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   自民党県議団 代表質問 平成18年6月9日(金)   

   6月5日(月)に開会した6月議会は6月9日(金)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

      自民党県議団質問内容

 
 質問に入ります前に、先にインドネシアジャワ島中部で起きた地震による被害者に対し、会派を代表して心からご冥福をお祈りします。四日にはわが国の自衛隊国際緊急医療救助隊百人が追加派遣され、また本議会も見舞金を贈るなどしていますが、被災地の一日も早い復興を願っています。

 さて、わが国経済もこのところしっかりとした回復軌道に乗ったと伝えられています。
 確かに、好不況等景気判断のための太宗をなす消費も回復傾向にあるようです。とりわけ、多くの人たちが指摘する重要な景気指標とも言うべき住宅着工件数は、史上最高を記録した昭和四十七年の全国での百八十五万戸にはまだ遠く及びませんが、昨年百二十五万戸を記録し、毎年着実に伸びてきています。

 これは本県でも同じ傾向をたどり、昨年の約五万五千戸という着工件数は、この十年間では最高の数字となっているようです。

 ところで、こうした経済指標とは裏腹に地域の中小企業では、この景気回復を実感するに至っていません。

 マスコミが伝える「いざなぎ景気を越えたか」などは到底実感できず、聞かれる声は「景気回復とはどこの話か」といったものばかりであります。

 景気回復といわれるものに水を差すつもりは毛頭ありませんが、恐らく全国おしなべて中小企業の実態はそんなものではないでしょうか。

 私は、今回の景気回復動向は多分に主要企業や成長産業の声に左右されすぎているような気がしてなりません。百歩譲っても、景気構造は大企業と中小企業で二極化されつつある。これが実相ではないかとみています。

 中小企業は、わが国経済と産業を下から支えてきたいわば大地のような存在です。この中小企業に活力がなければ、わが国経済そして本県経済が、本格的に回復するなどとはおよそ信じがたいことであります。

 そこで知事に提案ですが、「中小企業こそ日本の経済・産業を支える柱石なのだ。福岡県は、今までもこれからも中小企業と共に生きていく決意をもった県である」といった趣旨のメッセージを中小企業に伝えて、更なる努力と振興を促すためにも、この際福岡県中小企業立県宣言をされたらいかがでしょう。まずは旗を立てることが肝要と考えて、知事の決意のほどを求めておきます。

 また、私共は、公共事業の推進拡大は、景気回復手段としては依然、高い評価を置いているところであります。

 この数年来、公共事業がまるで税の無駄遣いのごとく喧伝され、いわゆる公共事業「悪者論」が国民に広がったことは誠に残念なことでした。

 冷却期間を置いた今日、地元から公共事業待望論が活発に起こり始めたことは当然な成り行きなことだと見ています。

 こうした動きに呼応して先般、九州地方知事会は、九州全体が今後十年間に六兆円の事業費を投入して循環型の高速交通体系整備などを中心とした道路整備に関する緊急アピールを決定されました。

 時宜を得た適切な対応だと判断するとともに、こうした緊急アピールを発せられた当事者として公共事業推進拡大について忌憚のない考えと今後この六兆円構想を実現すべく本県の道路網整備にいかに取り組んでいかれるのか、抱負のほどをお聞かせ願います。
 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)




1.中小企業振興と公共事業の推進拡大

 中小企業振興に関する決意について

 中小企業は本県経済の重要な担い手であります。その重要性に鑑み、元気フクオカ資金等の金融支援、工業技術センターによる技術支援、経営革新の促進、ものづくり人材育成、大川家具等のブランド化戦略など本県独自の支援策を多面的に実施しております。

 更に、三位一体の改革に伴う国庫補助金廃止に際しては、全国に先立ち従来と同規模の予算を確保するとともに、組織面においても中小企業総合対策班を設置するなど、中小企業対策を強化しました。

 今後とも中小企業の育成支援に全力を挙げて取り組んでまいります。







 公共事業推進と本県道路網整備について

 県民の安全・安心な生活と、活力ある地域社会を構築するためには、その基礎となる社会資本整備を着実に進めていくことが重要です。

 なかでも高速道路を初めとする道路ネットワークの整備は計画的かつスピーディーに進めることが不可欠であり、先般今後十年内に整備すべき道路網等を緊急アピールしたところです。

 今後は、引き続きその実現や財源確保を関係機関に働きかけるとともに、県としても事業の重点化やコスト縮減等いろいろな工夫を重ねつつ本県道路網の効率的な整備に努めて参ります。

 

   
  福岡東環状線  
     
   
  久留米筑紫野線  

 それでは、まず最初に知事の今後の行財政改革方針について、最近の地方財政改革を巡る諸状況と本県の集中改革プランを中心にしてお尋ねします。

 政府与党では、現在、財政・経済一体改革会議や経済財政諮問会議などを中心に、平成十九年度の予算編成の全体像を示した「骨太の方針」のとりまとめに向け、大詰めの段階に入っているようであります。

 こうしたなかで地方関係者にとってとりわけ危惧されることは、平成二十三年度(二〇一一年度)の国のプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化することを金科玉条にして、その実現手段として、地方交付税の削減が議論の中心テーマとなっていることであります。

 地方交付税は、国が法律などで地方に義務づけている仕事に七割以上使用されているのが実態だと聞いています。にもかかわらず、政府与党の一体改革会議などでは、歳出削減の優先順位は人件費、公共事業、地方財政、防衛・外交、社会保障の順番だといった議論がなされ、あたかも国の歳出項目に地方財政という独立の項目があり、最優先で削減すべきであるかのように宣伝されていることは、誠に遺憾であり、怒りさえ覚えるところであります。

 こうした、地方交付税を重点的に狙い撃ちしたいわば地方自治体の破壊といっても決して過言ではない国の動向について、地方自治体の代表ともいうべき全国知事会長として麻生知事は今後どのように強力な反対運動を展開されるのか、その勝算をどのように考えておられるのか、率直な見解をまずお尋ねします。

 また、地方交付税の見直し議論と併せ、竹中総務大臣は、自治体が「自由と責任を持って」自立できるとして、地方債の完全自由化と「再生型破綻法制」の数年内の整備を検討させていると聞いています。

 地方債の自由化では、自治体の信用力に応じた「地方債の格付け」実現に向けた環境整備と情報開示の徹底を図ることとされています。また、地方債自由化後の償還費に対する交付税措置は廃止することとされています。

