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   自民党県議団 代表質問 平成19年12月7日(金)   

   12月3日(月)に開会した12月議会は12月7日(金)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事、警察本部長及び教育長の答弁要旨を記載します。

      自民党県議団質問内容

 さて具体的質問に入る前、冒頭、まずただしておきたいことがございます。

 本定例会に「安全・安心まちづくり条例」が上程されています。

 皮肉にもこの条例制定の動きをあざ笑うかのごとく、道仁会三代目の跡目問題に端を発した九州誠道会との分裂抗争劇は、県下各地でけん銃発砲事件を頻発させ、十一月末現在、県内において十一件発生、うち三件が殺人事件に発展、四人が死亡するなど泥沼化の様相を呈してきました。

 本県関連とみられる他県分、すなわち佐賀県武雄市の入院患者の誤射射殺事件などを加えると、既に死者は七人といわれています。

 事態は正しく異常であります。暴力団の撲滅と暴力追放に、私たちは県民挙げて取り組んでいく決意を新たにしなければならないところであります。

 一日には久留米市で市民集会が開催されましたが、「明日は自分の地域で事件が起こるのじゃないか」、不安と怒りに満ちた県民が暴力団撲滅に向けて立ち上がっているのは本当に心強いところであります。

 そこで、警察本部長はもとより、県民の安全・安心について、総合的な施策を講じる立場にある知事に対して一連の抗争事件の終息をはじめ、暴力追放と暴力団対策について、どのようにしていこうと考えておられるのか、その見解を冒頭まずお聞きしておきます。
 

麻生渡知事 答弁要旨

暴力追放と暴力団対策について

 暴力団対策は、まずは警察による徹底した取締りと住民の安全対策が重要であり、これまで警察官の増員や装備の充実など警察力の強化を進めてまいりました。
 今回の一連の抗争事件に対して、県警察では「総合対策本部」を設置し、指揮系統、捜査力、警戒活動の強化を図ったところであります。私も現地で捜査と警戒にあたる警察官を激励するため久留米、大牟田両署に赴きました。
 一方、地域で盛り上がっている暴力追放運動を支援し、さらに拡大していくことが必要であります。
 明日、八日には、本県が中心となり、地域や事業所の暴追・防犯活動のリーダーを集め、暴力追放運動の一層の活性化に向けた緊急会議を開催することとしており、暴力追放宣言を行うなど、官民一丸となった取組みの推進に全力を挙げて参ります。

(警察本部長答弁)
 昨年五月に内部分裂した道仁会と九州誠道会の対立抗争は、本年八月に発生した「道仁会三代目会長射殺事件」をはじめ、一一月には、久留米、大牟田両市内において、両団体の幹部らに対するけん銃発砲殺人事件が立て続けに発生するなど、抗争事件の拡大が懸念されるところであります。
 県警察では、これまで、両団体に対する取締りを強化し、
 ○ 道仁会三代目会長射殺事件
 ○ 九州誠道会幹部らによる「UR」いわゆ る公団の住宅を組事務所に使用した賃借権 詐欺事件
などの検挙をはじめ、あらゆる法令を駆使して抗争事件が発生した昨年五月二十一日以降、本年十一月末現在で、道仁会、九州誠道会の構成員だけでも約一七〇名を逮捕しております。
 また、両団体の武器庫の摘発を強力に推進し、これまで、十四丁のけん銃を押収しているところであります。
 しかしながら、現在まで抗争の終結には至っておらず、両団体による銃器を使用した事件が多発している状況から、去る十一月三〇日には、私を対策本部長とする総勢約六〇〇名体制の「道仁会・九州誠道会対立抗争事件総合対策本部」を設置し、抗争の早期終結はもとより、両団体の弱体化・壊滅に向け、本県警察の総合力を発揮した諸対策を更に強力に推進しているところであります。
 また、住民の不安を解消するため、通学時間帯における立番やパトロール等の強化をはじめとした地域住民の安全対策にも万全を期しているところであります。
 このような中、ご質問にもありましたとおり、去る十二月一日には、久留米市内において「暴力追放総決起大会」が開催され、約二、三〇〇人の参加者による力強い、暴力追放の決意表明が行われたところであります。
 会場において、怒りに満ちた県民の皆さまが、暴力団撲滅に向けて立ち上がっている、その姿に、決起大会に出席した私としても、暴力団壊滅の決意を新たにしたところであります。
 暴力団の存在しない安全で安心な福岡県を実現するためには、県議会をはじめ、県、自治体、県民の皆さまの取組みやご協力が不可欠でありますので、引き続き、ご支援、ご理解を賜りたいと考えております。
 今後、県警察といたしましては、暴力団に対する強固な対決姿勢を堅持することはもとより、不退転の決意をもって、暴力団の弱体化・壊滅に向けた取締りを徹底するとともに、官民一体となった暴力団排除活動を更に強力に推進してまいる所存であります。
 


