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   自民党県議団 代表質問 平成19年6月27日(水)   

   6月20日(水)に開会した6月議会は6月27日(水)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

      自民党県議団質問内容

 
 まず、麻生知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。

 知事は、今議会議案説明要旨冒頭の部分で第二期分権改革を強力に進めていく必要があり、道州制についても真の地方分権の確立の観点から議論を深めていく大切な時期だと、のべられました。

 今日県民の間でもこの道州制問題について関心が急激に高まっております。これは、平成の大合併ともいわれた今次の市町村合併とも大きな関わりをもっています。それは、九州各県ともに合併により市町村を激減させ、本県でもかつて九十七あった市町村が六十六にまで減少、この結果、わが県でも議員定数だけでも三百八十七名の市町村議員の削減がはかられました。

 道州制の実現に向け、わが県も九州も着々と、いわば、インフラの整備が進みつつあるといえます。
 また福岡は昨年、世界的に有名なニューズウィーク誌で、最も活動的で将来も期待できる十都市のひとつに選ばれました。

 選ばれた理由の一つには、自動車産業の集積が進み、経済基盤の安定度がはかられている、又グローバリゼーションを見据えた新しいIT戦略、アジアの諸外国との半導体分野での協力と競争の関係を進めるシリコンシーベルト構想と頭脳集積を進めれていることだと聞いております。これは、知事の実績の評価でもありましょう。 九州はヨーロッパ中規模諸国のオランダ、ベルギー等と比較しても、人口、面積、GDPとほぼ同じであります。

 わが国で道州制が実現してゆくと考えれば、もっともその条件を満たしているのが、まず九州だと言えるのではないでしょうか。
 こうしたことから、九州経済界もこの道州制には並々ならぬ深い関心を寄せています。
 機は着々に熟し始めた、といえます。

 そこで、麻生知事としても、今一度、この道州制の問題について、その考え方について県民に明らかにし、理解や支持を求められるべきと考えるところですが、その見解をまず、お聞かせ下さい。

 次に、福岡空港の将来構想についてであります。
 昨年末の県議会において、知事は、現空港の拡充による機能強化、近隣空港との連携、新空港の建設という、いわゆる三つの検討方策について、改めて説明されましたが、この中でとりわけ現空港の拡充については、新たに二本目の滑走路の増設やターミナルビルの再配置など、検討内容について具体的に踏み込んで述べられ、県民の関心を呼んだところであります。
 聞くところによりますと、国・県・市が連携して進めている総合的調査は、この二年内にも最終結論に至る気配のようで、私たちは大変注目いたしております。

 先程も述べましたように、道州制実現のあかつきに、九州が「九州道」に移行するためには、陸海空の整備が急がれ、アジアのゲートウェイ、空の玄関口とも言うべき国際空港が絶対欠かせない要件になってくると判断しているところであります。

 最終結論がいつ頃になりそうなのか、スケジュールを含めその見通しを説明頂くとともに、また、この福岡空港将来構想について、今後二年間に、最終結論を得、さらに第四期麻生県政のなかで、早急に、きちんと見通しをつける、つまりは決着をつけるという強い決意のほどをお示し頂きたいと思っております。

 次に、先程も少し述べましたが、自動車産業の更なる振興とその文化の育成についてであります。

 昭和五十年以降、本県に根づき始めた自動車産業について、平成十五年、これを大きく飛躍させるために、知事が百万台構想を提唱されて以来、わずか四年で、百万台体制に到達し、現在は、百五十万台生産拠点づくりを目指して取り組みが進められています。
 こうしたなかで、本年一月には、百万台の生産達成を記念して、「クルマの歴史と未来展」が九州国立博物館で開催されました。

 北九州の戸畑鋳物の技術が日産自動車に受け継がれ、日産自動車のルーツとなったことや、当時、福岡工業学校の生徒だった福岡市の矢野耕一青年が博多商人の援助を得て、現存する国産最古の車「アロー号」を手作りで製作しています。このようなことは、本県が、単に最近になって自動車産業県になったのではなく、自動車づくりとその文化においても、はるか昔から、伝統のある県であったことを、改めて認識させられたところであります。

 こうした、自動車文化は、後世に着実に伝え、はぐくまれるものであって、この文化の育成が新しい自動車産業の振興につながるものと思っています。

 知事の見解と抱負をお聞かせ願います。

 さて、知事は四選の知事選を迎えるにあたり、県民への選挙公約として新たなマニフェストを発表されています。

 この中で、私がとりわけ高く評価していることは、その基本政策の最初に総合的な中小企業支援策の実行を掲げられていることであり、また、芸術活動の拠点としての新しい県立美術館構想を打ち上げられていることです。

 中小企業の振興こそわが県に課せられた最大の雇用創出策であり、県民所得の向上策であると私も考えています。どうか羊頭狗肉、単なる選挙向けの看板倒れにならないよう、知事の粉骨砕身の努力を求め、その決意のほどをお聞きしておきます。

 また、新しい県立美術館構想については、この十数年来、美術関係者と私たちが念願としてきたものであり、県文化政策の柱をなすものだと思ってきました。ようやく思いが実り、県予算に構想策定費を計上されています。これは、新美術館の建設に向けて、大きな一歩を踏み出したものと高く評価しているところであります。私たちは、一日も早い実現を強く期待しています。
 そこで、今後の取組について、その抱負と具体的な今後の見通しについて併せて求めておきます。
 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)

 1.アジアの窓口としての福岡空港の将来構想と道州制構想など



 道州制に関する県民への周知について


 道州制は、地方分権を推進するものでなければならないと考えております。

 道州制の推進にあたっては、道州制の具体的なイメージや、道州制が県民生活にどのような変化をもたらすかということについて、県民の理解を得ることが不可欠であります。

 そのため、九州地域戦略会議において、官民が一体となって研究を進めており、県民に対して、道州制の仕組みやメリットを分かりやすく示すための「九州モデル」を策定することとしております。

