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   自民党県議団 代表質問 平成17年12月8日(木)   

   12月2日(金)に開会した12月議会は12月8日(木)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

 


      自民党県議団質問内容

 
 質問に先立ち、先に逝去された三木清先生のわが福岡県政における偉大な功績をたたえ、かつご遺徳をしのんで、議会と会派を代表して、心からご冥福をお祈り致す次第であります。
 さて、今年もまたいろいろなことがありました。とりわけ三月二十日に本県を襲ったいわゆる西方沖地震は、地震に縁薄いとみられていた本県での大型地震の発生だけに、まさに青天のへきれきでありました。幸い復旧、復興ともに順調に進んでいることに意を強くしています。慶事としては、皇室清子様のご成婚の儀がありました。国民が共に慶び、改めてわが国の象徴としての天皇、皇后の存在の大きさを知ったところでもあります。
 やがて平成十七年、二〇〇五年が終わりを告げます。大いなる気概をもって新しい年に臨みたいと思っています。
 それではただ今より、代表質問に入ります。

 知事の政治姿勢として、まず最初に、、本年度の給与改定についてただします。
 今年の給与改定については、十月十二日に県人事委員会が勧告を行いました。公民格差〇・六六%の逆格差の是正を図るため、給与月額を引き下げると共に、配偶者に係る扶養手当及び調整手当を引き下げることが勧告されています。
 この勧告自体は、国の人事院勧告がマイナス〇・三六%であったことを勘案しますと、本県人事委員会が県民感情を十分考慮され、相応の努力をされたものと評価していたところであります。
 これを受けて、本議会に知事部局、教育庁及び警察本部のそれぞれについて給与条例の改正案が提案されています。
 そこでまずお伺いしますが、県内の公民格差〇・六六%という人事委員会勧告の指摘勧告を踏まえた県職員の改定率は一体何%になっているのでしょうか。
 と申しますのも、県人事委員会勧告と今回提案されている給与条例改正案を比べてみますと、一見してその違いが明らかなものがあるためです。
 勧告では調整手当については、現在の二・七五%を二・五〇%へと支給割合を引き下げることが求められていますが、条例案にはそのような内容が見あたりません。
 何故、このような措置となったのか、来年四月からは新たな制度に移行するとのことですが、短期間だっても不適切な取り扱いは許されないものと考えますので、考えをお示し願います。
 次に、県人事委員会勧告の公民格差は、本年四月時点のものであります。これまで、プラスの給与改定がなされていたときには、職員組合の完全実施の要求に応じて、特例措置を講じ、四月にさかのぼって給与の増額措置を実施していたはずです。また、例えマイナス勧告でも過去には同様の措置が取られたことがあったと記憶しています。
 ところが、今回のマイナス勧告については、来年一月一日からの実施となっています。まさにご都合主義の感が否めません。
 大阪市の非常識の極みとも言える職員の福利厚生問題を持ち出すまでもなく、未だ不景気から脱却しきれていない本県中小企業の窮状、また、納税者としての県民感情を謙虚に踏まえれば、職員の給与改定にあたってはもっと実情を深刻に受け止めるべきであります。
 ご承知とは思いますが、こうした公務員に対する厳しい市民感情を考慮して他県の一部では、既にいくつかの団体では大胆な給与見直し案を提案しています。
 例えば、鳥取県ではわたり制度の廃止に向けて、来年から十年かけて給与表を段階的に格下げする移行措置を組合に提示していることが報道されています。
 また北海道では、一般職員の給与を来年度から二年間で十%削減するなど、大胆な給与削減案を提案したと伝えられています。もとより、提案どおりに行われるかどうかは断定することはできないでしょうが、これら団体の人事当局の心意気は大いに見習うべきものがあるのではないでしょうか。
 そこで、今回のご都合主義的な感が否めない措置について、ごく普通の一般県民にも十分納得、理解のいく説明を知事に求めます。
 次にこの際ですから重ねて確認しておきます。
 前回の代表質問で、わが会派は県庁労使の正常なあり方について質問をしました。その際、知事は「本県においては、組合活動を行う場合にあっては、条例・規則により職免や年休の取得手続きがなされており、いわゆるヤミ専従はない」旨の答弁をされています。
 そこで、どのような基準で職務専念義務の免除がなされているのか、当然、職務の円滑な執行に支障を来たさないように配慮が必要ですから、全庁的に統一的な明確な基準が定められていると思います。
 仮に、職場毎に定められているのなら、バラバラの運用になっていることが危惧され、問題が多いと考えますので、これらの事情について詳しい説明を求めるところであります。
 なお、職務専念義務免除のひとつとして職員が朝夕保育所へ子弟を送迎することも認められていると聞いています。
 これらについても、既に改める時期に来ているのではないか、と思っていますので併せて見解を求めておきます。




 

 続いて、いわゆる三位一体改革についてであります。
 去る十一月三十日、三位一体改革の最終的な決着が図られたところであります。ここに至るまで、二度にわたる地方からの改革案の提出やそれに対する各省のゼロ回答の繰り返しなど、政府、与党そして地方六団体を巻き込んだ紆余曲折があったところであります。 ともあれ、三カ年にわたる大きな改革がとりあえず成し遂げられることとなり、昨年の二月以来、地方六団体のリーダーとして改革の推進に取り組んでこられた麻生知事には、その努力に対し、ひとまずご苦労様と申しあげます。
 しかしながら、今回の三位一体改革の成果については、地方側が当初期待していた内容に比して不十分と言わざるを得ないものがあるのではないかと考えます。
 そこで伺います。三位一体改革の最終決着の内容について、麻生知事はどのような評価をされておられるでしょうか。また、ここに至るまでの知事会長としての取組について、どのような自己評価、総括をされておられるのでしょうか。前会長時代と比して闘う知事会が軟化したのではないか。他県の知事からは、こういった批判も出ているところであります。
 次に、地方六団体は、十八年度までの改革を第一期の改革として平成十九年度以降についても引き続き改革を進めていくべきことを求めております。三兆円の税源移譲という目標を設定したことや、地方が自ら補助金改革案をつくって国にぶつけたことなど、確かにこれまでにない画期的な手法がとられたわけですが、これまでの三年間の経緯を振り返ってみますと、同じような手法を続けていくだけでは、到底霞ヶ関の厚い壁を打ち破ることはできないのではないかと思われます。全国知事会長の任期は、まだ一年以上残っているかと思いますが、麻生知事は、今後のいわゆる第二期の改革に向けてどのような戦略で取り組んでいこうとされておられるでしょうか。その戦術、戦略について、抱負のほどをお示し頂きたいと思います。

