知事との一問一答(平成21年2月議会)


 

平成21年度当初予算について

 

 

Q01.

 平成21年度当初予算は、一般会計で1兆5,892億円余と昨年度より約543億円、3.5%の大幅増となっていますが、この予算の特徴は?

A01.

 世界経済は百年に一度という経済危機に見舞われており、日本も戦後最悪の不況に突入しています。平成21年度当初予算は、平成20年度2月補正予算と一体となった、いわゆる14ヶ月予算として雇用創出・地域経済活性化対策を切れ目なく重点的に実施しようとする狙いを持った「不況対策緊急予算」です。

 

Q02.

 麻生総理の地方重視の方針によって、本県も地方交付税等は増額が見込めるようですが、税収は法人事業税の減少が響いて平成20年度より600億円程度低く見込まざるを得ないようですね。税収の確保対策はどのように考えていますか?

A02.

 県内の市町村と連携して、個人住民税などの確保対策を強化していきます。同時に、何と言っても雇用・地域活性化施策の推進による税源涵養が大事なので、これを積極的に進めたいと考えています。

 

 

財政運営について

 

 

Q03.

 知事は、「新財政構造改革プラン」の目標に「平成22年度には県債残高を減少に転換させる」ことを掲げておられますが、この経済状況の中では難しくなったのではありませんか? 

A03.

 地方税収や交付税原資である国税5税が大幅に落ち込む見通しであり、臨時財政対策際によって地方の財源不足に対応せざるを得ない状況が当面続くと思います。また、公共事業を含む機動的な財政出動のための財源としても県債を活用せざるを得ません。このようなことから、県債残高を平成22年度にピークアウトさせるのは、実態的には非常に難しくなっています。 

 

Q04.

 中長期的に安定した財政運営を行うために、どのような取り組みを進めていく考えですか?

A04.

 新財政構造改革プランは財政面に加えて行政改革も進めており、人件費の削減や事務事業の見直しなどは引き続き取り組みます。また、産業振興による税源の涵養を図るとともに、偏在性が少なく安定した税である地方消費税を引き上げ、税財源の基盤を強くしていかなければならないと考えています。

 

 

雇用対策と中小企業振興について

 

 

Q05.

 現在、最も深刻な社会問題は雇用不安です。県が「緊急雇用対策本部」を立ち上げ、医療・福祉や農業などへの再就職を重点的に進めていることは評価しますが、我が県の雇用の7割は中小企業が支えていることを考えると、中小企業振興に全庁を挙げて取り組むべきではありませんか? 

A05.

 まさに、中小企業対策は雇用対策です。資金繰り対策として、政策的な融資枠を大幅に拡大するとともに、経営革新や技術革新、インターネット通販への参入拡大、商品・包装のデザイン開発、中小企業と農林漁業者による特産品開発、商店街の振興などに全庁を挙げて取り組みます。  

 

 

商店街支援について

 

 

Q06.

 自民党、公明党の努力によって、ようやく定額給付金を国民の皆様へ交付できるようになりました。麻生知事が、これを契機として、プレミアム付き商品券を発行する商店街等を支援するという施策を打ち出されたことは評価しますが、発行団体数が想定を超えた場合も大丈夫ですか?

A06.

 地域内需要を喚起して、商店街を活性化させることが重要です。約70の商工会議所などが発行を計画しており、さらに広がるよう期待しています。団体数が想定を超えた場合は、予算等について適切に対応していきます。

 

 

今後の経済見通しと対策について

 

 

Q07.

 本県でも、自動車産業を筆頭に、大幅な生産縮小、派遣職員の大量解雇などが繰り返されています。知事は本県の経済や景気・雇用の今後見通しについてどのようにお考えですか?

A07.

 急激な輸出不振に対応した激しい減産が行われているが、これは進展の兆しを見せています。しかし、株価の低迷、輸出不振、国内消費の不振が続いており、景気・雇用の悪化はさらに進むと考えざるを得ません。

 

Q08.