 さらに、破綻法制では、自治体の財政再建を国が支援するこれまでのスキームを否定しているようで、誠にドラスティックであります。

 問題は、こうしたドラスティックな改革が本当に自治体のためになるのか、地方自治体の現状を本当に的確に認識した上で検討されているのかどうかであります。

 そこで、いわばこの竹中私案について、どのような問題があると考えているのか、また大臣は既に工程表まで示されていると聞きますが、これが実現された暁には、自治体がどのような状況に陥ると予想されているのか、反論・阻止すべき点があるとすればそれはどのようなことなのか、更に、竹中私案に対して地方六団体として今後どのような対応をしていく方針なのか、知事の明解なる基本戦略をお尋ねします。
 ところで、地方自治体が防戦一方を強いられる厳しい環境に陥っている主要な原因が、人件費をはじめとして地方財政には無駄が多いという批判です。

 このため、総務省も、昨年の春以来、職員定数の思い切った削減や給与・退職金水準の適正化などに力点を置いた「集中改革プラン」を早急に策定、公表するよう全国の自治体に対し強力に求めています。

 これに対し、麻生知事は、先の二月議会のなかの予算特別委員会において、「地方は随分いい加減なことをしているとの一般的な認識や宣言に対して、断固そういうことはない、全国的にも地方が共通して簡素化の努力していることを示す意味は非常に大きいものがある。その一つの方法として集中改革プランがある」と本県の集中改革プランについての基本的な姿勢を明言されています。

 そこでまず、この姿勢にいささかの変更もないか、改めてお尋ねします。

 なぜ、このようなことを改めて聞くか、と申しますと、本県の集中改革プランは、地方全体の取り組みとして、簡素・効率的な行政体制づくりについて、現行の行政システム改革大綱に基づく平成十七年度から十八年度の取組みと、今後策定する新たな行政改革大綱のうち前倒しで検討した平成十九年度から二十一年度までの取組方針をとりまとめたものであると説明されています。しかしながら、現在実施中の改革事項を別にすれば、職員定数の削減目標が示されている他は、ほとんど何も具体的な取組が示されていないのが実態であるためです。

 本県の行革大綱は、後一年を残すのみですし、実質的には本年度予算をもってその取組が終了している状況にかんがみますと、本来、緊急に求められていたのは次期行革大綱策そのものの前倒しであり、それに基づく集中改革プランの策定ではなかったのでしょうか。 ところが、ただ今も指摘しましたように、今回公表されたプランでは、国が求めた改革事項に一応沿った体裁は取られているものの、その中身は単に今後の取組方針に過ぎず、国が強く要請した「住民に分かりやすい具体的な取組み」とはかけ離れたものといわざるを得ません。

 新たな行革大綱の策定準備が遅れたため、このようなプランの策定となってしまった、それが真実ではないでしょうか。そこで、ただ今私が指摘したことを含め、麻生知事の率直な見解をお尋ねします。

 また、我が会派は、既に平成十五年以来、経済・景気情勢や地方財政状況の変化に対応して、適宜適切に財政収支見通しの改定を含め財政構造改革プランの早期見直しを求めて参りました。しかし、現在に至るもなお、今後の新たなる財政収支見通しを示されようとはしていません。

 次期行革大綱やこれと一体の財政構造改革プランについては、本年度策定される予定との方針は示されていますが、今後の明確な財政収支の見通しもないまま、職員定数四.七パーセント減、二千五百人程度削減すると結論づけた根拠は一体どこにあるのですか、明解な答弁を求めます。また、この削減率は国から求められている最低水準であります。今後、財政収支の見通しが明らかになった段階で、この程度の削減では十分でないと判断される場合があるのか、その際には更なる定数削減を断行される考えを持っているのか、知事の基本的な考え方をお尋ねします。

 また、職員給与の抑制関係では、民間企業における賃金体系等を踏まえた給与構造の抜本的改革、在職中の貢献度を的確に反映した退職手当の見直し、特殊勤務手当の総点検や技能労務職の給与の見直しなどの方針が示されていますが、具体的にどのような改革、見直しをされる方針なのか、明解なる答弁を求めます。 

 さらに、最後に、この際ですから、ひと言とりあげておきます。最近では、知事の退職金水準の高さが国においても問題視され、議論されています。本県の水準は全国でもトップレベルだと聞きます。その実態がどのようなものか、支給内容や支給方法について説明を求めるとともに、見直す方針を持っているのかどうか、知事の考え方をお尋ねします。

 


 2.最近の地方財政改革をめぐる諸状況と県集中  改革プラン



 地方交付税の削減論について

 地方交付税の根拠なき削減が進められるならば、地方財政は大幅に悪化し、医療、福祉、教育など住民生活に重大な影響を及ぼすこととなります。

 このため、地方六団体では、経済財政諮問会議などにおいて地方の意見を主張するとともに、総決起全国大会を開催し、地方交付税の一方的な削減の阻止を強く訴えてきたところです。

 今後、地方の声を国政の場に届けるため、各都道府県でも総決起大会を開催するなど、あらゆる機会をとらえて働きかけてまいりたい。
 

   
  千代田区九段会館  



 総務大臣の地方財政改革案について

 地方分権推進のための法律の制定、税源移譲、国と地方の責任の明確化などについては、地方側の主張と共通しています。

 一方、地方債の自由化については、国の関与をなくしていく点では一致しますが、団体間には財政力の格差があるため、資金調達の補完を行う共同発行機関が必要であると考えています。

 また、再生型破綻法制については、具体的な内容は今後検討されることになっています。
 そもそも地方自治体は、その地域の住民サービスを必ず提供しなければならない責任があり、民間会社と同じように破綻させてしまうということはできないものであります。このような地方自治体の役割、性格に鑑み実態に即した予防措置及び再生措置を考えなければならないのであります。

 さらに、新型交付税については、国の地方への義務づけがある部分については、現行の仕組みを維持し、地方が自由に歳出を決定する部分については、算定を簡素化するという方向は同じであります。
 この地方が自由に決定できる部分について、この度人口・面積を基準に算定してはどうかとの提案がなされているわけでありますが、地方自治体は社会的・地理的条件に大きな差があり、もう少し実態に合った算定方式を工夫しなければならないと考えております。

