自民党県議団質問内容
バブル経済崩壊から、約十二年間が経過しました。この間の日本は景気低迷により全てに元気をなくしたといわれ、俗に、このことを「失われた十二年」とか言っているようですが、先に発表された景気見通しでは、この長い景気低迷からやっと脱却し、明るい兆しを見せ始めようとしています。
昨年十月から十二月までの実質経済成長率は年率にして七%にも及ぶ最近にない高い率になるとか。その数字はにわかには信じがたいところですが、バブル後の最悪期から反転し、水面上に浮上し始めたことは間違いないようです。
そこで、今、やっと我が国に明るい兆しが見え始めた変化の中にあって、福岡県行政はどうあるべきか、そのためには県の財政構造はどう改革されるべきかなど、これより各方面にわたりお聞きして参りたいと思っています。
知事はじめ執行部の皆様の「明るい日本」、そして「力強い福岡県づくり」を目指した答弁を期待して、ただ今から質問に入ります。
それでは、まず最初に、知事の政治姿勢として財政問題についてお聞きします。
知事は、先に予算規模一兆五千百二十一億円の平成十六年度一般会計当初予算案を本会議に提案されました。総額規模では、対前年度比〇・八%減、一般歳出規模では一・七%減、いづれも平成十四年度以来三年連続して前年度予算規模を下回る超緊縮予算であります。
県税関連収入が最近の景気回復の兆しを反映して、前年度に比して二百五十一億円の増収見込みになっているとはいえ、誠に厳しい地方財政対策の影響を受け、地方交付税は百五十九億円、五・五%と大幅な減少になっております。
一方、県債は来年度の地方財政対策に伴う赤字地方債(臨時財政対策債)の大幅な減少もあって前年度七・〇%減となっているものの地方交付税など一般財源の不足を県債で補てんしたため、発行総額は二千百四十四億円と依然、高水準にとどまっております。
補助七・四%、単独六・四%減という公共事業の大幅な縮減にもかかわらず、こうした状況にあることは、やはり異常なことと言わざるを得ません。
加えて、最終的に三百五十六億円の財源不足を穴埋めするために、財政調整基金など三基金を二百九億円取り崩すとともに、九十億円の財政健全化債と五十七億円の地域再生事業債を発行するなど、本県財政の危機的状況が引き続いているのが一目瞭然な予算案となっております。
こうした危機的状況を思わせるものになった新年度の本県一般会計予算案の背景を考えてみますと、まず、国の地方財政対策が国の想像を超えた厳しさであったことが挙げられると思います。
投資的経費や給与関係経費などに思い切った見直しが行われるなど広範な分野で経費圧縮の徹底がなされています。この結果、地方交付税は、実質的な交付税ともいわれる臨時財政対策債も加えると実に約三兆円、十二%もの減額になっています。
いわゆる三位一体改革ではいくらかの改革措置が盛り込まれてはいますが、地方自治体にとっては、これまで通りの小手先だけのやりくりでは健全な財政運営を到底維持することができない、まさに困難な時代を迎えたといえると思います。
そこで知事にお尋ねします。
今回の三位一体改革を含む国の地方財政計画について、知事はどのように評価されているのでしょうか。
とりわけ、一兆円を削減した国庫補助負担金の中で、これに伴い義務教育費国庫負担金のうち退職手当、児童手当に関する所要額二千三百億円が「税源移譲予定交付金」として措置されました。また、公立保育所運営費など一般財源化された四千二百億円については、所得税の一部が所得譲与税として自治体に交付されることにはなりましたが、所得税、消費税など基幹税の本格的な地方への税源移譲には至っておらず、後年度に大きな課題を残しています。
地方交付税や国庫補助金を廃止や削減して基幹税の地方への税源移譲については、真の地方分権を推進していくうえで大きな契機となる半面、地域経済にばらつきが大きい現状では、インセンティブとしては、四十七都道府県、或いは全国約三千の市町村で極めて温度差があり、心配や懸念が強いものでありました。
知事はこの点についてどのような立場と見解に立たれているのかお示しを願うとともに、今回の一連の改革による本県への影響、つまりは一般財源化された国庫負担金と税源移譲予定交付金、所得譲与税の収支状況について詳細な説明を願いますとともに、県下各市町村についても概観的な説明を求めるところであります。
次にいづれにしても、国は平成十八年度までにさらに三兆円の国庫補助負担金の削減を計画し、地方交付税の一層の圧縮も予想されるところです。
地方に対する基幹税の移譲による真の意味での地方税源の拡充強化を早急に求め、実現していかなければならないところですが、もはや単に国にその実現を要請する時代ではありません。福岡県として本当に望ましい地方財政制度の姿を具体的にデッサンして国や知事会に突きつけ議論を主導していく積極的姿勢、戦闘的姿勢が絶対に欠かせません。
昨年の十二月議会では、地方交付税の意義、機能などについて知事自身による経済界に対する啓発を進める重要性を強調したところでもありますので、今後の三位一体改革についての知事の見通しをお聞きするとともに、こうした制度設計に取り組む決意があるのか、経済界に対する働きかけを含めあらためて知事の基本的な考え方と強い決意をお尋ねします。
次に、県税収入についてであります。
県税等で前年比で二百五十一億円、四・七%、県税のみでも百七十七億円、三.九%の増収を見込んでおられます。最近の景気回復基調を踏まえられてのことだと考えますし、我々としても是非、そうあってほしいと願うところではありますが、今ひとつ個人消費や雇用情勢がはっきりしないなかでは慎重を要するとの見方も有力であります。
そこでまず、知事は本県の景気見通しをどのように認識されているのか、また来年度の税収をどのような根拠に基づき見積もられたのか、見積もりに無理はないのか、主要な税目について納得のいく説明を求めます。
また、来年度税収の発射台となる本年度の税収を最終的にどのように見通しておられるのか、昨年十二月議会では、三十億円程度の増収が見込まれることを明らかにされていますが、この際あらためてお聞きしておきます。
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麻生渡知事 答弁要旨
(知事の政治姿勢について)
1 新年度の予算編成方針と今後の財政運営
三位一体改革を含む地方財政計画に対する評価について
今回の三位一体改革において、所得贈与税が創設され、基幹税による税源移譲の道筋が開かれたことは大きな成果であります。
他方、税源移譲額は、国庫補助負担金の削減額をはるかに下回っていること、また、地方の標準的な行政サービスに必要な財源を確保するという、地方財政計画が果たしてきた役割に鑑みると、地方交付税等について、事前の十分な議論もなく、十二パーセントも大幅に削減したことは、誠に遺憾であると考えております。
三位一体改革推進に当たっての立場・見解と本県への影響額について
三位一体改革の本質は、国庫補助負担金を廃止の上、地方に税源移譲することにより、国と地方の税源配分を見直し、地方の自由度の拡大を図ることにあります。
一方で、基幹税による税源移譲が行われたとしても、税源の偏在は解消されないところから、地方交付税が有する基本的機能を維持していくことが不可欠であると考えております。
次に、今回の三位一体改革の本県財政への影響ですが、国庫補助負担金の削減に伴い、一般財源所要額が百二十億円増加するのに対し、歳入として税源移譲予定特例交付金と所得譲与税の合計で百八十億円が見込まれることから、差し引き六十億円の増となります。
一方で、地方交付税と臨時財政対策債の合計で、前年度に比べ、四百二十六億円の減収を見込んでおります。
この地方交付税等の減の中には、三位一体改革の実施による歳出の抑制だけでなく、税収の増に伴う交付税の減という要素も含まれており、正確な影響額を算出することは困難ですが、仮にこれらを合算した場合、三百六十六億円の減収となるものであります。
三位一体改革の県内市町村への影響について
国庫補助負担金の改革では、両政令市を含めた県内市町村を合計すると、公立保育所運営費負担金及び介護保険事務費交付金などの廃止・一般財源化で約百十九億円の減収となる一方、所得譲与税による増収は約八十四億円であります。
また、地方交付税と臨時財政対策債で、約六百五億円の減収が見込まれる中、歳出の見直しや基金の活用などによる財政運営で対応している市町村もみられるところであります。
今後の三位一体改革の見通しについて
今年度の三位一体改革を踏まえ、二月下旬に九州地方知事会長として、「三位一体の改革に対する緊急提言」を取りまとめ、小泉首相をはじめ、主要な政府機関に対し、要請活動を実施したところであります。
また、三位一体改革の意義を広く訴え、国民運動的に盛り上げていくため、本年五月、全国や九州ブロックの地方六団体との共催による列島縦断シンポジウムを実施する予定であります。
経済財政諮問会議においては、三位一体改革の全体像について、本年六月を目途にとりまとめる方針を示していることから、これに向け、三位一体改革が真の地方分権に資する改革となるよう、関係者と一体となりながら積極的な活動を行ってまいる決意であります。
今後の地方財政制度のあり方について
