等の県事業全体にはどのような影響があるのでしょうか、具体的な答弁を求めます。
 また、新政権では、高速道路について無料化を進めるとされています。
 これまで料金収入で賄ってきた借入金の返済を、税金で支払うということであり、これは高速道路をあまり利用しない者にとっては負担増を課すことにもつながり、公平負担の原則からみても認め難いものであります。
 さらには、乗客を奪われることになるJRや高速バス、フェリーなど公共交通機関を運営する企業との事業調整や経営支援策も必要となってまいります。
 選挙での目先の人気取りにとらわれるあまり、そうした様々な配慮がまったく欠けていると指摘せざるを得ません。
 そこで知事にお伺いします。まず、高速道路無料化についての評価をお示し願います。
 次に、仮に無料化が実施された場合、本県経済や県民生活にはどのようなことが懸念されるでしょうか、具体的にお答え願います。併せて、これも八月末の記者会見で知事が言及されていたと思いますが、建設中の東九州自動車道に対してどのような影響が及ぶのか改めて所見をお伺いします。

(暫定税率の廃止問題と高速道路の無料化につい て)
 暫定税率が廃止された場合の減収額及びその影響について

 県税のうち軽油引取税と自動車取得税、さらに地方譲与税にも影響があり、仮に平成二十一年度当初予算額を基礎に試算すると、約百四十八億円の減収が見込まれます。
 暫定税率が廃止されれば、本県財政に深刻な影響を招き、道路事業を含む様々な財政需要に円滑に対応できなくなると想定されるため、地方税に係る暫定税率は、今後も維持すべきであると考えております。

  

 高速道路無料化の評価について

 高速道路の無料化につきましては、利用者の負担により維持管理、建設、債務償還を行う受益者負担の原則を廃止し、税金により対応することが適切なのかという点を十分検討すべきと考えます。

 
 
 高速道路無料化の影響について

 現時点では無料化に向けた具体的内容は示されておりませんが、仮に無料化された場合は、利用者の負担軽減や移動の活発化による地域活性化の効果が期待できる一方、次のような影響も考えられます。
 料金収入に代わる財源の確保については、公共事業全体への影響、特に高速道路会社で建設中の高速道路への影響が懸念されます。
 また、交通体系への影響については、フェリー航路や高速バス、鉄道等の採算性への影響が大きく、交通体系全体のバランスが崩れることが懸念されます。
 渋滞の影響については、高速道路での渋滞による物流などへの影響が懸念されます。
 これらを総合的に踏まえ、検討していく必要があると考えます。

 

 建設中の東九州自動車道への影響について

 東九州自動車道は、九州全体の発展や自動車百五十万台構想などを考えた場合、どうしても必要不可欠の道路であります。
 高速道路を無料化した場合は、料金収入に代わる建設のための財源を国において別途確保し、予定通り完成出来るようにすべきであると考えます。
 

 次に、今県議会に提案されています九月補正予算議案についてであります。
 今回は総額七百二十億円と、大型とされた六月補正をさらに上回る過去最大規模の補正予算のようであります。
 昨年の九月補正がわずか七億円余りであったことを振り返れば、いかに大型で異例の規模であるか一目瞭然であります。
 その内容は、七月の集中豪雨に伴う災害復旧が一つの柱になっております。尊い生命が失われ、県下全域で甚大な被害が発生しており、我が会派といたしましても、一刻も早い復旧、支援が実現することを願うものであります。
 もう一つの柱は、六月に引き続き、景気雇用対策であります。知事は国の補正予算を活用してこの予算を組んだと明言されております。国の補正予算とは世界同時不況を克服するために、前政権が四月十日、「経済危機対策」として取りまとめ、国会の審議を経て成立したものであります。
 さて、県の九月補正予算総額の半分以上、三百六十六億円は基金積立金であります。
 これらの基金の財源となっている国の補正予算について、新政権は自分たちが既に掲げた「子供手当」などに必要な当面の財源七兆円を生み出すために、一部を執行停止するとか、また、未執行分を回収するなどの報道が乱れ飛びました。
 地方自治体の基金については除外するとの見通しが強まっていますが、最終決定する二日までには、予断は許さないところです。
 麻生知事は、八月末の記者会見で衆議院選の結果について見解を求められ、「現下の閉塞感の中で新しい日本づくりを求める有権者の期待が結果として現れた選挙であった」と誠に立派な評論家ばりの総括をされております。
 我々としては、少々、聞きづらい発言ではありますが、その期待される新政権がまず最初にしようとしていることが、地方にも多大なる迷惑をもたらす予算の凍結であったとすれば、大変皮肉なものであります。
 そこでお伺いいたします。国の補正予算の凍結や未執行分の回収などの事態が現実のものとなれば、過去最大規模とされる本県の補正予算の根底が瓦解しかねない暴挙となります。
 私共は、いったん国会の判断として可決されたものが、政権の事情で保留や凍結されるなどということは、法律上、さらには予算会計制度上、断じてあり得ないと考えます。
 当然、知事も同じような考えで予算を編成し、この議会に提案されているものと判断しますが、この際改めて明確なる態度表明を求めておきます。
 また、全国都道府県議長会は既に、補正予算の対応を民主党に申し入れております。
 全国知事会長としても、六団体を取りまとめ、新政権に対し毅然たる対応をすべきであると考えますので、明確な見解を求めます。


