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   自民党県議団 代表質問 平成17年3月2日(水)   

   2月23日(水)に開会した2月議会は3月2日(水)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

 


      自民党県議団質問内容
 

 知事は、この度、全国知事会長に就任されました。真におめでとうございます。まずは、県民を代表して心から祝意を述べさせて頂きます。

 岐阜県知事だった梶原前会長の「闘う知事会」の路線を踏襲され、残された三位一体改革の課題解決などに向けて、今後全力を傾注されることだと存じます。そこで、この際改めまして、知事会長に立候補された動機をお聞きするとともに、今後の抱負と決意についてもお尋ねします。



 また、全国知事会長の職務は激務だと仄聞しているところでありますが、言うまでもなく知事は何よりもまず、福岡県の知事であります。国との交渉など、日程ひとつとっても、県議会はじめ地元の職務との関係などで多くの調整が必要となります。この点をどのように対応されるつもりなのか、県民、なかんづく県民の代表ともいうべき県議会の協力なくして、福岡県知事の職責と全国知事会長の重責を同時に全うすることは困難だと思うのであります。

 また、知事会長の激務に忙殺されて県内の山積する諸問題への対応が手薄になるようなことがあっては勿論許されないことであり、大変危惧されるところであります。そこで、副知事や県幹部のあり方について見直す必要がないのか、当然抜かりないものと思いますが、併せて確認致します。

 さらに、全国知事会の仕事に対応するためには、福岡県の執行部体制の強化も必要になると考えますが、知事の基本的な考え方をお尋ねします。





 次に、全国知事会長として直ちに取り組まなければならない喫緊の課題、特に本県財政も絡んでくる問題についてお聞きしておきます。


 平成十七年度の地方財政改革は、三位一体改革の全体像をどう描くかで誠に厳しい経過を辿ったと聞いております。知事会の要職を努められた麻生知事としても、何かと御苦労が多かったと思うところであり、そのご尽力に敬意を申し上げておきたいと思います。

 しかしながら、昨年末には、地方が望まない生活保護費の負担率の引き下げ問題に決着がつかず、また、施設整備に係る補助金の廃止問題についても関係省庁の強い反対にあって先行き不透明。

 さらには、義務教育費国庫負担金の取り扱いについても、中央教育審議会の今後の論議に委ねられ、地方の望むような形になるのかどうか、全く予断を許さない状況にあると聞いております。

 全ての原因は、三位一体によって概ね三兆円程度の税源を地方に委譲するとされているにもかかわらず、税源委譲の財源が完全には準備されていないところにあるような気がしてなりません。

 そこで、知事はこの激動の時代の全国知事会長に就任されたのですから、この税源委譲に向けて、今後どのように働きかけをしていかれるのか。

 さらに、国では今回の全体像で三位一体改革は終わりにとのムードがある、とも聞いているのですが、それで果たして本当によいのか、国に対する今後の総合的な戦略を説明願います。


 また、国から地方への税源委譲は所得税から個人住民税を受け皿にして行うことが決まっていますが、低所得階層は所得税がそもそも非課税です。「所得税、個人住民税それぞれ同額の増減税とはいかず、住民税だけが増税になってしまう」と早くも重要な問題点が指摘されております。

 この点について、地方としてどのように政府に配慮を求めていかれるのか、知事会長としての知事の見解をお尋ねしておきます。



 併せて、来年度、義務教育費国庫負担金が完全に一般財源化されるのか、中央教育審議会の対応が極めて気がかりであります。

 委員三人を求める地方の強い要請にも関わらず、文部科学省はこれを拒絶して見切り発車するかのようにも見受けられます。

 この委員就任問題について、どのような決着を図られるつもりなのか。また、この負担金問題については、全国知事の間でも意見が分かれているようですが、どのような形で知事会をまとめあげられていくのか、知事の考え方をお示し願います。



 また、最大の気がかりは、今後団塊の世代の属する教員の大量退職問題であります。

 退職手当が大きく膨らむことは確実ですが、その財源が三兆円の税源委譲には勘案されていないと聞いています。

 三兆円の委譲で全てが終わったような論議では、地方では莫大な退職手当の経費増に見舞われ、立ちゆかなくなることが強く懸念されます。

 全国自治体の強い関心事でもありますので、知事会長として四十七都道府県が安心できる明快な答弁を求めておきます。

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)

 1.全国知事会長就任の抱負と決意など

 全国知事会長に立候補した動機について


  グローバル化が進展する世界のなかで、これからの日本を考えた場合、国はもっと大競争時代に対応する総合戦略の設計・実践に専念すべきであると考えております。
 一方、地方は生活意識が多様になり、少子・高齢化も進んでいる状況のなかで、地方の活力を向上させるには、今までのような中央で一律に設計された制度では、対応できないと考えております。
 私はこのような認識のもと、地方分権改革の実現に向け、その先頭に立って進めていく決意をし、立候補したところであります。 

 今後の抱負と決意について

 地方分権改革は大きなヤマ場を迎えております。まず何よりも三位一体改革を進めていかなければなりません。「行動し成果を勝ち取る知事会」を目指していきたいと考えております。
 一方で、地方の自己改革を進め、分権型社会を担う地方の自主自立能力を高めていく必要があります。
 また、地方六団体の結束こそ改革の大きな原動力であり、これまで以上に意志疎通を密にし、一致団結して活動してまいります。
 さらには、二十一世紀臨調など地方分権推進勢力との連携を強め、地方分権運動を広範な国民運動へと高めて参りたいと考えております。
 

 全国知事会長就任後の副知事や県幹部のあり方について

 県知事と全国知事会長の職務を両立させていくためには、県幹部職員をはじめ一般の職員の理解と協力が不可欠であると考えております。
 この点につきましては、私から職員に趣旨を伝えているところであります。 
 
 全国知事会長業務に対応するための執行部体制の強化について

 分権型社会を構築していくため、地方の自主自立能力を高める新たな制度や政策を創造し、全国知事会での活動を通じてこれを実現して参る考えであります。
 このため、総務部に「分権改革推進チーム」を設置し、情報収集・発信や全国知事会事務局との連絡・調整を行う専任スタッフを配置する方向で検討しております。

 全国知事会長として税源移譲に向けた働きかけと今後の総合的戦略について

 三位一体改革については、三兆円規模の税源移譲を柱とする第一期改革について、地方案に沿った方向で確実に実施されるよう、国に強く働きかけていく必要があります。また、平成十九年度以降の第二期改革への展望を開いていくことが重要であります。
 このためには、今回の改革を通じて設置された「国と地方の協議の場」の制度化を図っていく必要があります。また、地方六団体の協力・団結の強化、様々な地方分権の運動体との積極的な連携を通じて広範な国民運動へと高めていくことなどにより、真の地方分権の確立を目指してまいりたいと考えております。
 

 個人住民税における低所得階層への配慮について

  所得税から個人住民税への税源移譲にあたりましては、納税者の負担に極力変化が生じないようにするため、個人住民税の税率のフラット化に伴い、所得税及び個人住民税における適切な調整措置が必要になってくると考えております。
 そのため、地方六団体としても働きかけてきたところであり、今後、その実現に向けて努力して参りたいと考えております。

 中央教育審議会の委員就任問題について

 中央教育審議会の委員の選任については、これまで政府及び文部科学大臣に対して再三申し入れをしているなか、一方的に審議が始められたのは誠に遺憾であります。
  この対応については、三月四日に地方六団体代表者会議を開催し、協議してまいりたいと考えています。

