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   自民党県議団 代表質問 平成18年3月1日(水)   

   2月22日(水)に開会した2月議会は3月1日(水)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

 


      自民党県議団質問内容

  まず最初に、知事の政治姿勢として、新年度の県予算編成方針と財源確保等についてお伺いします。

 今回提案された予算案を拝見しますと、平成十四年度以来続いてきた前年度予算を下回る緊縮型から、僅かとはいえ五年ぶりに前年度を上回るものとなっています。

 県税収入について、最近の景気回復基調により六千二百四十二億円、五・九%の高い伸びを見込み、また税源移譲財源としての所得譲与税も大幅な伸びとなることなどから、このような予算編成となったものと思われますが、一方で、交付税が七十億円、国庫支出金が三百六十八億円とそれぞれ大幅減額となるなど、歳入構造が大きく変化していることが来年度予算案の大きな特徴であると判断しています。

 こうしたなか、県債については昨年度当初予算に続いて新年度も三十九億円、二・二%減額しているにもかかわらず、これまでの巨額の県債発行がつもりつもって、その県債残高は来年度末で二兆五千三百三十七億円になろうとしているようです。

 かつて県債発行残高は、県予算の範囲内にとどまっていたものですが、いつの間にか予算額を一兆円も上回っている事実は、本当に空恐ろしいことであります。

 私たち会派は、これまで一貫して県自身が策定した財政改革プランに則り、県財政の健全化を訴えてきました。
 また、この財革プランの目標年次までの達成が困難であるならば、早くプランを見直して実現可能性のある財政健全化を目指し、県民の理解を得るべきである、と求めてきたところであります。

 こうしたなか、先の県議会招集日における知事の提案理由説明のなかで、この財革プランについて目標の来年度までには達成困難な旨が改め示唆されています。
 遅すぎたきらいは免れないところですが、高い目標を掲げ、それなりの努力をされてきたのでしょうから、政治姿勢の明確化として、会派として一定の評価をするところです。

 そこでまずお聞きします。今日まで財政当局を中心に様々な改革努力をし、なかには計画していた内容以上の取り組みもあったと聞いているところですが、にもかかわらず、このような結果になったことについて、何が原因であったとお考えでしょうか。忌憚のない見解をこの際県民に明らかにして頂きたいと思います。

 さらに、目標年次の来年度以降については、新しい財政改革計画を策定し、それに基づいて改革措置に取り組んでいく旨の方針を、昨年の二月議会において予め明らかにされています。
 この新しい財政改革計画については、当然現計画の取り組みを十二分に検証し、その反省点に立ったプランづくりが求められることは言うまでもないことだと思います。
 また、目標達成は困難なものの一定の改革成果は挙がっているはずと判断しています。今日までどのような改革改善を進めてきた結果、本県の財政構造がいかに改革されてきたのか、その実態を県民に示すべきことが大事なことであります。

 そこで、実態をよく示す指数、例えば経常収支比率、人口一人当たり県債残高、県職員数等について、その推移を説明頂くとともに、類似団体と比較してどのような状況にあるのか、比較可能で県民に分かりやすい形で明らかにして頂きたいと思います。
 そのうえで、新しい財政改革プランについては、今後どのような構想を抱かれているのか、また、今後五年間の収支見通しなり新たな改革措置としてどのような対策を検討されているのか、また、先行的に実施すべきものとして、集中改革プランとのかね合いも併せて、その抱負をお示し願います。

 なお、当初予算案に関連して、県税収入についてお尋ねします。

 前年度に比して、三百四十六億円の増収を見込んでいますが、県税収入の中核である法人関係二税は百十二億円、六.六%の大きな伸びとなっています。
 今後の景気、経済見通しと併せ、法人関係二税の見積もりについて、予算確保が大丈夫なのか、主な業種別にお聞きします。

 また、十九年度から税源移譲に伴い個人住民税が大幅に増加するものと見込まれます。本県ではどの程度の規模となるのか、市町村分も含めて、その見通しをご説明ください。
 また、負担する県民の立場に立って考えますと、定率減税の廃止と相まって、住民税が大幅に増税される状況になります。来年は統一地方選挙の年でもあります。その負担に対して、用意周到にきめ細かく県民の理解を求めなければ大きな混乱が生じるのではないかと大変心配されます。一年後の実施に向けてどのような準備を考えておられるのか、お尋ねします。

 次に、ただ今も申し述べました集中改革プランと県の新しい行革大綱の策定について何点かお尋ねします。
 現在、全国の自治体では、平成十七年度から五ヵ年の地方行革に関する集中改革プランの策定を進めています。都道府県では四十六団体が、政令市では十四団体すべてが、その他の市町村でも、合併市町村を除きほとんどすべての団体がプランの公表に向けて取り組んでいると聞きます。

 国では、平成十八年度から五年間で五%以上の国家公務員の純減目標の達成に向けて、具体的な事業や人員の見直し作業に着手していますが、同時に自治体に対しても、総定員の四.六%以上の純減を一層上積みするよう強く求めております。

 こうした中、本県においても次期行革大綱の策定に向けて準備が進められていることと思います。
 現大綱が後一年残されているとはいえ、地方自治の置かれた環境が財政問題をはじめとしてあらゆる面で一段と厳しさを増している現下の状況にかんがみますと、県民にも痛みを求めなければならないことが多々あると予想されます。その意味からも、今後の県政の最も基本となる新大綱素案を早急に県民の前に明らかにし、大いにこれからの福岡県のあり方を議論する姿勢が重要ではないでしょうか。しかし、その進捗状況がどのようになっているのか、全体像が今ひとつ明らかではありません。いかにも悠長な印象を受けるのであります。

 そこでまず、新大綱の検討状況がどうなっているのか、また、県民参加も含めどのようなプロセスで策定しようと考えているのか、策定手続きについて知事の基本的な考え方を確認させてください。

 次に、新大綱は、現大綱の実績を十分検証し、その上に立って策定することが極めて重要であると考えます。
 特に、当初の財政改革プランと追加的措置の目標が実現されるのか、また、そこに盛り込まれた九百人規模の定員削減計画が残された1年で確実に達成できるのか、現時点における総括についてお尋ねします。

 また、知事は、昨年の九月議会において、当初の計画どおりに進まなかった課題として、「新しい人事給与制度」のように国の動向を踏まえた検討が必要なもの、「戦略型行政システム」や「行政改革評価システム」のように本県の実態にあった制度等の検討に時間を要しているものがあると認めていますが、中核的な推進組織として行政経営企画課までつくりながら、その進捗が思わしくなかった原因はどこにあるのか、反省点を含め知事の率直な見解をお尋ねします。

 また、これら残された課題については、次期大綱に明確な形で引き継ぐべきだと考えます。この点についての知事の明確な方針をお尋ねします。

 次に、新大綱の内容についてお尋ねします。
 まずは、どのような基本理念で取り組まれているのか、また、その体系をどのように構想されているのか、現時点で検討されている重点課題と併せ具体的にお答えください。

 また、知事は昨年の九月議会において、「本県行政の、より簡素で効率的な体制づくりが重要な課題の一つであり、人件費抑制の観点からも、定員削減を含む徹底した自己改革に取り組む」決意を明らかにされています。また、同時に「簡素で効率的な組織機構に留意しつつ、出先機関を含めた県全体の組織のあり方を検討する中で、本庁については、政策立案や広域調整機能を的確に果たせる組織の強化について検討していく」基本方針を示されました。
 そうした中、竹中総務大臣は、新年早々、地方公務員の総定数について、四.六%を上回る純減を求めた昨年三月に示された新地方行革指針の定員純減を一層上積みすることを強く求めました。
 同時に、不適正な給与制度やその運用の速やかな是正、年功的な給与上昇の抑制、勤務実績の給与への反映などについてもその速やかな取組みが必要であると厳しく指摘しております。

