トップ > 政治トピックス > 自民党県議団代表質問
 
   自民党県議団 代表質問 平成16年12月7日(火)   

   12月1日(水)に開会した12月議会は7日(火)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

 


      自民党県議団質問内容
 

 まず最初に、地方にとって最大の関心事であった三位一体改革問題についてただしておきます。

 先月の二十六日、地方税財政をめぐる今後二年間の三位一体改革の全体像が政府与党でとりまとめられましたが、この全体像をみますと、地方から提言した国庫補助負担金の廃止案を真摯に受け止め、地方が納得できるものになっているのか、本県議会でも真摯な議論が必要です。

 まず、最大の争点となっていた義務教育費国庫負担金については、削減額だけを決めて制度の中身は決まらず、結論は来年秋まで先延ばしとなっています。
 また、地方が強く反対していた補助負担率の引き下げについては、生活保護や児童手当の見直しは来年まで見送られたものの、国民健康保険などについて都道府県への負担転嫁が行われようとしています。

 さらに、地方が大変心配していた地方交付税については、平成十七年度、十八年度は必要な行政課題に対して適切に財源措置を行うこととされましたが、その額は今後総務、財務省間で検討することとされ、さらに将来の姿は依然として不透明で、いつ何時大幅な削減がなされないとも限らないのであります。

 税源移譲については、本年度に所得譲与税や税源移譲予定交付金として措置済み額の六千五百六十億円を含め、概ね三兆円規模を目指すことになっています。
 その受け皿として個人住民税の拡充とフラット化によるとの具体像が明言され、これが基本方針のように聞いていますが、その具体的な全体像もやはりこれからの課題になっています。

 地方が国政に参加し一体となってとりまとめたこれまでの努力には、一定の評価をすべきでしょうが、同時に残された課題は数多く、これで地方の真剣な要請に応えたことになるのか、合格点にはほど遠く、将来に不安が残る内容というのが、地方全体の率直な感想ではないでしょうか。

 そこでまず、今回の政府与党の決着をどのように評価されているのか、とりわけ、国保財政への負担転嫁などが地方財政にどう影響するのかも含め、忌憚のない知事の見解を明らかにして頂きたい。

 また、今回の改革が、本県財政にどのような影響を与えることになるのか、新年度の県予算編成方針を示して頂くとともに、とりあえず来年度予算編成への影響をお聞きし、また中長期的にどのような財政構造になっていくのか、知事の基本的な見通しと考えをお示し願います。

 併せて、今後の地方財政の改革に向けて、どのような点が課題として浮上するのか、その見通しをお聞きするとともに、それにどのように対応されていくのか、知事の政治家としての戦略をお尋ねします。

 なお、今回の決着に至るまでの経緯を見ておりますと、国の財政当局の姿勢には極めて問題が多いといえます。地方の実態を肌身で経験したこともない官僚が、投資的経費をすべて無駄なその他の行政経費に「使い回し」されているなどと、品性を感じさせぬ表現をしたり、また、一般の行政経費についても十分な地方財政措置をせぬまま、大幅な地方交付税の削減論を展開、ひいては地方自治そのものを否定するような結論を導こうとしてきたことであります。


 我が会派は、以前、財界・経済界に対し、地方行財政の実情を理解してもらうため、知事自ら積極的に接触を図るべきことを指摘しましたが、今後は、国の財政当局に対しても、厳しく対応されるよう要請し、このことについての知事の所見と姿勢をお尋ねしておきます。

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)

 1.三位一体改革
 政府・与党による三位一体改革の全体像に対する評価について


 税源移譲につきましては、概ね三兆円規模の本格的な税源移譲の実現に向けた方向性が示されたことは、一歩前進と受け止めております。
国庫補助負担金改革につきましては、義務教育費国庫負担金の削減内容等については結論が先送りされており、今後、地方分権の趣旨に沿った改革になるか見極めていく必要があると考えております。
特に国民健康保険における都道府県負担の導入が唐突に盛り込まれたことは遺憾なことであります。制度の詳細については不明な部分も多く、地方財政への影響についても現時点では見込み難いところでありますが、できるだけ都道府県の自主性が発揮できるような制度としていくべきであると考えております。
地方交付税については、地方団体の安定的な財政運営のため、一方的な削減は回避されることとなりましたが、具体的な内容は今後決定されることとなっております。
全体として不明確な部分が多く、現時点では的確に評価することは困難でありますが、いずれにしましても、未確定の部分が、真の地方分権に資する改革となるよう、地方六団体と連携を図りつつ、一層の努力をしてまいる考えであります。
 

 今回の三位一体改革が本県財政に与える影響と来年度の予算編成方針について

 今回の全体像では、どの国庫補助負担金が廃止されるのか、県と市町村にどのように税源移譲額が配分されるのか、また、地方交付税の総額がどうなるのかなど不明確な部分が多くあります。
このため、本県財政に与える影響につきましては、現時点では、判断はできないと考えております。
  来年度の予算編成につきましては、廃止の対象となる国庫補助負担金が明らかになり次第、本県の実情を踏まえた効率的、効果的な事業の再構築等に取り組んでいく必要があると考えております。
  また、中長期的な観点からは、国・地方双方が納得できる形で地方財政全体の歳出削減に引き続き努めることとされており、本県においても、今後とも財政構造の健全化に向けた取り組みを継続していく必要があると考えております
 

 今後の地方財政の改革に向けた課題について

 今回の全体像において結論が先送りされた義務教育費国庫負担金の削減内容や生活保護負担金の取扱い等については、今後、地方六団体の案に沿った改革となるよう国に働きかけていく必要があると考えております。
  また、地方六団体の改革案においても提言しているとおり、真の地方分権の確立に向けて、今回の平成十八年度までの改革のみならず、平成十九年度以降についても改革が継続されるよう、今後とも地方六団体の結束を図りながら、一層の努力をしてまいる必要があると考えております。 
 

 国の財政当局への働きかけについて

 財務省からは、二年間で七.八兆円の地方交付税等の一方的かつ大幅な削減の提案がありました。
これに対し、本県において開催された「真の三位一体改革の実現に向けた総決起福岡大会」や全国レベルでの「地方分権推進総決起大会」において、提案の撤回を求める緊急決議を行い、財政当局へ強く働きかけを行いました。
その結果、今回の全体像では、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額が確保されることとなったところであります。
また、地方六団体の要請に基づき、財務大臣もメンバーとして、国と地方が対等の立場で協議を行う「国と地方の協議の場」が設けられました。この協議の場などを通じて、今後とも財務省の一方的な交付税削減案を跳ね返していく必要があると考えております。
 

