自民党県議団質問内容
わが党は、先の解散・総選挙において、ご存知のような結果を得ることができました。
衆議院において、二百九十六という議席の獲得は、かつての中曽根内閣以来、ほぼ二十年ぶりの出来事であり、絶えて久しかったことと聞いています。
これもひとえにわが党に対する国民の厚い信頼と期待の賜であります。
期待に背くことなく、私たち自由民主党は、この福岡の地から更なる改革に取り組んで、理解と支援を頂いた国民の声に応え、もって福岡県政の発展と振興に努めていく考えであることを、まずもって披瀝しておきます。
福岡県は、本年相次いで大型プロジェクトの完成を迎え、景気回復の兆しをみせ始めた日本経済の先駆けにならんことを祈念しているところです。わけても、福岡県民百年の夢ともいうべき九州国立博物館が筑紫野の地に十月十五日にオープンする、画期的なことであります。関係の皆様の努力に深甚なる敬意を表するところです。
一方、九州はおろか、日本列島を縦断し、各地に甚大なる被害をもたらした台風十四号、本県は幸いなことに被害も少なくて済んだようですが、被災者に対し、この場から会派を代表して心からお見舞い申しあげる次第であります。
それでは、ただ今より質問に入ります。最初は三位一体改革についてであります。
冒頭にも述べましたように、先の衆議院議員選挙において、小泉政権とその改革路線の継続が国民の信任を受けたところであります。
従って、改革の突破口とも言うべき三位一体改革についても、当然これまでの路線で引き続き推進されていくことになるものと考えられます。これから年末に向けて、残された六千億円の補助金改革の具体的内容をどうするのか、また、生活保護の国庫負担率引き下げなど、地方が望まない措置をいかにして阻止するか、義務教育費国庫負担金問題をどう解決するのか、など、全国知事会長としての麻生知事には、課題が山積しております。万が一この改革が失敗におわるようでは、全国知事会長としてのみならず、福岡県知事としても大きな失点になりかねないと危惧しております。
そこでまずお聞きしますが、これら、三位一体改革の残された課題についてどのような覚悟で取り組まれるのか、その決意の程をあらためてお示しください。
全国知事会はじめ地方六団体は、本年七月に残る六千億円についての補助金改革案を政府に提出いたしました。六千億円に対して、政府の選択の余地を残したということで多めの約一兆円が示されたわけですが、仮にこの一兆円すべてが廃止の対象となった場合、本県財政にはどのような影響が生じるのでしょうか。
また、税源移譲がいよいよ現実味を帯びてきているわけですが、所得税から住民税への税源移譲がなされた場合、県民税の徴収もあわせて実施している市町村の徴収体制の強化充実が急務になってきます。このことは一応想定済みのようで、本年度の予算でも、県民税について県の直接徴収を試行するための経費が計上されていますが、僅か 百万円の予算ではあまりに不十分ではないでしょうか。県民税の徴収強化と市町村の徴収体制の充実のためのさらなる取り組みが必要と考えますが、知事のお考えをお聞きします。あわせて、今年度における県税収入の見通しについてもお示しください。。
次に、県行革一般についてお聞きします。まず、給与関係についてであります。
八月十五日に出された人事院勧告では、平成十七年度の給与水準引き下げに加え、民間給与の水準が低い地域での公務員に対する高給批判を考慮して、基本給を平均四.八パーセント下げることなどを柱とする「給与構造改革」に、平成十八年度から五年間かけて取り組むよう要請しております。特に注目すべきことは、基本給引き下げに伴って、民間給与の高い都市部の勤務者には、現在の調整手当に替え、より手厚い地域手当をするとされていることであります。支給率は三〜十八パーセントの六段階ですが、本県では、福岡市に十パーセント、北九州市ほか五市二町に三パーセント、その他の市町村は0となっております。未だ不景気から完全に脱し切れていない本県中小企業の窮状を思うと、やはり公務員の給料は民間に比べて恵まれているとの声には、素直に耳を傾けなければならないと考えます。その意味でも、今回の改革は時宜にかなった適切なものと考えているところであります。
まずお聞きしますが、本県では、この国の方針にあわせた形での給与構造改革を実施することとしておられるのかどうか。国に準じて基本給の五パーセント抑制を実施するのかどうか、基本的な方針をお聞かせ下さい。
またその際に、現在実施されている給与の二パーセントカットを中止し、復元するというようなことがあっては、県民感情からしても納得できないことであります。新たな行革大綱をつくろうとしているのに、そのような場当たり的なことには、よもや着手されないとは確信しているところですが、ここで併せて確認しておきます。
次に、本県では、県内全域一律に調整手当が支給されてきたところであります。本来の制度の趣旨からすると不適切な運用であったといわざるを得ないところであります。
今回、調整手当を廃止し、地域手当に切り替わるわけですが、先にも述べましたように、本県で支給対象となっているのはわずかな地域のみです。県としては、当然、国に準拠して手当の適正化を行うべきものと考えますが、知事の強い決意をお示し下さい。 人事院勧告では、現在の普通昇級と特別昇給を統合し、新たな昇給制度を導入することが盛り込まれています。本来は、成績良好者に適用されるはずの昇給制度が、現在は、持ち回り的運用になっていることから、新制度に転換し、勤務成績の反映を徹底するものです。新たな昇給制度の導入には、勤務成績の適切な評価が不可欠であります。職員の評価制度の導入について、いつまでもモデル事業のようなことをやっていないで、来年度からでも本格実施をすべきではないでしょうか。
併せて、先の六月議会の我が会派の代表質問をはじめ再三取り上げました、現業職員の給与の適正化についても、知事は見直しの方向性をお示しになりましたが、その後の検討状況について、具体的に説明を求めておきます。
次に、行政改革の推進体制づくりについてお尋ねします。
昨年八月に当局がとりまとめた「行政改革の実施状況について」と題する文書を拝見しますと、改革事項数では順調に行革が進展しているかのように報告されていますが、本当にそうでしょうか。
「実施に向け準備中のもの」、「継続して検討が必要なもの」が併せて十二件上がっています。しかもこれらについては、戦略型行政システムの構築、行政改革評価システムの導入、人材育成ビジョンの策定、給与制度の見直しなど現行の行革大綱の目的、本質に関わる重大な事項ばかりであります。
次期行革大綱に向けて作業を開始された時期でもありますので、これらの指摘について改めて丁寧な説明を求めます。