 義務教育費国庫負担金問題に係る意見のとりまとめについて

 昨年、政府・与党により決定された三位一体改革の全体像において、義務教育にかかる費用負担については、地方案を活かす方策を検討することとされております。
  このため、地方六団体と連携し、地方案の実現にむけて、今後とも強力に働きかけてまいりたいと考えております。

 教員の大量退職に伴う退職手当の財源について

 義務教育にかかる教職員の退職手当については、平成十六年度における国庫負担金の一般財源化に当たり、将来、その額が大きく変動することが見込まれること等から、暫定的に税源移譲予定特例交付金によって財源措置がなされております。
  地方の側としましては、税源移譲がなされた後においても、増加する教職員退職手当の所要財源が適切に確保されるよう、国に働きかけていく必要があると考えております。
 


 それでは、これより各分野にわたり質問に入ります。

 まず最初は新年度の当初予算案についてお聞きします。

 知事は、先に予算規模一兆五千二十三億円の平成十七年度一般会計当初予算案を本議会に提案されました。総額規模では前年度比〇・六%の減、一般歳出規模で〇・五%の減、いずれも平成十四年度以来連続して前年度予算を下回る緊縮予算となっています。

 県税関連収入が最近の景気回復を反映し前年度に比較して二百四十八億円、伸び率で四・四%の増収になっているとはいえ、厳しい地方財政対策の影響を受け、県債発行も依然として高水準にとどまっています。

 また、最終的に三百二十八億円の財源不足を補填するため、財政調整基金など三基金を百八十一億円取り崩しています。

 平成十七年度の地方財政対策の大きな特徴は、昨年度並みの一般財源が確保されたところにあると理解していますが、今回の予算案を見ても平成十四年度からの財政構造改革プランに基づき、本県財政が着実に改善されているのか、よく理解できません。

 皆さんご承知のように、県財政当局は、現行改革プランの見直しについて終始消極的で、財政収支改善のためには新たな措置を緊急追加することで対応されようとしていますが、プラン本体とこれらの緊急措置を併せた全体像が一向に明らかではありません。

 財政健全化の状況がどのようになっているのか、皆目不透明であります。

 そこで、その評価と何が具体的な課題として残されているのか、詳しく説明願います。

 次に、財政構造改革プランについては、プランの目標である「基金の取り崩し」と「特例的県債」の発行に頼らない財政運営という当初の目的を達成できないことが明らかになっているのですから、今後の財政構造改革についてどのように取り組んでいくのか、プランの期間終了後の十九年度以降については、どのように考えるのか、県民に明らかにすべきだと考えますので、見解をお示し願います。

 次に、歳入についてであります。

 まず来年度の県税収入の見通しでありますが、県税収入の太宗をなす法人事業税は一千三百九十三億円、二十四%増の大きな伸びとなっています。

 今後の本県景気・経済の見通しと併せ、法人事業税の見積もりについて、予算確保は大丈夫なのか、今年度の県税収入最終見通しも含めて答弁願います。なお、新年度から事業税の分割基準が見直されることになっていますが、本県にどのような影響があるのか説明願います。

 また、今後三位一体改革に伴い、個人住民税の拡充が図られるとすれば、県税も含めその事務を担当している現在の市町村の徴収率の低さは、今後の大きな懸念材料であります。

 当面、税源移譲については、特例交付金と所得譲与税で国から配分されることとなっていますが、本格的に所得税から住民税に税源移譲がなされると、制度上は十分な移譲が行われているにもかかわらず、県税の徴収率が低いと穴、つまりは収入未済額がより大きくなります。

 先進県では、県と市町村が連携し、課税から徴収までを一元化する新組織をつくり、徴収強化と人件費の節減を同時に実現する構想を進めているところもあると聞いているだけに、本県においても市町村税の徴収強化のため、一歩踏み込んだ対策が求められる時期に来ていると考えますので、知事の前向きな姿勢をお聞きします。また、他の県収入未済対策についても併せて答弁願います。

 次に、歳出面についてであります。
 三位一体改革の中で、国民健康保険については地方側が希望していないにもかかわらず、県負担が導入され、県に調整交付金の権限が与えられています。

 この結果、県の新年度予算では百五十億円という巨額が計上されており、今後も増加していくことが確定的と言われています。調整交付金の配分は未定のようですが、どのような基準を考えているのか、本県財政を圧迫することにならないよう、増嵩する医療給付費を抑制するような仕組みとすべきと考えていますが、方針をお示し下さい。

 次に、職員人件費についてであります。
 給与の適正化は、国においても重要課題になっていることからも明らかなように、地方にとっても、今後ますます厳しくなってくることが予想されます。

 仄聞するところによれば、いくつかの県では、既に実態が規則上の職務や職責とあわない主任・主査などの職を廃止する方向で検討に入ったと聞いています。果敢な取り組みと言えます。

 これまでも何度か、給料表の運用について問題がないのか質してきました。職務に変化がないにも関わらず、一定の年限が来れば年功序列的に主査などに昇給させ、本来の係長などと同等の給料を支給する、隠れた「わたり」的な運用がなされているのではないか、という疑念が拭えないからであります。

 これに対し知事は、厳しい財政事情に呼応した緊急的な人件費抑制や定数削減など、制度・構造的な対応の答弁に終始してこられました。
 勿論、緊急避難的な給与カットや現業を中心とした定数削減は避けて通れない県政の重要課題であり、今後ますます推進して頂かねばなりません。このことは誤解を生じないように強調しておきます。

 しかしながら、格付けの問題は決して制度の問題ではありません。福岡県政における給料表の運用の問題であります。
 私たちが確認したいのは、これまでなされた知事の答弁、つまりは「適切に運用している」が形骸化しているのではないか。
 職員組合と馴れ合い的運用になっているのではないか、このことについてであります。そこで改めて、給料表の運用については、適切に行われているのか、再度答弁を求めます。

 聞くところによりますと、かつては出先機関においては、課長補佐級の職員はほとんどいなかったにもかかわらず、いつの頃からか職員の処遇改善と称して、参事補佐や主幹といった課長補佐級ポストが多数設けられ、一定年齢に達すると原則としてほとんど昇進できるような運用がなされていると聞いています。

 このような運用により、努力や能力に関わらず、一定以上の給与水準が保障される結果、多くの職員が激務・多忙の本庁勤務を敬遠する傾向にあるとも聞いています。
 事実とするならば、県庁全体の志気、モラールの低下を招くだけでなう、地方公務員の原則にも反する運用ではないか、と考えますので、直ちに是正すべきであると考えています。
 併せて、その実態と方針をお示し願います。

 いずれにしましても、組織を活性化させ職員のヤル気を起こさせるためには、成績主義にに基づく人事給与制度の運用という本来の原則を徹底させることだと思っています。

 職員の人事評価制度については、私たちはこれまで給与も含めて早急に取り組むことを促して参りました。これまでに、どのような検討がなされてきたのか。検討がなされているのであれば、いつから新たな評価システムを導入されるのか。具体的にその方針をお示し願います。

 また、予算編成に関しては、総務部に集中しすぎているような気がしています。各部局の自主的・主体的な努力を引き出すためにも、予算権限の一部を各部局の主管課に移譲するなど、庁内分権を大胆に進め、各部局が協力して県財政の健全化に取り組むシステムを構築すべきと考えます。併せて見解をお示し下さい。

 先日まで全国知事会長であった梶原拓岐阜県知事は、今年の年頭記者会見で、ヤミ給与などを払う「組合癒着型」、選挙を有利にするためにばらまき福祉を行う「大衆迎合型」、職員任せで改革が進まない「リーダーシップ不在型」の三タイプの自治体を「分権阻害型自治体」と位置付け、これをつぶしていくことが、全国共通の課題であると揶揄しています。