(九月補正予算について)
  国の補正予算見直しに対する見解について

 本県の補正予算は、厳しい財政状況の中、国の補正予算を活用し、需要の創出と地域経済の活性化を進め、景気の下支えを行うとともに、災害対策、福祉・子育て支援、環境対策など、喫緊の政策課題に対応するため編成したものであります。
 このため、既に六月議会で議決を受けた補正予算はもちろん、今般提案している九月補正予算につきましても、議決の上は、着実に執行してまいる考えであります。
 本県の補正予算に係る様々な事業が、国の補正予算凍結の対象とされ、事業の執行に支障があってはならないと考えており、国に対し、強く求めてまいります。



  


 補正予算見直しに関する全国知事会長と しての対応について
 
 新政権発足前の九月九日、地方六団体の代表者と共に民主党の鳩山代表等に面会し、補正予算の見直しは地方への影響が大きいことから、地方の実態を踏まえた判断をされるよう求めました。
 九月十六日には六団体声明を発出し、この中では、経済・雇用対策には一刻の猶予も許されないとの認識の下、地域の実情や事業の必要性等を丁寧に検証するなど、地方関連予算に対する最大限の配慮を求めまました。
 現在、新政権から補正予算の見直しに当たっては地域経済や国民生活等に与える影響も勘案するという考え方とともに、地方の基金事業については一時留保の対象外とする方針が示されておりますが、この考え方が具体的に徹底されるとともに、地域経済・雇用の実情を踏まえ、国、市町村を含め地方関連予算に対して十分な配慮がなされるよう引き続き新政権に強く働きかけてまいります。




  

 

 次に先の集中豪雨と今後の対策についてただします。
 さる七月末、中国・九州北部を集中豪雨が襲い、福岡県だけでも十名の方の尊い命が奪われました。
 冒頭まず、今回の豪雨でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げます。
 この豪雨では、土砂災害による人的被害が甚大でありました。本県十名の犠牲者のうち実に六名が土砂災害によるものでした。
 ところで、警戒区域の指定が、福岡県は極めて低いことに驚きました。危険箇所一万三千百五十に対して警戒区域五百三十箇所、指定率四%であります。
 土砂災害警戒区域で日頃から災害発生の危険性を住民に知らせ、併せて円滑な避難等を地域住民に周知させるために、市町村ではハザードマップというのが作られています。
 活用するならば、住民の災害への意識も高まり、いわば「防災マップ」ともなり得るものと判断しているところですが、マップの作成は市町村事業であります。さらに、都道府県が警戒区域を指定しない限り、市町村はハザードマップの作成を義務づけられてはいないようです。
 これでは本県のように、県による警戒措置区域の指定が極端に低ければ、市町村でマップの作成が進まないのも当然であります。
 そこでお尋ねします。今回の集中豪雨による犠牲について、一部ではハザードマップがなかったための「人災だ」という声さえあります。二人の犠牲者を出した篠栗町の現場も、本来、警戒区域に指定すべき地区であったようです。
 かつて大災害に見舞われた鹿児島県は、指定率五十二%で、四%の本県とは雲泥の差です。一体、本県でなぜ指定が進まないのか、知事の見解と今後の対応をお示し願います。
 また、土砂災害と同時に、水防法で県が浸水区域図の公表を行い、これに基づき市町村が作成する洪水ハザードマップがあります。頻発する洪水災害から住民を守るには、やはり欠かすことのできないマップのようです。
 現在、県の浸水想定区域図の公表状況はどのようになっているのか、今後の取り組みについて併せてお尋ねします。
 今回の災害では、もうひとつ、気になる報道がありました。災害時の住民に対する避難基準を全国の市町村の六割が未だ整備していないということであります。
 本県の市町村でも、水害と土砂災害との避難勧告・指示の発令基準の策定率は、全国平均が各々四十二.六%、三十八.九%であるのに、福岡県は三十.三%、二十七.九%と、いずれも全国平均を十ポイント以上下回るようです。
 先に不備を指摘したハザードマップが仮に揃っていたとして、住民は日頃から住んでいる地域の土砂災害や洪水の危険性を認識していても、豪雨等の具体的な危険から住民を回避できるのは、市町村長が発令する避難勧告・指示であります。
 いわばハザードマップと避難勧告発令基準は車の両輪であります。
 二つがそろって始めて、危険回避が可能となるわけであります。
 そこで県は、県として警戒区域の指定を急ぐ一方、市町村に対し早急に発令基準に取り組ませるべきですが、県としての見解と対応をお尋ねします。

(集中豪雨と防災対策について)
 土砂災害警戒区域の指定について

 土砂災害警戒区域の指定のためには、地形、地質、降水の状況等に関する基礎調査が必要であり、全箇所について現地調査をするなど、作業量は膨大なものとなります。
 また、区域指定による土地のイメージや地価への影響の懸念から、関係市町村長や住民の理解を得にくいケースもあり、区域指定に時間を要しております。
 現在、区域指定の箇所数は、五百三十箇所であり、年度末に向け、さらに指定の推進に努めているところであります。
 今後は、基礎調査方法の改善による所要時間の短縮を図るとともに、関係市町村との連携強化により、指定の促進に努めてまいります。