 各県ではこれまでにない大胆な行革を進めております。
 麻生知事は、新大綱において、思い切った職員定数の見直しと新しい時代に即応する組織の再編成をどのように両立させていくのか、とりわけ、今後の職員定数の純減規模との関係も含め、骨太な基本構想を明らかにしていただきたい。併せて、新しい給与体系について、その検討状況や基本的な考え方を明らかにするよう求めます。

 なお、現行行革大綱は平成十八年度までですから、新大綱は平成十九年度からになると考えます。一方、国から強く求められている集中改革プランは平成十七年度から五ヵ年の計画であります。二年のズレが生じます。
 集中改革プランについては、全国知事会長として、全国に先駆け早急に取り組む必要があると考えますが、新大綱との関係をどのように整合させるのか、その基本的な考え方をお尋ねします。




 関連して、職員の組合活動の適正化についてお尋ねします。

 先般、地方公務員が勤務時間内に給与を受けながら組合活動を行う場合の根拠となる、いわゆる「ながら条例」の運用状況に関する調査結果が発表されました。

 知事は昨年の十二月議会において、「職員が適法な交渉に参加する場合には、職員団体と人事課の間であらかじめ参加者、交渉場所や交渉予定時間の確認を行い、その範囲内で所属長が、業務の執行に支障がないことを判断した上で、職免の承認を行っている」と答弁されました。
 調査結果を見る限り、福岡県庁では、国の指導を逸脱した運用はないようであります。それだけ、わが県では労使関係が良好ということでよろしいのか、別に原因があるのか。各県によって労使関係は様々でしょうから、一概には言えないかもしれませんが、この原因をどう見ておられるのか、知事の見解をお尋ねします。

 しかし一方、市町村の実態は極めて問題が多いと言わざるを得ません。国が示した条例準則を逸脱して「ながら条例」を制定し、あるいは運用している団体が十四団体、承認に当たって口頭で済ませ、あるいは手続きがない団体は三十五団体に上っています。組合休暇についても、準則を逸脱している団体が三十団体、さらに本来無給の組合休暇を有給にしている団体が二十五団体にも及んでいます。

 この実態を知事はどのように認識されているのか。
 また、その速やかな是正は、全国知事会長として地方六団体をリードする立場からも、麻生知事に課せられた大きな責務だと考えますが、どう対処される方針なのか、お尋ねします。

 
 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)


1.財政構造改革と新年度予算の編成方針など







 財政構造改革プランの目標の達成が困難とな
った原因について

 五ヵ年の改革期間において、歳出の削減や県税の徴収など懸命な努力を積み重ねた結果、プランに掲げた計画額千二百三億円を上回る千六百六十一億円の成果を上げることができました。

 しかしながら、この間地方交付税等の大幅な削減が行われ、プラン策定時の見込みに比べ期間中の合計で、約千八百億円の減収となったところであります。
また、県税収入につきましても景気回復の遅れにより期間中の合計で約四百五十億円の減収となりました。
 こうした、プラン策定時に想定できなかった情勢の変化が要因であると考えております。






 財政構造改革の成果について

 本県は全国に先駆け、平成九年度以降財政構造改革に積極的に取り組んできたところであります。

 類似団体との比較でどのような状況かとのご質問でありますが、類似団体の捉え方が様々ございますことから、より分かりやすい全都道府県との比較で答えさせていただきます。

 まず、財政構造の弾力性を示す経常収支比率につきましては、平成九年度決算で九十七・六%、全国ワースト四位であったものが、十六年度決算では、九十二・五%、全国二十三位と全国平均の水準まで改善したところであります。

 次に、県民一人当たりの県債残高につきましては、平成十六年度決算で、全国平均の約六十二万円に対し、本県は、約四十七万円と低い水準を維持しております。
警察・教育部門を除く職員数の推移につきましては、平成九年度から十七年度までの減少率で見ますと、本県はマイナス十二・二%となっており、全国平均のマイナス十二・〇%とほぼ同等の水準となっております。  







 新たな財政計画について

 平成十九年度以降の新たな財政構造改革のための計画の基礎となる収支見通しにつきましては、国が平成十八年度中に策定する地方財政の歳入・歳出の中期的見通しを十分踏まえた上で作成してまいります。

 また、取り組み内容としては、定数削減を中心とした人件費の抑制、事務事業の見直し、建設事業費の規模抑制、財政収入の確保などに引き続き取り組むとともに、さらに、今後益々増加が見込まれる社会保障費について施策の改善を工夫し、その増加の抑制を図っていくことが、今後の財政構造改革のために非常に大きな課題であると考えているところであります。

 具体的な内容につきましては、今後の計画策定の中で検討してまいりたいと考えております。







 新たな財政計画と集中改革プランの関係について

 現在策定中の集中改革プランの内容は、簡素・効率的な体制づくり、とりわけ職員定数の削減が中心となるものでありますことから、このプランに盛り込まれる改革措置が新たな財政計画の重要な要素となるものと考えております。

 今後の景気、経済見通しについて
   
 輸出は世界経済の動向からみて、引き続き好調に推移するものと思われ、また、設備投資も製造業を中心として旺盛なことに加え、消費も徐々に改善しており、本県の景気回復は底堅く推移すると見込んでおります。
 国際情勢や原油価格の動向等には留意していく必要があると考えております。

 十八年度の法人二税の見積もりについて

 現在の税収の動向や企業に対する聞き取り調査結果などを基に前年度当初予算比六・六パーセント増の税収を計上しておりますが、これは、鉄鋼や自動車関連といった製造業をはじめ、銀行業等が好調に推移することが見込まれることによるものです。

 本県における税源移譲額及びその広報について

 平成十八年度の課税ベースで試算いたしますと、市町村分を含めて一千億円程度となり、住民税においては増税となりますが、その分所得税が減税されるため、県民一人当たりの負担額は変わらないこととなります。
このことについては、ホームページや広報誌に掲載するとともに、新たにポスターやパンフレットを作成するなど、県民への周知に努めて参りたいと考えております。

 新大綱の検討状況と策定手続きについて

 現在、次の大綱の策定に向けて、庁内で議論を進めているところであります。

 また、新年度には、行政改革審議会を立ち上げ、パブリックコメントの活用等も図りながら、県民の皆さんの意見を踏まえた、新たな大綱の検討を進めていきたいと考えております。

 このうち、行政の簡素効率的な体制づくりに関する部分については、今年度中に取りまとめを行い、集中改革プランとして、公表して参ります。 

 現大綱の総括について

 行革大綱の百三十三の改革事項のうち、取組が遅れているものや、運用上の課題があるため実施できないものなど十一項目を除き、百二十二の項目は計画どおり実施しているところであります。
 このうち、財政構造改革プランについては、先程お答えしたとおりであり、また、職員の定数については、九百人の計画目標を上回る千百五十人程の削減が達成できる見込みです。

 現大綱の計画どおりに進んでいない課題についての原因と今後の対応について

 残された課題のうち、「新しい人事給与制度」のように国や他県の動向を踏まえた検討が必要なため取組が遅れているもの、「電子申告・電子納税」のようにシステムの開発に時間を要しているものなどについては、引き続き実施に向けた取組を進めていきます。

 また、「重点組織目標」のように、試行の結果、運用上の課題が明らかになり大綱どおりの実施ができないものについては、平成十八年度に行政改革審議会で再度議論していただくことを考えております。

 新大綱の基本理念及び体系について

 行財政改革につきましては、まず、簡素効率的な体制づくりが重要な課題となります。
 さらに、市町村合併や地方分権改革の進展等に伴い、県の広域調整機能の強化への要請、社会保障分野における県の役割の増大、県境を超えた政策連合の進展など新たな課題に取り組んでいく必要があります。
 新大綱においては、このような課題に対応できる県庁づくりを目指して行財政改革に取り組む必要があると考えております。