 本県が「分権阻害型自治体」と他県から批判を浴びることがないよう念じています。

(新年度県予算案について)

 財政構造改革について


 平成十七年度当初予算編成においては、財政構造改革プランに基づく改革措置に加え、平成十八年度までの二年間で約二百億円の財政収支改善のための新たな措置を講じることにより、財源不足額の圧縮を図ったところであります。
 しかしながら、国・地方を通じた財政の健全化が進められる中で、臨時財政対策債等の大幅な削減に加え、税収も今後さらに大幅な伸びは期待できない状況にあると考えております。
 このようなことから、プランに掲げた二つの目標の達成は、現状では困難な状況になりつつあると言わざるを得ないものと考えられますが、平成十九年度以降の安定的な予算編成に向け、基金の確保が重要であると考えております。
 また、十九年度以降の財政運営に当たっても、何らかの形での中長期的な計画の下に、健全化努力を続けていく必要があると考えております。

 本県の景気・経済の見通しについて
   
 本県では、昨年の輸出通関実績額が過去最高となり、生産も鉄鋼、一般機械などが堅調に推移し、増加基調が続いております。
 今後につきましては、中国、アメリカなど本県の主要輸出国が急激に景気減速する可能性は少なく、また、自動車関連の増産も予定されていることから、景気回復の基調が続くものと考えております。      
 しかしながら、円高が進行すれば、景気に悪影響を及ぼすことから、為替の動向には十分留意する必要があると考えております。

 十七年度の法人事業税の見積もり及び今年度 の県税収入最終見通しについて

  十七年度の法人事業税につきましては、現在の税収の動向や各種の経済指標、企業に対する聞き取り調査結果などを総合的に判断して予算を計上いたしました。
 具体的には、景気の回復を反映して、鉄鋼や自動車関連といった製造業をはじめ、卸・小売業やサービス業等が好調であることから、前年度当初予算比二十四パーセントの増収を見込んでいるところであります。
 また、今年度の県税収入最終見通しにつきましても、主力の法人県民税・事業税が大きく増収となる見通しであることなどから、全体で当初予算を百六十八億円余り上回るものと考えております。

 法人事業税の分割基準の見直しについて

  法人事業税の分割基準につきましては、税源帰属の適正化を図るため、卸・小売業やサービス業等の非製造業について、従業者数だけで関係都道府県に分割していたものを課税標準の二分の一につきましては、事務所数により分割するなどの見直しが行われたところであります。
 この見直しにより本県における影響は、平成十八年度から生じるものであり、十五年度ベースで試算いたしますと、約七億円程度の増収となる見込みであります。

 個人住民税の徴収強化について

 本県における住民税の徴収対策といたしましては、従来から実施しております実践的な研修などを今後一層強化するとともに、県職員と市町村職員の相互派遣についても研究して参りたいと考えております。
 さらに、高額かつ困難な滞納事案については、県職員が直接徴収する方向で検討を進めているところであり、十七年度には試行として取り組むこととしております。
 この直接徴収は、市町村職員を同行させることにより、市町村の徴収技術向上にも資するものであり、本格的な税源移譲が予定されている平成十九年度までには、直接徴収のための組織体制を整え、本格的に実施して参りたいと考えております。

 税外収入における収入未済対策について

 税外収入における収入未済の防止及び解消を図るため、収入未済解消推進会議を設置し、案件毎に未済解消に向けた具体策を明らかにした計画を策定し、戸別訪問や夜間督促の強化など全庁的な取り組みを行うこととしております。
 この取り組みに当たりましては、それぞれの債務者の状況等も十分に配慮していく必要があると考えております。

 国民健康保険に係る県調整交付金の市町村への配分基準について

 この配分基準につきましては、国において地方三団体との検討の場を設け、地方の意見を尊重しつつガイドラインを作成することとされています。
 県としましては、配分基準の作成に当たり、このガイドラインを参考としつつも、地域の実情を踏まえ、市町村国保財政の安定化を図るとともに、医療費適正化の取組みを促進するなど国保運営の健全化につながるものにする方針でございます。





 職員の昇任及び給料表の運用について

 職員の昇任につきましては、能力、経歴、勤務実績等を総合的に判断し厳正に実施しており、給料の格付けにつきましても、給与条例等に基づき適切に行っているところであります。
 また、出先機関における主幹等の課長補佐級の職は、それぞれの分野における行政需要の複雑化・高度化に対応するため設置したものであり、その任用にあたりましても、適材適所の観点で厳正に行っているところであります。

 





 新たな人事評価システムの導入について

 活力ある県庁づくりを進めるためには、職員の意欲を喚起し、各々の分野で能力を十分に引き出す人事評価のシステムが重要であると考えます。
 このため、モデル所属による検討結果を踏まえ、より精度の高い運用が可能となるよう、評価の手続や項目、基準等の具体的な検討を行っているところであります。
 なお、来年度から管理職員に対する試行に着手し、制度の検証を行いながら、段階的に導入を図ってまいる考えであります。














 予算編成における庁内分権について

 予算編成における庁内分権については、これまでも平成十六年度に経常的な管理経費の全額を各部局に枠配分するなどの取り組みを進めてきたところであります。
 今後も進めていく必要があると考えており、定型的な政策経費について、各部局への枠配分方式を導入することにより、創意工夫を更に活かせるようにするとともに、効率的な予算編成に努めてまいります。
 

 次は、市町村合併についてであります。
 
 振り返りますと、「平成の大合併」の気運が澎湃として全国的に盛り上がってきたのは、合併特例法の期限まであと三年に迫った平成十四年からでした。

 全国の市町村数は、平成十一年以降十五年末までは漸減するだけで目立った成果は直ちに見られなかったわけでありますが、十四年以降各県では合併に向かって着実な取り組みが進められました。

 努力の結実はその後急激に現れました。全国の市町村の数は、平成十六年一月には三千百七十六であったものが、四月には三千百、十月には三千三十、本年二月には二千七百九十七と急激に減少し、来年三月までには二千三百十二になることが現時点で確定しております。さらに上積みされて二千を切るかもしれないと予測する向きもあります。

 そこで私共は、平成十六年二月一日現在と現時点で確定している平成十八年一月一日現在とを比較し、各都道府県で一体どの程度市長村数が減少するのかちなみに調べてみました。全国で見ると、三千百七十から二千三百七十四へ、減少率は二五・一%です。

 主な県別に紹介しますと、例えば、大分県は五十八から二十五へ五六・九%の減少、長崎県は七十九から四十五へ四三・〇%の減少、佐賀県でも、減少率は二八・六%、熊本県でも二四・四%です。

 九州以外では、広島県は七十九から二十九へ六三・七%の減少、愛媛県は六十九から二十四へ六五・二%の減少とそれぞれ画期的な成果を上げております。

 対して、わが福岡県の合併状況はどうか。現状では、大まかに言って、大分の五分の一、長崎の四分の一、佐賀、熊本の二分の一の減少率に止まっているのです。ちなみに、合併が進まない県、全国第十六位。このうち東京、神奈川、大阪の大都市圏を除くと十三位。合併の進捗は西高東低といわれますので、北海道、岩手、山形、栃木、埼玉、千葉を除くと第七位、西日本ではベストテン入りです。

 これまで、糸島、遠賀など各地区で合併協議会がご破算になるなど、県下の多くの地域で協議が暗礁に乗り上げてきました。

 知事はこの厳然たる事実をどのように受け止めておられているのか、西日本ワースト七位に対する評価も含め、ご説明願います。

 合併が大きく進み、市町村のあり方に目を見張るような再編がなされた地域をつぶさに観察いたしますと、どこも例外なく知事が率先して強力なリーダーシップを発揮されていることが分かります。広島、愛媛そして大分しかりであります。町村の反発を恐れず、果敢に、時には蛮勇さえふるって政治家として、県の利益のためにも市町村合併が必要なのだという強い信念、使命感のもと、先頭に立って行動されたと聞いております。

