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   自民党県議団 代表質問 平成19年2月8日(木)   

   2月5日(月)に開会した2月議会は2月8日(木)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

      自民党県議団質問内容

 
 
 まず最初に、本県の来年度予算についてお尋ねします。
 本年は、この四月に知事選挙、県議会選挙が予定されるため、今回提出されている予算案は、四月から七月までの暫定予算となっています。したがって、来年度当初予算案については、六月議会で本格的に議論させていただきますが、何点かにわたって知事の基本姿勢をお尋ねしておきます。
 まず本年度の最終的な税収見通しと、これに伴う収支の状況についてお尋ねします。 
 次に、来年度は、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲が実施されるほか、景気の拡大や個人住民税の定率減税の廃止などにより、地方財政計画対前年度比約五兆五千億円、一五.七%の高い伸びを見込んでいます。

 本県の来年度の税収状況は、現時点でどのように見込まれているのか、景気・経済動向も併せて、基幹税を中心に知事の見通しをご説明ください。

 また、本県の来年度の地方交付税についても、人口、面積による配分を基本とする、いわゆる「新型交付税」が一部に導入されようとしています。新たな配分方法による影響も含め、年間を通じてどの程度の額を見込んでいるのか、明らかにしていただきたい。

 関連して、税源移譲に伴う個人住民税の増加問題について、改めてお聞きします。

 この問題については、去年九月の代表質問においても、税源移譲が増税ではないことを住民に承知徹底し、その理解を得るよう万全の対策を求めたところです。現時点で県内各市町村での対応を含めどのような対策を講じてこられたのか、具体的に説明願います。

 また、五月の住民税の納税通知の時期までには、住民理解が進んでいるか、これまで講じた対策が効果を上げているか、是非とも住民アンケート調査をするなどして検証し、不足している点があれば早急に補強の手立てを講じる姿勢が極めて重要だと考えます。知事のお考えをお聞かせください。

 次に、道路特定財源についてお尋ねします。 昨年12月、「道路特定財源の見直しに関する具体策」が閣議決定されました。そこでは、道路整備の必要性を具体的に精査し、真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、平成19年中に、今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成することとなりました。

 一方、平成19年度で期限が来る揮発油税や軽油引取税の暫定税率は、20年度以降も現行の税率水準を維持することとされていますが、国の道路特定財源については、毎年度の予算で道路歳出を上回る税収は一般財源とすることが明記されています。そして、税収全額を道路整備に充てることを義務づけている現在の仕組みは改めることとされています。

 そこで、今後の道路整備の水準を決める「中期的な計画」は、平成20年度以降の道路特定財源の実質的なあり方を決定する極めて重大な意義を持つことになります。

 国交大臣は、「夏ぐらいまでに国交省としての案をつくる」との意向を示されていると聞きますが、財政当局はできるだけ大きく一般財源化を確保しようと、中期計画の圧縮を強く求めてくることは必至であります。

 大都市圏と比べ地方は道路整備が遅れ、地域格差が生じる大きな原因ともなっています。本県の実情にかんがみても、道路特定財源の十分な確保はまだまだ重要かつ喫緊の課題であります。

 早急に有効な戦略を立て、国に対して的確な要請活動を展開していかなければ、地域の活性化を図ることは難しくなると危惧されます。

 そこで、麻生知事は、今後の中期計画に盛り込まれる「真に必要な道路整備」をどのように理解しているのか、また、本県の立場はもとより、全国自治体の代表として、中期計画の策定に向けてどのように対処されようとしているのか、答弁を求めます。

 また、今回の閣議決定では、今後の地方道路特定財源のあり方については、現行税率水準を維持することとされた他は、一般財源化の議論はなされていないと認識しています。 地方の道路事業に占める道路特定財源の割合は低く、地方の道路は改良率・舗装率ともに直轄国道に比べて遅れている状況にあります。このように地方の実情を踏まえ、地方道路特定財源の将来的なあり方について、知事の見識とその維持確保に向けての政治姿勢をお尋ねします。

 次に、予算編成に関連して、本県の行政改革の推進状況についてもお尋ねします。

 先の県議会で、知事は今後の行政改革の進め方について、十一月に設置した行革審議会を毎月開催し、来年度の早い時期に答申をいただきたいと答弁されております。

 現在の行革大綱は、平成十八年度までの計画であります。十九年度の予算案は当面暫定予算とはいえ、六月には本予算を編成しなければなりません。残されている期間はそう長くはないはずです。これまでのような進め方で、新しい行革の内容を六月本予算に反映する考えがあるのですか。そうだとすれば、新しい行革大綱の策定と実施のスケジュールについてどのように考えておられるのか、計画期間を含め知事の基本的な方針を明らかにしていただきたい。

 今後の五年間の本県の行革運営の基本的な方向性を指し示す重要なものですから、是非とも全国知事会長の名にふさわしい充実した内容の大綱となることを期待している次第でありますが、これまでの審議での議論等を拝見する中で、若干気になる点があります。

 この行政改革審議会は、もちろん知事の諮問機関でありますから、議論の対象となるのは知事部局が中心ということになるのでしょうが、一方で職員の数から見ますと、知事部局よりも圧倒的に教育、警察部門が大きいわけです。

 昨年、県が公表した集中改革プランでも、教育部門等での大幅な定数削減が織り込まれているところです。審議会という外部の有識者の眼にさらされることなく、本当に教育部門等での定数削減が実現できるのでしょうか。 また、結果として実現できたとしても、県民にとっては非常に不透明な形で決まっていくということにならないでしょうか。定数削減目標達成に向けた知事の決意と、審議会の場以外での検討過程が県民の目に見える透明性の高いものとするための具体的な方策について伺います。

 また、現大綱は、行革を取り巻く社会経済情勢の進展を先取りした七つの改革戦略を掲げ、当時としては画期的・先進的な大綱であったと考えますが、五年の計画期間を終えようとしている現在、反省点を含め、どのように総括されているのかお尋ねします。