 今後、総務大臣との会合等において、地方の考え方を強く主張してまいりたいと考えております。


 新たな行革大綱の策定について

 現在の行革大綱の計画期間は、平成十八年度までであり、平成十九年度以降の行政改革の取り組みについては、新たな行革大綱を策定して進めることとしております。

 このため、現在、庁内において、事務事業の見直しや組織機構のあり方などの議論を進めており、近く、行政改革審議会もスタートさせることとしております。

 なお、集中改革プランは、簡素効率的な体制づくりに関する部分について、職員の削減目標数を中心に前倒しで考え方を示したものであります。
 
 集中改革プランにおける定数四・七%削減の根拠と更なる削減について

 今回の集中改革プランは、国、地方を取り巻く今後の厳しい財政環境を勘案し、退職者の状況も踏まえて策定したところです。

 警察、教育職員は法令により配置基準が定められているという制約があるため、知事部局で十二%という大幅な削減を行うこととし、全体として総定員の四・七%に当たる二千五百人の削減を目標として設定したものです。

 今後、一層の収支改善措置を講ずる必要が生じた場合は、定員を含め、様々な角度から、更なる歳出削減について検討する必要があると考えております。


 職員給与の抑制について

 給与構造の改革と退職手当の見直しについては、今年二月議会で条例を改正し、四月から実施しているところであります。

 また、現業職員の給与については、これまでの給与水準の高い給料表から、民間の給与実態を考慮し水準を抑制した給料表へ見直しを行ったところであります。

 なお、特殊勤務手当については、これまでも社会情勢の変化などを踏まえ、随時見直しを行ってきましたが、今後も月額で支給されているものを日額に改めるなどの見直しを進めてまいる考えであります。
 

 次に、税源移譲にによる税収確保ついてお尋ねいたします。

 この数年来のいわゆる三位一体改革により、国から地方へ三兆円という大規模な税源移譲が、平成十九年度から本格実施されることとなりました。

 国の基幹税である所得税の一部を地方税の太宗をなす住民税に回すことにより実現した総額三兆円というこの大規模な税源移譲は、これまでにない改革であり、今後の地方分権を進める上において、大きな前進であるといえるところです。

 もちろん、この大規模な税源移譲の実現については、全国知事会長としての麻生知事にご苦労頂いたことは十分承知しています。

 今後も地方税を中心とする自主財源のウエイトを更に高めることが求められています。
例えば、所得税の個人住民税への更なる移譲や、消費税の地方消費税への移譲など、税収を安定させ、文字通り地方分権確立にふさわしい税制にしていかれるよう更なる努力を心から念じているところです。

 ところで、現在の地方税をみてみますと、その多くは国税に準拠し、自主的には税の創設や税率を決めることができない仕組みとなっています。ここが、地方自治の財源確保で一番悩ましいところであります。法人事業税における外形標準課税や不動産取得税及び軽油引取税などを除いては、国税当局の調査に基づき課税しているのが実態であります。

 従って今後、地方の自立的な財政運営を実現させていくためには、地方が課税自主権を最大限発揮できる国全体でのシステムづくりがまず求められることは言うまでもないことですが、そうそう簡単なことではないことは目に見えています。そこで、当面の取り組みとしては、せっかくの税源移譲をムダにすることなく、適正な課税、的確な税務調査、徴収困難事案への効果的な対応など、地方税務職員の能力を高めていくことが緊急の問題だと考えています。今後は、まさに地方自らの財源確保能力の真価が問われる時代になるからであります。

 そこで知事にお尋ねします。
 平成十九年度に所得税から個人住民税へ三兆円の税源移譲が行われますが、本年二月議会において、我が会派の代表質問に対する答弁のなかで、本県における税源移譲は、県民税と市町村民税を合わせて、約一千億円となるとのことでした。ところがこの、個人住民税は原則として市町村が賦課徴収することとなっています。勿論、各市町村において努力をされていると判断していますが、それでも地域によって徴収率に大きな格差があるのが現状であります。仮に、現在の個人住民税の税収率で単純に計算してみると、一千億円の税源移譲額の二パーセント、つまり二十億円が収入未済となり、非常に大きな財源不足が生じてしまうのではないかと懸念されるところです。

 また、これは現年度分の約九十八%という高い税収率ではじいた単純な数字で滞納繰越分を含めた低い数字で試算すれば、財源不足は空恐ろしい数字となるのではないでしょうか。

 画期的とも言うべき大規模な国税から、地方税への税源移譲措置が図られても、それを徴収段階でフォローできないのであれば、一方で国庫補助や地方交付税の削減、減額を考えると、評価も台なしになりかねません。

 そこで、いったいこの滞納繰越分を含めた個人住民税の徴収率について、どのように評価されているのか。

 また、徴収率の地域格差について、どのように判断しておられるのか、その実情と対策について。特に、一部で試行されているようですが、徴収率の低いところについては県が直接は入り、いわゆる直接徴収と取り組むことが一番の対策だと思っていますので、この指摘についても併せて決意のほどをお聞きしておきます。

 また、この際ですからお聞きしておきますが、徴収率を高く見せるために恣意的に減免の範囲を拡大したり、不納欠損処理を安易にするなどの、いわば現在社会的に大問題となっている社会保険庁がやっていたことと似たようなことが、よもやあったりしていないか、このことについても明確にただしておきます。

 3.三位一体改革と税問題



 個人住民税の徴収の実情と対策について


 県内の状況を見てみますと、特殊な大口かつ困難な事案を抱えている場合のほか、差押えなど滞納整理の取組が十分でない市町村もあることから、繰越分も含めた徴収率に地域格差が生じております。

 このため、県と市町村が連携して設けた「地方税収対策福岡県連絡会議」を通じて、地域の実態を踏まえた有効な総合的徴収対策を推進していくこととしております。

 具体的対策としては、市町村によっては、滞納整理の処理基準など基礎的な整備支援を行うとともに、滞納整理に向けた共同財産調査等の体制の準備や、職員派遣等の検討も行っているところであります。

 また、直接徴収については十九年度から全県下で市町村職員も交えて実施することとしており、市町村の徴収技術の向上に努めて参りたいと考えております。














 不納欠損処理等について

 地方税法では、減免については災害時や生活保護等の場合、また、不納欠損については、滞納処分することができる財産がない場合や、滞納処分をすることによって滞納者の生活を著しく窮迫させる恐れがある場合など、一定の条件の下に適用することとされております。

 これらの適用に当たっては適切な対応が行われるよう、「地方税収対策福岡県連絡会議」等の場において取り組んで参りたいと考えております。
 

 次に合併問題についてお聞きします。

 県は去る四月二十五日にいわゆる合併新法に基づく県の合併構想を策定したところです。旧合併特例法下での合併があまり進まなかった本県においては、この第二ラウンドともいうべき新法下において、遅れを取り戻して頂きたいところです。