 具体的には、今後、行政改革審議会において、事務の簡素効率化、本庁・出先機関の組織再編、政策形成能力の充実強化などについて検討していくことになります。

 新大綱における定数見直しと組織再編成の基本構想について

 職員定数につきましては、本県財政の現状や地方財政をめぐる状況が厳しいことから、事務事業の選択と重点化や、アウトソーシングのさらなる推進などにより、国の指針にある総定員の四・六%を念頭に計画的な削減に取り組む必要があると考えています。
 一方、組織については、市町村合併等が進む中で広域調整機能を的確に果たすこと等が重要であり、多様な政策課題への総合的・横断的対応を踏まえた組織の再編について検討して参りたいと考えております。

 新しい給与体系について

 人事委員会勧告を踏まえ、平成十八年度から、新たな給与制度を導入いたします。これは、年功的な給与上昇の抑制等の給与構造の抜本的な改革などを行うとともに、民間賃金の地域間格差を反映する給与体系に見直すものであり、このための条例案を今議会に提案しております。

 また、勤務実績の給与への反映につきましては、その前提として公正で客観的な評価制度の確立が必要でありますので、新年度からまず管理職員を先行させ、新たな人事評価制度を導入する予定であり、その実施状況を踏まえ検討してまいりたいと考えております。

 集中改革プランと新大綱との関係につい

 新大綱は、政策創造能力や広域調整機能の強化などを含めた県の行政改革全般を網羅した幅広い内容となるものであり、集中改革プランは、このうち行政の簡素効率的な体制づくりに関する部分について前倒しで検討し、取りまとめるものです。

 職員の組合活動について

 本県では、職員が適法な交渉に参加する場合は、条例等に基づき、職務専念義務免除等の承認手続を行うことが労使間においてルール化しております。
 このため、今回の総務省調査においては、このような適正な運用について、その調査結果が示されたものと考えております。

 市町村における組合活動について

 「ながら条例」等について、一部の市町村において見受けられる不適切な制度や運用については、早期に是正されるべきであると考えております。
 こうした不適切な制度等については、速やかに適正化するよう助言して参りたいと考えております。


 次に、公文書館問題についてお聞きします。

 本県における公文書の保管・利用のあり方については、これまで幾度となくわが会派がただして参りました。

 現状の本庁舎地下の倉庫の容量が限界に達しつつあることや劣悪な保存環境にあること、公文書の修復や保護が不十分であること、県民の共有財産としての公文書を広く展示・閲覧することができないこと、など多くの問題を抱えているところであります。

 県の公文書館設置に関する懇話会が平成六年三月に「公文書館を早急に設置することが必要である」との提言を出したにもかかわらず、その後十年以上放置されたままとなって現在に至っているわけであります。

 平成十六年の十二月議会におけるわが会派の代表質問に対し、知事は、「単独に設置するという方法も考えられるが、既存施設の中に併設するということが現実的であり、さらに検討を進めていく」旨の答弁をしておられます。

 新年度予算を拝見しますと、公文書館基本構想策定費が計上されておりますが、今後の公文書館整備に向けてあらためてどのような検討をしようとしておられるのでしょうか。知事の決意をお伺いいたします。また、先の知事答弁では、既存施設への併設を考えられておられるとのことでしたが、方針を変更して新設することとされたのでしょうか、方針変更をしたのならいつ、どのような理由で変更されたのでしょうか。さらに、今回の検討では具体的に、いつごろに結論を出され、施設整備に動き出されるのかお尋ねいたします。

 また、現在、県下各地でも市町村合併が進行し、合併に際し、旧市町村の貴重な公文書、資料等が散逸するのではないか、と心配する向きもあります。このため、公文書館による保存・活用が市町村にとっても深刻な問題となっているようです。

 市町村側には、県に共同施設の建設を要望し、保存を図っていきたい、声もあるとか、聞いているところですが、併せて、見解をお聞かせ下さい。
 


 2 公文書館整備

 
 公文書館整備の検討内容、施設整備の時期等について
  
 公文書館の整備については、これまで既存施設への併設を中心に検討しておりましたが、市町村合併が進み、市町村公文書の散逸が深刻に懸念される事態となっていることや、単独で公文書館を整備できない市町村もあるため、県としましては、市町村と一体となった公文書館整備の可能性について検討を行うことが必要となっております。

 このため、来年度に検討委員会を立ち上げ、市町村との連携のあり方や文書の保管、閲覧の方法などの具体的な機能について検討し、年内には検討結果を取りまとめたいと考えております。

 その検討結果を踏まえて、公文書館の整備の具体的な方向を出したいと考えております。
 

 
 次に、地域住民が安心して暮らせるいわば安全なまちづくりについてお聞きします。

 私がいろんな会合に出席してまず耳にする話題は「夜、どこどこの公園の横を通のは恐ろしくてたまらない」とか「毎日、子供が無事学校からもどってくるかどうか不安と心配で仕方ない」といったことばかりであります。

 つい最近も滋賀県での登園中の園児刺殺事件をはじめ、全国各地で頻発しています幼い子どもたちが犠牲となった痛ましい事件を例にとるまでもないことです。

 世界の先進国といわれた国々が、その経済発展に応じて着実に治安悪化の道をたどっていったなかで、かつて日本だけがその例外といわれ、私たち自身も世界に対してその治安の良さを誇りにしていたことが、まるで嘘であったかのような気がします。

 しかしながら嘆いてばかりいても仕方ないことは言うまでもありません。地域のなかで自分たちがやれることはやはり、手が及ばないところを行政がしっかりと手助けをする、これが安全・安心なまちづくりの基本だと考えています。

 これまでの事件をみても、通学路にもっと保護者や地域住民の目があったならば、とか、住宅にきちんと防犯対策が講じられていたならば、あるいは、道路や公園の見通しがもっとよく、また防犯灯や防犯カメラが設置されていたならば防げた犯罪は多々あったはずです。

 住民と地域の自助、共助と行政によるカメラの設置などの公助による防犯基盤づくり、流行語的に言うならば、自助、共助、公助が三位一体となって十分にかみ合った時、初めて地域社会における安全・安心なまちづくりが推進されるものと確信しています。

 こうした観点に立って現在の県行政における安全・安心まちづくり推進体制をみてみますと、疑問を抱かざるを得ない面もあります。 安全・安心なまちづくりを推進することを目的に総務部に生活安全室が設置され一年半が経過しようとしています。この間、職員の方々は積極的に取り組んでこられたものと思いますが、残念ながら、何がどう変わりつつあるのか、県民の目にはまったく見えてきておりません。

 これは、安全、安心の概念が余りにも広がりすぎていてテロ対策にも及ぶ国民保護計画を同室で手がけていることでも明らかだと思います。

 そこで改めて「安全・安心なまちづくり」の範囲を明確化し、一日も早く防犯に優れた治安の良い地域社会づくりのための体制を再構築すべきだと考えますが、知事の見解をお聞かせ下さい。

 また、これらを総合的に推進していくため、他県では条例推進が進んでいます。決してなんでもかんでも他県をまねろと言うわけではありませんが、やはり県や市町村、関係団体、そして地域住民の役割を明確にして、それぞれが連携して防犯と取り組むための環境や方針を示した条例づくりが必要不可欠と考えますので、条例制定についての知事の見解をお聞きします。

 なお、安全・安心まちづくりに関連し、この際ですから消防学校問題についてひと言ふれておきます。老朽化が著しいこの学校の建て替えについては、平成一六年二月のわが会派代表質問で知事に確認し、現在、外部有識者を加えた消防学校構想検討委員会において、二年にわたり検討が進められてきたと聞いています。

 ところが、新年度予算にもやはり検討費が計上されています。いったい、いつまでに結論を出し、新しい消防学校について、いつ頃を目途に実現を図っていかれる考えなのか、明確な答弁を求めておきます。

