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自民党県議団 代表質問 平成21年6月11日(木)

   6月5日(金)に開会した6月議会は6月11日(木)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 さて、冒頭なによりもまず国の大型補正予算に呼応して編成された、福岡県の補正予算案について若干ただしておきます。

 例年であれば六月議会では提案されることのない異例の補正予算議案を知事は今議会に提案されております。

 一〜三月期のGDPがマイナス十五.二パーセントとなるなど大変厳しい経済情勢の下、総額十四兆円と過去最大となる国の補正予算に関連して、県として迅速な対応を図られたことについては、一定の評価をするところであります。

 さてその予算の内容についてですが、総額六百七十三億円の大型補正予算とされるものの、この中には基金の造成に要する予算三百十七億円が含まれており、真水とも言うべき実際の予算額は三百五十六億円であります。

 知事は、本県の経済状況について、生産や輸出に持ち直しの兆しが見られる、と景気が底を打ったととれる見解を公表されておられるようであります。
 しかしながら依然、企業の設備投資意欲は冷え込んだまま、雇用情勢も悪化の一途をたどっております。今回の予算で本県経済は本格的に底打ちする、と判断されているのでしょうか。

 補正予算の編成において何を目指そうとされたのか、基本的な考え方と今後の景気動向について質しておきたいと思います。
 また、今回の補正予算の執行に当たり、本県の雇用の七割以上をつくり出している中小企業にどういう配慮をされるつもりなのか併せてお伺いいたします。


麻生渡知事 答弁要旨

 補正予算編成の基本的な考え方について

 本県経済は生産に一部持ち直しの兆しが見られるものの、消費の低迷や設備投資の後退による大幅な需要不足、中小企業の資金繰り困難、雇用情勢の悪化により、依然として厳しい状況が続いております。 

 こうした状況を踏まえ、積極的な公共投資を行うことにより需要を創出するとともに、介護や子育て支援による福祉の充実、中小企業への金融支援、雇用の確保などの広範囲な施策を強力かつ迅速に実施する必要があると考え、国の補正予算を活用し、予算編成することとしたものであります。



(補正予算編成の基本的な考え方について)
 今後の景気動向について

 本県経済は、生産に持ち直しの兆しがみられるものの、消費の低迷や雇用情勢の悪化など、依然として厳しい状況が続いております。
  今後、回復基調に転換していくためには、一 層の経済対策に努力していく必要があると考えております。



(福岡県の補正予算案について)
補正予算執行に際しての中小企業に対する配慮について


 県では上半期における公共事業等の前倒し執行に併せ、中小企業に対する本年度の官公需発注割合の目標を過去最高水準の八割としたところであります。
 このため、分離・分割発注の推進、迅速な発注情報の提供等を行うほか、市町村や公社等外郭団体に対しましても県と同様の取り組みを行うよう要請したところであります。
 今回の補正予算の執行に際しましてもこのような方針のもと、中小企業の受注機会の確保に努力してまいる考えであります。 
 

 次に、財政問題に関連して、今後の地方税財源の充実確保方策について伺います。

 麻生知事は、先に全国知事会会長に無投票で三選されました。このことを県民として共に喜び、地方分権改革の旗手として、これからの益々のご活躍を心から祈念するところです。そこでまず、知事会長として何を目指すのか、三選目の抱負を県民にしっかりと披瀝願うところです。

 さて、麻生知事は、この会長選挙立候補に際して、いわば選挙公約ともいうべきものの中で、消費税の増税を含む税制の見直しに取り組むこと、それによって国と地方の税源配分を五対五とすることなどを約束されております。

 昨年の九月議会における、わが会派の代表質問に対し、麻生知事は、三パーセント程度の地方消費税の増税が必要である旨答弁されました。

 そこでまず、知事に確認いたしますが、この答弁は、本県を含めた地方自治体の財政運営を安定したものにするためには、現在の消費税率五パーセントを少なくとも八パーセント以上にしなければならないということを述べておられるということでよろしいでしょうか。
 
また仮に消費税の増税が実現するとしても、地方消費税のみの増税というのは、到底困難であろうと考えます。今後増加する社会保障財源を考えてみても、年金財源など国が負担すべき部分の増加も非常に大きなものと考えられるためであります。そうであるならば、消費税増税は単に三パーセントのみにとどまらず、それ以上になるものと考えられます。そこで、知事は、次の税制抜本改革において、消費税の全体の増税幅は、どの程度が適当と考えておられるのでしょうか。明確な全体像を端的に県民にお示しいただきたいと思います。

 次に、知事は、国と地方の税源配分について、当面五対五を目指すと述べておられます。これは、先の消費税の増税とセットで実現されようとしておられるのでしょうが、五対五を実現するためには、何パーセントの消費税増税が必要となるのでしょうか。
 また、仮に消費税増税が実現しない場合においても、この税源配分五対五という目標を掲げ続けていかれるのでしょうか。

 税源配分五対五ということは、税財政面での真の地方分権を実現する上では、それなりに意義のあるものと考えますが、果たして実現可能性のあるものなのでしょうか。

 消費税増税に向けた、麻生知事としての具体的な行動計画、そして仮に増税が実現できなかった場合において、五対五を実現するための方策と具体的な手順についてお答え下さい。また、消費税増税に向けた取り組みを本気で進めるのであれば、一層、政治姿勢を明確にし、その責任を賭して、県民に協力を求め、われわれ議会に対しても、十分に説明いただかなければならないことを、この際、明らかにしておきます。

