トップ > 政治トピックス > 自民党県議団代表質問
 
   自民党県議団 代表質問 平成16年6月10日(木)   

   6月4日(金)に開会した6月議会は10日(木)、自民党県議団代表質問で口火をきりました。
以下にその質問と知事及び教育長の答弁要旨を記載します。

 

      自民党県議団質問内容
 

  知事の政治姿勢として、最初に県の行政改革の柱ともいうべき県立病院改革、つまりは民営化問題についてただしておきます。

 知事は今議会に関係三条例案を提案されています。
 改めて申し上げるまでもなく、今日の地域社会における医療・保健・福祉の実状を見れば、既に県立で病院を持つことの意義が失われていることは早くから指摘されてきました。ましてや多額の一般会計予算を投入しながら、なお赤字を続けるという状況は、本県の財政運営上重大な支障をもたらすだけにとどまらず、何よりも県民感情として許されるものではない、と私たちは判断しています。
 こうした立場から我が会派は、県が行革審答申に基づき、この民営化を提唱されて以来、一貫してその方針を支持し、実現を支援してきたところであります。
 しかし残された期間は本当に僅かで、今後の推移に強い危機の念を抱いています。そこで、今後円滑に移行作業が進められ、予定通り来年四月には、太宰府、朝倉、遠賀の三病院の民営化を実現して頂くためにも、今一度原点に立ち返ってただすべき点をただし、知事の明快なる方針と不退転の決意を求めたいと考えています。

 まず第一に、職員の身分保障についてであります。
 今議会に提案されている条例案は、いずれも民間移行のための、いわば受け皿準備に関するものであり、職員の身分について具体的に触れているわけではありませんから、今後の組合との交渉にすべてが委ねられていると想像します。
 果たして、残された今後の僅か1年足らずの間に、この職員の身分問題を解決できるのでしょうか。もともと、条例提案が今日までずれ込んだ最大の理由は、民営化のカギともいわれてきた、この職員の身分保障の問題を解決できずにきたからではないでしょうか。 私たちは昨年の議会から、この職員の身分問題について的確に対応できなければ、この病院改革は長い期間を要し、円満に解決できなくなることを指摘してきたはずです。
 さらに言えば、県立病院の民営化という県政にとっていわば大改革を進めるにあたり、早々と身分保障を約束したこと自体が、今日まで問題解決を遅らせる原因になってきたのではないでしょうか。
 確かに公務員については、その身分が民間企業と違って手厚く保護されていることは事実であります。しかしながら、大改革に当たっては違った角度から検討し、知事が大英断を下すことも求められていたはずです。

 そこでお尋ねします。
 麻生知事は、一体どのような考えのもとで、早々と職員の身分保障を約束されたのでしょうか。その見解をお示し下さい。
 また聞くところによりますと、退職の求めに対して、県職員の身分を求める人たちに対しては、派遣出向制度により身分を保障されるようですが、一体どの程度の期間を予定されているのでありますか。また、その人たちが出向期間を終えた後、県への復帰を更に希望した場合、県としてはどのような措置をとられるのでしょうか。中途半端な身分のままでは、職員も不安を抱くばかりであります。

 また、このような出向制度を採用した場合、病院では民間人と公務員とが混在することになりますが、果たしてそのような環境でこの民営化された旧県立病院が、地域医療の中心として立派に機能するものでしょうか。
 私たちは地域医療の低下が予め想定されるようなことならば、今日までの方針を変更しなければいけない岐路にも立たされるのであります。
 そこで以上の指摘に対する具体的な対応策の説明を含め、今日までの身分保障についての交渉経過と、今後の方針について、知事の明快なる答弁を求めます。

 次に、今回提案された条例案についてであります。移譲先団体は、どのような視点から選定し、かつ、今後どのような手順で、いつ頃決定されるのでしょうか。また、その後十七年春までに必要とする作業についても示して下さい。

 また、移譲先団体が限定されているようですが、いかなる見解のもとで限定されたのか。更には、資産を時価よりも安い価格で譲渡できるとされています。施設設備や運営費補助を行うことが出来るとされていることと併せて説明を求めるところであります。
 また、法律等により特別な事情にある太宰府病院については、開設者は現行通りあくまで県知事であり、指定管理者が、いわば民営化先となるようです。

 そこで、この指定管理者の選定についてはいつ頃までに決定するのか、また、知事と指定管理者は一体どのような関係におかれ、役割分担がなされるのかどうかについても詳しく説明を求めるところであります。
 以上、条例案に関しては詳細にわたり質問するところとなりましたが、原点の問題と併せて知事の答弁を求めます。

 

麻生渡知事 答弁要旨

(知事の政治姿勢について)

1 県立病院改革

 早々と身分保障を打ち出した理由について

  今回の県立病院改革は、県が進める行政改革の中で最も重要な柱であり、昨年十月に抜本的な改革計画を策定し、その実現に向けて鋭意取り組んできているところであります。

 この取組みにあたって、職員の身分保障は重要な問題でありますが、このような身分に関わる問題が明らかになった時点で、職員の間に不安がはしり、公務能率の低下やひいては住民に対する医療サービスの低下を来すおそれも考えられます。

 このため、職員の間での不安を払拭するため一般的に公務員の身分保障が厚くなっていることも勘案して、早い時期に身分保障を出したものです

 派遣出向の期間と終了後の措置について

  派遣の期間については、移譲先との協議にもよりますが、県としては、概ね五年間程度を計画しております。

 この間、派遣された職員については、派遣先で退職する者や、他の県立病院へ異動する者が順次出てくると予想されますが、派遣期間経過後は、残った職員について、その専門能力ができるだけ活かせるような組織に復帰させたいと考えております。