 

 

 


 

 県の浸水想定区域図の公表状況と今後の取り組みについて

 公表の対象となる三十九河川のうち現在公表しておりますのは三十二河川であり、残り七河川についても今年度中に公表を行う予定であります。
 今後は、公表した浸水想定区域図に基づき洪水避難地図を作成する市町村に対し、支援に努めてまいります。

 

 

 


 

 市町村の避難勧告等発令基準の策定について

 住民が迅速かつ円滑に避難し被害の軽減を図るためには、市町村長が適切に避難勧告・指示ができるよう発令基準等を予め策定しておくことが重要であります。
 そのため、これまで市町村に対し、防災担当課長会議等を通じて策定するよう促しており、今後は、未策定市町村に対する個別ヒアリングを実施し、先進事例の紹介や策定に向けて各市町村が抱える課題・問題点に関する具体的な解決策の助言など、より一層積極的な支援を行って参ります。


 次に、福祉問題についてお聞きします。
 まず、私たちが長寿医療制度と呼んできたところの後期高齢者医療についてであります。
 民主党の長妻厚生労働大臣は就任早々の記者会見で「年齢区分で区切る仕組みは廃止する」として、いとも簡単にこの長寿医療制度の廃止を明言しました。
 かつ、どんな内容なのか、そのイメージさえも明らかにしないままに、新たなる「地域保険」なるものに再編する方針を明らかにしています。
 この長寿医療制度は、高齢者が国民健康保険などに加入したまま医療サービスを受ける従来の制度では運用に破綻を見せ始めたところから、約十年に及ぶ検討と議論を経て導入を決め、昨年四月から実施したものです。
 運用当初こそ、年金からの保険料天引きなどについて周知不足のため、確かに混乱を招いたことは否めない事実でありましたが、既に制度発足から一年半、この長寿医療制度への理解が深まり、大変落ち着いた状況になってきていたのでありました。
 このことは、日本医療政策機構が今年一月に行った世論調査で、現行制度を維持すべきだとする人が高齢者の間では六割にのぼっていることでも明らかであります。
 もともと従来の老人医療制度では、今後の展望が開けず、新しい制度づくりが必要なることは、民主党の方々も深く理解されていたはずであります。
 そのゆるがぬ証拠は、平成十二年には、共産党を除く全政党が一致して「老人保険制度に代わる新たな高齢者医療の創設については、早急に検討し平成十四年度に必ず実施する」との決議が国会で採択されていることであります。
 もし、この長寿医療制度をただ単に廃止するだけでは、七十五%の世帯で保険料がアップし、地域間格差も二倍以内から五倍に逆戻りし、また、廃止したまま放置すれば、市町村の国民健康保険制度は破綻し、現役世代にも大変な事態をもたらすことは、目に見えているのであります。
 従いまして、今最も望まれることが、長寿医療制度のさらなる見直しによる存続と、そして拡充であることは誰の目にも明らかだと思います。
 例えば、高齢者の保険料負担を過大にならないよう、公費負担拡大への取り組みや、低所得者については、保険料九割軽減措置を継続し、外来患者負担の月額上限を半減するなどの具体的措置であります。
 今、この長寿医療制度の廃止について、全国で反発の声が挙がっています。
 京都府の広域連合は既に長寿医療制度の堅持を求める決議をしています。
 制度を主導してきた日本医師会も、「廃止すれば現場が混乱するだけ」との立場であります。
 そこで、この長寿医療制度について、知事がどのような評価のもとで県下でのこの医療制度の指導にあたられてきたのか、その所見と取り沙汰される廃止についての率直な見解、さらに今後の長寿医療の継続で、見直しが必要とされるものについては、どのようなものを考えておられるのか、忌憚のない見解をお示し願います。
 次に、障害者対策について、であります。 ご承知のように、障害者自立支援法が制定されて早や三年半が経過しようとしています。
 この法律についても、新厚生労働大臣は廃止を明らかにしています。一口で言えば、混乱を招くために廃止を明言しているとしか思えないような事態でもあります。
 障害の種別に関わらず、障害者が必要とするサービスを身近な市町村が責任を持って一元的に提供することとなるなど、従来の制度を大きく変えるものであった、と我々は認識しています。
 確かに、サービス利用の抑制や、施設等における報酬が減少するなど一部で問題もありました。
 このため、本年四月から報酬の改定を行うなどの改善が図られてきました。
 さらに本年三月末には、利用者負担の応能負担原則など抜本的見直しも含んだ改正案が国会に提出され、我々は障害者自立支援の促進に大きくつながるものと期待していたところです。それだけに、廃案となってしまったことは誠に遺憾なことでありました。
 そこで知事にお伺いします。まず、この障害者自立支援法についての評価であります。新政権は廃止を明らかにしていますが、障害者福祉に大いに禍根を残すと判断しています。知事は、どのような所見を持たれているのか明確にお示し願います。
 昨今の雇用情勢の悪化を受け、今、障害者の雇用状況は一層厳しさを増しているようです。
 そうしたなか、障害者の施設では、障害者の収入アップに向けて、様々な取り組みを行うなどそれぞれが努力をされているようですが、安定した収入の確保には繋がっていない状況であります。県内の授産施設等の工賃は、一万二千円に満たない状況と聞いております。授産施設等の工賃水準の向上を図ることが、障害者の自立に繋がるものと考えます。授産施設等の工賃向上に向けて、県では、これまでどのような取り組みを行い、今後どのような対応を考えておられるのかお聞かせ下さい。
 次に、精神障害者への公共交通機関の乗車運賃割引についてであります。
 この件につきましては、議会においても「精神障害者に対する交通運賃の割引等手帳サービス拡大に関する請願」を採択し、執行部においても、これまでもJR九州や西日本鉄道に対して強く要望されてきた事情はよく承知しておりますが、未だ実現に至っておりません。
 企業がなにゆえにためらっているのか、大変もどかしく感じられるところでもあります。県として、実現に向けての今後の取り組みをお示しください。
 福祉問題の最後に、介護保険制度の新認定基準について、ひとこと触れておきます。
 今年四月、五月の要介護認定で、新規の認定申請者が「介護保険サービスは不要」と判断される非該当が、旧基準の昨年同期に比べて急増し、高齢者の不安を招いているようです。全国的な傾向のようで、本県でも例外ではなさそうでありますので、その実情を詳しく説明いただくともに、不安解消のための今後の措置についてお聞きしておきます。

