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   自民党県議団 代表質問 平成16年9月28日(火)   

   9月21日(火)に開会した9月議会は28日(火)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

 


      自民党県議団質問内容
 

 まず最初に知事の政治姿勢として数点お聞きします。
 先月三十日の台風十六号により、県内においては、重傷者四名、軽傷者二十一名の人的被害や住家の損壊、さらには、道路や崖崩れなどの被害がもたらされたところですが、その傷も癒えるまもなく、去る七日には、台風十八号が県内を横断し、これらの被害に追い打ちをかける結果となってしまいました。
 我が会派としては、台風一過の八日には直ちに災害対策本部を設置し、現地調査を行うなど、台風被害への対応に向け迅速な取り組みを行ってきたところです。
 この台風十八号による被害の状況は、人的被害は九十名、住家被害は約千八百棟に及んでいるところであり、特に、農林業の被害が県南地域を中心に甚大で、農業部門では米、果樹などの農作物及び農業施設などで百二十三億円余、林業部門で風倒木、林道被害などで七十八億円あまりの被害が発生していると聞き及んでおります。
 知事は、先の代表者会議において、台風被害については被害状況を把握中である。結果がまとまり次第、追加提案による対応について検討すると発言されていますが、その検討状況はどのようになっているのでしょうか。 県民の不安を取り除き、安心・安全な暮らしを取り戻すためには、追加提案により一刻も早い対策が必要と考えます。特に、農業・林業被害に対して特段の措置が必要だと考えています。
 従って、我々の主張どおり追加提案をされるのであれば、その内容及び規模についてお示し下さい。
 次にこの際、福岡県における恒久的な危機管理態勢の確立について、改めてただしておきます。
 ただ今申しました台風に限らず、本県ではこれまで幾度となく台風や水害に見舞われ、甚大な被害を受けてきた歴史があります。また、朝鮮半島に近く、各国の公館も数多い自治体であります。
 災害だけでなくテロや戦争、また難民や政治的亡命者の大量上陸など、有事を想定した日頃からの危機管理態勢整備の緊急性と重要性は、他県に例を見ないと断言できます。
 このため、私たち会派は、危機管理の高度・専門的な知識、ノウハウを組織と職員が確立するため、自衛隊OBの採用や現職自衛官との人事交流を強く求めてきました。
 これに対し、これまでの知事の見解と方針は、自衛隊や警察、消防にはそれぞれの任務、役割があり、県の役割は、これらの能力を総合的に活用することにある、ということにとどまっていました。
 今議会の直前に生活安全室の設置が明らかにされ、組織整備の考えを示されていますが、いずれにしましても、これらの能力を総合的に活用するためには、それだけの高度・専門的な危機管理の知識やノウハウが県に求められるはずです。現在の県の組織や職員がその水準にあると考えておられるのですか。
 OBの採用に問題が多いと考えておられるのなら、現役自衛官の人事交流だけでも一刻も早く実施し、県の危機管理態勢づくりを推し進めるべきです。私たちは、OBの採用だけを提唱してきたつもりはありません。
 今一度、知事の見解をお聞きし、今度こそ知事の前向きな政治判断を求めておきます。

 