 既に大幅な市町村の再編を遂げた広島県や大分県、長崎県や北陸各県と比較しますと、本県は、全国都道府県のリーダーでありながら、残念ながら一週遅れの県と言わざるを得ません。

 そういった観点で県の合併構想を拝見しますと、私の地元糟屋郡六町の大合併構想など一部に積極性がみられるものの、依然として県に第三者的な姿勢が伺えると言っては言葉が過ぎるでしょうか。

 例えば、国の示している基本指針では、人口1万人未満の小規模な町村は合併の対象とすることを求められています。ところが、町村名を具体的に挙げることは控えますが、かなりの一万人未満の団体が構想に位置付けられてはおりません。国の支援措置の対象となる「構想対象市町村」ではなく、単に「合併が望ましい地域」というなにやら中途半端な整理がなされております。

 これら人口一万人未満でありながら構想の対象とされなかった市町村についても、早急に構想を見直し位置付けを行って、県として強力に合併を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、先の二月議会の予算特別委員会における付帯決議との関係について伺います。

 この付帯決議では、平成十二年に策定された県の合併パターンを踏まえた合併が推進されることを求めておりますが、今回の件の構想では相変わらず、この合併パターンを尊重したものとはなっていないようです。糸島郡や田川郡なども平成十二年の合併パターンで明示されていたかと思います。

 これについても、「合併が望ましい地域」に位置付けているのだから合併推進をめざす方針に間違いないと釈明されるのかもしれません。もしそうした考えであるならば、はっきりと構想の対象市町村として位置付け、県として強力に合併を推進していくとの姿勢をこの際明らかにされるべきですが、いかがでしょうか。知事の明確な説明を求めます。

 最後に、合併問題についての知事の姿勢について伺います。

 合併が非常に進んでいる他県においては、知事自らが積極的に市町村の現場に入っていって、汗をかくことにより、顕著な成果をあげている例が多いとも聞いております。現場で市町村長の説得に当たるのが、知事の場合と担当課長や担当部長では市町村の受ける印象も違うと考えますが、いかがでしょうか。

 知事は、本会議などの議会答弁では、非常に積極的な姿勢を見せておられます。

 「平成の大合併」も既に第二ラウンドに入りました。そろそろ知事自らが現場に乗り込み、自らが斡旋や仲介の労をとるなど県民の目に見える具体的な動きをする時期を迎えてきたと思いますが、いかがでしょうか。

 そのような姿勢をここではっきりと明言して頂くことを求め、この質問を終わります。
 


(市町村合併について)

 人口一万人未満の市町村の合併推進について

 人口一万人未満のいわゆる小規模市町村においては、基礎自治体としての規模や能力を充実することが求められているため、合併を進めていく必要があると考えております。

 この場合には、周辺市町村の意向や旧合併特例法の下で合併を行った経緯等を踏まえる必要があり、これらの観点から、小規模市町村の中で、当面六団体を合併構想に位置付けたものであります。

 今後も引き続き、小規模市町村や周辺市町村に積極的に働きかけ、地元での合意形成や合併機運の醸成を図りながら、構想に位置付けてまいりたいと考えております。


 

 合併推進が望まれる地域を構想対象市町村に位置付けることについて

 本年四月に策定した合併推進構想は、人口が三万人未満の市町村を含む地域を「合併推進が望まれる地域」としたものであります。

 これらの地域の中でも、合併の熟度に差異が見られ、これらの市町村を全て構想対象市町村に位置づけることは、地元の混乱や反発を招くことも考えられます。

 このため、これらの地域のうち、合併の熟度が高い市町村について、今回、構想対象市町村に位置づけていますが、構想対象市町村以外の市町村についても、今後、合併推進のための助言や情報提供などを行い、合併の熟度が高まった市町村から順次、構想対象市町村に位置づけていく考えであります。







 合併に臨む姿勢について

 これまで、市長会総会や県と町村会との協議の場において、市町村長に直接、合併の必要性を訴えてきたところであります。

 今後、私自らが、直接、地域に赴くことも含め、全庁を挙げて合併の推進に取り組んでまいる所存であります。
 

 次に介護保険制度の見直しとその後の状況について、若干お尋ねしておきます。

 去る四月から第三期の見直しに基づく新たな介護保険制度がスタートしたところであります。

 思い返してみますと、この介護保険の制度創設については実に様々な論議があったようです。なかには、社会介護に移行することにより、子が親を見る日本の伝統的な家族制度が崩壊するのではないか、といった心配も根強かったと聞き及んでいるところであります。

 しかしながら、早いもので、平成十二年度の制度発足以来既に六年ほど経過しております。そこで、県としては、これまでの第一期、第二期を通じた事業運営について、どのように総括をしておられるのか、特に私が先程指摘しました家族社会への影響等について知事の所見も含めて、まずお尋ねいたします。

 さて、先に行われた大幅な制度の見直しは、この介護保険制度を将来にわたって持続可能性のあるものにするための観点からと聞いています。

 その第一に挙げられているのが、いわゆる「自立支援」であり、そうした観点から、軽度者には新たな介護予防サービスが提供されることとなりました。

 そこで、気にかかっていることは、新たに導入された介護予防サービスを提供する事業所が、県下において既に十分に確保できているかどうかであり、かつ理念に沿った自立支援が行われいるかどうかであります。具体的に支援内容も含め現状について説明願います。

 次に今回の見直しの大きな柱の一つである地域包括支援センターの創設についてであります。将来、要支援や要介護の状態になるおそれのある、いわゆるハイリスクの高齢者の方々や既に要支援一、二と認定された高齢者を市町村等が設置する地域包括支援センターが一貫して総合相談・支援やケアマネジメントを実施、予防を重視したサービスを提供することとされています。

 現在までの地域包括支援センターの設置ヵ所数や保健師等の確保について説明頂きますとともに、質・量ともに十分対応できているのかどうか、明確に見解をお示し願います。

 また、地域住民が今一番望んでいることは、身近に相談できる窓口についてであります。住民相談こそ自立支援あるいは健康な老人づくりの第一歩だと考えていますが、現在、予定されている地域包括支援センターの設置ヵ所数で、はたして地域住民の相談について十分対応できているのかどうかもあわせてお答え願います。

 ところで、この介護保険制度が始まる当初、サービスを提供する事業者を確保できるのかどうか、事業者が少なければ、まさに「保険あって介護なし」といった状況をを招くのではないか、と懸念する向きも少なくありませんでした。

