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自民党県議団 代表質問 平成20年9月26日(金)

   9月19日(金)に開会した9月議会は9月26日(金)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 一昨日、麻生太郎内閣が発足しました。広田弘毅首相以来、福岡県出身者としては、実に七十二年ぶりの総理誕生であります。
 われわれ自民党県議団は、県議団の旗を高々と掲げて、麻生総理実現のため、北は北海道から南は沖縄まで各地を飛び回り、支援のエールを送って参りました。
 これは単に、自民党県議団のためではなく、ひとえに県出身の総理大臣誕生をきっかけとした福岡県勢、活性化に向けてのことでした。
 ところで、目を野球界に転じてみますと、日本プロ野球の宝ともいわれた王貞治さんが、ソフトバンクホークス球団監督を最後に、五十年の長きにわたった球界生活にピリオドを打たれました。麻生首相、王監督は、二人ともに、奇しくも昭和十五年生まれの六十八歳。あるマスコミによりますと、一人は立ち、一人は去る、と評しています。何事につけ、とかく閉塞感にとらわれがちな今日、麻生首相には、明るく豊かで活力に満ちた日本再生に向けて遺憾なくリーダーシップを発揮して頂くことを期待し、また、王監督は本当にご苦労さまでした、とねぎらいの気持ちを抱きながら、ただ今より質問に入ります。
 

麻生渡知事 答弁要旨


 まず最初に知事の政治姿勢として、今後の地方における財源拡充対策について伺います。
 さる七月十八日の全国知事会議において、「地方財政の展望を踏まえた地方消費税の充実に関する提言」がとりまとめられました。 また、七月二十五日の地方分権改革委員会において、この提言の内容を麻生知事自らが説明し、意見交換を行われたと聞いております。
 全国知事会長としての麻生知事の活躍にはあらためて敬意を表するところであります。
 さてこの提言においては、平成二十三年の地方の財源不足が七.八兆円から八.三兆円という巨額にのぼり、これは消費税に換算すると約三.0パーセントから三.二パーセントに相当するとされているようです。
 そしてこのような状況の根本的な解決や、社会保障などの行政サービスを地方が安定的に提供していくためには、地方消費税を充実させ、歳入増を図ることが不可欠であると述べられています。
 現在の消費税率五パーセントのうちの一パーセントが地方消費税ですが、国の厳しい財政状況を考えますと、現行の消費税率のままで地方消費税の割合だけを増やすと言うことは非現実的であろうと考えます。
 そうしますと、今回の知事会の提言は、取りも直さず消費税の税率引き上げ、つまりは増税を率先して提言された、と考えるところですが、いかがでしょう。
 思いますに、毎年毎年、税収の見込みが大幅に違ったり、地方交付税が当初予算の見積もりを大幅に割り込むことなどにより、歳入に不足を生じ、財政構造改革プランの達成が危ぶまれることの繰り返しで関係者は皆一様に頭を痛めてきたようです。
 つきるところこのような事態を毎年繰り返さざるを得なかったのは、安定的な税収が不足していたからではないでしょうか。
 そのようなことを鑑みると、麻生知事が国の議論に先駆けて、このたび消費税の拡充による地方財政の安定化を提言されたことは、当否や是非はさておきまして、まずはその勇気に限りない敬意を表さざるを得ないものと考えます。
 国民・住民に対し、耳に心地よいことばかりを言うのではなく、時には厳しく負担も求めていく。このことは、本来、リーダーとされる人たちに課せられた宿命でもあろうと考えますが、残念ながら今、国・地方を問わず最も欠如しているだけに麻生知事の今回の提言はまさに際立つわけであります。
 そこでまず、麻生知事の消費税提言に向けた決意のほどをあらためて確認させて頂きたいと思います。
 次に、消費税を拡充させ地方財政を安定化させるとして、税率引き上げ幅がどの程度になるかでありますが、知事会の提言では、国・地方を通ずる税体系の抜本改革の中で検討することとされています。
 先ほどの知事会の試算を素直に読むと、地方の財源不足を解消するには単純に三パーセント程度の引き上げが必要とも受け取れます。
 全国的な状況はともかくとして、本県における必要な引き上げ幅はいかがでしょうか。将来の社会保障費の増なども含め本県の財政運営が長期的に安定したものとなるようにするには何パーセント程度の消費税の増税が必要であると考えているのかお伺いしたいと考えます。
 次に、全国知事会の提言では、市町村と一層の連携を深め、住民の方々に広く状況を説明して、国民的議論を喚起するよう取り組んでいくこととされています。
 知事会長として、率先して五百万県民に対して消費税拡充、税率引き上げの必要性を、知事自らが説明をされるのではないかと考えますが、この消費税問題について、県として今後どのように広報活動に努められるのかお伺いします。
 なお、この際ですから本県の経済、景気状況と税収確保についてお尋ねしておきます。
 総務省では八月末の来年度予算概算要求に合わせて、平成二十一年度地方財政収支の仮試算を行っています。一定の仮定条件の下で機械的な試算を行ったもので、本格的な地方財政対策は年末にきちっと講じられるものと考えますが、本年度に比較して地方税は九千億円、地方交付税は六千億円の減収を見込むなど、現時点においてもきわめて厳しい見通しとなっています。
 しかも最近では、本年度の経済成長はマイナスに転じるのではないかとの悲観的な見通しも高まっています。今後の経済情勢によっては、地方税収が一段と落ち込むことも危惧されます。
 地方交付税については、財源不足の国・地方折半ルールを適用し、なお臨時財政対策債加算を見込んでなお、本年度の総額を下回る大変厳しい状況にあると聞いております。
 先般、知事はこうした収支の状況について、仮試算とはいえ地方交付税が減少するような要求は、地方の実情を理解していないと強く抗議されたところです。
 本県では、本年度当初予算において、県税収入を六千三百億円余計上されています。
 最近の県内経済・景気状況及び今後の動向についてご説明いただくとともに、予算計上額の確保が可能なのか、今後の見通しについて見解を求めます。
 ところで、昨今全米第四位の大手証券会社の倒産など、国際経済には激震が走っております。当然、日本経済も無関係ではいられません。県においてもいっそうの貸し渋りが早くも伝えられています。金融機関の融資が滞ることがないよう、知事の中小企業対策へ向けた考えをお示し下さい。
 また、来年度の地方財政対策に向けて、どのような戦略を描いておられるのか。加えて、総合経済対策の一環として定額減税が実施されることになっていますので、地方の一般財源の確保は一層厳しい状況に直面しています。
 この点も含めて、知事の基本的な考え方をお尋ねします。
 