また、「事務執行型県庁」から「政策創造型県庁」への転換も本県行革の重要な柱でした。
他県では、伝統的な総務部を解体し企画系統の部と統合する例、事業部局の大幅な再編、全庁的な組織のフラット化など試行錯誤しながら分権時代に対応する組織作りに取り組んでいます。
課や室など低レベルの見直しにとどめず、将来を見据えた明確な構想の下、大胆に全庁的な組織デッサンを描き、本県に適合した本庁組織の抜本改革に早急に着手すべきであります。知事の基本的な考え方をお尋ねします。
次に、行政改革に関連して、この際職員組合の活動についてただしておきます。
大阪市における職員厚遇問題を発端として、いわゆる「ヤミ専従」の問題が全国的にクローズアップされております。この「ヤミ専従」とは、言うまでもなく公務員の労働組合の幹部らが、正規の手続きをとらずに、職場で勤務しているように装って給料を受け取り、実際は選挙・政治活動なども含む組合活動に従事している状態のことであります。
国においても、看過できない重大事態と受け止め、この七月から全都道府県、全市町村を対象に、このヤミ専従にメスを入れるべく調査が開始されています。
また、我が自由民主党は、この「ヤミ専従」について、全国の実態調査や「ヤミ専従一一〇番」を設けて広く情報を集めているところであります。本県においてもかつては、幅広く「ヤミ専従活動」が行われていたわけでありますが、近年では、少なくとも本庁においては表立った「ヤミ専従」の実態は見られないように聞いております。
しかしながら、大変残念なことに、出先機関においては、本来の職場に出勤せず、あるいは出勤してきてもわずかな時間しか職場におらず、組合活動に従事している職員が見られるとの声も聞き及んでいるところであります。麻生知事は、全国知事会長として地方分権の先頭に立っておられますが、こうした違法行為がまかり通るようであれば、地方分権どころか、福岡県の崩壊につながりかねない由々しき事態だと考えます。
そこで伺います。
全国すべての自治体について、しかも公営企業や単純労働職員まで含む、すべての職員にわたって「ヤミ専従」に関する実態調査を甘受せざるを得ない実情をどのような気持ちで受け止めておられるのか、率直な所感をお示し願います。
また、本県における「ヤミ専従」の実態を徹底的に調査し、その結果については、白黒を含め県民に公表されるべきと思いますがいかがでしょうか。
次に、職員組合と当局との労使交渉、いわゆる組合交渉について、これが法令に則り行われているかどうかについてお尋ねします。
まず最初に、地方公務員法第五十五条第三項において、「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項」、いわゆる管理運営事項については、交渉の対象とすることができないとされております。
しかしながら、仄問するところによると、本県においては、過去の悪しき慣習として、これらの管理運営事項についても、とりわけ職員定数とその配置等、組合からの申し出があれば交渉の対象となっているとのことであります。
この際、知事に確認させていただきたいと思います。
次に、当局との交渉が勤務時間内に行われる場合、職員には勤務時間内の職務専念義務が課せられ、組合活動に従事できないのが地方公務員法の大原則であります。このため、多くの団体では、国が示した条例準則に従い、「団体職員のための職員の行為の制限の特例に関する条例」、通称「ながら条例」を制定して、勤務時間内の「適法な交渉」を例外的にできるよう措置していると聞きます。本県においても、「ながら条例」が制定されております。この場合には、有給とされていますから、極めて限定的な取り扱いが求められるはずであります。
一方、「福岡県職員の勤務時間、休暇等に関する条例」では、職員団体役員である職員がその執行機関の業務に従事する場合には組合休暇が与えられることになっています。組合休暇は無給だと理解しています。
そこでまず、本県では、当局との団体交渉は、「ながら条例」に基づくのか、組合休暇に基づくのか、ケースバイケースで両制度を使い分けているのか。また、「ながら条例」では『適法な交渉』に限られていますが、『適法な交渉』とは何か、そこには「予備交渉」は含まれるのか、そもそも「予備交渉」とはいかなる範囲を刺すのか、これらの点について具体的な説明を求めます。
なお、この際、「ながら条例」に基づく職専免の件数やこれを受けた職員数など運用の実態をお聞きするとともに、併せて組合休暇の実態についてもその取得目的、件数、職員数などについて具体的に説明願います。
次に、大阪市などいくつかの団体では、「ながら条例」に『適法な交渉』に加えて、「任命権者がこれと直接因果関係があると認める準備行為を行う場合」を規定し、これを根拠に、法律が想定していない組合活動一般までが運用上認められてきたことが大きく問題視され、国民から糾弾されているわけであります。
本県の条例においては「準備行為」まで適用を広げる規定はないようですが、「適法な交渉の準備行為」をどのように理解しているのか、職員団体から準備行為に従事することを求められたときどのような対応をしているのか、お尋ねします。
さらに、「ながら条例」に基づく職専免や組合休暇の申請理由と職員の実際の活動をどのような形で突き合わせて検証、確認しているのか、説明を求めます
次に、勤務条件の維持向上を本来の目的とする職員団体の活動には自ずと節度ある対応が求められることは当然の理であります。
以下、こうした基本に立って、いくつか確認させて頂きます。
まず、職員団体に対して、事務所や掲示板等の場所の提供を行っているのか、行っているのならば、その貸与は無料か有料か、その実態について具体的に説明を求めます。併せて、在籍専従者の許可人数について、平成十三年、十四年、十五年、十六年ごとに月別人数についても、これは総務部長にお尋ねします。
最後に、健全で節度ある労使協調体制を築くことは、職員全てが後顧の憂いなく県民福祉の向上に専心する上できわめて重要であります。そこで、提案いたしますが、職員団体との交渉などで合意した約束事や運用については、これを積極的に公表し、また議会に対しても報告すべきであると考えます。この提案について、知事の所見をお尋ねします。また、県民にとっても重大な関心事項でありますから、当然情報公開の対象になると考えますが、その理解でよろしいか、知事に確認いたします。
次に、この際、職員組合関連で職員互助会問題について改めてただしておきます。