 現在、全国で十三万ヵ所を超える事業所があり、本県でもその数は六千を優に超えると聞いております。量的には予想を上回るほどに確保されていると思いますが、問題は質についてであります。

 そこで、今回、サービスの質の向上を目指して、すべての事業所のサービス内容等に関する情報の公表が義務付けられたことは、大変評価できることだと判断します。同じ保険料や利用料を支払いながら地域や施設によって、介護サービス内容に差があり、利用者の不信や不満を招くことは、将来にわたる介護保険の制度存続にも影響を与えることであり最も避けなければいけないとことであります。

 従いまして、今回の公表制度の実施について、県としてはどのような点に力点を置き効果あるものとされようとしているのか、その具体的な取り組みとその現状について併せてお尋ねします。

 次に、今後の保険料水準の見込みについて、であります。
 平成十八年度から平成二十年度までの三年間が第三期介護保険事業期間と位置づけられているようですが、この期間における、六十五歳以上の保険料水準は、平成十五年の第二期当初と比しても県平均で八百円近くアップしているようです。第三期については、中途で見直すことがないのかどうか、どのような見通しを立てておられるのか、説明頂きます。

 ところで、本県は、全国一大規模な広域連合によって介護保険事業をはじめた自治体を擁する県でありますが、この広域連合では保険料について、残念ながら単一性が崩れ三段階制が採用されるなど、当初の構想に乱れが見え始めています。

 この三段階保険料、とりわけ一部では六千円を超える保険料の地域もあり、このことがが今後の広域連合介護保険事業の運営に暗い影を落とすことはないのでしょうか。

 また、市町村合併により合併自治体が独立して事業に乗り出すなどして、広域連合構成団体が減少し始めています。こうしたことについても、今後の運営に支障をきたさないのかどうか、県の明確なる見通しについて、最後にお示し願います。
 

(介護保険制度の見直しについて)


 第二期までの事業運営の総括について

 平成十二年四月の制度施行時には七万三千人余の方が介護サービスを利用していましたが、昨年十二月では二倍以上の十五万六千人余の利用がありました。   

 これは、介護保険制度が、家族などの介護者の負担を社会全体で支える制度として定着してきたものと考えております。

 一方、制度の定着とともに軽度者の増加等により介護給付費も急速に増大し、平成十二年度は一千六百億円余であったものが平成十七年度には二千六百億円余となる見込みです。
 今後、制度の安定的な運営が大きな課題となってきております。

 

   
     


 介護予防サービスの現状について

 四月以降、現在までに四千二百余の事業者を指定したところであり、一年後に見込まれる約七万人余の介護予防サービスの対象者に対しても、十分な供給ができるものと考えております。

 また、今回の予防サービスでは、運動機能の 改善など新たなサービスをスタートさせたとこ ろであり、市町村、医療機関等の関係者が連携 した地域の支援体制を構築しております。
 

     
     

 地域包括支援センターの設置及び相談窓口 について

 地域包括支援センターにつきましては、県下全保険者において、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職種を配置し、百九か所で、一斉に運営が開始されたところであります。

 県といたしましては、今後さらにセンター機能の充実が図られるよう、保険者に対し助言指導を行ってまいります。

 また、住民に身近な相談窓口として、在宅介護支援センターなどが活用されているところです。



 介護サービス情報公表制度の実施について

 情報公表制度は、利用者が介護サービス情報を自由に入手できる環境を整備することにより、事業者の質の向上に繋げるものであります。

 そのためには、利用者に正確な情報を提供することが重要であると考えており、県では、事業者から提供されたサービス情報を現地で確認する調査員の養成研修を行ったところです。

 また、事業者のサービス情報の公表を行う情
報公表センター及び事業者情報を調査する調査機関を指定したところであり、九月以降、順次情報の公表を行うこととしています。



 第三期の保険料について

 各保険者においては、今回の多岐にわたる制度改正を踏まえ、三年間の介護サービスの利用見込み等を十分検討して、それぞれ保険料を決定しているものと考えております。



 広域連合の運営について

 三段階保険料は、広域連合を構成する市町村間で介護給付費に著しい差が生じ、均一の保険料を賦課することが衡平を著しく欠くこととなったことから、構成市町村間で十分な議論を尽くされて導入が図られたものであります。

 また、広域連合は当初七十二市町村で発足したものが現在は四十三市町村となり構成市町村数は減少しておりますが、第二期の最終年度である平成十七年度は財政安定化基金から借り入れることもなく事業運営が行われていることから、現段階では直ちに支障があるとの判断には至っておりません。
 

 次に農政問題に入ります。

 現在、国の新しい農業政策の柱ともいうべき経営安定対策大綱に基づき、その対象となる担い手の育成が進められています。担い手の経営全体に着目して直接支払いを行うこの制度は平成十九年産から実施されますが、地域によっては、あまりにも性急すぎて対応できないと言う悲鳴にも似た声が数多く寄せられています。


 特に、本年の秋播きから対象となる麦は、種を播く前に製粉業者など実需者との栽培契約を結ぶ必要があることから、農家にとっては、制度の対象となれるかどうかの不安定な見通しの中で農協との契約が求められることになり、とまどっている農家が多いと聞いております。


 このような状況の中で、果たして今年秋から正式に始まる加入申請が滞りなく進められるのでしょうか。危惧されてなりません。


 県下における現在の経営安定対策事業の進捗状況を具体的に説明頂くとともに、今後の見通しとスケジュールについてお示し願います。


 また、これは特に作付けの多い県南地域に見られるようですが、性急に求められている集落内の意思統一に向けた対応に戸惑っている農家に対し、どのような指導をされているのか、も併せて説明願います。


 さらに、この際ただしておきますが、先月来からの長雨による日照不足のため、全国各地で農産物価格の高騰が伝えられています。本県でも麦の収穫に影響が出るのではないか、特に心配しているところでもあります。現状がどうなっているのか、また、今後の見通しについてもお聞きしておきます。


 さて、今後、五年間にわたる福岡県農政の指針ともいうべき県農業、農村振興基本計画が今議会に提案されています。
 現下のわが国をとりまく農業、農村諸情勢から勘案すれば、ごく自然の成りゆきかもしれませんが、本県においてもこの五年間で耕地面積は、九万四千ヘクタールから九万六百ヘクタールに、農業戸数は、八万千八百戸から七万六千四百戸に、そして農業産出額もこの五年間で、八%減の二千二百億円に落ち込むなど、いわば、農業、農村にとって基本的なインフラとも言うべき人、もの、カネ、のどれひとつとっても減少の一途をたどり、明るいものを見出せないなかでの振興計画づくりだけに農業者のみならず県民一般としてもそのようなことが可能かどうか、心配、危惧、懸念ばかりが募るばかりであります。