 

 それではこれより県政の主要課題についてただしたいと思います。

 まず最初に、今後の景気見通し、税収見通しについてであります。
 最近の県内経済情勢をみますと、これまで自動車産業は高水準の操業で推移し、またIT産業などを中心に企業の設備投資が増加するなど、景気の回復基調が続いてきました。
 しかし、政府が先に発表した今年七〜九月期GDP速報値は、いづれも低い伸びにとどまり、四〜六月以降の景気の減速化傾向が一段と鮮明になりました
 こうしたなか、知事は九月議会において、景気が回復基調にあるので今年度の税収については当初予算を上回る、と明るい見通しを示されていました。
 そこで、先般のGDP速報値などを踏まえて県内の経済・景気動向をどのように見ているのか、これまでの経済見通しの基調に変化がないのか、まずお聞きします。

 また、本年度税収について、現時点でどの程度の税収を見込んでいるのか、主な税目別に増収額やその理由を具体的にお聞きします。
 また、先の決算特別委員会でも種々論議されましたが、今日までの間、県税収入をはじめとし、歳入として本来県に入るべき収入にどれくらいの未済額があるのか、また、それに対して今後どのように取り組んでいくのか、この際、改めてお聞きしておきます。






 次に、先に公表された二百億円の緊急改革措置についてであります。
 この緊急改革措置については、この十二月県議会に先立って集中的に開催された決算特別委員会でも、主要なテーマの一つでありましたので、重複は避け、いくつかの重要論点についてただしておきます。
 その第一は、なぜ二百億円か、その根拠についての改めての疑問であります。
 これまでの説明では、中期収支見通しの見直しに基づく基金残高二百八十三億円と同程度の水準を維持するために、どうしても必要となる措置額だとされています。
 しかしながら、財政構造改革プランそのものについては、その見直しを否定されているのですから、これらの数字はあくまで試算にすぎず、なんらオーソライズされていないことは明らかです。
 にもかかわらず、なぜ二百億円に結びつくのか。先の九月議会では、「将来を見通した安定的な財政運営を図っていくためには不可欠なもの」とも答弁されています。一体どのような数字的根拠でいわれているのでしょうか。
 そこで、再度お尋ねします。
 二百億円の根拠となった、この三月の収支見通しの見直し試算は、実質的には財革プランの見直しと位置づけられていると理解していいのでしょうか。ではないとするのであれば、改めて二百億円について納得のいく説明を願います。

 次に、改革措置に盛り込まれた人件費の抑制策についてであります。
 わたしたちの会派は、六月の代表質問においてこの問題を取り上げ、単なる臨時カットだけでなく現業職員の給与水準の是正、給料表の運用改善など、恒久的な人件費対策を指摘してきました。
 しかしながら、緊急改革措置で提案されている人件費抑制策は給与の二%カットにとどまっています。知事自身が答弁で、その数字を明らかにされた国と比べての百二十五・三%というプラス指数が驚くべき高水準にある本県現業職員の給与については、どのように取り組まれるのでしょうか。
 また、係長職員の全職員に占める割合が高いことについては、役付け職員の割合が全国平均以下であるため問題はないかのごとき見解も示されていましたが、それで済まされるような問題でしょうか。改めて対策について見解をお示し願います。



 また、現在、知事は能力・業績を反映した人事給与システムの確立に向けて試行を行っていることを明らかにされていますが、このシステムと職員のほとんどがほぼ歩調を合わせて係長級に昇進する現在の人事運用とは、どのように整合するのでしょうか、矛盾がないのか説明願います。


 併せて、懸案となっている職員の退職手当に係る特別昇給の廃止については、一応の方針を明らかにしていますが、いつどのような方式で廃止されるのかもご説明願います。


 また、ヤミ給与との批判にもつながりかねない県職員互助会への県費補助金についてであります。見直しを明らかにされていますが、どのような内容となっているのか、ここに説明を求めておきます。

 本県の景気の現状と今後の見通しについて

 七〜九月期のGDPは輸出の鈍化などにより低い伸びにとどまっておりますが、本県では、同期の輸出通関実績額が過去最高となるなど、中国をはじめとするアジア向けを中心に輸出が増加しております。また、北米向け自動車など生産も増加基調が続いております。
今後につきましては、米国、中国など本県の主要輸出国が急激に景気減速する可能性は少なく、輸出や生産が堅調に推移するものと見込まれており、景気回復の基調は続くものと考えております。     
しかしながら、このところの円高ドル安が長期化すれば、景気に悪影響を及ぼすことから、その動向には十分留意する必要があると考えております。
 

 本年度の税収見通しについて

 本年度の十月末現在の実績については、景気 の回復を反映して、主力の法人事業税が好調で あることなどから、昨年度と比較して全体で約 一〇五%となっております。
本年度の税収見通しにつきましては、自動車 税がグリーン化税制の影響等により減収となる ものの、現在の景気動向が続くことを前提にい たしますと、法人事業税が大きく増収となる見 通しであること等から、全体で当初予算を約百 億円程度は上回る税収を確保できるものと考え ております。
 

 収入未済解消に向けた取り組みについて

 平成十五年度決算における収入未済額は、県税で二百一億円、税以外で六十六億円、合わせて二百六十七億円余となっております。特に、税外収入においては、貸付先の経済状況の悪化等により、未済額が増える状況にあります。
  県税につきましては、積極的な差し押さえや休日の訪問催告など徴収強化の取り組みを行うことにより、未済額の縮減に努めております。
  税外収入につきましては、先に述べたようなことを踏まえ、先月、収入未済の解消に取り組むための推進会議を設け、全庁的な対応を図ることとしたものであります。

2.緊急改革措置

 二百億円の新たな改革措置について

 平成十八年度までの財政構造改革プランの目標に少しでも近づけるとともに、平成十九年度以降においても予算を安定的に編成することができるようにするためには、平成十八年度末に約三百億円程度の基金残高を確保することが必要であるという観点から、二百億円程度の新たな改革措置としているところであります。

 現業職員の給与について

 現業職員の給与水準につきましては、他の都道府県と比較致しましても、全国二十一位と平均的な水準にあるものと考えております。
 人件費の抑制策としては、施設管理業務や公用車運転業務のアウトソーシングなどにより、現業職員の適正配置を進め、積極的に削減に努めてまいる考えであります。