(地方税財源の充実確保方策について)
 知事会長三期目の抱負について

 第一の目標は、地方分権改革を進めていくことであります。地方が地域の資源、独自の創意工夫を最大限に活かし、力を存分に発揮できる分権型社会を構築しなければなりません。
 そのため、地方への権限・税財源の一体的な移譲、国の義務付け・枠付けの廃止・縮小など、第二期地方分権改革の完遂に全力を挙げて参ります。
 また、国直轄事業制度の見直しに取り組み、不適切な地方負担をなくすとともに、地方分権の観点から、国と地方の役割分担を明確化した上で、最終的には負担金制度の廃止につなげて参ります。
 第二の目標は、地方税財源の充実強化であります。地方財政の危機突破に向けて、地方交付税の復元・増額に引き続き取り組んで参ります。
  さらに、今後、確実に増大が見込まれる医療、福祉等の社会保障や教育、警察といった住民生活に必須の行政サービスを適切に提供していくためには、安定的な財源が不可欠であり、消費税及び地方消費税の引上げを含む、税制の見直しに積極的に取り組んで参る所存です。  



  
 消費税及び地方消費税の引上げ幅について
 
 地方は、これまでも職員削減や給与カットなど国を上回る徹底した行政改革を行ってまいりましたが、地方交付税の大幅な削減に加え、今後社会保障関係費等が確実に増嵩することから、財源不足額はさらに拡大することが見込まれます。
 このような中、昨年、全国知事会として試算を行ったところ、平成二十三年度における地方の財源不足額が約八兆円に上り、多くの自治体財政が事実上破たんに追い込まれる恐れがあることから、地方消費税の充実・引上げをお願いせざるを得ない状況にあります。
 この約八兆円の財源不足を解消するとした場合、地方消費税の約三パーセント引上げが必要であります。
  国・地方を通じた消費税全体の引上げは、経済状況の好転を前提に税制の抜本改革の中で実現すべきであり、その幅については、国全体の財政や社会保障全体のあり方を踏まえ検討すべきと考えております。
 


 税源配分五対五の実現方策について
 
 国と地方の税源配分が現在六対四であるのに対して、支出の割合は四対六と逆転しているため、補助金や交付金などによる財源移転が行われており、その縛りから地方が独創性を発揮できず、また、様々な無駄や責任の不明確さが指摘される原因となっています。
 このため、まずは五対五を目指した地方税源の充実が不可欠であると考えます。
 五対五を実現していく上では、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築すべきであり、この条件を備えた基幹税目である地方消費税の引上げや国から地方への税源移譲が必要となります。
 増税による財源対策ができない場合には、県民に不可欠な行政サービス水準の切り下げを伴う徹底した歳出削減を迫られることになります。
 今後、地方財政の現状、歳出削減等の取組や将来推計をわかりやすく県民に説明し、地方消費税の引上げについて理解を求めて参ります。
 

 次に、県職員の六月の期末・勤勉手当、つまり夏のボーナスカット問題について、お尋ねします。
 政府では、五月一日付けの臨時の人事院勧告を受け、国家公務員の期末・勤勉手当について、勧告通りの取り扱いをする方針を決定し、既に所要の法律改正がなされました。
 その上で、五月八日に総務省から都道府県に対し「六月分の期末・勤勉手当等については、各地方公共団体においても、地域の実情を踏まえつつ、国の取り扱いを基本として対応されたい」と通知され、市町村に対しても速やかにその趣旨を連絡するよう知事に依頼されていると聞いております。
 本県選出の鳩山総務大臣も同趣旨の談話を出し、国の取り扱いを基本とした対応を地方公共団体に要請しております。
 ところが、本県においては、人事委員会の勧告がなされなかったことを理由として、今月末に職員に対してこれまで通り期末・勤勉手当が支払われるようです。いわゆるカットは見送られたわけであります。
 そこでお尋ねいたします。一般職地方公務員の給与関係の根拠規定は、地方公務員法、職員の給与に関する条例などですが、法制度上の仕組みや解釈として、人事委員会の勧告がなければ、知事は、いかなる場合も給与改定の条例案の議会提出ができないことになっているのですか。私共は地方公務員法に定められたいわゆる「情勢適応の原則」により、給与等の勤務の条件は社会一般の情勢に適応するように措置しなければならない、と判断するところです。またこのことは、人事委員会の勧告等がある場合のみならず、地方公務員法の適用に当たって常に考慮されなければならない原則であると解釈されてきた、と考えています。人事委員会の勧告がなかったことを理由としたのはどうにも理解がいかないのであります。法解釈なり考え方をまず明らかにしてください。
 さらに、本県として改定を見送りながら、一体どのような方針で総務省からの通知の趣旨を管下市町村に対して連絡されたのか。県が見送る以上、国からの依頼を無視して何ら連絡しなかったという事実は、まさかないとは思いますが、いずれにせよ、この点について具体的に説明願います。
 加えて、市町村において条例改正を行うように積極的かつ具体的に指導・助言されたのでしょうか。全国では都道府県で約七割の三十四都道府県、市町村にいたっては九割の千六百十二の自治体が、このいわゆるボーナス削減を実施すると聞いていますが、この状況を知事は、どのように評価されているのか明快な答弁を求めます。
 次に、五月中に臨時議会を招集し、給与条例を改正済みの都道府県のうち、給与カットを実施中の団体数を明らかにしていただくとともに、このような県があえて六月の期末・勤勉手当の凍結に踏み切った理由は何か。調査されて承知している範囲で結構ですので、ご説明願います。
 また国が六月の期末・勤勉手当に特例措置を講じた理由として、民間の厳しい状況を反映するほか、十二月期の特別給で一年分を清算しようとすると大きな減額となる可能性があることを考慮したとされています。本県が六月の改正を見送ったため、実際、県庁の内外からもこの点を大変心配する声が聞こえてきます。
 知事は、こうした大方の心配を押し切って、給与改定の見送りを決定されたのでしょうか。いかがですか。そこで十二月には、この心配にどう対応される考えですか、それとも十二月についてもボーナスカットは行われないのでしょうか。率直、明快にその考えを明らかに願います。
 以上、縷々申しあげた諸状況を勘案すれば、知事が改定を見送った真意がどうしても理解できないところであります。地方分権を主導する改革派知事としては、国の一方的要請には追従できない、という立場がそうさせたのでしょうか。改めて、県民によく理解できるよう分かりやすい説明を求めます。

