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自民党県議団 代表質問 平成20年12月5日(金)

   12月1日(月)に開会した12月議会は12月5日(金)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 冒頭まず、定額給付金問題について、全国知事会長としての知事の所見と取り組みをお聞きしておきます。
 本年十月三十日に政府・与党において取りまとめられた「生活対策」において、定額減税について給付金方式で行うことが決定されました。景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するため、家計への緊急支援として総額2兆円の定額給付金を実施することが盛り込まれておれます。家計への支援をより迅速に実施し、また、特別減税の恩恵を受けない低所得者にも広く効果を及ぼすためには、さまざまな批判や異論があることも想定した上での、麻生総理の英断ではなかったかと考えます。
 かつて、平成十一年に実施された地域振興券では、生活保護世帯など一定の要件を満たした国民に一人二万円分、総額で六,一九四億円が交付されたものと承知しております。平成十一年八月の当時の経済企画庁の調査によりますと、地域振興券によって喚起された消費の純増分は、振興券使用額の三十二%程度で、これを交付済額約六,一九四億円のベースに単純に換算すると、消費の押し上げ額は、二,〇二五億円程度で、当時のGDPの個人消費の〇.一%程度と推定されています。 かつての地域振興券と今回の定額給付金とはその仕組みや対象者、金額などが異なるため、単純な比較はできないとは思いますが、いずれにしても、この定額給付金は、政策的に国から給付されるものですから、そのまま貯め込まれたのでは、政策本来の目的を果たすことになりません。国民一人ひとり、県民一人ひとりが、政策推進者として景気浮揚を実践すること、すなわち給付金を消費することこそが期待されているものであります。
 麻生知事におかれましては、こういった趣旨を踏まえ、定額給付金がまさに県民総参加で積極的な消費に使われ、本県の地域経済の刺激材料となるよう、県民の意識喚起に努めていただきたいと思います。また、全国知事会長として、このような国民運動を率先して起こしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。経済通の知事ですから個人消費の重要性は、すでに十二分に認識されているものと考えて、あえて知事の所見を伺います。
 また、給付金の給付主体である市町村に対しても、積極的にこのような指導を行うべきと考えます。市町村に対する県の指導の重要性を常に指摘しておられる知事でもありますから、是非とも積極的な指導がなされるものと考えますが、併せて方針をお示し願います。

麻生渡知事 答弁要旨






 (全国知事会長としての定額給付金への対応)

 定額給付金についての所見と取組について


 定額給付金事業は、景気が後退する中で家計への支援となり、個人消費を刺激する効果があると考えております。

 したがいまして、給付金が貯蓄に回されることなく有効に使われ、本事業の効果が十分に上がるよう、市町村及び住民に対しまして、その趣旨や内容について啓発を行ってまいります。
 

 それでは最初に、本県の経済情勢、税財政問題を中心に、知事の基本的な政治姿勢についてお聞きします。
 まずは経済・景気情勢の認識と対策などについてであります。
 九月のリーマンブラザーズ破綻を契機に、世界の経済金融情勢は瞬く間にその様相を一変させることになりました。
 外需に依存してきたわが国経済は、既に景気後退局面に入っていますが、欧米発の金融危機、実体経済の弱体化が追い討ちをかけ、日本経済の先行きには大きな暗雲が立ち込めています。
 とりわけ本県に関係の深い自動車産業では、世界的に自動車販売の驚くべき不振が深刻化しています。
 本県に立地するトヨタ自動車九州でも、この夏以降、生産計画を相次いで下方修正、製造現場の派遣職員等も大量に解雇され、残業時間も大幅に縮小されています。日産も大幅な減産となっているようです。
 自動車産業の低迷に歯止めがきかない極めて憂慮すべき状況に陥っています。
 二十年度県予算を編成した本年当初はもとより、先の九月議会においてさえ知事も十分予想されていなかった事態の急変であります。
 そこで、まず、今回の世界的な金融危機、同時不況の原因をどのように認識されているのか、お尋ねします。
 また、現在の本県経済・景気の状況について、知事はどのように見ておられるのか。
 九月議会ではいくつかの懸念を示されたものの、「本県経済については、回復の動きが弱くなっている。」、「本県経済の今後については予断を許さない状況にある。」程度にとどまり、いささか第三者的答弁との印象を持ちました。
 二ヶ月の間に事態はさらに急変しています。 今後の見通しと併せ、改めて知事の率直な現状認識をお尋ねします。