地方の独自性を高めるため、地方税等の自主財源の充実を図ることが最も重要であると考えております。同時に、地方団体間の財源調整をどのように行うべきかという問題がありますが、その場合、あるべき地方行政サービスの水準についてどう考えるかという根本的な課題もあるところから、他団体とも連携しつつ、全国的な視野で検討していくことが必要であると考えております。
こうしたことから、全国知事会の「財源調整に関する研究会」に参画し、検討を進めてまいる所存であります。
本県の景気見通しについて
本県の景気は、好調なアジア経済等を背景に平成十五年の輸出は過去最高額となり、生産も自動車などが好調なことから総合生産指数が改善するなど、全体としては回復しつつあります。
今後、アメリカや中国など世界経済の動向に十分注視する必要がありますが、このような輸出・生産における上向きの動きが、雇用や個人消費の改善に繋がり、景気の本格的回復が期待される段階にあると考えております。
来年度の税収見込みについて
来年度の県税収入については、現在の税収の動向や各種の経済指標、企業に対する聞き取り調査の結果などを総合的に判断して予算を計上しております。
来年度の法人県民税・事業税については、景気の持ち直しを反映し、卸・小売業、運輸通信業をはじめ化学工業や自動車関連の製造業などが好調なことから、前年度当初予算比十一・五パーセントの増収が見込まれます。また、地方消費税や不動産取得税においても増収が見込まれることから、県税全体で前年度を百七十七億円上回る額を計上したところであります。
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次に、本県の財政構造改革についてお聞きします。
本県では、平成十四年二月に「財政構造改革プラン」を策定し、事務事業の見直し、職員定数の削減、給与費の抑制、アウトソーシングの推進などに積極的に取り組み、平成十八年度までに特例県債からの脱却と財政調整基金の取り崩しのない予算編成の実現を達成目標として掲げてきました。平たく言えば、借金や貯金の取り崩しに頼らなくても予算が編成できるように行政改革を進めて、本県の財政体質を変革していこうというものだと理解してきました。
この財革プランによる平成十六年度の収支見通しは、歳出一兆五千四百二十八億円、歳入一兆五千三百二十八億円で、財源不足百億円を特例県債九十億円と基金取り崩し十億円で補填する計画で、収支はほぼ均衡に近づく予算の姿をイメージされていたのではなかったでしょうか。
しかしながら、新年度の現実の予算案の姿はいかがでしょうか。財革プラン上の百億円の財源不足見込みに対して、実際には三百五十六億円となり、これの手当として財政調整基金等三基金の取り崩し額は二百九億円に及び、特例県債等による補填額も百四十七億円に達し、財革プラン上の計画額とははるかに乖離したものとなっていますし、緊急改革措置なるものがなければ、このプランとの乖離は更に大きなものになっていたのではないでしょうか。
私たちはこのような事態を早くから懸念し、昨年の議会でも一貫して財革プランの大幅見直し、あるいは抜本修正を提案して参りました。
これに対し、知事は国の三位一体改革の不透明さなどを理由として、その大幅見直しを控えてこられました。
確かに昨年までだったら、三位一体改革を理由とした手控えもある程度の説得力がありますが、この改革の初年度分が明らかになった今日では、これを理由に躊躇することは最早許されない状況となっています。
それは、今後ますます国庫負担や地方交付税の大幅減額はあっても増えることはなく、巨額の財源不足はますます激しさを増すことが確実に予測されるためであります。
新年度でも三百五十六億円という巨額の財源不足を生じているなかでは、平成十八年度までに特例県債からの脱却と基金取り崩しに歯止めをかけるとした二つの大きな目標を掲げた財革プランの実現は到底困難であり、最早現行プランはその機能を喪失していると言わざるを得ません。いや、既に平成十六年度の予算案で破綻していると言えます。
そこで、プランが既に破綻していることの検証も含め、以下の点についてお尋ねします。
まず最初に、新年度予算案で財革プランの目標を上回る実績二百九十四億円の改革措置を講じる一方で、六十四億円の緊急改革措置を追加したことを強調していることについてであります。
しかしながら、改革措置が目標を上回った主な要因は、国の対応に連動した期末手当の引き下げに伴うものがほとんどであります。他方、我々が財革プラン当初から指摘し、プランに盛り込まれている調整手当の引き下げは如何でしょうか。既に本年度当初から二・五%に引き下げるようになっていたはずです。
また、退職手当の見直しは手つかずになっています。追加の緊急改革措置も二十五億円は元県社会教育会館跡地等の売却見込みによる財産収入で、これは一過性のものであり、後年度への効果は期待できません。
更に改めて、事務事業費の見直し等を含め、六十四億円を捻出するとした緊急改革措置と財革プランの二本建ての趣旨が今ひとつ理解できません。
あえて二本建てにした趣旨を明快にして頂くとともに、特に追加措置では具体的にどのような改革措置を盛り込まれているのか、また当初予算によって来年度末の三基金残高と県債残高をどのように見込んでいるのか、また、調整手当については、何故目標達成が遅れ二・七五%にとどまっているのか。
それぞれについて詳細に説明した答弁を頂きたいと思います。
次に、いずれにしても財革プランについては、知事自身が既に機能していないということを率直に理解し、改めて中期的展望をもった新たな改革措置が求められる極めて切迫した状況に直面していることを認識されるべきであります。
そうでなければ、本県財政は一段と悪化し、取り返しのつかない危機的様相を深めることは必至です。正確な収支見通しとそこから明らかになる財源不足額は、県財政を安定化と健全化に向けて適切に導く羅針盤であり、羅針盤をもたなければ大海を漂う小舟になることは目に見えています。
従って、今回の三位一体改革を踏まえられ、早急に財政収支見通しや財革プランの見直しに取り組まれるべきだと考えますが、知事の基本的な考え方をはっきりと明確にお示し下さい。
また、既に準備を進められているのなら、新たな財政収支の見通しとその考え方、また新たな恒久的改革措置について、決意のほども含め答弁を求めておきます。
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平成十六年度当初予算における追加改革措置について
平成十六年度の当初予算編成の過程において地方交付税と臨時財政対策債の大幅な削減が行われることとなったので、これに伴う財源不足額を少しでも抑えるため、現行の財政構造改革プランに基づく各種の改革措置に加え、緊急的に追加の改革措置を講じたところであります。
その内容としては、建設事業費の規模抑制や事務事業の見直し、土地売却の促進などであります。
来年度の三基金残高及び県債残高について
平成十五年度の二月補正予算において、県税の増収や歳出の節減努力などにより、百三十億円程度三基金の取り崩しを縮減できる見込みであります。
その結果、平成十六年度末の三基金残高は、五百四十億円程度となり、また、一般会計の県債残高は、二兆三千八百八十億円程度になるものと見込んでおります。
調整手当の支給率の引き下げについて
調整手当の支給率につきましては、平成十六年四月から現行の三%を二・七五%に引き下げることとしております。
当初計画では、平成十五年度から二・五%に引き下げることとしておりましたが、十四年度と十五年度にかけての給与減額改定により人件費の抑制が図られたこともあり、二・七五%としているものであります。
今後は、引き続き、国における調整手当の引き下げの実施時期とのバランスを考慮しながら二・五%への見直しを行ってまいります。
財政収支見通し及び財政構造改革プランの見直しについて
三位一体改革により地方財政の枠組みが大きな転換期を迎えており、また、経済情勢や税収の動向などが大きく変化している中で、今後の収支を正確に見通すには不確実な要素が多いものと考えております。
しかしながら、平成十八年度までの収支を見通しますと、今回実施された地方交付税等の抑制措置が今後とも継続するものと考えざるを得ず、その結果、財源不足額が拡大し、平成十九年度以降の予算編成に支障を来たすことも予想されるところであります。
このような状況を踏まえると、平成十九年度以降においても予算が安定的に編成できるよう、少しでも多くの基金を確保していく努力をする必要があると考えております。
このため、行財政改革推進本部の中にプロジェクトチームを速やかに設置し、財政構造改革プランに掲げる改革措置に加えて、事業費の見直し、人件費の抑制、歳入の確保などについて、全庁的な観点から見直しや点検を行い、平成十八年度までに一般財源で二百億円程度の効果を上げることを目標に、新たな改革措置に取り組んでまいります。
個々具体的な改革措置の内容と規模については、今後、行財政改革推進本部の中で様々な角度から検討を行い、決定していきたいと考えております。
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次に職員の福利厚生問題についてお聞きします。
県職員の福利の増進を図る目的を持って設立された財団法人として、(財)福岡県職員互助会があります。
県とは独立した法人であるとはいえ、理事長は総務部長、副理事長は職員長と県職労執行委員長、常務理事は厚生課長と県職労副執行委員長となっており、その他の理事や監事も含めての役員は、県当局側から九人という構成であって、全く県の身内のみからなる閉鎖組織であります。
