自民党県議団質問内容
通告に従い、会派を代表しての質問に入ります前に、ひとこと、先のミャンマー・中国四川省において相次いで発生し、甚大な被害をもたらした自然大災害に対し、心からお見舞いの意を表し、復旧の一日も早からんこと祈念申しあげる次第であります。
本県においても三年前の三月、あの福岡県西方沖地震に見舞われ、自然の脅威をひしひしと感じさせられました。
勿論、県民誰ひとりとしてあの恐ろしさと安全安心な都市づくりの大切さを忘れた人はいないでしょうが、今、二つの身近な国での自然大災害に際し、県民あげて改めてこの想いを深くしていることと思います。
現代では、忘れた頃ではなく、「天災は忘れぬうちにやってくる」ことを自覚しながらこの代表質問に入ります。 |
麻生渡知事 答弁要旨
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それではこれより質問に入りますが、まず最初に、先のいわゆる道路特定財源問題からお聞きします。
この問題につきましては麻生知事は全国知事会長として、地方六団体をリードし、参議院が一刻も早くその意思を示すべきこと、また、暫定税率を維持すべきことを強く求めてこられました。
その真摯な取り組みを高く評価するとともに、ご尽力に対して敬意を表する次第です。
こうした中、今回の一連の問題で、野党がとった無責任な態度は、その責任を深く問われ、改めて厳しく批判されるべきものだと思っています。
そこでまず、今回の野党、特に民主党中央の態度。つまりは国民生活と地方財政に不安をもたらし、その余勢を駆って国政を解散に追い込もうとした、いわゆる政局至上主義とでもいうべき対応について、麻生知事は、全国地方六団体の代表としてどのような認識、評価をされているのか、改めてお尋ねします。
いずれにせよ、四月一日から一ヶ月という短期間に、揮発油税や軽油引取税、自動車取得税の税率が上下し、国民・県民はもとより石油業界、自動車販売業界等にも大変な混乱、迷惑を及ぼす結果になってしまいました。
特に原油価格が高騰する中、県民の消費行動や競争の厳しい石油販売業界に計り知れない影響があったのではないか、と心配されるところです。
そこで、四月以降今日までの間、税率の変動によって、県民生活や関係業界にどのような影響が生じているのか、大きな混乱はなかったのか。また、県として流通面や課税事務の面で、どのような対策を講じてこられたのか、ご説明願います。
次に、本県財政への影響についてお尋ねします。
軽油引取税や自動車取得税の暫定税率が年度当初から一ヶ月間失効したことにより、単純計算で六百億円の地方財源が失われたといわれています。
本県ではどの程度の税収や譲与税収が減少になったのでしょうか、お尋ねします。
また、増田総務大臣は、法案再可決後の記者会見で、地方財源の減収に対しては国の責任において確実に補填措置を講じていくと明言しています。
知事は、歳入欠損の補填措置について、その補填の時期や方法など現時点でどのような見通しをもっておられるのか、また全国知事会長としても地方側の具体的な補填方法を明確にした上で、速やかな補填を求めて政府に強く当たることが必要だと考えます。ご所見をお聞かせください。
また、補填されるまでの間、どのような対策を講ずる方針なのか、併せてお尋ねします。
ところで、知事は、道路特定財源の暫定税率関係法案や地方交付税関係法案が年度内に成立しない異常な状況を踏まえ、四月の一ヶ月間、新規路線のみならず継続路線についても入札・契約しない、継続補修費についても人命にかかわるような緊急に対応すべきものを除いて実施しないという方針をとってこられました。
また、道路事業のみならず、その他の事業についても、生活保護をはじめ県民生活に重大な支障を生じる経費など真に緊急を要する経費を除いて、原則として、当面執行を見合わせてきました。
さらに、税制関連法案が四月三十日に再可決した後も、道路事業については国庫補助事業・交付金事業は引き続き執行を見合わせることとし、県単独事業は、緊急性・必要性に応じて執行することとする方針を出されました。
総務大臣が確実に地方財源の補填措置を講ずると言明された五月一日以降も、交付金事業はともかく補助事業の執行までも見合わせる方針をとられたことについては、大きな疑問を抱かざるを得ません。
税法が成立したことにより、知事は県民生活への深刻な影響が回避できる見通しとなったと、評価されていたのではありませんか。
そこでお尋ねしますが、知事は、今回の道路事業等の執行停止によって、地域の経済や産業にどのような影響が生じたと分析されているのか、明らかにしていただきたい。
また、五月一日段階で補助事業についても執行を見合わせた理由について、この点も含めて改めて納得のいく説明を求めます。
次に福田総理は、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し、二十一年度から一般財源化する方針を表明し、閣議決定も行っています。
一般財源化ということは、極めて重大な制度改革であります。
地方道路特定財源は、「道路に関する費用に充てる」ことを前提に全体の制度が構築されているからであります。
そこで、一般財源化することになれば、軽油引取税や自動車取得税の課税根拠が改めて問われることになります。
知事は、全国知事会長として多くの条件を提示したうえで、一般財源化を支持されているようですが、一般財源化によって地方の道路整備が遅れたり、困難になったりする事態は絶対に避けなければなりません。如何でしょうか。
そこで、知事は、課税根拠の変更等について、どのような見解を持っておられるのか、お尋ねします。
特に、国民から理解の得られるような課税の根拠をいったいどこに求めることが適当か、高いご見識をお示しください。
また、この際、地方分権の観点から現在の道路関連税制を大胆に再構築する政治姿勢が必要だと考えます。
知事の基本認識をお尋ねするとともに、今後、政府与党にどのような働きかけをされるつもりなのか、政治家としての毅然たる対応策をお示しください。
地方財源に関連して、今回創設された地方法人特別税についてお尋ねします。
この税は、緊急の課題である地域間の税収偏在を是正するため、都道府県の基幹税である法人事業税の約半分に当たる二兆六千億円を国税化し、それを譲与税として都道府県に再配分するために設けられた、と聞いています。
創設に当たっては、様々な批判もありました。しかしながら、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置と位置づけ閣議決定したいきさつもあり、これにより、全国の都道府県も受け入れたものだと聞いております。