 係長級職員の割合が高いことについて

 本県の係長級職員の割合は、全国平均より若干高くなっていますが、補佐級以上では低く、全体として役付職員の割合は全国平均以下となっております。
職員の昇任については、今後も、職員の能力、経歴、勤務実績等を総合的に判断して、厳正に実施してまいります。

 人事給与システムの確立と係長級への昇進に ついて

 業績等が適切に反映される新たな人事給与制度については、現在、その運用の基礎となる公正で多角的な人事評価制度を確立するため、モデル所属を選定して、評価手続や評価項目、評価基準等の具体的な検討を行っているところであります。
 職員の係長級への昇任につきましては、能力、経歴、勤務実績等を総合的に判断して厳正に実施しているところですが、新たな評価制度の導入によって、さらに精度を高めることができるよう、検討を進めてまいりたいと考えます。
 

 退職時の特別昇給について

 退職時の特別昇給につきましては、今年度内廃止に向け、現在、関係者と協議を進めております。
 

 県職員互助会への補助金について

 県職員互助会事業につきましては、県が使用者として行う職員の福利厚生の一環として実施しておりますが、その事業内容につきましては、社会的な妥当性も必要とされることから、事業全般にわたり見直しを行っているところであります。
御指摘を受けておりました選択制助成事業は、ゴルフやレジャー施設利用助成などの対象メニューを廃止し、事業規模も現行の3分の2程度に縮小することとしております。
  また、事業の見直しに伴い、県費補助金につきましても削減してまいります。 
  見直し結果につきましては、十七年度から実施することといたします。
 

 

  次に県税事務所の再編についてお尋ねします。
 知事は六月議会におけるわが会派の厳しい指摘を踏まえて、このたび県下十四ある県税事務所を二つ減らし、来年度から十二に再編する方針を明らかにし、今議会に条例案を提案されました。

 今回の再編案は、平成十四年二月に策定された第一次行政システム改革大綱に基づくもので、この県税事務所再編については、ワンストップ県庁の第一歩とした生活支援の地域拠点づくりに位置づけられ、そこでは出先機関について「先端組織」への転換を図るとされています。
 そこでまず、第一次行政システム改革大綱で打ち出された出先機関の「先端組織」化を目指すために、今回の再編にあたって、どのような具体的配慮を加えられたのかお聞きします。


 次に、出先機関の先端化のためには、職員の意識改革が欠かせないと考えますが、県税職員の意識改革にどのように取り組まれてきたのか説明願います。


 また、この意識改革については、平成十五年三月に「意識改革アクションプラン」を策定し、職員が主体的に改革を進めることとされたはずでありますが、その後どのような取り組みをされてきたのか、このプランの進捗状況と残されている課題について、この際、詳しい報告を求めたいと思います。従いまして、この件につきましては担当の総務部長に説明を求めます。
 

 

 



 次に、県税事務所の再編については、第一次行政システム改革大綱では、「税務事務のIT化が進行するなか、事務の効率化を図るため、地域間の均衡や地理的条件を考慮して適正な配置を検討し、全体として事務所数を減少させる方針で再編を行う」とされていました。

 そこで、当時多くが、県庁の構造改革を大胆に進めていこうとする知事の意欲に深い関心を寄せていたと聞いていましたが、このたびの条例案では、十四が十二と二つ減るだけであり、もっと大胆な見直しが出来たのではないかという気もします。
 そこで、今回の結論に至った検討経過について明らかにして頂きたいと思います。






 また、従来から各地に納税相談所のような小さな窓口組織を設けられていましたが、今回の再編でどう扱われるのか。過去における支所統廃合に伴った際の臨時・暫定的だったと聞いていますので、今回の改革で当然、廃止されるべきと考えますが、見解をお聞きしておきます。


 更に、今回の再編に伴う職員定数の削減については、「徴収部門については重点的に職員を配置しながら、全体として職員を削減する」とあります。具体的に、どの程度の削減を計画しているのか、また、それによりどの程度の財政負担の軽減につながるのか、明快にお示し願います。


 

 さて、今地方税制度も大きな転換点にあります。三位一体改革の一環として所得税から個人住民税への税源移譲が進められているのをはじめ、本年度からは事業税の外形標準課税が導入されました。
 更に拡充される個人住民税の徴収を確保するために、市町村が基本的に賦課徴収し、都道府県がこれを補完する仕組みの現行制度を見直し、都道府県の徴収権限を強化する制度改正が検討されているとも聞いています。
 このたびの再編が、こうした新しい動向に的確に対応できるのかどうか、何ら説明が行われていません。
 そこで、今指摘した諸課題について、組織・人員の面などから、どのような考慮が払われているのか、最後にわかりやすい説明を求めておきます。
 

 3.県税事務所の再編成など
 再編にあたり、県税事務所の先端組織化を目 指すための具体的配慮について


 県税事務所の再編におきましては、滞納件数 の八割を占める自動車税対策において、収入未 済の圧縮を図るために、課税から徴収までの一 貫した専任体制を設けることや、新たに導入さ れました外形標準課税に係る調査を的確に実施 するため県税を指導する役割を持つ中心的事務 所を設置するなどの対応を図っております。
  これらのことにより、県税事務所の専門性が 高められ、円滑、的確に業務が遂行されるとと もに十分な県民サービスが提供できるよう努め て参ります。
 

 県税職員の意識改革について

 厳しい財政状況の中、税収確保にあたっては 県税事務所ごとに独自の計画を作成し、地域の 傾向や特殊性を踏まえながら夜間徴収などに取 り組んでおります。また、悪質な事案等に対し ては、県税事務所間において自主的な連携を図 り強制捜索などに計画的に取り組むなど、自主 的で組織的な取組みを通して職員の意識改革を 図っているところです。
  今回の再編を契機に、今後は県税事務所間の 連携強化や県税事務所の独自の取組みについて 更に努めて参ります。
 

 「意識改革アクションプラン」の進捗状況と課題について

 「意識改革アクションプラン」は、職員の自己改革を進め、職場風土の改革を進めるための行動計画として、職員提案の活性化、意識改革ビジョンの共有、意識改革運動及び職員研修の充実・強化の4つを柱に策定しております。これまでに職員からの提案を実現しやすくするための予算措置、意識改革フォーラムの実施、職員が直接出向いて県の施策などについて説明を行う県政出前講座の実施、政策形成能力を強化するための研修の見直しなどに着手し、概ねプランに沿った意識改革の取組を進めております。
今後は、この意識改革運動を職員一人ひとりの取組として浸透させていくよう一層努力してまいりたいと考えております。
 