 また、審議会への諮問文に記載された「主な検討課題」を見る限り、これまでの改革戦略を超えるような課題設定がないようにも見受けられるのですが、新たな行革大綱では、どのような新機軸を打ち出される考えなのか、知事の基本的な方針をご説明願います。

 ところで、先月、全国知事会では、道州制についての統一見解を決定されました。知事会が設置した道州制特別委員会が昨年十二月にまとめた原案をもとに議論されたと聞いていますが、今回の決定では、原案からどのような部分が軌道修正されたのかどうか、議論の経過をあらためて紹介いただくとともに、今後の政府与党における道州制議論に向けて、どのような方針で対処される考えなのか、お尋ねします。

 次に、市町村の行革について伺います。
 市町村合併後進県と言われてきた本県においても、既に一定の合併が行われ、また、現在も各地域での議論が進んでいると聞いております。合併によって、そのスケールメリットを活かし、行政運営の効率化を図っていくことは、これから益々重要になってくるのではないかと考えます。もちろん、公務員ですから法律上の身分保障もあり、合併後すぐさま職員数が激減するということはないかと思いますが、それでも全国の他の合併した市町村では、大幅な定数削減を行っていると聞いております。本県で合併した市町村では、今後五年間でどの程度の職員削減が実施されるのでしょうか。その内容は合併していない市町村と比べてどうでしょうか。
 いずれに致しましても、市町村における行革推進については、やはり知事の指導力が問われる問題ではないかと考えます。合併推進だけでなく、合併後の行革推進についての知事のお考えをお聞かせください。

 先月の報道によりますと、自治体職員が給与を受けながら労働組合活動を行える、いわゆる「ながら条例」について、不適切な条例内容や運用のある団体の調査結果が公表されています。よもや本県では該当ないであろうと思っておりますと、あにはからんや、運用の見直しが必要な都道府県十県の中に本県も入っています。組合交渉のための移動時間について、通常認められるべき範囲を超えて運用しているとの指摘でありますが、この点についての運用の見直しのお考えを伺います。

 また、同じ調査で、組合へのいわゆる在籍専従職員数の状況が公表されていますが、一般職員では本県は北海道に次いで全国第二位の多くの在籍専従がいることが明らかになっています。神奈川県では僅かに二人、大阪府でも五人なのに対し、本県は十九人と非常に多くなっていますが、この理由並びに知事の認識についてお聞かせください。

 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)



 1.来年度の税収見通し

 本年度の税収見込みと収支の状況について


 本年度の県税収入は、景気の回復を反映して当初予算額に対しまして百五十億円程度上回る見込みであり、さらに地方交付税の増額などにより、一般財源の確保が見込まれます。
 このため、二月補正予算においては、追加が必要な経費を措置したうえで、当初予定していた財政調整基金等の三基金からの取り崩し額を百七十七億円から百二十億円程度までに縮減し、今後の財政運営に備えたいと考えております。


 現時点での十九年度税収見通しについて


 景気の回復が続いていることから、主力の法人二税において堅調な製造業に加え、小売・サービス業を中心に伸びが見込まれることや、個人県民税において国から地方への税源移譲が実 施されること等を併せて勘案いたしますと、今年度と比較してかなりの増収となり、全体の地方財政計画十五・七%の伸び率を上回ることが見込まれます。


 本県の景気見通しについて

   
 本県では、自動車や鉄鋼などの生産が高水準の操業を続けており、輸出につきましてもアジア・北米向けを中心に堅調に推移しております。また、設備投資も旺盛で、雇用も改善してきていることから、全体として、今後も景気回復が続くと見込んでおります。
 国際情勢や原油価格の動向等には引き続き留意していく必要があると考えております。


 交付税の見込みについて


 平成十九年度の地方交付税総額は、地方税収入の増加が見込まれることなどから、前年度に比べ、四.四%減少しております。
  本県への交付見込額につきましても、来年度は県税収入の増加が見込まれますことから減少するものと考えております。
なお、新型交付税の本県への影響についてはほとんどないものと見込んでおります。


 税源移譲の住民への周知について


 県におきましては、税源移譲の意義などを県広報誌、新聞等に掲載し、広く周知しているところであり、また、市町村においても、年度末までには税源移譲の内容を説明した広報誌などが各戸に配布されることとなっております。
 納税額が通知される時期の周知が最も効果的と考えられるため、今後は、納税通知の際に税額に関してわかりやすい説明文を同封したり、税源移譲と定率減税廃止の影響額を例示したものを各戸配布するなど、全力で取り組んで参りたいと考えております。


 真に必要な道路と中期計画の策定について

 本県におきましては、自動車をはじめとする産業振興の基盤となる幹線道路網や県民が医療・通学などに安心して利用できる生活道路、さらには都市部における渋滞解消など今なお多くの道路整備のニーズがあり、重点的かつ効率的に整備を進めていく必要があると認識しております。
 中期計画の策定におきましては、このような本県の実情を踏まえ、必要な道路整備が中期計画にしっかり反映されるよう取り組んで参ります。

 地方道路特定財源のあり方と維持確保について

 本県の道路整備を重点的かつ効率的に進めていく上で、財源の確保はたいへん重要であると考えております。
 このため、道路特定財源の見直しにあたっては、まだまだ不十分な地方の道路整備の実情が配慮され、必要な道路整備のための財源が十分確保されるよう国等へ強く働きかけてきたところであります。
 今後とも地方が真に必要としている道路整備を行うための財源が確保・充実されるよう努めて参ります。
















