トップ > 政治トピックス > 自民党県議団代表質問
自民党県議団 代表質問 平成20年3月5日(水)

   2月27日(水)に開会した2月議会は3月5日(水)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

自民党県議団質問内容

 本編に入ります前に冒頭まずただしておきたい問題があります。それは、期限切れが迫っているにもかかわらず、今、なお決着を見ていない道路特定財源の暫定税率の維持・存続についてであります。
 今議会に提案されている来年度の本県予算案への影響をみましても、地方税及び地方譲与税で百六十九億円、地方道路整備臨時交付金で百八十一億円、合計で三百五十億円と聞き及んでいます。
 つまり、万一、暫定税率の維持・存続が否決などといったことが起きれば、大変なことといった言い方ではとても済まされないことは明らかであります。
 また、言うまでもなくこの暫定税率問題は、本県だけの問題ではなく、今、全国各地で新年度予算を審議している、日本の全自治体の問題であります。
 ことの推移によっては、取り返しのつかない、大変深刻な問題を惹起するのであります。
 知事においては、全国知事会の会長ということもあり、精力的な取り組みを行い、さる二月二十七日の提案理由説明でも明らかなように、我々と同じ思いでおられることは承知しています。それだけ、この場で改めて聞かなければいけない国政状況の進展のなさに、苛立たしさを感じるものの、情勢が情勢ですから、冒頭まず、知事の決意のほどをお伺いし、本編に入ります。

 最初に、まず、新年度の予算編成方針について歳入面からお尋ねして参ります。
 知事は、本二月定例会に平成二十年度の当初予算案を提出されました。
 予算規模一兆五千三百四十九億円、前年度比0.一%増。そのうち一般歳出は一兆一千七百四十六億円、前年度比0.二%増の伸びにとどまっており、かなりの緊縮予算であります。
 もっとも、平成二十年度の地方財政計画では、その規模が、八十三.四兆円、前年度比0.三%増、そのうち地方一般歳出は六十五.八兆円で、前年度と同額、伸び率は、0.0%でありますから、国の方針にほぼ歩調を合わせたものとなっています。
 しかしながら、まず、歳入について見てみますと、県税等の収入が二百五十三億円の減になっています。主な原因は、法人県民税、法人事業税のいわゆる法人二税の伸びが鈍化しているとのことでありますが、県税の中心を占める税であります。
 知事は、去る十二月議会で、十九年度県税収入の見通しについて、「今年度の税収規模は過去最高となるものの、当初予算を二百億円程度下回る見込みである」と法人二税を中心に予算割れの見通しを明らかにされました。
 直近の見通しでは、法人二税だけで二百億円を上回る減収、自動車関係税の減収を含めるとさらに巨額の減収になるようにも噂されています。
 このような状況を基礎に据えて、二十年度県税収を見込まれたものと推察しますが、地方財政計画では、都道府県税収全体では微減であるものの、都道府県の法人二税の伸びを二.六%増と見込んでいます。
 これに対して、本県の法人二税は、前年比七.七%の減となっています。景気変動を敏感に反映する税であるだけに、本県経済・景気の動向に暗い影が忍びっているのでは、と大変心配されます。
 その一方で、地方財政計画は地方の実情をとらえきれず、とかく大盤振る舞いになりがち。これを指針にしていたら、予算割れはあとを絶たないので、あえて「独自路線」を歩んだ、といった声が聞かれないでもありません。
 そこで、知事は、二十年度の県内経済・景気動向をどのように予想されているのか、また、主要税目ごとの収入見込み額について、どのような見通し・考え方に立って計上されているのか、ご説明願います。
 併せて、先程も述べましたが、十九年度の県税収入の見通しについて、十二月議会の際の予想よりさらに一段と厳しい情勢となっているように感じます。改めて減収規模や見通しを誤った理由、さらにその補てん策についてお示し下さい。明日には、二月最終補正予算案として県民の前に明らかにしなければいけないことですから、具体的かつ、納得のいく説明を願います。
 次に、地方交付税は二千六百四十七億円、前年度比八十一億円、三.二%の増、臨時財政対策債等は六百十三億円、対前年度比百九十二億円、四十五.六%増という異常に高い伸びになっています。
 来年度地方財政対策では、新たに「地方再生対策費」が歳出の特別枠として四千億円措置されることになっています。そのうち都道府県分は一千五百億円、市町村分は二千五百億円とされています。その財源として、市町村分は地方交付税で手当てされている反面、都道府県分は、当面、臨時財政対策債が充てられていると聞いています。
 すなわち、市町村のために都道府県分の地方交付税を減らして、その穴埋めに臨時財政対策債が充てられることになります。
 この影響もあって、臨時財政対策債の大幅な増加につながっていると拝察します。
 そんな中で、当初予算の交付税は前年度に比して八十一億円増額計上していますが、いささか額が大きすぎるのではないか。過大計上はないのか、その確保に心配ないのか、わかりやすい説明を求めます。
 また、臨時財政対策債は、後年度に元利償還金が一〇〇%交付税措置される地方債であるとしても、本県の借金であることに変わりはありません。来年度の地方財政対策では、久々に地方交付税総額が二千億円、一.三%増の微増になったとはいえ、地方にとって本当に迷惑であった近年の交付税削減の政府方針が根本的に政策転換されたと楽観できる状況にない、とマスコミは指摘しているところです。
 どこの自治体も頼りがちな後年度元利償還費の手当てが保障されている実質的な地方交付税であるというだけの理屈だけで、臨時財政対策債の大幅発行に踏み切ることに本当に問題はないのですか。将来的にわたる健全な財政運営に支障を生ずることにならないのか、一抹の不安を感じるのであります。この点について、知事の基本的な認識をお尋ねします。
 ところで、財政当局の事前の説明資料によると、「地方交付税等」の内訳として「臨時財政対策債等」を六百十三億円計上する説明がされています。しかし、正確には臨時財政対策債が五百十三億円、減収補填債が百億円であります。財政当局からすればどちらも「実質的な地方交付税」という感覚かもしれません。
 しかしながら、減収補填債は、個々の団体で見たとき、年度途中に、法人二税等の税収実績が交付税算定の基礎となった標準税収を下回ることになった場合、下回る部分の一部を補填するための措置です。
 元利償還費も七十五%が交付税算定上配慮されるにとどまるものです。
 こんなことは私が指摘するまでもなく、県当局は知事はじめ皆様方が十分知り尽くされていることでしょうから、あまり口はばったく言いたいことではありません。
 両者は、地方交付税に代わり地方財源の不足を補填する意味では似ていますが、基本的に性格を異にするものです。
 また、減収補填債は年度途中に発行を決定するのが通例なのではないですか。
 今回当初予算のように新年度早々から組み込むということは、来年度の法人二税等の税収が、地方交付税算定の基礎とされる標準税収に達しないことをあらかじめ宣言したことになります。今後の景気動向にかかわらず、あらかじめ県税収に一方的に上限を設定したということであります。そんなことで徴税努力が果たされるのでしょうか。七十五%が財源措置されるとはいえ、「等」という一文字でさり気なく予算計上する財政当局の姿勢は極めて問題であると指摘せざるを得ません。苦しい予算編成の収支の帳尻合わせを安易に行っていると批判されても甘んじるしかないような仕儀と考えますが、知事の見解をお尋ねします。
 次に、臨時財政対策債等を除く一般県債についてであります。
 一千三百三十七億円、前年度比二十億円、一.五%増となっています。県債については、近年の当初予算で前年度を下回る発行抑制が続いてきました。来年度はわずかとはいえ前年度当初予算を上回る結果となっています。
 県債残高は十九年度末には二兆五千三百億円にも達するものと見込まれています。毎年県債残高が累増するに伴い、その償還費が、機動的・弾力的な財政運営を図る上で大きな制約要因となっていることは云うまでもありません。
 さらに、先程も述べましたが、二十年度当初予算では、巨額の臨時財政対策債に加えて、減収補填債をあらかじめ百億円も計上しています。
 新財政構造改革プランでは、「県債残高の累増とこれに伴う公債費の増大は、将来の財政運営を圧迫する要因となることから、社会資本整備の重点化、効率化に努め、県債発行の抑制を図り、平成二十二年度には県債残高を減少に転換させる」と明記されています。云うまでもなく、新財政構造改革プランでは唯一といってよい具体的な目標であります。
 それだけに今回、一般県債の発行が久々に増加したことは、いぶかしさがつのるところです。いったい、その理由はどこにあるのか、端的にご説明願います。
 また、二十年度末には県債残高がいったいどの程度に達するのか。新財革プランでは同年度末二兆五千七百億円と計画されているところですが、果たして計画通りになっているのか、そうでないなら、計画期間内のプランの着実な達成が可能なのか。お答え下さい。
 そこで次に新財政構造改革プランそのものについて伺います。
 昨年六月に県が策定した、新財政構造改革プランにつきましては、人件費の削減により四百五十億円の削減を行うことなどをはじめとする合計二千百億円にのぼる改革効果をあげることを目指したものと承知しております。
 改革の内容には、建設事業の抑制や社会保障制度の抑制なども盛り込まれており、いわゆる格差の拡大が叫ばれるようになった今日、地域経済への悪影響や弱者切り捨てなどへの懸念の声がありながら、充実した財政削減努力を行おうという知事の決意には、敬意を表する次第です。
 しかしながら、いかに大胆な改革プランであっても、その基礎となる財政収支の見通しがいいかげんなものであっては、その意義は全く空しいものとならざるを得ません。
 平成二十年当初予算においては、県税等だけでもプランで示された収入見込みとの間に、すでに五百億円以上もの乖離が生じているようです。旧財政構造改革プランにおいてもそうであったように、早くも二年目から計画は破綻をきたしているような気がしてなりません。
 この理由として、政府の経済見通しが大幅に狂ったことを理由にあげておられるようです。この反省から新年度の税収見通しの大幅抑制と地方交付税の大幅増につながっているような気がしますが、いったい、県独自で経済見通し、税収見通しは作成できないものなのでしょうか。本県職員の能力は国の職員に比べて劣っているのでしょうか。
 全国知事会長の麻生知事のもとにある福岡県なら、このようなことも可能なことではないかと考えます。いかがでしょうか。
 まず、この点についての知事の評価と認識を伺います。
 次に、今後の収支不足が予想されるわけですが、新プランを放棄せずに、あくまでもこのプランの目標を実現すべく努力していくということであるならば、さらなる追加的な歳出削減が不可欠となってくるのではないかと考えます。
 しかしながら、先にも申し上げたように、建設事業の抑制や社会保障費の抑制をさらに行うことには無理があります。また、すでに旧プランの時点でも事業費の見直しは限界を来していたかと考えます。であるならば、さらなる人件費の抑制しかないわけであります。
 新プランを実現するためには、旧プランの際と同様に、給与カットの実施や退職手当の見直しが不可欠ではないでしょうか。知事の決意を伺います。
 県当局は、これまで二度にわたる給与カットを実施してきたのだから、三度目は不可能であるとおっしゃるかもしれません。しかしながら、北海道がこれまでの一〇%カットに続き平成二十年度から四ヵ年にわたり七.五%〜九%のカットを継続することを決定しているなど、全国の都道府県の大半は、給与カットや昇給延伸を行うことで、県民への負担を回避しているのです。
 これまで二〜三%のカットを実施してきたからもうカットはできないというのは、こうした全国の状況をわきまえない考え方と、受け止められても仕方ないのではないでしょうか。
 百歩譲って、給与カットという手法を採られないのであれば、より後年度の財政負担軽減の効果が高い、昇給延伸を行ってはいかがでしょう。知事のご見解を再度求めます。