 こうした中、麻生内閣発足以来、政府においても経済対策が策定され、一部はすでに実施されています。本県においても、中小企業に対する経済対策資金の融資枠を三〇〇億円に拡大しました。また、県単独公共事業の前倒しのためゼロ県債を昨年に比べて十億円積み増し総額五十億円に増額しています。このことは、それなりに評価するところでありますが、状況は悪化の一途をたどり、厳しさは更に増しています。従って景気対策はまだまだ幅広く取り組む必要があります。特に実効性のあるゼロ県債については、拡大を考慮すべきです。そこで政府の経済対策等を踏まえて、他に、どのような対策が講じられてきたのか、成果は上がっているのか答弁願います。さらに、貸し渋り、貸しはがしの問題が一部で報道されるなどして中小企業に対する保証協会や金融機関の融資態度が厳しく問われているようです。こうした問題について、県は実態を把握しているのか、またどのように対処されようとているのか説明願います。
 次に県税収入の見通しと財政運営の基本方針などについてお聞きします。
 こうした急激な経済変化の伴い心配されるのが税収の悪化であります。
 本年度の国税収入の動向については、当初予算で見込んだ国税収入五十三兆六千億円を五兆円以上も下回るとの予想もあります。歳入不足を補うため、補正予算での赤字国債増発が避けられないとの声も聞かれます。
 当然、本県税収も、法人事業税や法人住民税を中心に大幅な減収になることが大変心配されるところです。
 しかしながら法人二税について、本県は当初予算で地方財政計画の伸びを大幅に下回る堅実な見込みを立てられたはずであります。
 加えて、地方交付税算定の基礎となる標準税収額にも及ばないとして、当初予算では極めて異例の減収補填債まで計上し、収支の辻棲合わせをされました。
 このような経緯もあってか、先の九月議会では、今年度の税収について、「県税全体としては、これまでのところ前年度並みで推移している。」旨の楽観的な見通しを述べられました。
 しかし、最近では、その控えめな見積もりさえ確保できず、巨額の歳入欠陥が生じるのではないか、といった声も聞かれるところです。
 そこでまず、本年度の法人二税と県税全体の最終的な税収見通しについて、現時点でどのように見込んでおられるのか、具体的な数字で明快にご説明願います。
 また、法人二税について大幅な減収が見込まれる場合、当初計上した減収補填債をさらに上積みされるつもりなのでしょうか。
 この点について、我が会派は二月議会においても、「地方財政計画を下回る税収見込みを当然のこととして安易に県債の発行に頼る財政運営のやり方ではないか。これでは担当職員の徴税努力のインセンティブも働かなくなる。」と、厳しく批判したところです。
 世界的な経済金融情勢の急変があったとはいえ、税収見積もりを大きく誤りながら、当然のごとく減収補填債を上乗せする。
 そんな無責任な姿勢で本県の財政構造改革をなしえるのでしようか。
 今後は、減収補填債の当初からの安易な計上を控える意味からも、当初計上する場合の明確なルール設定が必要であると考えますが、如何でしよう。知事の見解をお尋ねします。
 関連して、現在の新財政構造改革プランでは、「県債発行の抑制を図り、平成二十二年度には県債残高を減少に転換させる。」という唯一の財政健全化目標を掲げていますが、十九年度決算でも当初見込み税収を三百十億円以上も下回ったことは記憶に新しいところです。
 仮に二年連続でこのような巨額の歳入欠陥を引き起こすことになれば、経済見通しの悪化と相まって、本県財政は一段と厳しさを増すことは必定であります。プランの目標達成も極めて困難になったと言わざるを得ません。
 プランの前提となっている経済成長率の考え方を改めて明らかにした上で、見直しに向けての知事の基本的な考え方をお尋ねします。
 併せて、厳しい県税収入の状況等を踏まえ、来年度予算編成にどのような基本方針で臨むつもりなのか、知事の基本方針をお尋ねします。


(県税収見通しと県下の景気情勢等)

 世界的な金融危機、同時不況の原因について


 米国における、返済能力に問題のある者に対する不適切な住宅ローンや、それを可能とした証券化商品等をはじめとする複雑な金融商品の開発・販売、不適格な格付けなど、金融システムの欠陥が、住宅価格の下落により一挙に露呈し、激しい信用収縮が引き起こされ、世界的な金融危機となっております。
  また、こうした動きが実体経済にも影響を及 ぼすこととなり、世界的な景気後退を招いたと考えております。





 本県経済・景気の現状認識と見通しについて

 世界経済の急減速が県内にも波及しており、これまで牽引役となってきた自動車や鉄鋼などの生産水準が低下し、雇用情勢もさらに厳しくなる等、本県経済は悪化しております。
  今後の見通しですが、世界経済の減速が強ま るなかで、一層の生産水準の低下や設備投資計画の先送りなどが懸念され、さらに悪化を見込まざるを得ない状況であると考えております。






 政府の経済対策等を踏まえた県の対策とその成果について

 県におきましては、国の対策に先立ち、農林水産業対策や中小企業緊急金融対策を講じたところです。さらに、国の緊急総合対策に対応して災害等防止のための土木施設公共事業等を実施することとしております。
 県が実施した経済対策の結果、農林水産業においては、省エネにつながるハウスや畜産施設などの整備が現在県内各地域で進んでおり、また中小企業においては、年末を控えて緊急経済対策資金の利用者が急増しております。このことから、県の対策は所期の役割を果たしていると考えております。



 金融機関の融資姿勢について

 これまで緊急に実施してきた商工会等中小企業団体との意見交換会の中では、「貸付審査が厳しくなった」、「追加担保を求められた」という声が寄せられました。
 このため、私自ら金融機関及び保証協会に対して円滑な資金供給を強く要請したところであり、さらには、金融機関に資本注入を可能とする金融機能強化法の早期成立を国会に要請したところです。
 今後とも中小企業の資金繰りに支障が生じないよう全力を尽くして参ります。





 今年度の税収見通しについて

 今年度の県税収入は、欧米各国の金融危機による世界経済の減速に伴い、景気が後退局面に入っていることから、十月末の調定実績において、主力の法人二税が前年比九十三・一パーセントとなるなど、個人県民税を除いたほとんどの税目において、前年度を下回っております。
 仮に現時点での実績を基に試算すると、法人二税において二百億円程度、県税全体では三百億円程度当初予算を下回る見込みであります。
 景気後退に伴う法人二税等の減収に対しては、政府・与党が示した新たな経済対策において、適切な財政措置を講じることとされており、この結果を見極め、適切に対応してまいりたいと考えております。
  