 2.新たな行革大綱のスケジュールなど

 新たな行政改革大綱のスケジュールについて


 新たな行政改革大綱については、平成十九年度から二十三年度までの五年間を計画期間としており、現在、改革すべき課題について、行政改革審議会で審議いただいているところです。
 審議の整ったものについては、来年度の早い時期に答申をいただき、第一次の行政改革大綱を速やかに策定したいと考えています。
 この中で、これまで取組みを進めてきたアウトソーシングや事務事業の見直しなど、本予算に反映すべきものはできるだけ反映させたいと考えております。
 更に審議を要するものについても、秋頃までを目処に答申をいただきたいと考えております。



 定数削減の目標達成と検討過程について

 職員数の削減については、簡素で効率的な体制づくりのため、集中改革プランで掲げた目標に向けて、事務事業の見直しや組織機構の簡素化などにより、着実に取り組みを進めていく考えです。
 また、教育庁や警察の職員数については、厳しい財政状況のなか、全体として人件費に大きな影響があることから、これらについても、行政改革審議会に報告し意見をいただきたいと考えております。



 現大綱の総括について

 現大綱では、県立病院の民間移譲をはじめ、外郭団体の統廃合、アウトソーシングの推進などについて取り組んできたところであり、職員定数の削減数や歳出削減額については、当初の目標数を大きく上回るなど、全体としては大きな成果を上げたと考えております。
 なお、組織・個人として達成すべき目標を数値化する「重点組織目標」のように、一部、試行の結果、運用上の課題が明らかになり大綱どおりの実施ができないものがありますので、これらについては改めて議論を行い、実態にあった改革に努めてまいる考えです。



 新たな行政改革大綱の基本的な方針について


 現大綱の策定後、市町村合併の進展や国・地方を通じた歳出歳入一体改革など、新たな変化が生じております。
 このため、新たな行革大綱では、これらの状況を十分に踏まえ、今までにない大幅な職員数の削減を行って少数精鋭の体制を確立していきます。
 また、広域的自治体として県の担うべき役割は何かという観点から、事務事業の見直しを行うとともに、部の再編や出先機関の再配置など組織の抜本的な見直しについても、行政改革審議会で十分議論していただく必要があると考えております。



 全国知事会における道州制議論と今後の対応について

 全国知事会では、地方として求める道州制はどのような条件を満たしたものであるべきか、について議論を行いました。
 様々な議論がありましたが、知事会として基本的な立場を明確にしなければならないとの考えで一致し、概ね原案のとおり了承され、「道州制に関する基本的考え方」として取りまとめ たところであります。
 今後、この基本的考え方を基に、近く政府が設置する「道州制ビジョン懇談会」等の場において、知事会としての考え方を主張していきたいと考えています。



 合併市町村の行政改革について

 市町村の集中改革プランでは、平成十七年度からの五年間で、平均約七%の職員定数の削減を行うこととしております。
中長期的に見れば、合併による定数削減が計画されておりますが、短期間で比較しますと、合併市町村と未合併の市町村とでは大きな差は見られないところであります。
 国、地方を通じて総人件費の抑制が求められているところであり、今後とも合併市町村に対し、積極的に行政改革を推進するよう働きかけてまいりたいと考えております。


 「ながら条例」の運用について


 本県では、職員が適法な交渉に参加する場合、その移動時間については、国家公務員の取扱いに準じ、職務専念義務の免除を行ってきたところであります。
 今後、移動時間について、どの範囲までを交渉に附随するものとして取り扱うことが妥当であるか、十分検討していきたいと考えております。



 在籍専従職員について

 職員が登録を受けた職員団体の役員として、もっぱら従事する場合につきましては、地方公務員法に基づき許可を行っておりますが、在籍専従期間は、いかなる給与も支給せず、退職手当の算定となる期間からも除算しております。
 在籍専従職員の人員につきましては、それぞれの職員団体の規模や運営のやり方などにより異なるものと考えておりますが、職務の執行体制を確保する上で、一定の限度をもって対応すべきものであると考えています。
 

  次に共同公文書館構想についてふれておきます。

 昨年の年末に「福岡県共同公文書館基本構想検討委員会」から知事に対して、報告書が提出されました。

 県と市町村による共同の公文書館は全国にも例のないものですので、外部の専門家等により、共同公文書館における文書の移管・保存・閲覧等の基本的な仕組みが基本構想としてまとめられています。

 今日、市町村合併の進展に伴い、歴史資料として重要な公文書が散逸してしまうことが懸念される中、県としては、この基本構想を受けて、早急に共同公文書館の建設に取り組む必要があると思います。

 基本構想では、共同公文書館の基本的な理念や仕組み等は示されています。いわば公文書館のあるべき姿は示されているのですが、建設に必要な施設の規模や設備仕様、建設地等は具体的に何も示されていません。

 これでは、依然として建設の目処が立っていない状況に変わりありません。
 これら具体的な建設計画はいつ、どのようにして策定する考えなのかお答えください。

 また、政令市を除き、各市町村が単独で公文書館を設置し運営することは、財政的にも困難な状況の中、県と市町村が共同で公文書館を整備しようとすることは、全国初めてとみられ、先駆的構想でありますが、市町村が公文書館を理解し文書管理を適切に行うことなくしては、県の独りよがりの構想となってしまいます。

 市町村との協議の状況や今後の市町村に対する取り組みについて、お答えください。

 最後に、基本構想では共同公文書館の保存対象文書は、明治以降の公文書と行政刊行物とされており、いわゆる古文書の類は保存対象から外されている点についてお聞きします。 他県の公文書館では古文書も保存されているところがあるようです。

 例えば、地主の台帳類や様々な書簡類などは、当時の状況をよく表しており、役所が作成した公文書と民間の様々な史料が同じ施設に保存されていれば、地域の歴史を研究する上で利便性が高まると思います。

 共同公文書館でも県や市町村が保存している古文書類を保存してはどうでしょうか。
 古文書の取り扱いについてどのような基準や方針を持っているのかも併せ、知事の見解をお示し願います。

(共同公文書館構想について)