 次に、三位一体改革と県財政についてであります。
 去る八月十八日、新潟市で開催された全国知事会議では、国庫補助負担金の削減案の取りまとめをめぐり、二日間激論が交わされたと聞き及んでおります。
 議論の的になったのは義務教育費国庫負担金と公共事業関係国庫負担補助金の取り扱いであります。徹底した議論の末、最終的には、異例の採決という手段によって「国庫負担補助金等に関する改革案」が決定されておりますが、大分県知事を始め七人の知事が全国知事会案に反対されたようです。
 麻生知事は賛成されたと報道されていますが、それはいったいどのような考えに基づくものでありましょうか、まずは、今回の知事会の改革案に対するご自身の基本的スタンスについてお答え下さい。
 さて、地方六団体の改革案では、義務教育費国庫負担金や公共事業関係補助金も含め、三兆二千億円を廃止のうえ、個人住民税の十%比例税率化により三兆円の税源移譲を行うこととされております。個人住民税は、比較的地域偏在が少ない税目とは言われておりますが、仮にこの改革案がそのまま実行されたと致しましても、税源の偏在は避けられず、改革によって豊かになる団体があれば、逆に貧しくなる団体もあり、その影響は様々であると言われております。
 そこでお尋ねします。今回の改革案に基づく場合、本県に交付されていた国庫補助負担金はどのくらい減少することになるのでしょうか。また、廃止された国庫補助負担金に見合う税源が本当に本県に移譲されるのでしょうか。九州各県の会議に出て、他県から聞かされる声は、「福岡県さんは税源移譲されると儲かるから、賛成されるんでしょう」という極めて冷ややかなものです。「税源移譲の方が得するから」などといった微視的なものの見方ではない、と判断しますが、非常に気がかりなところではあります。試算で結構ですので廃止分と移譲分のバランスについて数字でお示し下さい。
 次に、今回の改正案において最も話題を呼んだ義務教育費国庫負担金の取り扱いの中で、中学校教職員の給与費相当分についての廃止が盛り込まれております。義務教育費国庫負担金のうち、なぜ、中学校教職員だけを切り分けたのでしょうか。同じ義務教育の教職員でありながら、小学校と中学校で負担の方法が異なることは簡単に理解を得られることではありません。
 三兆円の廃止を打ち出すための単なる数字合わせではないか、数字合わせで義務教育を論じていいのかと言った批判も当然だと感じます。
 そこでお尋ねします。知事として、どういう見解で中学校分の廃止に賛成されたのか、この場で県民にわかりやすく説明頂きたいと思います。
 またこの制度は、我が国の教育水準の維持向上や教育の機会均等に大きな役割を果たしてきたことは疑いのないところです。今回、七県知事が反対されたのは、一般財源化されるようになった場合、財政力格差によって教育の内容や水準に格差が生じかねないということを極めて深刻にとらえられているためだと判断しています。
 翻って、本県は一般財源化に賛成されたわけであります。従って、義務教育の機会均等や水準確保という義務教育の基本理念について、本県においては、今後も変わらず実現できるし、またそうするという自信も十分あると想像しますが、いかがでしょうか。
 もし、このまま実施されれば、教育行政における知事の手腕と責任が直接的に問われることにもなりますが、その決意も十分なのかどうか、ここらも含めて知事の見解をお尋ねいたします。
 三位一体改革関係の最後は公共事業関係国庫補助金の取り扱いについてであります。
 非常に残念遺憾なことでしたが、改革の初年度に当たる平成十六年度、公共事業関係補助金については、単なる事業量の削減で終わってしまい、税源移譲には全くつながらない結果となりました。
 今回についても、公共事業関係国庫補助金は、建設国債によって財源を調達しているため、移譲すべき財源はないと財務省はいっているようであります。もし何ら財源の裏付けがなく、地方六団体の提案通り、砂防・河川等の補助事業が廃止された場合、本県はどのような影響を受けるのでしょうか、試算では河川で七割、砂防については九割の県事業が廃止に追い込まれると心配の声があがっていますので、本県への影響額をお示し願います。
 また、改革案において、公共事業関係補助金を廃止対象に加えたのはどういう考えによるものでしょうか。知事は税源移譲が行われなくとも廃止すべきと考えておられるのでしょうか。知事会の中で、どのような対応をされたのか、具体的に説明下さい。
 次に本県独自の財政改革として取り組んでいる二百億円の新たな改革措置の検討状況について触れておきます。知事は六月議会において、「二百億円の新たな改革措置の内容については、プロジェクトチームを設置し、事務事業の見直し、建設事業費の規模抑制、財政収入の確保、人件費の抑制の四本柱により検討を行う。また、その時期については、今年の秋頃に改革措置の方向性を示し、最終的には来年度の予算編成の中で改革内容を決定する。」と答弁されております。
 改革措置の方向性を示す時期とした秋は既に迎えています。いったいどういう状況にあるのか。今年度の地方交付税並びに税収が当初見積もりをかなり上回りそうで、当局としては二百億円改革措置への取り組みに厳しさを欠き始めている、といった声も聞かないではありません。
 そこで今年度における地方交付税、県税の見通しと併せて、二百億円改革措置の決定時期やその内容、とりわけ私たちが強く求めてきた人件費抑制について、どのような検討がなされてきたのか、知事の明快なる回答をお願いいたします。
次に森林の保全整備についてであります。
 政府においては、地球温暖化防止を目的とする環境税の導入が検討されているようです。こうしたところから、福岡県議会においても先の六月議会において、森林、林業、山村の活性化を図るため、国に対し新税の創設を含めた財源確保を求めることを趣旨とした意見書を、全会一致で決議しました。
 しかし、経済界等との調整が困難を極め、早期に実現する明確な見通しはないようです。
 こうしたなか、冒頭にも申し述べましたように、今回の台風で本県の森林は大きな被害を受けています。
 もともと、林業経営の困難さは十分承知しているだけに、その落胆と嘆きは推して知るべしであり、心から同情を禁じ得ません。
 ところで、国の動きとは別に、国土の七割を占める森林を温暖化ガスの主要な吸収源として位置付け、森林整備に確実に結びつける目的で、九州各県はもとより全国三十九の都道県で独自の税を創設していこうとする動きが活発化しています。高知県と岡山県では既に実施しています。
 国での創設を待つまでもなく、本県でも取り組むべきだと考えますが、知事の所見をお聞きしておきます。

 政治姿勢として最後に、久山町における一大テーマパーク構想についてただし、知事の積極的な取り組みを求めておきます。
 去る七月二十九日、米王手映画会社パラマウント・ピクチャーズのグループ会社と誘致を進める企画会社がテーマ・パーク計画を発表しました。その内容は久山町山田地区に、年間四百七十万人の来場者を予定してムービー・スタジオ・パーク、三つのホテル、飲食・小売り施設を含む五ヘクタールのエンターテイメント商業施設、メディアセンター・ITセンター・制作スタジオからなる教育施設、屋内・屋外劇場など百五十四ヘクタールに及ぶ大規模なものです。
 また、開発費は約千億円で、雇用効果は間接効果も含め約一万七千人、経済効果は直接効果で年間約八百億円余、間接効果を入れると約二千億円にも及ぶものとなっております。近年にない大型プロジェクトであります。これが成功すれば、本県経済の発展や雇用対策に大きく貢献するのではないかと期待されます。
 開発コンセプトは、単なるテーマ・パークではなく先進的なメディア関連教育を行うため、芸術とエンターテイメント・ビジネスについての教育プログラムを持つUCLAと連携することとなっており、人材育成も目指すことになっております。
 さらに、パラマウントが進出を決めたのは、アジアをにらんだとき福岡県がふさわしいとの判断からと聞いています。本県が目指すアジアの交流拠点にふさわしいものではないかと考えます。
 久山町では、今年の三月には、町議会が「立地歓迎」を決議しており、地権者も土地の賃貸について同意をし町民挙げての受け入れ態勢が出来ているようです。
 この秋には国内のゼネコンやメーカーなどが研究会か準備会社を設立し、アメリカの調査会社が事前調査した事業の採算性を検証して事業計画や収支資金計画を作成することになっているようです。
 そこで知事にお尋ねします。パラマウント・ムービー・スタジオ・パーク基本構想についてどういう評価を持っておられるのか。新聞報道等で知る限り、どうも腰が引け、この構想に距離を置いているように見受けられてなりません。
 誘致に当たった企業は、単独で数年に渡り苦労をしてここまでこぎつけた、まさにベンチャー企業です。
 しかしながら、地元経済界では実現をいぶかる声が多かったためでしょう。誘致に当たった企業は、「もう、二年ぐらい説明をしてきたが、我々ベンチャーの話はなかなか理解が得られない。」、「地元財界や行政からの資金援助は期待していない。精神的協調をしてほしい。」といっています。
 かねてよりベンチャー企業育成にについて見識豊かで、かつ熱心な知事であれば、現時点で県として具体的な支援はともかく、経済界の見方を変え、流れを変えるような理解と期待の発言やコメントがあってしかるべきでしょう。いぶかしい気がしています。
 知事の率直なる見解と、その抱負をお聞きします。