 再編の検討経過について

 再編にあたりましては、県民サービスの格差 を是正するとともに、課税事務を一定の事務所 に集中するなどの執行体制の効率化や危機的な 財政状況の中、徴収機能の強化を図ることとし ており、統合にあたっては、県民の利便性が低 下しないように最大限配慮することなどに留意 したところであります。
 その結果、従来どおり課税と徴収の機能を持 つ事務所を八つ、徴収機能に特化した事務所を 四つ、全体として事務所数を、十二としたもの であります。
 

 県税相談窓口について

 県税相談窓口につきましては、県民の利便性 に配慮して設置しているもので、非常勤嘱託の 相談員が申告書の受付等を行っております。
 今回の再編によって三つの県税事務所を廃止 することに加えて、この相談窓口を廃止した場 合には、県民の利便性の低下が懸念されること から、存続させることとしております。
 今後、県税事務所の再編の定着状況等を踏ま えながら、県税相談窓口のあり方について引き 続き検討して参りたいと考えております。
 

 職員定数の削減について

 職員定数につきましては、事務所数の削減や 事務の効率化などを踏まえて、適正な配置を勘 案し、削減に努めてまいります。
 

 外形標準課税等への対応について

 法人事業税の外形標準課税につきましては、 来年度から県独自の調査を的確に実施する必要 があることから、調査対象法人が集中している 福岡地区に新たに設置する博多県税事務所に、 外形標準課税の中心的事務所としての役割を持 たせることとしております。
また、個人県民税を県が例外的に直接徴収す る場合の要件については、緩和する方向で現在 検討されていると聞いておりますが、今後、法 改正の内容も踏まえながら、個人県民税の有効 な徴収対策として、直接徴収を検討して参りた いと考えております。
 

 次に、県立病院改革についてお聞きします。
 来年四月を目標とした三病院の民営化がいよいよ目の前に迫って参りましたが、今回の県立病院改革の最大の課題は地域医療の確保と職員対策であると考えられます。

 そのためにも医師をはじめとした専門家の確保が不可欠であり、特に院長、総婦長等の幹部職員が早期に決定され指導体制が整う必要があると考えます。

 今回の民営化の相手先である三団体では、どのような準備状況であるのか、まず、お伺いいたします。また、そのためには県も積極的に準備のための支援協力をしていく必要があると考えますが、現在どのような形で協力されているのか具体的にお答えください。


 職員対策については、先の九月議会で、順次、職員の意向調査やヒアリングを進めている旨の答弁がありました。
 今回の病院改革が順調に進むかどうかは、この勧奨退職にどのくらいの人数の職員が応じてくれるかに懸かっているといっても過言ではありません。
 六月議会で、看護師については民営化される三病院の二百五十五名の半数程度を目安とすると答弁されています。現状でどの程度の退職者を見込まれているのか、職員全体についてはどのように推移しそうな見通しなっているのか、また、その場合にどのくらいの人数の職員が出向することになるのか、お答えください。


 さらに今回の補正予算では、この勧奨退職に関連した予算が計上されていませんが、勧奨退職に伴う退職金の総額はどの位になると考えられているのか、どのような理由で本議会に計上されていないのでしょうか。




 県は、民営化を進めるにあたって、相手先と十一月に基本協定、三月に契約を結ぶというスケジュールを表明されています。すでに、十二月に入っておりますが、この基本協定は結ばれているでしょうか。
 仮に結ばれているのならば、その内容について、わかりやすく説明をお願いします。
 以上、県立病院改革の進行状況について具体的な質問をいたしました。
 来年四月は目の前です。気を緩めることなく準備を進められるよう強く要望します。
 

 移譲先等での準備状況と県の協力について 
 
 県立病院改革は、県が進めております行財政改革の中で最も重要な柱であり、来年四月の円滑な移譲等の実施に向けて鋭意取り組んでおります。
移譲先等においては、準備室の設置や専任職員の増員により、引き継ぎに向けた体制を整備するとともに、既に新病院の院長や総看護長などの幹部職員の内定や県職員の受入についての協議なども大方終え、現在、医療関係職の採用が進められているところであります。
 また、県におきましても、病院ごとの引継事項を相手先に提示し、相互に緊密な連携を図りながら、具体的な準備作業を進めているところであります。



 勧奨退職者及び出向職員の見込みについて
 
 今回の県立病院改革に伴う勧奨退職者数につきましては、他の医療機関への再就職希望者の去就など、今後も変動するものと考えておりますが、総数で概ね二百二十名から二百三十名程度を想定しております。
このうち、最も職員数が多い看護職につきましては、概ね百八十名から百九十名程度の退職を見込んでおります。
 また、出向職員につきましては、総数で六十名程度、このうち、看護職は五十名程度を見込んでおります。


 退職手当の総額及び予算措置について

 退職手当の総額につきましては、現時点での退職見込者数によると四十億円前後となるものと想定しております。
 なお、退職手当の予算措置につきましては、来年一月中には退職者数もほぼ確定することから、二月議会での補正により対応して参りたいと考えております。



 基本協定の内容について
 
 移譲先及び指定管理者とは、先般、基本協定を締結したところであります。
  移譲先との協定では、医療機能の維持向上や
資産の譲渡、県からの財政支援などの基本的事項の他、再就職者と出向職員の概数、資産の用途指定(病院事業の用途)について定めております。
なお、施設・設備整備費の補助では、施設の改築等や医療機器等の購入に対し二十億円を限度とする補助を、また、運営費の補助では、移譲先に経常損失が生じた場合について、その一部を補助することとし、現在この内容について詰めを行っているところであります。
また、指定管理者につきましては、医療機能の充実をはじめ太宰府病院の管理に関する基本的な事項や再就職者と出向職員の概数を定めております。


 

 
 次に農政問題、なかでも中山間地域農業の活性化を中心に、いくつか質問いたします。

  「文化は峠から下りてきた」と言った人がいますが、中山間地域は、まさに、我が国文化のルーツとも言える地域であると思います。農村文化の代表とも言える「神楽」にしても、中山間地域で生まれ育ったものではないでしょうか。
 その豊かなはずの中山間地域が、いつの頃からか、条件不利地域という暗いイメージで語られるようになってから、既に久しいものがあります。

 実際、本県の中山間地域をみても、農家戸数や耕地面積はそれぞれ二十五パーセント、二十四パーセントと県全体の四分の一を占めているにも関わらず、農業産出額は二十パーセントと平坦地域に比べて生産性は低くなっております。逆に、耕作放棄地は過去十年の間に、六百三十三ヘクタールと平坦地域の二百六十九ヘクタールの二倍以上が増加しております。