(知事の政治姿勢について)
 1.全国知事会としての今後の地方財源拡充策、特に地方消費税の充実

 知事会提言の実現に向けた決意について

 
 今回の全国知事会での試算結果では、都道府県と市町村を合わせた地方全体の財源不足は、社会保障費等の増加により、平成二十三年度には七・八兆円から八・三兆円に上ります。
 その結果、地方の財政調整的な基金も枯渇するなど、多くの自治体財政が事実上破たんに追い込まれる恐れがあります。
少子高齢化が確実に進んでいく中で、将来にわたって住民生活に必須の行政サービスを安定的に提供していくためには、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方消費税を引き上げることにより、財源不足の抜本的な解消を図る必要があり、現在の五パーセントの税率は引き上げざるを得ないと考えております。  




  
 地方消費税率の引き上げ幅について
 
 地方消費税の税率は、現行制度では、消費が県域を越えてなされることから、全国一律とされております。
 この引き上げ幅については、景気の状況に配慮しつつ、国・地方を通ずる消費税を含む税制の抜本的改革の中で検討する必要がありますが、知事会の推計による八兆円程度の財源不足を解消することを前提とすべきと考えており、地方として必要な率はおよそ三パーセントになります。         
 




 地方消費税に関する広報について
 
 地方消費税の充実を図るためには、先ずは、地方財政の現状、地方の歳出削減等の取組や将来推計について、県民の理解が得られるよう、取り組んでいく必要があります。
特に、医療や福祉など社会保障関係費が大きく増加する中で、住民サービスが低下することのないよう、負担をどのように分かち合っていくかといった点をわかりやすく伝えることに重点を置く必要があります。 
  今後、市町村とも連携しながら、広報誌や説明会の活用など、効果的な広報活動を検討してまいります。 



 

 県内経済・景気状況及び今後の動向について
   
 生産、輸出、設備投資など企業活動はこれまで比較的好調に推移してきたところですが、原油・原材料価格の高騰などにより収益は低下傾向にあり、これに伴い求人手控えの動きが広がるなど、本県経済については、これまで続けてきた回復の動きが弱くなっております。
 また、このところの米国金融機関の経営破綻などにより、国際的な金融資本市場の緊張が続いており、世界経済は減速の動きに広がりがみられます。このようなことから本県経済の先行きは、予断を許さない状況にあると考えております。  

   




 今年度の税収見通しについて

 八月末の実績では、税源移譲の影響で個人県民税が増収となるものの、主力の法人事業税の減収や軽油引取税など道路特定財源の暫定税率失効の影響で、県税全体としては、これまでのところ前年度並みで推移しております。
 原油や原材料価格の高騰に加え、アメリカ経済の減速が幅広い分野に影響を及ぼすなど、厳しい材料があることから、今後の見通しについては、主要企業の十一月の中間申告の状況などを注意深く見極めていく必要があると考えております。



 中小企業金融対策について

 原油・原材料価格の高騰に対応するため、県は金融を柱とする緊急対策を講じ、金融機関へも円滑な資金供給を要請したところです。
 世界的な金融不安のなか、今後とも、県内中小企業の資金調達に支障が生じないよう、信用保証制度の強化など緊急総合対策の早急な実施を国に要請し、県制度融資等の充実を図ってまいります。



 平成二十一年度地方財政対策について
 
 近年の地方交付税の大幅な削減による危機的な地方財政の現状を訴えるとともに、社会保障関係の需要の増大や地域の実情に即した地方再生の取り組みなど、地方における必要な歳出を地方財政計画に適切に反映することを通じ、地方交付税を復元・増額するよう地方六団体で結束して強く求めてまいります。
 また、定額減税が実施される場合には、地方の減収分に対する確実な補填措置を求めてまいります。

 

 次に、行改審答申と出先機関の再編整備問題についてただします。
 先般の行政改革審議会の答申を踏まえて、県民サービスの維持向上と効率的な行政運営を図る観点から、現在、出先機関全般について大幅な見直しを行うための基本計画策定が最後の詰めに入っていると聞いています。
 当初予定だと本議会前にもその計画が公表される見通しのようでしたから、冒頭まずもって何故計画公表が遅れているのか、いつまでにまとめられ公表されるのかお聞きします。
 さて、出先機関の見直しは、平成十四年に策定された「第一次行政システム改革大綱」以来、県政の重要課題とされていたのにもかかわらず、昨年七月の新しい行政改革大綱でも積み残しされていたものであります。
 六年目にして漸くその構想が取りまとめられようとしているわけですが、迅速さが強く要請されている昨今の社会経済情勢にあっては、いささか悠長すぎるのではないか、との印象を禁じえません。それだけに今再び平成十四年当時の考え方に立ち返った議論が重要と考えます。
 そこでは、県民の日常生活、企業の活動状況、市町村の行政課題などを巡って、それぞれの地域や住民が抱える最新の課題を一番早く、一番良く知っているのは出先機関であるとの認識から、地域の情報をいち早く収集して本庁に提供すると同時に、自らも地域の課題に対応した施策・事業を提案していく「先端組織」への転換を目指すとされていました。
 また、県民の暮らしにトータルに向き合い、行政サービスや相談を複合的に提供できる体制を整備する観点から、「生活支援の地域拠点」を構築することとされ、その際には指揮命令系統が複雑化して県民の利便に障害とならないよう、県民生活に関連が深く、連携・協力の必要性が高い出先機関から段階的に統合する考えが示されておりました。
 最後の詰めに入っている基本計画では、先端組織への転換」や「生活支援の地域拠点の構築」へどのように言及されているのか、率直に説明願います。
 縦割りはそのままに、出先の事務所をそっれぞれ集約し、ただ単に行政運営の効率化を図りたいというだけでは、そこには先の行政システム改革に見られた出先を改革するに当たっての根本的な哲学が欠落していると指摘されても仕方ないところであります。
 平成十八年度までの行政改革大綱には、将来的な検討課題として地域総合事務所の構想が視野に置かれていたことは明らかであります。
 そこで、まず新たな見直しでは、先の「行政システム改革大綱」で理念とされていた「先端組織への転換」や「生活支援の拠点づくり」にどのように対応しようとされているのか、お尋ねします。
 加えてこれまでの行政大綱の経緯からいっても、また、県民に対する説明責任からいっても、かつての総合事務所構想に関する最新の見解を示すことは知事の行政責務と考えます。そこで今、この構想について一体どのような見解をもっておられるのか、要は断念されたのかどうか、知事の基本的な考え方をお尋ねします。
 また、今回の出先機関の見直しによって、職員定数や人件費の削減にどのような効果を見込んでおられるのか、具体的な説明を求めます。
 なお、「先端組織への転換」については、政策創造力や職員・職場の活性化とも密接に関連する課題であると考えます。この点に関して、先の行政システム改革大綱では、県政全体として「戦略型行政システム」の構築を図る一環として、政策、職員、職場をつないで一体的に行政実績を評価する「重点組織目標制度」が、出先の先端化に当たっても重要な役割を担うことが期待されていました。
 しかし、この目標制度については、明確な理由も明らかにしないまま、極めて問題が多いとして、早々と導入を断念されています。
 新しい行政改革大綱では、これに替わる仕組みとして「能力・実績に基づく人事評価」と「仕事の目標の共有・成果の検証」が検討されることになっていますが、いずれも本格実施は平成二十一年度からです。職員の評価と職場の評価を切り離して、果たして出先機関の活性化や先端化を図れる有効な手段となるのか、形だけの組織評価に終わるのではないか、いささか不安であります。
 出先機関については、これまでも数多くの不祥事がありました。その反省も踏まえ、知事はどのようにして出先機関の職員・職場の活性化に実効を上げようとなされているのか、出先特有の問題点を明確にしながら、その基本的な方針をお示しください。



