YOMODA YASHIKI





なんてことだろう!
ヒジカタ君は2X歳にもなって、今まで一度もえっちなビデオもDVDも見たことがなかったのでした!

おいおいおい!そんなことってあり?フツーじゃねえよ!
だいたい男ってのはそういうものには、ケツの青い寺子屋時代から興味があるもんだ。
中坊くらいになったら、年長の悪いお兄さんに見せてもらったり、老けてる友達にビデオ屋でレンタルさせて仲間うちで鑑賞したり、泊まった安ホテルの有料チャンネルで見たり…ともかくどんな方法をとっても見るはずだ。どんな奥手の男でも、男なら誰でも十代のうちにはかならず見る!断言してもいい!
うちのあのチェリーボーイの新八だって見ているものを(ヤツは隠しているがそれくらいは同じ男、わかるもんだ。さすがに姉ちゃんと二人きりの住まいでそんなものを借りてきて見るわけにいかないから、ヤツは俺が留守の時にこっそり俺の愛蔵のDVDを隠し見ている。可愛いものだ)、こんな前も後ろも経験豊富なモテモテお兄さんが、エロDVDを見る機会が20数年間一度もなかったなんてこたないだろう!
「あのね〜、土方君、人をからからうのもほどほどにしないと、お兄さん怒るよ?
DVDが見たいなら普通に貸してやるから、そーゆー変な嘘ついちゃイケマセン」
 土方の顔色がさっと青くなり、唇を噛み締めると、ヤツはそのまま玄関の方に引き返した。
「……悪かったな。帰る」
おおっと!待ったあぁぁ!!
せっかく我が家までひっぱって来れたっつーのに、このまま逃げられてたまるかよ!土方が非番の日なんてめったにないんだから!
俺は玄関で草履を履こうとした土方の腕をひっつかんで、そのまま力任せにソファまでずるずると引っ張ってきた。
「はっ、離せ…っ!」
あー、そうだな。こんな風にむきになって怒るってことは、本当だったってことだな、ごめん、俺が悪かった。
だいたいプライドの高いおめーがこんなことで嘘をつくわけがないよな。恥ずかしいのをこらえて正直に告白したのに、俺がまともにとりあわなけりゃ、そりゃ怒るよな。
「悪かった。機嫌直せよ」
俺は眉間に皺を寄せたままの土方をソファに座らせ、とりあえず出がらしの茶を入れ、疑問に思ったことを聞いてみた。
「俺が持ってるものならなんでも貸すけどよ、なんでわざわざ俺んとこまで借りに来たんだ?長谷川のおっさんがエロDVDの話をお前にしたからか?
でも、真選組ならもっさい男共が集まってんだから、誰かたくさんコレクションしてるヤツだっているだろ?」
あまり色のついていないお茶の入った湯のみを手渡すと、またちょっと眉間の皺が深くなったが、土方は何も言わず、コクリと一口飲んだ。
あ、この湯のみ、さっき俺が使ったけど洗ってなかったやつだ。ま、いっか。思わぬところで間接キッス〜v
こんなささやかなことでほんわか幸せ気分になれるのだから、本当に恋というのは奥が深い。
ニヤける俺に怪訝な顔をしながらも、土方はポツリ、ポツリと話しはじめた。
「…DVDなら原田や永倉がたくさん持ってるらしい。けど、あいつらは俺には貸してくれねェんだ」
「なんで?お前、借りたものを奪いとっちゃうとか壊しちゃうとかジャイアン的蛮行を行って、嫌がられてんの?」
土方は妙に幼い仕草で顔を横にふった。
「いや、あいつらは言えば何でも貸してくれる。でも、そういう種類のモノだけは絶対ダメなんだ」
土方が言うには、そもそも土方ら局長、副長、一番隊隊長の幹部三人組は、普段からワイ談とかそういった類の話には混ぜてもらえないらしい。
ゴリは女のことを神聖視しているところがあって、武州にいた頃ワイ談していてマジギレしたことがあるから、きっと周りも気を使って話さないのだろう。S王子はまだまだ子供というのもあるが、ガキのくせに妙に博識で口が悪く、すぐ話の腰を折る癖があるから混ぜてもらえないんだろう、というのが土方の見解だ。
だが、自分が仲間はずれにされるのはどうしてだかわからない。嫌われているからかもしれないが、それにしては自分と比較的仲のいい原田や斉藤までが、自分がワイ談に加わろうとすると異様に嫌がるのが解せない。
以前、「すごくレアなDVDが手に入った!」と、皆がテレビの前に団子のようになって鑑賞会をやっているから、「俺にも見せろ」と覗き込んだら、みんなクモの子を散らすようにしていなくなってしまったと。
山崎に「俺も見たかったのに」とこぼしたら、しばらくうんうん唸って考えこんでいたが、ヤツが出した結論は、「やっぱり副長だけには見せられません」だったと。
「よっぽど俺は皆に嫌われてるってことなんだろう…まあ、仕方ねえよな。それだけ厳しいことをいつもヤツらに強制してるわけだしな…」
ちょっと寂しそうな顔をしている土方を見ながら、俺はなんとなく真選組の連中の気持ちがわかるような気がしていた。
――コイツにワイ談は似合わない。
というか、コイツに人前では絶対してほしくないのはワイ談じゃないだろうか?