ヤミ給与との批判もある職員互助会への補助金の支出については、平成十六年の二月議会及び十二月議会の我が会派の代表質問で取り上げ、知事に対し再三その見直しを求めてきたところであります。こうしたところから、平成十七年度予算では、互助会の事業内容の見直しが行われています。これにより節減された県費は、知事部局、教育委員会及び警察本部をあわせると約五億二千万円にものぼると聞いています。
特に、麻生知事自ら見直しをチェックされたようで、そうした努力については深く敬意を表するところです。
しかしながら、まだまだ見直しが求められるところです。例えば、批判の強かったカフェテリア事業のうちレジャー関係への助成は知事の英断でしょうか、確かに廃止されていますが、職員のプライベートでの旅行に対しては、なぜか依然として公費助成が行われていることなどであります。これでは、県民の理解は得られないと判断します。
職員互助会に対する公費助成のあり方については、全国的にも大幅な見直しが進められてきており、宮城県、千葉県及び島根県では、すでに公費助成を全廃したと聞いております。本県においても、この際、互助会に対する公費助成は全廃し、仮に最小限の福利厚生事業が必要であれば、県が直接実施するか、民間企業に委託して実施すべきと考えますがいかがでしょうか。見解をお示し願います。
また、本県の職員互助会については、県が設立許可をしている財団法人でありますが、県民全体の福祉向上を図るならともかく、県職員の福利厚生事業を実施する団体のどこに公益性があるのでしょうか。
先にマスコミで指弾された長崎県の職員互助会の例を挙げるまでもなく、公益法人であるにふさわしい公益活動が行われているのでしょうか。互助会事業の見直しとあわせて、財団法人でなければならないその公益性について、改めて知事に説明を求めておきます。
さて、行革問題の最後に、新たな行革大綱づくりと集中改革プランについて、ひとことただしておきます。
先の六月定例県議会のわが会派の代表質問に対する知事の答弁において、新たな行革大綱については、県の行政改革推進本部を中心に、本年度より新たに大綱策定に取り組んでいくことが示されております。また、国の地方行革指針で求められている集中改革プランについても取り組むことが示されております。
まずは、現在までの取組状況について、県の行革推進本部の開催状況や、行政改革審議会の開催状況などを中心に具体的にお答え下さい。
また、改革の内容については、現在検討中であると思いますが、最大のウエイトを占める人件費の抑制について、新たな給与カットや定数の大規模な削減など、聖域なき見直しを行うつもりなのかどうか、基本的な考え方について伺います。
|
麻生渡知事 答弁要旨
(知事の政治姿勢について)
1.三位一体改革と今後の方針
三位一体改革の残された課題への取組みの決意について
三位一体改革については、平成十八年度までの第一期改革において、三兆円の税源移譲を確実に実現するとともに、国庫補助負担金について、地方の改革案に沿って改革していく必要があります。
このため、「国と地方の協議の場」等において、地方の考え方をしっかり主張し、国と協議してまいりたいと考えております。
同時に、地方六団体の結束を図りながら、様々な機会をとらえて、地方分権の必要性を訴え、国民世論を喚起してまいります。
これらを通じて、地方案に沿った改革が実現されるよう最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
六千億円に係る地方改革案どおりに国庫補助負担金が廃止された場合の本県への影響について
今回の地方改革案において廃止対象とされた国庫補助負担金は、本県においては、約二百事業に及んでいますが、仮に、全て廃止対象となった場合、その影響額は、約百二十億円程度となります。
個人住民税の徴収対策について
所得税から住民税への税源移譲に向けては、何よりも市町村の徴収体制の強化が必要と考えております。
本年度試行する直接徴収については、既に納付があるなど成果を上げているところでありますが、この直接徴収には市町村職員も同行させ、市町村の徴収技術の向上に努めて参ります。
今後とも、地域の実態を踏まえた市町村との協議を進め、税源移譲に的確に対応することのできる市町村の体制整備と技術向上に向けた支援を行って参りたいと考えております。
本年度の税収見通しについて
景気の緩やかな回復を反映して、主力の法人二税が昨年度を上回っているものの、今後の見通しにつきましては、原油価格の高騰等の懸念材料もあり、主要企業における十一月の中間申告の状況等を見極める必要があります。
このため、今後とも、税収確保に万全を期して参りたいと考えております。
2.職員給与のあり方
給料の五パーセント抑制と二パーセントカットの対応について
今年の人事院勧告では、地域間の民間賃金の格差等を公務員の給与構造にも反映させるという考えのもと、平成十八年度から五カ年程度で基本給を平均四・八パーセント削減していく等の勧告がなされておりますが、これを本県にどう適用すべきかにつきましては、現在本県の人事委員会において鋭意検討がなされているところであります。
本県の対応につきましては、今後、人事委員会から勧告を受けた段階でその内容を精査し、給料の二パーセント減額も含め、取扱いを決めてまいる考えであります。
地域手当の考え方について
地域手当につきましても、人事院の勧告は出されましたが、本県の人事委員会勧告の内容を見て検討を行いたいと考えております。
新たな人事評価制度の導入について
人事院が勧告した新たな昇給制度の導入に当たっては、勤務成績を適切に反映する信頼性の高い評価の仕組みが不可欠であり、国でも検討が進められている状況であります。
現在、本県においても、より的確な評価を行う観点から、新たな手続や項目、基準等について具体的な検討を重ねているところであります。今後、更に給与制度の見直しの動向を踏まえ、できる限り早期の導入に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
現業職員の給与について
現業職員の給与につきましては、人事院が勧告している給与構造の見直しや他県における状況を勘案し、現在、いろいろな角度から見直しの方向性について分析や検討を行っているところです。
行革大綱の実施状況について
現大綱に掲げる百三十三の改革事項のうち、現在、百二十二の改革事項が実施中であります。
残り十一事項の主なものは、「新しい人事給与制度」のように国の動向を踏まえた検討が必要なもの、「戦略型行政システム」や「行政改革評価システム」のように本県の実態にあった制度等の検討に時間を要しているもののほか、
国や他県と歩調を合わせて実施していく必要があるもの、社会環境の変化等の時期を見て実施していく必要があるものもありますが、計画期間内に実施すべきものについては積極的に取り組んでまいります。