 3  安全・安心まちづくり条例についてなど
 

 安全・安心なまちづくりの取組体制について

 ご指摘のとおり、防災と防犯は性格が異なっていることから、消防防災安全課は災害時の対応などに取り組み、一方、生活安全室では、地域における防犯活動の支援や、犯罪の起きにくい住宅や道路、公園等の構造・設備等の環境整備の促進など、いわゆる「安全・安心まちづくり」に取り組んでおります。

 具体的には、これまで地域の防犯活動の実態調査やハード面から見た防犯まちづくりの研究を行うとともに、防犯リーダーの養成、防犯図上訓練、安全マップの作成等を通じて地域の防犯活動の支援等を行ってきたところであります。

 今後は、関係機関とも連携し、安全・安心まちづくりの総合戦略の策定や地域防犯活動の組織づくりなどに取り組んでまいることとしております。
 

 


 安全・安心なまちづくりのための条例の制定について

 安全・安心まちづくりは、地域住民や行政、関係団体が連携して県民運動として総合的に推進していく必要があります。

 ご提案のありました条例は、その場合の取組の基本理念やそれぞれの役割を明確にする上で有効な方法の一つであると考えております。

 このため、県民各層や関係機関の幅広い意見を踏まえつつ、条例についての検討も行って参りたいと考えています。
 

 

 消防学校の整備について

 現在、消防学校構想検討委員会において、消防学校のあり方について検討しており、年度内に報告書を取りまとめることとしております。

 この報告を受け、平成十八年度末までに教育訓練の内容や訓練施設・設備の規模などについて検討することとしております。
 

消防学校(福津市)


 次に、北部福岡緊急連絡管事業についてお聞きします。

 この事業については、基本的なところについてさえ、未だ県民の間にいろんな声があります。私たちとしては、県民共通理解の上でこの事業を組み立て、後世、福岡県民から喜ばれ、高い評価を得られるような事業として着手して頂きたい。そのためには、毅然とした方針、見解が得られなければ、議会として、会派として県民の信頼と負託に応えることが出来ない。このような思いでいますことを冒頭まず披瀝し、敢えて基本的見解をお聞きしますので、その意を汲んで見解をお示し願います。

 まず、北部福岡緊急連絡管事業は、昨年六月に開催された福岡県知事、福岡市長及び北九州市長の三者トップ会談において合意されたわけでありますが、もともとは、北九州市の水を福岡都市圏に融通する「北福導水構想」として、平成十四年十二月の三者トップ会談で取り上げられたと承知しています。

 今回、災害時等のライフライン確保のための危機管理対策として取り組むと聞いているところでありますが、緊急時の連絡管としてどのような事態において活用することを想定されているのでしょうか。例えば、昨年三月二十日に発生した福岡県西方沖地震のようなものを想定されているのであれば、連絡管そのものがそもそも使用不可能になってしまうのではないでしょうか。大地震に際しても使用可能という保障があるのでしょうか。

 また、この事業では、単に北九州市と福岡都市圏にパイプラインを設置するだけでなく、その管に維持用水として水を流すこととしていると聞いていますが、この維持用水については、具体的にどのような用途に使われるのでありましょうか。

 維持用水の提供先はどこに予定され、そのことについて関係者間の調整は終了しているのでありましょうか。

 次に、この事業主体の基本的な位置付けについてであります。

 昨年六月における合意の際には、本事業は県が事業主体として実施することになっていたと記憶しています。しかしながら、今回の予算案を見てみますと、事業の実施主体は北九州市であり、国庫補助金の受け入れをはじめとした財源調達は北九州市が行い、県は単に工事の執行を北九州市の委託を受けて実施するという形になり、事業の組み立てが変化しています。一体、全体事業費がいくらになり、県と北九州市の負担する経費はどの程度になっているのでしょうか。具体的にお答え下さい。

 また、何故このようにわかりにくい事業の実施形態になっているのか、これでは多くの県民の理解を得ることが出来ないのではないでしょうか。

 北九州市が実施主体として執行する事業として、これに対し福岡県は財政支援をするとして事業を組み立てた方が、明らかに分かり易いはずですが、何故そのようにならないのでありましょうか。何か特段の理由があってのことでしょうから、是非お聞かせ願います。

 以上の点を踏まえ、今回の事業の考え方について、改めて確認をしておきます。一部には、北九州市の単なる用水供給事業ではないかという意見もあるようですが、最後に、知事の明快なる所見をお示し願いたく思います。
 


(北部福岡緊急連絡管事業について)



 緊急時の想定及び連絡管の耐震性について

 北部福岡緊急連絡管事業は、福岡県西方沖地震のような自然災害やテロ、あるいは水道施設の事故等を想定しています。

 また、緊急連絡管は設計を工夫し、十分な耐震性を確保するなど、地震に際してもその機能維持が可能となるように整備します。



 維持用水の提供先及び関係者間の調整について

 維持用水については、水道用水として宗像及び粕屋地域で活用が見込まれており、現在、関係自治体と詳細な協議を進めております。





 事業費負担について

 この事業費の総額は、約百八十九億円を予定しております。

 このうち、国庫補助金を三分の一の約六十三億円見込んでおり、残額については、福岡県が貸付金約三十六億円と補助金約二十億円を手当し、北九州市が水道用水供給事業等で約七十億円を負担する予定であります。




 事業の実施形態について

 アジアに開かれた水に不安のない大都市圏を形成するためには、緊急時の危機管理は不可欠であります。そのため、県としては、事業費を補助するだけでなく、連絡管の建設についても十分な役割を果たすべきであると考えています。

 なお、国費を最大限活用するため、国庫補助金の受入は北九州市で行うこととしているところです。




 北部福岡緊急連絡管事業の考え方について

 この事業は、危機管理対策として北九州市と福岡都市圏を結び、緊急時に水道用水の相互融通を行うことにより、安全で安心なライフラインの確保を図るものであります。

 緊急時に迅速に対応するためには、常時維持用水を流す必要があり、これを水道用水として有効活用するものであります。
 


 次に、福岡県政にとって当面、最重要課題のひとつであります県立病院の民間移譲計画のなかで、残された二病院、嘉穂病院、柳川病院について、地域医療の在り方を中心に、今後の民間移行スケジュールも含め、方針をお聞きします。

 この二病院関連では、今議会には二つの条例案が提案されます。

 平成十五年十月にこの県立五病院の民間移譲計画を発表以来、まだ三年六ヵ月ですが、この短期間のなかで既に太宰府、遠賀、朝倉の三病院が民間に移行し、嘉穂、柳川についても平成十九年四月までに民間に移譲することが県民の前に明らかにされています。

 これだけの大事業、特に県立病院の民間移行は四十七都道府県では初めてのケースとも聞いており、労使対立の激しかったひと昔前までなら予測もつかないことです。隔世の感を深め、正直なところ、ここまで進めてこられた県当局の努力には評価をしているところであります。

 しかしながら最終的な評価が、五病院の民間移行を全て終え、かつ、県民が全てについて高い評価を与えた時、初めてくだすことは言うまでもないことです。

 特に私たちが心配してきたことは、民間移行をきっかけに、これまで、それぞれの県立病院が果たしてきた地域医療での核としての役割が損なわれることになりはしないかという点でありました。きちんとその機能を引き継がれ、従来に増して地域で期待され、喜ばれる民間病院として充実されなければ評価されることではありません。

 そこでまずお聞きしますが、柳川病院では、急性期疾患の総合病院的な機能を持った病院としてさらにその機能の維持向上を期待する声が強くあります。また、嘉穂病院では、結核、じん肺等呼吸器疾患に対する医療の継続を多くの方々から求められています。また、両病院とも、開放型病院として地元開業医との間の患者紹介を積極的に進めています。