(夏のボーナスカット問題について)
 人事委員会勧告等の法解釈について


 法制上、人事委員会勧告がなければ、給与改正の条例提案が禁止されているものではありませんが、人事委員会制度は、職員の労働基本権制約の代償措置として、中立的・専門的立場から職員の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう調査・勧告等を行う役割を担っているものです。こうした人事委員会制度の趣旨に鑑み、その意見や役割を最大限尊重しなければならないと考えております。




 総務省通知の市町村への周知について

 人事院勧告に対する国の取扱いについて通知し、さらに副市町村長会議を開催し、その内容について説明したところです。




  市町村への指導・助言について

 六月期の期末・勤勉手当の取扱いについては、それぞれの市町村が自主的に判断できるよう、国や県の状況について説明したところです。






 
 全国の凍結状況の評価について

 各地方自治体の取扱いについては、それぞれの団体において、適切かつ自主的に判断を行って、決定しているものと認識しています。





 給与カットを実施中の団体について

 期末・勤勉手当の凍結に関して給与条例を改正した三十四都道府県のうち、給与カットを実施している団体数は二十団体であります。
 これらの団体は、財政上の理由から行っている給与抑制措置とは別に、人事委員会から期末・勤勉手当の一部凍結の勧告等を受けて判断されたものと考えております。




 
 本県の改定への対応と十二月期の負担増について

 職員の給与については、情勢適応の原則に基づいて適切に対応することが必要であると考えています。
 本県の期末・勤勉手当については、夏季一時金の決定を行っている民間企業が少なく、県内企業の全体的な状況が把握できないことから、人事委員会が民間の支給実績を精確に調査した上で秋に行う勧告を踏まえ、夏季一時金を含めた年間分を十二月期で一括して調整する考えです。
 職員に対しては、十二月期で一括調整となる旨の周知を、あらかじめ行ってまいります。



 
 

 次に、いわゆるヤミ専従をはじめとした、職員の違法就労問題についてお尋ねします。
 わが会派はこれまでも再三にわたりこの問題を取り上げ、本県及び県内市町村職員の就労実態の適正化を強く求めてきました。
 その成果もあって、本県では、ここ数年、一定の改善が図られてきたことについては、評価するところであります。
 ところで、この春、人事院に送られてきた一通のメールから、農林水産省で、依然として多くのヤミ専従が横行している疑惑が明らかになりました。
 政府の為体(ていたらく)を他山の石として、この際、本県においても、なお隠された違法、不当な就労実態が無いのか、改めて詳細な調査を実施すべきであると考えます。
 そこで「ヤミ専従」とは如何なる状態をいうのか、基本的な質問ですがまずこの点について改めて知事の認識を伺うとともに、今回の農水省の一連の不祥事をどのように受け止められているのか、知事の率直な感想をお聞きします。
 次に、改めて「ながら条例」や組合休暇の運用についてお尋ねします。
 平成十九年十月一日から平成二十年九月三十日までの一年間を対象にした総務省調査が明らかになっています。それによりますと、一部の地方自治体において、依然として、適法な交渉を行う場合に限られるべき勤務時間中の有給での活動、無給とすべき組合交渉等について、不当な制度や運用の事例が見受けられるところです。
 福岡県の状況をみますと、今回の調査では、幸なことに「ながら条例」や組合休暇の規定、運用の見直しが必要な団体にはあげられてはいませんでした。
 しかし、以前の調査では、不当な条例の運用を行い、その見直しが求められる十県に入っていた経緯があります。そこで、以下数点にわたりただしておきます。
 そこでまず、平成十九年の知事選挙を契機に、同年五月に不正常な労使関係の原因になりやすい職場協定の締結については同年控えるように指示されました。
 そこで、確認的にお尋ねします。ヤミ専従など不当な就労実態がないこと、職場協定が新たに締結されていないこと、そしてこれらの確認は日常的にどのようになされているのか。つまりは具体的に実効性ある体制をどのように構築されているのか、単なる精神論だけに止まらない分かりやすい説明をお願いします。
 次にこれらに関連して、職員団体と当局との労使交渉については、「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項」いわゆる管理運営事項については「交渉の対象とすることができない。」とされております。
 しかしながら、本県においては、これまで、職員定数とその配置など管理運営事項についても、実際上、交渉対象となってきた事実があります。この点に関して知事は、かつて、「職員定数の配置に関する事項、これは管理運営事項であるため、交渉事項ではない」と明確にしながらも、「定数変更に伴い、職員の勤務条件、職場の勤務労働条件が影響を受ける。そのような場合には交渉の対象にしている」旨の考え方を明らかにされています。
 そこで、改めてお聞きしますが、勤務労働条件に影響しない定数変更などはほとんど想定できないとも考えられます。もしそうでないならば、どんな場合に交渉の対象としないのか、その基準について具体的に県民に納得のいく説明を求めます。
 次に、本県の労使関係でなお疑問が残るのは、在籍専従職員数の多さであります。
 わが会派は、以前からその問題点を指摘しております。総務省調査によると、平成二十年四月一日現在、一般職員の職員団体では、本県の在籍専従職員は十七人、北海道三十三人に次ぐ、東京都と並んで全国第二位であります。神奈川県の一人、大阪府の六人を大きく上回っています。
 知事は、その理由について、「それぞれの職員団体の規模、運営のやり方などにより、それぞれ異なる。職務の執行体制を確保する上で一定の限度を持ちながら、それぞれの団体として対処すべきもの。」と答弁されています。
 効率的な行政執行や、規律ある定数管理の重要性を考慮するならば、給与は支払われないとはいえ、簡単に了承できるものではありません。
 神奈川県や大阪府と比較して、専従職員数に大きな差があるのは何故なのか。これらの府県とどのような点で運営のやり方が異なるからなのか。教育関係の職員団体の専従職員数には本県と神奈川・大阪両府県に際立った差異がないだけに、県民が納得できる合理的な説明ができるのか、知事の認識をお尋ねします。
 さて、今回の総務省調査で再度明らかになった一番の問題は、「ながら条例」や組合休暇の制度・運用について速やかな是正が求められているにもかかわらず、正常な労働関係が築かれず、放置されたままの市町村が全国でかなり存在していることであります。
 さらに誠に遺憾なことは、こうした是正や見直しの図られていない市町村が福岡県下にも数多く存在することです。
 しかも総務省が明らかにした実態から特徴的な事実は、違法・不当な就労の放置が一部特定市町村に集中していることであります。
 そこで本県下、市町村におけるその実態を明らかにして頂くとともに、何故このような状況が生じているのか、知事の認識を同います。
 また、これらの市町村に対して県としても是正を指導してきたものと考えますが、何故是正が進まないのか、その原因も併せて明らかに願います。
 さらに今後は、必要な場合には財政的な制裁措置も含め、一段と強力な指導が必要だと考えますが、知事の断固とした政治姿勢をお示しください。
 最後に特別昇給についてであります。
 農水省の出先機関で「特別昇給」を職員に持ち回りで割り当てる慣行が長年続いている実態が明らかになっています。
 本県では、よもやこのような実態がないと信じますが、これまでの特別昇給の運用はどのようになされてきたのか。
 まず、「特昇」の運用方針とその実態を分かりやすく公表願います。
 次に、平成十九年度に策定された、新しい行政改革大綱では「職員の能力向上やインセンティブを喚起するため、新たな人事評価制度を全職員に導入するとともに、評価結果を給与等により適切に反映させ、能力・実績を重視した人事給与制度へ転換」することとされ、本年度から実施することになっています。
 人事給与制度について、具体的にどのような見直しがなされたのか。
 特に、勤務評定の方法がどのように変わるのか、その見直しによって、どのような問題が解消されることが期待されるのか、これらの点についても併せ明らかに願います。
 