将来を見据えた本庁組織の抜本改革について
今後、市町村合併が進展していく中で、市町村の行政能力が向上していきますと、県の役割としては広域的な地域振興の視点に立った総合企画及び調整がより重要になってくると考えております。
このような観点から、簡素で効率的な組織機
構に留意しつつ、出先機関を含めた県全体の組織のあり方を検討する中で、本庁については、政策立案や広域調整機能を的確に果たせる組織の強化について検討して参りたいと考えております。
3.県庁労使の正常なあり方など
「ヤミ専従」に関する全国の自治体での実態調査について
現在地方公共団体においては、行政改革等に積極的に取り組んでいる中で、一部の団体においてこのような事実が明らかになったことから、全ての団体においてこのような調査が行われることになったものであると理解しております。
組合活動に当たっては、「ヤミ専従」といったことではなく、法令等に定められた手続きに従って、適正に行われるべきものと考えています。
本県の「ヤミ専従」の実態を調査し公表すべきではないか
本県においては、組合活動を行う場合においては、条例及び規則により職務専念義務の免除や年次休暇の取得等の手続きがなされており、「ヤミ専従」の実態は無いと考えております。
職員定数に係る職員組合との交渉について
職員定数の配置に関する事項は管理運営事項であります。しかしながら、定数の変動により職員の勤務労働条件が影響を受けることがありますので、そのような場合はその勤務労働条件の変更に関して交渉を行っているものであります。
交渉時の服務の根拠及び交渉の範囲について
まず、職員団体との交渉については、適法な交渉を行う場合に該当し、「ながら条例」に基づいているところであります。
次に、「適法な交渉」及び「予備交渉」とは何かということですが、「適法な交渉」とは、当局と登録を受けた職員団体との間で、主に給与、勤務時間、その他の勤務条件に関して交渉することであり、また、「予備交渉」とは、議題、時間、場所、その他必要な事項を交渉に先立ってあらかじめ取り決めるものであります。
「ながら条例」及び組合休暇の運用実態等について
平成十六年七月一日から平成十七年六月三十日までの一年間について、「ながら条例」に基づく職免の承認件数は延べ千四百九十二件、職員数は二百七十一名であります。
なお、組合休暇につきましては、この間、取得実績はありません。
「適法な交渉の準備行為」とは何か
「適法な交渉の準備行為」とは、交渉に付随する事前準備的な行為で、職員団体の執行委員会や支部長会議等があてはまるものと考えております。
これらの準備行為は、適法な交渉の範囲に含まれませんので、年次休暇等により適正な服務処理を行うよう指導を行っております。
「ながら条例」に基づく職免等の検証について
職員が県当局との適法な交渉に出席する場合については、地方公務員法第五十五条第八項に基づき、職務専念義務の免除を行っておりますが、交渉が行われる際には、職員団体から交渉員名簿を事前に提出させ、該当所属に対して、交渉場所や交渉予定時間を事前に連絡する等、職免の承認は適正に行っております。
職員団体に対する事務所や掲示板等の場所の提供について
職員団体に対しましては、事務所等の場所につきまして、行政財産使用料条例に基づき、無償で提供しております。
在籍専従者の許可人数について
在籍専従につきましては、月別に若干の変動はありますが、年度当初の許可人員は、平成十三年度は十五名、十四年度は十一名、十五年度は十六名、十六年度は十六名となっております。
交渉での合意事項について公表し、議会へ報告すべきではないか
業務の円滑な執行にあたっては、職員の理解と協力が必要であることから、健全な労使関係の構築が大変重要であるとの認識の下、交渉の場を持っております。
勤務労働条件について、労使が合意した事項は、基本的には条例や規則改正を通じて実施されるものであります。合意文書についても、情報公開の対象となるものであります。
県職員互助会への公費助成について
福利厚生の効果的実施を図るため、互助会事業への公費助成を行っておりますが、昨年度は、事業の見直しを行うとともに、公費負担の大幅な縮減を行ったところであります。
さらに、昨今の社会情勢を踏まえ、職員の余暇活動に対する助成についても今年度から公費助成を廃止する考えであります。
県職員互助会の公益性について
県職員互助会は、その寄附行為の中で県民福祉の向上に寄与することを目的の一つとして定めており、その目的達成のため、収入の一部を県内の福祉団体等に対し助成するなど公益事業を実施しております。
一方、政府において「公益法人制度の抜本的 改革に関する基本方針」が策定され、平成十八 年度において公益法人に関する抜本的な法改正 が予定されておりますので、その内容を見極め ながら、職員互助会の法人としてのあり方につ いて検討して参りたいと考えております。
新たな行革大綱の取組状況と改革内容について
新たな行革大綱の策定に向けては、本年八月に、行財政改革推進本部にワーキングチームを設置し、課題や検討事項の洗い出し等を行っているところです。
今後、これらの作業を踏まえ、諮問事項の整理を行った上で行政改革審議会を開催してまいる考えです。
新たな行革大綱の前倒しで策定する集中改革プランにおいては、本県行政のより簡素で効率的な体制づくりが重要な課題の一つと考えており、人件費抑制の観点からも、定数削減を含む徹底した自己改革に取り組んでまいる所存でございます。
|
次に県立病院改革についておたずねします。
現在県が推進している行政改革の大きな柱として、五つの県立病院全てを民営化することについては、平成十五年六月のわが会派の代表質問に対する答弁のなかで明らかにされたことでありました。
私たちは、民間で対応できる分野は民間に任せ行政組織のスリム化を進めるべきであり、今回の総選挙でも国民的理解を得ました、いわゆる「官から民へ」の基本的な考えにたち、この全国でも例をみない県立病院では初めてといわれる、この県立病院民営化方針を全面的に支援してきたところであります。
そして、その第一段階として、今年の四月、朝倉病院、遠賀病院、太宰府病院の三病院を先行して民営化されたところであります。
今後、改革の第二段階として、残った柳川病院、嘉穂病院の二病院の移譲についても、早期に実現させることが求められています。 しかしながら、この二病院の移譲時期については、知事はこれまで「先行三病院の改革に進行状況等を勘案し決定する。」と述べるにとどまり、時期等、明確に県民に示されていません。
私どもは、行政改革を積極的に支援し、推進する立場から、残り二病院についてもできるだけ早期に移譲し、県立病院改革を完結させることを求めたいと考えているところでありますそこで、以下この考えに立ち、三点について質問いたします。