 それではこれより質問に入ります。まず財政問題について質問いたします。
 現在、政府与党においては、来年度予算編成や税制改革にむけて、大詰めの議論が行われています。
 とりわけ、今回は、地方自治体間の財政力格差の是正と疲弊した地方の再生・活性化対策が中心的な課題となっています。
 先月八日、増田総務大臣は、経済財政諮問会議に「地方と都市の共生プログラム」を提案いたしました。
 その資料を拝見しますと、地方歳出の規模が最大であった平成十一年度から平成十七年までの間に、借金返済を除いた地方一般歳出が十一.五兆円、率にして十四.六パーセントの削減が断行されたことが記されています。このうち、財政力が乏しい弱小県や小規模市町村では、二十五パーセントに達しようとする極めて大きな削減がなされています。これは驚くべき削減率であります。
 最近の地方間の財政力格差を招いた根本的な原因は、平成十六年度以降、交付税が五兆円以上も削減されたことにあるというのが全国地方自治体のほぼ共通した認識であります。
 麻生知事もこうした認識に立ち、秋以降、地方交付税の復元を強く国に求めています。しかしながら、福田総理をはじめ政府側の対応は、国の財政難を理由に、前向きな回答を得られていないのが現状であります。
 特に、交付税の大幅な復元を求めている地方側の要求と、交付税の特別枠の確保は新たな国の支出に依存せず地方税の偏在是正により捻出するとの総務大臣の基本的な考え方には大きな隔たりがあるように感じられます。この点、知事はどのように整理されているのか、知事の基本的な考え方をお示しください。
 また、知事は、五兆円の交付税の復元を強く求められ、一方、総務大臣の構想では、交付税の特別枠といっても高々四、〇〇〇億円であります。規模感があまりにもかけ離れているように感じられます。知事は、五兆円の復元を求めるに当たって、その財源をどこに求められているのか、また総務大臣の特別枠との大きな隔たりをどう考えるのか、整合性の取れたご説明をお願いします。
 つぎに、地方税の偏在是正の方法を巡っては、政府与党内での様々な考え方が対立し、未だ最終的な決着を見ない状況にあります。
 全国知事会長としては、一部に反対論があるものの、総務大臣の税源交換論を支持されているようですが、消費税を含む税制の抜本改革がほぼ見送られようとしている現在、地方消費税の税率引き上げにつながる税源交換論は、実現が困難との声も聞かれます。
 一方、財務省が主張する、法人二税を従来の地方税のまま自治体間で水平的に財政調整する案は、各地域での企業活動の有無や活動実態を問わずに配分するもので、応益負担などの地方税の原理原則を大きく損なうものであります。到底受け入れることのできない乱暴な議論だと思われます。
 そこで知事にお尋ねしますが、税源交換論も、水平調整論も現実が難しいとなれば、一体どのような方法で偏在是正に取り組むのか。
 もとより、政府与党において知恵を絞っていただくしか手がないわけでありますが、全国自治体の財政運営に決定的な影響を及ぼしかねない重大問題であります。
 全て国任せという姿勢で済ませるわけには参りません。知事会長として、今後の残された僅かな期間、どのような基本的考え方と政治的決意を持って政府与党の議論に立ち向かわれようとしているのか、明らかに願います。 関連して、いずれの方法に拠るにせよ、地方税の偏在是正が断行された場合、本県にはどのような影響が生じるのか、来年度以降の財政運営に大きな支障が生じないか、この点についての知事の見通しをお願いします。
 また、知事は、去る九月議会において、本年度の税収見通しに関し、「主力の法人事業税については、前年を若干下回っている状況にあり、今後の見通しについては、主要企業の十一月中間申告の状況を見極める必要がある」旨の慎重な見解を明らかにされています。
 本年度地方財政計画に計上された地方税収は、結果的に一兆四、〇〇〇億円予算割れした国の平成十八年度補正後税収を発射台に見積もられ、このため、多くの都道府県では、当初の税収確保が困難になりつつあると聞きます。本当でしょうか。
 本県の本年度税収をどのように見込まれているのか、また、予算割れの恐れがあるとすれば、新たな財政改革プランがスタートしたばかりの段階で、今後の財政健全化に大きな悪影響を及ぼすことになると危惧されます。どのような補填措置を講じようとされるのか、知事の考え方をお尋ねします。

 次に知事は、先般、本庁組織を十部七局九十四課室から十部七局九十課室に再編される構想を明らかにされ、これの実現のため今議会に、福岡県部制条例の一部を改正する条例案を提案されています。
 知事は平成七年四月に就任以来、今日までに二度の大がかりな本庁組織の再編を手がけてこられました。
 例えば平成十年の保険環境部の二分分割、平成十二年の労働部の縮小と環境部の独立などでありますが、今回が最も大がかりな組織再編となっているようです。
 とりわけ農政部と水産林務部の統合、保健福祉部と生活労働部の一体的再編による新社会推進部、保健医療介護部、福祉労働部の設置などが目玉となっているようです。
 本庁組織の再編については、前行革大綱において「事務執行型県庁」から「政策創造型県庁」への転換を高らかに掲げた時以来の重要課題であると聞いていますし、私共もそのように判断しています。
 従って五年を経過していますが、ようやくその一歩を踏み出したことについては、わが会派も一定の評価をいたすものです。一方で今回の組織再編の狙いとする新たな課題への的確、総合的な対応や地域をとらえた施策の総合化をいかに実現していくかが重要な課題となります。
 と申しますのも、前行革大綱では、「優れた地域経営を展開していく上で必要な戦略的な施策と実行、これらのプロセスを全体としてマネジメントする戦略型行政システム」構築の重要性を踏まえ、県の役割・仕事の再点検、「現場」からの声をくみ取るシステムの確立、施策立案・執行システムの再構築、重点組織目標制度の導入、政策評価システムの確立などが政策創造型県庁への脱皮を図る上で不可欠の課題として掲げられていたからであります。
 今回、本庁組織の再編に当たっては、組織を機動的かつ円滑に動かす血管とも言うべきこれらソフト的システムの形成について、これまでどのような取組みを重ね、どのような評価を下し、今後どのような課題が残されているのかを一体的・総合的に検証し、新たな組織編成の考え方に生かすというプロセスを踏むことが必要だと思います。
 例えば、農政部と水産林務部の統合によって、極めて大きな新しい部が創出されることになります。共通部門、農政部門、林政部門、水産部門と四つの部門をつくられるようですが、国際関係も含め多くの諸課題を抱え、新時代に対応する農林水産行政の展開を図る上で、組織がその機能を遺憾なく発揮して、的確に対応することが求められています。
 また、生産から加工、販売まで一貫した農業づくりを提唱した言葉に、かって第六次産業という表現がありました。今日ではこの第六次産業という言葉は農業にとどまらず、あらゆる産業に通じているようですが、今回の両部統合が農業、漁業、林業の一次産業全体の第六次産業化推進につながるものでなければなりません。
 戦略型行政システム構築の中心的役割を期待された重点組織目標制度の導入もしっかり総括されず、組織を一緒にしてしまっただけでは本質的な解決になりません。一人の部長だけで本県農林水産行政の複雑さ困難さを克服していけるのか懸念するところです。
 同じことが新社会推進部にも言えます。NPOなど多様な主体との協働や意識啓発・県民運動を通じて、県民の社会生活の質的向上を進める仕組み作りを実施することが主な組織目的になっています。
 これらは、これまでの各省各部の縦割り的組織関係や発想ではとても的確な対応が困難な行政分野です。総合的・横断的な取組が求められます。こうした要請に応えられる庁内の政策決定・実行システムを十分に整えていくことが必要です。
 さらに、今回の組織再編では、企画振興部に地方課が移管されるなどとしていますが、総務部や企画振興部に抜本的な見直しがなされていません。
 とりわけ、新しい時代の政策形成、行政経営に決定的な影響を持つのは、財政課や人事課を有する総務部のあり方であります。
 そこで、知事にお尋ねします。まず、前行革大綱以来の課題になっている戦略型行政システムの確立やその道具として位置づけられていた重点組織目標制度、さらに種々の政策形成システムなどについて、どのような取組みがなされてきたのか、どのような課題が今後の宿題として残っているのか、ここで全体的・総合的な説明をお願いします。
 また、その知事の認識が今回の組織再編にどのように生かされているのか、公表されている資料だけでは不十分ですので、丁寧にご説明願います。
 さらに、この春以降、大きな問題となっている職員組合との職場協定など労使関係の改善を図るためにも、これまでの総務部人事課のあり方も抜本的に見直す必要があると考えます。
 この問題は、もちろん出先機関も含め各部各課の責任が大きいと考えますが、長年にわたりこれを放置してきた総務部人事課の責任も重大であると認識すべきであります。
 人事課は、人事・労使問題だけでなく、行政経営・行政管理など今後の政策創造型県庁の確立にとって決定的な影響力を持っています。
 財政課の機能と合わせ、極めて重大な位置を占める総務部のあり方について、どのような検討がなされたのか、何故、総務部の抜本的な見直しに着手されなかったのか、また、今後の総務部のあり方をどのように考えていくのか、知事の忌憚ない考え方をお尋ねします。
 