 なお、時期が時期ですので、この際本年度の県税収入見通しについて、お聞きしておきます。景気回復基調にあわせて、当初では相当強気の読みをされていたようですが、現時点でどの程度の税収を見込んでいるのか、総額とともに主な税目別に増収額やその理由を具体的にお示し願います。





 

 次に市町村合併についてお伺いいたします。
先の六月議会における我が会派の代表質問に対し、知事は、「本県においては、さらに合併していく必要のある地域があるし、また、する必要がある。」との考えを示しておられました。合併新法に基づく合併構想についても、市町村と十分意見交換をし、合併の可能性のある地域を対象としていく旨の答弁をされています。
 この構想を策定、審議するための市町村合併推進審議会を県は本年八月に設置され、鋭意検討を進めてきたものと思います。合併構想は年度末を目途に策定することとなると聞き及んでおりますが、そろそろ具体的な内容が固まりつつあるのではないかと考えますが、まず、この合併構想の対象とする具体的な地域についてお示し願います。
また、構想策定にあたって、本県としては、市町村の適正な人口規模、あるいは最低限の人口規模をどの程度のものと考えて取り組まれようとしているのでしょうか。「構想」と称するからには、あるべき目標、あるべき姿というものを当然設置されるべきものと考えますので、是非とも明確な基準とその根拠をお示し願います。
 この合併構想に関連して、本県では、既に福岡県市町村合併推進要項を策定し、その中で、いくつかの市町村合併パターンを示しております。現実の合併が、この合併パターンと全く同じように進まないのは当然といえば当然ではありますが、合併パターンに示されておりながら、全く合併が進展していない地域が存在しております。この合併パターンと新たに策定する合併構想との関係はどのようになっているのでしょうか。また、合併パターンに盛り込まれていながら、合併が進んでいない地域については、積極的に合併構想に位置づけていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、合併協議会設置の勧告についてですが、知事は、有効であるかどうかを見極めながら勧告権の行使についても考えていくとの答弁をされておられますし、さらには、有効となるような状況を作っていくとの踏み込んだ答弁をされています。勧告権の行使が有効となるような市町村との協議・調整は、これまで、どのような地域において、どの程度行ってこられたのでしょうか。具体的な地域名をあげて答弁願います。





 

 知事の政治姿勢として、最後に県民に今、大変な不安をもたらしています緊急な二つの問題について、手短かに指摘し、県政としての対応について知事の決意の程を伺っておきます。
 まず最近、明るみに出た連日マスコミで報道されている耐震構造偽装工事は極めて重大かつ悪質な社会事件であります。本県においても既に数カ所において、被害が予想されるマンション、ホテルの存在が明らかになり、私たちの不安には測りしれないものがあります。ひとたび大きな地震に襲われたならば地獄絵さながらの悲惨、残酷な事態も招きかねないといっても過言ではないと思います。
 これが特定業者だけの事件であるならば、解決の道も早いでしょう。しかしながら、企業倫理、モラルをかなぐり捨てた空気がこの業界を覆い、かつ検査自体に手抜きや手落ちがあり、そうした状況が全国に拡散しているとしたら、国民はみな不安と危険にさらされた中で生活していかなければならないことになります。
 そこで、まずこの耐震構造擬装と見られる建築物が本県で現在までにどれくらい把握されているのか、その実情説明とこれに対する知事の率直な所信と見解、また、本県において他に不安、心配を抱えたビルやマンション等の建築物が他には存在しないのか、早急に調査・再点検すべきと考えますので、見解を聞かせて頂きます。また、立て替え、住み替え等の必要が生じた場合の融資や助成等に当面の方針をお示し願います。 また、公共機関による審査手落ちの例も明らかになっていますので、断定的に言えることではないようですが、規制緩和の一環として、建築基準法に基づく建築確認の指定を受けた民間検査機関が行えるようになったことが今回の問題に深い関わりがあるような気がしてなりません。
 そこで本県における民間審査の実情と私の指摘に対して率直な見解をお示し願います。

 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)



 1.耐震構造偽装問題など


 調整手当の取扱いと給与改定率について

 調整手当は、物価や生計費及び民間賃金の地域較差に応じて、定率で支給する手当であります。
  来年度から調整手当に代えて地域手当を導入する予定としていることもあり、制度の本来の趣旨に基づいて措置できるよう、改定を見送ることとしたものであります。
この結果、一月からの給与改定率は、マイナス〇・三六%になります。





 給与改定の実施時期について

 本県の人事委員会は、給料の二%減額を行っている中で、さらに遡ってマイナスの改定を実施することは適当でないとの考えのもとに、勧告を行っていることから、来年一月一日からの実施としたところです。















































 組合活動を行う際の職務専念義務の免除について

 職員が適法な交渉に参加する場合につきましては、職員団体と人事課の間であらかじめ参加者及び、交渉場所や交渉予定時間の確認を行い、その範囲内で所属長が、業務の執行に支障のないことを判断したうえで、職免の承認を行っているところであります。


 保育所送迎職免について

 保育所送迎職免につきましては、三歳から小学校修学前の子を保育所に送迎する職員について、勤務時間の始め又は終わりに一日一時間の範囲内で無給の取扱いとして、職務専念義務を免除することとしておりますが、仕事と家庭が両立しやすい職場環境を進める上でも、今後とも必要な制度であると認識いたしております。