 県当局は、今回の移譲にあたって、このような地域にとって必要な医療をいささかも損なうことなく、どのような方法で確保されるつもりなのか、まずはお聞かせください。

 次に、先行三病院の民営化の際は、十六年六月議会に条例を提案され、民営化の実施は十七年四月でした。今回は二月議会での提案となっており、前回に比べますと四ヶ月早くなっております。これは、前回の経験を踏まえ、移譲先の準備などに十分時間を確保することを目的とした判断であると考察するところであります。

 従って、今回の移譲については移譲先決定時期など当然早められるものと予測されるところでありますが、今後のスケジュールをどのように想定されているのかお示しください。

 柳川病院・嘉穂病院の移譲を早期に決断することができた背景には、先行三病院の民営化に対する評価があるものと考えます。昨年の九月議会で先行三病院について大きな経営改善が期待できる旨の予測を出されていましたが、その後、十ヶ月を経過した現時点ではどのようになっているのでしょうか。移譲の条件として提示されていた救急医療や小児医療などの診療状況また、地元開業医との連携など協定事項が厳然と守られ、地域医療の核としての機能が十分引き継がれているのかなどについても、詳細に説明願います。

 今、救急医療、特に小児の救急については、手がけるところが少なく地域医療での大きな問題となっているだけに、これは大変重要な問題であります。 
また、当初予算に二十億円の病院改築費補助が計上されておりますが、移譲した遠賀病院・朝倉病院の改築計画についてもお教えください。

 最後に、県立病院改革の県財政への影響についてご質問します。五病院の民営化が達成されたおりには、一般会計から病院会計への繰り入れは大幅に減ずるものと推測しますが、その一方で、改革に伴う一時的な負担として、勧奨退職による退職金の増加や起債の繰り上げ償還あるいは移譲先への補助金等の経費等は、当面かなりの額に上るものと考えます。そこで、中長期的に見た場合、県財政への影響がどのようになるのか、具体的な数値を上げお答えください。

 


(県立病院改革について)


 柳川病院及び嘉穂病院を移譲するにあたっての地域医療の確保について
            
 柳川病院及び嘉穂病院の移譲にあたりましても、質の高い医療の提供と安定した経営が期待できる移譲先を選定し、これまで県立病院が行ってきた医療を引き継ぐとともに、地域で要望の多い医療機能の充実などについて、協定で相互に確認するなど万全を期して参りたいと考えております。

 

福岡県立嘉穂病院
嘉穂病院



 柳川病院及び嘉穂病院の移譲先決定時期など今後のスケジュールについて
           
 県内の法人の中から移譲先を募り、夏には移譲先団体を内定したいと考えております。

 その後、移譲先団体との協議を行い、事務引き継ぎを進め、平成十九年四月の移譲に向けて鋭意取り組んで参ります。
 

柳川病院
柳川病院



 先行三病院の経営及び機能の状況と改築計画について
           
 各病院の経営状況につきましては、それぞれ前年度に比べ、医業収支比率で二十ポイント程度、人件費比率で三十から五十ポイント程度よくなっており、医業収支で四億円程度の改善が見込まれるなど、経営の健全化が図られております。

 機能の面では、朝倉病院で医師会病院との機能分担や地元開業医との連携強化、遠賀病院で小児科や開放病床の設置、救急患者の積極的な受け入れ、太宰府病院で民間医療機関との連携強化や訪問看護体制の充実などが図られております。

 改築につきましては、遠賀病院では本年一月に着工し、平成十八年度末の竣工を予定しており、また、朝倉病院では平成十八年度中の着工を目標にその準備が進められております。





 県立病院改革の県財政への影響について
           
 平成十九年四月に移譲する二病院につきましても、企業債の償還金、施設整備、運営費補助等七十億円程度、そのほか特例勧奨退職手当など一時的な財政負担が生じて参りますが、一方、これまで五病院で毎年約四十億円必要としていた県の繰出金が大きく減少し、設備投資も不要となるなど、県立病院改革は、中長期的に見ますと財政構造改革に大きく寄与するものであると考えております。
 


 次に、農政問題について伺います。

 先の十二月議会代表質問において、我が会派は、昨年十月に導入が決定された品目横断的経営安定対策の周知と、担い手の育成手法や育成目標について質したところでありました。その際、個別農家まで十分理解してもらえるよう制度周知に努めるとともに、水田農業ビジョンに位置づけられた担い手が、制度が発足する十九年度までに可能な限りその対象となるよう指導を強化していく旨の知事の答弁を得ています。

 この対策導入については、戦後の我が国農政の大転換を図る画期的なものであり、農業の構造改革を加速し、国際競争力も強化する政策効果があるとされています。しかしながら、この対策が、国の言うように、農政の大転換と呼ぶに相応しいものであるならば、単に制度の周知ではなく、「今、なぜ農政の大転換が必要なのか」について農家に十分理解を求めるべきではないでしょうか。生産現場からは未だ「小農切り捨て」との声が、しかも多くから聞こえてくるのが現実であります。「これまで全ての生産者に交付されていた麦や大豆の交付金が、これからは一定の基準を満たす農家にしかいきませんよ」というだけでは、「小農切り捨て」と批判されても仕方がありません。

 そこで、知事に伺います。
 この周知徹底については県農政あげて取り組むべきであります。その取り組み姿勢とまた、農政の大転換といわれる本制度が本県にそのまま導入された場合、県農業はどのように変化すると考えておられるのかその概観についてお答え願います。

 また、この制度は、十九年産の米・麦・大豆から対象となるとされていますが、制度の加入受付は今年の夏にも始まると聞いています。制度の周知や対象となる担い手の育成については、農協や普及センターが現地で一生懸命取り組んでいることは承知していますが、残念ながらまだまだ不十分のようであります。担い手育成のリーダー支援事業についても、目標とされる人員の半分程度の応募しかあっていないのが現実です。

 そこで知事に伺います。県は農協や市町村の意見は当然聞かれているとは思いますが、農家の声はきちんと聞いているのか、またどのように対応しているのかお答え願います。

 つぎに、米国産牛肉の輸入再開について伺います。
平成十五年十二月に米国でのBSE発生により、米国産牛肉の輸入が禁止されていましたが、昨年末、二年ぶりに輸入が再開されました。しかし、今年の一月二十日に輸入された牛肉に、特定危険部位である背骨が混入しているのが確認され、政府は米国産牛肉の輸入を即座に停止しました。

 もともと米国のBSE対策に不信感を持っている人も少なくなかっただけに、米国のずさんな管理体制が明るみに出たことにより不信感はさらに増幅されるのではないでしょうか。心配なことであります。

 また、先月、米国内で食用が禁じられている歩行困難な牛が食用として処理されていたとの報道もあり、追い打ちをかけられた感は否めません。

 ところで、万が一、牛肉全体の安全性に対して消費者が疑問を持ったら、そして信頼が揺らぐようなことがあれば、県内の生産者にも悪い影響を及ぼしかねません。当面、このことを一番心配しています。

 そこで知事に伺います。米国産牛肉の輸入問題については国会でも議論されていますが、この問題に関して、知事自身はどのような考えをもたれているのでしょうか、またこのような時こそ、県民の期待が高まる県産牛肉を積極的にアピールする必要があると思います。新年度予算の中でそれなりの措置がされているようですが、中長期の展望も含め本県の肉用牛についてどのような振興方針をお持ちなのかお示し願います。

 
(農政問題について)




 経営安定対策への取組姿勢と本県農業へ及ぼす影響について

 地域が策定した地域水田農業ビジョンにリストアップされた担い手が、制度発足までに可能な限り本制度の対象となるよう、認定農業者や法人化を目指す生産組織の育成に取り組んでいるところであります。

 担い手が生産の相当部分を占める農業構造が実現することにより、本県の土地利用型農業が持続的に発展するための条件整備が進むものと考えております。




 経営安定対策に係る農家への対応について

 集落座談会では制度の仕組みだけでなく、一人ひとりの経営の問題であることが理解されるよう周知を図っております。また、担い手に農地集積が円滑に進むよう誘導を行っているところであります。