 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)

 台風災害に対する予算措置について

 今回の台風による被害は、家屋、道路、森林、農作物等広範に及んでおります。
  これらの災害のうち、農地、農業用施設、道路及び河川等の災害復旧につきましては、既定予算で対応することとしており、そのほか、早急に対処する必要があるものについて、予算措置を講ずべく、現在、最終的な調整を行っており、明日、補正予算の追加提案を行いたいと考えております。
  今回の追加措置の規模としては、十二億円程度であり、その主な内容は、二次災害を防止するための緊急的な風倒木対策をはじめ、林道、港湾等の災害復旧費及び被災農家の当面の経営安定のための融資枠の拡大などであります。











  本県の危機管理体制の水準と自衛隊との人事交流について

 県といたしましては、これまでの災害対策の実施や市町村との情報伝達体制の整備、さらには各種の研修、訓練等を通じて、危機管理のための組織体制等の強化が図られてきたものと考えております。
  県と自衛隊との関係につきましては、これまで、組織と組織という形で連携・協力を進めてきたところでありますが、広範囲な自然災害やテロ災害に対する訓練の充実などの課題があることから、今後は、さらに連携を強化するため、自衛隊との人事交流を図って参りたいと考えております。 













 「国庫補助負担金等に関する改革案」に対する知事の基本的スタンスについて

 今後の三位一体改革の進め方については、まず、麻生総務大臣から、税源移譲を先行決定するという、いわゆる「麻生プラン」が示され、それを受けて、「骨太の方針二〇〇四」において、国から地方へ三兆円規模の税源移譲を目指すとともに、その前提として、国から地方に対し、国庫補助負担金改革の具体案の取りまとめが要請されました。  
  国から地方への本格的な税源移譲を実現し、地方分権を進めていくためには、この要請に地方としてきちんと応えていくことが不可欠であると考えたところであります。
  改革の具体的中身については様々な意見がありましたが、多くの議論の末に地方の案をまとめ、国に提示することができたということは、真の三位一体改革を進めていく上で非常に有意義なことであると考えております。


 今回の改革案どおり国庫補助負担金が廃止された場合の本県への影響額と税源移譲の見込みについて

 今回の改革案に掲げられた対象リストのとおりに国庫補助負担金が廃止されるとした場合、平成十六年度当初予算ベースで本県への影響額を試算すると、概ね六百五十億円程度になるものと見込んでおります。
  税源移譲額につきましては、所得税を減税して個人住民税を充実させることにより、総額で三兆円規模を目指すとされておりますが、都道府県と市町村の間で移譲されるべき税源がどのように配分されるのか明らかになっておりません。
  このため、県分と市町村分をあわせた数字でしかお答えできませんが、概ね一千億円程度になるのではないかと考えております。
  三位一体改革のもう一つの柱である地方交付税制度につきましては、税源が移譲されても現実には各団体間で税収の格差が生じてまいりますので、国庫補助負担金の廃止に見合う税収が確保できない団体に対し、地方交付税によって財源を措置することをこの改革案の前提として国に求めております。

 義務教育費国庫負担金のうち、中学校分だけを廃止することについて

 どのような人材を育てていくかという教育の本質を考えますと、地方が独自の考え方で様々な工夫をしていく余地をできるだけ広げ、地域ごとに多様な人材を育てていくことが今後ますます必要となるものと考えているところであります。このため、義務教育費国庫負担金につきましては、基本的に全額を廃止して税源移譲すべきものと考えております。
  今回の改革案では、平成二十一年度までの第二期改革までに小学校分も含めた全額を廃止して税源移譲の対象とすることを前提に、その第一ステップとして平成十八年度までの第一期改革において中学校分の負担金を廃止することとしたものであります。
  これは、中高一貫教育の進展などを勘案し、まず中学校においてそれぞれの地域で特色ある教育を展開していく必要があると考えたためであります。

 義務教育の機会均等や水準の確保について

 進学率が九十七%を超えて義務教育と同じような実態にある高等学校につきましては、国が教育に関する最低限の基準と教員定数の標準を定め、その上で各地域が様々な工夫をするという形で、地方の一般財源により、必要とされる教育水準が維持されているところであります。
  今回は、それを中学校にまで広げようとするものであり、税源移譲等による適切な財源措置があれば、義務教育の機会均等や水準は十分に確保できるものと考えております。
  今後は、義務教育におきましても、国が定めた最低限の基準の上に、地方が独自の考え方で創意工夫をして、多様な人材を育てていくことが最も重要になると考えているところであります。

 砂防・河川事業関係国庫補助負担金の廃止に伴う本県への影響額について

 今回の改革案に掲げられた対象リストのとおりに国庫補助負担金が廃止されるとした場合、本県における砂防・河川事業関係の国庫補助負担金の減少額は、平成十六年度当初予算ベースで試算すると、四十三億円程度であります。

 改革案において公共事業関係国庫補助負担金を廃止対象に加えたことについて

 公共事業等投資的な国庫補助負担金については、廃止対象とするかどうかについて様々な意見があったところでありますが、地方の自由度を高め、地域の実態に即した事業展開を可能とする等の観点から、移譲対象補助金に加えられたところであります。
  これらの補助負担金を廃止する場合、確実に税源移譲に結びつくことが是非とも必要であると考えますので、私自身、知事会議の中でもこの点を主張し、確実な税源移譲と一体的に実施されることが廃止の前提条件であることが改革案において明確にされたところであります。