(行革審答申と出先機関の再編整備問題について)
 出先機関再編の計画の公表について


 行政改革審議会の追加答申を八月に受け、県民サービスの維持向上や、効率的な行政運営を図るため、出先機関全般にわたり、その機能を分析し、あり方の見直しを行っているところです。
  また、再編による庁舎整備についても、併せ て検討を進めているところです。
  再編の考え方については、できるだけ早い時 期に取りまとめたいと考えています。





 
 出先機関における「先端組織への転換」や「生活支援の拠点づくり」への対応について

 これまで、生活支援の拠点づくりとして、県民生活に関連の深い、保健所と福祉事務所の統合再編や、地域情報の収集のための総合相談窓口の設置などを行ってきたところです。
  今回の見直しにおいては、県民サービス提供 の先端組織としての出先機関が、市町村合併や地方分権の進展などの環境変化に適切に対応できるよう、専門性の向上や機動力の確保、広域的処理体制など、機能を強化する観点から検討しているところです。

 





 総合事務所に関する見解について

 前回行革では、県民の生活に関連の深い行政サービスを複合的に提供できる体制を整備する観点から、保健所と福祉事務所を再編統合し、保健福祉環境事務所を設置したところです。
  幅広い分野にわたる全ての出先機関を総合化 することは、指揮命令の複雑化により、かえって住民の利便性を低下させるおそれがあります。
  このため、今回の見直しに当たっては、それ ぞれの出先機関について、簡素効率的な執行体制にも留意し、機能強化を検討しているところです。


 




 職員数や人件費の削減効果について

 職員数の削減については、平成十九年度からの五年間で約二千五百人の削減に取り組むこととし、約四百五十億円の人件費の節減を図ることとしています。
  今回の出先機関の再編により、組織の簡素化 や内部管理事務の省力化などの効果が見込まれるところですが、具体的な職員の配置については、今後検討していきます。



 


 
 出先機関の職員・職場の活性化について

 出先機関は、県民サービス提供の最前線として、一層の活性化を図る必要があります。
 これまでも、本庁から出先機関への権限移譲のほか、参加意欲を高めるための職員提案や職場改善運動を実施し、出先機関でも活発な取組が行われています。
 今後さらに、能力や実績に基づく新たな人事評価制度の全職員への拡大、職員の専門性や組織の機動力の確保を目指した出先機関の再編、仕事の目標を共有し、成果の検証を行っていく取組等を通して、出先機関の職員の能力や意欲を引き出し、活力ある職場づくりを進めてまいります。

 次に、政府・自民党関係者が相次いで抜本的見直しの考え方を示し始めています、後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度についてお尋ねします。
 超高齢化社会を迎えて、安心して老後を送るための医療制度をどのように構築していくべきか、この大きな課題を長年にわたり種々検討した結果、世代間や保険者間の保険料負担の公平化と都道府県単位を軸とした財政運営の安定化などを柱にして創設されたのが、今年四月からスタートした長寿医療制度である、と私たちは基本的には受け止めてきました。
 しかしながら、四月からの施行に当たって、保険財政の仕組みや年金天引き等、制度の根幹に関わることが国民に十分知らされず、従って理解を得られてなかったこと、加えて保険証が配付されなかったり、保険料が誤って徴収されたり等、実に様々な行政側の不手際が相次ぎました。
 このため、制度自体への国民の信頼が損なわれ、全国的にも大きな混乱、不安、怒りの原因となったことは言うまでもないことです。
 そこで、県議会としても、低所得者に対する保険料軽減措置の拡大、軽減判定の世帯単位から個人単位への変更など、制度の改善について意見書を採択し、国に見直しを強く求めてきたところであります。
 こうした声や要望を受け、国においても「制度の実施状況の点検を行い、必要に応じ所要の対策を講じる」とした見直しの方針を示されたものと考えているところです。
 そこで、具体的にはどのような見直しが今日まで講じられたのか、また、このたび舛添厚生労働大臣がその考えを示した新しい老人医療制度は、現行の長寿医療制度とはまったく別のものとして構想されているのでありましょうか。それとも見直し策を積み上げたものであり現行制度の延長線上にあるものと捉えるべきものなのかどうか。県としてつかんでおられる情報の中で、知事の感想を併せてお伺いします。
 次に、今、この長寿医療制度をふり返ってみますと、高齢者の一人ひとりに所得に応じて保険料が賦課され、しかもその保険料は自分の年金から天引きされる、あるいは、これまで世帯主である息子さんなどが自分に代わって国保の保険料を払っていたことなど、制度の最も根幹に関わることについて大した説明もなかったため、単に新しい制度に切り替わる程度の理解しかなされていなかったのではないか、こんな気がしてなりません。
 もしそうであるならば、長寿医療制度の問題は、施行開始まで二年近くの周知期間がありながら、国や都道府県、そして市町村が説明責任を果たさなかったことに大きな原因があったと考えております。とりわけ国は、制度設訂者として、その責務を果たさなかったこところに最大の原因があり、地方自治体を混乱に陥れたと考えます。
 このようなことでは、たとえ現行制度を廃止して、まったく新しい制度を作っても、またまた混乱、不安、不信を招くことは目に見えています。一番大事な制度の十分な説明についてどのように考え、今後あらゆる事態に備え、県民の皆さんに対しどのように周知を図っていかれるのかお聞きします。
 ところで、本制度について県民が色々と議論したなか、本県の保険料が全国で最も高く、これは本県の老人医療費が高いためであることが改めて県民に明らかになりましたが、本県では医療提供体制が充実しており、入院受療率と高齢単身者の比率が高く、在宅療養が難しいという現実があります。
 しかしながら、高齢者医療費の問題については、今後どのように望ましい老人医療制度が仮に新に構築されたにしても、本県ではその制度の安定的運営が大きな課題であることは目に見えています。
 そこで、本県として、保険制度の安定的運営のために、これまで手がけてきたこと、今後取り組んでいくこと、の二つに分けて具体的に説明願い、県民が安心して老後を送れる高齢者医療のあるべき姿について、どのように実現していこうと考えておられるのか、答弁願います。
 