まず、先行三病院の民営化について、すでに民営化より半年が経過しようとしておりますが、私どもが聞いているところでは、いずれの病院も民営化される以前に比べ患者サービスが向上し地域から喜ばれていると聞いております。また、信じがたいような話ですが、経営状況もまたたく間に好転しているとか。事実とすれば、これまでの県立病院の非効率性を全面的に裏付けるようなものでもあります。
そこで、この半年の間にこれら三病院において医療機能、患者サービス、経営の面でどのような変化があったのか、県としてどのように評価されているのか、具体的な例を示しご説明願います。
一方で、残る柳川病院、嘉穂病院は、移譲という方針が決まっているなかでその時期や相手先が未だ定まらない状態では、職員の志気は低下し患者も不安を抱いたままで、いわゆる患者離れが進むのではないかと心配しています。
知事もこれまでの議会答弁で「残る病院の経営環境はさらに厳しくなると予想される。」との認識を示されておられますが、これら二病院の患者数の推移はどうか。経営状況はどのようになっているのか、お示し願います。
さらに、これらの結果を踏まえ、二病院の移譲をいつ実施されるつもりでありますか。我々は最早時期等の明示について最終段階を迎え、これ以上引き延ばすことは許されないと考えていますので、二病院の移譲時期等について、明確に示すことを求め、また、実施に向けた決意の程についても、県民に明らかにして頂くことを強く要望するところであります。
|
(県立病院改革について)
先行三病院の民営化の状況について
本年四月、先行して三病院を民営化いたしましたが、朝倉病院では、系列医師会病院との機能分担や地元開業医との連携強化などが行われ、遠賀病院では、小児科等の設置、救急患者の積極的な受け入れなどが講じられております。
太宰府病院では、民間医療機関との連携強化や、訪問看護の充実などが行われており、いずれの病院におきましても診療機能の充実に向けた取り組みが進められております。
また、三病院のいずれも、大幅な経営改善が図られており、民営化後の病院運営は順調に行われているものと認識しております。
柳川病院及び嘉穂病院の患者数の推移と経営状況について
本年度に入っても、昨年度と同様に患者数の減少が続いており、八月までの患者数は、前年度同期に比べ、入院患者が柳川病院、嘉穂病院とも十%減、外来患者が柳川病院で六%減、嘉穂病院で九%減といった状況です。
県では、これまで患者確保や経費節減などにより経営改善に努めてきたところでありますが、患者数の減少により、二病院の経営状況は一層厳しいものとなっております。
柳川病院及び嘉穂病院の移譲時期について
先行して民営化した三病院の診療機能の充実や経営健全化の取り組み状況及び柳川病院、嘉穂病院の厳しい経営状況などを総合的に勘案いたしまして、早期に移譲することが望ましいと考えており、平成十九年四月の実施を目標として、県立病院改革を進めてまいります。
|
次に、三月二十日に本県で発生した、いわゆる福岡県西方沖地震による救済対策についてであります。
現在、博多港のかもめ広場及び玄界島にそれぞれ一〇〇戸の仮設住宅が設置され、島民の方々は今なお不自由な生活を余儀なくされております。特に、学校への通学などの関係で、家族が離ればなれになっている世帯も多くあると聞いており、早急にこれらの方々が島に帰ることができるようにすることこそが復興の最大の焦点であると思います。
今議会に提案されている補正予算案では限界島の復興のための南側斜面に係る地すべり防止対策費及び漁民向けの県営住宅建設費が計上されております。島民の生活再建のため、いち早く県営住宅建設の方針を打ち出された知事の英断に、まずは敬意を表したいと思います。島民の皆様も大変喜んでおられると伺っているところです。
しかしながら、今回の県営住宅の建設は五〇戸を予定しているとのことですが、これでは仮設住宅の解消には不十分な数字ではないでしょうか。福岡市と分担して整備するとの話も聞いておりますが、市が何戸整備するのかも明確ではないようです。そこでお聞きしますが、現在、仮設住宅に入居されている方々が島に帰ることができるのは、最終的にはいつの時期になり、その具体的なスケジュールはどうなっているのでしょうか。仮設住宅の設置期限は二年間でリース契約されているとのことですが、今のままだとその期限を越えることになるのではないでしょうか。その場合にはどのような新たな対策が必要になるのでしょうか。
次に、今後の震災対策についてです。今回の補正予算案でも、県有施設や県立学校の耐震化に関する調査経費が計上されております。「遅きに失した」という県民の声もあるようですが、私としては、積極的な対応として一定の評価をしたいと思います。しかしながら、心配しておりますのは、県有施設よりも対策が遅れているのではないかと考えられる民間の建物についてであります。民間のさまざまな建築物についての耐震化について、県はどのような方針の下、どのような対策を講じることとしているのでしょうか。知事の明確な答弁を求めます。
また、先の六月定例県議会における我が会派の代表質問で、今後の防災計画の見直しや活断層の追加調査について知事の見解を質したところであります。その際、知事は、専門家の意見を踏まえて防災計画の被害想定の見直しを行うとともに、活断層の追加調査についても検討するとの答弁をされております。地震発生後、すでに半年が経過しております。計画の見直しや活断層調査の実施についての方針はもう決定されたのではないかと思いますので、その内容をお示しください。
|
(福岡県西方沖地震の救済対策について)
仮設住宅入居者の帰島について
仮設住宅は、あくまで仮の住宅でございますので、恒久住宅への一日も早い入居が必要であります。
県営住宅は、住宅復興に先駆けて建設するものであり、平成十九年度当初に入居を予定しているところでございます。
また、その時期には、かもめ広場の仮設住宅入居者が全員帰島できるよう、その方策について、福岡市と協議しているところです。
仮設住宅の設置期限について
かもめ広場の入居者が全員帰島後においても、玄界島の仮設住宅の設置期限が二年を越えざるを得ない事態となった場合には、その延長に関し、関係機関と協議のうえ、対応して参りたいと考えております。
民間建築物の耐震化対策について
耐震化対策は、所有者自ら取り組むことを基 本として、県では、相談窓口の設置やセミナーの開催による情報提供を行い、本年六月からは、アドバイザーの派遣による木造戸建て住宅の耐震診断を実施しているところであります。