 さらに、住民の関心を高めるためのPR戦略についても検討することとしております。





















 福岡空港の総合的な調査について
 
 この調査は、全体を四つの段階に分け、ステップ1で現在の空港の課題や空港能力を明らかにし、ステップ2では、将来の航空需要の予測を公表いたしました。

 現在は、将来の対応方策を示すステップ3の検討を行っており、近隣空港との連携案、極めて利便性の高い現空港に滑走路を増設する抜本的な拡充案、新空港案の三つの方策について、具体的に明らかにすることとしております。

 今後のスケジュールとしては、この夏にも調査結果を公表し、県民の皆様の意見を聞き、その後、対応案の評価を行う第4ステップに入り、これらを踏まえて、来年度にも県としての対応案を確立すべく積極的に取り組んでまいります。














 自動車産業の振興とその文化の育成について

 本県が有する自動車づくりの歴史や技術を紹介し、その文化を伝承していくことは、県民の自動車産業に対する理解を深めることはもとより、ものづくりへの関心を高めるなど、意義のあることだと考えております。

 このため、本年十二月には「フクオカ自動車博覧会」を開催するなど、自動車文化の育成を含め、更なる自動車産業の振興に努めて参りたいと考えております。























 中小企業振興に対する決意について

 中小企業は、県内企業数の九九%を占め、全従業者数の七割を超えるなど、本県経済の最も重要な担い手であります。

 県としましては、資金、技術、人材などの多面的支援、ITの活用、地場ブランドの確立などにより、独自の技術力と経営力を持つ中小企業を育成して参ります。

 中小企業対策は県政の最重要課題との基本認識に立ち、全力で取り組んで参る所存です。

 県立美術館構想について

 このことについては、外部有識者による県立美術館将来構想検討委員会を設置し、検討を行っているところです。

 今後は、同委員会において、専門的かつ幅広い見地から、県立美術館のあり方について検討し、平成二十年夏を目処にとりまとめを行いたいと考えております。

 

 
それでは、ただ今から質問に入ります。

 まず、税財政問題について、お尋ねします。

 麻生知事は、本会議に、四選後最初の平成十九年度当初予算案を提案されました。

 予算規模、一兆五千三百二十七億円、前年度比一.四%増。

 地方財政がここ何年も厳しく抑制されている中にあって、見方によってはかなり積極的な予算案を編成されたと言えます。

 しかし、歳入構成を見ますと、県税等が税源移譲や景気回復などによって千二百三十億円、二〇%の大幅な伸びを示している一方、地方交付税・臨時財政対策債が百六十億円の減、税源移譲に伴う所得譲与税の廃止により地方譲与税が八百六億円の減など県歳入の基幹部分に大きな変動が生じています。

 一方、臨時財政特例債を除く県債は前年度に比して微減にとどまり、千三百十七億円と相変わらず高水準の発行を余儀なくされ、借金頼みの構造問題は、基本的に解消されていないと言わざるを得ないのであります。

 加えて、職員定数の削減や事務事業の見直し、建設事業費の抑制など歳出の切り詰めを行ってもなお見込まれる百八十九億円の財源不足を補填するため、当初予算から財政調整基金等三基金の取り崩しを図っています。この点も本県財政の構造問題として残されたままであります。

 歳出面では、投資的経費が百九億円、行政施策費が四十四億円削減される一方、義務的経費である人件費、社会保障費、公債費が増大しています。

 そこで、第一に、本年度の税収をどのように見込まれているのか。二月議会でもお尋ねしましたが、当時の認識に変わりがないか、本県経済見通しも併せてお尋ねします。

 第二に、地域の格差議論が高まる今日、短期的な景気動向だけでなく、中長期的観点から、本県の産業構造や労働構造、更に所得構造などが、国に多くを頼れない地方分権時代にふさわしい強靱さを持ち得るものになっているのか、知事の基本的な認識をお尋ねします。

 第三に、地方税収の偏在是正問題とふるさと納税構想について、知事の基本的考え方をお尋ねします。

 近年、景気回復に伴い、地方法人二税税収が急速に回復していることなどを背景に、地域間の税収格差、財政力格差が拡大しています。特に東京都への税収の集中は看過できないものとなっております。たとえば、東京都の税収はここ四年間で一.四兆円増加しています。

 全国知事会でも、先般、この問題を巡って大議論がなされたようです。

 法人二税を中心とした地方税の偏在是正は、どのような方法をとるにせよ、全国の自治体に大きな影響を与えるものです。しかし、今後、地域的な偏在が極めて小さい地方消費税を基軸に、地方分権時代にふさわしい地方税体系を構築していくためには、偏在の大きい法人二税のあり方を根本的に見直すことは、避けて通れない重大課題であると考えます。今後、知事会として明確な方針を早急に示すべきだと判断しています。

 そこで、先般の知事会でどのような点が先鋭な対立点となったのか、改めて説明いただくとともに、一方的に検討が進む政府に対して今後どのような対応をしていくつもりなのか、知事会長としての基本的な政治姿勢をお尋ねします。併せて、本県の税収構造にどのような影響を及ぼす可能性があるか、この点についても付言願います。

 次に、ふるさと納税についてであります。
 現在、総務省に研究会をつくって検討に入り、年末の税制改正を目指すとされているようですが、この構想について麻生知事はどのように評価しているのか、税収の偏在是正効果があるのか、また、どのような論点を地方の意見として主張していくつもりなのか、お尋ねします。