 参考までにご紹介しますが、静岡では、静岡市、浜松市が政令指定都市を目指して周辺市町村の合併協議を精力的に進めています。県は、二つの政令市が誕生した後の県のあり方を長期的かつ幅広い観点から真剣に模索しています。誠に大胆なものであります。積極的に市町村への権限委譲を進め、政令市以外の市町村とは県も加わる形で広域連合を形成、政令市と同様の機能を持たせる、同時に国の出先機関の権限を県に委譲することを求める、このような構想を県が率先して進めてきたのです。

 ところで、本年年頭の記者会見で、知事は「なかなか合併が進んでいない。市町村の自主性を尊重する路線をとってきたが、地方分権が進み、地方の自主的な問題解決能力が求められる時代、財政的に厳しくなってくる時代に、このままの状態でやっていけるのか。県の役割は側面支援だけでいいのか。もっと強くする方向で、県との関係、役割などを本格的な話し合いをしなければならない」と、かなり思い切った大胆発言をされました。 手厚い国の財政支援を受けられる合併特例法の期限はこの三月末です。この切羽詰まった、もはや新たな取り組みがほとんど不可能と言える時期になって、突如としてこのような思い切った発言をされた真意は一体何か。伝家の宝刀たる勧告権の行使まで覚悟されたのか、忌憚なくご説明ください。

 三年前からわが会派は、度重なる注意喚起、政策提言をねばり強く続けて参りました。にもかかわらず、知事は「自治体同士の合併機運の醸成を待って」と、自主合併尊重を繰り返すだけで、なんら形に見える有効な手だに着手されませんでした。このことは、これまでの本議会での議事録を検索されれば一目瞭然であります。

 もはや残された時間がないだけに、今となっては、正直大いなる空しさを抱いて質問いたしますが、市町村合併はなぜ必要だったのですか。なぜ本県は大分や広島のように進展しなかったのですか。どこに真の原因があったのですか。これらの点について改めて知事の見解を確認致します。

 また、大胆に踏み込んだ知事の発言も、もはや時期を失していると言わざるを得ません。しかしながら、合併特例法では、今年三月までに合併を申請し、来年三月までに合併を実現させた自治体については、財政支援が受けられるようになっています。本県下でも六地域でその見通しがあるようですが、これらの自治体に、場合によっては勧告権を行使してでも実現を指導されるつもりか。今後どのような基本姿勢と具体策でもって対応していくお考えなのか、明快な説明を求めます。

 これからの政府の地方財政政策は、当然、規模を拡大した新たな市町村を標準として、今後展開されることが予想されます。今後、合併の進まなかった地域の振興や財政健全化に大きな制約になることが大いに心配されるところであります。

 その意味でも、知事はこれまでの取り組みをどのように総括されているのか。取り組みに不十分さや失敗がなかったのか。謙虚、真摯にその見解を率直にお示し願います。

 最後にもう一度、今後の合併に対する知事の政治家としての意欲と決意をお聞きし、合併問題についての質問を終わります。
 

(市町村合併について)

 多くの地域で合併協議が暗礁に乗り上げたことと、本県の合併が進んでいないことについて


 県内の市町村合併の状況ですが、今年度末には、市町村数は八十五となります。
また、今年度内に合併申請をする予定の地域がありますので、平成十八年三月末には、市町村数は約七十団体になる見込みで、およそ三割減ると思われます。
 合併については、市町村の強い要望もあって、これまで自主的合併ということで進めてまいったところであります。







 年頭記者会見の真意について

 合併特例法の下での合併申請期限である本年三月三十一日までに、さらに合併を進めてまいりたいということで、合併新法に触れて前向きの発言をしたところであります。
 また、このため、県としましては、これまで以上に市町村に対し、合併の働きかけを強めてまいりたいと考えております。







 合併の必要性と本県で合併が進展しなかった原因について

 地方分権が進んだ場合、市町村は、高い行政能力や高度な人材を備えることが必要になります。また、厳しい財政状況の下で、より効率的・効果的な行政を行っていくことが不可欠になります。そのために、合併が必要であると考えております。
 本県の場合、合併が進んでいない原因としては、両政令都市圏に多数の市町がありますが、これらの市町の財政力が比較的強いため合併の動きが出ていないことや、いわゆる小規模市町村が少ないという本県の構造的特色があることなどが考えられます。
 また、具体的な合併協議の場では、合併の必要性や合併しない場合の行財政運営の厳しさが、地域住民に十分理解されなかったことなどが考えられます。








 合併の見通しがある地域に対する今後の基本姿勢と具体策について

 県としましては、本年三月末日までの合併の申請を目指して協議を行っている地域については、積極的に支援しているところであります。
 具体的には、協議が難航している事項について関係市町村間の調整を行ったり、厳しい日程での協議が円滑に進むよう、合併協議会に参画し、必要な助言を行っているところであります。






 これまでの合併の取り組みの総括について


 県としましては、これまで合併機運の醸成を図るとともに、具体の合併協議について、情報提供や助言、人的・財政的支援を行ってきたところであります。
 また、これまで各地域では、その将来について非常に真剣な議論が行われてきたものと考えております。
 このため、平成十七年度以降においては、合併新法の下での推進措置を活用しながら、さらに合併を進めてまいりたいと考えております。






 合併に対する政治家としての意欲と決意について

 今回の合併により、新たな自治体が生まれ、これが高い行政能力や創意工夫力を持ち、その能力を競い合って、新しい発展の方向を見つけ出していくこと、これが県全体の新しい力になり、県勢の発展の力になるものと考えております。 
 このため、今後とも合併新法の下で、市町村の合併をより一層進めてまいりたいと考えております。
 

 それでは次に、介護保険制度の見直しについてお尋ねいたします。

 ご承知のように、五年前に発足した介護保険制度の改正案が今国会に提案されております。

 このたびの見直しは制度五年を目途にした大幅な改正になっているようです。

 そこで、その重要な点のいくつかについて以下指摘し、それぞれに見解なり方針をお答え願います。

 まず第一点は、特別養護老人ホーム等の利用者から新に居住費用や食費を徴収することについてであります。

 この時期になぜ見直しの必要があるのか、はなはだ理解に苦しむものがあります。低所得者に対しては特別な支援措置が講じられないと、介護切り捨てにもつながりかねません。 次に、「地域密着型サービス」の創設として、認知症高齢者グループホームなど六事業については市町村に指定権限を移し、原則その市町村住民を対象にしたサービス事業に限定するとされていることについてであります。身近な地域で地域の特性に応じた多様で柔軟なサービス提供を目指すとされていますが、果たして、そのように理念通りに進むものでしょうか。

 私たちはかつてグループホームについては、住所地特例を認めて当該市町村の財政負担を軽くすることで、住所地外からのホーム入所を図るべきだと訴えてまいりましたが、今回の改正により住所地特例は設けないことも併せて明らかにされています。

 次に介護サービス情報の公表が、全てのサービス事業者に義務づけられたことについてであります。

 利用者とその家族がサービス事業者を選択するに当たって情報開示されることは、重要なことでありますが、このことが事業者にとってサービスの質の向上につながらなければ意味のないことになってしまいます。

 次に予防給付の創設についてであります。 高齢者の自立支援という介護保険制度本来の目的に沿って、軽店者を対象にして、新に予防給付を創設し、予防重視型システムへ転換を図っていくとされています。