 一方、県内の農地の改廃状況を見てみますと、ここ十年の間に六千ヘクタール以上が転用されておりますが、そのうち五千ヘクタール以上が平坦地域で転用されております。このままでは、最後まで農地が残るのは条件不利地域と言われる中山間地域しかないのでは、との危惧すらおぼえるものであります。
 そうであるならば、中山間地域の農業振興こそが本県農政の中心となってしかるべきだと考えますが、知事は一体どのように考えておられるのでしょうか、その認識をまずお示し願います。
 また、条件不利地域というイメージが常に漂う「中山間地域」という呼び名を、今後活性化を図るべき地域である、とはっきりわかるよう、県独自ででも言い換え、全国に発信すべきであります。併せてお答え下さい。

 次に、中山間地域を活性化させるためには、農林業の振興が不可欠であり、中でも、立地条件を生かした棚田米などおいしい米作りをもっと進めるべきと考えますが、県はそのための方策をどのように講じているのでしょうか。

 さらに、中山間地域は、農業生産以外での収入の道を確保することも考えなくてはいけないと思います。棚田や地域特産物、農業体験など農業そのものを観光資源とするグリーンツーリズムも一つの方法であると考えますが、県が策定している農業・農村振興基本計画の中では、県の推進姿勢がよく見えてきません。知事は、グリーンツーリズムをどのように推進していこうと考えているのでしようか。方針をお示し願います。

 中山間地域関係の最後になりますが、中山間地域等直接支払制度についてであります。この制度は、中山間地域の農業生産維持を目的に、平成十二年度から国の制度として実施されており、わが会派としても大いに評価をしているものであります。本年度が最終年度と聞いておりますが、制度継続の見通しと、国への働きかけについて、県はどのように行ってきたのでしょうか。

 次に、先の九月議会において、わが会派は、こうした直接支払いの制度を環境保全を目的としたものに特化して県独自での導入を質したところであります。来年度からでも実施する考えはないか。あらためて知事の考えをお伺いしたい。

 農政問題の最後に、園芸振興について再度ただしておきます。
 本年六月の議会において、わが会派は、平成四年度から予算措置されている高収益型園芸農業振興事業の成果について種々議論し、事業のさらなる継続について、知事の考えを質したところであります。
 農家は未だ、本年度で事業がなくなると心配しているやに聞いております。今年のような異常とも言える、相次いだ台風被害で農家は元気をなくしております。来年度以降の実施について、知事はもちろん前向きだと判断しておりますが、この際、農家を元気づける意味でも、来年度以降の高収益型園芸事業の実施について、知事の明快な答弁をお願いし、農政問題を終わります。
 

 

 中山間地域の位置づけと呼称について

 中山間地域においては、農業が地域経済を支える重要な基幹産業であり、県土の均衡ある発展を図る上でも、中山間地域農業の振興は農政の重要な課題であると考えています。
今後とも、お茶など付加価値の高い農業の支援、集落内道路や水路、立地条件に応じた圃場整備など、総合的な対策を実施して参ります。
なお、「中山間地域」という呼称は、地域を表す言葉として定着しておりますが、適切な言い換えが可能かどうか、関係者の意見も聞いて参ります。

 中山間地域のおいしい米づくりについて

 県では、中山間地域に適した、病気に強く、おいしい米の新品種育成に取り組むとともに、狭隘(きょうあい)な水田でも効率的に作業が行えるよう、農業機械の整備を支援しております。
また、本年度からおいしい米が取れる中山間地域と平坦地域との間で、水稲作付面積、百ヘクタールの交換を行い、棚田米などの増産に効果を上げておりますので、今後一層その推進に努めて参ります。

 グリーンツーリズムについて

 グリーンツーリズムは、地域農産物の販売促進はもとより、女性・高齢者の生きがいや意欲の向上につながり、中山間地域の活性化の面から重要でありますので、体験交流施設や農産物直売所の整備、農村への専門家の派遣、情報提供などを推進して参ります。

 中山間地域等直接支払制度継続の見通しと県の対応について

 国では、本制度の実施により、農業生産活動が維持され、耕作放棄の発生防止などが図られたことを踏まえ、継続実施に向けて十七年度予算の概算要求が行われております。
なお、県としましても、集落での話し合いが活発化し、農作業の共同化が進むなど効果が現れていることから、本制度の継続実施を国へ強く働きかけてきたところであります。

 環境直接支払いについて

 農家が行う作業によって、豊かな生態系や美しい風景などが保全されるとして、その対価を支払うことは、県民の理解と合意が必要です。
 県としましては、農業の持つ公益的機能を維持するための直接支払い制度について、県民が納得しうる施策となるよう検討して参ります。


 園芸振興について

 高収益型園芸事業については、大部分の事業実施者において販売金額や所得が伸びるなど、事業の成果は着実に表れており、事業継続の要望も強いものがあります。
このような意欲的な農業者の取り組みを引き続き支援するためには、どのような助成措置が可能なのか、具体的に検討を進めております。

 

 次に水産問題についてお伺いします。
 まず第一点は、漁協合併問題についてであります。
 先に、遠賀郡の漁協が関係者の努力により、晴れて合併にこぎつけられました。本県では、平成九年度に策定した漁協再編構想に基づき、県として積極的に合併をしているようですが、現在も六十四もの漁協が存在し、平成十九年度目標とする八ブロック八漁協構想にはほど遠いような気がしています。
 正組合員百人未満が約六割、職員数三人未満が約半数といった本県の漁協組織の実情は、全国平均に比べても極めて脆弱な状況にあります。
 従って、漁獲量の減少、魚価の低迷、漁業者の高齢化など大変厳しい漁業環境の中にあって、本県が早急に取り組むべき水産行政の最大の課題でもありました。
 現状のままで、果たして目標達成が可能なのかどうか、私どもは大変危惧しています。 そこで、その見通しとともに、現在の取り組みや進捗状況について明確にお示し願います。
 既に他県の一部では一県一漁協体制を推進・構築し、先へ先へと進んでいます。一日も早く八漁協構想の実現にめどを付け、新たなる目標策定と取り組むべきだと考えますので、見解をお示し願います。
 次に、「全国豊かな海づくり大会」の開催誘致についてであります。
 今年の夏、本県の鐘崎漁港を舞台にしたテレビドラマの放映や、宗像市で開かれた九州漁港大会により、本県水産物をPRするいいきっかけになったようです。
 これを一過性に終わらせることなく、今後ともイベント等を通じて県水産物のPRを図っていくことは、本県の水産振興にとって重要なことであります。
 ちなみに、「全国豊かな海づくり大会」という、水産関係者にとっては極めて注目されているイベントがあります。
 これは、天皇・皇后両陛下をお迎えして開催され、既に海に面した四十都道府県のうち二十四府県で終了し、また、平成十八年の佐賀県開催まで内定している状況だと聞いています。
 本県で、未だ開催されていないことは非常に残念な気がしてなりません。いずれ早晩、本県に開催打診があるのかもしれませんが、国の出方を待つまでもなく、本県独自で誘致に名乗りを上げられたら如何でしょうか。
 第十九回国民文化祭を開催し、当面大きなイベントが予定されていないだけに、是非知事の決断を求めて抱負をお聞きしておきます。。
 さらにこの際、、漁港整備のあり方についてただしておきます。
 漁港や漁場の整備に当たっては、水産資源を持続的に利用できるようにすることはもとより、良好な環境を次世代に継承していく観点から、沿岸域の環境保全や創造が図られるよう事業を推進していく必要があることは論を待ちません。
 また、このことを徹底していくためには、所要の水産土木技術の開発と技術者の育成や、これらの技術者による的確な工事が推進されなければいけないことも又同様であります。
 このためには、海洋工事の発注に際しては、自然環境や水生生物の生息環境に配慮して、施工を管理する施工環境監視者の配置が必要であると考えます。
 ついては、わがふるさと福岡県の海を守るためにも早期実現について強く要望しておきます。