 地方税財政改革と本県財政状況


 地方交付税の復元について

 地方財政を今日の危機的状況に陥らせ、地域間の財政力格差を拡大させた最大の原因は、地方交付税の大幅な削減であります。
 このため、地方六団体では一致結束し、減らされすぎた地方交付税を五兆円全てとは言わないが、できるだけ戻すべきとの趣旨で、その復元・増額を強く求めてきたところであります。

 総務大臣が提案した地方交付税の特別枠は、交付税削減の流れを止め、地方財政計画に新たな財政需要項目を追加しようとするものであります。しかし、これまでの削減が適正であるとの立場を崩さない国と、地方側との認識の差は、依然として埋まっておりません。

 いずれにしても、今回の決着にかかわらず、地方交付税の適正な規模を確保するための活動を続けてまいる所存であります。

 なお、地方交付税の財源については、地方財政計画の策定を通じ、国税からの配分割合の見直しを含め、国の責任において適切に措置されるべきものであります。

















 地方税の偏在是正について

 税制の見直しにより偏在是正を行う場合には、地方税の原理原則を損なわず、偏在が少なく安定的な地方税体系の構築につながることから、あくまで消費税と法人二税の税源交換で行うべきと考えています。

 本県への影響については、偏在是正がどのような方式で行われるかまだ決定しておらず、現時点では算定が困難であります。
 



















 今年度の税収見通しについて

 今年度の当初予算は、税源移譲による増収に加え、主力の法人二税が景気の回復を反映して好調であったことから、十八年度決算を二十パーセント上回る額を計上したところであります。
  しかし、多くの自治体と同様に、直近の実績では、原油価格の上昇やサブプライムローン問題等の影響もあり、法人二税が前年並みに推移しており、県税全体で前年比十八パーセント増に止まっている状況であります。
  仮に現時点での実績を基に試算すると、今年度の税収規模は過去最高となるものの、当初予算を二百億円程度下回る見込みであります。
 これに対しては、地方交付税が当初予算を上回る見込みであることに加え、地方交付税の振替措置である減収補てん債の活用や一層の経費節減、税収の確保などに努めて参りたいと考えております。



 本庁組織の再編整備

 戦略型行政システム確立の取り組みと本庁組織の再編について

 戦略型行政システムの確立については、前行革大綱に基づき、政策会議を設置して各年度の重点施策を決定するとともに、その効果等を評価する政策評価を導入しております。 

 また、先導的協働事業の導入、民間からの人材登用の推進、職員提案制度の充実等も行って参りました。
なお、組織・個人として達成すべき目標を数値化する「重点組織目標」については、試行の結果、運用上の課題が明らかとなったことから、改めて議論を行い実態に合った形で実施することとしております。

 このような政策立案機能の強化に加え、今回の本庁再編では、まず、県民生活に密接に関連する分野では、制度的に非常に密接に関連する保健、医療、介護に関する施策を一元的に推進する保健医療介護部、自立支援などの点で非常に関係が深い福祉行政と労働行政を一体的に推進する福祉労働部、様々な分野でのNPOなどとの協働を進め、新しい社会づくりを進める新社会推進部をそれぞれ設置することとしています。

 また、市町村を越えた広域的な地域振興機能を強化するための企画・地域振興部の設置、中山間地域振興や後継者対策、県産農林水産物の輸出促進や食の安全対策など第一次産業の共通課題に一体的に取り組むための農政部と水産林務部との再編統合なども行って参ります。

 このような組織再編を通じて、新たなニーズに対応した政策が立案できる体制づくりを行うものです。





































 総務部のあり方について

 総務部の組織については、広域的な地域振興と個別の市町村への支援を一元的に行うため、地方課を市町村支援課に改め、企画・地域振興部に移管するほか、安全・安心のまちづくりを所管する生活安全室を新社会推進部に移管するなど見直しを図ったところです。

 総務部については、県の運営の基本を担う部門であり、各部における政策が機動的、効果的に展開できるよう、今後ともその本来の機能を十分発揮していく必要があると考えています。


 


 次に、今議会に提案されています、いわゆる「安全・安心まちづくり条例」そのものについてお尋ねします。


 今、全国では冒頭に触れましたように本県の暴力団発砲事件をはじめ、痛ましい事件が後を絶たず、連日のように殺人だの強盗だのニュースを目にするところであります。


 このような、県民生活の根幹を揺るがしかねない治安問題、とりわけ安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、昨年二月議会でわが会派はこの「安心・安全まちづくり条例」の制定について提案し、知事の見解を求めたことは、多くの方がご承知のことと思います。



 これに対し知事は、条例制定について、「安全・安心のまちづくりに向けて、総合的な県民運動を進めていくという意味では有効な方法の一つ。県民各層あるいは関係機関の幅広い意見を踏まえ条例について検討したい。」旨の答弁をされました。