 これまで要支援を受けていた方々が、従前のサービスを切り捨てられることはないのか、この点が極めて危惧されるところです。 最後に本県独自の問題として広域連合における三段階制保険料の設定についてであります。

 この件につきましては、今回の見直しと直接かかわることではありませんが、六十六の市町村が参加した全国一大規模なものだけに全国の注目を集めているようです。

 広域連合側は、現在進行中の市町村合併に伴う経過的な措置という見解を示しているようですが、本来「保険料は同一」が望ましいのではないでしょうか。この点も含めて、このような三段階制の導入についての知事の見解を求めておきます。 
 

(福祉問題について)

  施設給付の見直しの必要性と低所得者対策
について


 特別養護老人ホーム等の施設入所者につきましては、在宅サービスの利用者との負担の公平性を図る観点から、今回の制度改正で、居住費用や食費を保険給付の対象外とすることとされております。
 また、低所得者の方々の利用者負担につきましては、過重な負担とならないよう、所得に応じた負担限度額を定めるなど、軽減措置が講じられることとされております。


 地域密着型サービスの創設について
      
 認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスにつきましては、住み慣れた地域での生活を支えるため創設されたものであり、市町村に事業者指定や指導監督の権限が付与されることになっております。
 指定に当たりましては、市町村が定めた整備計画に基づき、行うことになっておりますが、県としては、適切なサービスが提供されるよう助言指導に努めて参る所存であります。


 介護サービス情報の公表と質の向上について

 介護サービス事業者につきましては、利用者の適切なサービス利用に資するため、サービスの内容や運営状況に関する情報を公表することとされております。
 これにより、利用者が開示情報を活用しながら主体的に介護サービス事業者を選択できることから、事業者間でのサービス改善への取組みが促進され、介護サービス全体の質の向上が図られるものと考えています。


 新たな予防給付の創設について

 新たな予防給付につきましては、軽度者を対象とし、筋力向上、栄養改善、口腔機能向上等の新たなサービス提供を行うとともに、既存サービスについても内容等を見直し、制度の理念である利用者の自立支援の促進を図ることとされております。
 また、新たな予防給付に際しましては、従来の要介護認定審査に加え、利用者の状態の維持又は改善可能性の審査を行い、利用者一人ひとりの状態に即した給付の決定を行うこととされております。


 広域連合の三段階保険料について
 
 広域連合を構成する市町村間で介護給付に著しい差があり、均一の保険料を賦課することが衡平を著しく欠く場合は、保険料に格差を設けることは可能となっております。
 本県の広域連合も、その主旨を踏まえ、構成市町村間で十分な論議を尽くされ、三段階保険料の導入が図られたものと考えております。
 

 次に、環境問題についてであります

 去る二月十六日、いわゆる「京都議定書」が発効し、わが国もいよいよ地球温暖化防止に向けて具体的な取り組みが求められることになりました。

 一九九七年十二月、京都でいわゆる地球温暖化防止国際会議が開催されました。この会議において、地球温暖化を防止するという人類共通の目的のもとに、世界の国々が協力し、先進国の温室効果ガス排出量の削減目標などを定めた「京都議定書」が採択されました。

 地球温暖化の原因である温室効果ガスのうち二酸化炭素が最も影響が大きいといわれていますが、二〇〇〇年に世界全体で排出された二酸化炭素は、二百三十億トンと推定され、この量は一九五〇年の排出量約六十億トンの四倍近くになっています。

 我が国は世界の排出量の約五%を占めており、アメリカ、中国、ロシアに次ぐ第四位の排出国であります。

 京都議定書では、先進諸国全体で、二〇〇八年から二〇一二年の第一約束期間に温室効果ガスの排出を一九九〇年と比べて約五%削減するというもので、我が国は六%の削減を約束しています。

 国では環境省を中心として、これまで地球温暖化対策推進大綱に基づく各種の取組がなされてまいりました。その後、我が国で排出されている温室効果ガスは、二〇〇三年度現在の速報値では、十三億三千六百万トンと、一九九〇年度に比べ八%増加しております。

 従って、京都議定書において我が国が行った約束を守るためには、二〇〇三年度をベースにすると実に約十四%の温室効果ガスを削減しなければなりません。もちろん地方にとっても重要な課題であり、本県としても本格的に取り組まなければならないことであります。

 そこで次の四点についてお聞きし、その対策を求めたいと思います。

 まずは、本県の二酸化炭素の排出量がどの程度であり、その部門別の内訳はどうなっているのか。本県の排出量が全国に占める割合はどの程度なのかお示し願います。

 また、本県では、平成十年九月、二酸化炭素の排出量を、一九九〇年度に比べ二〇一〇年度に十一.三%削減する目標が掲げられておりました。しかしながら、平成十五年三月に策定された福岡県環境総合基本計画では、肝心の削減目標が記載されておりません。これでは他県や県民に削減に向けた熱意に疑念を抱かれることにもなりかねません。なにゆえに、削減目標が設定されていないのか、その経緯と理由についてお示しください。

 次に、これまで温暖化対策として県でどのような取組を行ってこられたのか、具体的に説明頂くとともに、とりわけ知事が就任以来、公約にも何度も取り上げて活用を呼びかけてこられた環境家計簿については、その普及状況とあわせてお示し願います。

 また今後、地球温暖化に向けて今後、新たにどのような取り組みを展開されていくのか、県としてどのように取り組まれるつもりなのか知事の明確な答弁を求めます。
 

 (環境問題について)

 本県の二酸化炭素排出量について


 本県における二〇〇〇年度の二酸化炭素排出量は、五千八百九十一万トンで、全国の排出量の約五%を占めています。
 また、部門別内訳の主なものは、産業部門が約四十七%、自動車・船舶等の運輸部門が約二十%、家庭やオフィス等の民生部門が約十八%となっております。




 削減目標の設定について

 福岡県環境総合基本計画を策定した平成十五年当時の状況として、数箇月後にはロシアが京都議定書を批准し、年内にも発効する見通しでありました。
 このようなことから、議定書発効後に国が策定する京都議定書目標達成計画の内容等を踏まえて、本県の新たな削減目標を設定することとしたものであります。




 これまでの地球温暖化対策について

 本県では、環境総合基本計画に基づき、福岡県地球温暖化防止活動推進センターを拠点とした普及啓発を進めるとともに、省エネルギー対策の推進や新エネルギーの導入促進などの温室効果ガスの排出削減と、森林の適正管理などによる温室効果ガスの吸収源確保を推進しております。             
 また、環境家計簿につきましては、平成十年度から作成・普及に努めており、平成十六年版の実績は、約四万四千部となっております。
 さらに、本年一月からは、インターネットからも入手できるようにしております。





 今後の地球温暖化対策について

 県としましては、京都議定書目標達成計画の内容を踏まえ、本県における温室効果ガスの削減目標を設定するとともに、その達成に向けた施策の見直しを行うこととしております。
 また、福岡県地球温暖化防止活動推進センターとの連携のもとに、地球温暖化防止活動推進員を活用するなど、県民の自主的な取組の一層の促進に努めてまいります。
 さらに、地球温暖化対策として大きく期待されている水素エネルギーの実用化に向け、研究開発や実証実験、人材育成等を積極的に進めることとしております。

 

 次に、外国人労働者の受入れ、とりわけ福岡県内における医療機関への看護師・介護師の受け入れについて、県独自の開放政策を提案し、県の見解を求めたいと思います。

 外国人の日本における就労等については、基本的には出入国管理及び難民認定法で厳し
い規制を受けており、認められた在留資格を有する者のみが仕事などに就くことができる
とされ、極めて限られた外国人にとどめられているのが実情であります。
 このような中、昨年十一月の我が国とフィリピンとのFTA(自由貿易協定)交渉において、フィリピン人の看護師の日本での就労を認めることが合意されています。
 日本語研修や日本における看護師免許などの国家資格の取得については、今後細部が詰められるようでありますが、県内においても筑豊地区の基幹的医療機関では既にその受け入れ準備が進められているとも聞いています。