 そこで冒頭、まず、このような状況を踏まえたうえで策定された今回の計画について知事の基本的な考え、つまりは、農業、農村の生産基盤が確実に衰退していくなかで、本県農業の活性化と振興をどのようにして図っていこうとするのか、その方向性について忌憚のない知事の考えをお聞かせ願います。


 また、言うまでもなく、本県、いや、わが国の農業、農村は、国民、県民が求める安全安心な農産物の生産を行う場であり、良好な景観を形成し、水源の涵養、自然環境の保全、文化の伝承等、多面的な機能をもったかけがえのないものであります。


 それだけに、この農業、農村をはぐくみ、次の世代にきちんと引き継ぐためには、将来にわたり、活力ある農業生産が維持されることが必要です。県としてこの基本計画のなかで、どのような方策を講じられているのか、具体的に知事の説明を求めるところであります。


 次に、いわゆる食糧自給率の向上についてであります。
 国では、平成十七年三月に策定した新たな食糧農業農村基本計画において減少の一途をたどるわが国の食糧自給率を平成二十七年度には四十五%まで回復させることとし、農業生産と食糧消費の両面から年度ごとに具体的な行動計画を策定し、達成状況の検証を行うなど危機感をもった対応が示されている、と聞いています。



 新しい県の基本計画でも農産物自給率の目標が示されているようですが、これまで常々、知事は、県単位での食糧自給率設定は意味がないと言われてきたことは記憶に新しいところでありますので、意外な気がしないでもありません。
 この農産物自給率と食糧自給率はどう違うのでしょうか。そして、この農産物自給率の目指す数字の実現により、本県の農業がどのような方向に導かれるのか、その中身と目標達成に向けた方策について具体的に説明願います。



 ところで、新しい基本計画案について県民アンケートの際に、専門的な用語や難しい制度が多く、県民にとっては非常にわかりづらいといった意見が一部であったように聞いています。


 そこで、新しい基本計画をはじめ、本県農業、農村の振興に向けた取り組みについて、今後理解を深めてもらうためには、新しい取り組みも必要ですが、その考えを農政問題の最後に聞いておきます。
 

 
(農政問題について)

 経営安定対策の進捗と今後の見通しについて

 本対策の要件を満たし、加入が見込まれるものは、五月末現在で麦・大豆ともに作付実績の八割を超えており、担い手の育成はほぼ見込み通り進んでいると考えております。

 県としましては、本年秋からの加入申請まで更に推進に努め、本県が生産してきた麦・大豆が本対策の対象となり、安定した農業経営が継続できますよう、取組を強化して参る考えです。
 

   
     

 農家に対する指導の状況について

 これまで麦・大豆を生産してきた農家に対しましては、農協や普及センターの職員が直接、集落に入り、本制度の対象となるための取り組みに対し指導・助言を行って参りました。

 取り組みにやや遅れが見られております県南地域につきましては、今後、組織化に対する支援を重点的に行うとともに、育成された組織がしっかりとした運営を行えるよう、「担い手・産地育成総合支援協議会」の活動を強化して参ります。



 麦の収穫状況と今後の見通しについて

 本年産麦は、断続的な降雨により播種(はしゅ)時期が遅れたこと、また、十二月から一月上旬の低温の影響も受け生育が一週間程度遅れております。

 現在、大麦は、収穫をほぼ終了しておりますが、小麦は県南では順調に進んでいるものの、県北では平年より遅い今月十八日頃までかかる見込みであり、今後の降雨が心配されております。



 本県農業の活性化と振興を図るための方向性について

 本県農業が、収益性が高く魅力ある経営となるよう、土地利用型農業では、担い手に農地を集積し、構造改革を進めるとともに、園芸農業では、家族経営から、雇用を活用した企業的経営への転換を推進します。

 また、消費者の信頼をさらに高めるため、安全・安心な農産物の生産や消費者ニーズに対応した新品種の開発にも取り組み、県農業を振興して参ります。



 活力ある農業生産の維持について

 新たな基本計画では、意欲ある農業者へ施策を集中化・重点化することとしています。

 このため、土地利用型農業では利用集積による規模拡大により、効率的・安定的な生産を進めるとともに、園芸農業では県単独事業による施設整備や雇用の導入を進め、収益性の高い農業を目指して参ります。



 県独自の農産物自給率の中身と目標達成に向けた方策について

 今回の計画では、カロリーベースの食料自給率ではなく、本県農業の生産実態を的確に反映させるため、生産額をベースとした農産物自給率を設定し、現在の五十六パーセントを五十八パーセントに高めることとしています。

 今後、ブランド化や高品質化により、単価の向上に取り組むとともに、野菜や花、お茶などの本県が全国に誇る農産物の生産振興により、目標達成に努めて参ります。
 

   
     


 県民の農業・農村に対する理解促進について

 県では、農業・農村に関する各種施策について、ホームページや広報誌等を活用し、啓発に取り組んで参りました。

 今後は、基本計画に関する説明会を各地で開催するとともに、県政出前講座の活用や県民にわかりやすいパンフレットを作成し、理解を求めていきます。
 

 次に、教育問題についておたずねします。

 文部科学省が平成十六年度から実施している「地域子ども教室」は、学校の校庭や教室等を子ども達の安全で安心な活動拠点として開放し、地域の大人が協力し様々な活動を実施していると聞いています。

 ところで平成十六年に、ある教育開発団体が小学校四年生から高校二年生までを対象にして調査では、平日の放課後の遊び場所として、「自宅」を挙げていた小学生が六十五%、中学生が五十五%と、どちらも五割を超えていたそうです。

 また本県における県民意識調査でも、子育てに関する悩みや不安のなかで、「近所に子どもを安心して遊ばせる場所がない」、「近所に遊び友達がいない」などが深刻な悩みとしてあげられていたようです。

 今日、子ども達が想像を絶する残忍な犯罪に走り問題行動を引き起こすその一因として、子ども達同士の交わりの乏しさや遊び場の少なさによる子どもらしさの喪失が指摘されて久しいものがあります。それだけにこの二つの調査結果は、まさにそうしたことの一端を裏付けているような気がしますが、では冒頭に述べていました「地域子ども教室」なるものの創設は、一体どのような役割を果たしているのか不思議な気がしてなりません。