 共同公文書館の建設計画の策定について

 共同公文書館の施設規模や設備、費用負担の在り方等については、市町村と十分協議して進めていかなければならないと考えております。

 そのため来年度は、今回の基本構想を踏まえ、市長会及び町村会等が参加した協議会を設けて具体的な検討を行い、共同公文書館の整備に向けた基本計画を策定する予定としております。




 市町村との協議状況及び今後の取組について

 共同公文書館基本構想検討委員会には、外部の専門家に加え、市長会、町村会の代表も参加して検討いただいたところであり、また、基本計画の策定についても、市長会や町村会等も参加する協議会で検討することとしています。

 また、市町村によって公文書館への理解や文書管理の方法が異なるため、今後、市町村に対し、重要な公文書等が共同公文書館に円滑に移管される仕組み等について説明し、文書管理の質の向上を図って参る考えです。







 共同公文書館における古文書の保存について

 民間や例えば江戸時代の藩などで作成された歴史的価値のある古文書については、各地の歴史資料館や建設予定の九州歴史資料館で保存されることが適当であると考えており、共同公文書館の保存対象については、基本構想を踏まえ、県及び市町村が作成した公文書等とする考えです。

 


  次に福祉・医療問題についてただします。
 まず最初に、療養病床再編に伴う諸問題についてであります。
 先の小泉内閣最後の国会で、国民皆保健を堅持し、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとしていくため、「医療制度改革関連法」が成立しました。

 この中で、国民が関心を寄せているのが、療養病床の再編整備であります。

 全国の療養病床は三十八万床あるといわれ、「医療型」の二十五万床と「介護型」の十三万床に二分されます。この療養病床について、@医療の必要度が高い患者を受け入れるものに限定したうえで医療保険で対応するとともに、A医療の必要性が低い患者については、病院ではなく在宅、居住系サービス、または老健施設等で受け止めることで対応するというものであります。

 これにより、平成二十三年度末までに介護型を全廃し、医療型と併せて再編することで、病床数を現在の三十八万床から十五万床に減らし、削減される二十三万床については、老人保健施設等へ転換していくとされています。

 そこで一部で関係者の間で大きな不安を招き課題とされているのが、療養病床から移行する患者さんの「受け皿」の問題であります。 行き場のない人が出るようなことは絶対に避けなければなりません。患者さんの不安を解消し、現場が混乱することなく療養病床の再編がなされることが重要であり、転換先については、患者さんの要望をくみ取り、移行が途切れることがないよう留意する必要があると考えます。

 そこで知事にお尋ねします。
 今回の療養病床再編について知事はどのような見解を持たれているのかお示し願います。 次に本県下の病床数整備の見通しと受け皿整備については、どのように取り組んでいかれるのか、その方針なり抱負なりをお聞かせ願います。

 次に障害者福祉についてであります。
 障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指して「障害者自立支援法」が昨年四月に施行され、障害者福祉の充実を一層推進することとされています。

 しかしながら、法施行から今日まで障害者や関係者から、利用者負担の増加や施設の報酬の減少などが強く指摘されてきました。

 このため国においては、わが自由民主党が中心となり連立与党の公明党とともに、障害者自立支援法のさらなる見直しを検討してきたところであります。

 この結果、平成二十年度までの特別対策として、利用者負担の更なる軽減措置、事業者に対する激変緩和措置、新法への移行等のための緊急的な経過措置を三つの柱とし、千二百億円の予算規模でもう一段の改善策を講じることとなり、これにより法の定着を図るようになったと聞いています。

 そこでお聞きしますが、障害者自立支援法の円滑な施行に向けて、国の特別対策事業を含めて、県として障害者福祉の充実にどのように取り組むのか、知事の決意を伺います。

 また、自閉症等の特有な発達障害を持っている障害児者に対する施策も重要な課題であります。
 本県の状況を見ると、平成十五年十二月に発達障害者支援センターを設置しておりますが、利用者の増加に対する対応や遠距離からの利用者の利便性、特に筑後地区にこの種施設がないことなどから、色々と問題が派生していると聞いています。

 そこでお伺いしますが、センターの利用状況をお尋ねするとともに、発達障害者に対する施策を今後どのように整備・推進していくのか、知事のお考えをお聞かせください。

 最後に少子化対策、子育て支援対策についてであります。
 平成十七年の日本の総人口は一億二千七百七十六万八千人で、前年を二万二千人下回り、さらに出生数を死亡数が二万一千人余上回り、わが国が「人口減少社会」に突入したことが統計的にも明らかになっています。

 本県においても、平成十七年の出生数は前年より減少し、少子化が更に進行しています。

 これをやれば直ちに効果が上がるといった即効的な行政施策が考えられないところに、この少子化対策の悩みがあるといえそうですが、さりとて泣き言ばかり言っている状況ではさなそうです。

 ところで何かの冊子で目にしたことですが、知事は昨年の出生率に関連し、少子化が底を打ち、転換点に達しているのではないかとの個人的な見解を述べられていたようです。

 その見通しも含め、本県として今後の少子化対策にどのように取り組まれるのかお伺いします。

 
(福祉・医療問題について)

 療養病床の再編について

 療養病床の再編は、入院患者それぞれの状態に即した、より適切なサービスを提供するとともに、医療保険や介護保険の財源、さらには医師や看護師など限られた人材の効率的な活用という観点から、老人保健施設等への転換を進めるものであります。