 二百億円の改革措置について

 今年度の普通交付税は、当初予算に比べ、百億円程度の増収となっておりますが、一方で、減収補てん債の発行額が五十億円程度減らされることとなり、実質的には、五十億円程度収支が改善する見込みであります。税収も、景気は回復基調にあることから、当初予算を上回るものと見込まれますが、これらの要素を踏まえても、依然として、財源不足の状況は続くものと考えられます。
  また、三位一体改革の動向など不透明な要素もあることから、今後の財政状況も楽観を許さないものがあります。
  したがいまして、二百億円の改革措置については、安定的な財政運営にとっては不可欠なものと考えております。
  改革措置の内容としましては、事務事業の見直し、建設事業費の規模抑制、財政収入の確保、人件費の抑制の四本の柱により検討を行っているところでありますが、このうち、人件費については、給与の抑制などの検討を行っているところであります。
  今後、平成十七年度当初予算の編成通知を行う十月下旬には、改革措置の方向性を示し、最終的には十七年度当初予算編成の中で決定していきたいと考えております。

 森林保全のための税の取り組みについて

   森林は、水源かん養や県土の保全、地球温暖化防止など多面的な機能を持っており、その保全は県民にとって非常に重要なものであると考えておりますが、森林保全のための税については、負担を広く県民に求めることとなるため、先ず、森林を守り育てるという県民全体の理解を得る必要があります。
  また、その使途についても、既存の森林保全だけでなく、負担が多く森林が少ない都市部住民の理解を得られるような、都市部の抱えている行政課題も視野に入れた幅広いものを研究する必要があります。
 森林保全のための税の取り組みについては、このような課題があることから、国の環境税の動向も踏まえながら、年内に庁内の研究会を立ち上げ、多方面からの研究を進めてまいりたい と考えております。


 パラマウント・ムービー・スタジオ・パーク基本構想の評価について

 このテーマパーク構想については、今後、事業化に向けた研究会が設立され、事業主体や事業計画などが具体化されると聞いております。実現いたしますと新たな観光・集客産業の振興に寄与し、経済波及効果や雇用創出効果は広範なものになることと期待いたします。
 

 

 次に県立病院改革についてお聞きします。
 五つの県立病院をすべて民営化するという基本方針のもとで進められてきた本県のいわゆる県立病院改革については、平成十七年度春とされている先行三病院の実施がいよいよ近まって参りました。
 官民を問わず、医療を取り巻く厳しい経営環境の中で、朝倉病院については四団体、遠賀病院については一団体、太宰府病院については二団体から、移譲を求めて応募があったと聞いています。
 その中から、今回、県は移譲先として甘木朝倉医師会と遠賀中間医師会、指定管理者として医療・介護・教育研究財団が内定し、そして指定管理者の指定については、その同意を求める議案を今議会に提案されているところであります。
 そこでこれまでの経過も含め、何点か問いただしておきます。
 まず第一点は、今回の選考手順についてであります。県は、今回、三病院の移譲先を内定するにあたって、どのような手順で進められたのか。その基準と選考経過、また、透明性や公平性を保つため、どのような措置をとってこられたのか、詳細に説明願います。
 次に、我々は、六月議会において、この選考に慎重を期すため、医療専門家集団としての県医師会から、地域医療のあり方と県立病院の民営化について、高い立場に立った意見や見解を求めるよう要請して参りました。  そこで県は、県医師会とはどのような話し合いを行い、そこで得た意見を内定にあたり、どのように参考にされてきたのか、具体的にお示し願います。
 また県議会では、今回の民営化に関して、県職員の出向派遣制度の問題点についても多くを指摘したところです。改革をスムースに進めるためにも、その数を限りなくゼロに近づけるべきであると提言しております。
 その結果、執行部からは「できるだけその数を減らす努力をする」旨の発言を得ているところでありますが、現状はどのような状況にあるのでしょうか。具体的に数字を示して説明願います。
 さらに、今回の内定により、今後民営化に向けた具体的な詰めが今後行われることになり、県と移譲先との間で相互に一つ一つ確認する作業が進められることになると思います。
 聞くところによると、内定を急ぐあまり、県が相当ハードルを下げたのではないか、との話も伝わっています。
 そこで、内定に際して、今後の確約が得られているのでしょうか。具体的に説明願います。
 また、今後、当然、協定や契約の締結が求められると思いますが、その時期はいつ頃を考えておられるのか、見解をお示し願います。
 さらに、職員問題では、相手方との調整など作業が予想されます。移譲先の方でも不足する人員の募集、採用などに時間が必要であり、このためにも迅速な作業を求められていると聞いていますが、今後の予定がどうなっているのかお伺いします。
 最後に、今回の三病院の民営化を予定どおり完了しますと、直ちに嘉穂、柳川の残る二病院の民営化という大きな課題を抱えています。五病院の同時民営化が実現せず、この二病院が後回しになったということからしても、相当に困難が予想されますが、現状はいかなる状況にあるのか、実現時期とその見通しと合わせて説明を求めておきます。

 

 


(県立病院問題について)

 選考の手順と透明性、公平性の確保について

         
 県立病院改革は、県が進めております行政改革の最も重要な柱であり、昨年十月に抜本的な改革計画を策定し、その実現に向けて鋭意取り組んできているところであります。
  県立病院の移譲先等の選定にあたりましては先ず、募集要領で示した県が求める条件を満たしているかを審査し、その上で移譲先等検討委員会から示されました地域医療への貢献や病院の運営・経営などの評価項目について評価を行い、選定を行ったところであります。
 この間、募集を締め切った段階での応募状況を公表するとともに、内定した時点においても選定理由等を公表したところであります。