ところが、去る四月二十九日のある新聞によりますと、政府ではこの暫定措置を恒久化する方向で検討に入ったと報道されています。
万が一、恒久化検討という新聞報道が事実とすれば、これまでの地方法人特別税創設の経緯を反故にし、地方と国の信頼関係を損なうものであります。
政府では、地方法人特別税の恒久化を本当に検討しているのか、知事会としてこの点をどのように把握されているのか、まず知事に確認させていただきます。次に、今年断行するとされている税制の抜本改革に向けて、どのような対応をされる考えなのでしょうか。
ことは地方税財政の根幹に関わる問題であります。従って、福岡県知事の立場というより、全国知事会長の立場から、明確な基本認識と政治姿勢を表明願います。
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(知事の政治姿勢について)
1.道路特定財源問題をめぐる諸課題など
国会における野党の一連の対応について
暫定税率の廃止は、地方財政に大きな歳入欠陥をもたらすとともに、国民の経済活動にも多大な影響を及ぼします。このため、民主党を始めとする野党に対し、討論会や党幹部への要請活動などを通じて、法案の年度内成立の必要性を訴えてきました。
それにも関わらず、参議院では関連法案の審議すら行われず、両院議長斡旋に基づく与野党協議も進展しないまま、暫定税率が失効いたしました。これは誠に遺憾なことであります。
予算関連法案は年度内に結論を出すといったルールを確立することにより、国会はその役割を果たすよう強く求めるものであります。
税率の変動による影響と対策について
短期間での大幅な価格の変動により、ガソリン等の買い控えや駆け込み需要など県民の消費行動に大きな影響がみられたところです。
また、石油販売店などでは、税失効前の仕入品を値引き販売したことによる経営面への影響が続いております。
このため、これらの事業者に対して、県では、商工会議所等に設置した「原油高騰に伴う相談窓口」において、きめ細やかな対応を行うとともに、石油協会とも連携し融資等の支援を実施しております。
暫定税率廃止期間に講じた課税面での対策に
ついて
自動車や軽油についても買い控えや駆け込み需要に伴う混乱が予想されました。このため、自動車取得税の窓口に応援職員を配置するとともに、税率の変動に伴う軽油引取税の適正な課税を確保するため、軽油在庫量の確認調査を実施しました。
また、窓口におけるポスター掲示やチラシ配布、特別徴収義務者に対する税率の変更の通知、業界団体への周知説明などのPRを併せて行い、混乱の影響を最小限に抑えたところです。
暫定税率失効による税収等の影響について
軽油引取税の申告期限や地方道路譲与税の譲与時期が未到来であることから、確定額は現時点では判明しませんが、平成二十年度予算額を基礎に過去の実績で試算すると約十四億円の減収が見込まれます。
歳入欠陥の補填について
暫定税率の失効による地方の減収に対しては、国の責任において適切な財源措置を講じることが閣議決定されたところです。
地方としては、地方税の減収分に加え、地方道路整備臨時交付金への影響分も含めた財源措置が必要であると考えます。また、その方法も起債といった形でなく、特例交付金などで対応すべきであります。
こうした点について、福田総理をはじめ政府に対し要請しており、現在、国において具体的な対応策が検討されております。
なお、今回の歳入欠陥については、例年の資金の状況から見ると支払い資金に大きな影響はないと考えています。
道路事業等の執行停止による影響について
三月三十一日をもって暫定税率が失効し、多額の歳入欠陥が生じる恐れがあったことから、やむを得ず、道路事業等の予算の執行を留保するという措置をとったところです。
しかし、その間も、県民生活の安全・安心の確保はもとより、事業の遅延により関係者に損害が生じるものなど、緊急性、必要性が高い事業は、選別の上、実施し、その他の事業についても遅滞なく実施できるよう準備を進めてまいりました。このように、きめ細かな対応に努めたところであり、今回の措置が地域の経済や産業に大きな影響を及ぼすことはなかったと考えております。
税制関連法案成立後の補助事業への対応について
五月一日段階では、道路整備費の財源等の特例に関する法律の改正案が未成立であり、地方道路整備臨時交付金の見通しが立たない状況でありました。
地方道路交付金事業は、本県の道路事業の四十九%を占めており、交付金制度が廃止された場合、補助事業も含めた見直しが必要となる恐れがあったため、補助事業及び交付金事業の執行を引き続き見合わせることとしたところです。
一般財源化時の課税根拠について
一般財源化については、環境対策などへ使途を広げていく考え方と使途を限定しない完全な一般財源化をする考え方があります。
課税根拠については、こうした使途のあり方と合わせ、これから広く議論を行っていく必要があると考えております。
道路関連税制の再構築について
平成二十年度当初予算では、国・地方を通じた道路特定財源の税収は五兆四千億円でありますが、このうち、地方税や譲与税、さらには国からの交付金・補助金を含めて三兆四千億円余りが地方の財源となっております。
道路関連税制の見直しに当たっては、危機的な地方の財政状況や、地方では道路特定財源だけでは足りず、一般財源等をつぎ込んで道路整備を行っていることも踏まえれば、国からの交付金等も含めた地方の財源について、これまで以上の額を「地方枠」として確保することが基本になるものと考えます。
これについては、既に国に申し入れたところであり、今後も、地方六団体と連携して、その実現に努めてまいります。
地方法人特別税について
地方法人特別税は、地方消費税を充実するまでの暫定措置として導入されたものであり、その旨政府の方針として閣議決定もされております。地方分権の観点からも問題があり、税制の抜本改革時には、地方税として元に復すべきであります。
財政制度等審議会では恒久化を念頭に置いたと思われる試算も行われているようですが、これは地方分権に明らかに反する動きです。
全国知事会としては、一月に設置した特別委員会の活動を通じて、地方消費税の充実による税収偏在の少ない安定的な地方税制の確立を強く主張してまいります。
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次に、消費者行政問題についてであります。