 第四に、県債残高問題についてお尋ねします。
 知事は、十九年度当初予算案の提出とともに、新しい財政構造改革プラン案を公表されました。

 これまでの財革プランが、財源不足を補うための特例県債からの脱却と、平成十八年度において財調基金等三基金の減少に歯止めをかけること、この二つの明確で分かりやすい「目標」を掲げていたことと比較しますと、大幅に後退していると言うような気がしてなりません。

 たとえば、改革の方針として大きく三項目あげられています。しかし、最初の二つは単なる「構え」に過ぎないものです。
 目標らしきものは二十二年度の県債残高の減少だけであります。

 県債残高は、平成十九年度末で二兆五千三百四十三億円に上っていますが、この中には地方自治体の自由な判断での発行の要否、発行額の規模を決定できない要素の強い特例的な地方債が多く含まれています。

 このような中で、如何にして県債残高を減少させていくことができるのか、知事の見解をお尋ねするとともに、新しい財革プランの実行に向けた知事の力強い決意をお示しください。
 

(税財政問題について)

 1 本県の景気見通しと県税収見込みなど







 今年度の税収見込みについて


 景気の回復が続いていることから、主力の法人二税において、鉄鋼業等の製造業が堅調であることに加え、小売・サービス業を中心に伸びが見込まれることや個人県民税において国から地方への税源移譲が実施されること等から、県税全体では前年度を千二百十六億円上回る額を計上したところであります。








 本県の経済見通しについて
   
 現在、自動車や鉄鋼などの部門において、高水準の生産を続けており、輸出につきましても、特にアジア向けを中心に堅調に推移しております。また、設備投資も旺盛で、雇用も改善してきていることから、全体として、今後も景気回復が続くと見込んでおります。

 原油価格やアメリカ経済の動向等には引き続き留意していく必要があると考えております。




 分権時代にふさわしい経済基盤の強化につい て

 地方分権時代においては、自立した経済基盤を確立することが重要であり、独自の産業政策を進め、国内外の地域間競争に打ち勝つ力強い産業を創出すると同時に、高い所得と安定した雇用をつくり出す必要があります。

 このため、中小企業への総合的な支援を行うとともに、本県の強みを生かした自動車産業や半導体、バイオなどの先端成長産業の育成・集積、収益性の高い農林水産業の振興などを図ってまいります。



 地方税源の偏在是正に関する知事会での議論と基本的考え方及び本県への影響について

 五月十八日の全国知事会議では、地方税収の格差は拡がっており、偏在を是正する必要があるとの意見が出された一方で、地方税源の充実強化が最優先であるとの意見が出されるなど活発な議論が行われました。

 その結果、地方税源の充実強化のため、まず地方消費税の充実に最優先で取り組み、あわせて合理的な税源偏在の是正策を検討していくことを合意したところであります。

 この方針に基づいて、政府等に対し働きかけを行っているところであります。

 このような改革がなされれば、本県においても税収の充実とともに、安定性の確保が図られるものと考えております。












 ふるさと納税について

 
都会の人がふるさとに貢献・応援したいという気持ちに応え、地方を何とかしなければならないという考え方については、理解できるものであります。

 しかしながら、税制として考えた場合、住んでいない所に納税するのが応益性の原則から見てどうなのか、また、地域間の税源の偏在を是正する効果がどの程度あるのか等の課題があるところであり、今後、そのあり方について十分検討される必要があると考えております。




 県債残高の減少と新しい財革プランの実行に向けた決意について

 今回のプランにおいては、県税収入をはじめ歳入の確保に努めるとともに、歳出面では、事業の重点化、効率化を図ることにより、県債発行を抑制することとしております。

 また、交付税の振替財源として発行を余儀なくされております臨時財政対策債につきましても、交付税の原資となる国税収入の増や地方財源不足の縮小に伴い、今後は減少していくものと見込んでおります。

 今後、プランに掲げた歳出・歳入全般にわたる改革措置を着実に実行し、財源不足額の圧縮に努め、平成二十二年度には県債残高を減少に転換させて参る所存であります。

 
 


 次に、新しい行政改革についてお尋ねします。

 去る六月一日に出された行政改革審議会の第一次答申によれば、「集中改革プラン」の着実な推進と更なる職員数の削減が最大の目玉になっています。

 そこで知事にお尋ねします。職員や職場の活性化については、五年前に意識改革アクションプランが制定され、確か議会にも報告されたと記憶していますが、日の目も見ずにほおむりさられているようです。

 このプランに今一度新しい光を当て、職員・職場の活性化に役立てる気持ちを持っておられるのか、お尋ねします。

 次に、職員の給与問題について、お尋ねします。

 我が会派は、この問題について機会あるごとに麻生知事の政治姿勢を質してまいりましたが、今回もまた何点かお尋ねします。

 まず、いわゆる「わたり」についてであります。
 本県の状況については、「わたり」はないというのがこれまでの知事の公式答弁であります

 しかし、職務に変化がないにもかかわらず、新規採用後一定年数が来れば年功序列的に主査などに昇級させ、本来の係長と同等の給料を支給する給料表の運用は、県民の目線からすれば実質的に「わたり」と評価されても仕方ないものです。

 聞くところによれば、亀井県政時代の給料の延伸措置によって低下した本県職員の給与水準を引き上げるため、いわば処遇改善として奥田県政時代に導入されたものと聞き及びます。本当でしょうか。

新しい行革では、相当思い切った職員数の削減が断行されると期待しますが、運用を含めた給与構造自体に思い切ってメスを入れるべきであります。改めて、この問題に対する知事の見解と認識と方針をお尋ねします。

 この問題に関連して、最後に、各職場での管理職と職員団体との交渉についてお尋ねします。

 職員団体との交渉については、二月議会においても、「ながら条例」の不適切な運用について知事の見解を質しました。すなわち、団体交渉のための移動時間について、知事は、「今後、移動時間について、どの範囲までを交渉に付随するものとして取り扱うことが妥当であるか、十分検討していきたい」と述べられました。どのような見直しがなされたのか、明らかに願います。