 減収補てん債の当初予算の計上について

 平成二十年度当初予算においては、地方財政計画と県の税収見込みの作成時期の違いなどから、地方財政計画における法人関係税の高い伸びと本県の収入見込との間に乖離が生じると見込まれました。この差を埋めるため、やむを得ず、減収補てん債を計上したところであり、今後の予算編成に当たっては、慎重に検討して参る考えです。
 平成二十一年度の地方財政対策に向けては、地方交付税の復元・充実をはじめ、地方財政計画の策定に当たって、地方の実態に即した税収を的確に見込むことなどを全国知事会を通じて国に強く求めているところです。
  
  


 新財政構造改革プランの見直しについて

 プラン策定時の県税収入見込みについては、国が平成十九年一月に発表した「日本経済の進路と戦略」の経済成長率を参考に算出しております。現段階では、プラン策定時には想定し得なかった世界的な金融危機の発生に伴う景気の後退により、県税収入が見込みを下回っている状況にあります。
 財源不足の圧縮と県債残高の減少という目標の維持については、ぎりぎりの状況となりつつありますが、職員定員の削減や事務事業の見直しなどの歳出削減努力は、引き続き進めて参る所存であります。  
 今後の収支見通しについては、地方交付税を含む地方財政対策や税制抜本改革の動向、中長期的な経済見通し等を見極めていく必要があると考えております。
  


 来年度の予算編成方針について
 
 平成二十一年度当初予算の編成に当たっては、税収の見込みを踏まえるとともに、追加の経済対策や道路特定財源の一般財源化等の取扱いを含め、国の予算編成や地方財政対策などの動向を見極めていく必要があります。
 このような中で、現下の厳しい経済情勢への的確な対応をはじめとする重要な施策に対し、限られた財源を重点的に配分するという方針で臨む考えであります。
 

 次に、九月定例県議会でもただしたところでありますが、再度、県出先機関の見直しについてお尋ねします。
 八月中旬に出先機関全般の見直しについての行政改革審議会の答申が出されました。
 これを受けて、県は見直し案の検討を進めてこられたようですが、九月県議会、そして今十二月県議会になっても、未だに見直し案が示されておりません。
 このようなことを勘案しますと、出先機関の見直しを、来年度当初から一斉に実施することは現状では最早や困難だと判断しています。
 誠に遺憾なことであり、これまでの県の対応に不信を覚えるところであります。
 そこで、もしそうであるならば、次善の策として、まずは、できるところから見直しを進め、段階的にその効果を上げていくことも一つの考え方であります。
 例えば児童相談所であります。
 この児童相談所については、児童虐待の深刻化など、今差し迫っている緊急の課題に対応するために体制強化を図る必要があると指摘されており、県民サービスの向上に直結することがらであります。従って来年度なるべく早くから速やかに実施すべきであります。
 また労働福祉事務所、商工事務所、保健福祉環境事務所についても、県民サービスが低下しないような具体的な方策をとることに十分留意しながら、早期に見直しを進めていくべきであります。
 このように、出先機関ごとの実情を踏まえて、段階的見直しを進めていくべきだと考えますが、これについての知事の考えをただします。そのうえで改めて出先機関再編成について今、どこまで進み、今後どのような見通しとなっているのか、検討状況の詳細を求めるところであります。
 また、以前、「ワンストップ・サービス県庁」とでもいうべきのものを目指し、生活支援の地域先端拠点づくりの一環として、労働福祉事務所で実施している労働相談業務を、保健福祉環境事務所に付加することが検討されておりました。これはかっての県行革答申にもとづくものと理解しております。
 ところが、その後まったくこのような構想、考え方を耳にしないようです。今回の見直しの中で、どのように対応しようとされているのか、お伺いします。
 また既にそのような考え方については検討されず、検討対象とされなかったのであれば、その事実と経過についてもこの際、明らかにされるよう求めます。


(出先機関の見直し)

 出先機関の見直しの検討状況と実施時期について


 本年八月の行政改革審議会の答申を踏まえ、出先機関の見直しについて検討を進めており、今議会中には、県の基本的な考え方を明らかにしたいと考えております。
 実施時期につきましては、県民への周知や庁舎整備に必要な期間も考慮しながら各々の出先機関の実情を踏まえ、二十一年度中の実施を目途に検討しているところです。
 今後、これらの検討を進め、二月議会には関係条例の改正を提案したいと考えております。








 労働相談業務の保健福祉環境事務所への付加について

 労働相談は、労働福祉事務所を設置している両政令市・中核市など都市部での住民ニーズが高いことから、政令市等に設置していない保健福祉環境事務所で相談を実施することとした場合、住民の利便性が損なわれるおそれがあります。

 また、雇用形態の多様化等による非正規労働 者の増加などにより、相談件数が増加しておりますので、これに的確に対応するため、労働相談機能の充実強化を図って参る考えであります。