 民間人と公務員の混在による地域医療への影響について

 民間人と公務員とでは、これまでの職場環境の違いはございますが、医療人としての経験や自負心、地域医療に対する情熱や思いは同様であると考えております。

 したがいまして、新しい職場でも両者が十分に意思疎通を図りながら、大いに地域医療に貢献できるものと期待しております。

 身分保障についての交渉経過と今後の方針について

 県立病院改革にあたっては、職員の協力と理解を得ながら進めることが大切であります。

 これまで、県立病院改革の基本方針や身分保障のあり方について職員団体と協議を行ってまいりました。

 今後は、移譲先選定後、関係職員に対して、勤務労働条件を含む説明会を行い、退職者の募集や派遣出向者の選定を進めてまいりたいと考えております。

 移譲先の選定等について

 移譲先の選定につきましては、今議会で提案しております関係条例の成立後、速やかに県内の法人の中から移譲先を募り、移譲先等検討委員会からの基本的考え方や評価項目などの意見を踏まえて選定作業を進める考えであります。

 朝倉、遠賀の両病院については八月中を目処に移譲先を決定したいと考えており、その後、職員に対する意向調査や移譲先団体への事務引継を行い、十七年春の円滑な移譲を目指す所存であります。

 移譲先の対象範囲と資産の割引等について

 移譲先の対象範囲につきましては、移譲先等検討委員会の意見を踏まえ、地域住民が安心できるような地域医療に貢献する質の高い医療の提供と、安定した経営が期待できる移譲先を選定する観点から設定したところであります。

 また、移譲が円滑に行われ、地域医療が安定的に確保されるよう、資産の割引措置などを設けるとともに、施設の整備費や移行期の運営費に対する一部補助といった支援措置を講じて参る所存であります。

  指定管理者の選定について

 太宰府病院の指定管理者につきましては、今議会で提案しております条例の成立後速やかに対象法人の中から指定管理者を募り、選定作業を行い、九月議会で議決をいただけるよう進めて参りたいと考えております。

  県と指定管理者との役割分担について

 県は、施設の設置や整備、病院が担う医療機能等について、開設者として責任を持つことになります。

 一方、指定管理者は診療業務、職員確保などの病院運営、施設・設備等の維持管理、病院の使用料・手数料の徴収等の業務を行うこととなります。

次に同じく行革関連で、職員人件費問題についてであります。
 国の財政が先行き不透明な状況にあるようで、本県財政もまたしかりのようです。
 言うまでもなく、こうした時期における財政再建、健全化については、事実が捉えやすい歳出面、それも人件費の改善から取り組んでいくことが、誰もが考える最も賢明なやり方であり、県当局もそのように考えられていると思います。
 しかしながら、この人件費削減対策をどう進めるかという、現実、具体的なことになると、県当局は極めて及び腰になるという印象をぬぐえません。
 一例を挙げますと、昨年末の議会で、国の地方公務員給与費の見直しが伝えられる中、本県現業職員の給与水準が国に比して著しく高いのではないかと指摘しました。
 知事の答弁は、「全国二十二位であり、平均的な水準にある」と他県との比較の上で問題をそらしておられます。
 果たして国は、本年の地財対策で一部是正を講じていたのではないですか。
 定数削減に目標を掲げる提言についても、「市町村合併の進展など不確定要素を見極める必要がある」と、必ずしも意味のよく分からない理由を挙げて具体的な答弁を避けています。
 こうした中、連休明けの新聞報道などによりますと、国は地方公務員の給与見直しに、より一層取り組みそうなことは確実なようです。いわゆる「わたり」の是正であります。 そこで、この際改めてお尋ねします。
 本県では、聞くところによると、類似県に比べて職員の割合構成の中で、係長、補佐級が高いとの指摘がありますが、本当なのかどうか。また、大量の係長級昇進が本県給与のラスパイレス指数を引き上げる一因となっていると指摘があり、我が会派もしばしば耳にするところです。
 こうした意見について、どう考えておられるのか。直近の本県ラスパイレス指数について、一般・現業別にどの程度の水準なのかも併せて説明願います。
 また、人件費対策として、定数削減や給与の臨時カットといった従来の手法だけではなく、これまでの給与昇進運用を見直す考えがあるのか。能力、実績に基づく人事給与制度の導入検討を熱心に進められている知事として、早期に結論を出さねばいけない二百億円の追加措置に盛り込む考えがあるのかどうかも含めて、明確に基本的考え方を示し願います。
 さらに緊急の問題として、先に総務大臣が指示したとされる地方公務員の給与に地域差を設けることについても、知事はどのような所思を持たれているのか、見解を併せて求めるところであります。
 

2 人件費問題

 本県職員の給与水準について

 本県の職員の状況につきまして、係長級については、全国の平均より若干高い割合となっていますが、補佐級では、低く、全体として役付職員の割合は全国平均以下となっております。

 また、本県の平成十五年度のラスパイレス指数は、一般行政職が103.3、現業職員は125.3となっております。

  給与昇進運用の見直しについて

 職員の給与につきましては、条例で定める級別標準職務表に基づき、適正に格付けを行い、運用を行っているところであります。

 したがって、職員の給与制度上の格付けの問題と、今回財政事情により新たに取り組む緊急的な人件費抑制策とは別個のものと考えております。

  地方公務員の給与に地域差を設けることについて

 地方公務員の給与については、地域の実情が十分に反映されていないということから、そのあり方について、現在、国において人事委員会の機能強化や民間企業調査の対象範囲の論議がなされており、この動きを注視しながら今後考えてまいりたいと考えております。