 ところで、知事は、四選後直ちに、従来の労使関係について、これまで管理運営事項に属する事項も交渉対象としていたなど、適切とは云えない実態があったとの基本認識から、労使慣行の見直しを庁内に強く指示されたと聞いております。

 そこで、お尋ねするのですが、これまでどのような不適切な労使慣行があったのか、管理運営事項を交渉テーマにしていたというだけでは納得できません。

 個別具体的にどのような事柄を労使交渉の対象にしてきたのか、県民の前に詳らかにしていただきたい。

 また、知事はこのような不法・不当な交渉が持たれていることを何時、何を契機として承知されることになったのか、また、四選直後の時期に何故俄に見直しを思い立ったのか、ご説明願います。

 さらに、人事当局からは、当面、着任交渉や協定書・確認書等の締結について行わないよう指示が出されていると聞きます。締結が広く慣行化しているような云い振りですが、いかなる協定書や確認書が存在するのか、既に調査されているはずであります。その件数や内容についても明らかに願います。

 これまで長年にわたり続けられてきた労使慣行を、この際一度全て根本から見直し、新しい労使関係を再構築すべきであります。そのために必要なことは澱のように溜まった労使慣行を全て県議会と県民の前にさらけ出すことであります。知事は、今後、不法、不当な労使関係のすべてにわたり、積極的に情報公開していくべきだと考えますし、当然そうしていただけるものと信じます。知事の強烈な政治的意志を確認したいと存じます。
 

 
(新しい行政改革について)

 「意識改革アクションプラン」について

 職員・職場の活性化については、「意識改革アクションプラン」に沿って、職員提案等実施事業の予算化や、職員研修の充実強化、県政出前講座の実施等に取り組んできたところです。

 新たな行政改革大綱においても、「職員・職場の活性化」を戦略の一つとして掲げ、これまでの取組に加えて、職場改善運動の実施や能力・実績に基づく人事評価制度の充実等に取り組み、職員の能力や意欲を引き出し、活力ある職場づくりを進めてまいる所存です。


 給与制度の運用について

 平成十八年四月には、給与構造の抜本的な見直しを行い、年功的な給与上昇を抑制し、より職務・職責を反映できる新たな給料表の導入を行ったところです。

 職員の給料は、給与条例の級別標準職務表に基づいて職に応じて格付けしており、また、昇任につきましては、能力、経歴、勤務実績を総合的に判断し実施しているところであります。

  今後、大幅な職員数の削減に伴い、役付のあり方についても検討してまいりたいと考えております。  














 「ながら条例」の運用について

 現在、交渉対象事項など、労使交渉のあり方という基本的な課題について、見直しを行っているところであり、その中で、職員が交渉に参加する場合の移動時間の取り扱いについても見直しの検討をしているところです。





 労使交渉の対象について

 労使交渉の対象は、職員の勤務労働条件及びこれに附帯する事項であり、管理運営事項については、交渉の対象とすることができないこととなっております。

 昨年来、労使交渉の実態について調査を行ってきたところでありますが、勤務労働条件の範囲を広く解釈し、定数など管理運営事項そのものについても交渉の対象としているものがありました。

 行政改革を推進していくためには、これまでの発想や仕事の進め方を根本的に変えていかなければなりません。このため、職員団体との交渉のあり方についても、慣行にとらわれず、見直しを行っていくべきであると考えたところであります。
 


 協定書などの締結の状況について

 慣行として、新たに赴任した所属長に対し着任交渉の申し入れがあり、その際に「従来の労使慣行を尊重する」などを内容とする職場協定書の締結を行う職場が多く見られました。

 調査の結果、平成十八年度に所属において締結された協定書は、八十三件ございました。


 今後の労使関係について

 今後、分権改革の進展、社会情勢の大きな変化の中、行財政改革を着実に推進し、少数精鋭の新たな県庁づくりを行っていくうえで、新しい労使関係をつくっていく必要があります。 

 このような考えにより、交渉のあり方にとどまらず、労使慣行について全般的に検討し、見直しが必要なものについては見直しを行い、新たな透明性のあるルールづくりを行ってまいります。


 次に、保健福祉問題として、二点お聞きします。まず、来年度からスタート予定の七十五歳以上を対象とした、後期高齢者医療制度についてであります。

 既に、本県においても制度の運営主体である市町村広域連合がたちあげられ、後は、運用開始を待つばかりとなっているところですが、この制度の円滑な運営には多くの重要な課題があるといえます。

 そこでいくつかの点についてただし、県の見解と対応を求めます。

 まず第一に今回の制度は、経済的にも健康的にも弱くなった年齢層だけを集め、独立制度とすることとされていますが、今日まで老人医療費については、社会保障費の中でも常に右肩上がりで、あらゆる角度からその問題点が指摘されてきたところであります。

 したがって、こうした高齢者、とりわけ後期高齢者だけを集めた医療保険制度にどのようなメリット、特典があるのか、今もってその意義を見いだしにくい根本的な問題があるといえるわけです。

 県民もここを深く心配しているわけですから、そこでまず、この制度についてその意義等について知事の詳細なる説明を求めるところです。

 次にこの制度運用開始後の本県独自の重要な課題についてであります。

 まず保険料は給付費の一〇%とされています。本県は、一人当たり老人医療費が全国一高いわけですから当然保険料も全国一高くなることが予想されます。

 そこでお聞きしますが、改めて本県における老人医療費の実態を説明していただくとともに、本県が後期高齢者にとって日本一高い保険料になるのではないか、という不安や心配については、市町村広域連合に対し、どのように指導されようと考えているのか、お示し下さい。