 次に公益法人改革についてお聞きします。
公益法人改革関連三法が去る一二月一日に施行されました。既存の公益法人が、新制度における公益法人へ移行するためには、今後五年の間に、改めて国や県の公益認定を受けなければなりません。
 一部には、目的と活動に乖離があったり、そもそも活動実態がまったく無かったりで社会の批判を受けるような公益法人が存在しているようです。従ってこれを是正することも目的のひとつとしてあげられているようですが、本来の主たる目的は、民間非営利部門の活動の健全な発展を促進することにあると聞いております。
 今年二月議会の我が党の代表質問において、知事も、公益法人は「新しい時代の公の仕事を分担」する重要な主体のひとつであり、公益法人改革は新しい社会づくりに寄与するものという基本的な考えを述べておられます。
 本来の目的に沿って公益活動をしっかり行っている団体が、新制度の公益法人へ移行できないとなれば、県内の公益活動は沈滞し、地域の活性化や福祉の増進が進まないこととなります。県所管の公益法人は六二〇ありますが、新制度に不安を持っている法人も多く見受けられます。新制度への円滑な移行は大変重要なことと考えます。
 そこで、県では、新制度の施行に向けて、関係法人への説明をはじめ、どのような準備を進めてきたのか、お示しください。
 また、新制度では、公益法人となるための様々な認定基準が法令で定められています。このうち、法人の事業の半分以上が公益目的事業でなければならないことが、公益法人になれるかどうかのポイントになると考えられます。
 しかしながら肝心の公益目的事業の定義は、学術・技芸・慈善その他の事業で「不特定多数の利益の増進に寄与するもの」と法律で規定されているだけで、それ以上の判断基準は定められていません。
 県は審査に当たっての基準として、内閣府に設置されている公益認定等委員会が定めたガイドラインを使用するようですが、これは法令の逐条解説や申請書の記載要領のようなものであり、もっとも重要といえる公益目的事業の判断基準は、なんら示されていないと聞いているところです。
 もちろん、公益法人は多種多様な事業を行っており、画一的な基準を策定されることは、実態を無視した不適切なものとなってしまうおそれを否めないところであります。認定を受ける側の不安や不信を招く原因にならないよう十分配慮して頂かねばならないことは言うまでもないところです。
 そこで、県は、どのような基本的考え方で公益認定の審査に臨もうとしているのか、公認認定のなかで、最も懸念されるところでもありますので、具体的、詳細に説明願います。
 

(公益法人改革について)

 新制度施行に向けての準備について

  
 新制度につきましては、県のホームページなどを通じて広く県民に周知を図るほか、県内の公益法人に対しましては、平成十八年度から毎年、新制度の内容や手続に関して説明会を開催するとともに、法人からの個別の相談にも対応して参りました。
 また、民間有識者からなる福岡県公益認定等審議会を設置するとともに、パブリック・コメントを実施した上で県の公益認定等の審査基準を策定するなど、新制度に円滑に移行できるよう必要な準備を進めてきたところです。
  








 公益認定審査の基本的考え方について
  
 法人の公益認定の審査に当たりましては、特定の個人や団体に利益を与えることなく受益の機会が一般に開かれているか、事業目的を達成するために必要な人材や設備を確保しているかなどの観点から行います。

 その際は、画一的に判断することなく、法人の活動実態や今後の事業方針を踏まえて、総合的に判断する必要があると考えており、公益認定等審議会の意見を聴いた上で、適切に認定を行って参ります。