 

  次に、先の議会に引き続き、危機管理体制の確立についてであります。
 ご承知のようにわが会派は、これまで再三再四にわたり、危機管理の専門家(エキスパート)が不在である本県の危機管理体制の弱点を指摘し、自衛隊OBの採用や自衛隊職員との人事交流を強く促して参りました。
 しかし知事は、「そこまで踏み込んだ形でいくことが効果的かどうか今後研究していく」と昨年九月議会で答弁されて以来、現在に至っても研究経過の報告もなく、具体的な進展が全く見られないのはどうしたわけでありましょう。
 この間、他の自治体では、退職自衛官の防災関係部局への配置が着々と進められているようです。平成十五年度には、長崎県や鹿児島県など十一団体、本年度からは神奈川県や京都府、福井県などをはじめとして十二団体で体制が整えられております。それ以前の配置を含めますと、現在、一都二十一県で二十七名、九市で十名になっていると聞き及んでおります。
 先般、わが国有事の際の国民保護法制も成立しました。「国民保護計画」の策定など都道府県の使命と責任が格段に高まることは明らかであります。単に災害事故だけでなく、戦争・テロ被害まで含む幅広い危機管理体制を早急かつ着実に整備せねばならない重大課題に直面している切羽詰まった現状認識を持って頂くべきです。
 自衛官やそのOBを危機管理のエキスパートとして防災担当課に配置し、危機に臨んでの戦略・戦術のノウハウを日々の業務を通じて県の職員と組織が学習し、吸収することが、「効果的かどうか今後研究」しなければならないほど難しい問題でしょうか。
 県政の各分野で民間人をいろんな形で積極的に登用されている知事が、なぜ自衛隊の専門家を活用することには、かくも慎重になられるのでしょうか。その真意がどこにあるのか全く理解できないのであります。
 危機管理体制の強化に消極的な知事の姿勢は、別の面でも現れています。
 本年四月一日現在の調査によると、都道府県における部次長級以上の防災・危機管理専門職の状況は、部長級以上を設置が十九団体、次長級以上を設置が三十七団体となっています。福岡県はそのどちらにも入っておりません。つまり、課長級しか設置していない十団体のうちのひとつであります。
 もちろん、部長級の専門職を設置すれば直ちに危機管理の体制強化につながるといった短絡的なことを言うつもりはありません。しかしながら、多数の都道府県が、危機管理にかかわる組織の見直しやエキスパートの採用などに積極的な姿勢で臨んでおり、福岡県のように自衛隊など関係機関との関係を共同訓練にとどめている県が少なくなっている厳然たる事実だけは、知事に十分認識してもらいたいところであります。
 また、有事をはじめ危機管理のフォーラムを予定している都道府県が十一団体、国民保護における地域の関係機関との連絡協議会、勉強会などを設置している都道府県が十八団体あると聞いております。残念ながら、いずれにも本県は入っておりません。
 そこであらためて、昨年の九月議会以降、我が会派のこれまでの指摘をどう受けとめ、どんな研究・検討を重ねてきたのか。また、最近の他県の状況などを勘案され、本県の危機管理体制の充実強化に向けて、とりわけ組織面でどのような取り組みをされる考えなのか、一歩踏み込んだ答弁を求めます。  

3 危機管理問題

 自衛隊OB等の採用について

 県と自衛隊との関係につきましては、これまでに、組織と組織という形で連携・協力体制を作り上げていくという考え方をとってきております。

 具体的には自衛隊・警察・消防等関係主要機関とのトップ会談及び実務者協議を定期的に開くことにより、緊急時に必要となる情報の交換を行い、また、迅速な派遣の実現等についての協議を行ってまいりました。

 今後とも、組織対組織の関係をさらに整備していくことで対応して参りたいと考えております。

 したがいまして、自衛隊出身のOBの方を採用することは、考えておりません。

 

 危機管理体制の充実強化について

 県といたしましては、災害やテロに対する危機管理面を強化するため、本年4月、消防防災課に担当参事を設置するとともに、防災担当の組織を強化したところであります。

 また、国会審議中の国民保護法案に基づき、武力攻撃事態等において県が重要な役割を求められることに加え、SARS、鳥インフルエンザなど、生活に重大な影響を及ぼす事象が生じてきております。

 県といたしましては、これらの問題に迅速かつ的確に対処することが、県民の安全安心のために重要であると認識いたしております。

 したがいまして、速やかに消防防災課をベースに組織を拡充し、一元的かつ効率的な危機管理体制を構築して参りたいと考えております。

 

 知事の政治姿勢としての四点目は、いわゆる産廃税の創設についてであります。
 この税は九州各県共通の税として4年間の長きにわたって検討され、来年度からの実施を目指して、本県議会に条例案が提案されています。
 私から申しあげるまでもなく、この税が目的税とされていることからも明らかなように、創設の目的が税収そのものにあるわけではないようです。
 現在、全国各地で深刻な問題を引き起こしている産業廃棄物の削減とリサイクルの推進、つまりは知事が日頃よく使われる循環型社会の形成を税の面からも促進していくことを目標としているものと理解しているところです。
 こうした観点に立ちますと、その税収の使途については、県税収入といえども現実に産業廃棄物対策に苦慮している市町村への財政援助や処理業者がさらなる適正に向けて取り組むための支援に向けられることが、税創設の意義に沿った最も大事なことではないでしょうか。
 そこでまず伺いますが、今回創設される産廃税については、一体どの程度の税収見込みのもと、その使途についてはどのような構想を立てられているのか、具体的に示し願います。