(「長寿医療制度」について)
 長寿医療制度の見直しについて


 国は、制度の施行状況を検証し、所得の低い方への更なる保険料の負担軽減策として、本年度から均等割額の軽減割合を引き上げるとともに、所得割額についても、住民税非課税者などを対象に半分程度軽減することとしています。
 また、年金からの保険料徴収を本人の申し出により口座振替払いができるよう、その対象が拡大されたところであります。
 舛添大臣からは、本制度の抜本的な見直しの考え方が示されたところであり、今後、政府・与党における検討を注視したいと考えております。









 長寿医療制度の周知について

 高齢者の皆さん一人ひとりに対して、よりきめ細かな周知を図っていくことが、極めて重要であります。
 このため、制度設計者である国はもとより、県、広域連合、市町村において、それぞれの役割を踏まえながら広報活動に努めていく必要があると考えております。
 県としては、わかりやすい資料を作成し、全戸配布の広報紙やホームページ、県政出前講座等を活用した広報活動に努めるとともに、広域連合や市町村と一致協力して、きめ細かな周知を徹底していく考えであります。









 医療保険制度の安定的運営のための取組について

 これまでは、食生活の改善指導やかかりつけ医の普及啓発、レセプト点検の強化等に取り組んできたところであります。
 今後は、「福岡県医療費適正化計画」に基づき、生活習慣病予防のための自主的な健康づくりや特定健康診査・保健指導の推進などによる「県民の健康増進」及び、療養病床の再編成や在宅医療の推進、後発医薬品の普及促進を通じた「医療の効率的な提供」に取り組み、将来にわたり持続可能な医療保険制度の構築に努めたいと考えております。




 次に、福岡県公費医療費支給制度の改正の進捗状況についてお尋ねします。
 本年の二月議会において、我が会派は、乳幼児医療、母子家庭等医療、重度心身障害者医療、いわゆる県単独公費医療費支給制度の見直しについて、県の考えをただしたところです。
 乳幼児医療費の対象を小学校就学前まで拡大し、新たに父子家庭や精神障害者の方々を助成の対象とする方針が県より明らかにされました。
 またその一方で、定額負担や所得制限を導入するなどして、公費医療制度全体を持続可能で安定的な制度を創るという基本的な考え方も示され、見直しについては新年度、半年程度の準備期間を経て十月からの実施が予定されていました。
 そこで、その実施時期の十月を目前にしていますので、改めて見直しの進捗状況などについてお尋ねします。
 この公費医療費支給制度の実施主体は市町村でありますので、市町村においては条例の改正や住民に対する周知、医療証の発行などの事務を行なってもらう必要があります。
 また、医療機関においても、制度の見直しに伴い、窓口での徴収額に変更が生じることとなります。
 今回の見直しが円滑に進むためには、市町村や医療機関などの関係機関が改正内容を十分に理解し、しっかりとした事前準備を行なって頂かなければならないのであります。
 そこで心配するところでありますが、県下市町村では十月実施に向けて、既に体制が整っているのでしょうか。また、条例を改正する必要がありますが、その進捗状況についてもお聞かせください。
 併せて、医療機関など関係機関に対して、これまで県はどのような対応をしてきたのかお聞かせください。
 ところで先日、新聞に福岡市は十月実施を見送るとの記事が掲載されていました。
 関連条例の改正やシステム改修に時間がかかるので、というのが見送りの理由のようでした。
 特に、無料だった六十五歳以上の重度障害者に自己負担が生じるなど影響も大きいので慎重に検討している、と報道されていました。
 一方、北九州市においても実施時期や改正内容については未だ決まっていないと聞いており、現状では両政令指定都市が十月から実施できないことはほぼ確実のようであります。
 財政力豊かな政令市は、もともと他市町村に比べてこの公費医療制度の一部内容については県の制度よりも進んでいたことは良く承知しています。
 しかしながら、今回の見直しのうち、父子家庭や精神障害者への助成制度の拡大についても、政令市でも取り組んでいなかった内容であります。
 もともと政令市が熱心に県に要望していたものと聞いていますが、いかがでしょう。
 両政令市の人口は県のほぼ半数を占めています。父子医療制度や精神障害者への助成が両政令市で行われないことは、県全体で見ればサービスに偏りが生ずることは避けられません。せっかくの見直しに水を差すものではないかと心配しているところであります。
 それだけに、今回の両政令市の一連の対応は遺憾であり誠に残念であると言わざるを得ません。
 国や都道府県による市町村への関与が、地方分権一括法の成立により極めて制限されていることは事実でありますが、こと福祉サービスについては、障害者自立支援法の成立により、市町村に対する指導が政令市も含めて県に一元化されて、いわば逆に強化されているとも聞いています。いかがでしょうか。
 そうであれば、ここはひとつ県として毅然と政令市に働きかけていくべきではないでしょうか。
 このたびの両政令市の動きに関する知事の率直な所見も含め、今後、県として政令市をどう対応していくのか、指導の考え方も含め詳しく説明願います。
 この項の最後になりますが、持続可能で公平な公費医療費支給制度は必要ですが、一方では子供の頃より医療・介護が必要で生きていくために大変な費用を必要としている家庭があることも現実で、この方々にも安心して介護や医療が提供できる配慮は、適当な言葉とは思いませんが、いわゆる「社会的弱者」にも心優しい施策を求めていきたいと私は考えています。
 


(県の公費医療費支給制度について)
 公費医療費支給制度改正の市町村の進捗状況及び関係機関への対応について

 
 市長会や町村会に対して、制度改正の理解を求めるとともに、市町村説明会の開催や条例の参考例及び事務手引書を配付するなど、積極的な対応を市町村に働きかけてまいりました。
 その結果、ほとんどの市町村が条例を改正しており、政令市を除く六十四市町村が十月からの実施を予定しております。
 また、医療機関に対しては、医師会等を通じて制度改正の周知を図るとともに、窓口での具体的な手続等の説明を行っており、円滑に実施される体制は整ったものと考えております。



