 病床数整備の見通しと受け皿整備について

 本県の療養病床数は、平成十八年十二月末で、二万四千余となっております。

 この療養病床の再編にあたっては、入院患者や医療現場に混乱が生じることがないよう、患者の実態を踏まえるとともに関係者と十分に協議を行ってまいります。

 また、保健医療の専門家等による「検討委員会」を設置し、受け入れ体制の確保などを内容とする「高齢者等地域支援構想」を本年秋までに策定することとしております。

















 障害者福祉の充実への取り組みについて

 障害者自立支援法の円滑な実施を図るため、国において特別対策を実施することになりました。

 県といたしましては、基金を設置し、利用者負担の更なる軽減や事業者に対する激変緩和措置などの改善策の実施に取り組んで参りたいと考えております。

 さらに、県独自の施策として、小規模作業所の運営の安定化と新体系への移行促進のため、運営費の助成を継続することにしております。

 今後とも、障害のある方々が地域で安心して暮らせるよう、障害者福祉の一層の充実に努めて参る所存であります。



























 今後の少子化対策について

 本県では、平成十七年に合計特殊出生率が上昇し、婚姻件数も増加に転じました。

 さらに、平成十八年は出生数も増加に転じており、少子化の流れが変わる兆候ではないかと期待しております。

 この機を逃さず、少子化の流れを変えるためには、社会全体で子どもや子育てを応援する気運を一層高めていくことが重要であります。

 このため、新たな出会いの応援事業の推進や「子育て応援宣言企業」・「子育て応援の店」の拡大など、様々な施策を組み合わせて少子化対策を引き続き総合的に進めてまいります。


 


  次に農政問題についてであります。

 既に、宮崎県だけで三件、岡山県でも一件の鳥インフルエンザ発生が確認され、まだまだ広がりそうな気配に、またまた県民の心配や不安がつのっています。本県における対応につきましては、奇しくも、昨年末の県議会代表質問において質したところでありますが、今後とも万が一の事態に備え、万全な体制を維持するよう、強く要請し、予防や不測に備えた対応についてまずはお聞きしておきます。

 さて本年四月より、全ての農家を対象に実施してきた品目別「価格政策」から、支援対象を担い手に絞りこみ、その経営を維持する「品目横断的経営安定対策」がいよいよスタートします。

 これまで、我が国の大がかりな農業施策が減反政策に代表されるように、二、三年毎にくるくると変わってきたため「猫の目行政」とか「バラマキ行政」と言われ批判にさらされてきたこともしばしばでした。

 そこで、同じ轍を踏まずに、今回の政策を成功させるためには、戦後の主な農政改革の動きを今一度振り帰っておく必要があると思います。

 一九四五年の農地改革により、実に七割余りの農地が小作人の方へ移りました。
 農家はこれにより自作農となり、自分の農地になったことで意欲が湧き、生産量は飛躍的に増進しました。

 この結果、敗戦から僅か二十五年後の一九七一年には、早くも食の多様化による米離れなどの影響などから、米余りによる減反政策がスタートしています。

 一方、国際情勢に目を移しますと、一九四八年には、「自由で円滑な防疫の発展を目指し、関税と貿易に関する一般協定」、いわゆるGATT(ガット)が締結されました。

 これは、世界経済のブロック化が第二次世界大戦を招いた一因でもあったとの反省を踏まえ締結されたことは承知のとおりであります。

 その後、牛肉・オレンジの輸入自由化、ウルグアイラウンド受諾による米の市場開放などが次々と決定されました。

 一九九五年には、GATTを拡大発展させる形で、世界貿易機関、いわゆるWTOが設立され、二〇〇一年には、全ての分野において一括し合意することを目指した交渉が開始されたわけです。

 しかし、焦点の農業分野の補助金削減や市場開放など主要な争点では、進展がないまま現在に至り、交渉再開には更に数年かかるだろうという憶測も流れているのが現状です。

 他方、本来的にはWTOの多角的貿易体制を補完するためであった自由貿易協定、いわゆるFTAやEPAは、世界各地で交渉が進められ、協定数は一九九〇年の三十一から、二〇〇五年には百七十四と大幅に増加しています。

 我が国もこのような世界の潮流に取り残されないよう、東南アジア諸国等との交渉や検討を実施しているようです。今年からは、多くの農産物を輸入しているオーストラリアとの交渉についてもスタートさせるとのことであります。もともと世界経済のブロック化が進まないように締結されたGATTの基本的精神に逆行するものではないか、との懸念を抱かざるを得ません。

 我が会派は昨年十二月、オーストラリアとの自由貿易協定交渉入りに際し、我が国農業の崩壊にもつながりかねない米や麦などを交渉の対象外とすることなどの要請を、農業関係六団体から受けました。

 私たちは、益々グローバル化していく世界経済の中において、農業という産業を他産業と同等の扱いをしていいのか、このままでは「瑞穂の国、日本」の農業に壊滅的な影響を与えてしまうのではないかと危惧するものであります。

 品質はともかく、価格が大きくかけ離れている麦や大豆が、輸入品と勝負にならないことは明らかです。しかも、この麦や大豆は、今回の「品目横断的経営安定対策」の正に対象品目であり、対応を誤るとまたしても過去と同じ轍を踏みかねません。

 そこで知事にお聞きします。わが国と諸外国との自由貿易協定における農産物についての基本的な考え方をまずお示し願います。

 次に、コスト削減のため海外に工場を造るなどが可能な工業と比較して、農業を産業としてどのように位置付けられているのか、本県農業の振興方向と併せお聞かせ下さい。

 ところで、精魂込めて作った農作物も、需給バランスが崩れると一気に価格が崩れてしまいます。昨年、本県でも実施された大根などの産地廃棄はまさにその典型であります。
 自由経済の下では、需給バランスで価格が決定されることは当たり前ですが、天候に大きく左右される農産物は、工業製品のような生産管理は極めて困難です。

 農産物でも、全国的な知名度で売るブランド化戦略は、現在のようにものが売れない時代には重要な販売戦略には違いありません。
 あまおうのように、短期間でブランド品として育て、京阪神市場はもとよりアジア地域においても、その知名度、ブランド力で勝負するという本県の取組は非常に高く評価するものですが、県外ではなく県内に目を向けた販売戦略について、もっと充実させる必要があるはずです。