(福祉問題について)
 長寿医療制度に対する評価と制度の廃止に対する見解について


 この制度は、高齢化の進展により増大する医療費を公平に分担し、国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度を将来にわたって持続していくことを目的として創設された制度です。
 この制度の発足時には、多くの不備や批判もありましたが、その後の高齢者の保険料の負担軽減、激変緩和措置の結果、制度として定着・安定しつつある状況であります。
 仮にこの制度を廃止し新しい制度を創る場合には、高齢者と現役世代の負担の明確化や高齢者間の保険料負担の公平性の確保、地域保険とする場合の経営主体をどうするかといった様々な課題を現場への影響を考慮しながら整合的かつ合理的に解決することが重要であり、地方が受け入れ可能な制度とする必要があると考えております。
  
 

 




 制度を継続する場合の見直しについて

 高齢化の進展により医療費が増大する中で、社会保障制度の根幹である医療保険制度をどのように維持していくかは重要な課題であります。
 今後どのように対応していくか、現行制度や新たな制度について、多角的な観点から検討していく必要があると考えます。



 


 障害者自立支援法の評価について

 障害者に身近な市町村が、必要なサービスを 一元的に提供し、「障害者が地域で安心して暮らすことのできる社会の実現」という障害者自立支援法の基本的な考え方は、県が目指す共生社会の実現という目的に沿うものであると考えております。
 ただ一方では、利用者負担の在り方や障害程度区分の認定にあたり障害の特性が十分に反映されていないなどの課題があったと認識しております。



 授産施設等の工賃向上の取組みについて

 工賃アップのためには、売れる製品づくりを 進める必要があり、これまで、工賃水準向上計 画を策定し、製品開発に努めて参りました。
  現在、共同開発した芋焼酎「自立」や県内産 小麦を使用したパンなどのまごころ製品を、多 くの施設に普及するため、アドバイザーによる 技術指導・経営指導に取り組んでいるところで す。
 また、販路拡大に向けて各施設が作るまごころ製品の紹介冊子を活用し、販路開拓を進めているところです。


 

 


 精神障害者に対する公共交通機関の運賃割引について

 精神障害者についても、他の障害者と同様に割引の対象となるよう、これまで、繰り返し、JR、西鉄等の関係機関に要望を行ってまいりました。
 今後、九州各県や両政令市と連携して、実現に向け、さらに積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えています。

 

 



 介護保険制度の新認定基準について
 
 本年四月の新認定基準による非該当者の割合は、全国では二・一倍、本県は一・四倍となっております。
 この基準につきましては、利用者の日頃の状態を、より反映した内容となるよう再度改められ、本年十月一日より実施されることとなっております。
 県としましては、この見直しの内容が認定調査員等に周知徹底されるよう、保険者を助言指導して参ります。