食品の偽装表示や農薬混入ギョウザ事件などにみられるように、最近とみに食の信頼を裏切る事件が相次ぎ、あるいはまた、お年寄りを狙った振り込め詐欺や還付金詐欺など、複雑、巧妙化する悪質商法が蔓延するなどして、消費者の不安が一層広がり平穏な生活が危険にさらされています。
このような消費者の安全安心が脅かされている実態を踏まえ、本県議会は、本年二月議会において、国に対して、消費者行政の見直しに当たって「各省庁縦割りとなっている消費者行政を地方自治体とともに統一的、一元的に推進するために、司令塔となる新組織の早期設置」などを求める意見書を提出しました。記憶に新しいところであります。
その後、国に設置された「消費者行政推進会議」において、消費者行政を一元的に所管する「消費者庁」創設構想が進んでいるようです。強い権限も持たせた内閣府の外局としての組織づくりを内容とした「消費者行政推進会議」による報告書が、いづれ六月早々にも福田総理に提出される予定と聞いて期待しています。
この消費者行政の一元化は、社会が成熟し、国民が豊かな生活を重視、ニーズが多様化する中で、行政のあり方を、消費者あるいは生活者重視に転換する大変意義ある試みであると思います。
社会が豊かで便利になる一方で、現状のように、食品や製品の安全への信頼が裏切られ、平穏な生活が脅かされることは誠に残念なことであり、社会や経済の活力にも関わってくる問題であると言えます。
そこで、知事にお伺いします。
国で進められている、各省庁縦割りを是正し、統一的、一元的に推進するための司令塔となる「消費者庁」創設を中心とする、消費者行政の見直しについて、知事はどのようにお考えでしょうか。また、この消費者行政の見直しに対して、知事が会長である知事会が率先して地方からも声を上げていくべきではないでしょうか。
また、この消費者行政の見直しは、国の「消費者庁」創設にとどまるべきではなく、消費者が直接関わる消費者行政の充実こそが、県民にとって重大な関心事であり、且つ重要なことだと思います。
しかしながら、四月二十二日の新聞報道にもみられるように、地方では国の動きに反するかのように「縮小される消費者行政」として、人も予算も削られているのが、残念ながら地方の消費者行政の実態のようであります。
そこで本県の消費者行政はいかがでありましょうか。
本県で特に気がかりなことは、この消費者行政の中心を県消費生活センターに置き、平成十年に本庁行政機構の中から消費生活課という課の名前が消えていることであります。
昭和四十三年に設置されたこの消費生活課が、なぜ生活文化課に吸収され、その名を消したのでありましょうか。
こうして改めて問うと、「課名には掲げずとも、消費者行政内容においてはいささかも劣ることなく」などといった抗弁が予想されますが、課名は、まさに行政の意気込みと内容を示すシンボリックなものであります。
「強化こそあっても縮小はない」というのが今消費者問題をめぐる行政の態度であるはずです。
県民に分かり易い消費者行政を進めるためにも、消費生活課は再度復活されるべきであり、知事の所信のほどを求めます。
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(消費者行政について)
国の消費者行政見直しと地方からの働きかけについて
住民に身近な消費者行政は地方にとって重要な課題であり、消費者の視点に立っての今回の見直しは、地方行政にも大きな影響を与えるものと考えます。
現在、権限や法律の移管・統合など、国で具体的検討がなされておりますが、地方にとって実効性のある消費者行政の制度設計が不可欠であり、このような観点から国に対して意見を表明して参りたいと考えております。
本県の消費者行政の現状について
消費生活センターの相談員の増員、日曜相談の実施、弁護士の無料相談の回数増など相談体制を強化するほか、警察や弁護士会、市町村との連携を強めて参りました。
さらに、今年度から、実績とノウハウを有する民間団体と協働して多重債務者生活再生相談窓口を開設するなど、県全体の消費者行政の充実を図っているところであります。
消費者行政担当組織について
消費者行政を含め県民生活に関連する行政を一元的に推進するため、平成十年に消費生活課を生活文化課と統合したところです。
今年度の組織再編では、消費生活センターを本庁に統合することで機能を強化し、相談・苦情対応から啓発、立入調査、悪質業者の指導まで一貫して、的確かつ機動的に対応するための体制整備を図ったところであります。
今後、国における消費者行政一元化の動向を見ながら、必要に応じ対応して参ります。
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次に、今わが国の保健・福祉医療制度の中で、最も深刻な問題となっています長寿医療制度、いわゆる後期高齢者医療制度についてただします。
この七十五歳以上の高齢者を対象とする新しい医療制度が去る四月一日に始まって二ヶ月になろうとしています。二回目の保険料を年金から引き去る日も間近に迫ってきました。
しかしながらこの医療制度をめぐっては、未だに厳しい批判や苦情が私たちのもとにも絶えず寄せられています。対応に苦慮するとともに、この制度の今後の推移に大変な不安を憶えているところであります。
また、さる二十三日には、民主党など野党四党が、なんら対案を示さないまま再び新たな廃止法案を共同して国会に提出したことが、高齢者に新たな心配と不安を増幅させていることも事実であり、誠に遺憾なことであります。
そこで、この制度について今、少しばかり経過をふり返って改めて問題点を提起し、一部について早急に改善を求め、実現を促すところであります。
三月中旬、被保険者証が送付され、さらに、四月上旬には、保険料の仮徴収通知が対象となる高齢者の手元に届けられています。
それから僅か、一週間ないし十日後の四月十五日の年金支給日に年金から保険料が徴集されて、事情をよく知らなかった高齢者から、市町村や広域連合の窓口、更には、県などに苦情や注文が殺到したというのが、これまでの大まかな経過であります。
まず、肝心なことですが、この医療制度が、なぜ、七十五歳以上の全ての高齢者と、六十五歳から七十四歳の一定の障害のある方達を対象とした既存の保険制度から独立した制度として創設されたのか、趣旨やその目的も含め多くの人たちに理解されていたとは、到底思えません。
改めてこの医療制度がなぜこのような枠組みとなったのか、県民に分かり易く説明願います。また県として、長寿医療制度について果たしてPRや説明が十分行われてきたのでしょうか、お伺いします。
次に指摘されることは、保険料の年金引き去りというこの制度の根幹部分について、高齢者に対して周知徹底が行われていなかったのではないか、ということであります。