麻生渡知事 答弁要旨


(知事の政治姿勢について)
 1.新年度の予算編成方針と財源確保など
 道路特定財源の暫定税率の維持について

 道路は地域の経済活動や住民の安全で安心な生活を支える最も重要な社会資本です。
 道路特定財源の暫定税率が維持されなければ、道路整備が困難になるばかりでなく、国民生活が混乱し、地方財政は危機に陥ります。
 このような事態を回避するためには、衆参両院議長の斡旋の趣旨を踏まえ、与野党が早急に協議を行い、関連法案を年度内に成立させるべきであります。このため、今後ともあらゆる機会を通じて強力に活動してまいります。







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本年の県内経済・景気動向について
   

 本県経済を主導している自動車など海外向け製品の生産活動は活発であり、また、企業の設備投資もなお引き続き好調であることから、本年一月時点における景気動向としては、一部に弱い動きがみられるものの、景気回復基調を維持しておりました。
 しかし、原油を始めとする原材料価格の高騰や円高により企業の収益は厳しさを増すとともに、最近ではアメリカ経済の減速も明らかになってきたことから、今後の本県の景気動向は予断を許さない状況にあると考えております。
 

 二十年度の税収見通しについて

 主力の法人二税につきましては、主要法人の聞き取り調査を行ったところ企業収益の伸びが鈍化しており、前年度当初予算を百七十二億円余下回っておりますが、前年度決算見込額と比較すると六十三億円余上回る額を計上しているところであります。
 個人県民税につきましては、税制改正の影響 等により前年度当初予算を五十九億円余上回る額を計上する一方で、地方消費税関連や自動車二税では、前年度当初予算を下回る見通しであります。


 十九年度の税収見通し等について

 税収規模としては昨年度よりも増加しておりますが、原油価格の上昇やサブプライムローン問題の影響等により主力の法人二税が見込みほど伸びなかったことから、県税全体で当初予算を三百十億円余下回る見通しであります。
  今年度の県税の減収に対しては、地方交付税 が当初予算を上回る見込みであることに加え、地方交付税の振替措置である減収補てん債を活用すること等により補てんすることとしております。


 地方交付税の当初予算計上額について

 平成二十年度の普通交付税は、十九年度当初予算に比べ、八十一億円の増となっておりますが、十九年度の交付決定額と比べますと〇.二%、五億円の増となっております。
 普通交付税の当初予算計上に当たりましては、法人関係税等の税収や各種経費について、地方財政計画を基に国から示された伸び率などにより見込んだところであり、計上額は確保できるものと考えております。


 臨時財政対策債の発行について

 臨時財政対策債の元利償還金については、その全額が交付税措置されるものであります。 
 しかしながら、臨時財政対策債は、地方交付税原資の不足から、地方団体において発行を余儀なくされているものであり、今後は、このような振替措置がなくなるよう、原資を増やすための取組を行っていく必要があると考えております。

 

 

 

 

 


  
 減収補てん債の予算計上について

 減収補てん債は、法人関係税等が、地方交付税算定上の額を下回る見込みとなる場合に、その差額を補てんするために発行するものであります。
 平成二十年度当初予算においては、地方財政計画における法人関係税の伸び率が高いため、本県の収入見込額が、交付税算定上の収入見込額を下回る状況となっており、現段階で発行が見込まれる額を計上したものであります。
 税収の確保は、どのような場合においても重要でありますので、今後とも一層努力して参る所存であります。



  

 

 

 

 

 

 

 


  
 一般県債の発行の増加理由について

 臨時財政対策債等を除く県債については、新財政構造改革プランに基づき、建設事業費における県負担額の抑制を通じ、発行の抑制に努めているところであります。
 平成二十年度当初予算では、前年度に比べ二十億円の増となっておりますが、この要因は、九州新幹線整備に係る県債が前年度に比べ四十九億円増加したことによるものであります。
 しかし、これは事業計画の前倒しに伴うものであり、二十一年度以降の発行額は減少する見込みであります。

 平成二十年度末の県債残高と新財政構造改革プ
 ランの達成について

 
 平成二十年度当初予算をもとに年度末の県債残高を見込みますと、二兆六千二十一億円となる見込みであり、プラン策定時における推計を上回っております。
 これは、地方税の偏在是正のための地方法人特別譲与税が交付されるまでのつなぎ的措置として、臨時財政対策債が市町村の肩代わり分も含めて大幅に増加したことや減収補てん債の発行を見込んでいることなどによるものであります。
 今後とも、プランに沿った計画的な公共施設の整備を図りながら、県債の発行抑制に努め、平成二十二年度には県債残高を減少に転換させる考えであります。
 