 次に、九州大学の移転を契機とした県内大学の整備と福岡市の新しいまちづくりについてお聞きします。
 九州大学は、未来型大学都市の創造をコンセプトにし、現在、糸島の伊都地区に新たなキャンパスの整備を着々と進めています。
 平成十七年度に始まった工学部の移転をはじめとして、平成二十一年度には、現在の六本松にある教養部が移転し、一万人を超える学生が勉学をはじめると聞いています。
 福岡県も、この九州大学の移転を契機に、経済界や福岡市地元市町と一体となって従来の九州北部研究学園都市構想を、この新しい九大構想に絞り込んだ九州大学学術研究都市構想を策定しました。
 産官学で九州大学学術研究都市推進機構を設立し、研究機関の誘致など構想の推進に努めていることは十分承知しています。
 最近は、ダイハツの研究所の進出が決まるなど、順調に移転が進んでいるかのように見えます。しかしながら、大変気がかりなこともあります。
 まずは、移転の完了時期であります。
 最後の農学部が移転を完了するのは、平成三十一年度とされています。なんとこれから、十年以上も先の話であります。
 急激に変化する経済や社会情勢を考えるまでもなく、あまりにも遅い、と指摘せざるを得ません。これでは移転先の糸島伊都地区に築かれる未来型大学都市づくりにも支障をきたすのではないでしょうか。県民は、一日も早いこの大学都市の完成を待ち望んでいます。県と市が十分連携をとって早期完了を強力にバックアップすべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、この際ですから福岡女子大学改革についても、知事の見解をお聞きしておきます。
 単位互換制度をはじめ、大学連携が新しい大学のあり方となりつつあります。
 こうした中、県では県立福岡女子大学の改革に着手されようとしていますが、大学連携の新しい流れを考えるならば、大胆な方策として女子大学を新キャンパス周辺に移転させ、九大との連携を図ることが最も望ましい女子大学改革だと考えます。
 国立大学と県立大学のコラボレーションは、大学連携の理想的な姿ではないでしょうか。
 併せて知事の見解を求めておきます。
 さて次に九大移転問題には、移転財源の問題が密接に絡み、現在は、国が経費を投じているものの、既存キャンパスの跡地の処分収入を当てることとされていることは、十分承知しています。
 六本松については、福岡市において策定した跡地利用計画に基づいて、売却予定事業者が独立行政法人都市再生機構に決定した、と聞いています。
 しかし、それだけでは不十分で、四十五ヘクタールという広大な土地である箱崎キャンパスの跡地を処分しなければならない。勿論この問題は、一義的には福岡市が中心となって住民の意見を聞きつつ、跡地利用計画を立てなければならないことではありましょう。 しかし、面積が広大であることだけにとどまらず、長期的な視点に立ち、県全体の発展につながるような「まちづくり」となると、福岡市だけではなかなか跡地利用計画ができそうもないようです。
 こうしたことについては、当の九大が一番よく認識されているようです。先に九大からも県に対して跡地を利用したまちづくり計画で積極的な支援要請をなされたことでも、このことが裏付けされているのではないでしょうか。
 そこで、県として福岡市と連携しながら、今後の福岡市のまちづくりのあるべき姿を含め、もっと積極的に協力すべきであると考えるところであります。知事の見解をお聞かせ願います。
 私はもともと、県はもっと福岡市の街づくりにも関与すべきである、と考えている一人であります。それは、旧岩田屋ビル問題をみても明らかであります。
 二〇〇四年二月二十二日に閉店して以来、九州を代表するあの天神の交差点が寂しいままになりました。
 五年近くも九州の顔ともいうべき都心の一角、福岡の最もにぎやかな目抜き通りの交差点の一角が空きビルになり今日もなお、その状態が続いているのであります。
 このような例が全国の県庁所在地にあったでしょうか。恐らく例は見ないはずであります。もっと県が積極的に関与していれば、この様なことにならなかったでしょう。
 想うところあの場所のビルが、一大学法人の私物にとどまらず偉大なる社会資産である、という観念が県や市に欠落していた、また、大学は企業の社会的責任、今流行の言葉でいうところのCSRを果たしてこなかった。私はこんな気がしてなりません。
 二〇一〇年秋には商業施設が誕生すると聞いていますが、一時まとまりかけた話がご破算になったことが過去にもあったところです。今回は、決してそのようなことがないよう、県がしっかりと見守って欲しい。このことは、ひるがえって九大の跡地利用にもつながることであります。
 そこで、この旧岩田屋跡地問題についての知事の忌憚のない所見も含めて、箱崎の九大跡地問題について知事の見解をお示し願います。
 次に気かがりなことは、医学部については当面、伊都キャンパスには移転せず、方向性がなんら示されていないことであります。
 英語で大学のことをユニバーシティというようですが、これは、ユニバースを語源にしていると聞き及んでいます。
 すなわち、森羅万象を意味するものであり、宇宙間に存在する数限りない一切のものごとを指し示しているようです。
 このため、知事の言うように、知の拠点づくりもユニバーシティーの原義を踏まえたコンセプトということになります。
 従って、医学部の移転問題は、伊都キャンパスが未来型大学都市のカギを握っているのではないか、こんな気がしてなりません。
 事実、九大内では、医学部を含め全学同時に新キャンパスに移るべき、との声がかつてあったようですが、なぜそれが大勢とならなかったのでしょうか。
 そこで、当面、医学部が移転しない伊都キャンパスについて、知事はどのような見解や抱負を持っておられるのか、所見を伺いたいのであります。

    

(九大移転を契機とした県内大学の整備と新しいまちづくりについて)


 九州大学移転の早期完了について


 現在の移転計画では、平成三十一年度までは箱崎キャンパスと伊都キャンパスとの二つに分かれることになりますが、九州大学の総合大学としての良さを十分発揮するためにも、県としては伊都キャンパスへの移転が早期に完了することが望ましいと考えております。
 このため、九州大学と連携しながら早期移転を国に働きかけて参ります。














 福岡女子大学と九州大学の連携について

 福岡女子大学の改革に当たっては、先月策定した「改革基本計画」において、積極的に国内外の大学との連携・交流を図ることとしており、九州大学などとは単位互換や共同授業等を進めたいと考えております。
 
 また、大学改革にあわせて施設整備を行う予定であります。
その立地場所については、交通アクセス・周辺環境などの立地条件、平成二十三年度を目途としている新学部の開設時期との関係などを総合的に勘案しながら、現在地を含めて検討しているところです。









 まちづくりにおける福岡市との連携について

 福岡市のまちづくりに際しては、これまで県としても、大規模集客施設のための拠点の指定を行っており、また、九大六本松キャンパスの跡地利用等の検討にも参画してきたところです。
 今後とも、県全体の発展につながるようなまちづくりを推進するために、福岡市との連携を図って参りたいと考えております。




    





 旧岩田屋ビル問題と箱崎の九大跡地問題について

 旧岩田屋ビルについては、天神の中心であり、多くの人が集まる賑わいのある空間になるべきと考えております。              

 箱崎の九大跡地については、所有者である九州大学と福岡市が協議をしながら、しっかりとした利用方針を立てることが重要でありますので、県としても協議の進展を促し、必要な協力を行って参ります。











    
 当面医学部が移転しない伊都キャンパスについて

 九州大学は総合大学でありますので、その良さを十分に発揮するためには、全学部が地理的に協力しやすい場所に集まることが望ましいと言えます。
 しかし、医学部については、教育・研究機能と附属病院の診療とが密接な関係があるだけでなく、附属病院が地域の拠点病院として重要な役割を果たしております。
 このため、九大としても医学部を現在地に残す選択を行ったものと考えております。