 県としましては、本県の土地利用型農業の構造改革が着実に進むよう、「担い手・産地育成総合支援協議会」の活動を通じ、支援を強化して参る考えであります。

 

 



 アメリカ産牛肉の輸入問題について

 食品安全委員会は、特定危険部位の除去や、二十ヶ月齢以下の牛であることを輸入の条件としており、これらの条件を確実に遵守する体制が整うまでは輸入を再開すべきではないと考えております。
 

 

 本県の肉用牛の振興について

 受精卵移植技術を用いた和牛の生産に加え、生産コスト低減に効果が期待できる、放牧を活用した肉用牛の新たな生産技術の開発に取り組むこととしております。

 また、生産者自らが立ち上げたブランド「博多和牛」の消費拡大を支援するなど、本県肉用牛の振興に努めて参ります。
 


 次に、森林環境税構想についてただしておきます。

 この税構想については、一昨年の九月議会におけるわが会派の代表質問に対する知事答弁がきっかけとなって、庁内に研究会が設置され、検討が進められてきたものと理解しています。

 今回、庁内の研究会の検討結果を踏まえる形で、外部有識者を交えた新たな検討委員会の設置や県民からの意見聴取、県民への普及啓発などの予算が計上されたことにより、具体的段階に入ったものと考えています。

 これまでにも、指摘・提案してきたところですが、新しい税を創設する際最も留意しなければならないことは、税収の使途をどのようなものにするかということであり、このことについて県民の共通の理解を得られないと新税創設は困難だと思っています。

 森林環境税と言うからには、森林の維持・保全に使われることは当然でありましょうが、一方でこの税負担の大半を福岡、北九州両政令市の県民に課せられることを考えますと、単に森林保全のみではなく、都市住民の理解を得られるような使途も考えなければならないものと思います。

 そこで伺いますが、この税構想について、両政令市との調整はなされているのでしょうか。また、都市住民の方々にも理解を得られるような税収の使途については配慮されているのかどうか、具体的にお示し願います。


(森林環境問題について)


 

 森林環境税(仮称)構想に対する県民の理解 及び税収の使途について

 

 この構想の検討に当たりましては、県民の理解を得ることが、何よりも重要であります。

 このため、シンポジウムや広報活動を行うとともに、市町村説明会や県民意識調査を実施し、広く県民に意見を求めてまいります。

 外部検討委員会では、これらの意見を十分に踏まえ、森林の保全に向けた新たな施策や税の必要性並びに税収の使途について、具体的な検討を行うこととしております。

 


 次に、私の地元でもあります有明海再生対策についてお伺いします。

 地元漁業者とよく話をしますが、その中で、特に有明海再生のため覆砂を行った漁場を中心に、実に十数年ぶりにアサリが大量に発生していると聞いております。

 ところが、せっかくの朗報に水を差すような話もまた聞こえてきております。一部の心ない人たちが、まだ漁獲サイズに達していない小さなアサリを密漁し、漁業者の生活の糧である大切なアサリ資源を台無しにしているという事実であります。

 有明海再生のため、国、県、そして地元漁協や漁業者が力を合わせて、覆砂事業や調査などを実施しているなか、このような違反行為を許すわけには参りません。

 貴重な有明海のアサリ資源を守り育てるためにも、こうした心ない密漁者に対しては厳しい取り締まりを進めて頂きたいものです。知事の明確な回答をまずお願いします。

 次にノリの輸入問題についてお聞きします。

 ご承知のとおり、本県の南西部に位置する有明海は狭い海ではありますが、そこで営まれている有明海のノリ養殖業は県全体の生産額のほぼ半分を占める重要な産業であります。

 ところで、ノリをめぐる国際情勢は今年に入って大きく変化しています。昨年三月にわが国の輸入割当制度、つまりIQ制度は貿易ルールに違反しているとして、韓国はWTOに提訴しました。その後、日韓両国で非公式協議が行われ、本年一月二十日に、IQ制度を存続させる見返りとして、「輸入割当」を平成二十七年までの十年間に十二億枚と段階的に拡大することで合意がなされ、韓国はWTOへの提訴を取り下げることで決着しております。

 しかし、こうした動きに対して、当然中国も韓国と同様に輸入割当数量の大幅拡大を求めてくるのは必至であると考えられます。

 このように、外国からの圧力が高まるなか、先の十二月議会でのわが会派の指摘に対して、早速、県では今年の一月に本田水産林務部長を団長にして、漁業者代表や関係市の幹部で構成した中国水産調査団が派遣されました。この調査団の派遣はまさに時宜を得たものであると評価しております。

 また、県の強い指導の下、販売体制の強化のために柳川大川漁連と大和高田漁連の二つの共販組織の合併が推進されており、去る二月十五日に柳川市で合併調印式が行われ、この三月三十一日に新しい共販漁連として、正式に発足されるところまでこぎついており、これも評価されるところです。

 この二つの共販が合併することにより、入札経費の削減が図られるはもとよりのことですが、共販組織が一本化することで、他にどのような効果が期待されるのでしょうか、お答え下さい。

 また、ノリの大量輸入時代の到来を迎えて、有明海のノリ養殖が今後存続するためには、国内の産地間競争に打ち勝つことは勿論でありますが、中国や韓国に対抗するためには、迎え撃つだけではなく、むしろこれを逆手にとって、今後は十三億の人口を有する中国に対し、輸出して打って出ることも必要ではありませんか。

 また、新たな需要の喚起が大切です。今、関西方面の一部から全国に広まった節分に巻き寿しをまるごと食べる恵方巻きの例は大変参考になると思われます。また、バレンタインデーのチョコレートのプレゼントによりチョコの需要がどれくらい伸びたのか、計り知れないものがあると思っています。

 今、全国のノリ需要の六割はコンビニのおにぎりで占められていると聞いています。有明ノリのブランド化を図り、福岡から需要を全国、世界に起こしていく。是非英知を集めて手がけて頂くことを期待し、本県の最重要漁業である有明海のノリ養殖を発展させるために、今後どのように対応していかれるのか。答弁をお願いします。


(有明海再生対策について)






 アサリの密漁取締りについて

 現在、有明海では覆砂した漁場を中心にアサリの稚貝が大量に発生しております。

 アサリの密漁を防止するため、県の取締りはもとより、地元警察署や海上保安部と密接な連携を図り、合同での取締りも行っております。

 さらに、十八年度には、地元警察署の密漁取締船を更新し、機動力を向上させるなど、密漁の取締りを一層強化して参ります。
















 ノリ共販漁連の合併効果について

 合併する新共販漁連は、販売取扱高が全国で二番目の大型組織となります。その結果、商社に対する発言力が高まります。

 また、ノリの入札は二つの共販漁連で行われていましたが、今後は、入札を一本化して行うため、漁業者の販売力強化が期待されます。

 さらに、新共販漁連が直接販売ができるよう入札制度の改革を進めて参りたいと考えております。















 ノリ養殖業を発展させるための方策について

 県としましては、国内外の産地間競争力を高めて、高級ノリ産地として持続的に発展するよう指導・支援に努めて参ります。

 まず、販売面では、共販合併により販売コストの縮減を図り、福岡産のノリのブランドを確立し、新たな需要や海外への販路拡大も視野に入れた販売戦略を推進して参ります。

 さらに、生産面では、新品種の開発等の試験研究を進めるとともに、協業化を推進し、生産コストの削減に努めて参りたいと考えております。
 


 次に耐震偽装問題についてお伺いします。

 全国各地で発生した、この耐震建築偽装問題もようやく落ち着きを取り戻しつつあると思われていた中、新たな偽装疑惑が、しかもこの私たちの福岡県で発生し、マンション住民やその周囲の住民は強いショックを受け、不安に襲われています。