 両政令市への対応について
 
 ひとり親家庭や障害者の方々への支援の充実を図るため、父子家庭や精神障害者の方々に助成を拡大しますが、この対象者の拡大については、両政令市からも要望を受けていたものであります。
 今回、両政令市にお住まいのこれらの方々が助成を受けることができないという事態が生じたことは大変残念なことであり、両政令市に対しては、今後とも、できるだけ早期に制度改正を実施するよう要請してまいる考えであります。


 次に、食の安全を確保、維持するための行政としての組織的対応についてただしておきます。
 産地偽装や消費期限の改ざんなど、食品偽装事件が相次ぐ中、本県でも米の不正表示問題が八月に発覚するなど、他人事ではないと思っていた矢先、なんと農薬やカビに汚染され、本来食用としては一般市場に出回るはずも無い「事故米」なるものが数千トン単位で米穀店や酒造メーカー売られた事実を知ったとき、愕然としました。
 さらには、その工場が福岡県内の工場であったと聞いたとき、私たちは怒りを覚えるのをとおり超し、もはや失望感さえ感じ得ずにはいられませんでした。
 福祉や教育現場まで日に日に拡大していく被害に、いったい何時になったら問題が終息するのか、何を信じて、何を食べたら良いのか、消費者は混乱するばかりです。
 ところで、今回発生した三笠フーズの事故米不正流通の問題処理状況をみていますと、果たして県の関係部署や国の関係機関とが連携を取っているのか、各部署が銘々、勝手な判断で動き無責任な処理をしているのが一層問題を大きくしているのではないか、との疑念を抱かざるを得ません。
 県では本年四月、県政史上最大規模とも言える本庁の機構改革を行い、このなかで食の安全対策をより一層強化するため、「食の安全総合調整監」が新設されましたが、果たしてその設置目標通りに機能しているのでしょうか。知事にお尋ねします。
 また、今回の三笠フーズの件について、多数の課にまたがっていますが、会議等の開催数や立ち入り調査回数等具体的に示していただき、今後の対応も併せて、部長に答弁を求めます。
 さらに国では、食品偽装問題のみならず、今や社会問題となっている振り込め詐欺や悪質な住宅リフォーム問題なども含め、消費者・生活者の視点に立ち、「消費者庁」の来年度発足に向け準備を行っています。
 消費者庁構想については、この県議会で知事の見解を求めまた県議会として早期設置を求める意見書を採択したことが少なからず関わっているようです。
 そこで知事にお尋ねします。私たちは消費者行政の強化を求めて、消費者行政の窓口になる課に消費生活課の名称の復活を提案してきました。組織がどのように仕事を手がけているのか、その内容が県民に分かり易くなるようにとの知事の発案でこれまで多くの部局で課名の変更が行われてきたと聞いています。
 こうした中、いったいなぜ、消費生活課に限ってその名称が復活しないのでしょうか。
 国が検討している「消費者庁」の創設と併せ新しい体制が構築されるべきであります。そして、この新体制のなかで、消費生活課名の復活を検討されてはいかがですか。知事の所見をお聞かせください。
 併せて、冒頭、知事の政治姿勢のなかでもただして参りました(来年度から実施予定である)本県の出先機関の見直しでは、食品衛生法やJAS法を所管する「保健福祉環境事務所」や「農林事務所」についてはどのような検討がなされているのでしょうか。「食の安全・安心に対する組織対応」という観点からお答え願います。
 


(食の安全に対する組織的対応について)
 「食の安全総合調整監」の機能について


 「食の安全総合調整監」は、多岐にわたる食の安全に関する施策を総合的に展開するため、関係部局間の連携強化を目的に設置したものであります。
  今般の事故米穀の不正流用事件に当たっては、 当該調整監が中心となり、情報共有のための緊急連絡会議を開催し、また、立入調査や流通ルートの解明に努めるとともに、法に基づく回収命令を速やかに発するなど、実効を挙げているところです。




 事故米に関する具体的な対応について

 事件を探知した八月二十九日以降、九月二十五日までに県庁関係各課及び出先機関を集めた会議を三回、福岡農政事務所との連絡会議を八回開催しております。
  事業所への立入調査は、帳簿や伝票の確認及 び事故米の回収状況の把握などを行うため、十九回実施しています。
  また、事故米の回収命令を二回及び営業禁止 命令を発したところです。
  今後も、引き続き、事故米の流通ルートの解 明及び確実な回収に精力的に取り組んで参ります。




 消費生活課の復活について

 消費者行政については、消費生活センターを本庁に統合し、相談から悪質業者指導まで一貫して対応する、体制整備を図って参りました。
 消費者庁構想に対しては、地方の立場から権限移譲や地方の自主性を尊重した制度など、国へ働きかけを行ってきたところですが、地方支援策の詳細、地方への権限移譲など、まだ明確になっておりません。
 今後、これらの動向を見極めながら、本県の消費者行政担当組織については、必要に応じて対応して参ります。



 


 食の安全に関係する出先機関の見直しについて

 食の安全行政については、生産から流通、消費と幅広く、関係する法令も多岐にわたることから、それぞれの専門分野が連携を図りながら、総合的に推進することが効率的と考えています。
  このような趣旨から、保健福祉環境事務所や 農林事務所について、専門性の確保に加え、事案に即応できる機動力の確保や広域的な事務処理体制の整備などを検討しているところです。


 次に、「地産地消」とアンテナショップの展開についてただします。
 わが会派では、先の五月定例県議会において、農林水産物のみならず、伝統工芸品などについても、県産品のPR強化、特にアンテナショップの設置について強く主張してまいりました。
 麻生知事からは、「空港や駅などに展示するといったことについて、関係者の方々と協議をし、進めていく」といった回答を得たところです。
 県内には、全国的に有名な菓子やめんたいなどの加工食品、博多織りなどの服飾製品、さらには私の地元、大川家具や八女の仏壇、灯ろうに代表される伝統工芸品など、本県固有の歴史や文化の中で育まれてきた優れた地場産品が多くあります。
 にもかかわらず、アンテナショップ設置については、積極的に推進されてはこなかったような気がしてなりません。理解に苦しむところであります。
 今でも週末となると、九州各地から若者をはじめ多くの人々が高速バスやリレーつばめなどを利用され、天神地区などに集まっています。九州新幹線開業の暁には、九州の一体化が急速に進むことは誰の目にも間違いのないことです。
 沖縄県の「わしたショップ」をはじめとした九州各県はもちろんのこと、「みちのくショップ」など東北地方からも福岡にアンテナショップが進出しているなかで、本県が何もせず手をこまぬいていて良いのでしょうか。
 また、西日本最大の消費地福岡市の中洲近辺には、佐賀牛や宮崎地鶏など他県の店が、アンテナショップにも近い形でオープンし、特産品のPRに努め、人気を呼んでいるようですが、肝心の本県はいかがでしょう。PRの大事さ、いわばアンテナショップの重要性が、ここにもうかがえるところであります。
 そこで知事にお尋ねします。既に、再三にわたって指摘、要望してきたアンテナショップ設置について、一体、いつになったら成案をみるのでありますか。大変もどかしく感じ、スピード感に欠けた対応に、深い、いらだちを覚えている関係者も少なくないと聞いています。
 そこで今、計画はどこまで進行しているのか、そして何時、どこに設置する計画となっているのか、具体的、懇切に示してください。
 さらに、アジア地域を中心に、本県産品の輸出振興の拠点となるべく輸出振興協議会のあり方に関する現在の検討状況についても、この際お答え願います。
 「豊かで活力あるアジアの拠点福岡」は、麻生知事が常日頃口にされている言葉です。
 知事の前向きな答弁を期待して、この項に関する質問を終わります。
 