 また、この「市町村広域連合」では、議員の選出など議会の構成で政令市と一般市町村の間で、意見の違いがあったようですが、どのような結論をみているのかについても併せて説明願います。

 いずれにしましても、この制度については、円滑な運用を図っていこうとするならば、医療費の適正化が急務となり、保健事業と他の施策との融合効率的な事業展開が求められます。後期高齢者だけを対象にした医療費の適正化は、はっきり言って困難だと思います。

 医療費適正化については、若い世代から生活習慣病対策や医療計画、健康づくり計画、高齢者福祉計画、そして、なによりも食育を含めた総合的な取り組みが必要だと思います。そこで、こうしたことを考え合わせますと、今、都道府県に策定が求められている「医療費適正化五ヵ年計画」の取り組みが全ての面で大きな鍵を握っている気がしてなりません。

 この適正化計画の方向性等を含めた取り組み状況についてお聞きしておきます。

 保健福祉問題の二点目は、コムスンについてであります。

 大手の介護事業者であるコムスンについては、他の県で介護サービス及び障害福祉サービスに関して、指定の取り消し事由に相当する不正が発覚しました。

 国の通知を受け、都道府県では多くの事業所の更新ができないということで、事実上コムスンの事業所は廃業に追い込まれるという事態になっていると聞いています。

 県内でコムスンのサービスを利用している方は、この三月時点で約四千人となっていますので、この方々が継続してサービスが受けられるかどうかが最も大きな課題です。サービス利用に支障があってはならないわけですが、まず、これについてどのように取り組まれるのか、知事の見解をお聞かせください。

 今回のコムスンの不正は、東京都や青森県などにおいて、雇用実態のない職員を配置しているように装い、虚偽の申請により指定を受けたものです。
福岡県内には、現在九十近いコムスンの事業所があります。

 万が一、本県の監査に手落ちがあり、不正を見抜けなかったというようなことでは、県民に申し開きができないわけであります。
 聞くところによりますと、コムスンの発祥の地は福岡ということです。そういう意味では特別に複雑な思いもあるわけです。 
 そこで、県内のコムスンの実態はどうなのか、これまでの立入調査の結果について知事にお尋ねします。

 さて、本県には、七千五百を超えるサービス事業所があるようです。
 県がこれまでに監査を行い、指定を取り消したのは、二十法人、三十八事業所にのぼっています。コムスンの件は、「氷山の一角」とも言われています。

 介護サービス事業への参入が比較的自由な状況の中で、どのように事業所をチェックしていくのか、介護給付費の伸びを抑制するという観点からも、真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

 県は、事業所の不正防止にどのように取組まれるのか、知事の決意をお聞かせください。
 


(保健福祉問題について)
 1.後期高齢者医療制度の意義など







 後期高齢者医療制度の意義について

 今後、急速な高齢化により医療費の増大が見込まれる中、医療費の負担について国民の理解が得られることが重要であります。
 このため、医療給付を行う独立の医療制度を創設して、高齢者の保険料と支え手である現役世代の負担の明確化・公平化を図るものであります。



 本県の老人医療費の実態について

 本県の一人当たり老人医療費は、老人医療費全体の約半分を占める入院診療費が特に高くなっていることにより高水準となっております。
 これは、入院日数が全国平均に比べ長期化しているためであります。
 この主な要因は、療養病床数が全国平均に比し大きく上回っていることのほか、脳血管疾患等による長期入院が全国平均と比して高いことにあると考えられます。


 広域連合に対する指導について

 保険料の算定には、被保険者数及び一人当たり医療費等を的確に見込む必要があります。このため、県としても、情報提供に努め、広域連合に対して助言指導して参ります。
 また、所得水準に応じて、保険料を軽減する制度が導入される予定でありますので、適切に運用するよう指導して参る考えです。

 広域連合の議会の構成について

 簡素で効率的な議会運営のため、医療圏単位で人口規模に応じて議員を選出することとし、定数については三十四人となっております。
 ただし、全市町村が参加意識を持ち、円滑に制度を開始するため、当初の二年間に限り、人口規模も加味しながら全市町村から議員を選出することとして、定数は七十七人となっております。


 医療費適正化計画の方向と取組状況について

 急速な高齢化の進展の中で、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとし、医療費の適正化を総合的に推進するため、本年度中に、医療費適正化計画を策定することとしています。
 計画には、生活習慣病対策や療養病床の再編成などに関する具体的数値目標を盛り込み、予防と医療の効率化を軸とした、医療費適正化に取り組む考えであります。
 このため、学識経験者、保険者等、関係団体からなる検討委員会を設置し、実効性のある施策を検討しているところであります。







 コムスンのサービス利用者への対応について

 利用者が安心して引き続きサービスを受けられるよう、コムスンに対し、事業を引き継ぐまでは責任を持ってサービスを提供することや、利用者のサービス移行に支障が出ないようにすることなどを指導したところです。
 また、県に相談窓口を設置するとともに、保険者である市町村を通じて、利用者への必要な情報提供を行っております。










 コムスンへの立入調査の結果について

 コムスンに対しましては、これまで七つの訪問介護事業所への立入調査を行ったところです。
 その結果、正規職員でない訪問介護員をサービス提供の責任者としているなど不適正な運営が見受けられましたが、指定時の虚偽申請などの重大な違反は認められませんでした。



 事業所に対する不正防止の取組について

 平成十八年度からは、本庁に加え、保健福祉環境事務所においても事業所指導を実施し、今年度は、五つの保健福祉環境事務所に専門部署を設け、指導体制を強化したところです。
 また、法改正により導入された指定更新の機会をとらえ、すべての事業所を実地で調査するなど審査を強化し、より厳正な指導監督に取り組んで参りたいと考えています。