 そこでまずお聞きしたいことは、この地域子ども教室なる事業は、まだまだ実施箇所が少なく、父母達の期待に応えられるような状況にまでは至っていないということでありましょうか。それとも地域子ども教室の開設と調査には、時点にずれがあり、その効果が反映されていないということでありましょうか。教育長の率直な見解と併せ、本県における地域子ども教室のこれまで二カ年の実施における現状と課題について詳しく説明を求めるものであります。

 ところで、先日の新聞報道によりますと、この「地域子ども教室」については、来年度から、放課後や土・日曜日に、小中学校の空き教室等を活用し、塾に行かず授業以外での学習の機会が少ない子どもを対象に、補習授業等の「学習の場」としても提供し、取組を拡充する方針である、と伝えられています。

 その際、指導者としては退職教員や大学生、地域のボランティア等を活用し、学力向上の一つの取組として、地方教育委員会や学校の主体的な関わりを期待しているとも報道されていました。

 確かに学力低下については、わが国全体でそれが懸念されるなか、塾に通う子とそうでない子の間での格差は指摘されてはいます。
 親の経済力等により子供の学力に差がつくことは好ましいことではないでしょう。
 しかしながら、学力向上や俗に言う落ちこぼれ対策に関していうならば、このような取組は本来、学校の教育活動のなかできちんとやるべきであり、これを地域活動に求めることはいかがなものかと考えられます。これでは団塊の世代の大量退職を前にした彼らに対する再雇用対策ばかりが感じられてなりません。

 「地域子ども教室」の本来の目的を歪めかねない補習授業構想ですが、放課後の学習等については現在までの放課後等の取り組みを踏まえ、学校管理下で子ども達を熟知している教員の指導により行われることが一番望ましいことではないでしょうか。教育長の真摯な見解と今後の対応方針についてお聞きします。

 次に、学校給食における地産地消についてお尋ねします。

 昨年七月に食育基本法が施行され、この法律に基づく基本計画の中で、生産者と消費者の信頼関係の構築、食に関する国民の理解と関心の増進等を図るためとして、地域で生産された農林水産物をその地域で消費する地産地消が全国的に展開されると聞き及んでいます。

 今更言うまでもないことですが、地産地消の推進は、伝統ある優れた食文化や地域の特性を生かした食生活の継承・発展、環境と調和のとれた食料の生産及び消費を図っていくため、是非積極的に取り組むべきことであります。特に学校給食においてこれを推進することは、それらの生産等に携わる方々への敬意と食への感謝の念を子どもの頃から育むということは、食育の最も基本的なところであります。

 ところで文部科学省の調査では、学校給食における地場産物の使用割合について、本県は約十八%にとどまり、全国平均を下回っているようで誠に残念かつ遺憾なことであります。本県では三月に「ふくおかの食と農推進基本指針」が策定され、学校給食での地元農林水産物の利用目標数値が設定されたところでありますのでその早期達成を図ってもらいたいものです。ちなみに、学校における完全給食の実施率をみますと、約八十七%とほぼ全国平均のレベルであり、米飯給食の実施回数についても、週当たり二.九八回と全国平均の二.九回を上回ってはいるようですが、更に促進を図ることで、地場産物の活用ももっと向上するのではないでしょうか。

 また、国の基本計画においては、毎年六月を「食育月間」とし、毎月十九日を「食育の日」と定め、食育の考え方が広く国民に認識されるよう浸透を図っているところでありますから、本県においてもこの日を定め、例えば学校給食のなかに「食育の日」を取り入れるなどして、地場産物の活用促進につなげてみてはどうでしょうか。

 食育の日を制定することについては、知事に見解をお伺いし、また、学校給食における地場産物の活用について、県教委の現在までの取組状況と今後の方針については、教育長の考えを尋ねて、教育問題の質問を終わります。

 


(教育問題について) 

(教育長答弁)


 地域子ども教室の現状と課題について

 放課後等に子ども達が交流し、遊ぶための居場所の確保は重要であると認識しております。

 そのため、これまで、子ども会の育成やアンビシャス広場の支援等を推進しておりますが、更なる居場所の拡充のため、平成十六年度から、地域子ども教室を開設しております。
 現在、二十四市町村、百二十八教室が開設され、安全管理員やボランティアが関わり、スポーツや伝承遊び等様々な活動が行われ、地域で子どもを育てる気運が高まっております。

 今後、更に他の事業と連携し、子どもの居場所づくりの拡充に努めてまいる所存です。






 小中学校における放課後の指導について

 地域子ども教室については、本来の子どもの居場所づくりとしての趣旨が損なわれないよう留意すべきであり、また、放課後の学力補充等は学校の責任で取り組むべきと考えております。

 現在、放課後学習は、県下の約三分の一の小中学校において、児童生徒の学習のつまずきの解消や学習習慣の育成等を目的に、学校管理下で実施されているところです。
 県としても各学校が行う放課後学習の支援として、大学生や教員OBを活用する事業等を実施し、児童生徒の学習意欲の向上等が見られております。

 今後とも、このような学力向上に向けた各学校の責任ある取組の促進に努めて参ります。




















(知事答弁)

 「食育の日」の制定について

 食育の推進には幅広い取り組みが必要であり、国が制定している「食育月間」及び「食育の日」を幅広く県民に啓発することも含めて、県と関係団体で構成する「ふくおかの食と農推進会議」で研究して参ります。

 

   
     


(教育長答弁)

 学校給食における地産地消について

 学校給食への地元食材の導入は、生産者に対する感謝の心を育む等の教育的な効果が期待できます。

 このため、地元農産物活用事例集を作成し、学校給食への地元農産物の導入を推進しているところであり、米、牛乳は全て県産品を導入するなど、県産農林水産物の重量ベースは、半数を超えていますが、食材数に占める割合で申しますとご指摘のように全国平均を下回った状況になっております。

 今後は、関係団体と連携し県産物食品の更なる開発や研修会等を通して、指針の目標を達成できるよう地元産物利用の促進に努めて参ります。
 

   
     


 次に警察問題として、今、また福岡県民を極度の不安に陥れているといっても過言でない暴力団抗争事件の徹底的取り締まりについて、警察本部長にただし、その強い決意のほどを県民に披瀝し、安心させていただきたいと考えています。


 いうまでもなく、先月来より筑後地区を中心に、指定暴力団の内部抗争と思われるけん銃発砲事件が多発していることについてであります。


 特に、現場付近には小学校なども隣接しており、地域住民からは、「子どもが巻き添えになるのではないか」、「怖くて家の外に出れない」などといった声が聞かれます。一刻も早い事態の収拾と県民の安全確保が望まれております。