(「地産地消」とアンテナショップの展開について)
 空港や駅などでの県産品の展示について

 伝統工芸品を中心とした県産品のPR強化のため、福岡空港、北九州空港における展示については、ショーウィンドウや情報コーナーの活用など、年度内の実施に向けて具体的な協議を進めております。
 また、JR博多駅については、駅ビル改装計画の中にPRの場が盛り込まれるよう要請しているところです。
 








  


 福岡県地域食品輸出振興協議会のあり方の検討状況について

 現在、本協議会では、本県の農林水産物及び加工食品の輸出拡大に努めているところであります。
 工芸品については、すでに独自ブランドを開発し、積極的に海外への売り込みを図っている事業者もいますが、輸出のノウハウを持たないこと等から単独では海外展開が難しい事業者も多くいます。
 このため、本協議会を拡大し、工芸品なども加えて県産品全体として、輸出拡大に努めて参ります。



 

  

 次に農林水産問題について伺います。
この三年間で重油は約二倍にもなりました。あらゆる分野でこの影響を受けているわけですが、ただでさえ困窮していた農業経営をも直撃し、このままでは、日本から農業が消えてしまうのではないかとの声まで出ています。
 こうした中、先般、大分県では、高騰する重油を避け、重油代替施設を導入し、経費削減を図ろうとする農林漁家に対しては、総額三十四億円の事業費となる補正予算を計上して助成措置を講ずることを決めたことが農業紙で大々的に報道されています。誠に敏速な対応だと思います。
 また国においても、政府・与党により、先般、総合経済対策を打ち出しています。
 ところでこの原油高騰対策については、私たち自民党県議団議員で組織する農政懇話会として、まず、県独自の対策を求めてきました。それだけに当然、十分なる措置を講じ、この危機をやわらげる対策を考慮されているもの、と判断していたのですが、九月補正予算案になんら反映されておらず、検討したあとさえうかがえないことは、まったく遺憾なことであります。
 そこで、知事にお尋ねします。
県としては、窮地に追い込まれている県内の多くの農業者の経営安定につながるよう、どのような対策を講じられているのでしょうか。詳しくご説明願います。
また、ただ今紹介した大分県の助成措置については、どのような見解をお持ち、かも併せてお答え願います。
次に、畜産については、「平成の畜産危機」と言われるように飼料価格の異常な高騰で、畜産業の基盤が崩壊の危機に瀕しております。
輸入飼料に頼った経営を見直し自給飼料の確保対策に万全を期す必要があると思いますが、どのように取り組んでいるのでしょうか。
さらに今後は、輸入飼料に依存しない畜産経営を確立するため、本県の水田率が七十八パーセントと高い特徴を生かして、水田を活用した県産飼料資源、要するに飼料米の生産体制を早急に確立、整備していく必要があると考えます。このことは前議会につづき再度の指摘であり提案でありますが、知事の所見をお聞きします。
次に水産業についてであります。
水産業においても、燃油高の影響は同様であり、全国的にその窮状を訴える行動が相次いでおります。本県でも、七月十二日に県内七千隻の漁船が一斉に休漁し、危機突破漁民大会が開かれ、我々もその訴えを真摯に受け止めたところであります。
幸い政府・与党により緊急対策がとられ、燃油価格の上昇分をいわば直接保障することになりました。漁業の根本的な構造改革を目指す第一歩として、短期的には漁業者の経営安定につながるものと考えております。
しかし、今後を見据えた場合、漁業者の持続可能な、しっかりとした経営につながる堅固な漁業構造への改革を早急に実施していく必要があります。
 そこで知事にお尋ねします。漁業コストの増大に対応して、今後省エネで低コストな漁業への転換を指導、促進していくことが緊急の課題と考えますが、どのような施策を展開されようとしているのかお聞かせください。
また、漁業者の所得を向上させていく策も必要と考えますが、今後どのように進めようとされているのかお伺いします。
農林水産問題の最後は林業の活性化についてであります。
輸入材に押されっぱなしであった国産材ですが、ここのところ自給率二十パーセントを維持しております。これとても低い数字であることには間違いありませんが、それでも長い下落傾向に歯止めがかかり少しずつ上昇していることに私は一抹の光を感じるところであります。
その理由の一つは、中国やインド、ロシアなど新興国を中心にした国際的な木材需要の高まりです。原油などの資源高と似た構図ではないでしょうか。
 その結果、外ばかり見ていた国内の大手製材メーカーなどの目を国内に向けさせることになりました。私は今が林業再生の最後のチャンスではないか、と感じています。ひるがえって本県林業はいかがでしょうか。
 本県の森林は小規模面積で多くの人によって所有されており、また、製材工場は生産規模が小さいため供給拡大が出来ず、大口需要者のニーズに対応できておりません。
そこで知事にお伺いします。
知事は林業振興のための施策はどのように考えておられるのか、特に今回の国際林業情勢の変化を、本県の林業の振興にいかに活かすべきと考えているのかお伺いします。
また、今年から森林環境税がスタートし、その財源で荒廃した森林を再生する事業を実施することとなりました。林業を持続可能な産業として成り立つように、この税が有効利用されることが望ましいことだと思います。
 そこで、当面、この森林環境税を活用した事業推進について、現在どのような状況にあるのか説明を求めます。
 さらに、木くずをチップやペレット状にして燃料として利用するバイオマスの活用では、隣県、大分の日田地域で既に、小型ながらも発電所が建設されています。この例からも分かるように、化石燃料に代わるエネルギーとして実用化に入っているようです。
 私の地元、大川は、先程も申しましたように木工家具の町で、原材料にはことかかず、バイオマスの活用には、ひと際、関心の高いところであります。
 既に、言われて久しいことだけに、本県においても具体的に検討すべき時期に入っていると考え、知事の所見をお伺いしておきます。
 