 三位一体改革の最終決着の評価と知事会長としての取り組みの総括について


 第一に、三兆円というかつてない大規模な税源移譲が基幹税である個人住民税で行われることとなったことは、大きな前進であると考えております。
  第二に、地方側が強く反対した生活保護について、改革対象としないこととなりました点は評価できると考えます。
  第三に、地方が強く税源移譲を求めておりました施設整備費が税源移譲対象とされたことは、大きな前進であります。
  第四に、義務教育費国庫負担金八千五百億円について、削減されることとなったことは前進ですが、国の負担率引き下げによる税源移譲となったことは長い議論の経過を考えると残念であります。  
  第五に、今回の改革には、国の負担率引き下げによるものが多く含まれており残念でありますが、これらについては今後権限の移譲等を求めていく必要があると考えております。

  私は、戦う知事会をさらに発展させ「行動し成果を勝ち取る知事会」を基本方針に掲げ、三位一体改革に全力を挙げて参りました。また、改革の原動力である地方六団体の協力・団結強化を図るとともに、地方分権改革について広く国民の理解が得られるよう活動を進めてまいりました。
  今回、地方分権改革が大きく前進したのはこれらの活動の成果であると考えております。



 本年度の税収見通しについて

本年度の十月末現在では、昨年度をやや上回る実績であります。
  その内容を見ると、高金利時代の定額貯金が減少したため、県民税利子割が減収となるものの、主力の法人事業税については、景気の回復を反映して、鉄鋼業等の製造業や銀行業が好調であることから増収となっております。
  こうした状況から推計しますと、全体としては、昨年度当初予算を六・九%上回る本年度の当初予算額四千九百九十四億円は確保できるのではないかと考えております。

 合併構想の対象地域について

 構想対象市町村の組合せについては、市町村合併推進審議会の意見を聴くこととされており、年明け以降の審議会において検討がなされる予定であります。
現段階では、既に合併協議会が設置されています八女市及び上陽町や、瀬高町、山川町及び高田町などは、構想の対象となるものと考えております。

 市町村の適正な人口規模について

 人口一万人未満のいわゆる小規模市町村においては、基礎自治体としての規模や能力を充実することが求められているため、合併を進めていく必要があると考えております。
この場合には、周辺市町村の意向や旧合併特例法の下で合併を行った経緯等を踏まえる必要があると考えております。

 福岡県市町村合併推進要綱の合併パターンと合併構想との関係について

 平成十二年に示したパターンは、合併の枠組みの参考として提示したものであります。
これにより、多くの地域で合併協議会等が設置されましたが、合併に至った地域もあれば、合併協議が調わなかった地域もあったところです。
県としては、合併が十分に進んでいない地域の市町村に対して、引き続き働きかけを行ってまいることとしており、地元での合意形成や合併機運の醸成を図りながら、構想に位置づけてまいりたいと考えております。


 合併協議会設置に向けた市町村との協議・調整について

 県としては、できるかぎり市町村が自主的に合併協議を開始するよう、さまざまな機会を捉えて、積極的に働きかけを行っているところであります。
具体的な取組みとしては、八女地域や山門地域、糟屋地域、糸島地域、田川地域、豊築地域等において、市町村長等との意見交換、市町村議会の研修会や合併に向けた地域住民の活動に対する支援等を行っております。
こうした取組みを通じ、今後更に合併の推進に努めてまいります。



 耐震構造偽装の本県の実情について

千葉県から姉歯建築設計事務所が関与したとして、三件の建築物の情報提供がありました。
調査の結果、構造計算書の偽装が判明したも
のは、苅田町及び北九州市内のホテル各一件、福岡市内の共同住宅一件でございます。
このように、構造計算書が偽装され、耐震性
に問題があるマンション等が建設されたことは、住民の生命、財産に係わる、重大な問題であり、誠に遺憾なことであると思っております。

 構造計算書の再点検について

県内の建築確認検査機関は、公的機関として県、両政令市、久留米市、大牟田市の五特定行政庁があり、また民間機関として県指定確認検査機関、国指定確認検査機関がございます。
  今回、国指定機関分を除き、五特定行政庁と県指定機関が審査した、平成十四年四月から三年半の大臣認定構造計算プログラムを用いた構造計算書千六十六件について緊急の再点検を行ったところでありますが、さらに今後、民間機関に対しても、県と同等の再点検を行うよう求めてまいります。


 建替え等が生じた場合の当面の助成等について

 住民の安全確保のため、建て替えや住み替えが必要な場合には、県の支援の必要性や範囲について検討してまいりたいと考えております。


 指定確認検査機関の審査の実情と指導について

 県内では、平成十六年度実績として一万九千件余りの建築確認のうち、指定確認検査機関による建築確認が約半数を占め、その割合は年々増加してきております。
このため、県といたしましては、県指定確認
検査機関への立ち入り検査を強化し、更に適切な審査が行われるよう指導してまいりたいと考えております。
また国に対しては、国指定確認検査機関への
指導強化と、県の指導が可能となるような制度改善を要望してまいりたいと考えております。
 

 次に、国民保護法制への取り組みについてお尋ねします。

 まず、これまでの県当局の取組として、昨年四月には当時の消防防災課に国民保護を担当する課長級の参事を配置されております。
 さらに、九月には年度途中にもかかわらず異例の組織改編を断行され、「消防防災課」を「消防防災安全課」に組織改称し、課内室として新たに「生活安全室」を設けられました。
 本年三月には、「国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例」、「国民保護協議会条例」を制定され、国民保護協議会についてはこれまで二度開催されているようです。
 しかしながら、これまでのこうした取組を振り返りましても、国民保護法制に対応する器、外観は徐々に整えられつつあるものの、肝心の中身が伴っていないるのかどうか、一抹の危惧を抱かざるを得ないのであります。

 昨年度には、本県の国民保護計画の作成に係る事前準備として、県民の避難、救護、大規模集客施設の状況等を対象に調査委託を実施されておりますが、それがどのように国民保護計画の素案に反映されたのか。当然生かされているのでしょうが、どこにどのような重要課題が潜んでいるのか、県民には今ひとつ分かりづらいのであります。そこで、あらためて、この委託調査で明らかになった問題点を整理して分かりやすく説明願います。 ところで、去る九月になってようやく国民保護計画素案への意見募集が開始され、十月には募集が終了していますが、どのような提言・意見が出されたのか、その内容とともに、これらをどのように計画に反映させる方針なのか説明願います。