    

(福岡市域のまちづくりについて)

 九大医学部の移転について


 九大医学部は、病床数千床を超える付属病院と一体となって高度な医療を提供しております。 また、長い歴史の中で多くの医療機関と緊密な連携体制を構築しながら地域医療の中核として重要な役割を果たしています。      
 昨年度も、救命救急やハイリスク分娩の患者を始めとして一日平均約三千五百人の入院・外来患者を受け入れているところであります。 
 このため移転については、患者の利便性や救急医療への迅速な対応の維持など、地域医療の提供体制に十分な配慮をした慎重な検討が必要であると考えております。

 次に、農政問題について伺います。
 先ず米対策についてであります。
 本年度の田植え前に、わたしたちは生産調整の確実な実施に向けて、全県あげて取り組む必要性について問いただしたところであります。日本農業を維持していくためには当面、生産調整に依存せざるを得ないからです。
 本県では、生産者の協力もあり、また、行政当局の指導もあってほぼ達成しているようでありますが、しかし、全国的には一部マスコミの報道によると、生産目標面積を約五万四千ヘクタール程度も上回る過剰作付が伝えられています。
 加えて作況指数の一〇二という今年の豊作を考えますと、本年もまた米余り状態は解消されず、米価はまた下がり、本来喜べるはずの豊作が素直に喜べない、と悲しい現実を今年も解消できないのでしょうか。
昨年、政府・与党は米価対策として備蓄米の積み増しを行う緊急対策を講じ、米価が向上するなど一定の成果を見たところであります。こうしたなか問題を残したのは、生産調整に参加しない農家も結果的には、この緊急対策により、救済を受けた状況となったことでありました。
 これでは生産調整に協力した生産者は、不公平感を拭えず、報われません。このまま不満を持った状態が続けば、制度の存続そのものが危ぶまれると、危惧しているところであります。
 現在新たな追加経済対策の中で、政府として生産調整を実施した農家への新たな助成金や余剰米の買い入れ等不公平のない施策を検討しているようではありますが、昨年のようなことが繰り返されたのであれば、生産調整の協力を得ることは大変難しくなってきます。
 本県は、県全体で真面目に取り組んできただけに、なおさら懸念されるところであります。
 そこで、知事にお伺いします。
 農業を守り維持していくためにも当面、生産調整への取り組みは避けられませんが、知事はこの生産調整についてどのような見解を持っているのか、また全国知事会長として非協力者についてはどのように取り扱うべきか所見をお示し願います。また、このように根本的な余剰が続くことが見込まれる中で、水田農業の基幹をなす本県のコメ生産のあり方について、知事の所見をお聞かせください。
 次は学校給食における米飯給食の促進についてであります。
 国民全体でごはんをもう一杯、多く食べるだけで、米の生産調整もほぼ解消するのではないか、と指摘する識者もいるくらいです。
 加えて最近は世界的な穀物高騰で、パンの価格も上がっています。例えば五キログラム二千円程度の米ならご飯一杯約三〇円という割安感があり、米の消費増を計るには絶好の機会でありましょう。
 そこで、知事にお伺いします。
本県においては、米飯給食が年々向上してきたことは承知しています。
 この機会を捉えて今後、どのように促進していく考えなのか。その際、近年取り組みが広がりつつある米粉の普及促進についても併せてお答え願います。
 次に担い手の育成・確保問題について伺います。
 本県では、現在水田面積六万八千九百ヘクタールのうち、担い手への農作業集約化面積は平成十九年度で四六パーセント程度と聞いていますが、地域の担い手が地域農業を守りそして「経営として成り立つ水田農業」を確立していくためには、勿論、まだまだ不十分であります。
 そこで、知事にお伺いします。
 本県の水田農業の将来像をどのように考え、どのようにして担い手の育成・確保を進めていくのか、知事の所見をお伺いします。
さらに、担い手の育成・確保には、次の担い手となる新たな就農者を確保していくことも大きな課題と考えます。
 農林水産省が発表した昨年度の新規就農者の調査結果によりますと、農業生産法人などで働く雇用就農者が増え、そのうち三九歳以下の就農者の比率が六割近くに上るという姿も浮き彫りになっています。
 僅かな数ですが、新しい潮流も生まれつつあるようです。新たな就農者を積極的に確保していくことが今まさに求められていると思いますし、特に本県では、農林水産業全体に係る一次産業の就農者確保のため、本年度から新たに後継人材育成室を設置したところでもあります。
 そこで、知事に、新しい室による施策の展開と就農者確保の見通しについて、その所見をお聞かせ下さい。

(農政問題について)

 米の生産調整に対する見解について

 土地利用型農業の担い手が、将来への展望を持って営農を継続していくためには、経営の柱である米の価格安定が重要であり、生産調整の役割は非常に大きいと考えております。
 このため、生産調整に参加する農業者への支援措置である、麦・大豆や飼料作物などの転作作物に対する助成金を活用しながら、米の生産調整に取り組んでいるところです。


  


 生産調整に参加しない農業者への対処について

 現在の生産調整制度の問題点としては、制度に参加する農業者への支援がメリット感の薄いものとなっているところにあると考えております。
 生産調整は、全国一律の制度であることから、制度のメリット措置を充実させ、参加しない農業者が参加へ転換していく仕組みとなるよう、産地づくり対策など、関連対策の強化を国に求めてきたところです。