 漁協合併の現状と今後の推進について

 来年四月には、糸島地区三漁協の合併、有明海区では初めてとなる柳川地区三漁協の合併で、六十一漁協となる予定であります。
 また、現在、有明海区においては漁協再編の機運が高まっていることから、地区漁協再編推進協議会を設け、その実現に努めているところであります。
 県といたしましては、今後は、漁協再編構想の実現に向けて最大限の努力をして参ります。









 「全国豊かな海づくり大会」の開催誘致につ いて

 本件につきましては、開催場所、経費の負担、 共同で主催することとなる市町村や水産団体の 同意などの課題でございますので、先催県の状 況を調査するなど、今後、研究してまいりたい と考えております。

 

 次に教育問題に移ります。
 誠に嘆かわしいことでありますが、相も変わらず教員の不祥事や不適格な事例が絶えません。
私は教育とは教師が子供との人格的な交わりを通して成長を導き、かつ促していくことにその本質があると考えています。従って教育で今もっとも緊急に手がけないといけないことは、やはり何といっても教員の資質、意欲の向上であると私は確信しています。
 また、その教師の資質向上で求められていることは、能力や技術にとどまらず、意欲と緊張感だとも考えています。大学新卒の現役では、今やほとんど合格者がいないとまでいわれている厳しい試験で、能力を認められて教員として採用されたはずです。
 にもかかわらず、不祥事を起こす教員は言うに及ばず、いつの間にか、教員としての使命や情熱も薄れて自己研さんを忘れ、毎日の授業を漫然と消化する。
 その一方で校長、教頭など管理職や保護者、教育委員会など行政機関に対する不満と批判だけには情熱を燃やす。こんな事例を見聞きしたことは枚挙にいとまがありません。
 こうした例は能力や技術には長けていても意欲と緊張がかけているからに他ならないと私は考えています。
 しかし、こうした現状を打開するために、意識改革を促しているだけでは「百年河清をまつ」に等しいことでしょう。やはり、教員諸君が意識を変えていかざるを得ないような「システム」をまず作り上げていくことが重要であります。
 こうしたなか、県教委は、平成十八年度の公務員制度改革をにらんで、より広範な政策効果を持つ教員の評価制度を試行中であると聞き及んでいます。
 私はこの教員評価制度の適切かつ早急な立ち上げこそが、現状のぬるま湯的体質を一掃するカギだと考えています。
何故なら、子供のために一生懸命力を尽くしている先生とそうでない先生をきちんと分けて評価し、人事上の適切な処遇をすることこそ、教員一人一人に職務遂行上の意欲と緊張感を持たせ、切磋琢磨を促すと考えているからであります。
 もちろん、評価の活用にあたっては国の法改正や県全体の制度改正と併せて実施すべき事項もあるでしょう。しかし、人事上の処遇などはこうした制度改正を待たずとも県教育委員会独自に実施可能なはずです。要はできるところから着手することが肝要なのではないかと考えています。
そこでお尋ねします。現在試行中の教員評価制度の進捗状況はどうなっているのでしょうか、また、来年度はどのような計画になっているのでしょうか。
 さらに、ことがらの重要性を考えるなら、実施環境の整っている管理職や緊急性の高い新規採用教員については、来年度からでも本格実施に移すべきだと考えるところです。
以上、二点について教育長の明確なる方針を示してください。
 

(教育長答弁)

 教員評価制度について

 教員評価制度については、平成十八年度から の本格実施を目途に、現在県立学校においては 全校で、市町村立学校においては九十七校で、 試行を実施しているところであります。
来年度は、本格実施の前年度に当たり、全校 で試行を実施する必要があると考えており、今 後その準備を進めていくこととしております。
 なお、管理職には評価制度に対する認識を深 めさせる意味で、また、新規採用教員は条件付 採用制度の適正な運用に資する意味で、緊急性 が高いと考えられますので、早期実施に向け、 努力して参ります。
 

 次に警察問題について質します。

 本年三月に、元警察官による告発を端緒として発覚した、捜査報償費の、いわゆる不適正支出について、県警は去る十一月二十二日に調査委員会の調査に基づき、一億七千万円に法定利息を加えた額を返還する方針を明らかにしました。
 八十数名の専従の調査員を配置して、本部と各警察署など八十七組織を対象にし、過去六年間における捜査報償費の執行状況を克明に洗い直した調査結果と対応だと聞いています。また、実際に支払った報償費であっても、その事実の確実な裏付けが取れないものについては、返還額の対象にされている、とも聞いていますので、このことについては勿論、一定の評価をしているところでありますが、課題はまだまだ山のように残されています。


 言うまでもなく、今回の問題の本質が、法の番人であり執行者たる警察が、県民の血税である公金を本来の目的以外に使用し、このことについて県民が強い憤りを感じていること、またそうしたことによって、県警が県民の信頼を著しく欠いたことにあるためです。返還額等を明らかにしたからといって、県警に対する県民の信頼、これが直ちに回復するものではありません。県警が、この問題をどのように捉えているのか、なぜこうした不適正支出という問題が生じたのか、その原因と責任の所在を明らかにし、再発防止に向けて、揺るぎない、確固たる県警の方針を示すことが、今一番、問われていることだと思います。
 従ってまず第一に、今回の問題の責任の所在について、本部長の考えをお聞かせ下さい。