 

 
 次に農政問題についてお聞きします。

 まず第一点は、先にとりまとめられた行政改革審議会の第一次答申に基づく農政部と水産林務部の再編統合についてであります。

 時代の流れに徒らに迎合し、また、単なる経費の削減など効率化のもとに部の統合が進められると、それぞれの部が現在持っている機能や能力をそぎ、ひいては本県農林水産業の衰退を招くことにならないかと極めて危惧しているところです。

 そこで、知事にお尋ねしますが、どのような深い見解に基づいておられるのか、また、二つの部をもし一つの部に統合されれば、当然本県の部制は一部削減されることになるわけであります。その際は、本県部制は九部となると想像されますが、行政改革の成果として単純にそのように見通してよいのか、どうか、知事の抱負を披露願います。

 次に本年度からスタートした品目横断的経営安定対策の取組みについてであります。

 この経営安定対策の取り組みは、昨年秋から始まっています。担い手には認定農業者とともに、急ごしらえの集落営農組織が数多く含まれていることは、事実であります。

 私たちとしては、現在五百程度あるといわれている集落営農組織のうち、五年後に法人化まで行き着ける組織がいったいどれくらいあるのか疑念を抱かざるを得ません。

 また、本年四月からは米のナラシ対策への加入申請が開始されましたが、全国的に申請が伸び悩んでおり、今のところ本県においても低調と聞き及んでいます。

 そこで、知事にお尋ねします。
 経営安定対策の対象となるべき集落営農組織の法人化に向けて、どのような支援策を講じていく考えなのか伺います。

 次に、なぜ米のナラシ対策への加入が進まないのかその理由について見解を示していただくとともに、加入を促進するために具体的にどのような対策を講じられているのか、あるいは考えられているのかお答え願います。

 次に「経営安定対策」と車の両輪とも言うべき「農地・水・環境保全対策」についてであります。

 農家以外の地域住民も参加して、地域の財産である田んぼや水路等を守ることはまさに時宜を得た取り組みと思います。

 しかしながら、趣旨については理解し参加もしたいが、組織の立ち上げに苦労しているといった事例や、共同活動や営農活動について仕組みが分かりにくいといった声をしばしば聞くところであります。

 また、本対策のように広がりのある地域を対象にした取り組みは、ともすれば補助金をもらうための組織づくり、活動になってしまうことも危惧されます。

 そこで、知事にお聞きします。新たに始まった「農地・水・環境保全対策」の着実な実施に向けて、県はどのように指導をしているのか、具体的に説明願います。

 農政問題の最後に、畜産についてお聞きしておきます。
 最近のようにアメリカや中国での諸般の事情による、飼料用穀物の価格高騰は、畜産農家にとっては極めて深刻な問題であります。

 そこで、知事に質問します。他の品目に比べて経営規模が大きく負債も大きい畜産農家の経営状況はどうなっているのか、また、飼料価格が上昇している中でどのような対策を講じているのかお答え願います。

 次に畜産の中でも特に経営環境が厳しい酪農についてであります。

 本県でも、廃業を余儀なくされている酪農家も少なくないようです。事実昨年は三十二戸が廃業していると聞いていますが、これは由々しき事態でもあります。

 酪農家の経営安定をはかるため、緊急に対策をとるべきと考えますが、県農業における畜産の位置付けと併せ知事の考えをお聞かせください。以上でこの項の質問を終わります。
 


(農政問題について)

 部の再編の基本的な考え方について

 社会の変化や新たな行政ニーズを踏まえて、今後県に求められる役割を果たすため、抜本的な本庁組織の再編を行うこととしており、県民生活に係る部門の組織体制の充実や地域振興関係組織の再編など部の再編を含め検討して参りたいと考えております。

 また、農政部と水産林務部については、ともに第一次産業の振興を目的とする点で共通する点が多く、部の再編統合により、関連する各種施策を一体的、総合的に実施できると考えております。







 集落営農組織の法人化に向けた支援策について

 現在の組織の中には、核となる担い手が明確になっていない等、組織としての永続性に問題があるものが多く含まれております。

 このため、本年度からの新たな取り組みとして、構成員の年齢や農業経営の意向などの実態把握と診断により、組織を再編し、核となる担い手が生産の中心となるような永続性のある法人組織への発展を図って参る考えです。






 経営安定対策への米の加入が進まない理由と対応について

 本対策への加入にあたり、支援措置の大きな麦・大豆を優先して組織化され、米を経営に取り込むまでに至っていないことが要因と考えております。

 現在の組織が、永続性のある経営体に発展していくためには、米を含めた合理的な土地利用や機械装備の効率化を図ることが重要であることから、組織の再編や法人化を進めていく中で、米・麦・大豆が一体となった経営になるよう誘導して参ります。




 農地・水・環境保全対策の着実な実施に向けての指導について

 支援を受ける活動組織は計画を策定し、市町村と協定を結ぶなどの要件があり、確実かつ効果的に活動を行う必要があります。

 県としましては、本年四月に県や市町村、関係団体で組織する「福岡県農地・水・環境保全協議会」を設置し、本協議会を中心に、活動組織が円滑かつ適切に活動できるよう、指導・助言を行っているところです。





 畜産農家の経営状況と飼料価格上昇対策について

 飼料価格の上昇が経営を圧迫しており、特に、酪農については、牛乳消費の減少に伴う乳価の下落もあって、経営は一層厳しい状況にあります。

 このため、飼料価格安定制度や低利の飼料購入資金の活用に加え、飼料費の低減を図るため、「ふくおか型放牧」の推進や耕畜連携による自給飼料の生産拡大を図るとともに、食品残さの飼料化を推進して参ります。