 次に農林水産問題について伺います。
 先の衆議院選挙は、農業政策、特に戸別所得なるものが大きな争点の一つになりました。
 民主党は、販売農家に対し農産物の販売価格が生産費を下回った場合、赤字額を農家ごとに補てんし、農家の所得を確保するとした戸別所得補償制度を公約と掲げ、農政分野でもいわゆるバラマキ政策を展開しました。
 いわゆる、バラマキ農業政策であります。
 財源問題を持ち出すまでもなく、あらゆる面で、その効果や実現性に疑問を感じざるを得ません。
 まず、対象を販売農家に拡大したことです。現行の水田経営所得安定対策では、対象に一定の面積要件をもうけ、認定農業者や法人化した集落営農組織など、将来の担い手育成を考えた誘導政策として実施されています。
 しかし、戸別所得補償制度は、現在の農業構造をそのまま温存するだけです。
 我々は決して大型農業経営だけを目指しているわけではありませんが、これでは、将来的に本県農業を支える足腰の強い水田農業の確立は実現できません。
二つめは、農産物に加え、畜産・酪農業、漁業まで直接補償の範囲を拡大し、さらに、水田農業では、規模、品質、環境保全、主食用米からの転作に応じた加算を行うとしていることであります。
 一体このようなことが現実的に可能でしょうか。農家や漁家毎の補償額や加算額の算出、支払い手続きなどJAや自治体は作業に忙殺され職場の機能が麻痺することは目に見えています。
 当然、職員増を図らねばやれるはずがありませんが、そうすると、これまで苦労して進めてきた定数・人件費の削減は、まったく無駄な努力だったのでしょうか。地方行革に大きく逆行することになります。
 もちろん、現時点は、制度設計の前であり、詳細が明らかになっておりませんので、断定的なことは言えませんが、マニフェストを見ただけでも、今指摘したような懸念を抱かざるを得ません。
 今、農業の現場では日々、農作業にたずさわっている農家の方々から今後、どんなことが起きるのか、政策が変われば、現場が混乱し農業が破綻してしまうと不安と心配の声が聞かれます。農家にこれ以上の迷惑をかけることは、絶対に避けるべきです。
 こうした農業政策の不安を解消するためには、県として揺るぎのない、ぶれのない県農業行政方針を一日も早く示し、これまでの方針にいささかの変更もないことを明らかにすべきであります。
 そこで、只今申しあげました新政権が提唱している農業政策、とりわけ、戸別所得補償制度についての知事の毅然とした見解を求めます。
 また、いずれにせよ、本県は本県として今後ますます、独自の農業政策を求められると思います。
 どのような目標を持って県農業の振興を進めていくのか、知事の所見を伺います。
 一方、農業の現状に目を転じると、世界的な経済不況や消費者の低価格志向などの影響で、農産物の販売価格が低迷しております。
 さらに、資材費の上昇もあり、農家の皆さんの経営はこれまでになく厳しい状況にあります。
 県としても、関係機関の総力を挙げて農家の所得向上に真剣に取り組まなければなりません。経営見直しによる生産コストの削減や生産者自らが取り組む加工や流通への支援などさまざまな方法がありますが、農業所得の向上を図るための方策の一つに、新品種を導入し、付加価値をつけて販売することも重要なことです。
 先般、米の新品種「元気つくし」やラーメン専用小麦「ラー麦(むぎ)」など、本県オリジナル品種の生産が始まったという新聞記事を目にしました。これらの品種の栽培が拡大し、少しでも農業経営の改善に役立てばと期待をしているところです。
 そこで、これらの生産振興にどのように取り組んでゆくのか、知事に伺います。

(農政問題について)
 戸別所得補償制度について


 高齢化が進み、農作業を担う農業者が減少する中、永続性のある水田農業の担い手を育成するため、集落営農組織の法人化や作業受委託の促進などに取り組んでおります。
 戸別所得補償制度については、現時点では詳細は不明でありますが、販売する農家全てが対象となることは、これまで取り組んできた集落営農組織の育成に大きな支障が生じることが懸念されます。
 県としましては、引き続き永続性のある担い手に農作業の集約化が促進されるような仕組みとしていくことが必要と考えております。

 

 

 

 




 独自性のある県農業の振興方向について

 本県では、収益性の高い農業経営を確立するため、新品種の開発や農産物のブランド化に取り組むとともに、経営改善に必要な機械・施設の導入を支援しており、さらには輸出を通じた販路の拡大にも努めているところであります。
 また、高齢化の進行に対応するため、土地利用型農業では集落営農組織の法人化を、園芸農業では企業的経営への転換を進めているところであり、今後は年間を通した雇用が可能となるよう、作業ピークの異なる品目を組み合わせた経営の導入を進めて参ります。
    
    
    



  

 




 本県オリジナル品種の生産振興について

 これまで、「あまおう」や「夢つくし」、「とよみつひめ」など、消費者ニーズに沿った新品種を開発し、ブランド化を進めることで、県産農産物全体の評価を高めるとともに、生産者の所得向上に寄与してきたところであります。
 「元気つくし」や「ラー麦」についても、本県のブランド品目となるよう、実証ほの設置や研修会を通じて生産技術の平準化を図り、品種の特性を十分活かした高品質な商品づくりを進めて参ります。