この県庁身内閉鎖組織の活動財源には、県職員たる会員の掛金のほか、少なからぬ県の補助金が注ぎ込まれています。
互助会の事業内容は、会員が災害などにあったとき助け合う各種の給付事業や福利厚生事業など多岐にわたっております。
このような互助会の事業が会員の掛金のみによってまかなわれているのであれば、我が会派は、議会で取り上げることは致しません。 しかし、互助会には、この厳しい財政難時代にあって、二億八千万円余の県の補助金が注ぎ込まれております。しかれば、我が会派としてもその運営に重大な関心を持たざるを得ないのであります。
そこで、互助会の行っている事業を一覧してみたところ、一般県民の目から見て、明らかにおかしいと思われる事業があり、驚愕しました。それは、福利厚生事業のうちの選択制助成事業であります。
この選択制助成事業とは、県職員とその家族が互助会の定める一七の助成対象メニュー(これをカフェテリア事業というそうです。)を利用した場合、一年間の利用総額の半分を、職員一人当たり二万四千円まで、家族一人当たり二千円まで、つまり、夫婦と子ども二人家族であれば年間三万円まで助成するものであります。そのメニューの内容を覗いてみますと、なんとそこには、テーマパーク、遊園地等レジャー施設の利用料、ゴルフ場、ゴルフ練習場の利用料、映画、観劇、スポーツ観戦のチケット料、バス日帰りツアー代など驚くべきメニューが並んでいるのです。
これは、県職員やその家族が遊興に費やした費用の半額を三万円まで互助会が負担するものであります。
一般県民、民間人であれば、当然これらの費用は、身銭を切っている代物であります。
会員一万人として単純に単価三万円であれば、三億円であり、これは丁度、県が補助している全額に見合うものです。極言すれば、県は互助会を通じて職員の遊興費を配っているわけであります。これは、公務員の給与条件法定主義にも、もとるものではないでしょうか?。
我が会派は、県職員の遊興に県費が使われることを断じて許しません。
互助会は、その会員の相互扶助精神により、会員の掛金によって運営されるものとし、県の補助金は、当然、全額廃止されるべきではありませんか。
このようなことが行われるのも、互助会が県当局と組合との慣れ合いの、閉鎖組織であるからです。この際、互助会が財団法人とはいいながら、ヌエみたいな得体の知れない存在から脱却するためにも、また、県民の視点から見て、おかしくない事業を行っていくためにも、その理事や監事などの役員に、県庁以外の外部のものを入れ、開かれた組織にするべきではありませんか?。
そこで、職員互助会に関するただ今の二点について、知事の決断を求め見解をお示し願います。
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県職員互助会への補助金について
職員の福利厚生につきましては、県は使用者としてこれを計画、実施しなければならないこととされておりますが、その実施に当たっては、職員相互の扶助という考え方を取り入れ、職員も経費を負担することで、事業の効果的実施を図っております。
このようなことから、本県では条例により県職員互助会を設置し、事業費の三分の一程度を県が負担しているところです。
選択制助成事業の対象メニューにつきましては、今後、本来の事業目的に照らして見直してまいります。
県職員互助会役員の外部からの受け入れについて
福利厚生については、職員の自主性を尊重しながら、企画、実施することが、より、事業の効果をあげるものと考え、互助会役員につきましては、職員の中から選任していますが、監事のうち、一名については民間の公認会計士を充て、適正な運営に努めているところです。
しかしながら、互助会事業のあり方については、外部からの意見を聴くなど今後、その仕組みについて検討してまいります。 |
次に、またしても明るみに出た職員の不祥事問題についてであります。
県土木事務所の職員が収賄容疑で逮捕、起訴されるという不祥事が発生しました。
大変厳しい行財政環境の中、多くの困難な課題を抱え、全職員が一丸となって県政の推進に当たらなければならないこの折りに、大変残念であり、遺憾であると言わざるを得ません。
しかも、平成十三年度に行橋土木事務所で収賄事件が発覚し、県を挙げて再発防止の取り組みを進めている最中であるのに、県民の県政に対する信頼を大きく損なう、かかる汚職事件がまたもや起こったということに、憤りすら感じています。
平成十三年以降、実に四年連続、汚職事件で職員が逮捕されるのは四回目であります。
もちろん、この四年間に明るみに出た事件そのものは、県挙げて再発防止対策に取り組む平成十三年度以前のことでありますが、県民はそのような事実は斟酌しません。
依然として、福岡県で汚職事件が相次いで起きていると見なし、県政の在り方に不信を募らせていることを、知事以下の皆さんが深く自覚するべきであります。
これまで不祥事発覚のたびに、公務員倫理の確立を約束してこられました。
もはや、倫理確立にとどまらず、一歩も二歩も踏み込んだ、場合によってはリスクをも伴う防止対策を打ち出すべき時を迎えているのではないでしょうか。
例えば民間では、遵法意識の高揚と定着を図り、企業倫理を確立する、いわゆる「コンプライアンス」といわれる取り組みが盛んとなっております。その中で、従業員が法令違反行為などに対して内部告発する制度が設けられていることは、周知の事実であります。いくつかの自治体でも同様の試みが、既になされていると聞いております。
また、これまでの収賄事件は、ほとんどが公共工事の入札・契約をめぐるものでありましたが、今回は、用地補償に関して起こった贈収賄の事件であります。入札制度については、予定価格の事前公表の実施など、不祥事の再発防止の意味からも着々と改善がなされてきております。この事件の真相は未だ明らかにされておりませんが、これを契機に用地補償についても、その在り方を見直し、改善を図る余地はないのでしょうか。
本県においても、新にこうした取り組みも含めた、有効な再発防止対策を策定し、不祥事の根絶を期す必要があるのではないでしょうか。知事の不祥事防止に向けての切実なる決意をお聞かせ下さい。 |
職員の不祥事再発防止について
土木部職員の収賄という、県民の信頼を損なう不祥事が続きましたことは、大変遺憾であり、深刻に受け止めております。
職員が違法行為等を内部から通報する仕組みの導入については、不祥事の防止や早期発見等の効果があると思いますので、職場や職員に与える影響等も十分に勘案しながら、今後、具体的検討を行ってまいりたいと考えております。
さらに、用地補償業務について、補償金の提示方法の改善、土地収用制度の的確な活用、各段階でのチェックの強化など、透明性、公正性を一層高める改善を行うとともに、倫理研修の推進など、職員倫理を確立する取組みを徹底し、不祥事の再発防止に全力を尽くしてまいる考えであります。 |
さて知事の政治姿勢として最後に、福岡県政のなかでの危機管理体制の構築について、見解と対応をただしておきます。
平成七年の阪神淡路大震災やオウムサリン事件、あるいは平成十三年に世界を震撼させたアメリカにおける、いわゆる同時多発テロなどをきっかけに、危機管理と万全の防災体制の確立について、県民の関心が非常に高まっております。
これは、ただ今例に挙げたグローバルな事件はもちろんのこと、平素でも台風や水害が、このところ本県でも多発し、県民自らの生命・財産がいつ何時侵されるかもしれないという不安や心配に、常にさらされているためでもあります。
ところで、こうした県民の心配や不安をやわらげ、また、いったん緩急ある時には、敏速に対応して被害を防止し、安心、安全な県民生活を守っていくうえで、本県行政をじっくりと考察したとき、極めて気がかりなことがあります。
そのひとつは、あらゆるケースに対応できる危機管理のエキスパートの不在であります。
わが会派が早くからOBも含め、危機管理の専門家としての自衛隊職員の県行政への登用を促してきたのも、こうした観点からでありましたが、今日なお実現をみるには至っておりません。
次に、消防、防災体制を確立するうえで、極めて重要なことは、優秀な消防職員、消防団員の養成でありますが、この点について、極めて不十分な環境にあるのではないかということであります。
言うまでもなく、こうした県下市町村消防職員や消防団員の教育訓練は、法に基づき県消防学校で行われています。ところが、この学校は建設以来既に三十年を経過し、施設の老朽化には著しいものがあるためです。この三、四年をみただけでも、毎年小規模な補修・改修工事費が計上されていることが、この老朽化を物語っているといえます。
また、最近では、女性消防団員の教育訓練の機会もめっきり増えてきましたが、現在の県消防学校はこれに十分対応できるような施設にはなっていないと聞いています。
更に、昭和四十年以降、福岡県においても、県下各地区で消防署など常備消防が設立され、大量の消防職員が採用されてきました。既に四十年経て、この方々がこぞって退職する時期となり、再び大量の消防職員を市町村で採用しなければいけない時期をやがて迎えます。しかし、現在の県消防学校では、大量の入校生を受け入れることは到底不可能なはずです。