 そして、条例案策定と議会提案にこぎつけられました。これが今日までの条例制定までの経過だと思いますが、しかしながら、この間約二年を要し、既に全国では三九都道府県が制定しており、本県は実に四〇番目の取り組みとなっています。実に残念なことであります。



 そこでまず知事に伺います。なぜ、条例案の策定がこれほど遅れたのか。条例の内容について、真に実効性のあるものを求める余り、時間がかかって策定が遅れたのか、あるいは他に原因が求められるのか詳細なる説明を願います。


 次いで知事は、この条例を検討する際には、幅広く意見を求める旨を明らかにされていました。

 本条例案策定にあたり、県民をはじめ関係部局や教育庁、警察、並びに市町村や関係団体等からの意見・要望については、どのようにして求め、どのような意見がどのくらいあったのか、また、それらは条例案にどのくらい反映されたのか具体的にお示し願います。




 次にこの条例案は、全体を通じて大まかな基準なり指針なり示しただけの、いわゆる「モラル条例」ともいうべきものであります。


 このことは、罰則が一切盛り込まれていないことでも明らかですが、条文も抽象的なものが多く、せっかく定めた内容をどのようにして担保していくのかが判然としないものが多いのであります。


 従いまして、この点についてはどのように判断されているのか、知事の明快なる答弁を求めます。



 最後に教育長並びに県警察本部長にも伺います。本条例案は、児童・生徒あるいは善良なる県民全体の安全・安心を実現していく上で、真に有効なものとなり得るのかどうか、また条例制定をきっかけに、そうしていかなければならない責務を負うわけですが、それぞれにも抱負と所見を伺っておきます。

 

 
 安全・安心まちづくり条例について

 条例案の策定経過について

 「安全・安心まちづくり」は、官民が連携して総合的に推進することが必要であることから、県民各層の幅広い意見を踏まえた有効な施策づくりのため、昨年度、有識者や地域リーダー、関係団体からなる「総合戦略検討会議」を設け、基本的な取組方針と諸施策を定め、取組むこととしました。
 まずは、地域防犯リーダーの養成、活動団体の支援など、地域の自主的な防犯活動の活性化に取組み、県民運動の展開を図ってまいりました。
 この県民運動を持続し一層拡大していくため、県・県民・事業者の役割を明確にし、地域活動の活性化や犯罪が起こりにくい環境の整備などの基本施策を規定する条例の制定が有効であることから、「検討会議」で十分な議論を行い、今議会で提案に至ったところであります。

 条例案への県民各層の意見反映について

 本条例案の策定にあたっては、関係部局、警察、教育庁と綿密な協議を行うことはもちろん、県民各層や関係機関の幅広い意見を反映させるため、基本となる施策について、「総合戦略検討会議」において検討を重ねてまいりました。
 「検討会議」が開催した県内4地域のタウンミーティングでは、「地域の防犯活動を継続するための情報提供や支援」「防犯活動を支えるための推進組織」の必要性など広く県民の皆さんから意見をいただき、これらの結果を本条例案に反映したところであります。

 条例の実効性について

 「安全・安心まちづくり」は、行政、警察、事業者、県民が各々の役割分担のもと、自主的な取組みを通じて県民運動として取組むものであり、罰則規定を設けることは馴染まないものと考えています。
 本条例では、防犯活動の支援、官民が連携する推進体制の整備、道路、公園、住宅などで犯罪が起きにくい環境づくりのための指針の策定と普及、商業施設における防犯責任者の設置など、県民運動をさらに拡大させていくための方策を新たに盛り込み実効ある取組みを進めていくこととしております。

(教育長答弁)
 条例に対する抱負と所見について

 近年、児童生徒が被害者となる痛ましい事件や事故が頻発し、学校関係者の不安が高まっております。こうしたなか、本年5月に改訂した「幼児児童生徒の安全確保に関する指針」に基づき、保護者や地域ボランティアによる自発的な安全確保に向けた取組が進められております。

 このたび、本条例が定められることにより、これまでの取組が一層定着していくものと考えております。

 県教育委員会としましては、今回の条例制定を受け、関係機関との、より強固な連携を図り、児童生徒の安全確保に努めてまいる所存であります。

 今後、安全・安心まちづくり条例の指針につきましては、学校やその周辺の地域の実情に応じて、実効のある取組となるよう、作成していく所存であります。


(警察本部長答弁) 
 条例に対する抱負と所見について

 県警察では、県、市町村、事業者、地域の防犯ボランティア団体の方々等と連携を図り、これまでも安全で安心なまちづくりの推進に努めてきたところであります。
 今回、全国初となる暴力団排除条項が盛り込まれた条例が制定され、県をあげて取組みが行われることは暴力団対策を推進する私どもとしても、意を強くするとともに、各地域で盛り上がりをみせている自主防犯活動の更なる推進が期待されると考えております。
 県警察といたしましては、本条例に定められた警察の責務を踏まえ、今後とも、県をはじめ、各自治体や地域住民の方々等との連携を一層強め、安全で安心なまちづくりを実現するための諸活動を強力に推進していく所存であります。
 