 次に、教育問題についてお聞きします。
 まず本県の中高一貫教育についてであります。
 この制度は、平成十一年度にスタートして以来着実に増え、平成二十年度現在全国で公立の中高一貫教育校は一五八校設置されていると聞いています。
 本県では、県立高校の再編整備計画の中で位置付けられたため、スタートがやや遅れ、平成十六年四月に、育徳館中学校、門司学園中学校、輝翔館中等教育学校が始めて県立中高一貫校として開校したところですが、それでも来年三月には、本県初の卒業生が出ることになったようです。
 六年間を通じてしっかりとした教育を受けた人間が巣立っていくものと、大いに期待しているところです。
 県教委としては、この三校について様々な成果や課題を把握されていると思います。
 そこで初の卒業生を出すに際して、その概要を明らかにして頂くとともに、県教委として現時点で中高一貫教育について、どのような総括をされているのでしょうか、お伺いします。
 次に、今後の中高一貫教育校の展開についてであります。
 本県では現在三校が設置されている訳ですが、所在地は京築地区、北九州地区、筑後地区にとどまっていて、福岡地区と筑豊地区には未だ県立の中高一貫教育校が創設されておりません。残念なことであります。
 福岡地区にはそれでも私立の中高一貫教育校や、単位制高校である県立博多青松高校などがあるため、多様な教育を受ける機会はまだ、保障されているようですが、大きな課題は筑豊地区にあると考えます。
 ご承知の通り、学力や生徒の問題行動など筑豊地区は非常に厳しい状況が生じていると聞いているところです。
 六年間を通じた計画的、継続的な教育指導による中高一貫教育は、まさに筑豊地区の教育の向上を図る上で最適な制度ではないでしょうか。本県の今後の中高一貫教育校の在り方についてと、特に筑豊地区への位置付けについて見解と方針をお聞かせください。
 次に学力問題についてお尋ねします。
 かつて、福岡県の教育委員会の課長を務めたこともある前文部省職員が「世界一の学力を目指す」などということは時代錯誤の発想、とある雑誌で述べ、学力向上をまさに否定しているのを見て、誠にびっくりさせられました。時代錯誤はご本人ではないでしょうか。
 このような人が、たとえ短期間であっても本県教育行政に携わっていたため、案の定というべきでしょうか。
先に平成二十一年度全国学力・学習状況の調査結果が公表されましたが、本県の子供たちの学力は、ほぼすべての問題で三年続けて全国平均を下回っていた、と報道されています。
 そこで、教育長にお尋ねします。一体、全体、教育長は本県の子供たちの学力の実態を深刻視されているのでしょうか。率直に答弁願います。また、深刻にとらえて今日まで努力されてきたのであれば、なぜ学力向上新戦略をはじめとするこれでの取り組みが、着実な成果につながっていないのか、改めて詳しく説明願います。
 さらに、今回の調査結果を受けて取り組みを見直す必要がないのかどうかも併せて明確な答弁を求めます。
次に、選挙公約にもとづく新政権の教育方針と本県教育行政についてただしておきます。
民主党の教育施策集では、現在の学習指導要領から法的拘束力を外して大綱に留め、その大綱運用の中で「学校理事会」というものを設置して学習内容や学校運営を現場の判断で決定できるようにする、と示されています。
 万が一このようなことが実施されますと、これまでの日教組運動の歴史が明らかにしているように、校長・教頭をないがしろにし、教職員組合の主張を教育現場に持ち込み、自虐的な国家観や、過激な性教育など国民感情と大きな隔たりのある教育が押しつけられる恐れは十分あります。
 本県が四〇年かけてやっと実現しつつある教育正常化路線が、あの忌まわしい偏向教育路線に逆戻りするという最悪の事態も心配しなければいけないところであります。
 また実施から三年、やっと軌道に乗り始めている全国学力調査が学校の序列化につながる、として大幅に縮小する方針も報道されています。
 さらには、教員免許制度の抜本的見直しや、教科書検定制度の廃止とも受け取れる記載削除も大変気がかりなところであります。
 更新制度は本年度から導入されたばかりのものであり、その目的は教員として必要な資質が保持されるよう最新の知識技能を身につけることを目的としたものであり、はじめに見直しありきの姿勢は、まったく理解できません。
 いづれも教育現場の声を重視して、としているようですが、この声こそまさに組合の声にほかならず、教育現場に介入を許してはならない、私共が最も心配している声であります。
 そこで、教育長は今後の本県の教育行政を進めていく上で、次々に明らかにされています民主党マニフェストにもとづく偏向教育方針をどのように評価されているのか。
 もとよりこれらに惑わされることなく、今日までに先人達が営々と築いてきた福岡県の教育正常化路線を、信念を持って今後も推進していくと考えておられるものと判断しているところではありますが、子どもたちの将来のためにも、私が只今取り上げましたものについて、それぞれ具体的にかつ、明確な答弁を求めます。

    教育長答弁

(教育問題について)
 中高一貫教育の総括について


 各学校とも、六年間を見通した教育が展開されており、英検などの各種資格取得や大学での講義の受講など多様な学習活動を通じて学力や個性の伸長が図られております。
 また、高校入試がないゆとりのある教育環境の下、中学校における卒業研究論文への取組など、将来を見据えた教育活動が行われ、自ら意欲を持って取り組む姿勢や主体的に判断できる力とともに、中高にわたる幅広い年齢による集団活動を通して社会性や協調性も着実に育まれております。
 こうした各学校の教育活動に対しては、保護者などからの一定の評価を得ております。
 今後は、中高一貫教育の特色を生かし、発達段階や個に応じた指導、中高の交流の一層の充実などに取り組んでまいります。

 

 

 