 14ヶ月予算として捉えた平成21年度当初予算には、多くの景気・雇用緊急対策が盛り込まれており、政府の対策と相まって、当面の経済危機の克服に効果を挙げることを期待します。知事は、今回の緊急対策の効果についてどのように考えていますか?

A08.

 医療・福祉・農業等の人手不足分野への人材移転の促進、中小企業の経営安定、雇用の安定に資する対策となっていると考えています。しかし、日本経済は成長率がマイナス12%以上という激しい不況局面に突入しており、県だけでの努力では対応できない事態に陥りつつあります。国において、追加的・総合的な経済対策を速やかに検討すべきであると考えています。

 

 

農政・食料自給率問題について

 

 

Q09.

 政府は、米の生産調整や自給率向上等の農政の重要問題について、この春にも基本的な方向性を打ち出すと言っています。生産調整のあり方は、これからの農政を左右する重要課題であり、今後とも確実に実施されることが肝要であると考えますが、知事のお考えはいかがですか?

A09.

 土地利用型農業の担い手が、将来への展望を持って営農を続けていくためには、米の価格安定が重要であり、生産調整の役割は大きいと思います。生産調整を確実に実施していくためには、転作作物に対する助成金等のメリッ ト措置を充実する必要があると考えています。

 

Q10.

 政府・与党は平成21年度を「水田フル活用」への転換元年と位置づけています。国全体の食料自給率向上を図るには、地方からまず動くべきであると思いますが、本県としては何をしなければならないとお考えでしょうか?

A10.

 本県の食料自給率は、生産額ベースで51%です。これを向上させるために、収益性の高い園芸農業の振興、土地利用型農業での担い手への農作業の集約化、飼料用米の生産拡大、新品種・新技術の開発、ブランド化の推進、大きな成果を挙げている直売所を通じた県産農作物の消費拡大などを進めていきます。

 

 

暴力団対策について

 

 

Q11.

 県内には指定暴力団が5団体も存在し、拳銃発砲事件や暴力団同士の抗争事件が後を絶ちません。県民の安全な生活を脅かす暴力団を根絶するための対策には、今ひとつ決定打が欠けるような気がしてなりません。麻生知事は、県行政のトップとして暴力団対策をどのように進めていくお考えですか?

A11.

 警察官の増員、装備の充実など警察力の強化や暴力団追放活動に取り組んできましたが、今後、一層強力に警察が摘発を行えるよう、法的手段の強化が必要であり、このための条例の制定を検討しています。

 

 

アジアの交流拠点としてのコンベンション施設の整備について

 

 

Q12.

 アジアの交流拠点として成長を続ける本県にとって、国際コンベンション施設の整備は戦略上不可欠と思います。これは、日本が経済大国として発展していくためにも、国家的視点で取り組まなければなりません。九州国立博物館を誘致した経験を活かして取り組むべきと思いますが? 

A12.

 九州国立博物館誘致の経験を踏まえ、国家的視点に立った、国による施設整備の必要性や、本県がアジアの交流拠点としてコンベンションに最も適した地域であることを、議会の皆さんと一緒に国に訴え、提案していきたいと考えています。

 

 

福岡空港問題について

 

 

Q13.

 年間利用者数、貨物取扱量とも国内第4位の空港である福岡空港は年間発着回数が14万回に達し、容量限界に近付いています。福岡の未来を見据えて、我が県の空港政策をどのように進めていくべきと考えておられますか?

A13.

 国に対して二つの意見を提出したいと考えています。第一は、福岡空港の過密化対策として、滑走路の増設に速やかに着手すべきであることです。しかし、滑走路増設が完成しても十数年後には再び空港容量を突破することが予測されます。新空港は地域の未来のための課題であり、新たな国による調査研究に地域が協力して取り組む必要があります。第二は、北九州空港の活用強化です。北九州空港は、その地理的条件や24時間空港としての特性からも、貨物拠点空港として成長していくことが重要であり、滑走路を3,000mへと延伸すべきであり、加えて航空機の整備や航空産業の拠点として発展させるべきであるということです。 

 


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