そこで、知事は本県消防学校の現状をどのように認識されているのか、まず、お示し頂きたいと思います。さらに、私たちとしては、県民生活から不安や心配を取り除き、安心、安全な暮らしを守る立場から、一日も早く新しい消防学校構想を構築すべき、と提案しますが、知事の決意の程をお聞きします。
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2 県の危機管理、防災体制の確立など
消防学校の現状と今後の対応について
消防・防災の第一線に立ち県民の安全を守る消防職員や消防団員を育成する消防学校の役割は、極めて重要であります。
消防職員の大量退職に伴う入校者の増加につきましては、平成十六年度からの国の教育訓練基準の改正により初任教育が年二回実施可能となったことから、対応はできるものと考えておりますが、一方、施設としては築後三十年を経過しております。
今後は、県内における消防教育の拠点として求められる消防学校の新しい機能を充実する必要がありますので、カリキュラムの変更など教育内容の充実とともに、これに必要な施設整備などについて、幅広い観点から検討して参りたいと考えております。 |
なお、この際ですから、福岡県警の信頼と威信を著しく揺るがせた、大牟田署員による少女連れ去り事件にひとこと言及し、警察本部長に改めてその所信のほどをお伺いしておきます。
今回の事件につきましては、今議会の冒頭におきまして、本部長から既に陳謝されたところではあります。
しかしながら、今、いたいけな子供たちが連れ去られるという事件がただでさえ全国で頻発し、地域社会に大きな不安を与えています。
こうしたなかで今回の事件は、現職警察官が引き起こしたものだけに、県民に与えた不安、不信、衝撃には図りしれないものがあります。
単に、警察学校卒業後間がない若い警察官の不祥事として済ますことはとうてい許されないところであります。
そこで、警察本部長にお尋ねします。
今回の事態をどう受け止めているのか、また、再発防止対策にどう取り組んでいくのか、更に、信頼回復に向けた決意を併せてお聞かせください。
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−警察本部長答弁−
まず、今回の事態をどう受け止めているのかについてお答えします。
県警察を挙げて治安回復に取組み、地域住民の皆様の治安回復への気運の高まりによる自主防犯活動が活発になっている中で、また、児童連れ去り事件などの社会的弱者を対象とした犯罪が多発している状況下で、現職警察による卑劣な犯罪が発生したことは、二重の意味で県民の皆様の警察に対する信頼を大きく裏切ることとなり、断じて許されるものではありません。
また、治安回復のため、多くの警察官が職務に精励するなか、その職にあるまじき行為であり、誠に痛恨の極みであります。
改めまして、被害者及びその御家族の皆様方並びに県議会をはじめ県民の皆様に対し、深くお詫び申し上げます。
次に、再発防止対策についてお答えします。
現在、佐賀県警察において、所要の捜査が行われているところであり、犯行に至る背景、原因、動機等は判明しておりませんが、県警察と致しましては本事件を深刻に受け止め、直ちに警察本部職務倫理委員会を開催し、原因・動機などを調査・究明していくとともに、不祥事案の防止に関する「緊急通達」を発出したところであります。
本通達では、当面の措置として、
○ 所属ごとの職務倫理委員会の開催による再発防止対策の樹立
○ 三〇歳未満及び勤続三年未満の警察職員を対象とした研修会及び個人面接の実施
について、全所属に指示したところであります。
その推進状況につきましては、監察官により検証していくこととしております。
なお、今後、
○ 採用試験における適正な人物判定
○ 警察学校及び職場実習中における職務倫理教養の充実
○ 青年警察職員に対する生活指導の強化
など、組織的、制度的な対策を早急にとっていくこととしております。
最後に、信頼回復に向けた決意についてお答えします。
この度の事案を厳粛に受け止め、警察職員の倫理教養を徹底し、再発防止対策に万全を期していくことは勿論でありますが、県警察の最重要課題であります治安回復に向け、
○ 暴力団の壊滅
○ 来日外国人犯罪の取締り
○ ひったくり、車上狙いなどの街頭犯罪の取締り
などに、全職員が一丸となって誠心誠意取組み、県民の皆様の信頼を一日も早く回復していかなければならないと、固く決意しているところであります。
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それでは次に、福祉問題として高齢者介護保険制度の充実問題についてお尋ねします。
介護保険制度がわが国でスタートして、今年で早くも5年目を迎えようとしています。このため、当初から予定されていた五年後の本格的制度見直しが、現在国で進められているようです。
想い起こしてみますと、この介護保険制度の創設に当たっては、国民の間で随分と論議を呼び、心配や不安を招きました。
例えば、保険制度という実施手法についてであります。世界でもドイツに次ぐ二番目の例だけに、「本当に保険でうまくやれるのか」と懸念は絶えず、一部には、この制度が「保険あって介護なし」に終わると酷評する人もいました。今日もなお、保険制度を廃止して全額税で負担すべきと主張する人がいます。
また、今後ますます顕在化していく高齢社会の中で、核家族化と相まって、高齢者の介護を家族だけに委ねることが出来ず、社会全体でお世話していこうというのが、この制度の趣旨であったわけですが、わが国における伝統的な家族制度をさらに崩壊させることにつながりはしないか、という心配にも根強いものがありました。
このほか、事業全体としての市町村の財政問題、介護サービス事業者の問題、介護認定制度など挙げたらきりがありません。
そこで、まず知事にお聞きします。
四年間を振り返って、知事としてはこの介護保険制度について、どのような所感を抱いておられるのか、本県における介護認定者数、利用者数、介護給付費など介護財政の現状説明と併せ、率直にその見解をお示し願います。
また、この四年間のなかで、本県としてはどのような点について見直しが必要と考えられ、国に要望されてきたのか、とりわけ、低所得者については、現行の五ないし六段階制の保険料制度や一割の利用者負担は改善が求められ、生活実態に即した十分な配慮が必要だと思います。本県では、市町村単独で保険料や利用料の軽減措置を図っているところが、二十六市町村に及んでいますが、こうした措置に対する県の所感も含め、方針をお示し下さい。
次に、これは極めて本県特有の問題のようですが、本県には七十一の市町村で作られた介護保険行政だけの「広域連合」があり、この規模の大きさは他県に例がありません。先に、この広域連合は連合としての同一料金制を断念し、市町村別に利用に応じて保険料を三段階制とし、平成十七年度からの実施を打ち出しています。
今本県で進行している市町村合併を背景としての複数制保険料の設定のようですが、県としてはこの件をどのように捉えられているのか。本来、保険料は同一が望ましく、複数制を採用するならば、広域連合の意義も薄まると感じられますので、見解をお示し下さい。
次に介護事業者の問題です。
架空請求、水増し請求などにより、本県で事業者としての指定取り消しが、他県と比べて、このところ際立って多いようです。その実態を全国比較のなかで明らかにして頂くとともに、これまでとかくサービス量の確保に追われ、このため一部の不心得な業者の存在も許してきたのではないか、このような気がしてなりません。厳正に対応するとともに、今後は「質の確保」に向けた県の方針をお示し下さい。 |
3 介護保険制度の充実について
介護保険制度の現状と見解について
介護保険制度につきましては、現在、在宅・施設サービス事業者五千五百余を指定し、要介護認定者数十七万四千人余のうち十三万五千人余が介護サービスを利用しており、特に在宅サービス利用者は制度施行当初の二・三倍に当たる約十万人となっているところであります。
また、今年度の介護給付費総額につきましては、昨年度を七%程度上回る約二千三百七十億円となる見込みであります。
介護保険制度は、施行四年を経過する中、概ね円滑な実施と定着が図られていると考えております。
低所得者対策について
県としましては、国に対しまして、介護保険制度の安定的運営に向けて、調整交付金の別枠化やグループホームの住所地特例、低所得者対策の確立等を要望してきたところであります。
特に、低所得者対策については、低所得者の生活実態に即した負担軽減措置が講じられるよう、引き続き要望して参るとともに、保険者に対し、保険料・利用料の減免措置が講じられるよう助言指導に努めて参る考えであります。
広域連合の三段階保険料について
広域連合におきましては、現在、均一保険料で運営されておりますが、今回、市町村合併に伴う経過的な措置として三段階保険料の導入の検討がなされております。
県としては、導入に当たっては、構成市町村において、十分な議論が尽くされ、適正な保険者運営の確保が図られるよう助言指導に努めて参りたいと考えております。
介護事業者への指導強化について
介護報酬の不正請求や不適正な処遇等により本年度中に指定取消しを受けたものは、全国で八十一事業所でありますが、本県においては、これまでも集団指導、実地指導の効果的な実施に努めるとともに、不正に対しては厳正に対処し、十四事業所の指定を取消したところです。