 次に医療問題として、県民の関心が非常に高い、乳幼児医療制度及び後期高齢者医療制度についてお尋ねいたします。
 まず、乳幼児医療費助成制度についてであります。
 他県に比べて遅れていたこの助成制度について、本県でもこのところ徐々にではありますが拡大されつつあります。すなわち、平成十六年一月に入院については、対象年齢を義務教育就学前まで拡大し、本年一月には三歳未満児の自己負担分について無料化に踏み切ったことなどであります。
 さらに、最近では、子育て応援社会を作るために、通院については年齢を義務教育就学前まで拡大することを先の知事選における公約のひとつに掲げ、その実現を県民に約束されています。私たちは、この通院について、就学前まで助成を拡大することにより、やっと本県の乳幼児医療助成制度も全国平均レベルに達する、と判断しています。
もっとも、地方財政事情は私共もよく理解しているところであります。
 新財政構造改革プランでは、社会保障費の増加の抑制が謳われ、将来に渡って持続可能で安定的な制度とすることが求められていることから、検討に時間を要するであろうことは勿論理解していますが、本県の乳幼児医療費助成制度のおかれたレベルを考慮するならば、通院年齢の拡大については、最早や早期に着手すべき時期に来ていると考えます。
 従いましてその実現に向け、知事の力強い決意のほどを求めます。
 また、子どもの医療費の保障という観点からは、父子家庭にも、現に助成制度のある母子家庭と同様に、その必要性が高まっており、少子化対策は多面的な支援策が必要とされます。併せて見解をお示しください。
 次に、後期高齢者医療制度についてお尋ねいたします。既に、本県においても制度の運営主体である「福岡県後期高齢者医療広域連合」の臨時議会で保険料が決定され、来年四月の運用開始に向け、大きく動き出したという感がありますが、この制度の円滑な運営には多くの重要な課題があります。
 まず第一に保険料の水準についてであります。私たちはかつて、本県が日本一医療費の高い県であるため、この後期高齢者医療制度における保険料についても、極めて心配し、この県議会でも質して参りました。
 全国一はともかく、九州一の高額となったことは事実のようであり、後期高齢者の方々の対応を極めて心配するところでもあります。
 先日の新聞記事によると、一人当たりの平均保険料額は減額適用後で、年額八三,七四〇円とありました。
 そこで、今回決定された本県の一人当たり平均保険料の額が、全国的に見てどのような水準にあるのか、また、県としていかようにこの額を評価されているのか詳細な説明を求めます。
 第二に、高齢者負担の凍結と広域連合の財政運営についてであります。今般の連立政権合意において、高齢者医療制度の負担のあり方について検討することとされ、これを受け与党高齢者医療制度に関するプロジェクトチームにおいて、後期高齢者医療制度で新たに保険料負担することとなる被用者保険の被扶養者の保険料負担については、制度加入時から二年間の軽減措置に加え、平成二十年四月から九月までの六ヶ月間は無料とし、十月から平成二十一年三月までの六ヶ月間は九割軽減することが取りまとめられました。
 この結果、当然のことながら広域連合の保険料収入が減少します。広域連合の財政運営にも影響が予想されるところですが、県としては、どのように見通し、対応されるのか、その見解をお聞かせください。
 第三に、後期高齢者制度の安定的な運営についてであります。今回の保険料は、平成二十年度及び平成二十一年度の二カ年間の後期高齢者医療に要する費用と収入の見込額がベースになっています。仮に、保険料算出当初の医療費の見込みを上回る事態や予定保険料収納率を下回る事態が発生した場合には資金不足に陥ることになります。
 このような場合、県としては、どのような対応をとられるのか、また、いずれのケースにおいても医療費の適正化指導は、緊急の課題だと考えます。
 現在、医療適正化計画の策定を進められていると判断しますが、その策定スケジュールを含め計画の方向性についてその概要をお示し願います。
 


医療問題について

乳幼児医療費助成制度の対象年齢の拡大等について

 
 乳幼児、障害者、母子家庭等への県単独の医療費助成制度については、政策効果や財政状況を踏まえ、持続可能で安定的な制度となるよう全体的な見直しを行っております。

 その中で、乳幼児医療の対象年齢拡大と父子家庭に対する医療費助成については、子育て支援策として重要であることから、現在、具体的内容を検討しているところであります。

 できるだけ早い時期に成案を得て、市町村と協議して参りたいと考えております。






















 本県の後期高齢者医療保険料の水準について

  軽減措置を講じた後の保険料額で比較した場合、神奈川、東京、大阪、愛知、埼玉についで六番目となっております。

 本県の保険料が全国的に見て高い水準となっているのは、本県の一人当たり老人医療費が高いことが反映されているためであります。

 県としましては、今後さらに、医療費の適正化に努めていく必要があると考えております。







 高齢者負担の凍結措置に係る広域連合財政への影響について

 今回の措置に伴う保険料減少分については、国が全額負担することとされており、平成十九年度の国の補正予算で手当てされる予定でございます。




 収入不足が発生した場合の対応について

 県としましては、まず、広域連合や市町村に対し、医療費の適正化や保険料の徴収努力を求めてまいります。
 このような努力をしても、なお見込みを上回る給付費の増加や保険料未納が発生した場合に対応するために、国・県・広域連合で拠出する財政安定化基金制度を設けることとされております。


 医療費適正化計画の方向について

 計画には、生活習慣病対策や本県の実態に応じた療養病床の再編成などに関する具体的数値目標を盛り込み、予防と医療の効率化を軸とした医療費適正化に取り組む考えであります。
 現在、検討委員会において、学識経験者等の意見を聞いており、本年度内に計画を策定する予定であります。


 次に食品の安全対策について伺います。
 今年のちょうどお盆に北海道だけ限定のチョコとかで、観光みやげ品として有名だった「白い恋人」の賞味期限の改ざんが明らかになり話題を呼んだと思っていたら、十月には伊勢市の「赤福」が製造年月日を改ざんしていたことを国が発表するなど、県外での偽装事件の発生が続きました。
 県内でこんなことが起こってほしくないと思っていた矢先に、皆さんご承知のとおり、国内でも名の通った老舗の高級料亭の福岡支店ともいうべき店舗で販売した菓子や総菜の消費期限や賞味期限の改ざんを行っていたことが明らかになりました。
 さらに、先月には、福岡の名物である辛子めんたいこなどの製造会社が、製造年月日と賞味期限を改ざんしていたことが判明しました。偽装表示がいよいよ身近な事件になってしまったと感じさせられたところです。
 食品の偽装事件が起こるたびに思い起こすのが、雪印食品の牛乳偽装事件です。実績のある大メーカーでも消費者の信頼を失ったときは、会社が消滅してしまうこともあるという、苦い教訓を全国の食品メーカーは学んだはずではなかったのでしょうか。
 食の安全・安心を守ることがいかに重要かということが分かっていながら、連続して偽装事件が発生しているのは、メーカーのモラルの問題が一番であることは論をまたないことですが、これだけ続くと、監視や指導も厳しく行わねばならないと考えます。
 経費もかかる問題であり、関係する法律がいくつもあって所管する部署も複数あるという事情や、事業者の営業範囲によって国または県の担当になるなど簡単にいかないのは分かっていますが、もっとしっかりと対応すべきと思います。県民も私と同じ気持ちを持っているのではないでしょうか。
 今回の事件を受けて、農林水産省に設置されている「食の一一〇番」への通報が増えており、十月の情報提供や問い合わせの数は前年十月の五倍を超えたという新聞報道もあっています。
 食品に関する消費者の関心が高まりを示すものでしょうが、疑心暗鬼に陥ってしまう危険性もあり、食品全般に対する信頼が低下してしまうのではないかと危惧しています。
 そこでお伺いします。県では、食品の安全対策の推進について、基本的にどのように考えているのか、併せてどんな体制でこの問題に対応しているのか伺います。
 また、消費者が食品の情報を得る拠り所となっている食品の表示について、県はどのように監視、指導を行っているのかお答え願います。県民の不安を解消するような具体的な説明をお願いします。
 次に食品の安全対策の二点目に、BSE検査に関して伺います。
 平成十三年九月にわが国において初めてBSEの牛が確認され、これを契機に都道府県等においては、現在まで、食用にされる牛全頭のBSE検査が行われているところです。
 国は、平成十七年に食品安全委員会の意見を受けて、BSEの検査対象から二十ヶ月齢以下の牛を外しましたが、それによって引き起こされる消費者、酪農家、食肉業界などの不安感や混乱が強かったことから、三年間の国庫補助措置を執ってきました。
 本年八月、国は、当初予定どおり二十ヶ月齢以下の牛のBSE検査に係る国庫補助を打ち切ること、更に全自治体において二十ヶ月齢以下の牛のBSE検査が一斉に終了することが重要であるとした通知を出していることを聞いております。
 そこで、知事の見解をお伺いします。
 現在もBSEに対する消費者の不安は解消されていない状況にあると考えていますが、食の安全・安心を確立し、牛肉の消費に再び歯止めをかけないためにも検査の継続は必要ではないでしょうか。福岡県として全頭検査継続の意志があるのか、お示しください。