 

 


 

 

 


 県独自の将来の税収及び経済見通しについて

 新財政構造改革プランの策定にあたっては、法人事業税については、主要法人に将来の税収見込額の聞き取り調査も実施いたしましたが、翌年度以降の中期的な税収額を見込むことは困難との回答がほとんどでありました。
  また、地方消費税などは、県内だけではなく 全国の経済動向に大きく左右されるため、本県独自で将来の詳細な税収見通しを行うことは困難な面があることから、政府の経済見通しを採用したものであります。
  経済見通しを本県独自で行うとすれば、固有 の経済モデルを策定することが不可欠ですが、これは、現実的には膨大な作業と知見を要するものであり、一県で作成することは難しいと考えております。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 人件費の抑制について
 
 少数精鋭体制の確立に向け、計画的に職員数の削減を実施しているところであり、給与面では、給与曲線のフラット化や給料表の各級の最高限度額の引き下げなどにより、年功的な給与上昇を抑制する給与構造の改革に取り組んでいるところです。これに伴い、退職手当につきましても、計算の基礎となる額が下がるなどの見直しを行っております。
 この結果、二十年度当初予算の給与費は、前年度に比べ四十五億円の減少となっております。
 現時点では、こうした取り組みを給与カット等に優先して実施しているところであります。

     


 次に、国の地方出先機関見直しについて、地方から実現を図ることについてただしておきます。
 先に、知事が会長を務めている全国知事会が「国の地方機関の見直しの具体的提言」のとりまとめを行ったこと自体については、地方からの大々的なメッセージの発信として大いに評価しているところです。とは申しながらも、提言の内容については、第二期分権改革期間に限ったことという前提もあってか、いささか目先の損得勘定にとらわれて大局観に欠け、受身的で不十分な提言だと指摘せざるを得ません。
 全国知事会の提言でも触れられていますが、国の地方出先機関の廃止・整理及び地方への移譲は、行革による行政コストの大幅カットという効果を生み出すだけではないはずです。国全体で見て、より低コストで、より国民に開かれ、より住民ニーズに的確に応え得る体制で、国民への行政サービスを提供していくことも可能になる。また、地域の個性や特色を生かした魅力的な地域づくりが全国で行えるようになり、地域活性化につながる、と考えるべきであります。
 例えば、地方厚生局や知事も勤務されたことがある地方経済産業局の廃止などにより、二重行政の弊害を是正し、より低コストで迅速に行政サービスを展開することが可能になるはずです。
 国の厚生行政は、健康づくり、医療、福祉の各施策が縦割りの行政になっています。それだけに、それぞれの地域のニーズにあった運用がなされているとは到底、言い難い状況にあります。 
 例えば、食品衛生法に基づく事業所の承認を地方厚生局が行っています。しかしながら、実際の承認に際しての現地調査には都道府県や保健所設置市の同行を求めるなど、事務が煩雑で手続きに時間を要するとこは、これまでもしばしば指摘されてきました。地方厚生局の廃止と業務の移譲がなされれば、都道府県はすでに行っている営業許可等の事務と一元的に事務が処理でき、事業者にとっても窓口が一本化し、承認機関が短縮され利便性が向上する、これこそ、今、国民が最も求めている住民により安全で安心な食が提供される消費者行政の確立につながるはずです。
 また、経済産業局においては、中小企業の経営基盤の強化や経営革新の促進を図るという名目で、相談窓口の設置等の中小企業への支援を実施していますが、地方も同様の事業を実施しています。いわば二重行政の極みともいうべきことです。経済産業局を廃止し、中小企業への支援策を地方が一元的に取り組めば、中小企業としては、ひとつの窓口を通じて適切な支援を迅速に受けることができ、地域経済の発展に資するものと考えています。
 国としても、その仕事を防衛や外交、対外経済交渉、薬事行政など国の安全にかかわる仕事により力を注いで専門特化させること、いわば、夜警国家的な小さな政府にすることが求められているご時世でもあります。地方出先機関の見直しは、住民にとっても、地方にとっても、国にとってもよいものであるはずです。そこで、重要な政策課題であるとの観点から、次の三点について質問します。
 一点目は、全国知事会長として、この度の提言をいかに評価しているかについて尋ねます。全国知事会の提言は、約二十一万人が働いている国の出先機関のうち、九万人強が携わる仕事を洗い直して、五万人強を地方が受け入れるというもの、と聞いています。しかしながらこの提言内容については、知事会内部でも慎重論が相当あり、一部の知事から「原案が相当後退した」との指摘があったとの報道もあっています。知事会長として、提言に対する評価をお聞かせ願います。
 二点目は、今後の地方出先機関の改革の具体的進め方についてお尋ねします。この度の提言においては、二十一万人の地方出先機関の全てを対象にしていないことに加え、国の補助金行政の見直しなどの国の関与の見直しについても言及されていない。国に対し更なる提言を行うべきであるし、またその際には、法令の規定の緩和や税源移譲を伴うよう具体的な提言を行わないと、進展しない国の行革の尻拭いを地方に押し付けられて終わってしまうことを危惧します。今後、いかに国と対峙していくのか、具体的な取組み方策をお聞かせください。
 三点目は、国民の理解を得るための取組みについてであります。国の地方出先機関の見直しについても、国民の運動や世論を喚起し、改革の必要性を呼びかける必要が勿論あります。成功するかどうかは、国民世論を味方につけるか。いかにしてこれを動かすか。まさにこの点にかかっていると思います。国の出先機関の廃止によって、住民が真に求める的確な行政サービスが行われるという、具体例を分かり易く住民に伝えることが重要だと考えます。具体的な世論喚起策についてお聞かせ頂きます。
 


(国の出先機関見直しについて)










 全国知事会の提言の評価について


 出先機関の見直しを提言するにあたっては、財政力や抱えている課題などが地域によって異なる中で、現実を踏まえた慎重な検討を行い、今後検討すべき具体的な論点を明らかにしておくことは当然必要なことであります。
 今回の提言は、こうした議論も踏まえた上で、「地方でできることは地方で」という基本的な考え方のもと、取りまとめたものであります。
 全国知事会の総意として、検討対象とした十七機関のうち十三という多くの機関を廃止・縮小できるという結論に到ったことは、大きな成果であります。
 また、出先機関の見直しにより、地方へ移譲する職員数や財源等について具体的に試算を示すことで踏み込んだ提言にすることができたと考えています。



  


  








 今後の取組み方策について
 
 国の出先機関の見直しについては、先月二十八日の経済財政諮問会議に全国知事会長として出席し、提言を行ったところです。この会議において、今後、地方分権改革推進委員会がさらに検討を深め、年内に勧告を行い、平成二十年度中に政府として計画を策定することが確認されました。
 今後とも、推進委員会の勧告等に、地方の考え方が十分盛り込まれるよう積極的に提言を行ってまいります。
                   
                                     



  


  






 国民の理解を得るための取組みについて

 国の出先機関の見直しは、行政サービスをより住民に近いところで行うという地方分権改革の推進、二重行政の解消による国と地方の行政経費の削減、更にはこれらにより国が国本来の役割に専念できるという、三つの効果を持つ極めて有効な改革手段であります。
 こうした見直しの効果について、各知事がそれぞれの地域において、周知に努めることにより、国民のより広範な共感と支持が得られるよう全国知事会として取り組んでまいります。  
 併せて、各自治体が政策立案能力を高め、国民が地方分権の良さを実感できる取組みを進めることが重要であると考えています。
  



  


  