 畜産の位置付けと酪農経営安定対策について

 畜産は、県農業産出額の約二割を占め、とりわけ酪農については、生乳(せいにゅう)生産量が九州第二位であるなど、重要な役割を担っています。

 酪農経営の安定のため、牛舎改造や乳牛の能力に応じた飼養管理の推進、自給飼料の生産拡大により、生産コストの低減に努めております。

 特に今年度は、酪農家の収入を増加させるため、受精卵移植技術を活用した和牛子牛の一層の生産拡大を進めて参ります。
 

 次に教育問題についてお聞きします。

 さる四月二十四日、全国の小・中学校で一斉学力調査が実施されました。実に四十二年ぶりのこと、と聞いております。

 ところで、愛知県の犬山市では全校がこの学力調査に参加せず、物議をかもしていました。

 そこで、教育長にお伺いします。
 本県では、当然、全ての学校が物議をかもすことなく整然と参加しただろうと思われますが、この調査の全国的な参加状況、及び本県の参加状況はどのようであったのか、また、この調査結果はいつごろ公表される予定なのか、お教えください。

 次に、こうした調査は、その結果を分析、検証し、今後の学力向上につなげていかないと何もなりません。

 昨年十月実施された四県合同の統一学力テストについていえば、小学校では算数、理科、中学校では国語を除く他の四教科が地方分権研究会が設定した期待正答率を五%以上も下回ったと聞いています。

 もし、全国一斉学力調査でも同様の結果が明らかになるとすれば、これは大変由々しき問題だと言わざるを得ません。

 そこでまず、県教委としては、昨年の四県合同調査結果についてどのような見解をもっているのか、改めて示して下さい。また、当然この結果を検証、分析し、学力向上対策に早急に取り組んでこられたものと思っています。こうした点を踏まえて今後の学力向上対策について、現時点での教育長の考えをお伺いします。

 次に障害のある子供たちに対する特別支援教育についてお聞きします。

 本年四月一日から、「特別支援教育」を推進するため、学校教育法等の一部を改正する法律が施行されました。

 県教委は本年三月、喫緊の課題である県立特別支援学校の配置や施設の整備に焦点化し「今後の県立特別支援学校整備に係る基本的な方針」を策定しています。

 しかし、その内容を見ますと、特別支援学校の整備に係る基本的な考え方や、高等部を設置する等の基本的方策を示すに留まっております。

 いつ、どこに高等部が設置されるのか、など、具体的なスケジュールはなんら示されておらず、障害のある子どもやその保護者、学校関係者の切実な期待に応えているとは言難いものです。

 そこで、お尋ねします。
 まず、本県における特別支援教育を、今後、具体的にどのように推進していくのか、所見を伺います。

 また、可能な限り早期に整備計画を策定すべきではないかと考えますが見解を求めます。

 次にマニフェストにおける教育施策についてうかがいます。

 知事は先の選挙における選挙公約の中で、心豊かで人格・学力・体力を備えた子供たちを育てる「福岡の教育」ビジョンを策定し、実施するため「教育力向上福岡県民会議」を創設します、と県民に約束されています。

 そこで、この「福岡の教育」ビジョンには、どのような性格や役割を持たせようとされるのか、まず御説明ください。

 次に、会議のメンバー構成やビジョンを策定するまでにどのように審議を進めていくのか、その会議の立ち上げ時期を含め、説明願います。

 また、「福岡の教育」ビジョン策定後、これをどのように具体化し、実施していくのか、その道筋について考えをお聞かせください。

 教育問題の最後に学校五日制についてただしておきます。

 この問題につきましては、その導入により授業時数が大幅に削減され、かねてから我が会派として、子どもたちの学力が低下するのではないかという懸念を表明し、県教育委員会に対し、学力が低下することのないよう要請してきたところであります。しかしながら、これまでの国際的な学力調査の結果等を見ますと、我が国の子どもたちの学力が全体として低下したと言わざるを得ないのではないかと思っております。

 こうしたなか、先日、国の教育再生会議から出された第二次報告の中で授業時数の10%増が打ち出され、夏休み等の活用や必要に応じ土曜日の授業も可能にすることとされております。

 確かに学校週五日制は、国の省令で規定されており、地方の裁量に一定の限界があることは承知しておりますが、例えば、県立高校において土曜日に授業を行い、これを中学生や保護者に公開するなどの取組も考えられます。

 そこで、教育長にお伺いします。
 今回の教育再生会議の第二次報告を踏まえて、県教育委員会として学校週五日制への対応を含め授業時数の確保について、どのように考えておられるのかお伺いします。

 

(教育問題について)

1.学校五日制の本県独自の取り組みなど


 全国学力調査の参加状況と公表について

 全国の参加状況につきましては、犬山市を除くすべての市町村教育委員会が参加し、参加児童生徒数は、小学六年生約一一七万一千人、中学三年生約一一六万一千人です。
 本県では、県内の全ての市町村教育委員会が参加し、小学六年生約四万七千人、中学三年生約四万六千人の児童生徒が参加しております。          
 なお、調査結果は、本年九月頃に公表される予定となっております。



 四県合同調査結果に対する見解と今後の学力向上対策について

 昨年度の調査では、基礎的な知識・理解は定着してきているものの、思考力や表現力等に課題がみられており、獲得した知識等を活用する学習の充実を図ることが必要と考えます。  

 このため、市町村教育委員会が詳細な分析を行い、主体的に取組を改善して学力向上プランへ反映できるよう、当該市町村へデータを送付したところであります。

 また、県としての調査結果の分析や指導のポイント等を報告書として示したところであり、今後とも、学校や市町村教育委員会への必要な指導・支援に努めて参ります。





 本県における特別支援教育の推進について

 本県では、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加を目指し、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行うため、昨年の県教審答申を踏まえ、本年三月に県立特別支援学校の整備に係る基本方針を策定したところです。
 今後は、この基本方針に基づき、教育的ニーズに応じた専門的な教育を受けられるよう可能な限り身近な場での教育体制を整備するなど教育環境の改善充実に取り組んで参りたいと考えております。