 本県は五百万県民を抱える一大消費地ですが、県民の胃袋を満たしているのは自給率が百%近い米でさえ県産品の割合は六割程度で、野菜や果物、畜産物にいたっては、流通システムの複雑さから仕方ないかもしれませんが、割合は思った以上に少ないのではないでしょうか。五百万県民がいる消費地「福岡」に的を絞った販売戦略をもっと重点的に実施しないと、福岡県は他県の「草刈り場」になりかねません。

 県産農産物をもっと県民に買ってもらうような販売戦略を実施すべきと考えますが、知事の考えをお聞かせ下さい。

 農政問題の最後に、販売戦略の一つである新品種の開発状況についてお尋ねします。
 新品種の開発は、県農業を活性化させるための重要な手段でありますが、例えば本県の育成品種「夢つくし」は、数年で育成者権が消滅し、他県産「夢つくし」が県内でも販売可能となります。
 県では現在、どのような農産物開発を行っているのか、次期「夢つくし」の開発方向も含め、お聞かせ願います。
 


(農政問題について)

 鳥インフルエンザの発生予防と不測の事態に備えた対応について

 全養鶏場を対象に立入調査等を行い、野鳥の侵入防止対策や清掃・消毒の徹底、異常な鶏の早期発見と早期通報について周知徹底を図るとともに、発生が続く宮崎県の防疫作業を支援するため、他県に先駆けて本県職員を派遣いたしました。

 また、関係部署からなる対策連絡会議を開催するとともに、万一の際、防疫措置を円滑に行うため、家畜保健衛生所ごとに市町村・農協の参加のもと机上防疫演習を実施しております。















 自由貿易協定における農産物の基本的な考え方について

 農業は国民の生命に不可欠な食料を生産するだけでなく、国土の保全や水資源の涵養など、いわゆる多面的機能も有しております。

 このため、農業及び農村を貴重な財産として育み、次世代に引き継ぐとともに、国民に将来にわたり不安を与えないよう、米や麦など、我が国にとって重要な品目は、協定においても関税など必要な措置がとられなければならないと考えております。










































 農業の産業としての位置づけと振興方向について

 農業は自然の影響を大きく受ける産業であると同時に、国土の保全や水資源の涵養、豊かな景観の創造等の輸入できない農村環境を醸成するなど、他の産業とは異なる性格を持っていると考えます。

 このため、農業従事者の高齢化や産地間競争の激化など緊迫した状況の中で、農業を持続的に発展させることが喫緊の課題であります。

 県としては、経営能力に優れた担い手やブランド産地の育成、生産体制の整備、さらには、特長を活かした中山間地域の活性化や農村環境の保全・向上にも努め、高収益で後継者が将来に展望の持てる力強い福岡の農業の実現に全力を挙げて参ります。









物の県内における販売戦略について

 本県は、二つの政令市を含む五百万県民を有しており、その県民の皆様に、本県の農業が持つ多面的な役割を理解していただき、進んで買っていただくことが、本県農業の振興と農村の活性化につながるものと考えています。

 このため、都市と農村の交流促進や農林水産まつりなど各種イベントにおけるPR、直売所の活動に対する支援など幅広い施策を実施しており、今後とも、本県の農業者の皆様が精魂込めて生産した、新鮮で美味しく安全な農産物を、より多く、県民の皆様に消費していただけるよう積極的に取り組んで参ります。











 農産物の新品種開発について

 農業総合試験場では、激しい産地間競争に打ち勝つために、夢つくしを超える水稲や、ラーメン用小麦、カロチンが豊富な青ネギ、受粉作業が要らないナス、色が美しく糖度が高いミカン、これまでにない色のキクや大輪で八重咲きのトルコギキョウなど花き類の新品種開発に取り組んでいます。
 今後とも、消費者や農業者の皆さんの期待に応えられるよう、本県独自の品種開発に努めて参ります。

 

 
 次に、県の住生活基本計画づくりに関連し県の住宅政策の基本的なことについてお尋ねします。

 法においては、政府の全国計画に即して、都道府県は住生活基本計画を定めることとなっており、現在、本県においても住生活基本計画を策定中と聞いておりますが、本県の住生活基本計画は、どのような内容となっているのでしょうか。まずお尋ねいたします。

 次に、住宅は個人の私的な生活の場であるだけでなく、地域コミュニティの形成など、豊かな地域社会づくりを行う上で重要な要素であります。今後、本格的な少子高齢社会、人口・世帯減少社会の到来を目前に控え、県民のニーズを的確に把握し、豊かな住生活を実現するための住宅政策の遂行が、より一層重要になってくるのではないでしょうか。新しい団地造成が従来の地域コミュニティを壊すようなことがあっては、もちろんいけないことです。

 また、もともとある地域コミュニティと隔絶された別のコミュニティを生み出し、地域住民に違和感をもたらすことも決して好ましいことではない、と考えています。

 基本計画のなかでこうした地域コミュニティの形成や融合についてはどのようにとらえようとされているのか、見解をお示しください。

 ところで、言われて久しいことでありますが、わが国においては既に早くから住宅供給が需要を上回り、これに伴い、住宅政策の要は量の確保から質の向上を図ることだと言われつづけてきました。

 本県においても、総世帯数の13%を超える住宅があり、今後は、質の向上を図ることが益々必要となっている、とされています。

 このことは、かつて国民、県民の多くが住宅難にあえぎ、持ち家はおろか、賃貸住宅入居もままならず、間借りや下宿といった借家暮らしが地域のあちこちでみられたことを考えると、大変な進歩であり、喜ばしい限りではありますが、時代が既に量から質の時代に入ったと言われながらも、今ひとつ実感できないのであります。

