筑紫野市産廃処分場に関する要望の概要について
1 日 時 平成15年8月27日(水)10時〜10時45分
2 場 所 福岡県庁 特別会議室
3 主席者
県議会議員
藤田陽三、井本邦彦、井上忠敏、原竹岩海、
要望者
平原筑紫野市長、佐藤太宰府市長、林小郡市収入役、山神水道団企業長
福岡県
武田副知事、原環境部長、角環境部次長、水ノ江廃棄物対策課長、河野監視指導課長、
4 要望の概要
・ 自己紹介の後、県議会を代表して藤田県議が挨拶、
・ 県への要望書を平原筑紫野市長が読み上げ、武田副知事に手渡す、
・ 武田副知事の挨拶のあと、原環境部長が要望項目について回答
(回答の内容))
(1) 産業廃棄物最終処分場の許可を見合わせること。
筑紫野市の産廃処分場については、硫化水素ガスの発生を危険のないレベルに改善することを最優先に取り組んで参りましたが、昨年10月の事故調査委員会において安全面に評価が得られたことから、本年1月、事業者に対して改善命令などの行政処分を行ったところであります。
この行政処分の内、第2期処分場拡張部については、5月16日に改善を履行を確認したところであります。現在事業者において第1期処分場の改善対策が実施されております。
県といたしましては、当該処分場において改善対策が実施されている期間、毎日、立ち入り監視を行っております。今後とも、適正な履行が確保されるよう、事業者への指導を徹底して参ります。
また、本年10月の許可更新については、これらの改善対策の実施状況などを踏まえますとともに、法律の許可要件に照らして厳正に審査して参る考えであります。
(2) 最終処分場の埋め立てに当たっては、県の安全宣言のもと、利害関係者である山神 水道企業団及び市民の同意を得ること。
当該処分場の下流には、筑紫野市、太宰府市、小郡市、の市民の皆さんの大切な水源である山神ダムが位置しており、
このため、当該処分場の浸透水や周辺の河川、民家の井戸水について定期的に水質検査を実施しているところであります。
また、現在、事業者において第一期処分場の改善対策が実施されておりますが、の改善履行期限が来年の1月31日となっております。
県としましては、改善対策の適正な実施の確保を図るとともに、改善対策が終了した場合は、厳格に履行状況を確認して参る考えであります。
また、当該処分場の事業者に対しては、法に基づく改善命令などの行政処分と併せ、適切な水処理の設置や、地元自治体等との環境保全協定の締結の指導を行っているところであります。
この、環境保全協定の締結については、筑紫野市生活環境保全連絡会において、処理水の系外排出水の水質を管理型処分場の排水基準より厳しい数値を設定する事で概ねの合意を得ているところであります。今後とも十分に協議、検討を行い、適切な対応を図って参りたいと考えております。
(3) 産業廃棄物処理場内の監視体制の強化と情報公開を推進すること。
当該処分場については、処分場内の硫化水素ガス濃度の調査や、浸透水などの水質調査に加え、周辺の河川や民家の井戸水について定期的に水質検査を実施しております。
これらの調査結果については、筑紫野市生活環境保全連絡会などを通じて情報公開しておりますが、今後とも、これを継続して参ります。
また、事業場の公開については、かねてから事業者を指導しておりますが、本年7月から福岡県産業廃棄物の不適正処理の防止に関する条例を施行いたしましたので、この条例に基づき、施設の積極的な公開を更に指導して参りたいと考えております。
(4) 村川組の最終処分場は、「過積み」の状況であり、早期に場外排出による改善処置を行うこと。
本事例は法人関係が複雑であることから、法人関係を整理しておりましたが、法人関係の処理が概ねついたことから、対象者に対し文書による指導を行うための準備を進めているところであります。
(5) 山神ダム上流で発生した硫化水素について、徹底した調査を行うこと。
8月19日に太宰府市の議員の方から、筑紫野市の産廃処分場近くの上地から高濃度の硫化水素ガスが検出されたとの通報があったため、翌日の8月20日、筑紫野市、山神水道企業団とともに現地調査を行いました。
この結果、当該土地の一部の地点において硫化水素ガスの発生が認められたことから、濃度測定を行ったところ11ppmの硫化水素ガスを検出しました。
また、県では、当該土地の土壌を採取するとともに、周辺環境への影響の有無を確認するため、当該土地の横を流れる水路の水を採取したところであります。
現在、採取した試料の分析を行っており、県といたしましては、これらのか検査結果を踏まえ、当該地における不適正処理の有無について把握して参りたいと考えております
(6) 産業廃棄物処分場の改正を行うこと。
近年、産廃処理法は数次にわたって改正強化されておりますが、安定型処分場については、過去において適法に処分されていても硫化水素ガスの発生などの問題生じており、こうした状況は他県においても見られております。
このため、安定型処分場における硫化水素ガスや汚濁水にかかる規制の強化及び対策を強化するよう、全国知事会などを通じて国に要望しているところであります。
また、水道水源を目的とするダム上流部への立地についても、最終処分場設置に係る生活環境保全上の配慮事項を明確化するよう国に対して要望しているところであり、今後とも機会を捉えて要望して参る考えであります。
5 意見交換(筑紫野市長))
要望事項について補足説明したい。
まず、第1番目であるが、筑紫野の産廃処分場については、事故が発生してまもなく4年目となる。
業の許可更新にあたっては、許可の基準が産廃物処理法第14条6項に規定してある、県においては厳正な対処を重ねてお願いしたい。
第2番目であるが、県のボーリング調査結果によると、処分場内カドミウムやジクロロ メタンなどが検出されている。こうしたことから、市民が不安を感じていると言うことである。
第3番目であるが、昨日、産廃連の処分場見学者が予定されていた。しかし、業者側が人物を特定し、特定した人物が事業場内に入る事を拒んだことから、中止になったと聞いている。このことは、極めて遺憾であり、県は業者に対してもっと強い指導を行っていただきたい。
第4番目であるが、村川組については文書で指導するとの事であるが、当該処分場については、本来、ボーリング調査が必要であると思っている
第5番目であるが、当該土地については農地法に関係もあり、現在、市において必要な調査を行っている。県においても徹底した調査を望むものである。
第6番目であるが、要望書のとうりであるので、よろしくお願いしたい。
(太宰府市長))
市民の最大の関心は山神ダムの水質である。
昨年12月2日、知事が産廃連の要望に対して厳正な対応を約束してくれた。今後も市 民の納得行く対応をお願いしたい。
(藤田県議会議員))
この問題については、私だけではなく、ここにいる地元選出の議員が繰り返し議会において厳しく県の対応を求めてきたところである。
県においては、事故発生後、直ちに必要な調査を実施するとともに、事業者に対する行政処分を行った、また、この事故を教訓とし、環境行政の組織強化や新たな条例の制定などにも取り組んできた。
こうしたことは、それなりに 評価できるものがあるが、市民の不安を払拭しきれていない状況にある。
私は、本日の要望の中で、第6番目に特に注目したい。産業廃棄物の適正処理を確保するための法律については、現実に起こっている問題との関連で国の責任を資していくとともに、もっと規制の強化が図られるよう要望すべきである。
また、ダムの上流域にこうした産廃処分場が立地することについても何らかの解決が必要である。
県から全国知事会を通じて要望するとの発言もあったが、もっと国に対して強く働きかけをすべきである。
いずれにしても、この問題の解決のためには、国、県、市、事業者が一体となって取り組んでいく必要がある。