(農林水産問題について)
 農業者の経営安定につながる対策について


 大分など他県で取り組まれている、省エネ施設の整備につきましては、本県では、既に一月から、補助対象を拡大して、内張カーテンや排熱を利用できる暖房機などの単体での導入に対して助成しているところであります。
 また、低利な制度資金など、経営安定に向けた支援を実施しているところであります。
 今後、国が実施を予定している、肥料や燃油の使用低減に向けた取組への支援などの緊急総合対策も活用しながら、本県農業者の経営安定に向けた対策について、検討して参ります。
 



  


 自給飼料の確保対策について

 飼料作物で転作を拡大する地域に対し「産地づくり交付金」を上乗せするとともに、飼料作物の生産に必要な機械の整備を支援し、自給飼料の確保に取り組んでいるところです。
 また、今年度からは、耕種(こうしゅ)農家と畜産農家が連携した飼料生産受託組織の育成を進めているところであり、今後は、この組織を活用して自給飼料の生産拡大に努めて参ります。



 


 飼料用米の生産体制について

 一般の米と同様の管理で栽培でき、輸入とうもろこしの代替えとしても注目されている飼料用米につきましては、生産を振興する上でコスト面の課題が残されております。
 このため、生産者団体とともに福岡県飼料用米推進協議会を設立し、モデル実証ほを設置して、品種毎の生育状況や収穫量調査などに取り組んでいるところであり、今後も研究を進めて参ります。



 
  

 漁業者の所得向上策について

 低コストな操業の実現と併せて、生産コストの増を価格に反映できる売り方の工夫が必要であります。
  県としましては、県内で漁獲される「安全」 で「新鮮」かつ「おいしい」水産物を積極的にPRするとともに、漁業者自らが価格を決めることの出来る朝市や直販施設での販売を支援することにより、漁業者の所得向上を図って参りたいと考えております。






 林業の振興について

 世界的な木材需給の変化から、国産材の需要が高まっており、本県の林業振興を図る絶好の機会と捉えております。
 このため、本年度から「ふくおか林業・木材産業再生促進事業」を実施し、住宅メーカー等の需要者が求める量や品質に対応した供給体制を整備し、県産材の競争力を高めることにより、林業の再生に取り組んでいるところです。






 荒廃森林再生事業の進捗状況について

 事業主体である市町村において、事業対象地を特定する現地調査が概ね終了し、森林所有者との協定締結や、間伐、広葉樹の植栽などに関する実施計画の策定を行っているところです。
 県としましては、市町村と連絡調整を図り、事業が円滑に実施できるよう、指導に努めております。
  




 木質バイオマスの活用について

 本年度から「木質バイオマス供給システム開発事業」を実施し、間伐材等の収集・運搬コストや、チップ等の燃料への加工コストの縮減に取り組んでおります。
 さらに、木質バイオマス利用が想定される温泉施設等の需要者と、森林組合等の供給者を結びつけるため、地区協議会を設置するなど、木質バイオマスの利用推進に努めているところです

 それでは次に教育問題に移ります。まず、最初に教員採用試験問題等についてただします。
 大分県の県教委ぐるみともいうべき教員採用にかかる事件では、今年六月の発覚以来、まったく信じがたい不正行為が連日のように報道され、関係者の逮捕や懲戒処分の発令、そして不正合格とされた教員の採用取り消しなどが行われたところです。
 ところで、この事件は、ことがことだけに単に大分県のみならず、全国の教員採用、いや教育全般に対する信頼が著しく損なわれたところであり、当然のごとく本県の教員採用の状況についても、全国の状況とともに報道されました。
 点検の結果、大分県のような不正は本県には無かったとされていますが、県民の不信はそうそう生易しいものではありません。
 県教委の皆さんは承知されていないかもしれませんが、巷では実に勝手な噂が色々と飛び交っているのであります。
 不信や心配を払拭するためには、余程の努力、覚悟が求められると考えています。
 まず全国的にも課題となっています教員採用の公明性・透明性を絶対的に高め、色々と揣摩臆測を呼ぶ余地をなくすべきです。
 例えば、本県では問題用紙の持ち帰りを認めず、さらに、問題の開示についても限られた場所にとどめられていますし、模範解答についても公表されていません。結果についても五段階評価で希望者本人に示されるにすぎません。これとて、大分県の事件を受けて急きょ今年の採用試験から五段階とされたにすぎません。昨年までは三段階でありました
 これでは、県民の全幅の信頼を得ることはまず困難でしょう。
 そこで、教育長にお尋ねします。まず、本県の教員採用試験について、公明性・透明性の確保という観点から、どのような現状であるのか。また、今後、どのような取り組みを考えているのかお答えください。併せて管理職の昇任についても同様の観点からお答えください。
 次に二点目として学校評価についてお尋ねします。
 昨年、学校教育法等の改正のなかで、新たな「学校評価」に対する方向性が打ち出されています。
 これまでの学校関係者評価の他に、その学校に直接かかわりを持たない第三者の専門家などが、学校関係者の評価結果などを資料として活用しつつ、教育活動その他の学校運営全般について、専門的・客観的立場から評価を行う試み、それであります。
 そこで、教育長にお伺いします。まず本県におけるこれまでの学校評価への取り組みはどのような状況にあるのでしょうか。保護者による評価の実施率は、公立の小中高ベースで四十五.六パーセントにとどまっているとも聞いているところです。現状の説明と今後の取り組みについて見解を示してください。
 また、新に試みることになった第三者評価について、県として今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。第三者評価制度の評価も含めてお答えください。
 次に小・中学校の学校図書館の充実についてお伺いします。
 今年四月に、文部科学省が公表した「学校図書館図書関係予算措置状況調べ」によれば、平成十九年度における本県の小・中学校の図書購入費の基準財政需要額に対する予算措置率は九十七パーセントという結果のようです
 この数字自体は全国的に見れば決して低くないとは言えますが、これとても文部科学省が別途学校の規模、学級数に応じて示している学校図書館図書標準を達成している学校は、小学校で四十七パーセント、中学で五十一パーセントにすぎません。
 県内自治体のなかでは、基準をまったく達成していないところがあるのは本当に遺憾なことであります。
 こども一人一人の読書活動を応援していくためには、国においても措置が講じられている以上、少なくとも全ての市町村で予算措置率は百パーセントであってしかるべきです。
 このことにより、我が会派が前々から提唱し、アンビシャス運動展開の契機ともなった読書活動も一層推進されると考えます。
 そこで教育長にお伺いします。今後、全ての市町村において百パーセントの予算措置がなされるよう、県教育委員会としてどのような働きかけをしていくのか、お答えください。
 学校図書館には活用の仕方の工夫によって、様々な可能性があるのではないでしょうか。
 そこで、今後新しい時代の要請に応えていく視点から、学校図書館にどのような役割を持たせ、機能の強化を図っていくことが必要と考えるのか、教育長のご所見をお伺いします。
 教育の問題の最後に、先般、教育力向上福岡県民会議から提言された「福岡の教育ビジョン」についてお尋ねします。
 昨年七月に設置された県民会議からは、本年一月に「福岡の教育ビジョン」第一次提言が提出され、「福岡が目ざす子ども」を育てるために早急に取り組むべきアクションプラン六つの提案がなされています。
 さらに、八月には第一次提言を実効あるものとするため、学校、家庭、地域が取り組むべき具体的な方策、及びそれらの取り組みに対する行政の支援などが提言されたところです。提言のなかにも、運動の主体となるのは、全ての県民であるとされているように、県民一人一人に運動に参加しようという意識を持ってもらうためには、提言の趣旨や県民運動の必要性について、しっかりと共通理解を図っていく必要があります。
 そこで、知事にお伺いします。今後どのような手立てで県民運動を広げていくのか、その具体的方策について説明願います。
 また、市町村や関係機関、団体等との連携を図る方策についてもお示しください。
 ところで「市町村別に結果を公表すべき」とした大阪府の橋下知事の発言で、国民の関心が一層高まった全国小中学校学力調査の今年度の結果が先日公表されています。
 我が福岡県は、昨年同様ほとんどの項目で全国平均を下回っていたようで、まったく嘆かわしい思いでいっぱいであります。
 昨年の結果を受けて、県教委は課題を抱える市町村、学校への支援など「学力向上新戦略」を展開したと承知していますが、効果は未だ出ていなかったわけであります。
 取り組みから日が浅かったために実効性に乏しかったのか、それとも原因が他にあったのでしょうか。県教委は今回の結果をどのように受けとめ今後どのように学力向上対策に取り組んでいくのか。しっかりとした答弁を求めておきます。
 