 それは、これだけ豊かになったといわれる住宅事情のなかでも相変わらず住宅困窮者なる人たちが絶えないからです。

 例えば、離婚率の上昇による母子世帯の増加、所得の少ない高齢者、国際化による外国人居住者増加などは、自力で適切な住宅を確保することが困難です。住宅弱者ともいうべき人たちであります。

 なかには所得は十分あっても身元を保証してくれる身近な人に恵まれないために思うように住宅が確保できない人も決して少なくないようです。

 こうした人たちに対する、いわば住宅弱者に対するセーフティネットづくりにおいてこそ私は県営住宅をはじめとした公営住宅がその役割を果たすべきだと考えます。

 公営住宅の建設を単に老朽住宅等の建て替えだけにとどめるのか。ただ今私が指摘したような観点を踏まえ、住宅弱者に対するセーフティネットづくりといった新しい役割を公営住宅の建設に持たせることを住生活基本計画のなかで位置づけるべきだと考えますが、どのような考え、方針をお持ちなのか、知事の見解をお示し願います。

 最後に、県民や住宅関連事業者などの意見の反映等についてであります。
 住宅政策の展開は、県のみならず県民、住宅関連事業者等の取り組みが必要で、広く県民等の理解と協力が前提になるものと考えます。計画の策定に際し、県民等の意見を反映させるためにどのような措置をとられるのか、また策定時期がいつ頃になるのかお尋ねしておきます。
 


(住宅行政について)

 住生活基本計画の内容について

 現在策定中の計画では、県民の「安全・安心で、うるおいある、いきいきとした住生活」を目指すべき将来像として位置づけております。

 この実現のため、県民の多様化・高度化する居住ニーズに適切に対応する住宅市場を形成し、将来世代へ継承できる良質な住宅の供給と良好な管理・改修を促進するとともに、街なか居住の促進など、まちづくりと連携した住まいづくりを進めることとしております。








 地域コミュニティの形成について


 本計画においては、良好な地域コミュニティを次世代育成や犯罪抑制効果、住宅地の維持管理など、幅広い観点から重要な役割を担うものとして位置づけ、地域住民が主体となり、その形成に取り組むことを基本としております。

 このため、良好なコミュニティを形成する住まいづくりの普及のほか、人口減少が進む街なかなどにおいて、高齢者や子育て世帯など多様な世代が居住し、交流する地域づくりを支援することとしております。




















 住宅セーフティネットの確保と公営住宅の整備について

 現在策定中の計画では、公営住宅を住宅セーフティネットの中心と位置づけております。

 公営住宅の整備にあたりましては、高齢者・母子世帯等の増加や地域の住宅事情、今後の人口・世帯の動向などを踏まえた対応が必要であります。

 このため、市町村とともに、適切な整備等を行い、住宅セーフティネットの役割を十分に果たせるよう努めて参りたいと考えております。
  











 県民の意見の反映等について

 現在、県のホームページへの掲載等により、本計画に関するパブリックコメントを実施しており、県民や住宅関連事業者等からの意見を適切に計画に反映させ、年度内に策定したいと考えております。

 


 次に、教育問題についてお尋ねします。

 昨年末、約百九十時間に及ぶ国会審議を経て、教育基本法が改正されました。
約六十年ぶりとなるこの法律の改正は、私たちはもとより、教育の立て直しを求める多くの国民の声に応えるものでありました。

 また、憲法改正と並ぶ私たち自民党結党以来の悲願でありました。まさに歴史的な出来事であります。
さて、この教育基本法の改正の要点は大きく三つあると考えます。

 一つ目は、戦後教育で不十分であった教育の理念を確立したことです。教育の目標として「豊かな情操と道徳心」、「公共の精神」、「伝統と文化の尊重」、「我が国と郷土を愛する態度」などが明確に盛り込まれました。

 二つ目は、教育行政における国と地方の役割の明確化です。教育振興基本計画の策定を含め、国と地方の取り組むべき内容と責任をはっきりとさせました。

三つ目は、教職員団体等による教育の「不当な支配」の排除です。一部教職員団体による「教育権は教員のみにあり、校長などの指示は不当な支配である」という主張やそれに基づく各般の反対行動の根拠が、今回の改正によってなくなりました。これにより、戦後長らく教育界に存在した不毛な混乱に終止符が打たれることとなります。

 このように今回の改正は、現行教育の様々な問題点の根を断ち切り、将来に向かって我が国の礎となる教育の在り方を明示したものであり、我が会派としてもその実現に全力を挙げて取り組む考えであります。

 そこで、教育長にお伺いします。
 新しい時代を志向する新しい教育基本法ができました。歴史的節目に今我々は立っています。今こそ、新しい理念の下、これまでの教育を立て直し、我が県の教育改革を積極果敢に推し進めるべきです。

 改正教育基本法の成立について、教育長の認識と、今後の教育改革にかける決意をお聞かせください。

 次に、不適格教員に対する対応等についてであります。
 本県においては、昨年、いじめを苦にした生徒が自殺するという事件が発生しました。また、全国的な事象ですが、高等学校の未履修問題等大きな問題が発生しております。
 さらには、飲酒運転・無免許運転・猥褻行為を行う教員等の報道が後をたちません。
 こうした学校教育の現状を見ますと、子どもを学校へ通わせている保護者の不安は当然のことながら我々としてもわが国の将来に大きな不安を抱かざるを得ません。

 これらの問題は、言われて久しいことでありますが、教員の資質・能力の問題が大きく関係しているものと考えられます。

 漫然と子どもの教育に携わる教師、いわゆる「指導力不足教員」の問題であります。子どもや保護者は教師を選べません。こうした指導力がない教員を教壇に立たせることは問題であります。

 そこで教育長にお尋ねします。県教育委員会においては、現在、指導力不足の教員に対して特別に研修を行う制度を設けておりますが、これまで何人の教員がこの研修を受け、どのくらい指導力が改善し、学校現場に復帰したのか。また、指導力が改善しない教員に対してどのような人事上の措置を執ってきたのか、またかつて教育長は指導力の改善が図られない教員については、分限免職等の措置も辞さないことを明確に示されています。