 また、今後、この計画がいつ完成するのか、そしてその後の実現に向けてのスケジュール、計画推進の体制をどう構築していくのかについても説明願います。
 国のこれまでの取組を見ますと、既に本年三月には基本指針が作成され、各都道府県における国民保護計画作成を支援するためのモデル計画が示されておれます。また、福井県、鳥取県では七月二十二日に閣議了承され、二十一道府県が国と事前協議中だと聞いております。政府レベルでも、総務省消防庁において国民保護計画が作成され、十月末には閣議了承されています。
 こうした他団体の取組を見る煮つけ、本県の取組はいかにも悠長すぎるとの感慨を禁じ得ません。
 そこで、お尋ねしますが、この計画を真に実効性があるものにするため、現在何が課題となっているのか、その解決のための方策をどうされようとしているのか、このことは県民の生命財産に関する深刻な問題でありますから、抽象的な答弁ではなく、具体的な答弁を求めます。また、国民保護計画作成に向けて作業はどの程度進んでいるのか、今後のスケジュール、計画策定後の推進体制のあり方も含めてお尋ねします。




 さらに、自衛隊との連携を強固にし、また本県組織の危機管理の知識や対応能力のレベルアップを図るためにも、我々が再三再四指摘して実現した退役自衛官の起用については、アドバイザーといった位置づけにとどまらず、ライン職として正式に位置づける人事交流にも真剣に意を払うことも検討すべきだと考えます。
 知事の基本的な考えをお尋ねします。





 また、国では、来年一月を目途に市町村国民保護モデル計画を作成する予定であると聞き及んでおります。国民保護の体制は、国、県、市長村が一体となって初めて有効に機能することは論を持たないところであります。
 これまで、市町村に対してどのような指導を行ってきたのか、市町村の現状はどのように認識しているのか、さらに、市町村レベルの国民保護計画作成をいつまでに完了する予定でいるのか、明らかにしていただきたい。


 最後に、有事の際の国民保護という自治体の最も根本的な使命を果たすための知事の基本姿勢と決意をお尋ねして、この問題の質問を終わります。


 2 国民保護法制について

 委託調査の結果による問題点について

 市町村や消防の職員だけで避難者を誘導することは人員的に困難であることや、多数の避難者の収容が必要な事態においては、国公立の学校や公民館だけでは避難施設が不足することが考えられます。
  また、災害時要援護者の割合が、過疎地域では高いことや、大規模集客施設の多くが福岡市及び北九州市に集中していること等が挙げられます。
  これらの課題を踏まえて国民保護計画素案を作成したところであり、今後、避難や救援の実施要領を作成する際にも反映させていきたいと考えております。


 国民保護計画素案への意見募集の結果について

 提出されました意見は、国民保護計画の作成を義務づけられていない組合消防との連携の確保など体制に関するものや、災害時要援護者の避難方法、情報の提供手段に関する意見など、二十一件となっています。
  意見については、国民保護協議会で議論していただいた上で、県計画への反映や、実施要領の作成、さらにはその具体的運用に活かして参りたいと考えております。  

 国民保護計画の作成スケジュール、推進体制等について

 県の国民保護計画は、今年中に国民保護協議会の答申を受け、その後、速やかに国との協議を行って確定させることとなります。
 計画の作成後は、事態発生時の避難、救援の方法をより具体化した実施要領の作成を行うとともに、市町村の国民保護計画の作成への助言、さらに関係機関が参加する図上訓練の実施等を行い、国民保護措置が円滑に実施できる体制を整備して参る考えであります。

 国民保護計画を実効性あるものにするための課題について

 万一、武力攻撃事態や大規模テロが発生した場合は、住民の避難の指示や救援をどれだけ迅速に行うかが課題であり、関係機関との連携体制の整備が不可欠であります。
 特に、大都市においては、事態発生に伴う避難住民の混乱等が予想されることから、福岡市及び北九州市との連絡組織を設置する考えです。
 また、国民保護の意義や仕組みについて、広く住民の理解が深まることが国民保護措置の実施にあたり必要でありますので、国民保護フォーラムの開催や広報誌等を通じて啓発に努めることとしています。

 自衛隊との人事交流について

 危機管理体制の強化を図るため、県といたしましては、自衛隊との人事交流を進めることとし、本年六月から、退職自衛官をアドバイザーとして任用して、国民保護計画の策定などについて助言を受けているところです。
 平成十八年度においては、国民保護計画の実施要領の作成や市町村計画の作成支援などもありますので、引き続き任用したいと考えております。

 市町村に対する働きかけの状況について

 市町村に対しては、これまで国民保護法や県の計画素案についての説明会の開催等を通じて、説明や意見交換を行ってきたところです。
 市町村は、県の国民保護計画に基づき、国が示すモデル計画を参考にしつつ、平成十八年度中に国民保護計画を作成することとなっております。
 県の国民保護計画との整合性を図る観点等から、今後とも、情報提供や助言などの支援を行って参りたいと考えております。


 国民保護に対する基本姿勢と決意について

 万が一有事となった場合には、県は、県民の皆さんの生命、身体、財産を守る責務があります。
 このため、県としましては、平素から、県国民保護計画に沿って有事に備えた体制・設備の整備や訓練等を実施し、有事の際に、国や市町村、指定地方公共機関等と連携して、避難や救援等の国民保護措置が的確、迅速に実施できるよう、十分な備えを講じて参りたいと考えております。
 

 次に国際化の推進についてお聞きします。

 本県が知事を先頭に、世界、とりわけアジアに開かれた交流拠点となることを目指し、国際化の推進に取り組んでいることは、県民もよく承知しています。既に、中国江蘇省との友好交流、釜山広域市など韓国南岸地域との知事交流会議は、十数年の歴史を刻み、自治体独自の外交として、それなりの成果をあげていると判断しています。