多くの高齢者やその家族にとっては、大事な生活費としての年金収入です。事情をよく理解していなかった人たちからは怒りが募ることは目に見えています。年金引き去りについて、改めて県民に納得のいく説明を願います。
次に、全国で六万人以上の高齢者が被保険証を受け取っていなかったこと、本県でも一万人以上の高齢者が再交付を受けた、と聞いております。
普通郵便で届いても、被保険者証と気づかず捨ててしまったという事例も身近な高齢者からたくさん聞いております。新しい制度が始まったのに、被保険者証がわからず、緊急に病院に行けないということも多々あったと聞いております。
こうしたことに対して県として、市町村や広域連合をどのように指導されたのか、その後、事態は完全に改善されているのかどうかをお尋ねします。
次に、この新しい高齢者医療制度の保険料についてであります。この保険料は、都道府県ごとに主に老人医療費の額によって異なっており、老人医療費が高い都道府県では保険料も高くなる仕組みです。
従って高齢者の負担軽減を考えて、東京都では、都や市区町村が広域連合に公費を投入して、保険料を引き下げております。
また、いくつかの都道府県においても、広域連合の保健事業などに対して公費を投入するという報道もなされております。
そこで、本県の措置についてお尋ねします。
残念ながら、本県は老人医療費が全国一高いため、これに比例してこの保険料も四十七都道府県の中で、一番高いものになっています。これは本県独自の課題であり本県で解決しなければならないことでありますが、このことについて指摘された知事は、『まず本県の医療費を適正化することが当面の課題だ』、と説明されています。
理屈はその通りかもしれません。しかしながら、高齢者の気持ちを考えたならば、今少し優しさに欠け、心ある方々の気持ちを逆なでしかねないものであります。
その真意を改めて説明頂くとともに、高齢者の負担を和らげるためにも保険料軽減に向けた県独自の助成を求め、知事の英断を促すところであります。
何卒、よろしくお願い申しあげます。
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(長寿医療制度について)
長寿医療制度を独立の医療保険制度とした趣旨について
急速な高齢化により医療費の増大が見込まれ る中、国民皆保険制度を今後も持続可能なもの とするためには、疾病リスクの高い高齢者の医 療費について、国民全体で支え合う仕組みが必 要であります。
このため、心身の特性等を踏まえ、独立の医療制度を創設して、高齢者の保険料と、支え手である現役世代の負担の明確化・公平化を図るものであります。
制度の周知について
県では、これまで全戸配布の広報紙や出前講座等により広報に努めるとともに、市町村や広域連合に対し、きめ細かな周知について助言・指導を行ってきました。
しかしながら、昨年十一月の保険料負担の激変緩和策の導入や給付等の内容を定める政省令の制定が遅れたこと等により、限られた時間での準備となったことなどから、周知が不十分になったと考えております。
年金からの保険料徴収について
被保険者の方々の保険料納付の利便性を図るとともに、市町村における保険料収納の確保や事務の効率化の観点から、原則として保険料を年金から徴収することとなっております。
被保険者証の未着・紛失等の問題について
各市町村において電話や訪問調査などにより確認の上、交付や再発行を行っております。
また、被保険者証がなくとも、従前の被保険者証等で受診できることについて、市町村を通じて周知しており、被保険者証に関するトラブルは解消してきております。
本県独自の保険料軽減措置について
長寿医療制度の施行に伴い、県では、被保険者の保険料負担を一割程度とするため、約四百二十六億円、給付費増加等に対応するための基金として、約十四億円、さらに、低所得者等の保険料負担軽減のために約六十四億円を計上しているところであります。
本県では、医療提供体制が充実していることなどから医療費が高く、その結果、保険料も高額となっております。
保険料負担を抑制するためには、医療費の適正化が極めて重要であり、今後、積極的に適正化の取組を推進していく考えであります。
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次に、本県県産品の輸出振興についてただします。
県はさる四月、農林水産部に新たに輸出促進室を設けられました。
本年度内に県も出資して設立されると聞いております「農産物貿易会社」の動きに呼応対応したものだとみています。
確かにこのところ本県の農産物輸出は、最近とみに有名になった本県特産いちごや八女茶をはじめとして、毎年増加し、平成十八年度には八億二千万円の実績をあげているようです。県民の一人として非常に喜ばしく思っています。
ところで、この農産物輸出会社の設立については、懸念されることもあります。
本県の青果物卸売業者が直接海外の卸売業者と輸出入の取引契約を結ぶなどして、民間主体で新たな取り組みが始まった矢先のことでもあるためです。
本来、行政の役割は、民間の努力を応援し、事業拡大のために支援していくことではないでしょうか。
新しい県出資の貿易会社が、いわば官業がこれらの民業を圧迫する恐れはないのか、また、そもそも新しい貿易会社の役割には、どのような構想が描かれているのか、まず知事にお尋ねします。
ところでこれまで我が会派は、この県議会の場で、農林水産物のトップセールスによるPRや伝統工芸のアンテナショップの設置など、県産品のPR強化を一貫して主張してまいりました。
国内外から多くの訪問客が集まる場所、例えば福岡空港、北九州空港やJR博多駅、西鉄福岡駅等々に県産品のトータルなアンテナショップを設置してはいかがでしょうか、と具体的に提唱してきたところです。
福岡県内には、加工食品、服飾製品、工芸品など、本県固有の歴史や文化の中で育まれてきた優れた地場産品があります。
欧米はもとより、アジア諸国の富裕層やハイセンスな刺激を求める若者達を中心に、今、日本文化が浸透し日本的価値が高く評価されています。日本製品への需要は今後、世界的に拡大し、戦略を間違わなければ本県産品も必ず世界に評価され、輸出は飛躍的に伸びていくものと思っています。
そこで知事にお伺いします。県産品の総合的アンテナショップ設置については我が会派提唱の意のあるところを十分汲んで、対応が進んでいるものと判断しますが、どのような見通しになっているのか、まずお示し願います。
次に、県行政が担うべき輸出振興という政策面から考えるならば、既に農林水産部内には「福岡県地域食品輸出振興協議会」という任意の組織があり、生産者や民間業者の事業を支援する、とされています。