(職員の違法就労問題について)
 ヤミ専従について


 いわゆるヤミ専従とは、職員が地方公務員法に定められた任命権者の許可を受けることなく、職員団体の業務に専ら従事する行為であり、職務専念義務が課せられている地方公務員法に違反する行為です。
 国、地方を問わず、組合活動にあっては、法令等に定められた手続きにより、適正に行われるべきと考えます。




  
 ヤミ専従等の実態について

 職員が組合活動を行う場合は、条例・規則に基づいて、職務専念義務の免除や年次休暇の取得等の手続きがなされています。
 服務規律の保持については、これまでも繰り返し、研修による職員への認識の徹底や、通達の発出により、所属長に服務の適正な管理を指導しており、各所属における職員の日常的な勤務状況は、把握されていることから、本県ではヤミ専従の実態はないと認識しています。
  





 職場協定書について

 従前に締結していた職場協定書については、管理運営事項は、すべて効力を有しない旨の通知を発出しております。
 また、所属長に権限のある勤務時間の割り振りなど、勤務条件に限定した内容で締結しようとする場合には、人事課が事前に点検し、法令の趣旨に沿って、不適正な内容がないか確認を行っております。




  
 労使交渉の対象事項について

 行財政改革を着実に推進し、少数精鋭の新たな県庁づくりを行っていくためには、新しい労使関係をつくっていく必要があるとの考えの下に、従来の労使慣行全般にわたり、見直しを実施してきたところであります。
 労使交渉のあり方についても、交渉対象事項の見直しを行い、平成十九年度から、定数配置など、管理運営事項については、交渉の対象としないことに改めたものであります。




  

 在籍専従職員数について

 在籍専従の人員は、職員団体の規模や役員の状況、組織体制などでそれぞれ異なってくるものと思いますが、在籍専従の許可に当たっては、職員を職務に従事させないことによる行政内部の業務執行への影響を勘案し、判断しております。  
 本県の在籍専従の数は、減少しておりますが今後も許可に当たっては、業務の執行体制から適切に対応してまいります。



  

 市町村における実態とその認識について

 現在、県内市町村の「ながら条例」に関して、内容が適当でないものが一団体、口頭承認等で済ましているものが六団体、また、有給で「組合休暇」を認めているものが八団体あります。
 これらは、過去における市町村の当局と職員団体との協議の結果によるものと考えておりますが、本県の働きかけもあり、不適正な団体が少なくなって来ております。




 

 是正が進まない原因について

 当局と職員団体の双方について、違法性に関する認識が十分でないことや、当局の是正に対する強い姿勢に欠けていることが原因と考えております。







 市町村に対する強力な指導について

 「ながら条例」等の是正については、それぞれの自治体で責任を持って対応すべき問題であると考えておりますが、残る不適正な団体に対しては、今後、市町村長に対し、直接その是正の必要性について理解を求め、早急に適正化を図るよう強力に要請してまいります。




 

 特別昇給の運用方針等について

 本県では、特別昇給を持ち回りで実施するようなことは行っていません。



 