今後とも、事業者指導の強化をはじめ、保険者等と連携し介護給付適正化システムの活用による介護報酬やケアプランの点検、さらには、介護サービス評価事業の導入により、介護事業者の適正な運営の確保に努めて参りたいと考えております。
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それでは次に環境問題として、まず地球温暖化防止のため、県の取組みについてお聞きします。
今、地球環境を考えるうえで最も大きな課題は、温室効果を持つ炭酸ガスの増加による地球温暖化対策であるといわれています。
もし現状のまま、大気中の炭酸ガス濃度が増加していけば、今世紀半ばには、地球の平均気温が一.五度から四.五度くらい上昇するのではないか、と専門家の間では指摘され、炭酸ガスの排出を減らすことは、もはや国レベルの問題にとどまらず、私は地方自治体や、さらに県民一人ひとりが取組む課題になっていると考えているところです。
そして、炭酸ガスを発生させる化石燃料に代わる新しいエネルギーの開発と利用が最も効果的であることは言うまでもありません。
こうしたなか、知事は昨年七月に催されたある講演会で、太陽光発電に触れられ「環境問題を考えた時、太陽電池は二十一世紀最大の商品になるのではないか」と指摘されていたと聞いています。さすがであります。
確かに太陽エネルギーは、クリーン・無尽蔵で世界中のどこでも利用できるという理想的なエネルギー源であります。
しかも、この太陽光を利用した家庭用の発電システムは既に実用化され、一部では普及し始め、公的助成も図られつつあるようです。ところが、問題はまだコストが高いことにあります。
標準的な家庭用システムで約三百万円かかるとか。多くの家庭に広がるためには、普及拡大による大量生産により大幅なコストダウンが図られなければ困難のようです。そのためには、県民への啓発が極めて重要だと考えています。
既に、県の施設にも幾分かは取り入れられているようですが、知事が講演会で述べられたような想いには、至っていないのではないでしょうか。
そこで、官民を問わず、県での普及実情を示して頂くとともに、家庭での大幅な普及を図る観点から、啓発も含めて、県の施設への積極的導入を促すところですが、知事の抱負のほどをお聞かせ下さい。
次に、産業廃棄物の処分場建設問題についてお尋ねします。この問題が、全国各地はおろか県内各地でも住民に深刻な生活不安を招き、依然としてトラブルの原因になっていることは、ご承知の通りであります。
こうしたなか、本県においては、先に公共関与による新宮町での産業廃棄物の最終処分場建設計画を中止し、これまでに注ぎ込んだ県負担分だけでも四億円余という巨額の債権を放棄するという議案を、この県議会に突如として提案されています。
県として、この種の債権放棄に同意を求める議案を提出されるのは県議会史上初めてとかで、我々としても極めて慎重なる対応を求められるところであります。
そこで少し、この公共関与による処分場問題についてただして参ります。
もともと新宮町の同処分場建設計画は、県が計画した公共関与によるものとしては、他に先駆け第一号として完成されるべきものでありました。
福岡都市圏で増え続ける産業廃棄物に比して民間による処分場の建設が進まず、経済・産業活動の停滞を招く恐れにもなりかねないところから、計画されたものでした。
その際、なぜ県が中心となり近隣市町村が参画して事業主体となった、いわゆる公共関与型による建設が計画されたのかと言えば、民間企業による建設があまりにも多くの住民トラブルを招き、産廃処分物の処分場そのものが極端に罪悪視されかねない状況に陥っていたためだと理解しています。
このため、民間に先駆け公共関与によるモデル的なものを建設し、民間企業に処分場開発がスムーズに進められるよう誘発していこうという願いも込められていたはずであります。
それだけに、今回の債権放棄は、大変厳しい財政事情のなかで、単に四億円という県民にとって巨額の財産が消えてなくなるということにとどまらず、今後の産廃行政のあり方にも深く関わってくる重大な事件であります。
勿論、こうした経過の中で、新宮町の建設中止については確かに県議会にもその方向性が早くから相談されてはきました。
但し、一番重要なことは債権放棄、即ち県民の財産が失われることについては、これまで説明がなかったことであります。
このように巨額の債権放棄を必要とするのならば、その額が少なくて済むもっと早い時期に断行すべきことでもありましたが、如何でしょうか。
そこで以下の点についてお聞きします。
まず第一に、何故、債権放棄しなければいけないのか、他に手だてがなかったのか、ということであります。放棄対象の環境保全公社が今後とも存続するのであれば、債権はそのまま継続することも可能なことではないかと考えられますが、如何ですか。
また仮に、止むを得ない措置であった場合、その責任の所在を明確にし、県民に十分なる説明と理解を得るべきだと考えます。県同様に債権放棄を求められた福岡市は、先にこの債権放棄同意議案に同意しています。知事はどのような見解をもたれているのかも併せて明快なる説明を求めます。
加えて、この事業を進める過程で、県では約七・四ヘクタールの土地を、県土地開発公社に九億八千万円で先行取得させています。いずれ県が買い戻すことになっているのでしょうが、処分場事業を中止した今後、この土地はどうするのか併せて説明願います。
次に、この種の債権放棄は、バブル経済の崩壊とともに、わが国社会の各方面で多発しています。
地方公共団体でも長崎県では住宅供給公社が債務超過に陥って、特定調停を提起しているため、県としての対応を迫られているようですが、本県でそのような事態が懸念されるところは他にないのでしょうか。またそうした状況に直面した場合、県としては今後どのような対応策をとっていかれるのか、その方針をお示し下さい。
次に、今回の新宮町の事業断念は、久山町における産業廃棄物の処分場の事業完了による閉鎖と相まって、当面県の公共関与による計画は白紙となってしまいました。
経済状況の低迷とリサイクルの進展により産業廃棄物排出が大幅にダウンしつつあるとはいえ、もとより私たちは産業廃棄物の処分場建設が不必要になったという観点には立っていません。
とりわけ、公共関与による処分場建設は、民間による事業展開がますます困難になっている今日、新たな取り組みが早急に求められていると考えております。県としても構想を進められているようですが、改めてお聞きしておきます。
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(環境行政について)
太陽光発電の普及状況と県施設への導入について
県内における太陽光発電の普及状況は、平成十六年一月現在、約六千百件、出力では約二万四千キロワットとなっており、件数、出力とも全国の約5パーセントを占めております。
本県施設につきましては、改築時における県立高校や道路の安全施設などに導入を図ってきたところであり、また、九州国立博物館へも導入することとしております。
今後とも、太陽光発電の導入について、普及・啓発に努めて参りたいと考えております。
環境保全公社貸付金債権を有したままでの公社の存続について
環境保全公社は、処分場事業とリサイクル総合研究センター事業を行って参りました。
処分場事業につきましては、将来の目途が立たず、これ以上の負担を避けるべきと考え、今回思い切って、事業から撤退をすることと致しました。
他方、リサイクル総合研究センター事業は、リサイクル技術のみならず、社会システムの開発を産学官民で総合的に進め、環境リサイクル産業の育成を図るなど、本県の環境施策の大きな柱である循環型社会づくりを目指す重要な役割を担っているものであります。
公社は、処分場事業の撤退に伴い、法人として、債務超過となりますが、公社に残すリサイクル総合研究センター事業は、収益をあげるものではなく、債務超過のままでは、法人として、健全な状態とは言えなくなりました。
このため、今回、債権放棄により債務を整理し、リサイクル総合研究センター事業を引き続き実施することで、環境保全公社を存続させることとしたものであります。
環境保全公社貸付金債権の放棄に対する認識について
産業廃棄物につきましては、民間で処理することとされておりますが、民間処理が、住民の不信感から、進まない状況であり、このままでは、最終処分場の容量が不足し、処理が困難となることが予想されておりました。
これらのことから、公共関与による処分場の必要性が強く主張され、本県においても、福岡市などと共に公社を設立し、久山処分場事業及び新宮処分場事業に取り組んできたところであります。
久山処分場事業につきましては、安定型処分場として供用を開始し、平成十五年十一月にその目的を達成し、事業を終了いたしました。
また、新宮処分場事業につきましては、管理型処分場として計画いたしましたが、計画地のみならず、関連する下流地域においても、多くの懸念や反対が広まりました。
加えて、用地の買収も進まず、また、廃棄物処理法が改正され、構造基準や維持管理基準が大幅に強化されたことから、処理施設に要する投資額が、膨大なものとなりました。処分場に搬入される廃棄物の処理料金は、極めて高いものとなり、搬入が限られ、採算の見込みが立たない状態に立ち至りました。