 次に、公益法人改革問題についてお聞きします。
 今議会に福岡県公益認定等審議会条例案が提出されております。
 これは、公益法人改革関連三法により現行の公益法人を改めて審査していわば、ふるいにかけ、引き続き新制度のもとにおいても公益法人として存続することを求める法人については、公益認定し直すための審議会の設置条例だと聞いております。
 もともと公益性の判断基準が不明確なまま旧民法以来今日まで約百十年にわたり、この公益法人制度が続いてきました。
 この結果、かつては公益性が高いとみなされて、公益法人として認可されることが何ら不思議でなかったものの、今日では、営利企業と競合する事業を手がけているところが、なぜ、公益法人として存在するのか、疑問が向けられている例が少なくありません。例えば、本県でも、ゴルフ場等の経営を公益法人が手がけているなどの例があり、公益のその趣旨に照らしあわせたとき、いかがなものか、疑問を抱かざるを得ない例が生じていることは、私たちも承知しています。
 また、かつてマスコミを賑わしたKSD騒動の時のように、そもそも「公益法人」とはなんぞやと、国民に深い疑念をもたらした事件があったことも十分承知しています。
 しかしながら、多くの公益法人は営利事業ではなかなか手がけにくい分野、例えば教育、文化、芸術、福祉を中心とした分野などで、まさに公益の趣旨にそった活動を続けていると判断しています。
 従って、今回の公益法人改革がこうした公益法人本来の目的に沿って活動を続けている団体について、その趣旨や真摯な活動等その内容に反し、勝手に公益法人格をはずしたり、その活動を狭めたりするなどの無用の介入を許すものであってはもちろん許されないことであります。
 公益法人にふさわしいかどうかを改めて認定する審議会の役割には極めて重要なものであり、公益認定の基準づくりについては、よほど慎重さを要すると思っているところであります。

 そこで、これまでどのような基本的考え方に基づいて準備がなされてきたのか、また、基準づくりについては、県民に開かれたものであり、内容に県民の誰もが納得できるものでなければいけないことは当然なことだと思いますが、その所信のほどをお示しください。

 次に新制度の施行は本年十二月一日だと聞いていますが、新制度への円滑な移行に向けてのスケジュール並びに審議会の活動スケジュールはどのようになっているのか、具体的にお示しください。
 次に、もともと県下には今回、審査を受けるべき公益法人がいったいどのくらい存在するのでしょうか。また仮に公益法人の再認定が受けられなかった場合、その法人の取り扱いはどのようなものになるのでしょうか。

 あわせて説明願うとともに、いずれにしましても新制度移行に向けては関係法人だけにとどまらず、広く県民に必要な情報が的確に伝えられる広報PRが欠かせないと考えています。その対応についても、お聞きします。また、私たちが認識する以上に重要な今回の公益法人改革だと思いますが、それにしては計上予算は極めて僅かであります。
 これで適切な対応が可能なのか、これらの諸点について知事の明解な説明をお願いします。
 併せて知事の新社会づくりの中で、新たな公益法人改革をどのように位置づけするのか、基本的な考え方を明らかにするよう求めます。

 


(公益法人改革について)
 新制度への準備と認定基準づくりについて

  
 今回の制度改革は、公益法人の基本的な枠組みを抜本的に見直すものであり、既存の法人が円滑に移行できることが重要であります。
 このため、平成十八年度から、法人向けの説明会を開催するなど情報の提供に努めてまいりました。
 また、県の公益認定の基準については、公正で明確な内容となるよう、国の認定基準との整合を図りながら策定するとともに、パブリック・コメントを実施し、県民の皆様のご意見を伺ってまいります。

  

 新制度への移行及び審議会活動のスケジュールについて
  
 来年度に示される国の認定基準との整合を図りながら、法施行に向けて県の認定基準を策定いたします。
 また、公益認定に当たって諮問を行う審議会を設置しますが、認定基準についての意見も聴いてまいりたいと考えております。
 審議会は、法の施行から五年間は、既存の公益法人が新制度へ移行するための期間とされておりますので、おおむね二か月に一度の割合で開催し、円滑な認定に努めてまいります。



 県内の公益法人数と公益認定されなかった場合の取扱いについて
  
 現在、福岡県が所管する公益法人は六百二十九法人であります。
 公益認定を受けられなかった場合であっても、五か年の移行期間内であれば、基準に適合するよう改善をした後に、再度申請を行い、認定を受けることができますし、また、一般法人への移行認可申請を行うこともできます。

  

 新制度に係る広報と予算について
  
 今回の改革は、公益法人の健全な発展を促進する観点から行われた大幅な見直しであることから、公益認定の基準をはじめとする新制度の内容について、県民の皆様に十分に周知してまいります。
 併せて、既存の法人に対しては、新制度への移行のための手続について、引き続き、情報の提供を行うとともに、個別の質問や相談にも適切に対応してまいります。
 また、予算については、直接的な経費として、審議会の運営に要する経費を新たに措置しておりますが、広報や事務的な経費については、別途計上している県の広報予算などを活用してまいります。

  

 新社会づくりにおける公益法人改革の位置づ
けについて

  
 行政ニーズの多様化などに対応するため、NPOなど「新しい時代の公」を担う多様な主体が活躍する社会づくりが重要となっており、公益法人はその主体のひとつであると考えています。
 このたびの改革により、法人運営の適正化が一層求められるとともに、寄附税制など税制上の優遇措置がより高められるなど公益法人の活動の健全な発展が促進されるものであることから、公益法人改革は、新しい社会づくりに寄与するものと考えています。
 

 次に、乳幼児医療、母子家庭等医療、重度心身障害者医療、いわゆる県単独公費医療費支給制度の見直しについてただします。
 このたび、乳幼児医療費を修学前まで引き上げるなど、助成対象の拡充を行うとともに、一方、定額自己負担や所得制限の導入も図られています。そこでまず今回の見直しの基本的考え方をお尋ねします。
 次に各制度についてでありますが、まず、乳幼児医療費助成制度についてお尋ねします。
 我が会派は先の十二月定例会におきまして、公約はすでに実施すべき時期に来ていると早期実施に向けて、知事の決断を促しました。
 これに対し、決意表明とも受け止められる見解を、この県議会を通じて県民に明らかにされました。
 そして今回の改正を見ると、子供を育てやすい環境を整備するため通院対象年齢が義務教育就学前まで拡大されており、少子化対策として意義あるものだと受け止めております。
 しかし一方で、三歳以上については定額自己負担制や所得制限が導入されておりますが、これを三歳以上に導入されるのはどのような考えに基づくものなのでしょうか、県民にも分かり易くその見解をお示しください。
 次に、母子家庭等医療費助成制度についてお尋ねします。
今回の見直しでは、新たに父子家庭を助成対象とされています。その深刻さの度合いには、母子以上のものがあったとしても、とかく父親には経済負担能力があるとみなされて、今日まで父子家庭への福祉政策配慮がなされてきませんでした。ですから、この点については評価いたします。
 しかし、その一方で、一人暮らしの寡婦をこのたび助成対象から外されておりますが、その考えをお示しください。
 また、医療に関わらず、いづれの制度についても言えることですが、助成廃止に伴う急激な負担増は避けるべきであると考えます。
 何らかの措置を取る予定があるのか、知事の見解をお示しください。
 次に、重度心身障害者医療費助成制度についてであります。
 医療費の自己負担額を気にすることなく必要な医療を受けることができるこの制度は、県単独事業として昭和四十九年に制定されて以降、重度障害者にとって非常に有意義な制度となって今日に至っていると聞いています。
  現在、福岡県では約六万三千人の身体・知的の重度障害のある方々がこの制度の対象者として経済的な負担を軽減され、必要な治療を受けることができているようです。
  このように、重度心身障害者医療制度は、障害者の方が安心して医療機関に受診できる制度であります。
  さらに、平成十八年四月に施行した障害者自立支援法では、今まで、身体障害、知的障害、精神障害に分かれていた障害者施策を一元化しました。このような状況の中において、精神障害者がこの重度心身障害者医療の対象になるよう見直しをされたことは評価するものであります。
 ところで、この制度は、創設時は六十五歳以上の重度障害者については、老人医療費支給制度において自己負担がなく、いわば全額無料制度でしたから、この重度心身障害者医療制度の対象者からは除外されていました。
こうしたなか、昭和五十八年に老人保健法が施行されるとともに定額制の一部負担金が導入されたため、この自己負担部分を助成するために六十五歳以上の重度障害者も、この障害者医療の対象者となり、自己負担が無料となって現在に至っている経過があります。
 しかしながら、今回の見直しで六十五歳以上の方からも一定の自己負担を求めることになっているようです。その考え方について、具体的にお聞かせください。