 


食品の安全対策について

食品の安全対策の推進に関する基本的な考えとその体制について

 食品の安全性を確保し、県民の健康を保護するためには、関係者の理解と協力を得ながら、生産から消費に至る一貫した安全対策を、推進することが重要であります。
 このため、庁内関係課で構成する「食の安全対策推進会議」を活用し、監視指導計画に関する協議を行う等連携を図りながら、生産、流通、消費のそれぞれの分野で安全対策に取り組んでいます。





 食品の表示に関する監視、指導について

 食品衛生法に基づく監視指導計画により、食品関係営業施設を対象にした立入調査を実施すると共に、JAS法による小売店舗の巡回指導や、「食品表示一一〇番」などを通じた情報の収集に努めています。

 また、今回、食品の偽装表示が各地で明らかになったことから、本年十一月には特別監視を実施するなど、監視の強化を図り、食品表示の適正化に取り組んでおります。






















 BSEの全頭検査について

 今般、国は、生後二十ヵ月以下の牛のBSE検査に係る国庫補助を打ち切ること、更に全地方自治体において二十ヵ月以下の牛のBSE検査が一斉に終了することが重要であるとした通知を出しました。

 しかしながら、依然として消費者の食に対する不安が解消されていないこと、BSEには科学的に未だ解明されていない部分があることなどから、本県においては、引き続き全頭検査を継続したいと考えております。
 





 

 それでは、次に農業問題について伺います。
 まず最初に、いわゆる、耕作放棄地問題とその対策についてであります。
 既に、全国集計で三十八万ヘクタールにものぼり、その面積は東京都の一.八倍、滋賀県に匹敵する規模だと聞いております。本県においても耕作放棄地は約七千ヘクタールあり、これは行橋市の面積とほぼ同じとか。
 誠に驚き、嘆かわしい事態でもありますが、まず知事は、このような農地の状況を把握されているのでしょうか。
 そこで、まず耕作放棄地の現状についてお尋ねします。また、県内の耕作放棄地がどのような地域に発生しているのか、その原因がどこにあるのか、あわせてお答え願います。
 立派に石組みされた棚田であるにもかかわらず、草がうっそうと生い茂り、所々には灌木も生えている。中山間地域では、耕作する人がいないために、長い年月かけて整備してきた棚田が崩壊しようとしている。
 既に原野になっているものもあるし、草刈りなどの管理をしなければ直ぐに荒地となり、人の手には負えなくなってしまいます。耕作放棄地が増加すれば地域全体の農地利用に支障が出ることも考えられ、農業生産が減少するだけでなく、有害鳥獣の温床となりやすく、また、洪水防止や土砂崩壊防止など農地が本来、果たしている多面的機能も失われてしまう恐れがあります。
 最近、頻繁に発生している野ザルやイノシシ等の作物荒らしも、この耕作放棄と深い関係にあると私は考えているところですが、いかがでしょう。
 このため、耕作放棄地を解消し、発生を未然に防止することが必要と考えます。県はこの問題に関してどういう対策をとっているのか伺います。
特に中山間地域では、過疎化とともに高齢化が進行しており、耕作放棄地の増加は地域の活力の減退につながりかねない本当に深刻な問題であります。
 耕作放棄地の新たな発生を防止するためには、中山間地域の農業振興も大切であると考えます。
 中山間地域の農業に対して、県はどのような支援を行っているのかお尋ねします。
 国では、耕作放棄地対策とともに、農地の有効利用に向けた取り組みを本格化する考えのもとで農地政策の見直しが検討されています。
 全国的にも耕作放棄地の増大が問題視され、担い手の減少と相まって農地に対する規制を緩和し、少なくとも耕作放棄地については、株式会社一般の農業参入を促進すべきだとした意見さえあるようです。
 私は、拙速は避けるべき、とは考えていますが、事態はここまで深刻さを増しているという証しになっていることだけは間違いのないところであります。
 そこで、このような農地の現状と農地制度の見直しの動きをみて、県は今後優良な農地をどのようにして確保していかれるのか、知事の考えをお伺いします。
 次に飼料価格が高騰していることについてお聞きします。
 この件については、六月議会で我が会派が畜産農家の経営悪化を懸念し、対策などについて質し、また関係団体の要請を受け、県議会として国に対し意見書を提出したところであります。
 しかしながら新聞などによると、穀物価格は相変わらず高く、燃料価格も上昇しており、畜産農家をとりまく状況はさらに悪くなっているようです。
 食料品は値上げが行われているので、牛乳や肉なども価格を上げて、畜産農家の経営を安定させるべきではないかと思いますが、消費が減少傾向にある牛乳ではメーカーの買い取り価格は低迷しており、厳しい経営環境が続いています。
 このままでは、経営が立ち行かなくなるような事態に陥ってしまう恐れもあると、農家の皆さんは危機感を強めています。
 そこでお尋ねします。畜産農家にこれまで行われた対策の成果は上がっているのか、あわせて畜産農家が現在どのような状況にあるのか伺います。
 価格が下がらない状況では、経営を抜本的に変える新たな取り組みが必要ですし、困難な状況に立ち向かって努力する畜産農家に対して県はさらに支援をすべきだと考えます。
 飼料の高価格が続くことが見込まれる中で、今後の畜産農家に対する支援策について、知事はどういう考えを持っておられるのか伺って、農業問題を終わります。
 