本来、このような組織とその取り組みの強化が最も望ましいところだとは思いますが、この組織が扱っている品目が食品物に限定されているようです。
しかも、どうしたことか、余りその活動実態が伝わってこないようです。
そこで知事にうかがいます。福岡県の名産品の輸出を幅広く支援・促進するため既存の組織を大幅に拡大・改編し、知事がトップとなって広く世界に打って出る県産品の輸出振興策を進めるべきだと考えます。
これにより本県が誇る逸品・名品を世界に発信し、福岡県のイメージアップと本県経済発展に大いに貢献するものと思いますので見解をお示し願います。
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(本県行政における輸出振興策のあり方について)
新しい貿易会社の役割と民業圧迫について
農業団体が中心となって設立を目指している新しい貿易会社は、これまで培ってきた輸出のノウハウを総合的に活用するとともに、既存の民間業者とも協力関係を築きながら、安定的な販路の開拓に努めるものであります。
この会社の設立により、輸出による有利販売を通じて農家の所得向上につなげ、本県農業の振興を図って参る考えです。
県産品の総合的アンテナショップについて
県産品の販売を促進するためには、消費地に出向き、県産品の良さを知っていただく機会を数多く設けることが効果的であると考えております。
このため、首都圏を中心とした主要百貨店での物産展などにおいて、県産品の販路拡大に積極的に取り組み、年々売上を伸ばしているところです。なお、十九年度においては、七十九回の物産展で約十二億円の売上をみたところです。
今後とも、物産振興会やJAなど関係団体とも連携し、県産品の販売促進に努めて参ります。
併せてPRの強化を図るため、多くの人が利用する福岡空港、新北九州空港、JR博多駅における伝統工芸品の展示について協議を進めて参ります。
県産品の輸出振興策について
本県の農林水産物及び加工食品の輸出促進については、福岡県地域食品輸出振興協議会を通じて、香港や台湾等においてフェアや商談会を開催するなど、輸出拡大に努めてきたところであります。
また、海外展開を目指すその他の県産品については、博多織の「ハカタ・ジャパン」や大川家具の「サジカ」など独自ブランド開発を進め、世界的な評価を得るため、欧州を中心に有名な国際見本市への出展などを積極的に推進しています。
輸出振興協議会のあり方については、今後検討して参ります。
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次に農政問題について伺います。
改めて申すまでもないことですが、今、世界的な原油高、穀物高を背景にした食糧安全保障の危機が叫ばれています。
こうした情勢の中、我が日本の食糧自給率は、皆さん良くご承知のように、一九六十年代の七十パーセントから二○〇六年度には三十九パーセントにまで低下しています。
このように急激に自給率が低下した先進国は他に例を見ないところであります。
欧米諸国は、逆にいずれも戦後徐々に引き上げています。比較的低いといわれたスイスでも約五十パーセント、他国はこれを大きく上回る自給率を維持しています。
つまり、食糧は「戦略物資」であるというのが世界的な常識であり、古い言葉で言えば「兵糧攻め」に備えることは、平時から常に意識しておくべきことであります。
今はまさに、日本の食糧、それを担う農業のあり方、将来方向を国民上げてじっくり議論するチャンスであると考えます。
そこで知事にお尋ねします。
全国の自給率が低いと叫ばれる中で、本県の自給率はさらに低い十九パーセントと聞いています。いろいろと事情はあるようですが、各県もまた給率を高める努力をしないと、全国的にも高まらないのも事実であります。
知事は、この県内自給率の数値をどのように捉えているのか、また、高めるための方策についてどのように考えているのかお答え願います。
ところで、自給率を高める方策のひとつとして、今特に飼料価格の高騰を考え合わせますと、畜産の飼料自給率を高めることが緊急の課題ではないでしょうか。本県の飼料自給率は十六パーセントと国の飼料自給率よりも低いだけに、その必要性はなおさらであります。
このような中、最近、飼料自給率向上を目的とした稲発酵粗飼料や飼料用米が注目されています。特に東北方面では、食用には向かないが収穫量が異常に高い米を家畜用に回す実験も始まっているようです。これらは元々が水稲であり、災害等非常時には食用としても活用できる可能性があり、食糧確保の観点からも有望な作物ではないかと考えております。
そこで、本県の稲発酵粗飼料と飼料用米の生産状況及び県としての今後の対応方針についてお答え願います。
次は、米政策についてであります。
田植えの本格的なシーズンを迎えようとする中、今年ほど米の生産調整の行方が注目されている年はありません。
国では、米の流通を原則自由化し、生産調整も農業者・農業団体が主体となって取り組む仕組みを導入しましたが、生産調整を上回る過剰作付けは毎年増え続け、二○○四年産の二万五千ヘクタールから二○○七年産では七万一千ヘクタールまで拡大し、米の消費量の減少と相まって、米価の大幅な下落をもたらしている最大の要因であります。
国では、米価を安定させるため、昨年、政府米を三十四万トン積み増すなど緊急対策を講じましたが、過剰作付けの解消策として、同じ手は打てないのが現実だと考えます。
本年産の調整がうまくいかないと、米の消費量が減少する中で、需給バランスが完全に狂い、米価が大幅に下落するのではないかと、生産者は田植えを前に複雑な心境ではないでしょうか。
まじめに生産調整に協力した生産者が、結果的に損をするようなことはもはや許されません。
そこで知事にお伺いします。生産調整の確実な実施に向けて、全県あげて取り組む必要があると考えますが、本県ではどのように取り組んでいるのかお尋ねします。
また、このように米価の下落が続く中で、少しでもコストを下げるためには、米を含めた土地利用型農業の効率的な生産体制づくりが緊要と考えますが、県としてどのような対策を講じているのかお答え願います。 |
(農政問題について)
県内食料自給率について
本県は収益性が高い園芸農業を推進しており、野菜や花、お茶など全国に誇れる農産物が多くありますが、これらの農産物は穀物などに比べカロリーが低く、自給率には反映されません。
また、本県は人口が多く、一人当たりの穀物生産量も少なくなるため、県内自給率は全国平均よりも低くなっております。