また、多数の方が利用する建築物については、「既存建築物の耐震改修等の促進に関する法律」の改正が予定されておりますので、県としましては、法改正の内容を踏まえ、既存建築物の耐震化の促進に努めてまいりたいと考えております。
|
次に、今日本全国で問題になっているアスベスト対策についてであります。
アスベストの問題については、本年六月に兵庫県尼崎市にある大手機械メーカーの社員や出入り業者の間でアスベスト関連病の発症が急増していたことが判明し、これをきっかけとして全国各地に燎原の火の如き広がりをみせているところであります。
この問題については、昭和六十二、六十三年ごろに大きな社会問題となり、その際にもさまざまな対策が講じられたものと記憶しておりますだけに、なぜ、現在再び大きな問題となっているのかが率直に疑問に思うところであります。
今日にいたって何故、このアスベスト問題が再燃し、国民に大変な不安を招いているのでしょうか。
知事にはまず、その点を県民に分かりやすく説明していただき、とりわけその責任の所在がどこにあると考えておられるのか、お示し願いたいと存じます。
報道では、知事は今回の問題について、国に不作為責任があると述べられているようです。
しかしながら、一方で、県立の高等技術専門校三校でアスベストを含む製品を長年の間実習に使用しており、ようやく本年七月に使用を中止したとの報道もなされております。指導員や約二七〇〇人にものぼる訓練生の健康被害は本当にないのでしょうか。このことについて、県としてはどのような見解を持っているのか、お示し願います。
次に県のアスベスト対策についてであります。
県では、全庁的にこの問題に取り組むため、七月二十六日に「福岡県アスベスト対策連絡会議」を設置したと聞き及んでおります。
この会議の議長は環境部長であるとのことです。県民の健康と良好な環境を守るという環境部の真価がまさに問われているものと考えます。各部局まかせにしておくのではなく、環境部が中心となり、しっかりとした取り組みがなされるよう、環境部の一層の奮起を強く要望しておきます。
今後のアスベスト対策に関連していくつか質問します。まず、今回の補正予算でも県有施設の実態調査費が計上されていますが、県内の公共施設、民間施設全体を含めた調査結果はいつ公表されるのでしょうか。
また、聞くところによると、民間施設については国からの調査依頼のあった病院や社会福祉施設、あるいは一定規模以上の施設だけを調査対象としているようですが、これら以外の施設についても、県独自で調査を行い独自の対策を早急に実施していくべきではないかと考えますので、方針をお示し願います。
さらには、すでに大阪府や福井県は独自の規制条例づくりの検討が進められているようです。法令の規制が及んでいない部分について、県民の健康を守るという観点から県独自の条例による規制ということも他県の例のように考えられるわけですが、それとも、これまでの経過からみて、知事がその見解を述べられているように、国に不作為責任があるとするならば、県としてはまず国に新たな法規制を求めることが問題解決のためには重要課題だと考えておられるのか、知事の明確なる見解、あるいは方針をお示し願います。
|
(アスベスト対策について)
アスベスト問題の責任の所在について
昭和六十二年頃、学校等における吹付けアスベストの存在が、社会問題にはなったものの、具体的な健康被害は表面化しておりませんでした。
今回は、アスベスト使用工場の従業員や周辺住民の健康被害が明らかになったことから、国民に大きな不安を抱かせております。
アスベスト問題に関する責任の所在につきましては、旧労働省や旧環境庁が、昭和四十七年にアスベストの危険性について認識しておりながら、政府全体の総合的な対策が取られなかった点にあると考えております。
高等技術専門校におけるアスベスト含有製品の使用について
この製品は、従来、無石綿と表示されていたものであります。今回、石綿が含有していることが判明しましたので直ちに使用をやめております。
実習の際には、水と砂を混ぜて湿潤状態で使用しておりましたので、飛散の可能性はほとんどなく、健康への影響は極めて低いと考えております。
調査結果の公表について
県有施設につきましては、現在、調査中であり、結果がまとまり次第公表することとしております。
また、市町村有施設及び私立の学校等教育施設、病院、社会福祉施設などの公共施設並びに面積千平方メートル以上の民間施設について調査を実施しております。
結果につきましては、公表する方向で、関係省庁と協議してまいりたいと考えております。
調査対象外の民間施設の対策について
県といたしましては、今回の調査対象となっていない施設に対しましては、アスベストに関する情報や事業者責任等を県のホームページや広報チラシ等を活用して周知することによりアスベスト対策が促進されるよう努めて参ります。
今後の対応について
国では、十月下旬を目途に、大気汚染防止法の改正案を作成する予定でありますが、全国知事会として、去る七月十四日、対象施設・建築材料の範囲拡大などを要望したところでございます。
また、アスベストによる健康被害の救済を目的とする新法につきましては、早期の制定・施行を要望したいと考えております。
|
次に農政問題についてお聞きします。
まず最初に、米政策改革と本県の取り組みについてであります。
この米政策改革については、わが会派は、国が十九年度にも導入しようとしている土地利用型農業の経営安定対策について、大規模農家や組織だけが対象となった場合の本県への影響や、県が行っている米の消費拡大対策について先の六月議会で質したところであります。
経営安定対策については、突然の衆議院選挙の影響で作業が進んでいないとも聞いていますが、仮にそうであるとしても、国が案を明らかにするまで手をこまねいていられるほど簡単な問題ではありません。当然、県としてやるべきこと、やれることは迅速に取り組んでおかなければいけないところであります。
そこで伺います。経営安定対策の対象とされている認定農業者や集落営農組織の育成について、県や地域はどのように取り組んでいるのか、具体的に答弁を求めるところであります。
また一方で、私たちはこうした、いわば大規模農家への農業施策の傾斜・集中が本当に我が国農業の再生・振興をもたらすものなのかどうか、未だ疑念も捨て切れません。知事はどのように考えておられるのか、率直な所見をお示し願うところであります。
次に、米の価格差制度導入についてであります。おいしい米の条件とされている米のタンパク質含有量が一定基準以下の米を分別して出荷できるよう、平成十九年までに県内全域で制度を導入するとの目標が県の農業白書で示されています。