    教育長答弁

(教育問題について)
 教員採用試験等について


 本県の教員採用選考は、行政職員のラインで、しかも多数の眼で二重三重のチェックを行うなど不正行為が入り込む余地は無く、公明性が確保されております。
 透明性の確保については、今年度から選考基準の基本的な考え方を示すとともに、模範解答についても公開を行います。さらに、次年度以降、面接試験や実技試験等の選考基準の公開や問題用紙の持帰り、配点の公開、筆記試験の得点の開示等を進めて参りたいと考えております。
 また、管理職の昇任は、管理職試験を行い客観性を担保し適正に行っており、今後とも厳正に取り組んで参りたいと考えております。


 学校評価の取組について

 平成十八年度調査によると、本県の公立小中学校・高校等において、自己評価は全ての学校が実施し、保護者等による学校関係者評価は、四十五・六%が実施しております。学校関係者評価は、学校が保護者等へ説明責任を果たし、共通理解を持つ上で重要であり、今後、全ての学校で実施されるよう指導に努める考えです。
 なお、第三者評価は、専門的・客観的な立場からの評価を生かして、教育活動や学校運営の質を高めていく上で有益と考えられるため、現在、県内各地で調査研究校を指定するなど、その在り方について研究を進めているところです。

 

 

 小・中学校の学校図書館図書購入費について

 学校図書館は、児童生徒の人間形成や情操をはぐくむ場としての役割を担っており、読書活動の充実を図る観点からも図書館図書の整備は重要であると考えています。また、こうした認識を学校現場と設置者の市町村が共有し、図書の充実に努める必要があります。       
 このため、市町村教育委員会に対して計画的な整備を促してきたところであり、本県における図書購入費の基準財政需要額に対する予算措置率は全国平均を上回っておりますが、引き続き各種会議の場等を通じ、すべての市町村において十分な予算が確保されるよう促してまいりたいと考えております。

 

 


 学校図書館の機能の強化について

 学校図書館は、単に児童生徒に読書の機会を提供するだけでなく、児童生徒の「学習情報センター」として自発的・主体的な学習活動を促したり、授業改善を図るための教員の教材研究を支援するなどが考えられます。       
 県教育委員会としましては、こうした取組について市町村教育委員会に情報を提供すること等により、学校図書館の機能の強化につなげてまいりたいと考えております。

 

 



       知事答弁

(教育問題について)
 教育力向上福岡県民運動を広げていくための具体的方策について


 この県民運動は、学ぶ意欲、自尊感情、規範意識、体力等、子どもが抱える本質的課題の解決を図るため、学校を中心として、家庭や地域が連携・協力し、それぞれの教育力を高めるものです。
 このため、今後、県民運動を推進する組織を立ち上げるとともに、県民フォーラムの開催をはじめ、様々な広報・啓発を行い、共通理解を図りながら県民運動を進めてまいる考えであります。



  

  


 市町村等との連携を図る方策について

 学校を中心とした取組を支援するため、市町村や関係機関・団体等の関係者を含めた推進組織を年内にも設置し、市町村等との連携を図ってまいります。
 



  

  

 今回の全国学力調査の結果等について

 県では、昨年度の調査結果を重く受け止め、本年二月、「学力向上新戦略」を策定しましたが、四月実施の今回の調査結果には、取組の成果が十分に反映されず、昨年度と同様、ほとんどの区分で全国の平均正答率を下回るとともに、地域間の差等の課題を再確認する結果になりました。
 県としては、引き続き学力向上を県教育行政の最重要課題の一つとして、危機感を持って継続的に取り組む必要があると考えます。
 今後、教育事務所に設置した学力向上支援チームによる課題を抱える市町村・学校への指導・支援等「学力向上新戦略」に基づく取組を更に進め、調査問題を基にした具体的な授業改善の在り方を示した指導資料の全教員への配布等、取組の充実に全力で努める考えです。

 

 

 以上で質問を終わりますが、最後にひと言、安全、安心なまちづくりにふれておきます。 先日、久留米市の暴力団、道仁会に対して、組本部事務所周辺の住民六百人が本部事務所使用差し止めの仮処分を福岡地裁久留米支部に申請しました。
 指定暴力団事務所の使用差し止めを求めた仮処分の申請は、全国初めてのこととか。申請者の数の多さも極めて異例であり、私たちは、この久留米市民の力強い動きに大変勇気づけられています。
 ひるむことなき県民の英知と勇気によって安全、安心な福岡県づくりが実現することを願って、質問を終わります。
 ご静聴ありがとうございました。

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