 産廃所在地の多くの市町村にみられることですが、住民とのトラブルが発生すると必ずと言っていいほど、地元サイドに立ち市町村と県との間で対立がみられ、そこには自治の一体性、つまり、県と一体になってこの産廃問題に取り組もうという姿勢がみられないことは誠に残念なことであります。
 確かに許可権者は県でありますから、一義的にその責任を負うことは当然としても、健全なる地方自治の建前から考えた場合、こうした姿勢は決して好ましいものではありません。また、産廃行政の推進の上でも支障となっていることは改めて指摘するまでもないことであります。
 こうした背景には乏しい市町村の環境予算では、独自で取り組めないという財政的制約もありそうです。
 そこで、税収を市町村への環境行政支援に回すことによって、財政的負担を軽くしてやるならば市町村と県とが一体となって産廃行政の推進の気運が生まれてくるのではないでしょうか。
 私が市町村への援助を特に強調したいのは、以上のような観点からであります。

 次に、今回創設されようとしているこの税は、中間並びに最終処分での二重課税を避けるため、税率調整を行うことと、一部地域への流れ込みを防止するために九州各県で共通実施することに大きな特徴があるとされています。
 とかく掛け声倒れだった「九州はひとつ」の理念が、この税の創設を通じて実り始めるのではないかと期待しているところですが、気がかりなこともあります。
 熊本県が中間処理については、課税を実施しないとしていることについてであります。このことが熊本県への産廃集中流入につながるのではないか、懸念する向きもありますが、九州知事会会長としてこの産廃税をまとめあげられた知事の見解を聞かせ下さい。

 また言わずもがななことかもしれませんが、ただでさえ不法投棄の多い九州において、この税創設がコスト増の面から、逆に不法投棄に拍車をかける懸念はないのでしょうか。
 また、税を払えば済むということが、逆に、産廃増大につながるとしたら税創設の理念と反対の結果を生むことにもなりかねません。 併せて知事の見解を求めます。

 次に産廃税を創設したからといって、適正な産業廃棄物行政が直ちに推進されるわけではないことは、この税の先進県で明らかであります。産廃税の立ち上げは、あくまで産廃行政の補完的なものであって、税の創設に過大な期待を抱くわけには参りません。
 従いまして、この産廃税を福岡県の新たなる産廃行政のスタートとしてもらいたいと考え、この問題に取り組む知事の抱負を改めて求めておきます。
 とりわけ、三月に一部マスコミが取り上げていましたが、全国で相当数の不用となった焼却炉が放置されたままになっているようで、本県にもかなり見られると指摘されています。その事実と対策も含めて説明願います。
 

4 産廃税など

 産廃税の税収見込みについて

 平成十四年度における産業廃棄物の処理実績を基礎に試算しますと、約六億円の税収となります。

 今後、排出事業者や処理業者について調査を行い、産業廃棄物処理の動向を把握した上で、平成十七年度の税収見込みを行ってまいりたいと考えております。

  税収使途について

 使途につきましては、排出事業者等が行う産業廃棄物の排出抑制やリサイクルなどの活動に対する助成のほか、不法投棄の防止対策等、産業廃棄物の適正処理体制の整備に関する施策に活用したいと考えております。また、アジアも視野に入れた環境を担う人材育成等の費用に充てることも検討しております。

 市町村への支援につきましては、処分場周辺の環境調査などが市町村によって行われておりますので、地域の実情に応じた支援策について検討していきたいと考えております。

  九州地方知事会会長として産廃税をまとめたことに対する見解について

 税制導入による排出抑制とリサイクル促進の政策効果を確保するためには、広域的に導入することが重要であり、先の九州地方知事会において、目的を同じくする税制の共同導入を通して、九州は一つという考え方のもと、環境政策を推進していくことについて合意したことに大きな意義があるものと考えております。

 各県においては、産業廃棄物の処理状況や実態が異なっていることから、制定される税制につきましてある程度の違いが出てくるものと認識しております。

 なお、熊本県につきましては、現在、税制度について検討がなされているところであります。

  産廃税の創設に伴う不法投棄や産業増大の懸案について

 不法投棄については一時的な増加も懸念されることから、監視体制の強化が必要であると考えております。

 現在、産業廃棄物の監視強化として、警察と共同で産業廃棄物運搬車両検問やスカイパトロールの実施、不法投棄の未然防止に向けたGPSとICタグを利用した新たなシステムの普及事業に取り組んでおります。今後さらに、関係機関と連携して不法投棄の防止対策の充実強化に努めてまいります。

 また、税制導入の効果につきましては、先行する県にみられますように、排出抑制が図られるものと考えております。

  産廃問題に対する取組みについて

 産業廃棄物税の導入は、経済的手法として事業活動全般にわたる排出抑制やリサイクル促進に効果を持つものと考えております。

 また、これまでの産業廃棄物対策に加え、税収を活用して排出抑制やリサイクルの一層の促進、不法投棄や不適正処理を防止するための適正処理体制の整備に積極的に取り組み、産業廃棄物行政の施策の充実に努めてまいります。

  不用となった焼却炉について

 平成十四年十二月のダイオキシン類規制強化に伴い、休廃止した廃棄物焼却施設につきましては、休止届及び廃止届の提出時に、焼却灰の適切な取扱いについて設置者を指導しております。

 また、廃止した焼却炉の解体・撤去につきましては、設置者自らの責任において、速やかに行うよう指導しているところであります。

 