県民の生活実態や、農家の経営実態を踏まえると、カロリーベースではなく、生産額ベースの自給率で見ることが適当と考えております。
このため、本県では生産額ベースとして「農産物自給率」を設定しており、平成十八年度では五十一パーセントとなっております。
県内食料自給率を高める方策について
本県は、これまで農家の所得向上を目的として、収益性の高い園芸農業の振興を図ってきたところであり、今後ともその振興に努めて参ります。
一方、自給率の向上に寄与する米・麦・大豆などの土地利用型作物については、認定農業者などへの農作業の集約化を進め、効率の良い生産体制をつくって参ります。
併せて、減農薬栽培による認証農産物の生産拡大や、直売所を活用した地産地消の推進等により、本県農産物の消費拡大に努めて参ります。
稲(いね)発酵(はっこう)粗(そ)飼料(しりょう)と飼料用(しりょうよう)米(まい)の生産状況と対応方針について
平成十九年産の稲(いね)発酵(はっこう)粗(そ)飼料(しりょう)の作付面積は、二百八十四ヘクタールで、前年に比べ四割増加しており、今後とも作付け拡大に努めて参ります。
また、飼料用米は昨年一.四ヘクタールでしたが、今年は十ヘクタールを超える作付けが見込まれています。
飼料用米は高騰する輸入とうもろこしの代替えとして注目されていますが、コスト面などの課題が残されており、農業団体とともにモデル実証に取り組むなど、課題解決に向けた研究を進めて参ります。
生産調整の確実な実施に向けた取り組みについて
二十年産米の生産調整の目標達成のため、農業団体と県で構成する水田農業推進協議会の活動を通じ、取り組みが遅れている地域に対する指導を行っております。
また、生産調整を拡大する農業者や地域に対し、飼料作物等への交付金を重点的に配分するなどのメリット措置を講じながら、県下での達成に努めているところであります。
土地利用型農業の効率的な生産体制づくりについて
土地利用型農業においては、認定農業者や法人化された生産組織が主体となった効率的な生産体制の確立が重要と考えております。
このため、「担い手・産地育成総合支援協議会」の活動を通じて、農地の貸し借りや作業受委託の促進により農作業の集約化を図っております。
また、米・麦・大豆を経営に取り入れた永続性ある組織となるよう、組織の方向性を定めたカルテに基づき法人化を進めております。
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次に水産問題をお聞きします。
まず、水産資源の管理・漁業取締りについてお尋ねします。
全国的に水産資源の減少が深刻化しているため、いわゆる資源管理型の漁業が推進されているようです。福岡県でも漁業者の自主的な管理とその取り組みに対して、県として支援を行なっているようで、例えば糸島加布里のハマグリ等、各地で成果を上げていると聞いております。
しかしながら、こうした漁民と行政の努力にもかかわらず、最近のマスコミ報道等によりますと、市場に流すと値の高いアワビやナマコなどの密漁が全国でひん発しているようです。先日もテレビで特集番組が組まれて、私もたまたま目にしたところでもあります。
資源枯渇にもつながる密漁行為によって、本県の漁場が荒らされることは到底許されないことであります。
そこで知事にお尋ねします。沿岸域のアワビやナマコなど大切な福岡県の資源を守るため密漁に対して取締りの強化と厳罰で臨むべきであります。その密漁の実態とともに方針を示してください。
次に、有明海のノリ養殖漁業のなかで大きな課題であった、ノリ小間の貸し借り問題についてであります。
これまでにこの問題の解決に向けては、我が会派は幾度となくただしてきました。
この結果、平成十九年度までにノリ現業者に対する転廃業者のノリ小間の再配分を確定させました。
これにより、ノリ養殖をめぐる、いわば、不在地主と小作の関係は完全に解消され、適正化が実現したと聞いております。
これは極めて評価されることであります。
しかしながら改めて気がかりなこともあります。
水産業についても他産業以上に高齢化が進行しています。今後、後継者に恵まれず、自営の道を閉ざされたノリ養殖業者が、かつてのように再びノリ小間の貸し借りを行うなどといった事態が予想されないわけでもありません。こうした事態も想定して、どのような再発防止策を講じていくのか、具体的かつ明確な方針をお聞かせ下さい。
最後に肝心のノリ養殖についてであります。
平成十九年度は水温が高く、漁期が例年に比べて一ヶ月も短かったことから、ノリ生産状況が心配されるところであります。
どのような結果となっているのか、具体的にお示し願います。
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(水産問題について)
密漁の実態と対策について
本県沿岸では、県と漁業関係者間において、監視通報体制を整備し、密漁の防止に取り組んできたところであります。
しかし、近年は、高速船を用いた組織的な密漁集団が出現するようになり、取締りが困難な状況になっています。
このため、昨年就航した最新鋭の漁業取締船「しんぷう」と、今年度建造予定の小型高速船「つくし」との連携による取締日数を大幅に増やすとともに、海上保安部、警察等、他の機関と協力し、取締の強化を図って参ります。
ノリ小間の貸し借りの再発防止について
県は、今年度の漁業権の免許に当たり、漁業権者である有明海漁連に対して、不適正な漁場行使の再発防止策を確立するよう、強く指導しております。
具体的には、現にノリ養殖を営む者のみで組織する「漁業権管理委員会」を設置するとともに、違反に対する処分を漁連の規約に明記するなどの対策に取り組んで参ります。
平成十九年度のノリ生産状況について
採苗(さいびよう)の時期が過去三十年
で最も遅くなり、漁業者の皆さんは勿論のこと、われわれも大きな不安を抱えながらのスタートでありました。
県としましては、有明海研究所を中心に、迅
速な情報提供や、きめ細かな養殖指導を行って
参りました。
養殖期間中は海況(かいきよう)にも恵ま
れ、開始時期の遅れを取り戻し、十五億八千万枚という過去最高の生産枚数を記録し、平年を上回る百四十四億円の水揚げをあげることができました。
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次に教育問題についてお尋ねします。
今年三月二十八日、新しい小・中学校学習指導要領が告示されました。
前回の学習指導要領の改訂は、国際的な学力調査で我が国の結果が思わしくなかったこともあいまって、「ゆとり教育」批判の的とされた面がありました。