 県医師会の意見について
                    
 移譲先等の選定に関しての県医師会の意見としては、「移譲が円滑に行われ、地域医療の確保が図られることが重要であり、地域医師会の協力が得られるような団体が望まれる。」、「太宰府病院については、民間病院との連携が期待できる団体が望ましい。」、「これまでの県立病院経営の反省に立って、安定した健全経営が期待できる団体であること。」という意見でございました。
 県といたしましても、地域医療の維持向上や健全経営という点を重視し、選定を行ったところでございます。


 派遣を減らす方策の取組み状況について
          
 職員処遇につきましては、退職手当の割増や再就職の斡旋を基本とした退職勧奨等を進めて参ります。
  このため、病院職場だけではなく、全庁的に関係職種の職員に対し周知徹底を図るとともに専門的な知識や技術が活かされる方向で、更に取組みを進めているところであります。
 今後、現在実施している職員の意向調査結果を踏まえ、移譲先等と協議しながら対応して参りたいと考えております。


 内定にあたっての確約と今後の手続きについて
       
 内定にあたりましては、募集要領で示しました移譲等にあたっての条件等の基本的事項を相互に確認したところであります。
 今後、移譲先等と協力して必要な事務手続きを進め、十一月頃に基本協定を結び、来年三月には契約を締結できるよう協議を進めて参ります。



 職員問題について
         
 既に、内定先団体の概要や勤務労働条件等について、職員に対する説明を行い、現在、職員の意向調査やヒアリングを進めているところでございます。
 これらの結果を下に、県としての考えを整理した上で、内定先との調整に入り、十一月頃には、協議が整うよう進めて参りたいと考えております。



 残る二病院の対応について
      
 柳川、嘉穂病院につきましては、先行三病院の改革の進行状況等を勘案し、移譲時期を決定して参ります。
 今後、二病院の経営環境は更に厳しくなることが想定されますが、移譲するまでの間、引き続き経営の改善に努めていく所存であります。

 

 次に、中小企業活性化対策について、内需拡大の必要性とその具体策の面からお伺いします。
 先だって、私たち自民党県議団一期生は地元選挙区の企業に向けた景況アンケートを実施しました。一致しているのは、ほとんどの業種に渡って、景気回復の実感がなく、従って明日への展望が開けず、雇用の拡大も期待できないという思いがあり、期待するのは内需拡大だという声が圧倒的でした。
 限られた業種を除いて、利益なき経済拡大は地方と中小企業を苦しめ、自分たちの汗と涙の結実たる利益は一体どこに消えているのか、という思いに駆られている、これが現実の中小企業者が感じている地域経済の実態であります。
 今とるべきは穏やかな財政再建を目指した公共政策です。一兆円の公共事業はGDPを一兆五億円に押し上げ、税収は七千億円にのぼる。この一〇年間の株と地価の一三〇〇兆円にもなんなんとする目減りからくる経済クラッシュから国民経済を守ったのは、一三〇兆円の公共投資である、とする識者の声もあります。
 また、ほとんどの中小企業経営者は、自らの存在意義と役割を、雇用の確保と地域への貢献においています。この時期、徒に公共事業を抑制すべきではありません。有効な公共事業を行うことによって福岡県の活性化を図り、中小零細企業を復活させるのは政治の責任です。また、根本的な意味での社会再生を考えてみても、子孫に残すべき社会資本整備を、卓抜した技術を持つ地域企業の底力を蘇らせることで達成することは、雇用を含めあらゆる面で意義あることです。輸出産業やいわゆる新産業には本質的にその力はありません。
 知事の内需拡大に取り組む意欲についてお伺いいたします。
 次に、内需拡大の具体的中身についてですが、私はこれを、極端な市場原理に乗せてはならない分野、例えば道路、河川、水資源の確保、古里の景観、農林水産業など、昔からあるもので社会生活の基盤でもある身の回りの公共事業におくべきだと考えます。そこへの積極的投資が有効だと思うのです。とりわけ古里の景観保護、或いは景観創造には、それらを総合的に網羅した大きな事業への可能性を感じます。
 美しく、長い時間をかけて日本人の感性のなかで培われてきた古里の景観は、私たちの心を和ませ、未来への創意工夫と意欲をもたらし、地域再生や活性化の礎となるものです。日本人としての誇りを持ち、福岡の魅力を全国に、そして世界にアピールするためにも、本県の自然・歴史・文化などを背景にした美しい景観を作ることは大切なことです。美しい日本の四季に彩られた田舎の風景を大切にすることに誰が反対するでしょうか。
 政府も都市、農産漁村等における良好な景観の形成を促進するための景観法の制定や、立体都市公園制度の創設を盛り込んで都市緑地保全法を改正するなどして、その動きを強めています。
 そこで、内需拡大具体策の柱のひとつとして、本県が世界に誇れる、道、川、水から農林水産分野の環境創造まで巻き込んだ総合的な古里の景観形成計画に取り組むことを提案します。
 知事のお考えをお伺いします。
 次に、利益なき繁栄の中で、それでも売り上げを伸ばそうとしている企業に立ち塞がる資金繰りの壁についてであります。実際、県信用保証協会の審査基準の厳しさは、現場では常に話題に上るところです。晴れた日に傘を貸しても仕方ありません。国も保証に関して金融機関にも責任を取らせる方向に動いています。第三者保証人等、保証協会としても見直すべきは見直し、真に中小企業生命を豊かに育む方向を経営者と一緒になって模索しながら、信頼関係を醸成していくところに本来の役割と責任があると思うのですが、知事の見解をお伺いします。

(中小企業活性化対策について)

 公共事業による内需拡大に取り組む意欲について


 公共事業による社会資本の整備は、県民の豊かな生活と活力ある地域社会を築くために不可欠なものであります。また、結果として、地元の関係中小企業対策としての効果もあるものと認識しております。
  したがいまして、地域の実情も踏まえつつ、必要な事業につきましては、財政とのバランスも考慮の上、適切な予算措置を図るとともに、効果的な事業執行に努めてまいります。