(医療費の県費負担制度の見直しについて)



 県単独医療費助成制度見直しの基本的考え方について

 
 昨年、多くの県で前年に比べ出生数が減少する中、本県はその増加数、増加率ともに全国第二位でありました。
 この機会を逃すことなく、子育て家庭への支援の一層の充実を図るため、乳幼児医療費の助成拡大を行い、併せて父子家庭や精神障害者まで助成を拡大するものであります。
 また、受益と負担の均衡や世代間の負担の公平化を図り、限られた財源の中で持続可能で安定的な制度とするものであります。


    
 乳幼児医療費助成制度における三歳以上の取扱いについて
 
 この制度の目的は、乳幼児の疾病の早期発見・早期治療を促進するために、保護者の経済的負担の軽減を図るものであります。
 今般、通院にかかる助成対象を拡大することに併せ、受益と負担の均衡などの観点から、所得制限や定額自己負担制を導入するものであります。
  



   
 一人暮らしの寡婦への助成廃止について
 
 限られた財源の中で新たな課題に的確に対応していく必要があることから、寡婦の方々に対する助成制度の全国的な状況も勘案して、この制度を廃止し、時代の要請に応えた子育て支援の充実に振り向けることとしたものであります。
 また、助成の廃止に当たっては、二年間の経過措置を設けることとしております。  
 母子家庭や寡婦の方々に対する支援については、就業・自立支援センターの増設や機能の充実、さらには合同企業面談会を新たに実施するなど、就労支援の充実に取り組んでまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 


 六十五歳以上重度障害者の自己負担について

 重度障害の方々に対する医療費助成におきましては、障害者間の格差を是正するため、対象を精神障害者にも拡大することとしております。
 一方、世代間負担の公平化や高齢化の影響による医療費の増加などの課題を踏まえ、六十五歳以上の方にも一定の負担をお願いし、今後とも持続可能で安定的な制度としたいと考えております。
 障害者福祉施策につきましては、自立支援のための各種の臨時対策事業や就労支援の強化などに取り組み、より一層の充実を図っているところであります。



 次に、農政問題について伺います。
 世界的な原油価格や穀物価格の高騰により、農業では生産コストが上昇し、農家は所得の減少に苦慮しながらも更なるコスト削減に努力しています。
 このような状況の中で、特に畜産においては、大きな影響を受けています。農業関係の金融機関が昨年末に行った九州の取引先農家に対するアンケート調査では、前年に比べ資金繰りが苦しくなったとの回答が七割近くに達しており、生産調整が実施されている酪農においては特に顕著となっています。
 我が会派は、六月議会から、継続して畜産における窮状とその対策について訴えてきました。それほど、今回の高騰は異常なものであり、特に酪農家の困窮ぶりは新聞紙上に毎日のように掲載され事態は深刻です。
 平成十八年十月以降で一トンあたり約一万五千円上昇するという、飼料価格の高騰に対しては、飼料価格安定制度により、一時的に値上がり分の負担が軽減されました。
 しかしながら、価格が高止まりしている状況では、残念ながら廃業する農家も出てきています。
 このような状況の中で、飼料を自分で作って出来るだけえさ代を減らし、経営改善に努めようという農家が増えつつあります。
 新年度に向けて、県でも新たな対策を打ち出すようですが、それだけで農家の窮状は打開できるのか疑問です。米の生産調整においては、昨年の米価下落を受けて、目標達成への取り組みが強化されている中で、飼料作の拡大も有効であると考えます。
 これを含め懸命に努力する農家に対する今後の支援策について、お答え願います。
 次に、昨年から品目横断的経営安定対策などの農政改革が開始されました。
 しかしながら、豊作にもかかわらず麦の交付金が今までの制度より目減りしたこと、対策の仕組みが分かりにくく事務が膨大なこと、さらには米の過剰作付け等により米価が下落したことなどにより、農家から大きな不満の声が上がりました。このため、昨年九月には議会への要請を受け、国に意見書を提出したところです。
 年末には千百十一億円の見直し予算が示され、対策の名前が水田経営所得安定対策と変更されるとともに、面積要件なども見直され、農家にとって取り組みやすい制度になったのではないかと考えます。
 しかしながら、この見直しによって農家は麦を作る意欲を取り戻したのかどうか、また我が県が今後も小麦の主産県としての地位を維持していけるのか気になるところです。
 地域によっては作付け面積が減少しているところもあると聞きますが、水田の割合が高い我が県の農業を安定的に発展させるには、水田農業の振興が不可欠です。
 主要作物である米については、消費量の減少傾向に歯止めがかからず、また一等米比率の低下が問題となっています。また、小麦は主にうどん用の需要を既に満たしているため、メーカーとの契約量に拡大の余地がないという課題も抱えているようです。
 そこで、知事にお伺いします。様々な課題を抱える本県の米、麦の生産振興策について、どのように進めていかれるのかお答え願います。
 最後に部の統合について伺います。
 十二月議会で本庁組織の再編案が決定され、四月からは農政部と水産林務部が統合することとなりました。第一次産業を一つの部で統括し振興していくことになります。
 しかしながら、産出額で農業は約二千億、水産業は約三百億、林業は約百億と大きな開きがある部門を、一つにまとめて振興していくのは容易なことではないと考えます。
 農業にあっては、時あたかも農政改革三対策がスタートし、原油や穀物の価格高騰で現場の農家の心も不安に揺れているこの時期での統合であり、農政の停滞は一瞬たりとも許されない状況であります。
 統合後は農・林・水の横断的な取り組みが増え、効果が上がる分野もあると思いますが、産出額で大きな開きがあり、埋没する分野も出てこないとは限りません。全ての分野に目配りできるようなしっかりとした組織を作り上げることが肝要です。
 そこで、農林水産部としてのスタートの年に当たって、農政の主要な取り組みに関して、以下の項目について伺っていきます。
 まず、第一に後継人材育成室を新設し、第一次産業が抱えている共通の課題に対応していくことになっています。現在、農業分野では新規に就農する人は年に百五十人程度しかいない状況の中で、今後の農業後継者の育成について、どのような考え方を持って取り組んでいくのか、そのためにどのような施策を実施していくのかあわせて伺います。
第二に輸出については、国も積極的に推進しており中国への米の輸出は今のところ順調と聞きますし、県の農産物輸出額も八億円となっています。
 しかしながら、検疫や関税等の障壁がある中で、農産物の輸出を更に拡大していくことは容易ではないと懸念しています。
 仮に、今日、国民に大変な心配と不安をもたらしているギョーザ事件のようなトラブルが発生しても良識のもとでこれが解決される友好関係を築くことであります。こうした観点に立つならば、県として中国の担当者を招き入れるなど、平素から互いに理解と認識を深めておくべきです。
 仄聞するところによりますと、この秋にも九州大学九州沖縄研修センターと中国農業科学院が、本県でシンポジウムを開催されるようですが、県としてもこれに深い関わりを持つことが今後の発展につながるのではないでしょうか。踏み込んだ見解とともに、そのような困難な課題に県として輸出促進室をつくってまで取り組む理由は何なのか、輸出促進室の設置が、本県農業の構造改革にどのような影響をもたらすと読んでおられるのか、具体的輸出目標額と併せて説明願います。また、輸出を促進するための新しい施策についてお聞かせ下さい。
 第三に食の安全・安心については、消費者の関心が高く生産サイドの取り組みが重要です。今回の部の統合によって、農・林・水産物を生産から流通まで一貫して指導できる体制が整備されたといわれていますが、本当にそうでしょうか。今後、県産農産物の評価を高めるため、安全な農産物の生産や信頼される表示について、新しく設置される農林水産物安全課ではどのような取り組みをするのかお答え下さい。
 統廃合により新設された部を運営していくうえでは、恐らく予期せぬ大変難しい問題も出てくると思われます。宮城県は平成十一年に農政、水産林業に商工労働の三部を一度に一部にしましたが、無理があったようで再び二部に戻されているようです。
 新しい部が統合をプラスの要素として成果を上げ、農林漁家の期待に応えていくためには、何よりも農林水産行政に携わる県職員の士気を高めることであります。単なる機構改革に終わることのないように心から要望してこの項を終わります。