 人事給与制度の見直しについて

 新たな人事評価制度については、現在、知事部局の係長以上で実施しておりますが、今年度は、全ての職員に拡充することとしています。
 この評価制度は、職員に評価基準を明示し、この基準をもとに毎年の職務遂行の状況について、より公正で客観的な評価を行うものであります。
 評価の結果は、人事や給与に活用し、より一層客観性を持った能力重視型の人事給与制度への転換を更に進めてまいりたいと考えています。

 次に地域づくりについて知事の基本的なお考えをお伺いします。
 さて、知事の肝いりで始まった「教育力向上福岡県民運動」のアクションプランには、その実施主体として、学校、家庭、地域そして行政を挙げ、その具体的なの取り組みを示しています。
 また、福岡県青少年プランでは、巻頭言で知事は「福岡県では、家庭、地域社会、学校、行政等が連携し、県民総ぐるみで、青少年の健全育成を推進するため、平成三年度にプランを策定した。」と述べ、内容面でも、「県民への提案」として、保護者、企業、青少年自身、そして地域の皆さんに期待することを挙げています。
 さらに、新社会推進部の青少年課がとりまとめている「青少年施策の概要」では、「子どもたちが健やかに成長し、社会の一員となることは、家庭、学校、地域、行政が連携し、社会全体が最大の関心を持ってか関わるべき最重要課題と考える。」と指摘し、青少年施策に於いて「地域」を重要視されていることが伺えるところであります。
 また、青少年施策のみに限らず、福祉分野においても「福岡県地域ケア体制整備構想」の四本柱の一つに「地域における見守りサービス」等があげられれいるほか、環境や、安心・安全のまち作り等の観点においても地域はそれらの根幹をなすものと位置づけられています。
 そこで知事に伺います。県の諸施策で使われている「地域」・「地域社会」・「地域コミュニティ」等の「地域」カテゴリーについては、どのように規定されているのか、また厳密には概念が使い分けされているのかどうかも含め、まず分かりやすく説明を求めるところであります。
 次に、平成十九年四月に施行され、今年度で期限切れとなる「地方分権改革推進法」では、その基本理念を、
 ○ 国の役割を重点化し、住民に身近な行政は地方に委ねる。
 ○ 地方公共団体が、自らの判断と責任において行政を運営出来るようにする。
と定め、さらに、平成二十年五月に地方分権改革推進委員会が出した、第一次勧告〜生活者の視点に立つ「地方政府」の確立〜では、広域自治体としての都道府県と、基礎自治体としての市町村の役割を明確に分け、「住民の意向の的確な反映、住民の利便性の向上、地域の活性化の観点から、住民に身近な行政は、出来る限り、より住民に身近な地方自治体たる市町村が担うことが望ましい」としております。
 従ってこれらの観点からも、基礎自治体である市町村における地域づくりは、重要な課題であると思うのであります。
 そこで知事お尋ねします。今まで見てきたように、地域は県の諸施策の根底でもあり、分権社会を支える基盤が地域にあることは十分理解しますが、その「地域」や「地域力」なるものを、どのようにして育成していくのか。「地域」という文言は踊れども、肝心、肝要の「地域」作りのための具体的な政策が見えてこないのであります。
 地域作りの具体的な施策について、ご説明をお願いする所であります。
 さて、我が国の年間自殺者は、平成二十年は、三万二千二百四十九人で、昨年より八百四十四人(2.6%)減少したものの、十一年連続三万人を越えています。
 福岡県でも、平成十九年・二十年と年間千三百人を越えているという厳しい現実があります。あたかも「福岡県地域自殺対策緊急強化基金条例」の策定を本議会に提案されています。
 地域における自殺対策の強化を図るための具体的な取り組みを始めることのようですが、地域における取り組みとして、現時点でどのようなことが考えられるのかお示し下さい。

(地域づくりについて)
 「地域」の概念について


 県は様々な政策を実施する中で「地域」という言葉を使用しており、それぞれの政策目的を達成するために県民が協力する共同体を「地域」ととらえています。
 例えば、青少年アンビシャス運動は、校区単位のアンビシャス広場活動が大きな役割を担っており、その場合は校区を「地域」としてとらえています。また、筑後田園都市圏構想では、共通の考えのもとに政策展開を図るため筑後全体を一つの「地域」としてとらえています。
 このように、政策目的や政策手段に応じて「地域」の広がりは変わるものと考えております。
  








 具体的な施策について

 県では、福祉や教育、青少年育成などそれぞれの政策目的に応じて、校区や自治会、市町村等様々な単位で地域づくりに取り組んでおります。
 特に最近は、市町村域を超えた広域的観点からの地域振興が重要になってきており、地域ごとの特性に応じて自然環境や特産物等の地域資源を活かしながら、市町村やNPO等と一体となって、豊かな生活環境と都市機能を兼ね備えた生活の質の高いネットワーク型の都市圏づくりを進めているところであります。









 地域における自殺対策について

 自殺対策においては、住民が、自殺を考えている人のサインに早く気づき、精神科医等の専門家につないでいくことが重要であります。
 そのため、県では、民生委員、市町村の医療・福祉関係職員に対する研修会や、住民に対する講演会などを行ってまいりました。
 今後、さらに、基金を活用し、市町村で行われる、人材の育成や関係者のネットワークづくり、相談事業などに助成を行い、地域での行政・住民が一体となった取組を支援してまいりたいと考えています。