 次に、経理関係で不正があったのであれば、当然処分ということを考えられていると判断しますが、どのような認識を持っておられるのか、お示し願います。





 次に、今回の調査結果と返還額の決定についてであります。このことについては、第三者を加えて調査点検すべきだという強い声もあったところですが、本部長は「具体的な事件捜査に関わることであり、外部が加わっての調査はそぐわない。」として、公安委員会管理の下での厳正な調査にとどめられました。公安委員会から具体的にどのようなチェックを受け、またいかなる指摘がなされたのでしょうか、調査の信頼性に関わる極めて重要なことでありますから、この際詳しく説明願います。








 最後に、いわゆる再発防止と信頼回復についてであります。今後どのような改善策を講じて、図っていこうと考えておられるのか、決意の程も含めて答弁願います。
 

(警察本部長答弁)

 不適正支出問題の責任の所在と処分について

 答弁に先立ちまして一言お詫び申しあげます。
 あらゆる警察活動は、適正な手続きで行わなければならないにもかかわらず、今回、捜査(報償)費の一部について、不適正な会計経理が行われていたことは、まことに遺憾であり、県議会をはじめ、県民の皆様に深くお詫び申し上げます。
 まず、ご質問の不適正経理問題の責任の所在についてお答えいたします。
 今回の問題につきましては、4月20日、捜査(報償)費の不適正執行の中間報告以降、公安委員会による監察の指示と点検を受けながら、私を長とする調査委員会において、厳正な調査を行い、事実の解明に努めてきたところであります。
 その結果、
 ○警察本部の会計課が、捜査(報償)費を交付する際、警察本部の14課から、基本経費として一定額を留保し、これを捜査本部等への激励費等の他、本部長室経費として使用していた。
 ○留保されていた14課は、基本経費の留保額の処理にあたり、一部の執行について、実際の執行額に留保額を加えることにより行われていた。
 という不適正な会計経理が明らかになったものであります。
 複数の所属において、不適正な会計経理が行われていたことは、幹部職員の公金に対する認識の甘さがその主な原因であり、組織全体の責任として強く受け止めているところであります。
 この問題で県民の信頼を著しく失墜したことは、まことに慙愧に耐えないところであり、今回、きちんと清算し、県民の求める治安の回復に組織一丸となって取り組むことを固く決意しているところであります。
 次に、個々の責任と処分につきまして、現在、検討しているところであり、管理監督上の責任、個別の行為に対する責任等を明らかにしてまいりたいと考えております。

 公安委員会の点検について

 次に、公安委員会からどのような点検を受けたかについてでありますが、県民の代表である公安委員会から監察の指示を受け、県警察では厳正な調査を行っているところであり、その履行状況については、これまで点検担当委員から、
 ○調査委員会の構成及び調査方法
 ○銃器対策課の捜査(報償)費の支払い事実の確認方法
 ○全所属に対する調査要領及び警察署における調査員による聴取状況の現場視察
 ○全所属における交際費及び食料費の調査結果
 ○全所属の捜査(報償)費の支払い事実の確認方法
 ○関係所属に対する基本経費の調査状況
などについて九回にわたり、点検を受けているところであります。
 これらの点検にあたりましては、点検担当委員が直接、警察署等に出向いた上で捜査関係書類を確認した他、聴取している状況についても確認するなど、実地の点検を受けているところであります。また、公安委員会に対しましては、調査の進捗状況、点検内容等を、24回にわたり、報告しているところであります。
 また、公安委員会から、これまでの報告や点検の過程におきまして、
 ○厳正な調査により、県民に対する説明責任を果たすこと
 ○捜査(報償)費を個人的に使用した事実がないか徹底した調査を行うこと
さらに、11月18日の公安委員会報告の際には、
 ○本部長以下、調査委員会で行われた調査については、厳正に行われていると承知したが、最終報告に向け、引き続き努力すること
等の指示がなされております。

 今後の改善策について

 最後に、改善策についてでありますが、現在、「会計経理の透明性確保のため」の方策として、
 ○内部監査の充実を図るため、会計課に「財務監査室」を新設し、「監査係」と「指導係」を設置して、体制を強化する。
 ○「会計経理相談窓口」を設置し、職員からの相談等に適切に対応するほか、調査を必要としたものについては、その結果を公安委員会へ報告する。
また、「警察職員に会計経理を理解させるため」の方策として、
 ○新任所属長等の捜査(報償)費に関する教養を実施する。
 ○各種研修会等における会計経理の教養を実施する。
ことなどを検討しているところであります。
 県警察では、これらの改善策を徹底するとともに、一万有余の職員が一丸となって職務に打ち込める体制を確立し、治安と県民の信頼回復に全力で取り組んでまいる所存であります。
 