(農政問題について)




 酪農家に対する今後の支援策について


 自給飼料を増産するため、飼料作物による転作の拡大に取り組む地域への「産地づくり交付金」の上乗せを行うとともに、農家と連携した飼料生産受託組織の育成を進めてまいります。
 また、担い手への生乳(せいにゅう)生産枠の流動化を促進するとともに、畜舎の改造などの生産性向上対策や牛乳の消費拡大などを推進し、酪農家の所得向上に努めてまいります。














 

 本県の米、麦の生産振興策について

 米、麦の担い手が安定した収入を確保し、生産意欲を高めるためには、作業委託の促進などによる農作業の集約化を図るとともに、消費者に高く評価される米、麦づくりを一層進めることが重要であります。
 米では、温暖化にも負けない美味しい品種の開発や減農薬栽培などの取り組みを拡大して参ります。また、麦については、本年度開発したラーメン専用小麦が高い評価を受け消費されるよう、製粉業者等と一体となり普及定着を進めて参ります。
















  

 今後の農業後継者の育成について

 将来の県農業を支える高い「経営力」と「技術力」を備えた後継者を育成するため、積極的に人材を発掘し、年間二百名を目標に就農する仕組みづくりを進めて参ります。
 このため、地域ぐるみの就農支援体制の整備を進めるとともに、農業高校生を対象にした「農企業体験」、新規参入者やUターン者の実践研修などを実施し、農業後継者の育成に努めて参ります。


  

 輸出促進室を設置し輸出に取り組む理由について

 輸入農産物の増加や国内価格の低迷が続く中、県産農産物の販路を拡大し、県内生産者の所得向上を図るためには、近年経済成長著しいアジア等をターゲットに輸出促進に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このため、輸出促進室を設置し、本県の美しくて、美味しい、高品質な農産物の更なる輸出拡大に努めて参ります。
 また、今後貿易を円滑に進めるためには、中国をはじめ各国の関係者との相互理解を深めることも必要だと考えております。




 輸出促進室設置による県農業構造改革への影響と輸出目標額について

 県産農産物が海外で高い評価を得ることが、国内での評価を更に高め、農家の生産意欲の向上につながることとなり、ひいては競争力ある産地づくりが進むものと考えております。
 輸出額につきましては、当面、県農業・農村振興基本計画の目標である平成二十二年度に二十億円の達成を目指して参ります。



 
 輸出促進のための新しい施策について

 これまで香港などに対して関係団体が品目ごとにそれぞれのルートで輸出を行ってきましたが、今後飛躍的に輸出拡大を図るためには、国毎や品目毎に個別に培われてきた輸出のノウハウを総合的に活用していく必要があり、新たに自ら輸出を行う専門組織の立ち上げを支援して参ります。



 
 農林水産物安全課の取り組みについて

 これまで農・林・水それぞれで実施してきた食品表示の監視・指導業務の一元化や、新たに加工業者を対象にした表示制度の啓発と指導の実施などにより、「適正な食品表示」への取り組みを強化して参ります。
 また、農薬の適正使用の徹底や、減農薬・減化学肥料栽培による認証農産物の生産拡大など、消費者から信頼される本県農産物の提供に努めて参ります。


 本県では、この四月から、森林環境税による荒廃森林再生事業がスタートします。この新税の創設と、その税収による森林再生の手法は、全国で既に二十三県が手がけていますが、小規模なものにとどまっているようです。 これに比して本県が手がけようとしている再生面積は、県下の全荒廃面積に及ぶとかで、全国に例がない規模だと聞き、果たして現実にそのようにうまく事業が進むものかどうか、いささか懸念がないわけでもありません。
 そこで、この事業を十分に発展させるためにも、何点かただしておきます。
 まず、本県での荒廃森林再生面積についてであります。県は、全面積を手がけるとされているようですが、改めてその規模と対象となる市町村、並びにその土地所有者について説明願います。
 次に、荒廃森林所有者に対するいわば私権の制限についてであります。手入れを放置した所有者に代わって、税で間伐等の再生事業を実施する以上、当然、所有者にはその代償を求めることが必要となってきます。どのような措置が考えられているのでしょうか。
 僅かとはいえ、年間五百円を県民全体から税として徴収し、その税収によって、山林所有者の言ってみれば私的財産の形成にもつながる事業を代わりに行うわけですから、当然県民の理解と納得のいく措置があってしかるべきであります。
 次に間伐材の処理についてであります。間伐された木材は搬出に経費が嵩むところから、普段から間伐等を手がけて、森林を熱心に育成されている森林所有者でも、通常は林地内に放置されているケースが多いと聞いています。
 こうしたなか、今後この再生事業で間伐を進めていった場合、この材はどのように取り扱われていくのですか。新たに間伐材の放置を生むような結果になったのでは、元も子もないことになってしまいます。
 詳しくお聞きしておきます。
 

 
(森林環境税問題について)
 荒廃森林再生事業の規模について


 この事業により再生する荒廃森林の面積は、 県内の人工林約十三万ヘクタールのうち、約二 万九千ヘクタールであります。
 これらの荒廃森林は、県内六十六市町村のう ち、六十市町村に存在し、その森林所有者は、 約二万人になると見込んでおります。



 森林所有者への措置について

 この事業で再生した森林は、水源かん養や土砂流出防止などの公益的機能を長期間にわたって発揮させる必要があります。
 このため、二十年間、手入れ以外の森林の伐採などを禁止する協定を森林所有者と締結することとしております。
 また、森林の所有権を移転する場合には、協定内容を承継することを義務づけております。
 さらに、森林所有者が協定に違反した場合には、違約金を徴することとしております。 


 間伐材の取扱いについて

 荒廃森林から生じる間伐材は、曲がり材などが多く、建築材としての利用価値が低いことから、林地(りんち)の保全に利用すると ともに、災害復旧 工事などの公共事業の資材としても活用して参ります。
 さらに、平成二十年度から新たに実施する「木質バイオマス供給システム開発事業」により、間伐材を化石燃料に代わる燃料として活用を図るため、効率的に収集、運搬するシステムや燃料に加工する技術について研究を行って参ります。     
    