 次に農林水産問題について伺います。
 現在、耕作放棄地の増加が食糧供給力確保の観点から全国的な問題となっております。耕作放棄地は、鳥獣被害の拡大や病害虫の発生を助長する原因となり、農業生産上大きな障害となります。
 本県においても、耕作放棄地面積は約七千ヘクタールで、過去五年間で十二パーセント増加し放棄地だけで行橋市の面積とほぼ〃までに拡大しているようです。
 言うまでもなく中山間地域に対しては行政の手厚い支援が必要なのです。
 こうしたところから、平成十二年から中山間地域等直接支払制度は実施されてきました。 これまで、本県では、三十五市町村の六百九十六地域、六千六百十八ヘクタールを対象に助成がなされてきたと聞いております。
 この制度は中山間地域に対して、国が初めて光を当てた農政史上初めての取り組みであり、また、WTO農業協定上の緑の政策として、国際的に通用するものとしてわが党とわが会派もこれまで高く評価してきたところであります。
 しかし、本制度は五年を一期として事業の見直しを行っており、ちょうど今年度で第二期が終了我々としては国にその存続を強く働きかけていく方針であります。
 そこで、知事にお尋ねします。まず、本制度が中山間地域の農業生産を維持する上で、どのような認識を持たれているのか、いわばその評価についてお聞きするとともに、この制度の継続に向けた知事としての率直な見解を求めるところであります。
 次に、水田農業における集落営農組織についてです。
 農業従事者の減少・高齢化が進む中、本県の水田農業を発展させてゆくためには、地域の中心となる担い手の育成がきわめて重要です。
 そのため、国においては、平成十九年から水田経営所得安定対策が導入されました。本制度の対象者は原則として、経営規模四ヘクタール以上の認定農業者もしくは二十ヘクタール以上の集落営農組織と定められています。
 本県においても、当初、認定農業者が約千二百経営体および集落営農組織約五百組織が対策に取り組まれました。
 しかし、その際、集落営農組織については、対象要件のみを重視し組織化を急いだことや、会計事務等に精通した人材確保等の遅れから、法人化移行をはじめ、永続性のある組織とはなっていないものもあり、いろいろな問題に直面していることをしばしば聞かされるところであります。
 知事は、昨年十二月議会の我が会派からの本県の水田農業の将来像についての質問に対して、「水田農業が持続的に発展していくために、認定農業者と法人化された生産組織などが水田農業の六割の農作業を担う生産構造を目指す」との答弁をされています。
 今こそ、水田農業の構造改革を図るため、集落営農組織が永続性のある組織となるような取り組みを加速化することが重要です。
 そこで、知事に伺います。現在、集落営農組織が抱えている課題と法人化への取り組み状況はどうなっているのでしょうか。
 最後に、水産業の振興についてです。
 漁業は、他の産業に比べ経費に占める燃油の割合が大きく、燃油高騰など社会情勢の変化をまともに受けます。
 記憶に新しいのは、昨年の燃油高騰問題です。一部では採算が合わず休漁に追い込まれる事態にまで発展しました。
 これに対して、政府・与党により、省燃油実証事業などの燃油高騰緊急対策が打ち出されたことや燃油価格が低下したことから、当面の危機は乗り越えました。
 しかし、今後、いつ燃油価格高騰が発生するかわかりません。行政として手抜かりは許されず抜本的な対策が求められています。
 また、販売面でも、漁獲物の出荷先が卸売市場中心であるため、漁価低迷のあおりを受け、経費上昇分のコストを価格に転載できず、苦しい経営を強いられているようです。
 これらに対応するために、コスト高に負けない水産業への構造転換は言われて久しいことでありますが、今日なお緊急、喫緊の課題であります。
 本県の漁業者が所得を確保し、経営を維持・発展させるための方策について、これまでの取り組みと、今後の新しい展開について知事の所見をうかがいます。

(農林水産問題について)
 中山間地域等直接支払制度の評価と継続について

 この制度に取り組んだ集落では、集落内の話し合いが活発化し、地域を守る活動や営農に対する意欲が向上したと大半が感じており、中山間地域の農業生産活動の維持や多面的機能の確保に果たす役割は大きいと評価しております。
 このため、県といたしましては、この制度は継続すべきと考えております。














集落営農組織の課題と法人化への取り組み状況について

 四百六十一組織のうち、これまで八十四組織が法人化を達成し、三百七十七組織が法人化に至っておりません。そのうち、約三割でリーダーや作業を行うオペレータが明確でなく、会計責任者の育成も約六割にとどまっています。
 このため、「担い手・産地育成総合支援協議会」の活動を強化し、各組織の課題と発展方向を示したカルテに基づき、人材育成と経営改善を進めて参ります。














漁業者の所得向上対策の取り組みと今後の展開について

 燃油経費の割合が高い漁船漁業においては、燃油を節約するため、一部漁船が沖で停泊をするような操業形態への移行や、船の抵抗を少なくするよう船底掃除の効率化などを進めております。
 また、生産コストの増を価格に反映できる売り方の工夫が必要であり、漁業者自らが価格を決めることのできる直接販売の取り組みを支援しております。
 これらを通じて、低コストで収益性の高い漁業経営の実現を図って参ります。