米の価格差制度を着実に進めるためには米の生産流通に大きな影響力を持つJAの販売力を高めることが最も大きな課題であり、そのためには県として更なる指導や支援が必要になってくると考えています。県としての対応について見解をお示し願います。
次に、福岡県産農産物の海外戦略についてお聞きします。
世界的な日本食ブームやアジア諸国の経済発展による高所得層の増加等により、わが国農林水産物の輸出額は平成十二年の約二千四百億から平成十六年には約三千億円に達するなど近年増加傾向にあると聞いています。
そこで、国では、現在三千億円の輸出額を今後五年間で六千億円に倍増させようと、今年四月、小泉首相の肝いりで、「農林水産物等輸出促進全国協議会」を立ち上げたと聞いています。
こうした状況の中で、アジアに対し日本でも最も優れた交通アクセスを有している本県が、麻生知事の先見性とその努力で、国に先駆けいち早く農産物の輸出に取り組んできたことは高く評価しているところです。
しかしながら、現状の海外市場は香港、台湾などの一部地域に限定される中で、検疫制度の制約、なしとりんごに輸出が限定される中国はもちろん、輸出する農産物は基本的に季節性に制約されるなど、幾多の解決すべき課題を抱えていると聞いています。
また、国や他の都道府県が競って農産物を輸出すれば、一方的な買い手市場となり、決して農家の所得向上には繋がらないのではと懸念しているところでもあります。
そこで知事に尋ねます。これまでの本県の取り組み実績はどうであったのか。また、国を始め各県としのぎを削る中、農産物の輸出先進県である本県として他県と違った販売戦略の展開が求められると考えますが、今後どのような海外戦略を考えて、県はJA等を指導していく方針なのか、具体的な説明を求めるところであります。
最後に先の台風被害対策についてであります。九州他県に比べ、本県は比較的被害が少なかったようですが、それでも農業被害はかなり出ているようです。これらについての救済措置をどのように講じていかれるのか、今日まで判明している具体的な被害状況とともに、その方針をお示し願います。
|
(農政問題について)
担い手育成への取り組み状況について
地域が定めた水田農業ビジョンでは、担い手が県全体の水田の四十八%を担うと見込んでおりますが、生産の太宗を占める農業構造を実現する米政策改革の観点からは十分ではありません。
このため、県では、関係機関・団体と一体となり「担い手・産地育成総合支援協議会」を本年七月に設立し、構造改革を加速するための支援体制を強化したところであります。
今後、この協議会の活動を通じ、認定農業者や営農組織の育成をはじめ、農地集積や法人化に向けた取り組みを一層進めて参ります。
大規模農家への施策の集中化について
担い手の高齢化や後継者不足が深刻化する中、本県農業が持続的に発展するためには、意欲ある農業者に施策を集中し、再生産を維持できる水準が最低限保たれる経営規模や経営体を確保していく方策が必要であります。
また、小規模農家については、地域の一員として水路・農道の維持や農村環境保全の役割も担っていることから、小規模農家も参加した集落営農組織の育成にも努めてまいります。
米の価格差制度導入と農協の販売力強化について
農協に出荷された米の大部分は同じ価格で精算されるのが一般的であり、現状では、生産者の努力が価格に反映される仕組みとはなっておりません。
売れる米づくりを進めるためには、米のおいしさで価格差をつける制度が必要でありますが、これは農協の販売力が伴って初めて効果が出るものであり、全国的にも例の少ない取組であることから、県としてどのような支援ができるのか、十分検討して参ります。
農産物の輸出実績について
香港や台湾では、福岡ブランドマークを使用した「福岡フェア」など農産物の販売促進活動や、輸入業者との商談会に取組むとともに、上海では、国際見本市へ出展しPRを進めて参りました。
これらの取り組みにより、「あまおう」の輸出量が一.四トンから二十三.四トンに増えるなど、県産農産物の平成十六年度のアジア向け輸出額は、前年の二億円から四億二千五百万円と倍増しております。
今後の農産物輸出の取り組みについて
本年は、輸送が難しい「いちじく」を全国に先駆け香港、台湾へ輸出するとともに、博多港から高速輸送船を用い初めて「なし」を上海に輸出するなどの取り組みを行っているところであります。
今後とも、全農ふくれん等関係団体と連携し、「あまおうフェア」など福岡ブランド農産物の販売促進活動はもとより、輸出モデル産地の支援など、アジアに向けた農産物輸出を積極的に展開して参ります。
台風十四号の被害状況と救済措置について
農業関係の被害総額は現時点で約二十二億円、このうち農作物の被害は水稲や大豆の倒伏、ナシやブドウの落果などが約十九億円、農地や農道等の被害が約三億円となっています。
県では、倒伏した水稲の早期収穫や病害虫防除の徹底などの技術指導を直ちに行うとともに、低利な農業災害対策資金の周知や農業共済金の早期支払いに向けて指導しております。また、被災した農地等の復旧につきましては、なるべく早く着工できるように災害査定の準備を進めております。
|
次に教育問題についてお伺いします。
まず最初に、高校入試制度の改善についてであります。高校再編整備により特色ある学校づくりが着実に進められてきましたが、その一方で懸念していることは、本当にその高校の特色に相応しい生徒たちが入学しているかどうかであります。
何故かと申しますと、高校入試問題が現実には県下統一であるが故に、中学校の進路指導は旧態依然とした偏差値による輪切りとなっているようです。受験生の個性に即した本当に適切な指導が行われているかどうか疑わしいためであります。
県教審も早くから指摘しています。平成七年三月及び平成十一年七月に相次いで、「中学生自身が自分にあった進路選択を可能にするという観点から、……選抜方法の多様化、選抜尺度の多元化を一層推進する必要がある」と提言し、県教委の統一問題に代えて各校独自の問題作成を求めているのであります。
県教審はこれまで、その時代時代に抱える教育諸課題について審議し、解決のための方策を答申してきました。
県教委もまた、これらの答申を受けて敏速に対応し、適切に課題克服に努めてきたことは、わが会派もよく知るところであります。
最近では昨年七月に県教審に「今後の特別支援教育の在り方について」が諮問されています。わたしたちは、この答申を受けて実施される具体的な施策が、障害のある子どもたちに明るい未来を拓く有効な手だてとなるものと期待をよせ、諮問があった直後の昨年九月議会で代表質問しております。なぜなら先程も述べましたように、県教審の答申は県教委のその後の施策に必ず活かされてきたからであります。