 そこで、これまでに具体的にどのような成果があったとお考えでしょうか。また、これまでの実績を踏まえ、お互いにとって意義のある交流を今後どのような分野で進めていくのが望ましいか、併せて知事の見解をお聞かせください。

 また、今年は、このような中国、韓国など近隣国との交流にとどまらず、遠くインド、タイ、ベトナムの三国に訪問団を派遣し、今後の交流の可能性について調査をされたと聞いています。言うまでもなくインドは、巨大なマーケットとして、いま世界的に大きな注目を集めています。
 またタイは、本県に貿易と観光の事務所を設置し、バンコクとの間で直行便が就航するなど、既に本県とは深い結びつきがあります。一方ベトナムは、昨年日本との間で投資協定が発効し、直行便を有する本県からの投資や企業進出が期待されていると聞いています。
 今後、それぞれの地域との交流を進めていく上で、知事の基本的な戦略、お考えをお聞かせください。

 ところで、こうしたアジアをはじめとした諸外国との交流を、経済・文化など多角的に進め、十分な成果を上げていくためには、県の体制整備が不可欠であると思います。現在、生活労働部の国際交流課と商工部の国際経済観光課が中心となって、地域間交流や経済交流などに取り組んでいますが、二つの部にまたがった各課個別の対応には限界もあると思います。

 国際関係各課を統合して、局に昇格させ、県の国際化を総合的に企画、推進する。例えば国際局といったものを設置するなど、体制の充実を図る時期を迎えているのではないでしょうか。知事のお考えをお尋ねします。
 

 3 国際化の推進について
 
 江蘇省及び韓国南岸地域との交流の成果と今後の交流分野について

 経済、青少年、文化、教育など長年にわたる幅広い交流を通じ、江蘇省や韓国南岸地域との間では相互理解が促進され、友好関係が築き上げられてきております。
  今後の交流にあたっては、民間交流をさらに進めるとともに、江蘇省との間では、本県の経験を活かした環境人材の育成や環境ビジネスの展開を図り、韓国南岸地域との間では、「日韓まんがフェスティバル」の開催を通じた次世代交流を積極的に進めて参りたいと思います。

 インド、タイ、ベトナムとの交流の基本的な戦略について

 本県の国際化をさらに推進し、地域の発展に結びつけていくためには、中国、韓国に限らず、他の成長著しいアジアの諸地域との交流を多角的に進めていく必要があります。
 インド、タイ、ベトナムは、著しい経済成長を続けており、各国の中でもデリー準州、バンコク都、ハノイ市は、政治、教育、文化の中心となる地域であります。
 今後は、本県と各地域間において、経済のみならず、環境対策、人材育成や文化などの幅広い分野で、双方にとって有益な交流を進めて参りたいと考えております。

 国際化推進の体制整備について

 現在、国際化推進プランの策定、友好提携先との調整等国際交流の総合的な窓口は国際交流課が行っております。また、グローバル化に対応する国際経済業務の総合的な推進については、国際経済観光課が担当しております。さらに、個別の国際化に対応した業務については、各部、各課が専門的な観点から進めているところでありますが、今後、アジアにおける交流拠点の実現を目指し、アジアと共に発展する地域づくりをするため、より効果的な推進体制について検討して参りたいと考えております。

 

  次に、乳幼児医療の充実、とくに県費負担の充実強化についてお聞きします。
 本来、私たちは、この乳幼児医療の公費負担については、国の施策として全国一律の基準で実施されることが望ましいと考えて、国の方針として実現されることを待ってきました。
 しかしながら、国の方もご承知のような大変厳しい財政事情下であるためか、重い腰を上げずにいるために、全国一律実施といかないのが実情のようであります。
 そこで、国での一律実施が困難ならば、県による独自の内容充実強化を求めざるを得ないとして、過去にわが党がただした結果、平成十六年四月から、入院に要する費用については、就学前まで県費で負担する制度拡充が行われた経緯があります。
 このこと自体は、乳幼児をもつ父母には大変喜ばれ、もちろん一歩前進と受け取られているところでありますが、本県の場合、他県と比べるとまだまだその内容については後れをとり、他県からの転入者の中には不満や批判も強いようです。「前に住んでいた県では、入学前まで子供の医療費が無料だったのに」といった声がしばしば聞かれるのが現実の姿です。
 そこでお聞きします。
 この乳幼児医療公費負担問題について、知事はどのような見解をもっておられるのか、とりわけ、国の対応について忌憚のない意見をお聞かせ下さい。
 また、私たちは当面国が国の制度として全国一律に実施する可能性は極めて低いとの判断に立ち、だとすれば、県として独自に充実強化を図っていく以外にないと考えています。
 こうした観点に立ちますと、先程も指摘しましたように、非常に残念ながら本県は低いレベルにとどまっているのが実情であります。
 特に、三歳児未満までを対象としたの県費負担制度を創設している中で、初診料だけは自己負担を導入しているのは全国で本県だけであり、このことは来年からでも早急に改善するべきと考え、知事に求めるところであります。見解をお示し願います。
 

 4 乳幼児医療の充実について

 

 乳幼児医療制度問題、特に自己負担の改善について

 この制度は、乳幼児の保健と福祉の向上、ひいては少子化対策の観点から重要な施策であると考えております。

 本県では、負担の大きい入院について対象年齢を拡大するなど、負担の軽減に努めてきたところでありますが、子育て支援策のより一層の充実を図るため、特に保護者の不安感が大きい三歳未満の乳幼児について、この制度の実施主体である市町村とも早急に協議を行い、自己負担の見直しを検討していく考えであります。
 

 次に、県民の健康対策として、新型インフルエンザ対策についてただします。

 ここ数年、東南アジアを中心に高病原性鳥インフルエンザが流行しており、このウィルスが人に感染し、死亡例も多数報告され、これまでに東南アジアを中心に百三十三人が発症し、うち六十八人が死亡したと伝えられています。また最近では、高病原性鳥インフルエンザの発生がヨーロッパでも確認されるなどの、人から人へ感染する新型インフルエンザの発生が極めて心配されています。
 過去の例をみても、一九一八年に発生したスペインインフルエンザ、いわゆるスペイン風邪では世界中で約四千万人が死亡したと推定されており、わが国でも約三十九万人が死亡しています。また、一九五七年にはアジアインフルエンザ、一九六八年には香港インフルエンザが大流行し、社会の様々な分野で混乱が起きたようです。