事実、私たちも学力低下の原因がゆとりを基本理念とした前回の学習指導の改訂と、これに基づく学校教育にあった、とみなしています。それだけに今回の学力向上を基調に授業時間を増やした新しい学習指導については、大変期待しているところであります。
また、今回の学習指導要領改訂にあたりとくに注目されることは、その一部について前倒し実施の方針を明らかにしているところであります。
この点に、過去の反省に基づき今回の学習指導要領改訂により児童、生徒たちの学力向上を目ざそうとする文科省の、意気込みも伝わって参りますが、勿論、それを進めていくのは各学校現場においてであります。
果たして、このような前倒し方針について、本県の学校現場において、うまく対応できるのかどうか、本県教育行政の過去の経緯から考えると懸念しないわけには参りません。そこで教育長に伺います。
まず、今回の学習指導要領改訂の内容の大枠について説明いただき、それが児童、生徒の学力向上にどう明確につながると判断されているのか、また、新学習要領の実施にあたっては学校現場でどのような条件整備が求められているのか、見解をお聞かせ下さい。
次に、前倒し実施についてであります。
学習指導要領改訂に伴い、前倒しで授業時間が増えるのは初めてのことのようですが、全面実施を円滑に進めるためにも前倒しに積極的に取り組まなければならない、と考えています。小学校高学年に導入される「外国語活動」については、各校の独自判断で実施されるなど先行実施については、学校判断によるものがかなりあり、学校間でバラツキが出てくるのではないかと気になるところでもあります。
県教委として、この前倒し実施についてどのような見解に立っているのか統一見解を示し、各学校に実施を促すべき、と考えますのでその抱負をお示し願います。
次にPTAについてお尋ねします。
アメリカでは古い歴史を持つ、このPTAも、我が国においては、第二次世界大戦後、連合国軍総司令部つまりGHQが教育民主化政策の一環として設立と普及を奨励したことから始まったと聞いています。
昭和二十五年には殆どの小・中学校にこのPTAが組織されたため、そのあまりにも早い組織化に、指導したGHQ自身が驚いたというエピソードが残っているようです。
しかしながら最近のPTAは、雑事が多く、また夜や週末の出事が多くて「役員のなり手がない」とか「PTA活動に参加する人が固定化し、会員ではあるがまったく参加しない人が大半」などが実情のようです。PTAによっては、特定の内容に限って活動を行ったり、活動にポイントを設け、活動参加に対するノルマ制を行うなどの例もみられるようです。
もともとPTAとは、自発的参加による社会教育団体と位置づけられているはずですが、入会時の意思確認をやっているところは皆無のようです。子供の入学とともに自動参加となるところから、PTAの主体性がそがれ、学校運営から派生する雑事を受け持つような例が多数見られるのではないでしょうか。
また、一部では事務局がサロン化したり、あるいは役員が一部の人に独占され、他を寄せ付けないムードを醸すなど、PTA自体に問題を抱えている面も大いにありそうです。
これでは、そもそもPTAとはなんぞや、とその存在意義が疑われかねません。
私たちは子供の幸福を願って、親と教師が共に学習し実践していく社会教育団体がPTAの役割だ、と考えています。また、その役割の重要性は今もいささかも変わりない、と考えています。
そしてこうしたことを総合的に判断すると、今大きな曲がり角に立っているこのPTAについて、やはり行政として新たな取り組みが求められているのではないか、と考えるところです。
そこで、教育長にお伺いします。
保護者がPTA活動の重要性を認識し、主体的に活動に参加するような新たな取組が必要だと考えますが、県としてどのような対策を講じられているのかお尋ねします。
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教育長答弁
(教育問題について)
学習指導要領改訂の大枠等について
今回の改訂は、自ら考える力や豊かな人間性等を育むという従来の理念は継承しつつ、これを効果的に実現するための手だてを確立しようとするものであります。具体的には、道徳教育の更なる充実とともに、学力調査で課題が見られる思考力等の育成を重視した上で、理数教育・体験活動の充実や、それを可能とする授業時数の増加等を図ったものであり、学力向上を図る観点からも新学習指導要領の着実な実施が必要と考えております。
そのためには、教師が子どもと向き合う時間の確保が重要であり、国への要望等により必要な条件整備を図って参る考えです。
新学習指導要領の先行実施について
新学習指導要領は、小学校では平成二十三年度から、中学校では平成二十四年度から全面実施されることになっていますが、学力向上等の課題に対応するため、理数教科等は先行実施し、その他の事項については可能なものから早期に取り組むこととされております。
このため、県教育委員会としては、管理職や教員・市町村関係者に対する研修会の開催等を通じて、こうした趣旨を徹底するとともに、各学校の指導体制の充実に努め、円滑な先行実施に取り組んで参る考えです。
PTA活動に対する県の取組について
PTAは、子どもの健全な育成に向け、主体的に学習し活動する団体であり、会員の参画意欲の向上が大変重要です。近年、社会環境の変化等により、活動へ参加する保護者が固定されているような現状も見受けられます。このため、全ての保護者が家庭での実践を行う「アンビシャスふくおか家庭教育宣言事業」の展開や各種研修会での指導・支援等に努めております。
今後さらに、授業参観等の学校行事とPTA行事を併せて開催するなど、多くの保護者が参加できる有効な事例の情報提供等を行い、PTAと連携し、積極的に推進してまいります。
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次に県立美術館の将来構想についてお尋ねします。
知事は、福岡県の今後の振興方針として、昨年の知事選挙に際し十四の基本政策を明らかにし、この中で「文化と芸術の振興」を基本政策の一つとしてあげられたことは、高く評価したところでありました。
とりわけ、芸術活動の拠点として、「新しい県立美術館の将来像や建替えについて検討する」と明言されたことは、大変心強く受け止めていました。
県立美術館は、本県の文化芸術政策の柱をなすものであります。新しい県立美術館の建設については、長年、美術関係者をはじめ多くの県民が望んできたことであり、従って昨年六月県議会で、我が会派が代表質問で今後の取組について知事の抱負をただしたのは当然の成り行きでありました。