 件数も一万件以上と想定されるなど、どこまでこの問題は根深く、広がりを見せるのか計り知れない事態となりました。

 早急に、この問題の全体像を県民に明らかにし、対策を明示することにより、県民の不安を早急に解消することが、今県に問われています。

 そこで、まず、現状を的確に把握するため、今回の問題の経緯と、これまで県はどう対応してきたのか、お尋ねします。





 次に、今後の対応について知事にお尋ねします。現在、県が建築確認した物件について構造計算書の再計算を行っていると聞いていますが、いつ頃までにその結果について明らかにされる予定なのか、また、その際にもし
耐震強度不足が明らかになった物件について県は、どのような対策を講じるつもりか、補強等に対し、何らかの公的支援を行う考えがあるのでしょうか、方針をお示しください。

 国はこの事件を受け、建築基準法などの改正の方向性として罰則の強化や二重の審査など規制強化を打ち出しています。もちろん、それも必要です。しかし、建築主自身をはじめ、関係者のモラル、安全意識の向上がなければ、結局、欠陥住宅もなくならず、災害に強く安心して暮らせるまちとはならないのであります。 

 県として、建築物の防災対策の推進をはじめ、安全なまちづくりに向けて、今後、どう取り組まれるのか、知事の所見をお聞かせください。






 次に東横インによる不正改造問題と福祉のまちづくり条例違反についてお聞きします。

 これも、構造計算書の偽装問題と同様、経済性を追求するあまり、遵法精神、モラルが軽視される社会風潮の中、起こるべくして起こった事件といえます。

 まず、お聞きしますが、本県における東横インの違法改造及び福祉のまちづくり条例違反の状況について説明を願います。

 福祉のまちづくり条例は、当時のハートビル法ではバリアフリー化が十分に進まないため、本県の実情に即した整備基準の策定、特定まちづくり施設を整備基準に適合させるための届出義務と県の指導監督権限などを定め、さらに、福祉のまちづくり基金によって財政的な支援も行うという県民に期待された、非常に先進的な条例であったと認識していたところです。

 しかし、今回の問題を見ますと、果たしてこの条例が適切に運用されてきたのか、また、効果があったのかどうか疑問を抱かざるを得ません。

 そこでまず、整備基準適合に関する届出・報告の現状はどうなっているのか。また、県有施設及び公共施設の整備状況、更に基金の活用はどうなっているのか、説明を求めます。



 次に、この条例の見直しについてであります。

 制定後既に八年近くを経過しています。この間、特に平成十五年四月にハートビル法が改正され、一定の建築物について、地方公共団体の指導監督権限をその自主的判断によって強化することが出来るようになったと聞いていますが、如何でしょうか。

 もし事実ならば、是非この制度を活用し効果的な指導監督を行うとともに、公共団体自らが範を示して、新しい福祉のまちづくりを進めるべきであります。

 バリアフリーは高齢社会の現在、既にあらゆる建築物や公共施設が標準的に備えるべき段階に来ていると私どもは考えています。

 この際福祉のまちづくり条例等を改正し、指導監督権限の強化はもとより、現行の福祉のまちづくり基金についても、より幅広い活用を図っていくべきだと考えますが、知事の明快なる見解を求めるところであります。

 

(耐震構造偽装問題と福祉のまちづくり条例につ いて)

 耐震偽装問題の経緯と県の対応について

 福岡市が行った木村建設関与物件の調査の中で、サムシングが構造計算を行った複数の物件について、偽装の疑いが判明しました。
 このため、県ではサムシング関与の他の物件についても、保管している建築確認申請書の調査を行い、特定された物件について、再計算を実施することにしております。
 確認申請書が保管されていない物件の特定につきましては、サムシングの開設者に対する聴取を行うとともに、他の特定行政庁への呼びかけを行い、建築士事務所協会、マンション管理組合等、関係団体に情報提供を要請しているところです。 
 

 


 構造計算書の再計算結果の公表時期について

 現在、県におきましては、木村建設及びサムシング関与物件について、再計算を実施しており、できるだけ早い時期に計算結果の検証を終え、件数を公表する予定としております。
 再計算の結果、耐震強度に疑いがあるものにつきましては、建築主等に施工状況の報告を求め、その結果を精査した上で、耐震強度が著しく不足する場合には、物件名につきまして公表する予定としております。


 耐震強度の不足が明らかになった場合の対策と支援について

 県といたしましては、建築主等に対して建築基準法に適合するよう是正指導を行い、必要に応じて助言等も行ってまいります。
 また、住民の安全を確保するため、早期に是正措置を講じなければならない著しい強度不足の建築物につきましては、支援の必要性や範囲について検討してまいりたいと考えております。

 安全なまちづくりへの取組みについて

 建築物の安全性の確保は、災害に強い安全なまちづくりを進めるために重要なことと考えております。
 このため、県といたしましては、建築基準法改正の動向も踏まえ、その適正な運用に努めるとともに、建築確認から施工、維持管理にわたる様々な段階で、建築主及び関係者に対し、建築物の安全性への意識を啓発してまいります。
 また、建築物の防災対策の推進のために、来年度から策定します耐震改修促進計画の中で、耐震化促進のための具体的な施策の検討を行ってまいります。


 本県における東横インの違法改造等の状況について

 今回の調査では、県内で営業中の東横インは、福岡市内に五棟あり、これらのホテルにおいて、駐車場をレストラン等へ、車いす対応客室を会議室等へと改造、また、誘導ブロックの撤去などが行われておりました。

 この結果、五棟全てにおいて、建築基準法、福岡市福祉のまちづくり条例などの違反がありましたが、現在、福岡市の指導に従い、是正計画書が提出され、是正工事が行われております。


 福祉のまちづくり条例に基づく届出、県有施 設等の整備及び基金の活用状況について

 条例施行後、平成十六年度までに約二千五百件の民間施設の届出が行われております。

 また、公共施設のバリアフリー化の状況は、平成十四年度のバリアフリーマップ作成時の調査によると、概ね七割程度となっております。 さらに、県有施設については、平成十五年九月の調査によると、条例施行後の新築施設は全て条例基準をクリアーしておりますが、条例上、努力義務とされている条例施行前に設置した施設については、構造上の問題などから概ね八割程度の整備となっております。

 基金の活用状況につきましては、平成十年度以降、基金からの助成により二十三市町村において整備基本計画が策定され、二十市町村において同計画に基づく施設整備が行われております。


 福祉のまちづくり条例等の改正による指導監督権限の強化及び基金の活用について

 現行の福祉のまちづくり条例につきましては、指導監督権限の強化等、より実効性を確保する観点から、見直しの検討を行いたいと考えております。

 基金につきましては、幅広く県民の安全安心を確保するために、活用できないか検討を行いたいと考えております。
 


 次に教育問題についてお伺いします。

 学力に関する問題につきましては、私たちの会派は深い関心を寄せ常に取り上げ、先の九月議会においてもただしています。

 来年度は県下全ての児童生徒が参加できる独自の学力実態調査を実施するとのことで、その成果に大きな関心を寄せているところであります。また、国においても学力向上の施策を特に重要な課題とし、全国レベルでの学力テストの実施や国際調査の結果をもとにした読解力の向上のためのプログラムの策定、各学校の指導内容や方法の規準となる学習指導要領の見直しなどに取り組んでいると聞き及んでいます。

 勿論、これらの施策には大いに期待しているところですが、私たちが親として、自らの子や地域の子供たちを見たときに、今一番危惧しておりますことは、子どもたちの学ぼうとする意欲や、目標に向かって取り組もうとする意志や気力がうかがえず、その傾向が毎年深まっているのではないか、と感じさせられることであります。

 事実、国際調査の中でも、学ぶ目的を見いだせない生徒の割合が、他国に比べて非常に高いとの結果が出ていたようで、本当に心配なことであります。また、各種の調査において、難しい問題になるとはじめから投げ出して白紙の解答が多いことも指摘されており、全く残念なことです。