 福岡県内で働く看護師は平成十四年十月現在で約六万三千五百人、県の需給見通しによると、十七年末の看護師の需要見込みは約七万千二百人で、県は「潜在看護師の掘り起こしなどにより、数から言えばほぼ充足できる状況にある」と判断されているようですが、極めて議論の分かれるところであります。

 まず第一に、看護師が大都市に集中して郡部では慢性的に不足し、極めて地域的な偏りがあること。言ってみれば、県全体のトータルでは需要数が確保できても、郡部の医療機関では常に看護不足に悩まされていることであります。

 次に、ご承知のように、わが国は二〇一五年には、人口の四人に一人が高齢者という超高齢社会を世界で最初に迎えることになっています。
 日々、高齢化が進展しているわけでありまして、今後、看護師、そして介護師の需要が高まることはあっても、減少は現状では全く予測し難いところであります。
 一方、この高齢化とあいまって、わが国では少子化も急速に進行していますから、これに伴って看護師の希望者も減少することが危惧され、国内だけでこれをカバーすることは到底不可能と専門家の間では分析されています。

 ちなみに、既に豊前方面の一部看護養成機関では、入学者が定数に満たないところも出ているようです。もちろん、こうした少子高齢化がわが国社会に与える影響は、医療分野だけの問題ではありません。国内で不足する労働力を外国人に求める傾向は、国際化の進展と相まって益々強まり、わが福岡県内においても外国人を目にする機会がめっきり増えてきました。
 私の知っている企業でも外国人を雇用している例がありますが、二、三年で流暢な日本語を話し、短期間でわが国社会にすっかりなじむといった例も少なくないようです。
 とりわけ、八百万人近くが海外で働いているといわれているフィリピンにおいては、国家を挙げて看護師の育成に力を注ぎ、この人材を海外に輩出しているようです。
 それだけに、日比間のFTA交渉においても、看護師問題が取り上げられ、合意に至ったものと判断するところでありますが、今後実現するまでには、相当時間がかかりそうな気配であります。

 そこで知事にお伺いします。
 まず第一に、わが国における外国人の就労について、知事の基本的な見解をお聞かせ下さい。
 次に、本県の医療情勢、特に看護師・介護師の今後の需要見通しについて、どのように判断されているのか、見解をお示し下さい。
 次に、私たちは本県の看護師・介護師不足は今後質量ともにますます深刻化していくと判断し、これを手当てしていくためには、国益にかなう範囲内で規制を緩和し、積極的に外国人労働者を活用していくことも解決策の一つでもあろうと考えています。
 こうしたとき、アジアに開かれた福岡県を自認する本県が、より幅広い観点から国際化に伴った外国人の受け入れを積極的に推進していくことは、極めて意義あることだと判断しています。
 そこで、FTA交渉の今後の展開を待つまでもなく、規制緩和のため設けられている構造改革特区制度をこの際活用して名乗りを挙げ、本県独自でアジア、フィリピンの就労を受け入れる。このような積極的施策を展開していくべき時期を迎えていると私たちは考えています。知事の抱負と見解、そして決断のほどを答弁願うものであります。
 

 (外国人労働者問題について)
 
 外国人の就労に係る基本的な考えについて


 国際化が進展し、地域間の競争が厳しさを増す中、本県がアジアの拠点として発展していくためには、日本人に限らず広く世界、とりわけアジアから優秀で多様な人材を求め、その能力を生かしていくことが重要であります。

 このため、県といたしましては、アジア人材交流に係る研究会を設置し、各分野での現状やニーズについて調査するとともに、受け入れ環境の整備について研究してまいりたいと考えております。








 看護師・介護職員の今後の需要見通しについて

 現在、県内の医療機関等における看護師・介護職員については、医療法や介護保険法などで定める基準は現時点では満たしている状況にありますが、将来、少子高齢化の進展に伴い看護師・介護職員が不足することも懸念されております。

 なお、平成十八年から平成二十二年までの看護職員の需給見通しにつきましては、平成十七年に調査を行い、策定することにしております。








 構造改革特区制度の活用について

 外国人看護師等を受け入れるための特区については、これまで複数の提案がなされており、いずれも困難であるとの国の見解が示されておりますが、FTA交渉の推移を見守っていく必要があると考えております。

 今後、アジア人材交流について研究するなかで、看護師等の受け入れも含め、研究してまいりたいと考えております。






 

 次に、農政問題、特に、三位一体改革を踏まえた県農政の展開についてお尋ねします。

 知事は日頃から、収益性の高い園芸農業や海外輸出戦略など攻めの農業を進めておられます。しかしながら、その陰で何か大事なものが疎かになっているのではないかという気がしてなりません。
 長引く農産物価格の低迷で疲弊した農家経営をどう立て直すのか、このような状況下で後継者は育つのか、農村を支える大多数の兼業農家を、農政の中でどう位置付けていくのか等々、課題は山積しております。

 自由民主党県議団としては、十七年度農政予算が、このような現状をしっかりと見据えたものとなっているのか、また、知事が常々言っている三位一体改革の動きを踏まえたものとなっているのかを検証するため、@安全保障政策としての農政、A地域政策としての農政、B産業政策としての農政、の三つの観点から質したいと思います。

 まず、安全保障政策としての農政についてであります。
 問題は、県農業の維持発展に必要な優良農地をどう確保していくのかという点であります。
 県の農業・農村基本計画では、平成十二年から平成二十二年までの十年の間に、県全体で一万二千ヘクタールの農地が、水田では八千ヘクタールが減少すると見込まれていますが、近年の厳しい農業情勢下では、減少がさらに加速されるのではないかと危惧しております。
 例えば、最近は郊外型の大型店舗が農村に進出する例が増えており、地域活性化には役立つとしても、営農条件のよい農地がまとめて転用され、今後の農業振興に不安と懸念を抱かせるケースも少なくないと聞いています。
 地域振興のための農地転用と優良農地の確保という異なる施策課題について、知事はどう取り組んでいくつもりなのか、この際、将来を見越した断固とした方針を示して頂くようお願いします。

 次に、地域政策としての農政についてであります。
 担い手の高齢化や農村の混住化が進む現状の中で、「以前は集落で行っていた水路の維持管理が十分できなくなった。村の行事への参加者が少なくなった」などの声がよく聞かれます。農業が地域社会の中で成り立つものであるならば、中核的な農家の確保と併せ、集落機能が維持されるための対策が必要であります。
 例えば、集落全体が何らかの恩恵を被っている水路や農道の維持管理は、少数の中核的な農家だけではなし得ず、いわゆる兼業農家や非農家の協力が不可欠であります。しかしながら、生産性のみを追求する農政では、兼業農家の果たしている役割を適切に評価する尺度は生まれてきません。
 そこで伺います。本県農家の大部分を占めるいわゆる兼業農家について、その実情の説明とともに、農政を展開する上でどのように位置付け、どのような施策を講じていかれるのでしょうか。大変重要な課題ですから、明確かつ具体的にお答え下さい。

 また、我が会派が去る十二月議会の代表質問で導入を強く指摘しました環境支払制度は、まさに、この地域政策に該当すると考えており、十七年度予算では「県民と育む農の恵みモデル事業」が創設されているようです。
 この事業は、「生態系保全活動と景観形成活動をモデル的に実践し、環境直接支払を視野に入れた資料の収集分析を行う」とされていますが、十九年度までの事業実施期間が経過した後は、本格的に制度を導入する考えなのでしょうか。明快な答弁をお願いします。