現在は有識者による検討委員会が設置され、今年の夏を目途に県立美術館の将来像について報告が出されると聞いています。
県立美術館は本来、本県の文化の力を内外に示し、本県の芸術文化の振興の拠点となるべきものであることを考えれば、検討委員会に任せるだけでなく、知事自身が、美術館建設の意欲とそのコンセプトを県民に示し、その機運を盛り上げるべきであります。
雄県福岡にふさわしい、県民のみならず、全国から、また、アジアからの来訪者を魅了する美術館をつくるには、何よりも、知事の強い決意が必要であります。
知事は、このことに関してはっきりとした決意をいまだ表明されていませんが、検討委員会で検討が進められ、新たな県立美術館の方向性が定められようとしている今こそ、知事として、県立美術館建設について、明確な決意を表明すべき時期であります。
新しい県立美術館の建設について、知事の力強く明快な決意表明をお願いします。
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知事答弁
(県立美術館問題について)
県立美術館の将来構想について
県立美術館は、美術品を鑑賞する機会の提供や研究の機能だけでなく、県展等を通じて県内全域の県民の文化芸術活動を支援する拠点として重要な役割を担っております。
しかしながら、現在の県立美術館では、このような役割を十分果たすことができないため、検討委員会の報告を踏まえ、新しい県立美術館の計画を策定する必要があると考えております。
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さて、私は代表質問の最後に本県現職警官の不祥事について正しておきます。
去る五月十八日、戸畑警察署の五十六歳の巡査部長が、未成年に売春をさせていた罪で逮捕されたと新聞やテレビで大きく報道されました。
本来、取締りを行うべき側の人間が、未成年者に売春をさせていたなどということは、言語道断なことで、私自身、未だに信じられないというところでもあります。
ところで最近、この件をはじめとして警察に対する県民の期待と信頼を根底から揺るがすような不祥事が相次いでいます。これは大変気がかりで看過できないことであります。
新聞報道などにより、昨年五月に警部補が重機を使用した泥棒に捜査情報を漏らしてお金をもらっていたという事件から今回の売春関与まで数えてみますと、なんと一年間で逮捕者が五人も出ているようです。
不祥事は過去にも起きており、その都度、幹部の謝罪と再発防止宣言がなされてきました。しかしながら、減るどころか逆に増えているということは、単に一部警察官のモラル欠如といったことではないのでは、と想像させるものであります。
このままで本当に大丈夫か、という疑念とも心配とも言えぬ思いが湧いてくるのを止めようもありません。
一方、私は警察副委員長として、警察官の銘々が県民生活の安心安全のために命を懸けて働いている現場を見てきました。
また、警察学校卒業式では正義と信念に燃える新任警官の輝く瞳もつぶさに目にしています。
また、身を挺して凶悪犯と対峙し、事件を未然に防いだり解決して、いかに「警察」という存在が非常に頼もしいものであるかを痛感させられたことも数多ありました。
最近で言えば、福岡市博多区で発生したいわゆる「デリヘル」の運転手に対するけん銃発砲事件の犯人をスピード検挙した事例や、福岡市早良区で発生した連続通り魔事件の被疑者を早期検挙した事例、さらには佐賀県武雄市の入院中の消防団員を誤って射殺した犯人を、逃走先の路上で発砲されながらも素手で検挙したのもまた、福岡県警警察官であります。
一連の不祥事が、こうした純粋な現場のやる気や正義感に水を差し、県警一万有余人の士気が低下するようなことがあってはならないと、私は強い危機感を抱いております。
そこで、警察本部長にお尋ねします。
今回の警察官の逮捕をはじめとした、連続する警察官の不祥事をみて、福岡県の警察組織で今、何が問題なのか、そして、今後、警察官が不祥事を起こさないようにするために、どのように取り組まれるおつもりなのか、福岡県警察のトップとして、信頼回復に向けた力強い決意とともにお聞かせください。 |
警察本部長答弁
(警察問題について)
警察官の不祥事に係る問題点と発生防止に向けた取り組みについて
答弁に先立ちまして、まず、お詫びを申し上げます。
この一年間に、本県警察官の不祥事が相次いで発生していることは極めて遺憾であり、とりわけ今回の戸畑署員による児童福祉法違反並びに売春防止法違反事件につきましては、職員が深く経営に関与するなど極めて悪質な事案であると認識しております。
ここに県議会をはじめ県民の皆様に対し、深くお詫びを申し上げる次第であります。
それでは、ご質問についてお答えいたします。
県警察といたしましては、これまで、職務倫理委員会を設置し、職務倫理教養の充実と職員に対する身上把握・指導の強化等を図るとともに、採用試験制度の見直しを行うなど、様々な不祥事防止対策を講じてきたところであります。
しかしながら、これまでの取組にもかかわらず、不祥事が相次ぎ発生していることは、各種防止対策が形式的に流れ、職員の末端にまで浸透しきれなかったことなどの問題があったと真摯に反省しているところであります。
このため、現在、これまでの事案について、つぶさに検証を行っておりますが、例えば、身上把握・指導において「個人の私生活の領域にまでは、なかなか踏み込めなかった」などのことも浮き彫りになってきたところであります。
次に、再発防止に向けた取組についてでありますが、このような現状を踏まえ、直ちに緊急署長会議等を開催し、幹部の意識改革などを指示するとともに、職員の身上把握・指導の在り方等に関し、真剣な討議を実施し、組織を挙げて危機意識の共有を図ったところであります。
また今後、一連の不祥事が発生した背景に至るまで更に分析・検討のうえ、より実効性のある職務倫理教養や身上指導等を推進するとともに、職員が誇りと使命感を持って生き生きと職務に邁進できる職場づくりを行うための新たな検討組織を発足させることとしております。
最後に、県警察といたしましては、一連の不祥事を重く受け止め、再発防止に全力を尽くしていくことはもちろんでありますが、県民の皆様が安全・安心を実感できる地域社会の実現に向け、暴力団対策をはじめとする各種活動に、全職員が一丸となって取り組み、県警察に対する県民の負託に応えていかなければならないと強く決意しているところであります。
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