 自らに学ぶ目的や意志が備わっていれば、子どもたちは強制することなく自力で様々な学習に取り組んでいくものではないでしょうか。しかしながら、学校や教員の間では依然としてその必要性を十分に認識されず、旧態依然として指導しているのではないでしょうか。学校の教育力、教員の指導力が問われるところと言わざるを得ません。

 昨年十月の中央教育審議会答申でも、義務教育の姿として、学校の教育力、すなわち「学校力」とともに、「教師力」を強化し、それを通じて子どもたちの「人間力」を豊かに育てることが重要であるとうたわれていると聞いています。そのためには、質の高い教員が一人ひとりの子どもたちの資質や能力を確実に伸ばす学校の教育力向上が重要であり、その具体化に向けた教育委員会の指導性の発揮が大いに期待されるところであります。

 そこで教育長にお伺いします。
 このように、学力問題の解決には、単に教える内容の質や量だけではなく、学ぶ意欲や意志の育成が大切であると考えるところであります。このことについては、私は倫理、道徳教育と深い関わりを持ってくると考えていますが、これらを育てる教育の必要性に対する見解をお伺いします。

 次に、このような学ぶ意欲や意志を育てるためには、学校や教員がその必要性を深く認識し、学校をあげて取り組むことが必要と考えますが、どのように指導していこうと考えているのか、具体的、実践的な取組方針についてお示し願います。

 なお、来年度実施される全ての児童生徒が参加できる学力実態調査について重要なことは、この調査結果を学力向上にどう活かしていくかであります。全校や全市町村が自らの課題を正確に把握し改善策を見いださなければ、オリンピック精神ではないですが、単に全校が参加するだけの意義に終わってしまいます。市町村教委や学校長の権限については十分斟酌しながらも、県教委の方針として結果公表はきちんとやるべきです。この取り組みの趣旨・内容、そして公表方法等について具体的にお示し下さい。


(教育問題について) 
(教育長答弁)



 学校や教員への指導について

 学ぶ意欲や意志の育成に当たっては、児童生徒の心を的確にとらえ、興味・関心を引き出し、魅力ある分かる授業が行える教員の指導力の向上が必要であります。このため、教員評価に基づく自主的な研修や、教育センター等での研修の受講等を進めております。

 併せて、校内での授業研修や教員相互の授業評価等の組織的な取組を推進しており、今後とも、こうした方策の充実を図り、学校の教育力の一層の向上に努める考えであります。

 

 




 学ぶ意欲や意志を育てる教育について

 児童生徒が将来にわたり目標をもち、自ら学び考える力を育てる上で極めて重要であり、確かな学力の基盤であると認識しております。その育成には、体験によって学ぶ意味を考えさせたり、目標を実現するための努力の大切さを学ばせたりする必要があると考えております。

 このため、学習意欲を大切にした日常指導や計画的・継続的な進路指導、心のノートを活用した道徳教育等の教育活動を推進しており、今後も、その一層の充実に努めて参る考えです。




 学力実態調査の趣旨と内容等について

 平成十五年度から、抽出調査により県全体の学力状況を把握してきたところですが、今後は、各市町村や学校が学力の定着状況を個別に把握し、各々が責任と主体性をもって学力向上の取組を行う必要があると考えております。

 このため、平成十八年度は小学校五年生、中学校二年生の全ての児童生徒を対象に実施することとしております。調査結果については、県において的確に分析し、市町村や各学校がこの結果を活用できるよう公表するとともに、市町村教育委員会や各学校がこの結果を活用し、それぞれの課題に応じた多様な取組を主体的に推進するよう指導して参る考えであります。

 


 さて、私は私の質問の最後に知事の先進的な発想と積極的な取り組みにより、私の地元、大牟田市で稼働しています、いわゆるRDF発電について、お聞きしておきます。

 この一般廃棄物を固形化した燃料、いわゆる「RDF」を焼却することで発電を行う施設大牟田リサイクル発電所が平成十四年十二月に稼働を開始して以来既に三年以上が経過しています。最新の環境対策設備によりダイオキシンに対して万全の対策ができるとともに廃棄物の熱エネルギーを有効利用することで地球温暖化対策にも寄与することができる施設とされていました。それだけに、地元では、まさに資源循環型社会の一翼を担う施設として大いに期待を寄せていたところであります。
 しかしながら開業から僅か八ヵ月で、早くも発生した事故を皮切りに、相次ぐ事故や市町村が支払うRDF処理委託料の値上げ提案などにより、地元では、このRDF発電を今日では実に冷めた目で見るに至っています。

 昨年六月にこのリサイクル発電所の運営協議会において、大牟田リサイクル発電鰍ェ提案した事業計画では、市町村が支払うRDF処理委託料を一トン当たり九千五百円に再値上げすること、及び、参加市町村に対し、合計で二億五千万円の一時金の負担を求めること、という市町村にとってはおよそ「はいそうですか」と素直に受け入れることのできないような内容が盛り込まれているようです。
 特に、処理委託料については、事業開始当初は一トン当たり五千円であったのが、平成十六年四月からは一トン当たり七千二百円に値上げされ、事業開始から三年経つか経たないうちに当初の倍額近い金額に再値上げするというものであります。参加市町村が不信を募らせ強い反発の声をあゲルのも無理からぬものがあると理解するところであります。

 しかしながら知事は、これまでの本会議での質問に対し「この問題は、運営協議会において関係者間の協議で決定されるべきものである」との姿勢を崩さず、あたかも客観的な立場の答弁に終始されていることは理解に苦しむところであります。

 そこでお聞きします。
 このRDF発電事業については、言うまでもなく、県は自ら積極的に推進してこられたわけですが、処理委託料の引き上げが提案され、関係する自治体の反発を招いている今日、この事業をどのように認識、評価されておられるのか、改めてお伺いします。

 次に、平成十四年十二月から稼働開始してから今日までの三年間に事故をはじめ種々のトラブルが発生しています。これは単なるハプニングにとどまる事故なのか、それとも構造的欠陥を抱えていると見るべきなのか、この点についてどのように認識し、県として今後どのような取り組みをされるつもりか、知事の見解をお示し願います。

 最後に処理委託料の引き上げに関する自治体への財政支援についてであります。財政支援について強い要望がなされているようですが、その具体策として発電所の経営体質強化のため、増資の要望がなされているとも聞いてはいるところであります。従ってこのような手法も含めて早急に支援を行うべきだと考えているところでありますが、知事の強い決断のほどをお聞きして、私の代表質問を終わります。


 (大牟田RDF発電事業について)


 

大牟田リサイクル発電所




 大牟田RDF発電事業に対する認識等について

 この事業は、小規模市町村のごみ処理におけるダイオキシン類対策、ごみの焼却熱を回収して発電を行うサーマルリサイクル、炭坑閉山後の地域振興などを目的に、RDFという新しい技術を用いて、県域を越えた広域的プロジェクトとして取り組んだものであります。

 RDF発電事業には、このような大きな意義がありますので、今後とも関係者の協力のもと安全な運転の確保はもとより、安定的な運営の確立に努める必要があると考えています。







 トラブルに対する認識と今後の取組みについて

 RDFの発熱など、予測できない原因によるトラブルもありましたが、その都度必要な対策が講じられ、現在は、ほぼ安定的な施設稼働が実現されているものと認識しています。

 県としましては、この事業を技術的に支援している電源開発株式会社とも十分連携しながら、引き続き安全で安定的な運転に向け、大牟田リサイクル発電株式会社を指導してまいりたいと考えています。




 県の財政支援について

 今後のRDF発電事業の推進のためには、関係市町村とも協力しつつ、大牟田リサイクル発電株式会社の経営安定化を図る必要があると考えます。

 このため県といたしましても、関係者と鋭意協議を続けているところでありますが、御指摘の点も踏まえ、具体的な支援策について、速やかに検討を進めることとしたいと考えています。
 

   
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