(農業問題について)
 耕作放棄地の現状及び原因について

 県内の耕作放棄地は、五年前に比べて約八百ヘクタール増加しております。
 地域別には、中山間地域や都市部の農地を中心に発生しております。
 その原因としましては、高齢化の進行に伴う経営規模の縮小や地域における農地の受け手の不在、傾斜地など生産条件の悪いこと等が主な原因であると考えております。

 鳥獣被害と耕作放棄地の関係について

 鳥獣被害の要因としては、里山などにおける管理の低下、狩猟者の減少の他、耕作放棄地の増加も一因であると考えられます。
 耕作放棄された果樹園などは、野生鳥獣のえさ場や隠れ場所となり易く、行動領域が拡大することにより、鳥獣被害につながると考えられます。

 耕作放棄地の発生防止・解消対策について

 県としては、農業利用を図るべき農地につい
ては、担い手への農作業の集約化を進めるとともに、都市部では市民農園としての活用促進などの取り組みを支援しております。
 また、中山間地域では直接支払制度を活用して集落の農業生産活動を支援するなど、今後とも県土を保全し、地域農業を維持するため、耕作放棄地の発生防止と解消に努めて参ります。


 中山間地域の農業に対する支援について

 地域特産として取り組んできた茶などの振興に加え、おいしい米づくりを拡大するため、平坦地域と米の生産数量を交換する取り組みを進めております。
 さらに、夏場の冷涼な気候や昼夜の温度差を利用した特長ある農産物の生産と、ITを活用した販売など地域の主体的な取り組みを推進する県単独事業を本年度創設したところです。


 優良農地の確保について

 農業従事者の高齢化の進行や農業人口が急速に減少するなか、今後、農業ができなくなった人の農地を、地域の担い手が引き続き耕作できるような農業の仕組みを確立していくことが重要であると考えております。
 このため、地域で核となる担い手の育成に積極的に取り組むとともに、農作業の委託や農地の貸し借りを促進するなど、農地の効率的な利用を進めることにより優良農地の確保に努めて参ります。
 







 これまで行った畜産農家対策の成果と畜産農家の現況について

 自給飼料の生産拡大を進めた結果、稲発酵粗(いねはっこうそ)飼料(しりょう)の作付け面積は、昨年に比べ約三割増加しております。
 また、酪農経営では、所得確保を図るために和牛子牛を産ませる受精卵移植の頭数(とうすう)が昨年に比べて約三割増の見込みとなっております。  
 畜産経営については、飼料価格安定制度による補てん金が交付され、農家負担は一部軽減されておりますが、依然として厳しい状況となっております。

 今後の畜産農家に対する支援策について

 輸入飼料に代わる自給飼料の一層の生産拡大や、病気の発生が少ない畜舎への改造、更には飼養頭数(しようとうすう)の拡大などによる生産コストの低減を進めるなど、意欲ある担い手の経営安定に向けた取り組みを強化して参ります。
 また、新しい「はかた地どり」の開発を進めるとともに、「博多和牛」の販売促進など本県畜産物のブランド化を推進し、消費拡大に努めて参ります。
 

 次に教育問題に移ります。
国が約四十年ぶりに実施した「全国学力・学習状況調査」の結果が、十月末に公表されました。
 この件につきましては、先の決算特別委員会においても、我が会派は、県教育委員会にその見解を問いただしたところであります。
 その際の回答は、「小・中学校とも、いずれも0.5〜2ポイントほど下回っているが、傾向としては全国と同様である。」「「知識」については、相当数の児童生徒が今回出題された学習内容を概ね理解しているが、知識や技能を「活用」する力については課題があると考えている」との誠に客観的、人ごとのような見解でありました。
果たしてこのような無機質な見解の披露で済むのでしょうか。
 ここに分かり易く、ある事実を明らかにします。例えば、小学校の国語Bで全国最高の正答率をとった秋田県、中学校の数学Bで全国最高の正答率をとった福井県をともに百点とすれば、本県はいずれも八十七点しかとれていないことになるのであります。
 また、全国一斉テストに先立ち、本県を含む四県合同で実施された独自テストでも、本県の結果は他県と比べ決して好ましいものではなかったことは県教委が一番よく承知しているはずです。
 私は、ある意味で大変憂慮すべき状況にあるのではと判断しています。
そこで改めて教育長に伺いますが、本県児童生徒の学力の状況について、ここに改めてその忌憚のない見解をお示し願います。
次に、今回の学力調査の結果について、県教委は総合的な分析を行っているものと理解しています。
 現時点ではまだ不確実な点もあるかもしれませんが、少なくとも本県の学力向上のための施策の基本的方向性については県民に対して早く明確にする必要があります。この点について教育長の答弁を求めます。
次に、学力調査と同時に実施した学習状況調査の内容についてお伺いします。
今回、児童生徒に質問した内容の中で、例えば「毎日朝食を食べている」、「毎日同じ時刻に起床する」といった基本的な生活習慣や、「家で宿題をする」といった家庭での学習習慣が身についている子どもほど、平均正答率が高い傾向にあることが明らかになっています。
 当たり前といえば当たり前の結果かもしれませんが、このことは家庭教育の重要性が改めて裏付けられたことになります。
 そこで、今回の調査結果を受けて県教委は日常の生活習慣や規範意識の向上のため、なかなか難しい問題ではありますが、家庭教育を充実するための施策を展開すべきと考えます。教育長の踏み込んだ見解を伺います。
また、今回の調査は学校に対しても質問をしており、その中で、教員の指導力と児童、生徒の学力には一定の相関関係があることが、ほぼ明らかになっているようです。
 つまり、学力向上のため県教委が様々な施策を展開したとしても、それを実際の学校現場で子どもたちに教える教員の指導力が不十分なままでは確かな学力を育てることはできないということであります。
 従って、教員の指導力の向上とともに、学力に非常に課題のある学校については指導力のある優秀な教員を人事異動で配置したり、場合によっては教員の増員が問われているといえます。
 学力向上を図るという特別の観点に立った教員の人事異動や定数配置の方針について、教育長の基本的見解を伺います。
次に、教育力向上福岡県民会議についてお尋ねします。この会議の目的は、本県の今後の望ましい教育像を示しそれを県民運動として展開していこうとすることにあると聞いております。
 今回の「全国学力・学習状況調査」の結果をはじめとする学力の状況についても当然、県民会議の中で議論されていると思われますが、こうした議論を今後どのように県民会議の報告の中に位置付けられていくことになるのか、教育長に伺います。
最後に、国はこの学力調査を来年度も実施することにしています。
 こうした調査は、定期的に実施して学力向上の施策により効果的に反映させることが最も必要なことであることは論を待たないところであります。
 ご承知のように、私たちの福岡県は四十年前の学力調査を「教育への国家介入を招くもの」などとした教職員組合組織挙げて猛反対で中止した全国唯一の県でした。
 私たちはこうした愚挙を二度と繰り返してはなりません。従って来年度の学力テストについても、全県で参加することを早期に明らかにし、市町村に対し取り組みの徹底を図るべきだと考えます。この点について教育長の見解を求めます。