 そこでお聞きします。既に国では新インフルエンザ対策行動計画を策定し、国、地方で抗インフルエンザ薬のタミフルの備蓄を指示しているようですが、県としての発生した場合の対策及び抗インフルエンザウィルス薬の備蓄計画について知事にお伺いします。


 また、鳥インフルエンザの発生予防や蔓延防止を的確に講じることにより、新型インフルエンザの出現を遅らせることは可能であると聞いています。そこで、鳥インフルエンザの発生予防や蔓延防止のためにどのような対策をされているのか知事にお伺いします。
 

 5 新型インフルエンザ対策について

 新型インフルエンザ対策について    

 昨年から感染症の専門家等で構成する「福岡県感染症危機管理対策委員会」で協議してきたところです。その内容と、先般国が示した「新型インフルエンザ対策行動計画」との整合を図り、速やかに「福岡県新型インフルエンザ対応指針」を作成する予定であります。      

 新型インフルエンザの発生時には、対応指針に基づき、医療の確保や防疫措置など適切に対応し、感染拡大の防止や健康被害を最小限にとどめるよう努めてまいります。

抗インフルエンザウイルス薬の備蓄計画について
         
 国の「新型インフルエンザ対策行動計画」において、国と都道府県がそれぞれ千五十万人分づつ備蓄することになっております。福岡県では、人口の八・三パーセントに当たる四十一万八千人分を平成十八、十九年度の二カ年で備蓄することが国から要請されております。
今後、国と十分に連携をとって、必要な備蓄を行ってまいりたいと考えております。

鳥インフルエンザの発生予防とまん延防止について

 養鶏農家への定期的な立入検査を実施し、野鳥の侵入防止や鶏舎内外の清掃・消毒の実施のほか、異常な鶏の早期発見と早期通報について周知徹底を図るとともに、千羽以上飼育する採卵鶏農場全てを対象とした抗体検査を実施しているところであります。
 また、万一の際に現地での防疫措置を円滑に行うために、県内五か所の家畜保健衛生所を中心に机上防疫演習を行っているところであります。


 

 次に農政問題についてお聞きします。

 先の十月末に、今後の日本農政に大きな転換をもたらす日本型直接支払いなどを盛り込んだ「経営所得安定対策等大綱」が公表され、この直接支払いの対象となる担い手の要件が明確になりました。危機的状況にある農業の構造改革や厳しさを増すWTOにおける国際ルールにも対応した内容ということのようです。
 しかしながら、今日まで、中小零細農家がわが国農業を支えてきたことを考えた時、大規模農家への施策の傾斜と集中が今後の我が国農業の再生・振興を本当にもたらすものなのでしょうか。先見的には評価できません。農業は残っても農家はなくなっていた。こんな疑念と不安を覚えるところであります。
 とはいえ、十九年度にはこの大綱に基づく新たな対策がスタートします。麦は来年の十一月にタネをまくものから対象となりますので、準備期間は実質一年にも満たないのが現状であります。
 関係機関や農業者への制度の周知は間に合うのか。限られた時間のなかで、どのような手法で担い手を育成していこうとしているのかお答え願います。

 また、対象となる担い手を数多く育成することが、県の大きな役割と考えますが、制度がスタートするまでに、対象となる認定農業者を何名確保するのか、また集落営農等の経営体をいくつ育成するのか、具体的な目標をお示し願います。

 一方、制度の対象からもれる人も多数出てくることになります。たとえやる気のある人でも、新規就農者が急に四ヘクタールの規模まで拡大することはできません。実際に、地域では経営規模を拡大中の就農間もない新規就農者もいます。また、畜産農家や園芸農家でありながら、地域の水稲、麦、大豆の受託作業を任されている農業者もいます。
 このように、新規就農者など、やる気をもって頑張っている農業者はどうなるのか。ちなみに、中山間地における直接支払い制度では、知事特認制度が設けられており、地域の実情に即した対応が可能となっているようですが、面積は満たなくてもやる気のある農家が対象となるような方策はないのか、県として方針を早急に確立することを求め、考えを伺います。

 次に、農業改良普及事業、特に普及員の確保について伺います。
 農業改良助長法に基づき、国と県の共同事業として行われてきたこの農業改良普及事業の中心は、品種の改良をはじめ農業のあらゆる分野で高い技術や能力を持った普及指導員が個別農家を指導して回ることにあると言われています。
 しかしながら、昨年秋に政府はこの農業改良事業交付金のうち人件費の八割分を税源移譲し、いわゆる地方の一般財源とすることを決めたことから、農家では普及員が減らされるのではないかと心配されているようであります。
昭和二十三年の法制定以来、この農業改良普及員制度については、日本農業の振興と発展にも深くかかわってきたと農家からも高い評価を受けてきたものであり、私たちも是非従前通りにこの普及員が安定的に配置されることを強く望むところであります。
 普及組織の概要や普及員の定数等の現状について説明頂くとともに、来年以降についても取り扱いに変更がないよう求め、その方針をお聞かせ下さい。  

 6 農政問題について

 経営所得安定対策の周知と担い手の育成手法について

 本制度が十月二十七日に決定されて以降、直ちに市町村、農協に説明を行い、さらに地域においては、十二月から一月にかけ集落単位で座談会が開催される予定であり、農家段階までの周知に努めております。

 県としましては、これまで、関係機関・団体と一体となった「担い手・産地育成総合支援協議会」を通じ、担い手の育成加速に取り組んできたところであり、今後は、普及センター単位に設置している地域協議会の活動を更に強化し、集落単位の取り組みを支援して参ります。