 古里の景観形成について

 古里の自然や田園、まちなみの織りなす美しい景観は、歴史と風土に根ざした県民共通の資産であります。
  こうした良好な景観を誇りを持って次の世代に継承していけるよう、県民等とのパートナーシップに基づき美しいまちづくりに取り組むとともに、公共施設の整備・管理においても、自然、歴史、伝統等地域の個性を活かした良好な景観形成に配慮するよう努めてまいります。






 信用保証協会の役割について

 信用保証協会は、融資の際に中小企業者の信用補完を行うことにより、資金調達の円滑化を図ることが役割であります。
  昨年末には、時代の変化に対応し、新しい中小企業金融の道を開くべく、銀行、信用保証協会とともに無担保・第三者保証人不要で、業績評価を中心とする「元気フクオカ資金」を創設し、本年七月には要件の緩和なども行ったところであります。
  また、今後とも、信用保証協会の基本財産への出捐や損失補償等の財政支援を行うことにより、保証能力の維持強化を図り、積極的な保証の拡大に努めてまいります。
 

 次に、農政問題について、とりわけ農業が持つ多面的機能のうち環境維持に絞り込み、福岡県農政として新しい政策展開を求めたいと思います。
 ご承知のように、滋賀県は関西のみずがめと言われる琵琶湖を抱えていますが、この湖の極端な水質悪化が懸念されたところから、早くから県民挙げて水質保全と取り組んできました。
 この水質保全の一環として、今年度から「環境こだわり農業」と称して、化学農薬や肥料が五割以下、堆肥の適正使用、農業排水の適正使用などに努めた農業者に対して、環境農業直接支払いを実施しています。
 農業は言うまでもなく環境や文化の保全、災害予防など様々な機能を持つと言われていますが、現実には担い手の減少や高齢化、価格低下による経営悪化などで、その機能が極端に落ちて、耕作放棄が相次ぎ、孟宗竹が生い茂る農村があちこちで見受けられます。
 田植え期に田いっぱいに水を張った緑のじゅうたん、オタマジャクシが泳ぎ回り、夜ともなればカエルがあたり一面に鳴き声を散らす。これが日本の原風景であり、私たちはこのことにより、ゆとりややすらぎをはじめ、どれほどの恩恵を受けてきたことでしょうか。お金にかえられるものではありません。
 今のまま、WTO国際経済体制下で、市場原理の追求に追われるならば、農業が他産業並の所得を得ることは難しく、将来もまた見えています。せめて農業の持つ公益的機能に対して、農家所得を補填する形で行う直接支払いは農業の将来面からも避けて通れないところではないでしょうか。
 そこで、滋賀県の例もあるように、県独自で新たな政策を検討すべきではないでしょうか。勿論、経営全体を見通した本格的な直接支払制度は国の動きを見る必要があるでしょうが、農業の持つ環境保全機能に絞り、これに取り組む農家や集落に対する独自の措置、こうした特化した措置であれば、県独自で取り組むことは十分可能だと考えます。
 市場を歪めず明確な目的を持って行われる農業保護は、生産と保護を切り離した、いわゆるデカップリングと呼ばれるもので、WTOでも認められているものであります。
 こうしたところから、国の方でも本格的な制度を検討しているようですが、早急な実現は到底無理なようです。
 また、中山間地域等に対する直接支払制度も今年度で期限が切れ、来年度以降についての方針はまだ明確に打ち出されていません。
 国の動きを待つのではなく、県だけでもやれることはすぐやる。いわば県独自、環境直接支払制度の創設について、知事の明快なる答弁を求めます。


(農政問題について)

 農業の環境直接支払いについて


 農家が行う作業によって、豊かな生態系や美しい風景などが保全されるとして、その対価を支払うことは、県民の理解と合意が必要です。
  県としましては、農業の持つ公益的機能を維持する農業環境政策について、直接支払いも含め、農政部に設置したプロジェクトチームで研究させているところであります。
  今後、県民が納得しうる施策となるよう、幅広く検討して参ります。



 