 それでは次に農政問題に移ります。
 本県の農業施策の中で、全国からも注目されてきた高収益型園芸振興事業が、今年度で今回の五カ年事業の最終年度を迎えています。
 この事業は平成四年度からはじめられた県の単独事業で、現行の予算額十四億円という事業費は他県に例を見ない大がかりなものだと言われてきました。
 この事業の成果もあった現在、本県の農業産出額に占める園芸作物の割合は、主食の米をはるかに上回り、五十五%近くを占めるまでになってきていると聞いています。
 こうした事実一つをとってみても、もしこの園芸作物のがんばりがなければ、農業をめぐる厳しい国内外諸情勢の中で、福岡県農業の衰退は更に著しく、結果は惨憺たるものだったかもしれません。
 しかしながら、この事業の今後に当たっては、過去を検証し指摘しておかなければいけない多くの課題を抱えていることもまた事実であります。
 まず第一に、これまでに高収益型園芸振興事業に対して延べ百五十億円もの巨額の県単独予算を投入してきたことの明確なる実績とも言うべき本県農業全体の勢いや、農家経営が満足すべきものになっているかどうかであります。
 本県の農業産出額が平成六年度の二千九百億円をピークに減り続け、平成十四年度では二千二百六十三億円と平成に入って最低を記録していること、更に肝心の園芸作物全般についても、価格の低下などにより千三百億円台の前半で推移しています。
 ちなみに主力であるいちごは、十年前に比べ二割近くも低下しているようです。
 こうしたことを考慮すると、本県農業がこの巨額の県単独事業の推進によって着実に園芸農業にシフトしつつあると言ってみても、本県農業が抱える構造的な問題の解決が図られているとはまだ思えないようです。
 そこで以下の点についてお聞きします。
 まず第一に、この事業が創設された平成四年度以前と現在では、本県園芸農業の姿はどのように変わってきたのでしょうか。相対的に園芸の比重が高まっただけではなく、本当に足腰の強い農業が育ちつつあるのかどうか、十分なる説明を求めます。
 次に、本県産の園芸作物の評価は、最も産地間競争が激しくプライスリーダーといわれている首都圏市場で高まりつつあるのかどうか、現状を説明願います。
 第三に、この単独事業の来年度以降について、どのような方針で臨んでいくのか、知事の見解を示し願います。
 また、最終年度の今年度は要望が特に多く、その額が予算を大幅に上回っているようです。収入確保のために、一日も早く経営改善に取り組もうとする農家の想いに適切に対応していただきたい。このことについても明確なる見解を求めておきます。  

[農政問題について]

 本県園芸農業の変化について

 高収益型園芸事業の実施により、ハウスや省力機械が導入され、高品質な野菜や果実の生産が拡大するなど、園芸への転換が進んだことにより、平成10年頃までは産出額も伸びて参りました。

 しかしながら、その後、輸入農産物の増加により、野菜や果実の価格が低下し、園芸全体の産出額及び農家所得は減少しておりますが、大部分の事業実施者において販売金額や所得が伸びており、事業の成果は着実に現れていると考えております。

 本県園芸品目の評価について

 いちごを始めとする本県の主要な品目につきましては、積極的に新品種開発や品質管理、ブランド化対策を講じてきた結果、首都圏においては、他県産と比較し、一割程度高値で取り引きされています。

 しかしながら、全国的に価格が低下してきているため、更なるコスト削減はもとより、新たな品種や糖度を高める栽培を導入するなど付加価値を高めることにより、競争力のある産地づくりを進めて参ります。

  来年度以降の高収益型園芸事業について

 活力ある高収益型園芸産地育成事業につきましては、本年度その成果を検証し、事業の継続、再構築等の見直しを行うこととしたこともあり、予算額を大きく上回る要望が出されております。

 今後とも、意欲的な農業者の取り組みを重点的に支援するには、来年度以降、どのような助成措置が適当か、検討して参ります。

  本年度の高収益型園芸事業について

 高収益型園芸事業については、本年度、事業要望が非常に多いこともあり、地域間、品目間のバランス、市町村の意見などを考慮し採択しており、事業を見送らざるを得ない農業者については、事業計画や経営計画を十分指導し、来年度以降、どのような助成措置が適当か検討して参ります。

 

 次に教育問題に移りますが、まず最初に、先に長崎県佐世保市における小学六年生による痛ましい女子児童殺人事件についてであります。
 今回の事件は、校内で、また給食時間という教育活動中に児童が、日頃は仲の良いとされていた同じ女子のクラスメートにナイフで斬りつけて死に至らしめたという、かつて前例のないことだけに、学校や地域の父母は勿論のこと、全国民に与えた衝撃には測り知れないものがありそうです。
 またインターネットの書き込みをめぐるトラブルが原因とも見られ、我々大人の想定を超えた事件でもありました。
 県教委は、直ちに即日文書で県下の市町村に対して、児童生徒の安全確保について通知し、今後の事故防止について具体的な指導を図ったと聞いています。
 しかし、今回の事件は、三年前に大阪の池田小学校で起きた外部からの侵入者による児童殺傷事件と異なり、単に防犯、安全対策や、或いは危機管理の確立にはとどまらず、生命の尊厳という万人が最も大切にしなければいけない価値観がどう教育されてきたのか、いわば今日までのわが国の教育のあり方が問われているのではないか。そんな背景がありそうな気がしてなりません。
 子供を預かり育てるという教育現場の責任を今一度見つめて頂き、今回改めて図られた指導の内容や今後の取組も含め、教育の基本に立った教育長の決意の程をまずお尋ねしておきます。