 最後に、産業政策としての農政についてであります。
 本県農業が持続的に発展するためには、県産農産物が競争力を持ち、しっかりした農業経営が展開されることが不可欠であることは論を待たないところであります。
 競争力のある農産物づくりとしっかりした農業経営を進めるための施策は、十七年度予算ではどのように反映されているのでしょうか、具体的にお答え下さい。

 また、昨年来、我が会派が議会のたびに繰り返し継続実施を要請してきた高収益型園芸振興事業については、前年並みの予算措置がなされており、農家の経営改善意欲に力を与えるものと高く評価をいたしております。
 本事業は、平成四年度に創設されて以来十三年が経過しておりますが、長期の実施にも関わらず、未だ農家の強い支持を受ける、他に例を見ない事業であります。
 勿論、この十三年の間には、その時々の農家のニーズ、あるいは行政課題等を踏まえ適宜見直しを行ってきたことは理解していますが、農家にはさらなる改善や要望もあります。
 そこでお尋ねします。十七年度から実施される事業では、農家がより利用しやすいよう、どのような点が改善されたのでしょうか。具体的にお答え下さい。
 

 (農政問題について)






 農地転用と優良農地の確保について

 近年、都市近郊の農地に大型商業施設を誘致するなど非農業的な土地利用が増えておりますが、農地は一度転用されると再び農地に戻すことが極めて困難であります。
 このため、集団的な優良農地の確保を基本とし、農業者の意向や地域の実情にも留意しながら、合理的な土地利用の実現に努めて参ります。

















 兼業農家の位置づけと施策について

 県内の農家数の八割は兼業農家であり、地域によっては兼業農家ばかりというところもあります。
 こうした地域においては、集落内の兼業農家を含めた生産組織の育成が大切でありますので、共同利用機械の整備を促進するとともに、組織の継続性を図るため、法人化を指導しているところです。










 本格的な環境直接支払い制度の導入について

 環境に配慮した農業生産活動が、豊かな生態系や美しい景観の保全につながるとして、その対価を支払うには、県民の理解と合意が必要です。
 現在、国においても農業生産環境施策の調査研究を行っているところであり、県としましては、モデル事業を実施しながら県民の理解促進を図り、今後のあり方について検討して参ります。



 競争力ある農産物づくりと経営の安定について

 機能性を付加したおいしい米の育成に新たに取り組むなど、新品種の開発を引き続き行うとともに、アジアマーケット対策をはじめ国内外における農産物のブランド化をさらに進め、競争力の強化を図って参ります。
 また、高収益型園芸事業を継続するほか、営農組織育成のための機械整備など水田農業ビジョンの実現に向けた支援を通じ、収益性の高い農業経営の実現に努めて参ります。




 来年度以降の高収益型園芸事業について

 平成十七年度からの高収益事業につきましては、認定農業者個人の採択要件を一層取り組みやすい制度とするとともに、これまで県一律に定めていた重点品目を見直し、地域の水田農業ビジョンや野菜・果樹の産地改革計画等で振興する品目について重点的に支援して参ります。

 

 次に教育問題についてお伺いします。

 冒頭に、まず、またまた発生した学校内殺傷事件とその安全対策について伺っておきます。大阪府寝屋川市小学校における事件は、十七歳の同校卒業少年が包丁を持って侵入し、教職員ら三人を殺傷するという誠に痛ましい事件でした。

 四年前に起きた大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件を国民に思い起こさせ、改めて「学校で事件など起きるはずがない」「学校は安全なところ」という想いがもはや全く通用しなくなっている。本当に悲しいことながら事実のようです。

 そこで教育長にお伺いします。相次ぐこうした痛ましい事件を契機にして、本県においても各学校における安全対策については、その取組を行っていると思います。しかしながら今回のような予測もつかない事件の対応には、学校だけでの取り組みや教職員だけの努力だけでは限界があると思います。

 県教育委員会として、今後どのような学校の安全対策の充実を図っていかれるのか、まずお答え下さい。

 さて、このような悲惨な事件が起こるたびに、改めて道徳教育の重要性に想いが至ります。道徳教育こそ、国民教育の基盤をなすものであり、人の生き方や考え方を指し示す重要な教育であると捉えております。

  そして、その道徳教育の有効な手段として「心のノート」の活用をこの議会で指摘し、各学校でのますますの活用推進を強く求めてきたところであります。

 そこで、教育長にお伺いします。

 今後、社会生活を営む人間の基礎づくりとして道徳教育の重要性をどのように認識し、学校現場でどう指導していこうとされているのか、「心のノート」について、かつて指摘してきたように教室で保管され眠っているような例はないか、どうか。改めて、その活用状況及び、活用の成果も含め伺います。

 次に、多くの県民・国民が危惧しております学力の問題であります。

 確かに子ども達の学力の現状はというと、昨年度実施された本県学力実態調査においても理科や社会の基礎的な知識や技能が十分に定着していないという結果がはっきりでておりました。また国際的な調査でありますPISA(ピサ)やTIMSS(ティムス)の調査におきましても、数学や理科のリテラシーが前回と比較して下がってきているという状況にあること、さらに何よりも危惧されるのは、子どもの学習時間や学ぶ意欲が他国と比較して大きく低下していることであります。文部科学省が進めてきたゆとり教育が、これからの社会を支えていくべき子ども達の学力育成に十分な効果を上げることができなかったと断じざるを得ず、真に残念なことであります。

 そこで教育長にお尋ねします。

 まず、このような国際調査を踏まえ、昨年度実施した本県の子ども達の学力実態調査に基づき懸念される「学力低下」についての県教育委員会としての認識をお聞かせ願います。また、その原因をどのように分析されているのか、現行の学習指導要領に対する見解も踏まえてお答え頂きたい。

 さらに本県では、本年度、四県合同による学力テストが実施され、数日中にはその結果が報告されると聞き及んでいます。本県ではその結果に基づき、どのような施策を展開し学力の向上に取り組んでいかれるのか。緊急且つ重要な課題であります。教育長の真摯なお答えを期待するものであります。

 次に、子どもの読書活動についてです。

 わが会派は、子どもの読書活動の重要性、読書県民運動の展開を提唱し、この県議会で何度も訴えてまいりました。

 子どもにとっての読書は、創造力を豊かにし、強く生きる力を身につけていく上で、欠くことのできないものであり、社会全体でその推進を図っていくことが極めて重要であります。

 このような読書の持つ計り知れない価値を認識して、昨年二月には「福岡県子ども読書推進計画」も策定され、現在、この推進計画に基づき、関係機関・施設・団体等と一体となって、取組が進められていると聞き及んでいます。

 この計画の基本方針の一つに、家庭・地域・学校における子どもの読書活動の推進を図ることがあげられています。確かに何らかの形での実施率だけを見ますと、現在、小学校にあってはほぼ全校で、中学校にあっては九割の学校が十分間読書等の定例的な読書活動を設け、他県に比してその取組は、充実しているようです。それだけに今後は社会教育としての読書運動の一層の展開が求められるところかもしれません。

 しかしながら実施率はともかく、その内容となると学校にはかなりの濃淡があり、単にその実施率だけでは効果のほどは未だ測りがたいものがあると思っています。私はそれだけに、まずは学校教育における読書活動のさらなる充実を図るべきだと考えています。