 対象となる担い手の育成目標について

 地域が作成した水田農業ビジョンでは、平成二十二年度までに新たに、認定農業者を七百、生産組織六百五十を育成する計画となっていますが、これらを加えても、担い手による水田のカバー率は四十八%にとどまっております。   

 県としましては、これらの担い手が、制度が発足する十九年度までに可能な限りその対象となるよう、また、二十二年度までには水田のカバー率が少なくとも六割を超えるよう、関係機関と連携し、指導を強化していきたいと考えています。

 新規就農者などが対象となる方策について

 経営所得安定対策は、これまで全農家を対象としていた政策を転換し、対象を担い手に絞り経営全体に着目した、水田農業の構造改革を進める具体的施策であります。
 本対策の対象となるためには、一定の経営規模が必要でありますが、例えば米プラス野菜のような複合経営の場合は、一定の所得要件を満たせば、経営規模が小さくても対象となります。
 
 なお、新規就農者については、将来の担い手として重要であることから、どのような対応が可能か、現在、検討を行っているところであります。


 普及組織の概要と普及指導員の配置について

 県下に十一か所の地域農業改良普及センター
を設置し、二百八十七名の普及指導員が、あまおう、夢つくし等新品種の普及定着及びイチゴ高設栽培や果樹の棚栽培など高度生産技術の導入を進め、本県農業の振興に努めています。
 
 普及指導員の定数は、農林業センサス等をもとに、農業人口や耕地面積など農業の動向を勘案し見直してきており、今後とも適正な人員を配置して参ります。
 

 次に、水産問題、とりわけ私にとっては地理的に縁うすかった有明海のノリ問題を中心に質問いたします。
 現在、有明海におけるノリ養殖の存亡に関わる大きな問題として、輸入割当制度の撤廃を韓国等から求められていると聞いているところであります。もし、輸入割当制度が撤廃されたとき、本県の有明海産ノリが生き残れるのか、関係者にとっては深刻な問題であります。
そこで、知事にお尋ねします。県南地域の重要な産業となっているノリ養殖を継続的に発展させるためには、現行の複数のままとなった共販システムは、一日も早く解消すべき課題だと関係者の方々から聞いているところですが、知事として具体的に方針をお聞かせ願います。
 次は、ノリ漁場の利用権問題についてであります。
 悪しき慣習として長年にわたり行われてきたノリ小間の貸し借りについては、平成十五年度の漁期からノリ小間の貸し借り関係の解消を図られ、実際にノリ養殖を営んでいる者、いわゆる現業者だけにノリ小間を配分するようにされたことは、不在地主の解消をはじめとした戦後の農地改革にも匹敵する重要なことであり、現業者の経済的負担を改善することからも大変評価されることと思っています。
 しかしながら、この問題を解決しても、今、日本社会でますます進行する高齢化現象に伴いノリ養殖業を廃業する漁業者も増えていくと考えられます。廃業した場合のノリ小間はどのように活用されるのでしょうか。県行政の指導のもと、適正な再配分がなされず放置されたままだと、将来、再び悪しき慣習が復活することは誰にでも予期できることであります。
 そこで、せっかく解消した小間の貸し借りという悪しき慣習が再び復活しないよう、県はどの様な対策を講じていくつもりか、明確なる方針をお聞かせ下さい。
最後に、これは有明海だけにとどまらず県全体のことですが、漁協の再編問題についてであります。
 現在、漁協には、実際に漁業を営んでいない組合員を多数抱えている漁協があると聞きおよんでおります。こうした状況では、本来、漁協が担うべき業務である漁業秩序の維持や組合員の支援、ましてや漁協の再編などは到底できないと私は考えます。
 こうしたことから、県は漁協に対し、組合員資格審査を厳格に実施するよう指導されていると、私は理解しております。
一方、今後、組合員資格が様々な利益につながることから、様々な形で漁協の再編や適正化に対する障害や妨害が出てくることも予想されます。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、漁協を指導する立場にある県は、どの様な決意で、漁協再編や組合員資格の適正化に取り組まれておられるのかお聞かせ下さい。
 

 7 水産問題について

 有明海のノリ養殖を発展させるための具体的な方針について

 まず、内外の産地間競争に打ち勝つための体制を整備する必要があります。

  このためには販売体制の改革を考えております。改革の柱として、県内二つの共販漁連の合併を指導し、組織強化と経費の削減を図るとともに、販売部門の新設や生産コスト削減のための協業化などを推進し、有明海のノリ養殖業が持続的に発展していくよう支援して参りたいと考えております。




 ノリ漁場の適正利用対策について

 ノリ漁場の配分問題につきましては、県はかねてから、漁場の貸し借りの解消や漁場利用状況のデータベース化を進めて来ました。

 今後は、漁業権のさらなる管理徹底のため、これを活用した漁場監視の強化に加え、漁業権者である有明海漁連に対し、漁場の再配分についての明確な規約の策定と厳格な運用を指導して参りたいと考えております。





 漁協再編と組合員資格の適正化について

 漁業者が安心して漁業を営むためには、漁協が漁業者の負託に応え得る健全な組織である必要があります。
  このため、現在、全国に先駆けて県下の全ての漁協について、組合員資格の厳格な調査に着手しております。
 県といたしましては、今後とも、漁協再編が着実に進み、漁協が真に漁業者のみで構成され、適正な運営が図られるよう、全力を挙げて取り組んで参りたいと考えております。
 

 次に、教育問題に移ります。

 七月に施行された食育基本法の中で具体的な取組のひとつとしてあげられています学校栄養職員の配置について最初に質しておきます。
 この夏には、全国で現職の学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得するための講習会が開催され、本県でも多くの人たちが熱心に受講されたと聞いているところです。
 また、既に福井、高知、北海道では、この栄養教諭の配置が開始されているようです。
 ついては、本県においても法に定められた県としての食育基本計画を早急に策定するとともに学校における食に関する指導の中核となる栄養教諭の配置に踏み切るべき、と考えますのでその取り組みについて知事及び教育長にその決意のほどを伺います。