 それでは次に、福岡県で昨年初めて実施した小中学校における県単独の学力調査についてであります。
 発表によりますと、小学校は概ね良好であり、中学校でも概ね良好とされ、ただ理科と社会において、基礎的・基本的な知識・技能に問題があるとされています。このことは我々が学校週五日制等で懸念していた児童・生徒の学力低下について、現状では一応心配ないと受けとめて良いのでしょうか。教育長の明確なる見解を求めます。

 また、この学力調査と同時に実施された教師の指導状況調査によれば、児童・生徒が課題別指導等について、効果を実感しているにもかかわらず、肝心の教師がこうした指導方法について、改善への取り組みを教科によっては殆ど行っていないとも指摘されています。確かに、習熟度別学習や少人数指導などは教科ごとに活用される学年の違いはありますが、今回の結果を見ますと、教師個々の力量の前に、まず校長を中心に学校全体でどのように取り組むかが問われ、それが実践されてきていないという事実が明らかになっているのではないでしょうか。県教育委員会として、このような課題に対して、今後各学校をどのように指導しようと考えているのかまずお伺いしたいところです。

 次に、学力と学習習慣・生活習慣の相関の関係についてであります。
 今回の調査結果をみますと、学力の高い子どもは、「本をよく読む」、「家庭学習によく取り組む」といった結果が出ており、改めて我が会派が提唱し続けている読書運動の正しさを再認識しているところです。しかしながら、学習習慣や生活習慣は、学校教育に増して、むしろ家庭教育の問題でもあります。そこで、今後どのように学校教育と家庭教育の連携及び家庭教育に対する支援の取り組みを進めようとされているのかについてもお伺いしたい。
 今回の全県的な学力実態調査の実施は、今後の本県における義務教育の在り方に大きな影響を持つと考えております。そこで教育長の的確な、そして真摯な答弁を期待するところであります。

 次に教員の資質問題についてであります。
 ただ今、学力実態調査から明らかになった課題のなかから、いくつか問題点を指摘して参りましたが、いずれにしても学校教育のあるべき姿を考えたとき、一番に問われることは教員の資質についてであり、これは論を待たないところであります。
 しかしながら、この教員の資質について、大変遺憾な調査結果が明らかになっています。
 それは、平成十五年度に本県における指導力不足、いわゆる不適格教員の認定数が、政令市も含めると五十人に及び、神奈川県に次いで全国二位であること、また、平成十四年度に精神疾患で休職した教員の数は全国で二千六百八十七人に上り、休職者に占める比率が初めて五割を超えたと報道される中で、聞くところによると本県ではずっと以前、なんと平成十年度から既に全体の五割を超えているということであります。
 昨年六月、我が会派が代表質問において、不適格教員問題について取り上げた際、県教委は「問題のある教員には免職処分も辞さない」という毅然たる方針を示しました。
 あれから一年が経過しています。
 適切な学習指導や学級経営、また生徒指導が出来ない、更には、社会性に欠けるなどの観点項目に照らして厳しく判定し、不適格と認定された教員についてどのように対応されてきたのか。これまでの具体的取り組みを説明願います。

 次に精神疾患による休職についてですが、本県においては既に以前から全体の五割を超していることについて、一体県教委は、その分析・把握をしっかりと行ってきたのかどうか。精神疾患により休職に至った教員はなぜそうなったのかを具体的に説明頂き、本県特有の問題ではないのかどうか、これに対する対策をどう行ってきたかをお聞きします。

 また、この際ですから、知事部局における休職並びに精神疾患による休職についても、人数、割合等々について、同様に併せてお聞きしておきます。 

(教育長答弁)

 佐世保事件に対する決意について

 痛ましい事件であり、大きな衝撃を受けているところであります。

 今回の事件につきましては、情報環境・人間関係能力等、様々な要因が指摘されていますが、一番大切なことは、命は再生できない、誰にとっても掛け替えのないものであるという認識を全ての児童生徒が具体的な体験を通して体得することであると考えております。

 このため、家庭や地域と連携した心の教育の充実や児童生徒の小さな変化を見逃さない指導体制の確立等を、県教育委員会の緊急かつ最重要課題として、市町村教育委員会と一体となって、取り組んで参る所存です。

  学力実態調査結果に対する見解について

 今回の学力実態調査の結果については、小学校六年生で概ね良好でありますが、中学校三年生では理科・社会で課題があり、全体的に見ると、基礎的・基本的な内容や学び型の定着が一層、必要であると判断しております。

 現在、各学校においては、調査報告書を綿密に分析し、自校の学力向上の取組へ反映させるなど、各教師の自覚を求めているところです。

 今後は、調査結果に基づく指導資料を作成・配布し、指導方法工夫改善による分かる授業の一層の推進や授業力量を高める教員研修の充実を図るとともに、統一学力テスト等の学力向上に係る事業の積極的な推進に努めて参ります。

  学校での学力向上の組織的取組について

 県教育委員会では、これまでも、学力向上に向けた取組を、学校全体で組織的・計画的に行うよう指導に努めてきたところであります。

 しかしながら、ご指摘のように、今回の調査において、児童生徒が効果を実感している習熟度別学習や少人数指導等の取組が、教科により不十分であるとの結果を得ています。

 今後は、今回の調査結果を、校長をはじめ全職員が真摯に受け止め、児童生徒の実態に即した発展・補充学習の設定や指導方法工夫改善に係る校内体制の整備等、学力向上プランに即した組織的取組の強化について指導して参ります。