 
 次に教育問題に移ります。
 初めに、障害児教育の推進についてお尋ねいたします。
 国においては、平成十四年十二月、新しい世紀における我が国の障害者施策の基本的方向を定めた「障害者基本計画」が策定されました。これを受け、これまでの特殊教育から障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換を図るため、中央教育審議会において、新しい制度等について検討が行われていると聞いているところです。
 このような中、本県の現状をみてみますと、盲学校、聾学校、病弱養護学校に在籍している児童生徒数は横ばいにあるものの、肢体不自由及び知的障害養護学校の児童生徒数は、増加しており、一部地域でその受け皿が不足しているのが実情のようです。また、知的障害養護学校を中心に高等部への進学が著しく増大しています。
 このため、我が会派では先の十二月議会の代表質問で、今後の養護学校高等部の在り方についてお尋ねしたところですが、これに対して、県教育委員会では、この夏、福岡県県立学校教育振興計画審議会に、これからの本県の特別支援教育の在り方について諮問を行い、審議が開始されたと聞いております。
 養護学校高等部教育の在り方とともに、本県の今後の盲・聾・養護学校の在り方について積極的に検討を進め、早急に結論を出すべきと考えておりますが、教育長の決意の程をお聞かせください。
一方、これからの特別支援教育では、学習障害、多動性障害、或いは、高機能自閉症等、学習や生活上特別の支援を必要としている子どもたちへの特別な教育的対応も強く求められています。文部科学省の調査では、約六%の割合で小・中学校の通常の学級に在籍している可能性が示されています。
 そこで教育長にお尋ねします。発達障害のある子ども達への教育上の支援もまた、喫緊の課題と考えますが、その具体的方策について、どのようにお考えかお聞かせください。
次に、障害児教育の充実に関し、盲・聾・養護学校、とりわけ養護学校におけるいわゆる医療的ケアの整備の在り方についてひとことお尋ねしておきます。
 養護学校等においては、障害のある児童生徒の重度・重複化や多様化が進んでいます。 このため、鼻などから液状の栄養物を注入する経管栄養、たんを喉から除去する吸引、排尿行為を助ける導尿等の医療的ケアを行う状況が年々増えてきていると聞いています。 しかしながら、こうした行為は、法律上医師や医師の指示を受けた看護師等のほか、保護者しかこれを行ってはならないこととされております。このため、養護学校等では、父母たちが学校に待機しているようですが、緊急時には気をもみながらも、やむなく教員が行っているのが実情のようです。
もちろん、父母や教師の負担には大変なものがあります。児童生徒が安心して授業を受けるためには、養護学校等において医療的ケアを行うための条件整備が必要と考えます。
 今、本県においては、モデル校を指定して今後の取り組みを研究されていることは十分承知していますが、他県に比べて取り組みが遅れているとも指摘があるだけに、教育長の踏み込んだ考えをお示し願います。    
 次に、文化財保護行政についてお尋ねします。
 冒頭にも申しあげましたように台風十六号・台風十八号により、本県では重要文化財に指定されている英彦山神宮奉幣殿を始め、数多くの文化財もまた被害を受けております。
 ところで、去る七月九日に本県議会に対して県下七十一市町村で構成されている福岡県市町村文化財保存整備協議会、重要伝統的建造物群保存地区をかかえる三市町の長及び国宝・重要文化財を所有する寺社等の団体から、県費補助金について陳情書が提出されています。
 本県には、重要な埋蔵文化財を始めとした未来に残すべき文化財が多く存在し、これらを後世に伝えることは我々世代の大きな責務であります。このような文化財保護行政に係る補助金は、他の一般的な補助金と同次元で論じられるべきではないと思います。
 本来国や県が責務として担うべき文化財の保護について、文化財所有者等に過度な負担をさせていることはないのでしょうか。今回の陳情の主たる目的は国の予算削減に伴い、県もその補助率を落としたことに対する地方、そして文化財所有者の怒りの声であり、復元してほしいという切なる願いであります。
 そこで、この陳情の趣旨を踏まえ教育長に今後の文化財保護行政に対する姿勢並びに県費補助金問題について具体的な考えを明らかにして頂きたいと思います。
 教育問題の最後に、栄養教諭制度の創設と本県での早期取り組みについてお聞きします。
 私共、自由民主党が提唱している「食育基本法」の制定の動きに呼応して、学校教育法や教職員免許法の一部改正が行われ、学校教育において栄養教諭の創設が図られています。
 栄養教諭とは、児童・生徒に対する食に関する指導を教育現場で行うとともに、学校給食の管理を行う教師とされています。子供たちの食生活の乱れが、俗に言うキレやすい子を生んでいるのではないかという見方まである今日です。学校教育の中で農業を知り、望ましい食習慣やマナーの形成、さらにバランスの取れた食事の指導などが行われることは、教育にとどまらず、ひいては今後の日本農業の維持と振興にも、極めて重要な関わりを持つものと考えています。
 全ての義務教育で学校給食が実施されているわけではありませんから、配置は任意とされているようですが、本県ではどのような方針のもと取り組みが行われているのか、早急に栄養教諭の配置が実現することを求めて、考えをお聞きします。

 

 

(教育長答弁)


 今後の盲・聾・養護学校の在り方について

 今回の県教審では、高等部在籍者数の増加等や国の特別支援教育の新しい理念を踏まえ、本県の実情に即した県立養護学校等の在り方等の総合的な審議をお願いしているところです。
 現在、国では、盲・聾・養護学校を障害種別をこえた学校制度とすること等について検討しており、県教審では、これらの状況を見据えながら、十七年度末までに答申をとりまとめていただくこととしております。
 県教育委員会では、その答申を踏まえ、できる限り速やかに、養護学校高等部の適正配置を含め、盲・聾・養護学校の整備等に努めてまいりたいと考えております。


 発達障害児への教育的支援について

  学習障害等、通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒に対する教育的支援は、緊急かつ重要な課題であると考えております。
 これらの児童生徒については、学級担任等が学習等の困難さに早く気づき、教育上適切に配慮することが大切であり、これまで管理職等の教員研修や手引の作成配布、校内委員会の設置の促進等を図ってきたところです。
 今後は、さらに、関係職員の一層の資質の向上、適切な指導方法の開発、専門家による相談体制の整備を図るとともに、養護学校をはじめとする教育・福祉・医療等関係機関の連携協力に積極的に努めて参りたいと考えております。



 医療的ケアの実施体制の整備について

 養護学校等における医療的ケアを要する児童生徒への対応については、安全円滑に授業を受けるための環境の整備が重要であります。
  厚生労働省では、この九月にたんの吸引等の三つの行為について、予め研修を受けた教員が特定の条件の下で行うことができるとの法的整理を行ったところであり、これを受け、文部科学省では、学校の実施体制や医療関係者との連携、研修の在り方等についてさらに具体的な検討を行っているところです。
  県では、これら運用上の基準を踏まえ、各学校の実情に応じて、児童生徒が安心して教育を受けられるよう医療的ケアの体制づくりに積極的に努めて参りたいと考えております。


 今後の文化財保護行政に対する姿勢について

 文化財は、福岡県民や国民、ひいては人類共通の貴重な財産であり、これを保存整備し、後世に伝えていくことは、国や県の重要な責務で あると考えております。
 この貴重な文化財が、本県においては昨年に引き続いて台風により、多くの被害を受けたことは、非常に残念なことであり、早急に復旧に努めなければならないと考えております。
 また、文化財保護に対する県費助成の在り方について、市町村や所有者等の団体から切実な陳情を受けたことについては、県の文化財に対する姿勢が厳しく問われているものと、重く受け止めております
 県教育委員会としては、市町村や文化財所有者等の団体の立場も踏まえながら、文化財の保存整備に支障が生じないよう、最大限の努力をしてまいる所存です。