  


 本県の米生産のあり方について

 余剰傾向の中では、消費者に高く評価される米づくりを一層進めることが重要であります。
 このため、「夢つくし」の生産をはじめ、温暖化にも負けない美味しい新品種の開発や減農薬栽培の拡大などに取り組んでいるところであります。
 また、低コスト生産を図るため、作業委託の促進による農作業の集約化や肥料を削減する技術の普及などを進めて参ります。



 今後の米飯給食促進及び米粉の普及促進について

 県産米「夢つくし」を使った本県の米飯給食の週平均回数は、三・一回と伸びております。
 しかしながら、地域によっては、三回に達していないところもあり、学校栄養職員などを対象としたごはん食の重要性に関するセミナーを開催するなど、今後とも、米飯給食の促進に取り組んで参ります。
 また、県産米の学校給食での利用を促進する観点から、米粉を使ったパンなどの導入を学校給食会等関係団体と検討しているところです。



 本県の水田農業の将来像と担い手育成・確保について

 県は、水田農業が持続的に発展していくため、認定農業者と法人化された生産組織などが、平成二十二年度には、水田面積の六割の農作業を担う生産構造の確立を目指しています。
 このため、農地の貸し借りや作業受委託の促進により農作業の集約化を図るとともに、「担い手・産地育成総合支援協議会」の活動を強化し、集落営農組織の法人化や米(こめ)・麦(むぎ)・大豆(だいず)の低コスト生産技術の普及など永続性ある担い手の育成に努めて参ります。  




 後継人材育成室による施策の展開と就農者確 保の見通しについて

 本年度より、関係団体と連携して農林水産合同の就業セミナーと相談会を開催するとともに、実践研修を行うなど、将来の県農林水産業を支える高い「経営力」や「技術力」を備えた後継人材の育成を図っているところです。
 また、新規就農者数は年間百五十名前後で推移していましたが、昨年は百六十八名と前年に比べ約一割増加しており、地域ぐるみの就農支援の充実などによって、今後さらに新規就農者は増加していくものと考えております。


 次に教育問題についてであります。
 先の十月、日本人のノーベル物理学賞、化学賞の連続受賞に日本中が沸き立ちました。
 子どもたちの学力の問題など我が国の教育について芳しくないニュースが続いていた中で、久しぶりに明るい話題でした。
 こうしたなか、今回二度目となった国による全国学力・学習状況調査によると、本県は二年続けて平均正答率が全国平均を下回るという残念な結果がでています。
 特に、福岡県の子どもたちの学力には、地域間で格差があると聞いているところであります。全国平均を下回る本県子どもたちの学力の実態は誠に残念なことです。
 加えて県内格差があるというのは誠に遺憾なことであります。いづれにいたしましても、このことは本県、教師たちの力量が問われることに他なりません。
 それは、子どもの学力を高めていこうとするとき、最も大事なことは、子どもと信頼関係を築きつつ、子どもの興味関心を引き出すことであり、意欲を高めるような授業ができる教師がいるか、どうかにいつにかかっているためであります。
 要は、このような指導力を持った教師を採用する。さらに教育現場で育成していくことが何より重要であることは論をまたないところであります。
 「子どもにきちんと説明できない」、「授業ができない」、「子どもや保護者とのコミュニケーションができない」など、いわゆる指導力不足教員への対応については、これまでも我が会派から再三にわたり指摘したところであります。
 これに対し、県教育委員会は「指導力不足教員の把握に努め、指導力改善研修によっても改善の見られない教員は人事上の措置を含め厳正に対処する」、すなわち分限免職も含め実効性のある取組を行っていくと答弁があったのは、もう随分前のことだと聞いていました。
 ところが、去る十月十七日、文部科学省が発表した都道府県別の指導力不足教員数の報道を見てまたまた、驚ろかされました。
 それによりますと、指導力不足の教員が全国で三百七十一名、うち福岡県が両政令市を含めて三十五人で全国最多、それも二年連続だということです。何故、本県はこんなに指導力不足の教員が多いのでしょうか。
 まず、その実態について教育長の詳細なる説明と要因についての見解を求めておきます。
 先日も、地域の保護者から、ある話を聞かされました。その方によると、子弟の担任の先生は個別指導に一生懸命で、授業中に子どもたちが勝手に席を離れて動き回っているのを全く気にしていない。
 また、この学級では、子どもの喧嘩が絶えず、指導すれば子どもたちが先生をひやかしていたそうです。
 このような指導力不足の先生が、発表された数字以外にも学校現場ではまだまだ多く教壇に立っているのではないでしょうか。
 指導力に不安がある教員がいる限り、子どもたちの学力が上がるとは到底考えられないところであります。
 そこで、私なりの見解にもとづき教育長にお伺いします。
 今、本県の教職員採用試験の平均合格年齢は何歳ですか。このうち、現役合格者はどれくらいの割合を占めているのでしょうか。
 いわゆる新卒合格は、皆無に等しく二年、三年浪人組はざらだと聞いています。このように厳しいいわば厳選状況のもとで採用されることが逆に指導力不足を招くということは、本県にかかわらず、そもそも採用試験の内容をはじめ、その制度や仕組みそのものに問題があるのではないでしょうか。そんな気がしてなりません。
 そうでないのであれば、それなりに教育長の忌憚のない見解をお示し願います。
 また、今、もっぱら問題となっているのは指導力不足教員になってしまってからの手立のようですが、平素の教職員の研修充実により、教職員全体の資質向上を図り、指導力不足教員が出現しないようにすることこそ最も問われることではないか、と思います。
 そのためには、教職員の研修の在り方を抜本的に見直すことが問われているのではないか、と考えますが、教育長の率直な見解を併せてお答え願います。
 次に、農政問題では学校給食での米飯導入促進をお聞きしましたが、教育問題では、いわゆる地産地消について伺います。
 言うまでもなく地産地消は、地域全体の活性化につながる取組であります。
 現在、政府は地産地消を進めるため、学校給食においても地場産物使用を促進させ、平成二十二年度までに三〇%とする目標を立てております。また、学校給食法が一部改正され、「学校がある地域の産物を学校給食に活用すること」と新たに規定し、学校給食での地産地消の実践がうたわれております。
 このようなことから、今後、学校給食での地産地消は一気に推進され、学校給食の地場産物使用の割合が伸びていくものと期待していますが、現在、平成十九年度の本県学校給食における地場産物使用率は二十一.六%であり、目標達成には到底至っていません。
 目標達成に向け、直ちに有効な対応策を講じるべきと思いますが、教育長の所見をお伺いしておきます。
 