 県警では、今年初めから総力挙げて指定暴力団工藤會を中心とする暴力団対策に取り組まれていると聞いて、安心していた矢先のことであります。


 しかも現在の筑後地区における一連のけん銃発砲事件を見ますと、工藤會に限らず、県内に点在する暴力団同士の勢力拡張争いに火を付け、抗争事件が県土全域に広がりかねない不気味さを秘めていることは極めて気にかかるところであります。このような状態では、県民の不安には計り知れないものがありそうです。


 この際暴力団すべてに対する厳しい取り締まりを改めて強化し、根絶を期す方針で取り組んで頂きたいと思っているところであります。


 そこで、地域住民の安全対策を含めた暴力団の取り締まりについて、今回の内部抗争事件の背景等も含め、今後県警としてどのように取り組まれるのかお尋ねするとともに、凶悪な暴力団の排除に向けての本部長の力強い決意をお聞かせ願います。

 

(警察本部長答弁)

(警察問題について)

 地域住民の安全対策を含めた暴力団の取り締まりについて


 暴力団対策についてお答えします。

 県警察では、県民が安全と安心を実感できる地域社会を実現するためには、暴力団対策が極めて重要であるとの認識の下、本年四月、「組織犯罪対策局」を新設するとともに、極めて悪性の高い工藤會に対しては、約七百人体制の「北九州地区暴力団総合対策現地本部」を設置するなど、県警察の総合対策として取組んでいるところであり、これまでに工藤會最高幹部の逮捕や、贈収賄事件の摘発など、徐々にではありますが、成果を挙げているところであります。

 このような中、五月二十一日から二十九日にかけて、久留米市を本拠地とする道仁会の内部分裂によると思われる八件のけん銃発砲、爆発物投てき事件等が発生したことから、新たに四百人を超える体制を構築のうえ、事件の背景を解明し、同種事案の防圧等、早期解決に向け、鋭意捜査を推進しているところであります。

 更に、住民の安全対策、特に通学路における児童等の安全確保のため、学校関係者等との連携を強化し、通学路の変更や、制服警察官による駐留警戒・パトロール活動等も実施しているところであります。

 県警察としましては、今後とも、あらゆる法令を駆使した取締りに加えまして、
○ いわゆる暴対法に基づく中止命令等の発出
○ 県暴力追放運動推進センター、県弁護士会との連携による組事務所の撤去
○ 地域住民の暴排気運の高揚に呼応した各種暴力団排除活動
等を有機的に連動させながら、県警察の最重要課題である暴力団の壊滅に向け、私以下全職員が対決姿勢を一層堅持するとともに、これまでにない県警察最大の取締体制をもって、取り組む所存であります。

 

 なおこの際、県民に不安を募らせている問題について、もう一点ただしておきます。いわゆるシンドラー・エレベーター事故についてです。

 扉が開いたまま急上昇したエレベーターに挟まれて、男子高校生が死亡した東京都港区の事件以来、この会社が製造したエレベーターにより、既に日本だけで三百件近い同様事故が起きていたことが調査で明らかになり、海外では死亡事故も相次いでいたことが判明しています。

 本県内でも、同社製が五百基近くが設置され、この中には私の地元の県営住宅も含まれ、県有施設にも多数導入されているようです。
 事態を深刻・重視した県では、既に同社に緊急点検を要請されているようですが、県民は日を追って不安を募らせています。
 従って、単に点検要請にとどまることなく、県自らが実地調査に乗り出すことを含め、あらゆる手段を講じて、県民の不安を一掃して頂きたいと考えています。

 そこで調査結果の詳細な報告とともに、今後の対策について、緊急にお聞きします。
 

(その他県政一般について)   

 シンドラー社製エレベーターの調査結果と今後の対策について    

 日常使用するエレベーターにおいて人命が失われた今回の事故は、重大なことであると認識しております。

 この事態を受け緊急に調査したところ、シンドラー社製のものは、県内に現時点で四百六十九基確認しています。これらの所有者等に対し、安全運行の緊急点検と過去の不具合の調査を要請したところであります。県有施設の二十三基につきましては、すでに点検に着手しています。

 さらに、県民の不安解消に向け情報提供に努めるとともに建築指導課及びエレベータ協会に相談窓口を設置したところです。

 今後、事故の原因が解明され次第、早急かつ適切に対応してまいります。
 

 

 さて私は最後に、オリンピック招致における県の支援対策についてお伺いし、この代表質問を終えたいと思います。

 去る四月二十三日に福岡市と東京都がJOC(日本オリンピック委員会)に対し、正式に立候補意思表明書を提出し、二〇一六年オリンピック競技大会の国内候補都市を巡って両都市が互いに相争う格好となりました。

 ほぼ半世紀ぶりの日本開催誘致で、その候補都市として名乗りを上げた両都市は、財政規模や世界的な知名度、五輪開催実績などからみると、福岡市が国内候補都市に勝ち残ることは簡単にはいかないとは思われます。

 しかしながら、初めて開催する次回の中国はともかく、今やオリンピックの地方都市開催は過去数回を見ても世界的な流れにもなっているところです。それだけに、県としてしっかり支援し実現させることは、文字通り世界的潮流にもなりつつあるオリンピックの「地方の時代」を確実なものとするため、世界の地方都市も待ち望んでいることではないでしょうか。

 既に知事も副会長に就任している九州オリンピック招致推進委員会が設立され、また本議会も招致を議決するなど、福岡・九州レベルでの支援体制は出来上がっていますが、国内立候補都市が決定する八月三〇日にまであと僅か三ケ月足らずとなっています。まさに招致活動が正念場を迎えている時期だけに、県としてもどのような役割を担うかについて、この際、県民に明確な方針を示す時期ではないかと考えます。

 そこで、実現に向け、県としてどのような支援を考えておられるのか。また、市から具体的な要請・打診がなされているのかどうか。このような点も含め、二〇一六オリンピック招致をめぐる知事の抱負をお示し願います。

 

 オリンピック招致をめぐる知事の抱負について

 オリンピックの福岡招致を実現するためには、開催地の県として相応の役割を担って応援していくことが必要であると考えております。

 現在、福岡市から、主要競技会場の一つで体操競技などの会場となるメインアリーナの整備について、支援の要請があっており、このメインアリーナを県が整備する方向で福岡市と協議を進めてまいりたいと考えております。
 

   
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