 栄養教諭制度の創設と配置について

 このたびの栄養教諭制度の創設は、近年の子ども達の食生活の乱れや食に起因する様々な課題解決のため、各学校における食に関する指導の体制整備の必要性から行われたものと認識しております。
 県教育委員会としては、こうした法の趣旨を踏まえ、今後栄養教諭の配置の問題に取り組んで参る考えであります。
 

[再質問]

 三位一体改革についてもう一度お聞きします。
 さて財務省は公共事業国庫補助金が廃止されても、元々建設国債で賄っていたため、移譲すべき財源はないとしています。これは何を意味するのか。知事会などの提案通り廃止された場合、何も手が打たれなければ全国で7割、砂防の九割の事業が廃止に追い込まれる試算があります。本県では43億円程度とされましたが、それによって、県土木行政はこの先どういうことになるのでしょうか。
 先程の答弁では、知事は知事会議で確実な税源移譲と一体的に実施されることが廃止の前提条件であることを確認したとしていますが、知事会の確認事項イコール財務省の了解事項だと考えて良いのでしょうか。仮にそうでなければこの先どうなるのか。
 県行政の最高責任者として、自らの判断を県民にどう説明されますか、もう一度明確にお答え頂きたい。
 また、もう一点の義務教育費国庫負担金についてです。
 この提案は三兆円の廃止を@打ち出すための単なる数字合わせのような気がしてなりません。まず財政ありきで、地方分権的義務教育とはどういうものかについて議論を重ねることもないまま、国家の財産をいとも簡単に切り捨てて良いものでしょうか。
 NHK連続ドラマの「チュラさん」の舞台にもなった小浜島には、日本最南端の金融機関である郵便局があります。郵政民営化はそれを潰し、島民の生活を壊すことになるでしょう。そして、義務教育費の一般財源化は、この島の全校で確か13人の子供達から、生まれた島で教育を受ける機会を奪い去ってしまうのです。このままでいけば教育は東京で、という時代がくるかも知れません。
 財政の先にある人の暮らしや心という部分を踏みつけにしてはなんの意味もありません。特色のある教育とは、あまねく、行渡った教育の土台の上に築かれるべきものだと思います。知事は特色ある教育、個性豊かな子供を育てることに力点を置かれてはいないようですが、これはいわばエリート教育の発想であります。エリート教育の発想を義務教育全体に広げるのは大変危険でもあります。
 ところで知事は、「国家の力は地方に存する」という徳富蘆花の言葉をご存知でしょうか。
 今回の提案は、地方の犠牲の上に国家財政を立て直すことを地方が認めるものであります。蘆花の言葉を待つまでもなく、地方の危機は国家の危機です。国を思うが故に、地方の切実な声を国にしっかり届ける必要があると思うのです。そして、もう少し緩やかな改革案に変える必要があります。
 そこで、今のような知事の義務教育国庫負担制度の考え方で、教育の機会均等が維持できるのか、この件については改めて教育長にお聞きしたい。
 中小企業活性化対策における内需拡大ですが、これはやらないという風に聞こえました。財政とのバランスをとるということは現状ではそういうことです。200億円も向こう二年間で財政縮減を図らねばならないのは、一義的には歳入不足だからです。
 景気回復が全体として地域や企業に行き渡っておらず、消費が回復しないから税収が伸びないのであります。公共事業による内需拡大策を採ることは政治の責任です。観光立県はその具体策のひとつです。その一歩を踏み出さず、一時的な出費を恐れて財政事情とのバランスばかりにこだわっていては歳入不足はいつまでも続くことになる。時代環境からして、利益なき繁忙は続き、経済強者、弱者の二極化はひどくなり、社会は更に不安定要因を増していくと思うのですが、この点について再答弁を求めます。
 次に、「元気フクオカ資金」についてですが、これが実に評判が悪い。
 巷で経営者に聞くと、申し込んだ1〜2割くらいしか借りれてないのではないか、という答えが返ってきます。そんなことはないと思いますが、しかしこれが実感のようです。雨降りの傘になっていないのです。
 中小企業対策の要は景気対策と資金対策です。現在は二つとも機能していません。しかも資金対策で大きな支えになるべき信用保証協会がその機能を十分に果たしていない。保証協会の安定経営はもちろん望まれるところですが、それが中小企業の資金需要に応えることに慎重な結果をもたらすものであるなら、それは保証協会として社会的に意味のない姿なのであります。もっと泥まみれになって地域経済の中に入っていき、共に苦しむ姿勢を持たれることを希望します。
 最後に、養護学校高等部の適正配置と、看護士の配置、さらに栄養教諭の配置は喫緊の課題であります。速やかに対応されることを要望して質問を終わります。

[再質問答弁]

(知事の政治姿勢について)

 河川、砂防事業に係る国庫補助負担金の廃止とその後の事業実施について


 河川、砂防等の関連の国庫補助負担金を廃止する場合には、確実に税源移譲に結びつくことが是非とも必要であり、移譲された財源をもって必要な事業を実施していかなければならないと考えております。
  このため、今回の改革案においては、確実な税源移譲と一体的に実施されることを廃止の前提条件として国に求めているところであります。
  今後は、地方の要請により設置された「国と地方の協議機関」において、しっかりとこのことを国に伝えていくとともに、本県としても、全国知事会等と連携をとりながら、様々な機会を捉えて国への働きかけを行ってまいりたいと考えております。



 義務教育費国庫負担金制度の改革と教育の機会均等について

 今後の義務教育においては、国民教育としての内容と水準を確保しつつ、地方の裁量の幅を広げ、地方がそれぞれの考え方の下に特色ある教育を推進できるようにすることが重要であると考えております。
 教育委員会といたしましては、こうした教育水準の維持向上と本県の実情に応じた特色ある教育を推進していく上で必要となる教職員配置の確保に向けて、鋭意努力して参る所存であります。
 

 
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