 県立特別支援学校の整備計画の策定について

 知的障害養護学校に在籍する児童生徒の増加や高等部への進学ニーズの増大、障害の重度・重複化などに適切に対応するため、本県における特別支援教育の中核的な役割を担う県立特別支援学校の整備が課題となっております。

 このため、本年度中の可能な限り早い時期に整備計画を策定し、来年度以降、段階的に実施して参りたいと考えております。




 「福岡の教育」ビジョンの性格、役割について

 子供の現状として、学ぶ意欲や自尊感情の低下、将来に対する希望の欠如や規範意識の低下など本質的な課題を抱えており、これらの課題の解決には、全国一律の施策や考え方ではなく、地方独自の工夫を凝らした教育を展開し、将来を担う子供を育成していくことが重要です。
  そのため、福岡の子供はこのように育てたいという、幼少期から一貫した教育の原則を作り、基本的な考え方や取組の方向性について、県民の合意形成を図りながら、具体的な行動や施策につなげていきたいと考えております。



 「教育力向上福岡県民会議」の構成について

 福岡の教育ビジョンを策定する県民会議は、県内外を問わず、学識経験者や各界各層の代表 者で構成し、できるだけ早い時期に会議を設置 したいと考えております。

 委員の皆さんには、福岡らしい教育について、どのような子供を育てるのか、県民は子供とどう関っていくのかということなどについて、大所高所から御審議いただき、年内には一定の結論を得たいと考えております。


 「福岡の教育」ビジョン策定後の取組について

 「福岡の教育」ビジョンの具現化のためには、県行政が、その内容を踏まえた施策を立案・実施していくことは当然でありますが、それとともに、県民の理解を得て、主体的に子供の教育に関わり、具体的に行動を起こしていただくことが重要であると考えます。

 そのため、「福岡の教育」ビジョンに基づいた、県民運動的な取組を県内各地で進めていきたいと考えております。

 学校週5日制の対応について

 本県では、学校週5日制のもとで、従来から各学校の実態に応じて、土曜日や夏期の課外授業等を実施してまいりましたが、御指摘のとおり、今後は、より一層の授業内容の充実と授業時間の確保を図ることが必要であります。
 従いまして、御指摘の県立高校における正規の授業として、土曜日の公開授業の実施や夏休みの一部に授業を行うなど、制度の枠内でなし得る最大限の工夫改善を図ってまいります。

 また、市町村に対してもその取組の情報提供に努めてまいりたいと考えております。



 


 さて、私の代表質問も最後となって参りました。
 最後に、今、緊急の課題にもなっています二点についてただして、この質問を終わりたいと思います。

 それは、福岡市と北九州市で発令された光化学オキシダントについてであり、また、少雨と水不足対策についてであります。

 北九州市では、オキシダント注意報発令のために五月二十七日に予定されていた八十五の小学校での運動会が延期されるなどして、県民生活に予期せぬ影響を及ぼしています。これについては、大気汚染物質が中国大陸から流されてくることが主な原因とみなされ、国に対して厳格なる対応を求められているようですが、今後、全国知事会長として、さらに活発に動いて頂くことを強く要望するところであります。

 次に、水問題についてであります。
 今年の全国的な小雨傾向により、本県においても三月から五月の降雨量は平年の約六割程度しかなく、県内主要ダムの貯水率は、平年を大きく下回っているようです。

 特に、京築地区の水源である油木ダムにおいては、少雨と農業用水の需要のピークが重なったこともあり、貯水率は、僅かにとどまり、既に底が見え始めているとか。このため、一部の市町で渇水対策本部が設置される等、現在関係機関で渇水対策がとられています。

 本県は、昭和五十三年、平成六年に大渇水に見舞われ、これを契機に日量最大五万トンを給水できる海水淡水化施設をはじめ、多方面で水資源を開発してきました。現在では開発中のダムを含めると十年間に一度程度の渇水には耐えられるレベルに達していると聞いています。

 異常気象の場合や水需要のピーク時には、まだまだ厳しい地域もあるため、現在建設中の五ヶ山、伊良原、大山、小石原ダム等の早期完成を目指し、全力を尽くして頂きたいわけであります。知事の見解をお示し願います。

 また、緊急時の対策としては、地域内、あるいは近接市町での水融通並びに水の有効利用の促進も必要であることから、関係機関での検討を含め、県においても緊急時の対応として指導を強く求めているようですが、併せて知事の見解を求めておきます。



(その他県政一般について)

 ダムの早期完成について

 水資源の確保は県政の最重要課題の一つであります。水資源に恵まれていない本県では、少雨による渇水や水需要に対応するため、水資源の開発に計画的に取り組んで参りました。
 今後とも建設中のダムの早期完成に努め、水に不安のない豊かで潤いのある県づくりを目指して参ります。







(水資源問題について)

 五ヶ山ダムからの一万トンの水供給について

 福岡都市圏においては、今後とも人口増加が見込まれ、それに伴い水道用水の需要も増えてくると予測しております。
このことから、都市圏全体の水の安定供給を図るために、五ヶ山ダムの新規利水一万トンは必要と考えております。








(その他県政一般について)

 異常な渇水時における利水調整について


 水道水、農業用水、工業用水等の調整につきましては、利水者間で協議を行っているところです。

 県といたしましても、利水者間の調整が円滑に行われるよう、各利水者に対し助言、指導等を行うとともに、利水者間の調整が難航する場合においては、河川管理者の立場で、あっせん又は調停を行っているところであります。
 

   
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