 次に教育問題に入ります。
 まず学力問題についてお尋ねします。
 本県児童生徒の学力レベルが問われた全国学力・学習状況調査の結果については、「福岡県検証改善委員会」が、先月二月に分析結果の報告を県教委に行っています。
 既に、いかにして学力回復を図るかという新しい段階に入っていることは十分認識していますが、それにしても全国平均さえ下回った我が福岡県の結果については、憂慮の念を表明するところであります。
 そこで、分析結果の報告にもとづき何点か問題点を指摘します。
 まず、この報告から見て言えるのは、本県の大きな課題は地域間で学力格差が大きいということではないでしょうか。
 県内を各教育事務所と両政令市を併せた七地域で正答率を示されておりますが、最大で十三.六ポイントも差が開いています。
 国の実施要領により公表が控えられていますが、もし市町村ごと、あるいは学校ごとにその結果が示されていたのならば、格差はさらに明らかになっていたはずです。
 これは義務教育ということからすれば非常に問題ではないでしょうか。
そこでまずはじめに、この「福岡県検証改善委員会」の分析結果の報告について、教育長の総合的な見解をお伺いします。
ところで今回の調査結果については、平均正答率が低い地域においても、正答率が高い学校があったと聞いています。しかも、そうした学校では、概ね教職員が自分の学校の課題を的確に捉え、組織的に一体となって学力向上の取組みを行っていることが、子どもの成績に繋がっていた、とも聞いています。
 まさに教育の原点が教師にあり、最も大切なことは教員の資質を向上させ、更なる指導力を身につけさせることがこの結果に示されていると考えるところです。
 日暮れて道遠しのごとくではありますが、児童生徒の学力を高めるためには、地道に教員の指導力の向上に取り組むべきであります。
 そこでこの件に関して、教育長の考えを改めてお示しください。
次に学力調査と学習状況調査との相関分析についてであります。
今回の分析結果の報告からでは、「朝食を毎日食べる」といった基本的生活習慣や「学校の決まりを守っている」という規範意識、あるいは「授業中の私語が少なく落ち着いている」といった学校の状況など、いずれも肯定的に回答した児童生徒や学校ほど平均正答率が高いという結果が出ています。
 こうした中、私たちが特に注目しているものは、読書活動と学力との関係であります。
 朝の読書など一斉読書の時間設定をしている学校は、設定していない学校に比べて平均正答率が高いという結果が出ています。
 これは、読書活動の効果として子どもたちに落ち着きや集中力が生じ、それが学力の向上への教育効果となって現れているからではないでしょうか。
 私たちの会派が、前々から主張していた読書教育の重要性が、見事に証明されたことにもなります。
 私も昔、非常に厳しい状況にあった中学校が、全校一斉の読書活動や「子ども読書の日」などを取り入れることによって学校に落ち着きが戻ったという話も聞いております。
 県は「福岡県子ども読書推進計画」を策定していることからも、こうした学力の観点も含めて計画の推進状況を改めて見直し、学校・地域・家庭を含めて今以上に読書活動の充実に努めるべきだと考えます。
 そこで、県下の学校における読書活動の実施状況の説明と併せて、教育長の見解を伺います。
 次に、昨年六月の学校教育法の一部改正により、各学校に設置が可能となりました、「副校長」、「主幹教諭」、「指導教諭」の「新たな職」についてお伺いします。
 現在の学校の職制には、人事管理上二つの問題があるといわれてきました。
 ひとつは組織管理体制上の問題であります。
 学校はいわゆる鍋蓋組織といわれ、管理職である校長、教頭以外は横並びの組織であります。主任職はあるものの、法的にはいわゆる指導職とされ、連絡調整はできても指揮命令ができないこととなっています。
 このような組織体制は、社会一般の組織の中では異例であり、学校の効率的運営のネックとなったり、責任者である校長の方針の不徹底につながっているとの指摘がされてきました。
 新しい副校長や主幹教諭職の設置は、こうした学校組織の足らざるところを是正し、特に主幹教諭は、限定的とはいえ、従来主任職が持ち得なかった法的な指揮命令権能を有すると聞いております。
 本県には過去、校長着任拒否、学力テスト反対、自宅研修廃止阻止など、およそ他県ではみられない先鋭的で激しい労使紛争を経験し、学校現場がまるで校長と教職員組合の、いがみ合いの場のような状況も呈し、学校の組織管理体制が問題だらけの時期もありました。
 そうした本県だからこそ、この制度を積極的に導入し、今後いっそう効果的な活用を図っていく必要があるのではないでしょうか。
 もうひとつは、教員の正当な処遇と志気の向上策の問題であります。
教員の中には、授業をはじめ児童生徒の指導の面で極めて秀でた力を発揮し、他の教員の模範となるティーチャーオブティーチャーとも言うべき者がいます。
 ところが現在、こうした教員に人事上報いる方法としては、管理職に登用する以外に道はないようです。
 しかし、教育指導上優れた教員が組織管理面での能力に秀でているとは限らず、結果として何も報われないでいる教諭も多いと聞いています。
指導教諭の設置は、教諭―教頭―校長というこれまでの単線化されていた教員の処遇を、いわば複線化することによって、教育界に貢献した者が正当に報われることにもなり、結果的に意欲ある教員の士気の向上につながるものと私は思います。
 本県は、この教員処遇で複線化の道を開くことについて、先頭ランナーとなるべきであります。
 時代も移り変わり、日教組の先生方皆さんもようやく意識改革に取り組まれ始めていると聞き及んでいます。もはや、かっての主任制度反対闘争にみられたように、国や県から支給された手当を組合に拠出させ、労働会館の建設費の一部に充てるなどといった事態は、よもや引き起こされないものとみていますが、予断は禁物です。
 朝一番に学校に出てカギを開け、日中は雑事に忙殺されて、夜は最後に戸締まりをして帰るのが管理職の仕事などといわれるようでは、到底、立派な学校づくり、児童生徒の学力向上は望めません。
 この制度の導入についての県教委の評価と認識にもとづく確固たる方針、そして具体的かつ詳細なその導入スケジュールも含めて教育長にお伺いします。
 次に特別支援教育についてお尋ねします。
 このたび、漸く整備計画が策定され、いささか時間を要しすぎたきらいはありますが、平成二十年度から整備に着手されることについて、一定の評価をいたします。
今後は、本整備計画を確実に具体化し、保護者や県民の付託に応える県立特別支援学校の整備を図ることが肝要であります。
 そこで、教育長にお聞きします。
 平成二十年度から段階的に実施する今回の整備により、学校数としては現在の二十三校から二十校に減少するため、いわゆる「統廃合」という印象を受ける場合もありますが、そのねらい、趣旨について明らかにしていただきたいと思います。
 次に、整備計画をみてみますと、特別支援学校への就学・進学状況を長期に予測することが困難であるため、平成二十年度から段階的に整備を実施するものと、その効果を検証しつつ、整備の必要性や時期について判断するものの大きく二つの内容から構成されています。
 今回の整備計画で具体的な整備が明記されず、今後必要性等を判断するとされている部分について、現段階においては、どのようなことを検討することが考えられるのか詳しく説明を求めます。
関連して、糸島地域については、障害のある児童生徒数が少なく、県立の特別支援学校はないものの、福岡市との連携により、近くにある福岡市立の特別支援学校に確実な受入れがなされていると聞いております。
 しかしながら、本県における特別支援教育の充実を図る観点からは、学校の設置は難しいとしても、県としての何らかの工夫ができないのか、見解を求めます。
 以上三点について質問しましたが、教育長には、障害のある子どもの教育を取り巻く状況は待ったなしであり、スピード感をもって的確に対応するという決意のもと、明快な答弁を期待します。
 教育問題の最後に、この際、障害者の教職員採用に関する取組についてお伺いします。
 障害者の法定雇用達成義務は、民間企業だけでなく地方自治体にも課せられております。
 都道府県等の一般行政部門で二.一%、教職員を含む教育委員会では二.〇%、と民間企業の一.八%よりも高い率が設定されております。知事部局をはじめ県内市町村のほとんどが、この法定雇用率を達成しております。ところが、ひとり教育委員会だけが一.四一%と法定率を大きく下回っています。
 雇用率算定の基礎となる職員の大半が現場の教員であるという特殊性はあるものの、全国を見ますと大阪、京都など法定雇用率を達成している教育委員会が現に存在しております。
 「隗より始めよ」ということわざがあります。先程もただしていますが、特別支援学校の卒業生の雇用拡大を企業に要請する立場にある教育委員会自らが、法定雇用率を達成できていないというのはいかがなものか、と感じるのは私だけではないと思います。
 達成が困難な理由の一つに、障害者の教員免状取得者自体が少ないため採用試験を受ける方が少ないという点を指摘する向きもあります。しかし、障害を持っていても頑張れば教員になれるという意欲や将来への希望を持ってもらうこと、教育志望者を増やすこと、それこそが教育の使命ではないでしょうか。 そこで、こうした点も含めて、教育委員会の法定雇用率達成に向けた今後の取組について、教育長の見解をお伺いします。
 また、この際、知事には、未だ法定雇用率に達していない本県民間企業における障害者雇用の拡大について、今後どう取り組まれるのかお聞きします。
 

    教育長答弁
(教育問題について)




 「福岡県検証改善委員会」の報告に対する総合的な見解について


 地域間の正答率の差は教育の機会均等の観点から憂慮しており、その改善に早急に取り組む必要があると考えております。また、基本的生活習慣や規範意識、校内研修等の学校の取組との相関も報告されており、市町村や学校の実態に応じた支援が必要と考えております。
 県では、報告等を踏まえて策定した学力向上新戦略に基づき、教員研修や学ぶ意欲を高める体験活動の充実に努めるとともに、指導主事で構成する学力向上支援チームや非常勤講師の派遣等の実効性のある取組を行い、学力向上に向けて最大限の努力をしていく考えです。