 さて代表質問の最後となりました。
 先日の新聞報道によりますと、九州国立博物館は、その名称から仮称がとれて、正式に命名されるとともに、開館が来年十月十五日と決定したとありました。
 国に誘致を働き始めてからの年月を考えると、ついにこのときが来たかと、喜びもひとしおであり、また、先人達の御苦労を思うと、非常に感慨深いものがあります。
 ところで、この九州国立博物館の開館を迎えるに当たって、同一敷地内にある九州歴史資料館をどうするのか、我が会派は、文教委員会、国博調査特別委員会において、何度も指摘してきたところであります。
 これに対し執行部は、九歴の検討委員会を設置して、移転も視野に入れ、将来の在り方を早期に検討をするとの答弁を過去にされております。そして、この十月末には、その最終報告が県教委に提出されたと聞いています。その報告書では「現在地から移転し、新たな場所でのすみやかな整備が必要である。」と結論づけられています。
 九州国立博物館の開館も目前に迫っており、県としてはこの報告を受けて、早急に対応する必要があるかと思いますが、移転するにしても土地の確保や新たな建物の建設が必要になるわけであります。
 もちろん、福岡県の財政事情が現在大変厳しい状況にあり、新たな施設の建設に取り組むにも容易でないことは十分承知していますが、一方では、太宰府跡、大野城跡など、全国的にも貴重で有数な史跡を抱える本県の施設として、今後五十年、六十年先を見越した、他県に誇れるものを造ってほしいとも、願うものです。
 そこで、知事は、国立博物館の名称が正式決定し、また、開館日もあと十カ月ほどに迫ったこのときに、今後、この問題にどのような対応をされようとしているのか、取り組む決意をお聞かせ下さい。
さらにこの九州歴史資料館をどうするかの問題は、本県にとってやはり大きな課題となっている「公文書館」の建設とも深いかかわりを持ってくると思っています。
 ご承知のように全国では既に都道府県の約六割がこの公文書館を建設し、図書館、博物館とあわせ、それぞれ独自の性質を持つ施設の機能が相まって、いうならば三位一体により、文化遺産の保存と活用が図られているところであります。
 しかしながら本県では平成九年六月の県議会でわが党がこの問題についてただしたのに対し知事が「他の施設との併設も含めて検討していく」とその大まかな方針を示されて以来、なんら事態の進展がみられていません。
 知事答弁以来、既に七年半、さらにいうならばこうした知事の方針開示ともなっているともみられる懇話会の提言からすれば既に十一年の年月が経過しています。
 この間、昭和五十五年から始まった県史編さん事業が平成十四年度には中断され、現在、資料の収集と整備だけが続けられていますが、そこに集められている歴史的史・資料だけでも一体どのくらいになっているのか、承知されているのでしょうか。
 実に十万点に及ぶと聞いています。これらの史資料は西日本文化協会事務局で保存されているのでありますが、ビルの一室ですから温度管理もままならず関係者は史資料の風化をとくに心配されています。
 九歴将来構想委員会から時あたかも報告書が提出された今日こそ、知事は速やかに決断し、この公文書館建設問題についても決断すべき時を迎えていると思います。「流星光底に長蛇を逸す」結果を招いては将来に大いなる禍根を残すことになってしまいます。
 そこでお尋ねいたします。
 県公文書館については設置されるのかどうか、また設置されるとすれば九州歴史資料館のような施設と併設されるのか、あるいは単独構想なのか、簡潔かつ明確にその方針をお示し願いたいと思います。
 また現在、中断されている県史編さん事業については、副知事、総務部長らで構成された「検討委員会」が今年度末までその在り方について、その意見を知事に提言されると聞き及んでいます。
 しかしながら今後も県史編さんをつづけられるのか、これまでの県史編さん過程のなかで収集した歴史史資料をどういう施設で保存し、県民の利用に供していくのか、これは基本的な事項であり、検討委員会の提言を待つまでのことでもないと判断しますので、明快なる見解をただしておきます。
 さらに現在、県民から県当局に寄せられている先の大戦に関する戦時資料についてであります。
 その数は六千点に及ぶようですが、知事、これらの資料が一体どこに保存されているかご承知でしょうか。
 この県庁の近くの吉塚合同庁舎というビルの一室であります。適切に保存するための温湿度管理、サビ防止、腐食防止の措置など一切行われず、漫然と保管され年一回県内各地を巡回して行われている戦時資料展で公開されているのが実情のようです。
 県に寄託されている方々は既に高齢で物故された方もかなりいるでしょう。
 このような方々は自分が持っているよりも県ならば将来も安心して保存してくれると考えて預けられているはずです。
 きちんと保存・保管し、飽食の現代人を戒めるために展示機能も備えた施設を設置することが資料を託された方々への県の義務であると考えますが知事の明確な考えを併せてお聞きしておきます。
 

 今後の九州歴史資料館に対する取組について

 九州歴史資料館は、本県固有の歴史や伝統文 化の調査研究や保存活用を担う、重要な施設で あると認識しております。
このたび、各分野の第一人者の方々による検 討委員会から、九歴の移転整備を求める最終報 告が提出されました。
 今後は、教育委員会と連携を密に図りながら、 県民に親しまれ、その期待に十分に応える施設 となるよう、最終報告で提言されました内容の 具体化に向けた取組を早急に進めて参ります。
 














 県公文書館の設置について

 歴史的公文書の保存や閲覧の必要性については十分認識しており、県庁内に保存している約一万三千冊の歴史的公文書について、目録作成を行い、県民の皆さんが閲覧できるよう準備を進めております。
 公文書館につきましては、単独設置という方法も考えられますが、既存施設等に併設することが現実的であり、今後さらに検討を進めてまいりたいと考えております。









 今後の県史編さんと史料の保存等について

 県史編さんにつきましては、史料の散逸を防ぐために、緊急性が高い「近世・近代」を中心に、全六十六巻の刊行を行い、当初の計画を終えたところであります。
 今後、新たに時代を遡って編さんを行う場合には、散逸している史料の収集が可能かどうか、専門家の協力が得られるかどうか、などの課題が出てまいりますことから、再開の時期につきましては慎重に検討していきたいと考えております。















 戦時資料の保存及び展示について

 県民の皆様から寄贈を受けました戦時資料については、腐蝕防止のために中性紙箱に収納したり、毎年虫干しを行うことで通気をよくするなど、資料の劣化を極力防止するなどの手だてを講じ、丁重に保存しているところであります。
 展示につきましては、県内の多くの地域で平和のための啓発を行うことが望ましいことから、毎年の巡回展示を基本としておりますが、これに加え、県内の市町村や学校が行う資料展等への貸し付けを随時行うことにより一定の活用を図っております。
 

 再度登壇いたしました。
 いくつかの点について再度ただしたいと考えていましたが、時間の関係上、要望にとどめさせて頂きますので、知事はじめ執行部の皆さんには意のあるところを汲んで頂き、ぜひ積極的に取り組んで頂くことを強くお願い申しあげます。
 まず第一は、緊急改革措置における二〇〇億円の根拠についてでありますが、相変わらず同じことを繰り返されていて、極めて残念遺憾でありました。
 次に、この二〇〇億円のなかで示してある人件費抑制についてでありますが、現業職員について、絶対数の削減に取り組むことを明らかにされたことは、今後の県としての人件費対策を考えた時、大きな前進だと判断していますのでぜひしっかりと、かつ早急に取り組んで頂きたいと、強く要望しておきます。 次に農林水産業問題についてでありますが、漁協合併の早期実現、高収益型園芸事業の事業の継続、さらには、環境に特化した県独自の直接支払いの早期実現等々についてぜひ積極的に取り組んで頂きたい。
 また、質問のなかでも要望にとどめておきましたが、環境に配慮した漁港工事のあり方については、改めて強く要望しておきます。 最後は九州歴史資料館、公文書館の建設についてでありますが、県民に極めて関心の強い問題ですから、早急に結論を出して頂くよう、強くお願い申しあげて代表質問を終わらせて頂きます。
 ご静聴ありがとうございました。
 

 

 

  トップ > 政治トピックス