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                               平成15年11月7日(金)

            決算特別委員会最終日 藤田議員による知事保留質問
    
               =産業廃棄物問題について=


 今、産廃問題が、国、県、市町村にとって極めて重要な行政課題になっている。このことに疑問を挟む人はいないだろうと思うが、ただし、それはこの本のタイトルにも見られるように、ゴミ戦争といった言葉に象徴されるように、産業廃棄物が環境汚染、水質汚染などを引き起こし、人が生活を営むうえにおいて極めて危険であるという観点から論じられているような気がしてならない。
  しかし、人の体に例えるわけではないが、人が食糧を口にすればおのずから排出がある。コンピューターでいえば、入力があって出力がある。
  活発な産業経済活動が展開されれば、そこからは自ら産業廃棄物という排出、出力行為があるわけであり、産業経済の健全な発展を図るうえで、産業廃棄物を適正に処理するということは、極めて重要なことになってくる。
  いわば、産業廃棄物の適正、適切な処理を欠いた産業活動は、いわばトイレのない家庭というべきもので、到底発展は望めないと判断する。

 こうした産業経済活動の健全な発展ということから、産業廃棄物問題を考えた時、昭和48年に恐らく県内では最初の例になったと思われる第三セクターを設立して産業廃棄物の海面埋め立てにより響灘開発に昭和50年から取り組んだ北九州市のケースは、まさに今日を想定した先見性のある事業だったと考えている。
もし、あの時北九州市が響灘開発という埋め立て手法による産業廃棄物処分と取り組んでいなかったならば、今日、北九州市の産業経済活動は行き詰まっていたかもしれない。
  私は当時の市長の将来を見越した先見性を高く評価するものである。

 ところで、知事は通産省の出身で、経済、産業、商工行政には極めて深い経験と、先見性を持っておられる。このように理解しているのであるが、四月の知事選で明らかにされているマニフェストのなかでは、産業廃棄物については、リサイクル技術の開発等による減量化等により、環境負荷を少なく し、くらしの安心を守って参りますとしか、謳われていない。これは、極めて奇異な気がする。
  そこで、冒頭まず産廃行政の適切な推進というのは、産業経済活動の健全なる発展について、どのように関わってくるのか。
  先ほど紹介した北九州市の響灘開発の取り組みへの評価も含めて、グローバルな問題として総論的にお聞きしておき、そのうえで各論の問題に入っていきたい。

 しかし、一部の者によると思われる不適正な処理が、産業廃棄物の処理に関する県民の不信、不安を惹起し、適正な処理施設の立地さえも困難にしている。

 こうした状況を放置していては、あふれた廃棄物が不法投棄され、環境の悪化を招くとともに、本県産業経済の発展に障害をもたらすことは必定である。

 産業廃棄物の適正処理対策の確保については、これまで、国において逐次法の改正などの取組が進められてきたが、いずれも問題が生じてから規制をするという、極めて対症療法的な対応しか図られていない。このため、本県のみならず、全国各地で産業廃棄物の処理をめぐる問題や紛争が絶えず、し かも、問題の多くは、安定型処分場において生じているという実態がある。

 県において、監視・指導が行われているところであるが、廃棄物処理法の抜本的な改正が不可欠であると考える。

 そこで、具体的な問題の第一点として、今日これだけ産廃問題を全国各地で深刻化させた背景には、現実と法の間に乖離があった。法の整備が遅れていて、法が現実の後追いに終始してきたことが原因ではなかったか。と、このように考えるわけであるが、知事の見解、特に、法改正に向けてとくに、 どのような方面、分野について改正を求め実現したならば、県の行政における円滑な産業廃棄物行政が推進していくと考えておられるのか、答弁を求める。

 ところで、何故、安定型処分場において問題が生じやすいのか。
  私が考えるに産業廃棄物の排出現場では、様々な廃棄物が混合して排出されるのが通常であるが、安定型処分場で処分できるのは、全部で20種類ある産業廃棄物のうち、わずかに5種類に過ぎない。
混合して排出された廃棄物の中から安定5品目だけを完全に選別し処分するというのは、極めて難しいと考えられる。
いわんや、一旦、安定型処分場に安定型物以外のものが混入した場合、それを後で掘り起こして取り除くことは、現実不可能である。

 一方、現行法で定める安定型処分場の構造基準は、立て札の設置や周囲に塀を設けるなど、極めて簡易な基準しか設けておらず、こうした現実に即したものとなっていない。特に、雨水が廃棄物層内に滞留するような場合には、微生物の関与などにより様々な障害を生じる恐れがある。

 したがって、廃棄物処理法に定める安定型処分場の構造基準を、現実に即して改正強化することを提案したい。

 以上の対策が図られれば、今後、設置される安定型処分場の問題は大きく改善されることとなるが、一方で、これまでに埋立処分された安定型処分場をどう改善していくのかという問題が残る。この点に関しては、現実に硫化水素ガスの発生や汚濁水の問題などがあり、このことが、関係住民の不信、不安を一層大きなものにしていることを考えると、ゆるがせにできない問題である。

 過去の処分場については、まず、改善の対応を図るべきものとそうでないものとを峻別する基準づくりを図ることがまず肝要であると考える。このことについては、生活環境保全上の観点や、立地の環境なども考慮して幅広い観点から検討を進めるべきと考える。


 次に、改善すべきとされた処分場については、具体的にどのように改善すべきかの技術的な対応方策が明確になっていなければならない。さらに、改善に要する資金に対する責任区分なども明確にする必要がある。これらについては、今後、検討すべき課題も多いと考えられる。

 しかし、過去に処分された安定型処分場の改善対策は極めて重要な課題であり、県よりも国においてこそ真剣な検討が必要であると考える。

 そこで、福岡県としては、安定型の構造基準を現実に即したものとして改正すること、また、過去の処分場について改善の対応を図るものとそうでないもの、また、改善を図るものについてはその改善に要する資金の責任区分の明示等の2点について、国に強く要望すべきと考えるが、知事の考えを問う。

 次に、いずれにしても産業経済活動に伴って産業廃棄物は排出される。山間部における処理が困難だとすれば、冒頭紹介したように、海面埋め立てによる処分しか方法がないと思う。
 しかも、手法は民間の手によるものではなく、公共関与によるものが一番望ましいと考えている。
  このことは、公共関与に関する県の検討委員会の最終提言のなかにも方向性としては示されている。
  しかしながら、具体的なこととなると、新宮町における公共関与の処分場計画ひとつとっても明確な方針を明らかにしきらず、いまだに陸地における計画を引きずったままになっている。
  新宮町の計画は、いったいどのようにケリをつけられるのか、その時期はどうなっているのか。
  そのうえで、新たなる海面における公共関与の処分場構想をいつまでに立てる方針でいるのか、その見通しを具体的に示し願いたい。