 



 


 教員の指導力の向上の取組について

 学力向上新戦略にも、教員の実践的指導力の向上を位置づけており、特に、児童生徒に基礎・基本を定着させ、学ぶ意欲を引き出す指導力の向上が求められております。
 このため、学校内で児童生徒を目の前にし、教員相互の評価を取り入れた授業研修や、教員評価等に基づき、課題に応じて受講する研修等の充実に努めるとともに、日常の授業支援として、優れた学習指導案を教育センターに収集・活用できる仕組みを整備する等、教員の実践的な指導力に視点を当てた取組の充実に努めていく考えです。

 






 読書活動の充実について

 今回の調査でも、読書活動を実施する学校は正答率が高い傾向にあり、読書が表現力や創造力を豊かにするなど、学力の基盤として重要であることを改めて認識しております。
 本県では、子ども読書推進計画を推進する中で、学校では全校一斉の読書活動に取り組んでおり、今回の調査でも小学校で九十六%、中学校で八十六%が実施しております。また、家庭や地域においても読み聞かせ等の活動を推進しております。
 今後とも、学校を始め、家庭や地域における読書活動の一層の充実に努めてまいります。












  学校における新たな職の導入について

 学力向上や地域との連携等、様々な課題に的確に対応していくためには、校長のリーダーシップの下、全教職員が使命感を持ち、それぞれの責任を自覚し、役割を分担して、一致協力していく組織運営体制の確立が必要であります。
 今回の制度は、この体制の確立を図ろうとするものであり、本県としても、全国でも先駆的に導入しようとするものであります。
 今後の計画としては、二十年度は先導的な導入を行い、主幹教諭は将来的に全校配置を目指したいと考えています。なお、配置については、その効果等の検証も行いつつ、財政状況を勘案しながら計画的に進めてまいりたい。     















 県立特別支援学校の整備計画の趣旨について

 本計画は、知的障害特別支援学校の在籍児童生徒数の増加や高等部への進学ニーズの増大、障害の重度・重複化等の課題に対応し、可能な限り身近な場に教育体制を確立することを目的としたものでございます。
 このため、知的障害・肢体不自由に関する教育の場を拡充するとともに、小規模化した学校については各障害種別の専門的教育の機能を維持しつつ、複数の障害種別に対応する特別支援学校として整備するなど、本県の特別支援教育の一層の充実を図ることとしております。



  




















 今後整備の必要性等を判断するものについて

 本計画については、今後の児童生徒数の予測数値に基づき策定しておりますが、急激な対象児童生徒数の変動や関連福祉施設の動向等に適切に対応するため、一部について今後の判断に委ねたものでございます。
 このため、平成二十年度から段階的に取り組む整備の成果や幼児児童生徒数の今後の推移等を検証しながら、知的障害特別支援学校への高等部設置や、肢体不自由教育の場の更なる拡充、小規模化した盲学校及び聾学校の今後の在り方等について更に検討することとしております。



  
 糸島地域における対応について

 糸島地域においては障害のある児童生徒数の推移から、福岡市との連携により確実な受入ができるものと考えております。
 しかしながら、障害のある児童生徒に関する教育相談については、県において適切に対応する必要があると考えております。
 このため、糸島地域内の公共施設を相談場所として、毎月定期的に県立特別支援学校の教員を派遣するなど、保護者や小中学校の教員等の特別支援教育に関する相談に応じることができる体制の整備を進めたいと考えております。






  
 障害者の教職員採用に関する取組について

 県教育委員会として、障害者の社会的自立を促すために、率先して障害者雇用に取り組むべきものと認識しております。特に、教員志願者を増やすことが必要なことから、採用試験について、本年度から、障害者を対象とした特別選考の導入、実技試験の軽減などを行い、障害者が受験しやすい環境づくりに努めております。
 今後は、特別支援学校等の進路指導の中で、教員として活躍している障害者の姿を伝え、教職への夢や希望を喚起するとともに、大学等に対し、障害者の教員採用に対する取組の広報・啓発に努め、多くの障害者の方が教職に対する志を持てるように努めてまいります。
 









知事答弁

 民間企業における障害者雇用の拡大について


 これまで、経営者団体と連携した職場開拓、障害の状態に応じた多様な職業訓練、企業内実習付のきめ細かな就職斡旋等を総合的に進めて参りました。
 昨年度県内で就職された障害者の方は千九百人を越え、過去最高となっております。
 今後、福祉施設などから企業への就職をめざす方々への実践的訓練等による移行支援強化に加え、重度障害者の方を多数雇用する企業の誘致といった新たな取組を進め、障害者雇用の更なる拡大を図る考えであります。
 


 さて、私はこの代表質問の最後に、世界に開かれた国際拠点都市を目指すうえで、絶対に欠かせない、コンベンションの振興と大規模ホールの建設についてただしておきたいと思います。
 私が申しあげるまでもなく本県は、古くからアジアに開かれた交流拠点として発展を遂げてまいりました。観光、ビジネスなど、様々な目的で国内外から多くの人々が本県を訪れています。
 経済がグローバル化する中で、観光をはじめとする集客産業は二十一世紀の基幹産業とも言われていると聞いているところであります。とりわけ学会、セミナー、展示会などのコンベンション開催は、単なる情報や意見交換の場という範囲を超えて、今や新たな雇用の創出や地域経済の活性化に大きな波及効果をもたらす戦略的な取り組みとして期待されているようです。
 このような中、昨年十二月、本県で初めて本格的なモーターショーが開催されたことは記憶に新しいところであります。
 十二月七日から十日までの僅か四日間で、実に十一万七千人の来場者を集め、会場となりました福岡市のマリンメッセ周辺は大変な熱気に包まれたともうかがっています。
 地元をはじめ、全国放送にも度々取り上げられました。北部九州の自動車産業はもとより、福岡の知名度やステータスの向上に大いに寄与したと考えております。
 しかしながらその一方で、今回のモーターショーの開催により新たな課題も改めて浮き彫りにされたと感じています。
 モーターショーでは、マリンメッセ、国際センター、国際会議場の三会場が使用されましたが、僅かしか離れていない、目と鼻の先ともいうべき各会場間の移動に時間がかかり、またそのような工夫をしても展示スペースの絶対的な不足は明らかでした。
 特に土日には来場者が集中し、展示車両がよく見られないほどの混雑だったようで苦情も殺到していたようです。
 これでは、せっかく来ていただいた方々にモーターショーのリピーターになっていただくのは難しいのではないか、と感じたところです。今、世界に目を向けると、中国、インドなどのアジア諸国が、急速な発展を続けています。
 本県が、この成長エネルギーを活用し、アジア、そして世界の拠点として発展していくためには、世界の人々が集い、交流し、そして新しいビジネスを創出する、そのような産業基盤となりうるコンベンション施設の整備が必要ではないでしょうか。
 中でも、モーターショーのような大型イベントに対応できる文字通り、九州の幕張を思わせるような大規模展示施設の整備が急務であると思いますが、いかがでしょう。
 この大規模展示場、コンベンションホールの建設については、福岡市がオリンピック誘致に名乗りをあげ、県議会でも招致を決議する際に、県としても大型施設の建設を約束して招致を支援すべきとし、いわば議会と知事の確認事項でもあったとうかがっています。
 それだけに、思いも一層強いものがあります。知事の抱負と決意のほどを力強く披瀝願って私の代表質問を終わります。


(その他県政一般について)




 大規模コンベンション施設の整備について


 本県がアジアの交流拠点として発展する上でコンベンションは大きな役割を果たすものと考えております。先の福岡自動車博覧会では、一大自動車生産拠点に成長した本県を、国内外に発信するなど、大きな成果をあげた一方、会場が手狭であるとの指摘もありました。

 新たな大規模施設の整備については、既存の施設が集積する地区の機能を活用することが効果的だと思いますが、多くの大型イベント誘致の可能性、敷地の確保、整備方法など諸々の課題があり、関係自治体とも協議しながら、総合的に研究して参りたい。

 


 

  トップ> 政治トピックス