この間、「公共関与による産業廃棄物処理検討委員会」を設置し、議論の上、新宮処分場事業につきましては、今後の公共関与による産業廃棄物最終処分場の確保の進展を見ながら、中止を含めて検討すべきとの提言を頂き、報告いたしたところです。
この提言を受け、このまま事業を継続することは、将来、より大きな負担を背負うこととなることから、思い切って、事業を中止することとしたものです。
県、福岡市及び公社は、事業の遂行に努力してまいりましたが、結果として、債権を放棄せざるを得ない事態となったことにつきましては、大変申し訳なく思っております。
以上、申し述べさせていただきましたような事情でございますので、何とぞ、御理解いただきますようお願いいたします。
新宮処分場用地の活用について
新宮処分場用地につきましては、現在、その周辺道路の整備も進んでおりますことから、利便性や将来性も高まるものと思われます。
この土地の効果的な利用につきましては、地元の新宮町と協議をしながら、幅広く検討して参りたいと考えております。
公社等外郭団体の経営悪化への対応について
本県の住宅供給公社を含む三十九の公社等外郭団体のうち、土地開発公社以外は、債務超過の状態にはありません。
土地開発公社については、三億円弱の債務超過となっていますが、現在その計画的解消に努めているところであります。
今後とも、各団体に対する適切な事業計画の策定指導や、外部専門家を活用した経営点検の実施により、経営悪化の未然防止に努めて参る考えであります。
今後の公共関与による処分場の確保について
新宮処分場事業を中止いたしましたが、公共関与による処分場確保につきましては、国が提唱する広域的廃棄物処理センター構想により進めてまいりたいと考えております。
この構想について、今年度、事業規模、事業採算性などが検討されております。
今後は、廃棄物の発生を抑制し、資源化減量化を図るとともに、国及び関係機関との協議を通じ広域的廃棄物処理センター構想を実現し、廃棄物の適正処理に支障がないよう努力して参ります。
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次に農政問題についてであります。
特に本県農政が直面しているいくつかの課題に視点を当て質問をいたします。
まず第一は新たな広域農協合併についてであります。昭和四十八年度に農協系統組織全体として決議された「二十三農協合併構想」については、平成十五年度に、スタート当時の九十九農協が二十五農協となり、大枠として目標を達成したところであります。
しかし、今日の農業を取り巻く厳しい環境は、二十三農協構想の達成程度では到底解決できないことは目に見えています。
このため、JAグループ福岡は昨年十一月末の農協大会において将来の激しい環境変化に対応し、強固な農協組織・事業・運営を確立するため、県内を福岡、久留米、小倉の三地区に分け、二十五農協を三農協とする新たな合併構想を決議しました。
この本県JAグループの取り組みは高く評価されるところですが、考えてみますと、昭和四十八年から三十年かけ、やっと所期の目標を達成したところであり、当たり前に進めていたのでは三十年はおろか五十年かかるやも知れず、正直なところ、日暮れて道遠しの感は否めないところです。
また、一つの問題として今平成の市町村大合併が着実に進められております。これまでの協議のなかでは、農協合併の方向性と市町村合併の方向性に食い違いがあり、、今後このことが更にひどくなっていけば、非常にバランスが悪いものとなりかねません。県としても確固たる方針のもと、今後しっかりと指導していかなければならない大きな課題を与えられたといえます。
次に、FTAについてであります。農産物の洪水のような輸入は一向に収まらず、生産者の苦悩は深みを増しておりますが、世界の貿易を取り仕切るWTO新ラウンドは、先進国対途上国の折り合いがつかず長期化することが予想されます。
そうしたなか、自由貿易協定、いわゆるFTAがそれに代わるものとして大変活発化してきております。
今、わが国はメキシコとのFTAが山場を迎えておりますが、豚肉、オレンジジュースというわが国にとって簡単に門戸を開くわけにいかない重要な品目について交渉が激しくなっているところです。
また、昨年十二月には韓国との交渉がスタートし、本年一月にはマレーシアと、二月にはフィリピン、そしてタイとの交渉も、既に始まりました。
これらの国々との交渉の妥結内容如何では農業、農産物に大きな影響を被る恐れがあり、県としても、早め早めに対策を講じていくことが必要であると考えます。
次に鳥インフルエンザについてであります。
我が国では、山口県で発生した鳥インフルエンザが、関係機関の素早い対応で感染を封じ込め、また、本県が感染源でないことも確認され胸をなで下ろした矢先の去る二月十七日、今度は大分県で発生が確認されました。どちらについても発生原因は未だ究明されていません。発生農場から半径三十キロメーター内の一ヶ月間の移動制限がなされたことから、もしも本県で発生したならば、ほぼ全県的に網がかかり、想像しただけでも大変な不安に駆られるところです。
また、東南アジア諸国では、人にも感染した事例が見受けられ死者の数も増え続けております。大変深刻な問題です。
農政問題の最後は、水田農業についてであります。先の十二月定例会で指摘し、県の対応を求めてきましたが、新しく制度的に創設された産地づくり交付金が、本当の意味で産地を作り上げる経費として活用されるよう知恵を出し、新たな本県の水田農業を作り上げていく基盤として頂きたいものであります。
そこで、以上の問題について以下知事に具体的にお尋ねいたします。
まず、農協合併に関し、三農協構想の実現を図るためには団体自らの強い意志と着実な実行が何よりも必要ですが、加えて広域農協と市町村との関係などこれまであまり問題とならなかった点が出てきており、三農協合併を進めて行くには県の強力な指導が必要と考えますが、どのように対応されるのか伺います。
また、広域合併の促進については、仮に三農協構想が進めば、現行の全中、県中央会、そして単協という三段階の系統体制についても、県中央会の必要性、つまりは二段階制への移行や、監査業務だけに機能を特化するなど大幅な見直しが求められてくると考えますので、知事の率直な意見をお願いします。
次に、FTAに関し、締結後に想定される農産物の輸出攻勢に対し、米をはじめ県内農産物対策をどのように講じていく考えなのかお尋ねします。また、一方では本県の高品質な農産物や加工品については、逆に輸出の可能性も高いものと確信しますがアジアに向けた輸出戦略について、今後の方針についてお尋ねします。
さらに、最近、熊本県で開発したい草が中国において栽培され、畳表となって逆に輸入されており、税関で急遽ストップをかけるという事態が発生しています。
イチゴをはじめ、本県では独自に開発した育成品種も多く、海外に流れる危険性を極めて深刻に捉えておくべきです。これを防止するためには、海外における農産物の知的財産権の確保を図るべきですが、具体的にどのように行おうとしておられるのか、お尋ねします。
次に、鳥インフルエンザについてであります。本県でも発生はあり得るとの立場で、万一本県で発生した場合の蔓延防止対策については予めシュミレーションしておくべきです。
また、本県において人への感染の未然防止、及び人への感染が確認されたときの対策を早急に組み立てるべきと思いますが、知事はどうお考えなのでしょうか。
また、この際極めて重要なことは、動物の専門医の集まりである獣医師会の参画も得て、対策を立ち上げるべきです。これまで公衆衛生の観点では、医師会など三師会にとどまっていたのがとかくの例でしたので、併せて伺っておきます。
次に、地域水田農業ビジョンの策定に関し、交付金の使途も含め、水田ビジョン作成の進捗状況をお尋ねします。また、集落等への生産目標数量配分のための地域協議会の開催状況及び水田ビジョンの集落等への説明の状況はどの程度進んでいるのかお尋ねします。
さらに、市町村ごとに転作作物への交付単価を定めると、同じ農協管内の生産者で受け取る交付金額に格差を生じることとなり、生産者の意欲が減退することが懸念されます。これについては、どう指導されていく考えでしょうか。特に、麦大豆については県はこれまで生産を推進してきましたし、今後ともこの方針だとしても、将来的に価格が安定しなければ農業者は安心して作ることができません。今後の麦大豆の推進について県の方針と具体的な支援策をお尋ねします。
また、農政問題の最後に、いずれにしましても園芸産地の育成も含めた水田農業の構造改革を推進していくためには、現場に密着して農業者の指導に当たっている農業改良普及センターの役割が極めて問われてくると思います。活動の充実強化に向けて、その所見を伺っておきます。
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(農政問題について)
新広域農協合併構想への県の対応について
新たな合併構想の早期実現は、地域農業振興のため必要であると考えており、今後、県中央会が中心となって発足予定の合併推進プロジェクトに参画し、農協系統が目指している概ね十年を目途に合併が達成されるよう、助言、指導してまいります。
新広域農協合併構想に伴う県中央会の見直しについて
県中央会は、県下農協の経営指導や監査などに大きな役割を果たしており、今後、新合併構想の進展に伴い、その機能がより適切に発揮される方向で、見直しが検討されるものと考えております。
FTA(自由貿易協定)を視野に入れた県内農産物対策について