 次に、教員の資質向上と勤務評定についてお尋ねし、私の代表質問を終わりにしたいと思います。
 さる十月二十日のある全国紙で、教職員の勤務評定について、ショッキングな事実が明らかにされました。 
 勤務評定は、地方公務員法で実施が定められ、教職員については地方教育行政の組織及び運営に関する法律で、「都道府県教育委員会が実施要領などを策定したうえで、市町村教育委員会が実施する」ように定められていると指摘し、こうしたなか、実施していない教育委員会が三道県あり、その中に、なんとわが福岡県の公立学校が含まれ、法で義務づけられた勤務評定を行っていなかったことが明らかにされていたのであります。

 昨年の十二月議会でわが会派は、教員の評価制度について代表質問しました。その際、人事上の処遇は国の法改正や県全体の制度改正を待たずとも県教委独自で実施可能ではないかと質したところですが、その処遇の基礎となる勤務評定が未だなかったことが事実だとすれば、驚きを禁じ得ません。
 学校現場では、いわゆる指導力不足教員の存在や精神疾患により教壇に立てない教師の存在がクローズアップされ、教師の質と意欲が問われているところであります。その対策についてこれまでも厳しく質問してきたところですが、いかなる施策を施そうと眼に見えて改善されないのは、実は勤務評定がないことで教師の意識改革が湧き上がらないことにもその遠因があったのではないでしょうか。現行制度がぬるま湯の状態ではやる気のある
教師が育たないだけでなく、経験豊富で力量のある教師も課題に直面してもさらに一歩踏み込んで頑張ろう、という気概を削いでいるのではないかと心配、不安でなりません。
 もちろん、本県においては過去に教育界が大きく混乱を来した時代がありました。しかしながら、県民世論を背景に教育正常化に向け県教委が確固たる姿勢でこれに臨み、多大の犠牲と努力の上に今日の状況をつくってこられたことは、先輩議員からしばしば聞かされています。このことに深い敬意を払うことにやぶさかではありません。
 このような努力の結果、教職員組合との激しい対立の時代にピリオドを打ち、県教委が組合と共に教育の再生に向けて努力していると判断していたのでありましたが、そうした中で未だに勤務評定が実施されていないとはどういうことでしょうか。
 また、当時の中山文部科学大臣が未実施の関係知事に対し、「教育は地方に任せろと言うなら金をよこせと言うだけではなく(教育行政を)しっかりやってもらいたい」と注文を付けたと報道されています。
 そこでまず、この大臣の発言について注文をつけてこられた知事は、どういう所見をお持ちか、また勤務評定を県教委がやっていないことについて、知事部局の例と比してどう考えておられるのか。よもや知事部局にはこのようなことはなく、適切に行われていると思いますが、どのような時期に誰がどのような方式で実施しているのか、また、勤務評定を行っていることを職員個々人に周知しているのか、その結果をどのように人事行政に活用しているのか、併せて詳細に説明願います。

 次に、県教委は勤務評定に変わるものとして「執務の記録」なるものを用いていることで、地公法違反はないと反論しているとも報道されていましたが、段階評価もないものが勤務評定とは到底納得ができず、今のままの状態で良いはずがありません。文部科学省では、「勤務評定は法に定めた人事管理制度」とし、厳しい姿勢で早急な制度化を求めていくとのことで、当然のことであります。
 昨年十二月のわが会派の質問に対し、「管理職と新規採用教員について評価制度の早期実施に向け努力したい」旨の答弁がありました。恐らくこれは、勤務評定の一部実施を示唆したものであったのでしょう。しかしながら、実態が明らかになった今、管理職や新採の一部にとどまらず、法に基づき勤務評定を全教職員に実施すべきだと考えています。未だ実施に至っていない経過説明、並びに直ちに実施する方針を含め、教育長の確固たる決意と決断のほど求めます。
 

 8 教育問題について

(知事答弁)
 県の食育基本計画につい


 県の食育推進計画につきましては、国が今年度末に決定します食育推進基本計画を基本として作成することとされております。
 県では、本年度県と関係団体で設置しました「ふくおかの食と農推進会議」におきまして、その作成について検討して参ります。


(教育長答弁)
 栄養教諭の配置について


 今日の子どもたちについては、社会環境の変化により、不規則な食事や生活習慣病の若年化など食生活に関する様々な問題が懸念されており、今後、学校における食に関する指導を充実させていくためには、指導計画の作成や家庭・地域と連携した取組などにおいて、中核的な役割を担う栄養教諭の配置が必要であると認識しているところです。

 そのため、本県においても、来年度からの栄養教諭の配置について検討し、教科等と関連づけた食に関する指導のさらなる充実を図って参りたいと考えております。

















 (知事答弁)
 勤務評定に関する所見について

 教育力を高めるためには、教職員の能力の向上が不可欠であり、これを適切に評価する仕組みが重要であります。
 現在、教育委員会では、毎年、学校長が作成する教職員の執務の記録を人事異動等に活用されておりますが、こうした取扱は、勤務評定の趣旨に照らし、十分とは言えないことから、段階評価を取り入れた新たな評価制度への早期の移行が必要であると考えております。
  次に、知事部局においては、昇任や異動に際して、定期的に勤務成績や能力、知識等を把握しながら評価を実施しております。
 具体的には、管理監督者である所属長等が、責任感、積極性、折衝力等五項目について段階評価を行っており、併せて、本人のヒアリング等を通じて、能力発揮や適材配置に努めているところであります。
 現在、昇任や異動等の人事評価に加え、給与にも反映できる公正で客観的な評価制度を検討しているところであります。




 (教育長答弁)
 教職員の勤務評定について


 本県では、執務の記録によりこれを実施するとともに、段階評価等がないため人事等の処遇については管理職試験や人事ヒアリングなどを併せて行っているところです。
こうした取扱いは、勤務評定の趣旨に照らし、十分とはいえないことから、平成十六年度より、勤務実績を五段階で評価する、新たな人事評価の試行を開始し、本年度は管理職等に本格実施しております。来年度からは全ての教員に本格的に実施したいと考えており、新たな規則の整備を含めた評価制度の構築を進め、教員の意識改革や資質能力の向上を図って参る所存であります。
 

   
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