     教育長答弁

(教育問題について)

 指導力不足教員の実態と要因について


 教育の成否は、教員の実践的指導力によるところが極めて大きく、指導力不足教員の判定については厳正に行う必要があります。そのため、本県では、平成十一年度から他県に先駆けて指導力改善事業に取り組み、毎年その内容の充実を図ってきております。この対象となる指導力不足教員の把握・認定についても厳格に行っており、このような積極的な取組の結果、本県の研修対象となる教員の数が他県より多くなっているものであります。
 この改善事業をとおして指導力が改善し、職場に復帰した教員もおり、着実に成果を上げております。






 教員採用試験における合格者の状況について

 本年度実施した教員採用試験合格者の平均年齢は、小学校二十五歳、中学校二十八歳、高等学校二十九歳となっております。
 また、現役合格率は、小学校三十九%、中学校七%、高等学校十三%となっております。





 教員採用試験の在り方について

 採用試験においては、教員としての人間性や実践的指導力を重視し、これまでも、集団面接、模擬授業の導入や民間人面接委員の登用などの取組を行ってまいりました。
 今後更に、採用試験の得点の開示等により試験の信頼性を高めるとともに、試験内容等のより一層の改善・充実に努め、使命感を持った指導力の高い教員を確保してまいりたい。






 教職員の研修の在り方について

 指導力不足教員を生まないためには、日常の教育活動を実践する中で、教員の資質能力の育成を図ることが大切であり、日頃から、管理職が教員個々の教科指導等の実態把握に努め、指導・支援する体制を整備することが重要であります。
 このため、今後は、教員の実践的な指導力の向上に向け、教員個々の指導力の評価に応じて、それぞれの課題に対応した授業研修等の校内研修の充実や、研修機会の整備等、抜本的な研修体系の再構築に努めてまいりたいと考えております。





 学校給食における地場産物使用率目標達成に向けた対応策について

 学校給食における地産地消の推進についてはこれまで、食育に関する研修会や学校と生産者とをつなぐ取組を行ってきたところであり、地場産物活用の重要性についての認識も定着してきたと考えております。
 今後、関係団体等と連携しての県産品加工食品の開発や県産品活用のための資料作成を通じて給食関係者の意識を更に高めるとともに、農政部局等との連携を一層深め、地場産物の安定確保に必要な県内農産品情報の集約を図ることにより、学校給食への地場産物の使用拡大に結びつけてまいりたい。


 さて、私は、会派を代表しての質問の最後に、本県の公共施設の整備、管理運営のあり方について伺います。
 公共施設の整備、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力、技術力を活用して行う新しい手法として、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の活用が全国的に進められてきております。イギリスなど海外では、PFIの手法により、行政が直接実施するよりも効率的に公共サービスを提供することができ、事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供が可能となったと言われております。わが国でも、いわゆる、PFI法が平成十一年七月に制定され、PFI事業の枠組みが既に設けられています。本年八月現在で、国や地方自治体の事業、合計三二三事業が実施されており、地方自治体においても、民間事業者との連携による多様な事業展開や施設の利用時間の延長、民間事業者の自由提案による施設運営の効率化など、様々な取り組みが既に行われていると聞きいております。
 今後、本県においては、遅ればせながら、様々な公共施設の充実、リニューアルを図っていくことが予想されますが、財政状況が引き続き厳しい中では、サービス水準を維持しつつ、できるだけ効率的な施設整備、運営ということが不可欠であります。本県においては、旧県庁舎跡地に建設されたアクロスを準PFI方式と位置づけられているようですが、PFI法施行前のことで、本県においてPFI事業は未だ一件もないようです。今後の公共施設の整備において、PFI方式を積極的に導入すべきではないかと考えますが、知事のご所見と決意をお伺いします。

(その他県政一般について)

 PFIの積極的な導入について

 PFIは、民間の創意工夫を生かし、質の高いサービスを安く提供することが期待できる一方、専門的な検討に時間がかかること、非常に複雑な手続を要することなどの課題もあります。
 このため、現在施設整備が計画されているものについては、施設ごとに関係部が連携してPFI導入の可能性を含めた検討を進めており、最も効果的・効率的な方策を選択してまいります。

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