どのような国際貿易の枠組みの下でも、本県農産物の安定的な需要を確保していくためには、消費者の心をとらえ、その支持を得ていくことが最も重要であります。
このため、「あまおう」などの高品質な農産物の開発や減農薬・減化学肥料栽培の普及により、消費者の求める美味しく、美しく、安全・安心な農産物の生産・供給を進めるとともに、地産地消の推進や都市と農村の交流を通じ、農業・農村の持つ公益的機能に対する県民の理解を促し、消費者に支持していただけるよう努めて参ります。
アジアに向けた農産物輸出戦略について
香港では、量販店でのあまおうなどの販売に加え、新たな需要開拓のための日本料理店への県産食材の売り込み、また、福岡ブランドの認知度向上を図るため、統一マークを作成し、国際商標出願の手続きを行っております。
さらに台湾での輸出支援体制を整備し、量販店のバイヤーや輸入業者との商談を実施するとともに、上海では、国際見本市への出展をとおして試験輸出を進めるなど、今後とも有望な市場として積極的に農産物輸出を展開して参ります。
海外での農産物知的財産権の取得について
海外において、県育成品種の知的財産権を取得し、無断栽培などの権利侵害を防ぐことは極めて重要であり、近隣諸国の品種登録制度の情報収集に努め、制度が整備され次第、品種登録を進めていく方針です。
鳥インフルエンザの人への感染に備えた対策について
人への感染の未然防止のためには、まず、感染した鳥の殺処分や鶏舎等の消毒が必要であり、「鳥インフルエンザ防疫マニュアル」等に沿って対応します。
また、養鶏場の従事者等や職員に対する感染の防止と人への感染が確認されたときの対策については、新たに作成した「鳥インフルエンザ対人部門対応マニュアル」に沿って、健康調査等適切に実施してまいります。
次に、獣医師会につきましては、福岡県感染症予防計画策定委員会委員に、新たに獣医師会代表を加え、感染症対策の充実を図ったところです。
水田農業ビジョンの作成状況等について
二月末現在で全市町村において、水田農業ビジョンの作成が完了しております。
平坦地域では、麦・大豆、中山間では「そば」や露地野菜、都市近郊では施設園芸の振興など、各市町村の特徴を生かしたビジョンが出来ております。
また、地域協議会については九割以上の市町村が開催済みであり、約八割が農業者への説明を行っております。三月中旬までには、協議会の開催及び農業者への説明が全市町村で終了する予定です。
転作作物の交付単価設定の指導について
転作作物の交付単価は、各市町村で決めることになっておりますので、同じ作物でも市町村間で単価が異なることもあります。
県としては、産地づくりを進めるための具体的で判り易い交付金の使途の事例を示しながら、市町村・農協を指導してきたところであり、農協管内で交付単価を統一する予定のところもあります。
今後の麦・大豆の推進について
麦・大豆は重要な転作作物であることから、新たにラーメン専用の小麦品種の開発に取り組むとともに、加工適性が高く塾期の早い大豆の普及など、高品質で売れる麦・大豆づくりを進めて参ります。
また、農業機械の導入助成について、従来は生産組織のみを対象としておりましたが、十六年度からは大規模な認定農業者への個人助成を行い、生産性の高い麦・大豆づくりを推進して参ります。
農業改良普及活動の充実強化について
現在、農業改良普及センターについては、競争力ある産地づくりに向け、野菜、果樹などの園芸部門の充実・強化や、水田農業の担い手となる集落型経営体の育成を進めるため、活動体制の見直しを行っているところであります。
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それでは、次に教育問題についてお聞きします。
文部科学省は、先頃、一昨年十一月に全国の国・公・私立高校の三年生、約十万五千人を対象にして実施していた「いわゆる学力テスト」の結果を発表しています。
予想どおり、高校生についても深刻な事態や状況が明らかとなっています。
特に、理科、数学に学力低下の顕著な傾向がみられ、理数離れの実態が裏付けられた格好となっていました。
また、この学力テストと同時に実施された生徒へのアンケート調査では、さらに危惧すべき状況が明らかとなっています。
それは、「勉強が大切だ」とタテマエでは理解しても、学校の授業以外では全く勉強しない子が四十一%も占め、さらに授業が理解できているかどうかでは、六割が理解できていないと答えていることです。
私たちはこの現実を、どのように理解すべきでありましょうか。これは本当に由々しき結果であります。
それは今回、調査対象となった高校三年生が、時あたかも小学校からほぼ一貫して「ゆとり教育」路線で教育を受けてきた世代であるからです。
昭和五十二年から始められた「ゆとり教育」ですが、今日まで随分と教育内容や授業時間の削減が行われてきました。学校週五日制もこの一環でした。
知識の詰め込みをやめ、ゆとりと充実のなかで子どもたちが自ら学び考える力を養うとして始められたものですが、果たして理念だけで本当に子どもたちが学力を身に付けるものでしょうか。
このことは、肝心の文科省自身が従来の路線を変更するかのように、昨年十二月に異例にも学習指導要領の一部改正を実施し、新に「確かな学力」を打ち出したことでも明らかではないでしょうか。
そこで教育長にお聞きします。
まず最初に、今年明らかにされた高校生の学力実態について、どのような見解を持っているのか、それをお示し願います。
次に、私が長年、思ってきたことですが、「ゆとり教育」なるものの定着の中で、子どもたちの学力が著しく落ち込んできたなか、高校に入るとレベルが突如として高くなり、理解できずに脱落していく。言ってみれば、小・中学校と高校の間で教育内容に断絶があるのではないか、こんな気がしてなりません。どこでどう躓くのか、どうすれば学習の意欲を高めることができるのか。これは、高校生だけにとどまらず、小・中学校を含めたなかで、一貫してとらえ、対応を考えていく問題と思っていますので、教育長の見解をお聞きします。
次に、先程も述べましたが、文科省は新に「確かな学力」を打ち出しています。県教委としてこれにどのように取り組み、定着させていく方針か、「ゆとり」から「確か」と路線の変更に対し躊躇や戸惑いはないのか、そうした所感も含めて考えをお聞かせ下さい。
また、なにごとにもまして、子どもたちの学力水準の把握が大変重要なことです。県教委が我々の心配と懸念に基づき先に初めて実施した、本県独自の小・中学生学力実態調査の結果分析と今後の活用について、さらには、来年度実施されるとも聞いている四県合同の学力テストについても、その概要を示していただくようお願いします。
次に、県立学校の再編整備についてであります。
ご承知のように、第一次実施計画に基づき、昨年四月にまず県下六地域において十四校が六校に再編されて新高校が開校しました。今年には第二期生を迎え入れるとともに、新たに来る四月からは三地域において、本県初の県立中高一貫教育校三校が同時に開校する見通しになりました。
このほか十七年度には十一校を五校に統廃合して開校する予定となっており、これが実施されれば、第一次実施計画は一応完了の見通しと聞いています。
しかしながら、本当の課題解決はこれからであります。統廃合により新しい学校がスタートしさえすれば、それで今日、本県の県立高校が抱えている数多くの課題の解決が図られるわけではありません。
今日、高校改革において最大の課題は、社会の急激な変化により、これに対応した新しい高校づくりが求められていることであります。つまりは質の問題であります。
それだけに県教委に対しては、県立高校教育改革は統廃合が一応軌道に乗ったこれからが、いよいよ本番であるということを強く自覚していただき、今後に取り組んでもらいたいということをはじめに指摘して、以下についてお聞きします。
まず第一は、第二次実施計画の策定についてであります。
この件については、平成十六年度を目途に策定を進め、特に第三、第四学区並びに第八学区の学校の職業系専門学科の適正配置の観点から、学校の再編成を含めた改善方策を検討する必要がある、との見解が既に明らかにされていますが、第二次実施計画はこの三学区だけで、しかも職業系だけにとどまっているようです。
普通高校については既に、第一次実施計画で全て完了したと県教委はとらえられているのでしょうかか。こうした点も併せて説明いただき、第二次実施計画づくりについて、改めてその方針や内容、策定目途等について、お聞きします。
次に、何れにしましても、第二次実施計画については、第一次の課題や反省を活かしながら進められているものと考えますが、具体的にはどのような点が明らかになっているのでしょうか。一部では、校舎の位置等を巡って問題未解決のままスタートした学校もあるようです。併せて説明願います。
また現在、検討に入っていると思われます新たな公私間の「生徒受け入れの長期計画策定協議会」については、県立高校の改革問題と深い関わりを持っていると考えますので、併せて協議の実情と方向性についてお示し願います。
教育問題の最後に、子どもの読書推進計画について、お聞きしておきます。
このほど「福岡県子ども読書推進計画」が策定されました。
私たちは、国の「子どもの読書の推進に関する法律」制定以前から、青少年の健全育成にとって、読書が大変実践的であると考えて、本県において県民運動として取り組むよう強く本会議で訴えてまいりました。