 教育問題の二点目として、県立高校授業料の改定についてお聞きします。
 国の平成十九年度地方財政計画において高校の授業料の基準単価が改定されており、既にこの四月から改定に踏み切っている県も全国に半数以上あると伺っております。
 こうした全国状況の中で今回の本県の改定は、国の改定から一年遅れかつ学年進行による適用がなされるということで、これまでの県議会における議論を踏まえた、保護者負担の軽減にも一定の配慮がなされたものと申せましょう。月額にして三百円の改定額であり、私学に比べれば勿論低い額ではありますが、とはいえ所得格差が拡大しつつあると言われているこの社会情勢の下では、決して軽い問題ではありません。
 したがって、実施に当たっては県民の理解を十分得られるような方策を講じていただかなければならないと考えるところであります。
 本県においては、これまで授業料の改定に際しその増収分を教育環境の整備・充実や特色ある学校づくりに充当すること、言わば学校に還元することを不文律として、県民の理解と協力をいただき教育効果も上げてきたと聞いています。
 平成二十年度当初予算編成に際し、当然そのような方針で臨まれるものと思っておりますが、この際教育長並びに予算編成権者としての知事の見解も求めます。

(教育問題について)
(教育長答弁)


 本県児童生徒の学力の状況に対する見解につ
いて


 平成十五年度から実施している本県調査においても、相当数の児童生徒に知識や技能の定着が図られているものの、学んだ知識や技能を様々な場面に活用する思考力や判断力、表現力等に課題が見られ、全国調査と同様の結果が得られております。

 また、学習状況調査でも小学校での補充学習の取組などで不十分な項目もあるところであり、私としても憂慮しております。
 このため、学力問題を本県教育行政の最重要課題の一つとして積極的に取り組んで参る考えです。


 学力向上施策の基本的方向性について

 学力向上には、各学校が自校の状況を正確に把握し、確実な定着に努めるとともに、学習意欲の向上を図る体験的活動の充実や学習習慣の育成等が必要と考えております。

 このため、市町村や各学校に対し、早急に今回の調査結果を分析し、指導方法や指導体制の見直しを図るよう指導しております。

 また、県においては、検証改善委員会を設置して、全県的な調査結果に基づく効果的な改善策を提示していくとともに、課題に積極的に取り組む市町村にサポート指導員を派遣する等、必要な支援に努めていく考えです。


 家庭教育の充実について

 家庭での学習習慣など、家庭教育の充実が学力向上には重要であると認識しております。

 このため県では、PTAと連携し、家庭での約束ごとを決め、実践する「アンビシャスふくおか家庭教育宣言事業」を展開しております。

 今後はさらに、関係団体との連携を深め、家庭教育の重要性について、全保護者に対し、啓発や周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。また、学校においても児童生徒の基本的生活習慣の定着がより図られるよう努めてまいります。
  

 教員の人事異動や定数配置の方針について

 学校の教育力の向上には、個々の教員の指導力と機能的な組織体制が重要であり、これまでも、こうした観点から教員の適材適所の配置に努めてきたところです。

 今後は、学力向上を図るという観点も重視し、各学校の実態や職員構成等を勘案した適正な人事配置に努める必要があると考えております。

 このため、学力調査結果の分析も踏まえ、各市町村教育委員会の意見等を聞きながら、教員の効果的な配置に努めてまいりたい。


 教育力向上福岡県民会議の提言における学力 問題の位置付けについて

 教育力向上福岡県民会議には、今回の全国学力調査結果をはじめ本県の子どもの学力実態等を報告し、これを踏まえて、子どもの学力を、本県教育の重要な問題として位置付け、議論をいただいているところです。

 その上で、子どもの学力向上には、学ぶ意欲の低下という本質的な課題を解決する必要があるとの観点に立って、その方策として、子どもの実体験を重視した教育や基本的な生活習慣等の確立、教員の指導力の向上など、幅広く検討されているところです。


 学力調査への市町村の参加について

 学力・学習状況調査は、県はもとより、市町村や各学校が児童生徒の学力の定着状況を正確に把握し、その結果の分析をもとに、学力向上に向けた施策を展開するために重要な取組であると考えております。

 各市町村や学校は、学力向上の取組や教育施策を不断に検証し、改善を図る必要があることから、今後も継続的に実施する必要があるため、来年度も全ての市町村が参加すべきと考えており、そのように指導してまいります。


 県立高等学校授業料の改定について

 県立高校等の授業料につきましては、本年度、国の基準単価が改定されましたことから、教育水準を維持するためにも、適正な受益者負担をお願い申し上げているところでございます。

 今回の改定による増収分につきましては、生徒の良好な教育環境の整備や、学校の活性化のための特色ある学校づくりの推進など、今後の学校教育の一層の充実・振興のために活用して参りたいと考えております。


 県立高等学校授業料の改定について

 改定に伴う増収分につきましては、これまで学校教育の充実・振興のための経費に充てさせていただいたところであります。

 今回についても同様に、生徒の良好な教育環境の整備や、学校の活性化のための特色ある学校づくりの推進など、学校教育のより一層の充実・振興に取り組んで参りたいと考えております。
  
 

   
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