 次に教育問題についてただします。
 まず、学習指導要領の改訂と本県の取り組みについてであります。
 言うまでもなく今回の新学習指導要領改訂の最大の特長は、現行の指導要領に比較して授業時数が大幅に増えることです。加えて新学習指導要領の全面的な実施が、小学校は平成二十三年度から、中学校は平成二十四年度からにもかかわらず、本年四月からは、一部について先行実施を指示し、さらにかなりの部分について、先行を促していることであります。
 例えば、算数・数学、理科で授業時数を増やしたり、新しい指導内容を取り入れたりするとともに、小学校では、学校の判断により、五・六年生で外国語活動に取り組めるようになっています。
 なぜ文部科学省がこのように先行実施までして新学習指導要領を定着させようとしているのでしょうか。国は明確には述べてませんが、ゆとり教育といわれてきた現行の学習指導要領の考え方が失敗だったからであると私は考えています。
 早い話、国のゆとり教育をそのまま実行に移した本県においては、学力調査や体力調査の結果が非常に悪いという結果を引き起こしたことがこの間の事態を裏付けている、といえるのではないでしょうか。
 さらにゆとり教育の大儀名分のもと行われてきたこの授業時数の削減は学習能力のある子どもに対しても弊害を引き起こしてきたことも見逃せないところであります。
 すなわち、いまのゆとり教育では学習指導要領の内容は最低基準であります。
 この結果、能力のある子どもたちにとっては授業中はわかっている内容ばっかりでおもしろくない、後は塾に期待するしかない、などという無気力な態度がしばしば見られてきたのであります。
 能力のある子どもたちが「公教育には期待しない」という気持ちを抱いたまま親になるのであれば、これは非常に危機的な状況でありこうした事態を招いた国や県の教育関係者は猛省を促すとともに早急に対策をとる必要があります。
 これまで我が党としても、このゆとり教育の弊害について早くから指摘し、できる限りでの改善策を県教委に求めてきたところでありました。その意味で、今回の改訂における授業時数の増加などについては、一定の評価をしているところです。
 もちろん教育政策のあり方から見ると、目まぐるしく方針転換することの、その弊害については懸念しないわけではありませんが、今はとにかく授業時間の拡大に目を注ぎたいという考えでいます。
そこで教育長に伺います。現行の学習指導要領に比べてこの新しい学習指導要領をどう評価され、県としてどのように実行に移していくのか、見解をお聞かせ下さい。
 次に、授業時数の増加についてでありますが、新しい学習指導要領では、授業時数が、小学校では六学年合わせて二百七十八時間、中学校では三学年合わせて百五時間増加しております。
 学力向上を図る観点からも、よりよい改善がなされたと考えているところでありますが、要は各学校が、この授業時数増加に応じた適切な学習活動を展開していくのか、気になるところであります。
 また、内容の改善や、授業時間数の増加が推進される中、義務教育でもっとも強調されるべき、基礎・基本の徹底という観点から、十分習熟が図れるのか心配であります。
 そこで、教育長に伺います。この授業時数の増加を各学校はどのように活用すべきなのか、また、適切に学習活動が展開されるための県の取組について、お聞かせください。
 次に今回の指導内容の主な改善の視点の一つである「言語活動の充実」をはじめとする新しい学習指導要領の趣旨徹底についてであります。
 私はその昔、文化勲章を受けられた数学者の岡潔先生が、数学も元をただせば国語の問題である、と述べられたことを想い出します。
 これは、言語が知的活動やコミュニケーション、感性・情緒の基盤であり、「読解力」の育成が学力向上で最も必要なことを早くから指摘されていたのではないでしょうか。
 そこで、教育長に伺います。本県はこの言語活動にどの程度力を入れて取り組んでいくのか、言語活動をはじめ新しい学習指導要領の周知・徹底を含めて、お聞かせください。
 最後に、教師の指導力の向上についてです。
 効果を上げるためには、当たり前のことですが、教員の資質向上が図られなければならないところであります。
 そこで、教育長に伺います。次代の日本を担う子どもたちをはぐくむために、新学習指導要領の実施に備えて教員の資質をどのように向上させようと考えているのか、お聞かせ下さい。
一方、いくら資質の向上を図ろうとしても、元々教師としての資質・能力に欠ける人たちがいることも明らかであります。
 こうした教員に教わる子どもたちこそ最大の被害者になります。
 ところが、現在の本県の教員の指導能力改善の基本方針は、依然として教員研修等の手段により、できる限り教員の資質の向上を図っていくことに主眼をおいているようですが、結果的に教師としての資質に欠ける人物を選ぶ現行の採用試験については、基本的にそのあり方を見直すべきではないのでしょうか。
 この点について教育長の見解を伺います。
この新学習指導要領の実施は、本県のこれまでの様々な教育の弊害を是正する好機であります。特にスタート時点が非常に重要になります。学力低下や道徳心の欠如など大きな問題を引き起こしたゆとり教育の二の舞にならないよう、本県の教育の理念をしっかりと打ち出し、教育関係者が共通理念を持ってしっかりと子どもたちの教育に取り組んでいくことを切に期待してこの質問を終わります。

    教育長答弁

(教育問題について)
 新しい学習指導要領に対する評価等について


 今回の改訂は、教育基本法の改正の趣旨を踏まえ、現行学習指導要領の下、学力や体力の低下、思考力等の育成の不十分さが指摘されていることに鑑み、その改善を目指してなされたものであります。
 改訂内容には、基礎・基本や応用力を身に付けさせるための授業時数の確保や、伝統や文化、道徳教育の充実等が盛り込まれており、確かな学力や豊かな人間性、健康・体力をバランスよく育むことができると考えております。
 県教育委員会としましては、学力向上を図る観点からも、新しい学習指導要領の周知徹底に努め、着実に実施して参ります。

 





 各学校における授業時数の増加への対応と県の取組について

 授業時数が増加することにより、児童生徒がつまずきやすい内容を確実に習得するための繰り返し学習や観察・実験、レポート作成などの学習を通して、基礎的・基本的な知識・技能の習得等を図る時間を確保するとともに、学習状況等に応じた発展的な内容を加えて指導することとなります。
 県では、教育課程説明会の開催や、授業改善に取り組む研究校の指定等、学習活動の充実に向けた取組を進めるとともに、その状況を的確に把握して参ります。


 





 言語活動の取組等について

 知識・技能を習得し、これらを活用した「思考力」「判断力」「表現力」は、すべて言語を基盤として培われるものであり、その能力を国語科を中心として各教科等で高めていくことが求められております。
 このため、表現や説明、論述等の言語活動の例示と授業づくりのポイントを紹介している指導資料を全教員に配布し、各教科における言語活動の充実を図っております。
 また、新学習指導要領を円滑に実施させるため、本年度から全小・中学校の教諭等を対象に、教育課程説明会を実施して参ります。