  学力向上における家庭教育との連携について

 ご指摘のように、今回の調査結果において、正答率の高い児童生徒は、「本をよく読む」や「家庭学習にも積極的」等の傾向が見られ、学力と家庭における学習・生活習慣の育成等との相関が明らかになっております。

 県教育委員会では、家庭での学習・生活習慣の重要性について、保護者にも理解していただくパンフレットの作成・配布を行うとともに、すべての親が集まる学校行事等の機会を活用した子育て支援講座を学校・PTAと連携して開設するなど、効果的な事業の推進を通して、学校と家庭の連携強化に努めて参ります。

  不適格教員への対応について

 指導力等に問題のある教員への対応については、昨年末に、判定基準や手続を定めた要綱を策定し、県下の公立学校に周知の上、現在事業の本格的実施に取り組んでいるところであります。

 具体的には、昨年度末で、自主退職三名、本年度に向けて、研修継続七名、職場復帰五名、新規研修五名、合わせて二十名の判定と処遇の決定を行ったところであります。

 今後とも、適正な手続の下、対象教員の認定と適切な処遇を行うとともに、一人一人の課題に応じたより効果的な研修プログラムを策定・実施し、実効ある制度の運用に努めてまいる所存であります。

  精神性疾患による休職者対策について

 精神性疾患による病気休職者の増加は、全国的な傾向であり、本県に特有の原因や問題があるとは考えておりませんが、その背景には、職場や家庭の人間関係をはじめとするさまざまなストレスの増加があると考えております。

 このため、県教育委員会といたしましては、その予防策として教職員の心の悩みの軽減や解消のためメンタルヘルス事業を逐次充実するとともに、休職に至った教職員に対しては、平成十年度から、円滑な職場復帰を支援するための職場復帰訓練を実施しているところでございます。

 今後とも実態の把握と分析に努めつつ、こうした事業の一層の充実を図り、精神性疾患による休職者の減少の努めて参る考えであります。

(総務部長答弁)

 知事部局における精神疾患による休職について

 知事部局において、平成十五年度に病気により休職した者は、四十八人であります。
 このうち、精神疾患によるものは、三十二人であり、全体の六割を超えております。
 職員が心身両面の健康を維持することは、県行政を円滑に推進していく上で非常に重要な課題であると考えております。
 このため、引き続き、管理監督者に対する研修や職員に対する情報提供、職員相談室の活用など、積極的に職員の健康づくりを図る取組みを行ってまいる所存であります。

 それでは、次に警察問題に移ります。
 先程、けん銃等発砲をはじめとする暴力犯罪の根絶に向けて、我々県議会として全力で取り組むことを決議したところであります。そこで、暴力犯罪を取り締まる立場である県警として、今後どのような対策を講じていくのか、冒頭まず、警察本部長の決意のほどをただしておきます。

 さて本県では、平成八年に知事部局で、いわゆる旅費・食糧費の全庁ぐるみの不正支出問題が明るみに出ました。判明した総額六十一億円という巨額の不正支出金については、現在も職員が県に対して営々と返還し続けています。

 福岡県政に対する県民の信頼の気持ちを著しく傷つけた出来事でした。そしてその際「警察はどうなんだ。間違ったことはしていないのか」と追求の一端が県警にも及んでいましたが、「そのような事実はない」という毅然とした表明に県民は安堵していたと思います。
それが一体どうでありましたか。

 捜査報償費問題をめぐっては、既に去る五月十一日、具体的に住民監査請求があった銃器対策課に関して、県監査委員が県警本部長に対して、「捜査報償費の本来の目的からははずれて支出された金額と、返還すべき関係者を確定して県に七月三十一日までに返還すべき」という厳しい勧告がなされました。
 遺憾の極みであり、間違いなく県民には不信と怒りが募っています。
 今、国民の道徳・モラルなど、いわゆる規範意識の著しい低下により、ただでさえ犯罪が多発しています。加えて、かっては予想もできなかったネット犯罪や外国人犯罪も激増し、国民の中には「自分も犯罪に巻き込まれるのではないか」と不安に怯えながら暮らしている人も多い、といっても大仰でない時代になりつつあります。
 こうした時代こそ、まさに信頼の寄せられる県警であって欲しかったのでありました。
 県警に対する県民の信頼なくしては、福岡県の治安維持と県民の安心・安全な生活確保など到底期待できるものではありません。
 そこでまず、今回の事態と、信頼回復について県民の理解と共感が得られるよう、県警本部長の所信と決意の程を、この場で改めてお示し願います。

 また、当面の問題として、今回の勧告についてでありますが、本部長はこの銃器対策課についての勧告をいかように受け止め、具体的にどのような調査を進めているのか、返還金額と、返還すべき関係者、更にはどのような形で返還するのか。その返還方法についても、早期に確定し、期限について勧告通りに行うべきだと考えますが、その明確なる方針をお示し下さい。

 次にこの不正支出問題に関して、銃器対策課にとどまらず県下警察署四十署全部を含めた県警全職場で挙げて調査することを県警自ら明らかにしています。
 その際この調査について県警は、「県公安員会の監督の下、調査の公平性を確保し、その事実を県民にも明らかにする」との方針を示してはいます。しかしながら公安委員にとどまらず、いわゆる第三者を加えた調査実施を求める声も県民の間にはあります。
 そこで、この第三者を調査に加えることについての県警の明確なる見解とともに、県警全体の調査については、その結果と対応策をいつ頃までに示す見通しになっているのか、説明を求めます。