 今後の中高一貫教育の在り方について

 中高一貫教育校の今後の展開に当たっては、初めての卒業生となる生徒の進路状況等の成果と課題を十分検証し、子供達や保護者の六年間を通した教育への期待など、地域の実情や地元中学校に与える影響等も勘案する必要があると考えております。
 その際、筑豊地区における学力向上等の課題をはじめ、本県中高一貫教育の充実に向けて、その在り方を検討してまいりたいと考えております。



  





 本県の学力実態に対する認識とこれまでの取組の成果について

 本県は、今回の調査結果においても、全国と比べ平均正答率を下回る教科区分が多く、教育長として重大、かつ深刻に受け止めているところであります。県では、一回目の調査結果を受け、学力向上新戦略を策定し、地域間に差が見られること等の課題に対し学力向上支援チームを派遣するなど、市町村教育委員会や学校とともに学力向上に努めてきたところです。全体としては残念な結果でしたが、全国の平均正答率との差が縮小し、地域によっては着実な学力の向上が図られるなど改善の兆しが見られます。

 

 

 

 



 学力調査結果を受けての取組の見直しについて

 県教育委員会としましては、今後も本県児童生徒のより一層の学力の向上を図る観点から、更なる努力が必要であると考えております。
 現在、本年度の学力調査結果について、学識経験者等による検証改善委員会でより詳細な分析を進めており、その報告を受け、授業改善に活かせる資料を作成し全教員に配布するなど、学力向上新戦略に基づく取組みを積極的に進めるとともに、不断の見直しを図って参ります。

 


 

 



 民主党マニフェストに関する評価について

 教育制度の変革については、国家百年の計に立ち、我が国の伝統や実情に即し、教育の中立性を堅持しながら、次世代の国民に対して責任の持てる安定的で持続可能なものであるべきだと考えております。
 今回のマニフェストに掲げられた教育政策については、学校理事会の設置をはじめ、いずれも教育現場に大きな影響を与える可能性があり、情報収集に努めるとともに、今後の動向を踏まえ、必要に応じ、国に対し働きかけを行って参りたいと考えております。


 最後に、警察問題についてお伺いします。 まず、飲酒運転問題についてであります。

 今回の県警警察官不祥事は平成十八年夏、三人の幼児の命を奪った若い福岡市職員の飲酒運転事故から三年目の命日でもあり、一層社会の厳しい目が向けられたところでありました。

 言うまでもなく、これら不祥事は、警察の信頼を失うばかりか、三幼児の事件を契機にわが県から全国に波及した飲酒運転撲滅の気運にも水を差す、大きな社会問題となっています。

 既に県警察本部としては、本部長が県民に陳謝され今後に向けて不退転の決意、取り組みを明らかにされているところではありますが、事故から迎える初めての県議会でもありますので、この本議会におきまして、改めて今後の取り組みなど所信の披瀝を願うところであります。

 次に、暴力団対策についてであります。
 今回、この九月定例県議会において、その暴力団排除に関する条例の制定についての議案が提出されています。

 我が会派が条例制定を指摘してから半年足らずの対応であり、早い対応であると一定の評価を致すところでありますが、勿論条例の評価はその中身、つまりは条文につきることは言うまでもないところでしょう。

 今回のこの条例案の特色として、資金提供した者、受け取った暴力団への罰則、学校や児童福祉施設などの敷地から一定内の区域における暴力団事務所の新設禁止など、全国初の試みも盛り込まれてはいるようですが、資金や事務所提供の禁止や制限、宅建業者に十分な注意喚起を促し、負担がかかりかねない取引制限などにとどまり、肝心の暴力団組織そのものを直接的に取り締まる罰則が見受けられないように感じます。

 基本的人権の尊重等、憲法や法律に規制されて地方が独自に条例で取り締まることには限界、制限があることは承知しておりますが、相手は、自身の利益のためならあらゆる手段を行使しかねない反社会的集団です。

 前回の二月議会でも触れておりますように、こうした反社会的集団については、法を逸脱するくらいの、あるいは超法規的な取締りも、善良な県民、国民には受け入れられると判断するところですが、いかがなものでしょうか。 そこで、知事にお伺いします。麻生知事は、平成二十年四月一日に施行した「福岡県安全・安心まちづくり条例」においても暴力団排除を謳っておられますが、今回この条例案が施行された場合、県として具体的にどのような対応をおとりになられるのかお伺いします。