特に、学校教育の中で、朝の十分間読書を推進することを核にして、「読書県民運動」を展開していくことの必要性については、何度も意見を述べてきたところです。それだけに、今後は、この読書計画に盛り込まれた施策を着実に推進するための不断の努力が、求められるところです。
そこで、県教育委員会は今後、市町村を含めた県全体の読書の推進を具体的にどのように図っていかれるつもりなのか、教育長の所見を伺い、教育問題の質問を終わります。
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−教育長答弁−
高校生の学力実態について
文部科学省から発表された高校の教育課程実施状況調査結果によれば、国語と英語については概ね学力の定着が見られるものの、数学と理科は想定された通過率を下回る状況となっています。また、学習意欲が高い生徒や基本的な生活習慣が身に付いている生徒ほどペーパーテストの点数が高い傾向があるなど、改めて、生徒の学習意欲等の重要性が報告されております。
県教育委員会といたしましては、この調査結果から早急に対処すべき課題が明らかになったものと考え、学力の定着に努めるとともに、学習意欲の向上や基本的な生活習慣の確立に向けた取組を推進して参りたいと考えています。
学習意欲を高める取組について
児童生徒の学習意欲の向上等のためには、小・中・高を通じた取組が必要であると考えています。このため、これまでも習熟度別学習や少人数指導の積極的な導入、社会人による授業、総合的な学習の時間や家庭学習の充実などに努めてきたところです。
今後とも、基礎基本の徹底や体験活動の推進など不断の授業改善を図るとともに、教員の資質向上、学校間の連携及び学校評価システムの確立といった組織運営体制の改善等総合的な取組を通して、学習意欲の向上等に努め、確かな学力の定着を図って参りたいと考えています。
「確かな学力」育成の取組について
確かな学力は、知識や技能に加え、体験に裏付けられた学ぶ意欲や思考力・判断力などを含む資質や能力であり、ゆとりと充実の中で育成する生きる力の基盤となる学力であります。
その育成のため、これまでの取組に加え、小中学校では、学力向上プランを作成し、学習指導法の工夫改善や補充指導等の充実に努め、高校においては、シラバスの作成や生徒の授業評価等を行い、授業改善に取り組んでおります。
今後とも、学力実態調査や学力フロンティア事業及びキャリア教育等を充実させ、確かな学力の育成に努めて参ります。
学力実態調査の結果分析と活用について
本県の小・中学校の児童生徒の学力実態を把握し、学力向上の施策策定に資するため、小学校六年生は二月に、中学校三年生は昨年十一月に本県独自の実態調査を実施しております。
現在、調査結果の分析中であり、今年度内に速報を公表し、調査結果に基づいた各学校での来年度の取組に反映させて参りたいと考えております。
県といたしましては、今後、調査結果の詳細な分析を行い、課題の克服に向けた指導資料の作成や課題となる教科や領域に対する教員研修の強化等に努めて参る所存であります。
四県合同統一学力テストについて
本県では、本年度実施の実態調査を発展させ、学力向上の取組の有効性を判断する方法の一つとして、統一学力テストを岩手、宮城、和歌山の四県合同で開発し、実施する事としています。
調査概要としましては、抽出による実施等、本年度のスタンスを踏まえながら実施することとしています。また、調査結果に基づく事後指導の充実を図ることから、対象学年を小学校五年生、中学校二年生としているところです。
この調査により、児童生徒の学力定着状況の推移を的確に把握するとともに、四県における調査結果の比較検討を行い、より効率的な施策を見出すことができるものと考えております。
県立高校再編整備第二次実施計画について
第一次実施計画は、生徒数の急減に対応し、平成十七年度までの全県にわたる再編成の計画を定めたものであり、第二次実施計画では、なおも生徒減が続く地域における職業専門学科の規模・配置の見直しを行うこととしております。
その対象としては、第三、第四及び第八学区が該当すると考えており、その検討の過程においては、当該地域における普通科教育へのニーズも十分考慮してまいりたいと考えております。
第二次実施計画については、中卒者数の推移や社会の変化等を見極めるとともに、第一次実施計画の進捗状況を踏まえながら、平成十六年度中を目途にお示ししたいと考えております。
第一次実施計画推進上の課題について
第一次実施計画における新高校の計画策定に当たっては、該当校における全職員の意欲的な検討体制や地元関係者の理解啓発、中学生の進路選択に必要な情報提供等が必ずしも十分ではなかったと考えております。このため、第二次実施計画の推進に当たっては、関係教職員の意識改革と、各新高校準備委員会のより一層の充実強化を図り、地域への情報提供等が的確に行われるよう努めて参りたいと考えております。
また、教育環境の整備に関しては、地元の理解と協力を得ることが必要不可欠でありますので、このことに最大限配慮しつつ、適切に対応して参る所存であります。
生徒受入れ長期計画策定協議会の協議の実情と方向性について
公私立高校による生徒受入れの長期計画については、現行計画が平成十六年度をもって終了することから、昨年十月、学識経験者等からなる協議会を設置したところです。
現在、今後の中卒者数の推移、進学率の動向等について協議をいただいておりますが、今後、様々な教育制度改革の動向や県民のニーズを踏まえながら、本県高等学校教育における公私立高校の役割等について議論を深めていただきたいと考えております。
子どもの読書推進計画について
今回、福岡県子ども読書推進計画を策定し、本県における子ども読書活動推進のための基本的な方向性を明示いたしました。
今後は、本計画に基づき、学校における朝の読書運動や各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間を通じての多様な読書活動を展開するとともに、地域の図書館等を中心としたボランティアとの連携による子どもの読書活動の推進など具体的な施策を推進して参ります。さらに、市町村においても、地域の特性を活かした子ども読書推進計画が策定されるよう指導するなど、県全体として子どもの読書活動が一層推進されるよう努めて参ります。
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以上で、私の会派を代表しての質問を終えたいと思いますが、終わりに当たり、本年秋、十月末から十一月にかけて、福岡県下の各地で開催されます第十九回国民文化祭の意義と今後の文化振興について、ひとこと触れておきたいと思います。
総額二十一億、県費だけでも十五億円余の予算をつぎ込んで実施するこの国民文化祭は、今年、わが県における最大の行事であります。
言うまでもなく、国民文化祭は開催することがその目的の主たるものではありません。この多額の県費を投入して開催する国民文化祭は、開催を契機として、新たなる県民文化の創出と県民文化の向上に向けた県民のインセンティブを高めることが、最大の開催目的であるはずです。
この国民文化祭は、しばしば「国体の文化版」と言われてきました。毎年、各県持ち回りで開催されてきた国民体育大会は、大会開催をきっかけに各県にスポーツ施設が整備され、その結果スポーツ振興、体育向上が図られることを目的にし、まさに国民文化祭と目的が似ているためだと私たちは考えています。
そこで知事にお聞きします。
この国民文化祭を単に一過性の文化イベントや文化モニュメントに終わらせることなく、これが本県の文化振興、文化向上、ひいては文化を通じて県民生活をゆとりと潤いのあるものにするという、文化の持つ本来の機能を県民が改めて考えるきっかけとすべきであります。それが国民文化祭の本来の目的であるはずです。
我々が早くから要望しておりました新美術館構想への連動という観点も含めて、知事としては、どのような抱負と方針を描いておられるのか、知事自身の文化の考え方、文化論の開陳とあわせ、見解を最後に披瀝願います。
それでは以上で代表質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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(その他県政一般について)
国民文化祭と今後の文化振興について
「文化」は様々に捉えられるようですが、私自身は、「人間が歴史や風土の中で培ってきた地域固有の生活の様式」であると考えています。また、芸術や芸能に見られるように、「人間の生き方や暮らし方をより豊かにしていくための創造的な営み」でもあると考えています。
「とびうめ国文祭」は、福岡らしく、元気のある、明るい、県民の皆さんが楽しめる祭典とするため、市町村や文化団体とともに鋭意準備を進めているところであります。文化に対する県民の関心を高め、新しい文化の創造、伝統的な文化の普及あるいは新しい世代への継承に取り組む大きな機会にしたいと考えています。
また、国民文化祭の成果を継承・発展させるため、美術の振興を含め、今後の文化振興に向けた新たなプランの策定を進めてまいる所存であります。 |
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