 そこで、教育長にお伺いします。各学校で積極的に取り組まれてきた読書活動により、どのような成果が上がってきているのか、具体的に説明頂くとともに、質、量ともにさらに高いものを目指していくべきだと考えます。今後どのように取り組んでいかれるのか。そして、今後の課題としての社会教育としての読書活動の展開につないでいくのか、その方針と合わせてお示し下さい。

 最後に、「高等学校教育の充実」についてお尋ねします。

 県立高等学校の再編整備については、平成十一年十二月の基本計画の策定に始まり、平成十二年十二月の第一次実施計画の策定を受け、これに基づく計画の推進が図られてきました。

 この結果、平成十五年度には、青豊高等学校など六校が開校、平成十六年度には、輝翔館中等教育学校など三校が開校いたしました。そして、第一次実施計画の最終年度である平成十七年度には、門司大翔館高等学校など五校が開校することとなっております。

 今後、一部の学区においては、職業系を中心として、第二次実施計画が策定される予定ですが、県立高等学校教育全体の大きなフレームづくりについては、おおよそ完成したというのが、県教委の認識のようです。

 しかしながら、フレームづくりが完成したからといって、それで終わりではありません。当然のことながら「高校教育の充実」が図られなければ、高校再編が完成したとはいえないのであります。いわば、その中身こそが重要なのです。

 目的意識も明確でないまま高校に入学して、意義を見出せないままに卒業してしまう生徒達。とりわけフリーターの大幅な増加や進学も就職もしない二ートの問題、さらには早期離職の問題など青少年を巡つては、新たな課題も指摘されています。豊かな人間性の育成を目指した生徒指導の充実、そして望ましい勤労観・職業観の育成や社会奉仕の精神の洒養等に向けた様々な教育活動を展開すべきであります。

 高校教育は就職・進学のいずれを目指す生徒にとっても人生の岐路を定める大切な場です。生徒が高校生活を送る中で、様々な体験や学習を行いながら、自らの将来・進路を見出し、その目的に向かって精一杯努力できる取組を整備することが大切だと思います。

 そこで、教育長にお尋ねします。生徒に自己の将来についてのしっかりとした展望を持たせ、高校生活をさらに充実させるために、どのような施策を実施され、今後、どのように展開されるのでしょうか、お聞かせください。
 

(教育長答弁)


 学校の安全対策について

 寝屋川市の小学校で起きた教職員殺傷は、誠に痛ましい事件であり、学校の安全対策の難しさを痛感しております。
 これまでも各学校においては、様々な安全対策を講じているところですが、今後、学校の安全管理マニュアルの再点検を促すとともに、地域や関係機関の協力を得て、ボランティアを活用した日常的な防犯体制の整備・充実を図ってまいります。また、緊急時の対応についても、警察との連携を一層推進するなど、学校、家庭、地域、警察等が一体となった安全対策の更なる充実に向けて指導してまいります。


 道徳教育の重要性と学校での指導について

 昨今の児童生徒を取り巻く現状を顧みる時、人としての生き方や感性を醸成することが必要であり、道徳的価値を実感させ、具体的な行為につながる、効果的で、実効性をもった道徳教育が求められております。特に、夢や希望を持って生きることや命の大切さの指導、日常生活における基本的なマナー等を育てることが大切であると考えております。
 各学校においては、道徳の時間を中心に全教育活動を通して指導しておりますが、特に、望ましい行為を実践できるよう、体験活動等を通した具体的な指導を、PTAや地域とも連携しながら、重視して参りたいと考えております。



 心のノートの活用状況及び成果について

 心のノートは、児童生徒が手元において日常的に活用し、自分の行為や考えを振り返ったり、身の周りのことと関連させて、主体的に道徳性を身につけることができる教材であります。
 本年度の活用状況調査では、約半数の学級で自主的、日常的に活用する児童生徒がみられ、心のノートが目指している日常的な活用が、徐々に定着してきていると考えております。
 また、道徳の指導計画に位置づけて指導している学校が約八割であります。授業での学級当たりの指導回数は、小学校で五・六回、中学校で三・五回であり、今後とも家庭とも連携しながら、活用の拡大、浸透に努めて参ります



 学力低下に対する認識について

 OECD等による国際的な学習到達度調査の結果によりますと、我が国の学力は、国際的に見て上位にありますが、数学的なリテラシーや読解力が前回より低下するなど、トップレベルにあるとは言えない状況であり、児童生徒の学習意欲の低さや家庭学習時間の短さも含めて、大きな課題として指摘されています。
 平成十五年に実施した本県学力実態調査の学習状況調査でも、理科や社会の定着度、学習意欲や家庭の学習時間に関しては国際調査と同様の結果を得ているところであり、今後の学力向上の取組の課題であると認識しております。



 学力低下の原因と学習指導要領に対する見解について

 学力低下の原因には、家庭や地域の変化など様々な社会的な要因がありますが、学校教育においては、児童生徒の個性や能力に応じたきめ細かな指導や学習習慣・学ぶ意欲に関する指導等において不十分さがあると判断しております。
 なお、現行の学習指導要領のねらいは、指導内容の厳選等によって、「基礎基本の確実な定着」と「自ら学び、考える力等」を調和をもって育成しようとするものであります。しかしながら、その達成状況や必要な手だてについて課題があるとの認識のもと、現在、中央教育審議会にて見直しが行われていると考えております。



 今後の学力向上の取組について

 学力向上には、各学校において児童生徒の正確な学力の実態把握に基づく、日常的な指導の充実が必要であります。
 具体的には、学校の組織的な取組が重要であり、適正な指導計画や少人数・習熟度別指導等を行う指導体制の整備、小中学校の一貫した指導等が肝要であります。また、学習習慣や家庭学習・放課後学習等の推進も大切であります。
 県としましては、学力向上施策を全県的に推進する学力向上推進会議等を設置し、教職員の指導力の育成や学校・地域の課題に応じた学力向上の取組を、校長会や教科等研究会と連携して行う考えであります。



 学校における読書活動の成果について

 読書活動は、これまでの実態調査によりますと、小学校の九十九%、中学校の九十三%の学校で取り組まれております。成果としては、読書に対する意欲が高まるとともに、感動する心の高まりや思いやりの心の育成など、情操面での成果をあげる学校が数多く見られます。また、学校全体の落ち着きがみられたり、家庭での親子のコミュニケーションが活性化したりするなどの成果も報告されております。
 県教育委員会としましては、今後も児童生徒の読書活動の質が一層充実されるよう、読み聞かせの活動や読書発表会、児童生徒に読ませたい本の紹介など、市町村教育委員会や校長会等を通じて働きかけて参る所存であります。


 社会教育としての読書活動の展開について

 市町村においては、図書館等での子ども向け図書の充実や子ども読書コーナーの設置、読書ボランティアの活用等により、地域における子どもの読書活動を推進するとともに、乳幼児検診時やPTA研修会等において、家庭での読書の意義や必要性についての理解促進が図られているところです。 
 県教育委員会では、学校や地域でのこうした取組を支援するため、教職員も含めた関係職員の資質向上を図る研修や読書ボランティアの養成・学校派遣、読書の重要性の啓発等を行っております。今後とも、学校、家庭、地域が一体となった子どもの読書活動の推進に努めて参りたいと考えております。


 県立高等学校教育の充実について

 高校教育は、生徒一人一人の個性に応じて、将来の進路を決定していく重要な時期であります。
 このため、現在インターンシップや社会人講師による授業、高大連携の取組み等、生徒が社会の実態に触れ、自己の将来への展望を見出していくための取組みを行ってきたところです。
 今後はこのような取組をさらに進めるとともに、地域や学校の実情を踏まえつつ、高校三年間を通じて組織的・体系的に実施するための教育システムの一層の充実に努めて参りたいと考えております。
 

 

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