 次に、警察本部長にお尋ねいたします。
 この条例が施行されることによる具体的な効果、更には目標などがあればお示しください。

      警察本部長答弁 

(警察問題について)
 飲酒運転問題の今後の取組みについて

 去る八月二十五日、小倉南署員が飲酒ひき逃げ事件を起こして逮捕されたことは、痛恨の極みであり、県議会をはじめ県民の皆様に対し、県警を代表して深くお詫びを申し上げます。
 県警察はこれまで、年二回、上司が部下と個人面接を実施し、各種の生活指導を行ってまいりましたが、その際、飲酒習慣と肝機能の数値を自己申告させ、これに基づいた具体的指導を実施するとともに、
○職員に対する家庭訪問の実施
○幹部への飲酒会合届けの提出と車のキーの預かり
○全職員に対するアルコールセンサー及びアルコール依存に関する資料等の配付
などの対策に取り組んできたところであります。
 しかしながら、このような不祥事が相次ぎ発生したことから検証を行ったところ、
○アルコール依存状態にある職員の把握が不徹底であった
○勤務時間外等の私生活にまで踏み込んだ生活指導が十分ではなかった
ことなどが問題点として浮かび上がってまいりました。
 そこで、「飲酒問題緊急対策プロジェクト」を設置し、飲酒運転の根絶に向け、
○飲酒運転撲滅意識の更なる徹底
○アルコール依存等の疑いのある職員の早期発見
○アルコール依存等に陥っている職員の治療等の支援・指導
○人事管理の徹底
を四本柱とする再発防止対策を実施することといたしました。
 加えまして、毎月二十五日を「飲酒運転撲滅の日」と定め、県警察を挙げて飲酒運転取締りを実施するなど、県警察の飲酒運転撲滅への強い姿勢を示し、県民の負託にこたえていかなければならないと決意しているところであります。



    知 事 答 弁

(警察問題について)
 暴力団排除条例施行に伴う県の対応について

 暴力団による銃発砲や企業活動への介入が、県民や事業者に多大な脅威を与えている現状に鑑み、社会からの排除を推進するため、資金源を断つための利益供与の禁止など、全国に類を見ない条例案を提出しました。  
 施行を機に、警察による一層強力な摘発・取締を進めるとともに、公共工事を始め県の事務事業からの排除の徹底、警察との連携協力のもと、行政・事業者・地域住民が一体となった地域や社会経済活動からの排除の取組拡大など、県を挙げて暴力団対策に全力を尽くす考えであります。


     警察本部長答弁 

(警察問題について)
 暴力団排除条例施行による具体的な効果、目標について

 本条例は、福岡県から暴力団を排除して、県民の安全で平穏な生活を確保し、社会経済の健全な発展に寄与することを目的としており、県民や事業者の方々に、暴力団が社会に悪影響を与える存在であることを認識していただいた上で、相互に連携協力して暴力団排除を進めていくことを基本理念とする、全国に例を見ない暴力団排除のための総合的な条例となっております。
 本条例では、本県の厳しい暴力団情勢を踏まえ、
○暴力団員が、事業者から一定の目的で利益 の供与を受ける行為の禁止
○学校等周辺区域における暴力団事務所の開設行為の禁止
等の規定を設けたほか、あわせて、いわゆる迷惑防止条例を改正して、
○暴力団の地回り行為等を規制する暴力団の威力を示す行為等の禁止
○暴力団排除活動の関係者に対するけん制や不安を覚えさせるような不当な行為を規制する嫌がらせ行為の禁止
など、暴力団員による迷惑行為を直接取り締まる内容を盛り込んだところであります。 
 このような条例の整備によりまして、行政、警察、県民一体となった暴力団排除活動をこれまで以上に展開することができ、福岡県から暴力団を撲滅する大きな武器となるものと確信しております。
  本条例の制定と合わせて、来年一月には全国では警視庁に次いで二番目となる暴力団対策部を新設し、文字どおり県警察の総力を挙げて暴力団犯罪の撲滅に取り組んでいく決意であります。

 只今は、わが自由民主党県議団の代表質問に対し、答弁を頂きました。
 私共は、政権交代を経て国の政治が激動の時代に入った今日、その余波を受けて、福岡県政が徒に混乱の波に呑み込まれることなく地方分権の旗のもと従前通り、揺らぐことなく、安定した県政を展開し、県民福祉の向上に努力されんことを願って各般にわたり質問致したつもりであります。
 先輩議員によくお聞きすることですが、わが福岡県政では、県政の保革交代、いわば政権の交代が、かなり行われて参りました。
近々の例では、昭和58年4月の亀井保守県政から奥田革新県政への交代であり、その当初では、かなりの混乱があった、と伺っておりますが、比較的早く、県政は落ち着きをみせたと聞いています。
 我々の先輩議員がこの県議会で、奥田知事に行政の継続性の重要性を訴え、知事もそれをそれなりに理解され、実行されたことが県政が早期に混乱を回避し、安定を回復した原因であったようです。
 このことは、現在の状況にもそっくり当てはまることです。
 私共は下野し、政権担当の立場を離れたからといって徒らに反対の立場を取るものではありません。県民福祉の向上のためには、共に手を携えて協力し合うことを求めるものであります。。
 今、民主党新政権が廃止しようとしている暫定税率や後期高齢者医療制度、障害者自立支援法等について、知事はこれを是とし、県政のなかで推進する立場でありました。また高速道路の無料化は今後の道路行政に大いなる禍根を残しかねないことは、知事も十分承知されていることだと認識しているところであります。
 そこで、この点につきまして、改めて知事の政治家としての矜持も含めて、見解を再度お伺い致します。
 何卒、麻生知事には、奥田県政時代を十分に検証され、今後の福岡県政のあるべき姿を求め、道を踏み外されないように研鑽を積まれんことを期待して、代表質問を終わります。

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