 





新学習指導要領の実施に備えた教員の資質向上について

 子どもに確かな学力や豊かな心、体力を身に付けさせる新学習指導要領の趣旨を的確に指導に反映していくために、教員には、実体験を重視した授業等を推進できる実践的な指導力が必要であると考えます。
 そのため、県では、教員相互の評価を取り入れた授業研究や課題に応じて受講する研修等の充実、優れた学習指導案の収集と提供、さらには、教員の能力を発揮できる学校運営体制の充実に努めます。


 





 教員採用試験について

 これまでも集団面接や民間人面接員の導入などを行い、教員としての強い使命感や実践的指導力、将来に渡る適性などを判断してきたところです。また、採用後も条件附任用期間において、適性を見極めるとともに、普段の指導を通して育成に努めているところです。しかし、長年の教員生活の過程で、学習指導や学級経営などに課題を有する者もでてきており、より適性の高い教員の採用が求められております。
 このため、今年度の採用試験においても模擬授業の改善を行うなど、実施方法を見直しているところですが、今後も、採用試験の不断の点検に努め、優秀な教員の採用に努めて参りたい。


 さて、私の質問も最後となりましたが、終わりに今、世界の各国で不安をもたらしている、いわゆる新型インフルエンザ対策についてお聞きします。

 メキシコ、アメリカに始まってあっという間に全世界に広がっていったこの新型インフルエンザ騒動では、今、患者は、回復者も含め世界六十六ヵ国で二万人超に及び、わが国でも四百人超を数えています。先に本県でも、福岡市内の小中学校の児童生徒の間で、相次いで集団感染者が見つかり、かつ、感染者が福岡空港周辺に集中していることを奇異に感じていたところ、この集団感染は、本県で発生した第一列目のアメリカ人男性のウイルスと同型のものであることが、県の検査で明らかにされました。

 そこでまず、この二つのケースについて、県民の不安解消のために詳細に事情を説明頂くとともに第一列目への対応、とりわけ男性の立ち回り先を公表せず福岡市や当該志免町にも情報を提供しなかった、としてマスコミ等に批判されている点について、県としての確固たる見解をお示しください。
 また、現在も二十四時間体制で受け付けている相談窓口については、開始以後どのように推移しているのかも併せて説明願います。

 次に、感染した地域がさらに拡大し、患者が多数発生した場合の対応について、社会的対応も含め、どのようなことを検討されているのか、お示し願います。

 次に、これから冬に向け、ウイルスが高い死亡率を出すものへ変異する可能性も考えられます。また、鳥由来の病原性の高いウイルス発生も想定されます。今回の結果を活かし、社会的対応、医療体制の整備、ワクチンの確保、防護具、タミフルの備蓄など、冬のインフルエンザ流行期までにやっておかなければいけないことについて、現状説明と併せ知事の対応方針をお示し願います。

 最後に、弱毒性の新型インフルエンザ対策行動計画の策定についてであります。
 専門家でもない私が口はばったく申すことには、少し戸惑いを感じるところではありますが、多くの専門家の見通しによりますと、今回の新型インフルエンザは感染力の割には病原性の低い弱毒性のものとされているようです。
 一方、本県にとどまらず、どこの自治体でも対策と防止の行動計画は強毒性を想定して作られていると聞いています。
 「備えあれば憂いなし」でしょうが、今回のケースから判断して当然、弱毒性ウイルスに対する行動計画も必要とされると考えます。
 知事の所見をただしておきます。


知 事 答 弁

(新型インフルエンザ対策について)
 福岡市における新型インフルエンザと第一例 目の関連及び情報のあり方について


 志免町で発生した第一例目の患者のウイルスと福岡市の患者のウイルスの遺伝子配列がほぼ一致していることが判明いたしました。
 このことから、県内第一例目の患者が感染源となった可能性が高いと判断しているところであります。
 第一例目の対応においては、感染拡大防止のため、患者への入院勧告及び患者の行動についての疫学調査を行い、濃厚接触者に対する外出自粛の要請、健康観察を行いました。
 また、今回のインフルエンザが季節性と同等に毒性が弱いことから、社会活動の制限は、要請しなかったところであります。
 行政機関相互の情報共有のあり方につきましては、事例ごとに、よく検討・協議を行って参りたいと考えております。



 相談窓口について

 四月二十五日から現在までに、約二万五千件の電話相談に応じております。
 国内での感染が確認された後の五月十九日の二千百八十一件をピークに、全体的に件数は減少傾向にありましたが、今回の福岡市の発生を受け、増加がみられています。
  主な相談内容としては、「子供が発熱してい る。どこを受診したらよいか」といったものです。




 本県で多数発生した場合の対応について

 全ての医療機関で外来診療を行うよう要請することにしております。
 心臓、腎臓などに基礎疾患をお持ちの方が発病し、入院が必要となった場合や、重症患者については、「入院協力医療機関」の協力を得ることとしております。
  また、今回の新型インフルエンザは、季節性 インフルエンザと同等に毒性は弱いことから、集会、スポーツ大会等の自粛は要請しないこととしています。



 強毒性の場合の対応について

 専用外来における振り分けや入院の場合の医 療体制について点検し、県医師会等と連携を図りながら、整備を行って参ります。
 タミフルや防護具については、追加して備蓄して参ります。
 なお、ワクチンについては、国において製造に向け、準備が進められています。
 また、社会的な対応としましては、基幹的な社会機能を維持するための対策について、検討して参ります。
 

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