 また、監査では「基本経費として会計課が引き去ったものについて、捜査報償費の本来の目的のために使用したと検証されない限り不適正支出と判断せざるを得ない」と勧告されいますが、そもそも基本経費とはいかなる性質のものなのか、その説明も含め調査の進捗状況の説明を求めるところであります。

 最後に、この捜査報償費に関しては、本県県警だけにとどまらず、北海道警等でも期せずして同様の問題発覚がマスコミで報じられています。
 このことを考えますと、この捜査報償費については、制度や執行方法に、もともと適正さを欠き、不正を招く構造的な要因が潜在しているのではないか。このように感じられてなりません。
 そこで、今後に向けた制度的改善策とあわせ、本部長の見解をお聞きしておきます。

(警察本部長答弁)

[警察問題について]

  今後の暴力犯罪対策について

 まず、暴力犯罪根絶に向けての取り組みについてでありますが、県警察では、これまでも暴力犯罪根絶のため、総力を結集した取締りをはじめ、行政、地域住民等と連携した暴力団排除活動を推進しているところであります。

 特に、北九州地区における工藤會対策につきましては、昨年八月、小倉北区内において発生した手榴弾投てき事件以降、これまでに十一回におよぶ集中取締りを実施し、組長を含む幹部等263人を検挙するなど、相当の成果を収めているところであります。

 しかしながら、昨年は二件であったけん銃等の発砲事件が、本年度に入り、北九州市議会議長や県議会議員宅に対する発砲事件をはじめ、既に、十一件発生しております。

 この種事件は、一般県民の生命が危険に晒される極めて悪質、かつ、許し難い犯罪であることから、県警察と致しましては、これら発砲事件の検挙をもとより、銃器犯罪の根絶を目指して、暴力団関係者等が隠匿所持するけん銃等の徹底押収に努めているところであります。

 このような厳しい状況下におきまして、先程の県議会における発砲事件を始めとする暴力犯罪の根絶に関する決議や知事からも暴力団対策への特段の予算措置をいただいており、県警察と致しまして、誠に心強い限りであります。

 これを受けて、暴力犯罪の根絶に向け、県警察、行政機関、地域住民が一体となった諸対策をより一層強力に推進していくことを、ここで決意表明させていただきます。

  県民の信頼回復について

 次に、今回の不適正経理の問題と信頼回復についてお答えします。

 銃器対策課については、これまでの調査において、実際の執行と異なる会計書類が作成され、捜査報償費の一部が捜査員らの激励費等に使用されていたことが明らかになっております。
 県警察が行うあらゆる活動は、会計経理に限らず、法的根拠に基づき、適正に進めていくことが基本であります。
 今回、不適正な予算執行が認められたことは、誠に遺憾であり、県民の皆様に深くお詫び申し上げます。
 現在、私を長とする調査委員会におきまして、徹底した調査を実施しているところであり、早期に全容を解明し、県民の信頼を一日も早く回復したいと考えております。

 具体的な調査内容及び返還方法とその期限について

 次に銃器対策課に関する監査委員の勧告につきましては、重く受け止め、真摯に対応して参りたいと考えております。

 具体的な調査状況についてでありますが、平成十年度、平成十一年度に執行された捜査報償費について、捜査員から

○支払い状況や対象となった事件の捜査状況の再聴取
○勤務記録簿や旅行命令簿等による勤務実態の確認
○出張先や宿泊先への事実確認
等により、対象事件ごとに調査を行っております。

 この調査結果を踏まえて早期に返還金額、返還方法等を確定し、勧告に定められた期限までに返還したいと考えております。

 第三者の参加による調査及び本調査の結果とその対応策について

 次に調査に第三者を加えることについてでありますが、捜査報償費等の執行は、個別具体的な事件捜査及び個人情報にかかわることであり、外部の方による調査は、そぐわないと考えております。

 本件につきましては、公安委員会から監察の指示がありましたので、県民の良識の代表である委員によって構成された公安委員会の管理の下に厳正な調査を行い、「自らの意志で自ら正す」ことを堅く決意しているところであります。

 次に現在実施しております、全所属に対する平成十年度から平成十五年度までの捜査報償費、旅費、交際費及び食料費の執行についての調査につきましては、本年末までに調査結果及び改善策について、県議会を通じて県民の皆様に報告したいと考えております。

  基本経費の性質と本調査の進捗状況について

 次に基本経費についてでありますが、現在、「基本経費」なるものは存在しておりません。

 これまでの調査により、当時、本部会計課が捜査報償費交付時に銃器対策課を含めた本部の一部所属から、捜査報償費の一部を基本経費として受領し、特捜本部への激励費等に使用されていたことが判明しております。
 金額、使途等については、現在調査中であります。

 捜査報償費の構造的要因と今後の制度的改善について

 最後に改善策についてでありますが、今回の捜査報償費の不適正執行は、

○幹部及び捜査員の会計経理に対する認識の甘さがあった
○幹部を含めた捜査員が、捜査報償費の執行手続きや会計書類作成要領を熟知していなかった
○捜査報償費の執行システムが、現場で臨機応変に対応する必要がある捜査活動に必ずしもそぐわない面があった
ことなどが考えられます。

 これらの反省を踏まえ、当面、

○内部監査を強化し、監査結果については公安委員会に報告する。
○幹部に対する会計経理に関する研修を実施する。
○捜査員については、「捜査のための捜査費経理の手引き」を活用するなどして、適正な執行手続きを理解させる。
等を行うこととしており、さらに、今後の調査結果を踏まえ、予算、制度的な改善策を講じて参りたいと考えております。

 

 
  トップ > 政治トピックス