ところが、県立高校の入試改善、とりわけ入試問題の各高校での独自作成については、県教審が十年も前に答申を出し、四年後に再度同じ趣旨のことを促しているにも関わらず、未だにその一部さえも実現していません。これは不可解であり、県教委の真意が全くつかめないのであります。これでは、県教審の存在そのものが有名無実にさえなりかねないことであります。
このような状況が放置されるならば、県教審が現在約二年をかけて審議している盲・聾・養護学校の適正規模・適正配置をはじめとした今後の特別支援教育の在り方についても、答申は出されてもどこまで施策が実行されるのか大いに危惧するものです。
各学校の特色に応じた普通科一般の入試改善、特に各高校独自の問題作成になぜ踏み込めないのか。我々が伺いしれない事情があるのならそのことも含めて、教育長の明確な答弁をお願いします。
次に教職員配置の在り方についてお尋ねします。
今後の学級編制及び教職員配置について、先月、国の調査研究協力者会議から中間報告がなされました。
この報告によりますと、今後の取組みについては、学級編制の標準を全国一律に引き下げるという画一的な取組みではなく、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取組みを可能としつつ、これまで進めてきた少人数教育を一層充実させることが効果的であるとされています。これは大変重要なことだと思います。
そこでまず、本県の教職員定数の弾力的活用については、これまでどのように工夫されてきたのでしょうか。また今回の国の中間報告をどのように受け止めているのか、そして、これを今後の教職員人事行政にどのように反映させていくのか、教育長に具体的な見解をお伺いします。
最後に、児童・生徒の学力問題について伺います。
学力問題の解決のためには、まず、正確な児童生徒の学力実態の把握が欠かせないところです。
こうしたところから、本県でも平成十五年度から学力実態調査に取り組み、昨年度からは、岩手県、宮城県、和歌山県とともに統一学力テストを実施されております。
しかしながら、これとても本県は小学生八%、中学生六%を抽出しての調査に止まっております。抽出ではなく、全県の小・中学校が参加する学力実態調査が必要ではないかと考えるところであります。
こうした中、新聞等の報道によりますと、文部科学省では、全国の全ての児童生徒が参加できる規模で、平成十九年度に「全国学力テスト」を実施することを検討しているようです。
全国学力テストは、過去に実施された経緯があり、過度の県や市町村、学校間の競争を招くなどの問題も出て以降、中断されたままと聞いていますが、これらは十分なる配慮があれば解決されることであります。
かつてのように、日教組が反対運動を全国で展開することはよもやないでしょう。各県、各市町村、各学校が全国の学力の状況と比較して、課題を明確にし、学力向上に向けてみんなが努力を傾けることの方が、どれだけ今のわが国にとって重大かつ急がれることか、お分かり頂けることと思います。
そこで教育長にお伺いします。
国が検討をはじめた全国学力テストの実施について、本県教育委員会としての基本的な見解をお示し願います。
次に、まずは国に先立ち本県が全県統一学力テストに踏み切るべきです。
本県統一学力テストを実施した場合の、その役割・意義も含めて見通しをお聞かせ下さい。
|
教育長 答弁要旨
(教育問題について)
各高校独自の学力検査問題の作成について
平成十四年度から、県内数校において実践研究を進めてきたところですが、この中で、高校の中学校教育に対する理解や機密保持の問題、さらには、県教委の支援体制等の課題が明らかになったところです。
そこで、こうした課題の解決方策を探りつつ、当面、各高校の教育活動にふさわしい受検生の適性・能力をより的確に判定するという県教審答申の趣旨を生かす方策として、学校が学力検査問題の一部を追加選択できる方式について、来年度から試行的に取り組んで参ります。
教職員定数の弾力的な活用について
県教育委員会におきましては、これまで市町村の主体的意思を尊重しながら、各学校や市町村の実態に応じて教職員定数を有効かつ効果的に活用できるよう制度の改善に取り組んできたところであります。
学級編制につきましては、平成十六年度から、市町村の判断において、県の基準とは異なる独自の学級編制を行うことができるようにするなど、教職員定数の弾力化に努めてきたところであります。
教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の中間報告について
中間報告では、ご指摘のとおり教職員の配置につきましては、学級編制を画一的に引き下げるのではなく、地域や学校の実情に応じた取り組みが可能となるような弾力的な配置が効果的であるとされております。
県教育委員会といたしましても、これまで進めてきた少人数教育を充実させるとともに、教職員定数の弾力化をさらに進めることによって、地域や学校の実情に応じた教職員定数の有効かつ効果的な活用ができるものと考えております。
今後の教職員人事行政について
地域や学校の実情に合わせ、教職員定数の弾力的な活用を図り、多様な指導方法の中から最も効果的な方法を選択し実効あるものにするためには、学校長をはじめ教職員の資質能力が重要であります。
このため、県教育委員会としましては、国の動向を踏まえながら、教職員の資質能力の向上を図るとともに、地域や学校の実態に応じた教育ができるような適切な教職員人事行政に努めて参りたいと考えております。
全国学力テストに対する見解について
全国学力テストについては、文部科学省の計画によると、平成十九年度の早い時期に、小学校六年生、中学校三年生を対象に、国語及び算数・数学の二教科について、全国の児童生徒が参加できる規模で実施することとされております。
本テストは、児童生徒の全国的な学習到達度や理解度を把握し、国の教育施策の成果や課題を検証することなどを目的として実施するものと聞いており、国が義務教育の質を保証するための仕組みを構築していくためには、重要な取組であると考えております。
本県学力テストの役割や意義等について
本県では、平成十五年度より抽出による学力実態調査を実施してきており、県全体の学力状況を把握し、調査結果の詳細な分析に基づく指導資料を各学校に配布するなど、各学校の学習指導の充実・改善に努めてきたところです。
今後は、県としての取組だけではなく、県下の全ての学校や市町村が学力の定着状況を把握し、結果を共有して、それぞれの課題に応じた学力向上の取組を進めていくことが重要です。
このため、県としては、対象学年全ての児童生徒が参加できる学力実態調査の必要性を認識しており、その実施に向けて取り組んでまいる考えであります。
|
|