 このような方針にいささかも変更がないのかどうか、併せてお答え願います。

 さらにこの際、教員免許更新制についてお伺いしておきます。昨年七月に出された中教審答申の中で、また今年一月末には教育再生会議の第一次報告で、教員免許更新制の導入が提言されています。現在の教員免許は一旦取得したならば一生有効とされています。

 しかし、現在の教育は、高度な専門性と指導力を必要とします。いったん取得したら一生有効などという甘いものではないはずです。 教師としての適格性を確認し、その時々で求められる教員としての必要な資質や実際の指導力を保証するための制度は必要なものであると考えます。

 免許の更新が認められない教師は当然に出てくるだろうと思われます。更新できなければ、教師として必要な資質能力がないということで、不適格教員とみなされるはずです。そんな教員は教壇に立たせないようにすることは、当然ではないでしょうか。教育長の決意のほどをお伺いします。

 次に、県立高校の入試改善についてお尋ねします。
 この三月実施の平成十九年度入試から、一部高校で追加問題が試行的に導入されるようです。
 そこで、この追加問題の試行導入に当たり、以下の二点について教育長にお尋ねします。
 まず、この追加問題は「試行」として実施されるとのことですが、その具体的な内容、導入する学校、本格導入の時期についてお答えください。

 次に、この追加問題が今後の入試改善とどのようにつながるのかであります。想像するところ、進学校といわれるレベルの高いところにおいては、現行の入試問題では容易すぎて受験生に点差がつかず、判定が困難なため難問を含んだ追加問題で、別途ふるいにかけるとしたら、そこには入試改善の新たな理念はなんらくみ取ることができません。

 改めて、もともと入試改善の柱として掲げられていた自校問題作成、入試科目削減、加重配点等といった考え方、方針と絡ませ、県教委の今後の方針もお聞きします。

 最後に改めて、再度いじめ問題について尋ねておきます。
 昨年、筑前町において発生したいじめが原因とされる自殺事件をはじめ、全国に広がったいじめ問題は、学校や教育委員会の在り方が問われるばかりでなく、我々、地域社会の在り方も問われる大きな社会問題となったところでありました。

 県教委は、学識経験者等からなる「県いじめ問題総合対策検討会議」を設置して、そこでの意見を踏まえながら総合的な対策を講じていく旨の方針を明らかにしています。

 県においては、既にいじめ問題への総合的な対策の策定を行ったと聞いております。教育長は県の教育行政の責任者として、どのような対策を立て、いじめ問題へ対応していく方針なのかをただし、教育問題についての質問を終わります。


(教育問題について)

 改正教育基本法の成立について


 戦後教育の状況を踏まえ、新しい時代を展望して、このたび国民的合意の下に教育基本法が改正されたことは、正に画期的なことであり、教育行政推進上、大きな意義を有するものと考えております。

 県教育委員会としましては、今後、この新しい教育基本法の理念を体現すべく各般の施策にその精神を活かすとともに、国の法改正や教育振興基本計画の策定等を踏まえながら、本県の教育改革を力強く推進してまいります。




































 指導力不足教員について


 学校教育の成否は、教員の資質能力に負うところが大きく、指導力改善事業において、これまで七十名の教員の研修を行っております。

 このうち指導力が改善し学校に復帰した者は四十六名、指導力が改善せず自主退職に至った者は十一名、学校事務職員に転職した者は一名、現在研修中の者は十二名であります。

 今後とも、本事業の充実を図り、それでもなお指導力が改善しない教員については、分限免職等を含め、厳正に対処して参りたい。





















 教員免許更新制について

 教員免許は教員の基礎的な資格を保障するものであります。その上に教員は絶えず研究と修養に努め、時代の進展に応じて必要となる専門的な知識や技術を身につけることが求められており、その努力を怠る者は、教員としてふさわしくないと考えております。

 現在、国において教員の資質能力を担保する制度として、教員免許更新制の導入が検討されており、制度化後は、その趣旨・目的にかなうよう、適正に運用して参る考えであります。










 高校入試における追加問題の試行について


 今回の試行は、各高校の教育課程の特色に応じ、教科数学において、学習指導要領に準拠しつつ深い思考力等を適正に評価しうる発展的問題を通常の学力検査に追加し実施するものです。

 平成十九年度の実施校は、筑紫丘高校、明善高校及び嘉穂高校の理数科並びに小倉高校及び修猷館高校の普通科の五校二学科であります。

 今後二年程度の試行の後、各高校の特色と希望を踏まえ、平成二十一年度入試での正式導入を目途に準備を進めてまいります。


 今後の入試改善の方針等について


 本県では、生徒の個性を多面的に評価するため、検査教科の選択制や加重配点等の改善方策を逐次導入してまいりました。
 今回の追加問題も、その一環として導入するもので、自校問題作成の趣旨にも沿うものであり、併せて、中学校における個に応じた学習指導の一層の工夫改善が進むことも期待しております。
 今後、これらの改善が実効あるものとなるよう努めてまいります。


 いじめ問題への総合的な対策について



 県では、筑前町の事案や各学校のいじめの対応状況を踏まえ、これまでの対策を見直し、新たな総合対策を策定いたしま した。
 具体的には、いじめの発生件数ではなく取組を評価するとの視点を明確にした上で、早期発見に力点を置き、いじめを見逃さないための校内外の相談ポストの設置や家庭用チェックリストの活用、校内対策委員会の整備等に取り組むよう示しております。
 また、いじめを生まない環境を創るため、様々な問題を児童生徒自らが解決する力や思いやり・正義感を育む体験的な教育活動等を充実させることとしております。
 県では、こうした取組の一層の推進を図り、いじめ問題の解決に全力で取り組む決意です。
 

   
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