イメージが崩れるとかそういう単純なことじゃなく、この綺麗な顔立ちで、このクールな表情で、何か卑猥なことを言われたら…何かとてつもない羞恥プレイをされているような、すごくいたたまれない気分になるに違いない。
土方が猥褻な言葉を使うと想像しただけでも恥ずかしいのに、エッチの感想なんて言い出したら、絶対みんなこいつの口をふさぐだろう。
うん、男には心の中に聖域があるのだ。
アイドルはオナラもしないしウンコもしない、全部可愛いうずらみたいな卵で出てくるんだと信じている愚かさを、女には到底理解できないだろうが、男はどこかで本気でそう思ってしまう生き物なのだ。
憧れの綺麗な人には、エッチの体験談なんてしてほしくないのだ。いや、自分と二人きりでそういうことになるのなら、ぜひとも嫌がるその人にイヤラシイ言葉を言わせたいという願望は大いにあるのだが(今度ぜひ土方君に言ってもらいたい!)、自分以外の人間とのsexの体験談なんてぜぇっったいに聞きたくない!!
…うん、わかる。わかるぞ、てめーら…!
って、おい!
だったらあいつらみんな、土方に少なからず気があるってことじゃねーか!?
くそおっ!やっぱり油断もすきもねえ!あのホモ集団っ!!#
「…どうした?一人で百面相して?」
「あ〜、いや、真選組の連中の気持ちは俺にもよくわからねえけどよ〜(嘘だけど。今わかりすぎるくらいわかっちゃったけどなっ!#)、最近じゃなくても、今までにビデオとか見る機会なんていくらでもあっただろ?」
「近藤さんの道場は貧乏でビデオデッキとかなかったし、その頃の俺達は剣術のことしか頭になくて、そんなものを金出して買ったり借りようと思うこともなかったんだ」
あ〜、だろうなぁ。お前ら実際バカみたいに真面目で剣術好きだもんなぁ。
「でも、女の子とラブホに泊まった時とか、盛り上がるためにビデオつけたりしなかったか?あそこなら置いてるとこ多いだろ」
俺がそう言うと、土方は眉間に皺を寄せ、拗ねたようにこう言った。
「俺は女は玄人しか相手したことがねぇから、そんなの最中に見たりしねぇよ。
男はラブホに行ってもそんなの見ようともしなかったし…お前と一緒の時でも見たことないだろ?」
あ、ちょっと痛い。
土方が素人童貞なのはたぶんそうだと思っていたからとても可愛いと思うが、過去の男の話はちと辛い。
昔のことだとわかっているんだけどな〜。どーしよーもねーな、男って。
ああ、まあね、わかるよ。今までの男共だって俺と同じでこの土方を前にして、他の女のエロビデオなんて見ようなんて思わねえよ、絶対。極上のフルコースを前にラーメン食うようなもんだ。
というか、極上のフルコースだとわかったのは、実際食べてみてからで、食べる前もたしかに美味そうだと思ってはいたけど、ここまで絶品だとは思わなかったというのが正直な気持ちだが。一度味わえば虜になり、もう他のものなんて口にしたくなくなるような、この世のモノとは思えない魔性の味…。
「おい、何考えてる?」
「あ、いやいや。で、何か持って帰るか?何でも貸すけどよ」
「…屯所で見るのは…」
「恥ずかしいか?」
やっぱりこいつは可愛い。こんな可愛い面をちらちら見せられる度、顔が緩んでしまう。
「じゃ、ここで見て帰れよ。神楽と新八はお妙とデパートに買い物に行ってるから夜まで帰ってこねーし。
何がいい?好きなの選べ」
俺は秘蔵のDVDを取り出してテーブルの上に並べた。自分が買ったものもあるが、大半がマダオからだまって拝借したものだ。
「すげえタイトルばっかだな…。
これが先生もので、これが女子高生。ミニスカポリスに、このコスプレって何だ…?あ、猫耳メイドって書いてある。へー…」
うわ〜、な、なにこれ!反応が初心すぎて恥ずかしい!
尻がもぞもぞするというか、股間に血がたまりそうというか、なんなんだよ、この副長様の可愛らしさは!
もう犯罪だよ!誰か捕まえてくれ、この純情ポリスを!!
「こんなのがテメーの好みなんだな…」
「へ?いやいや、それはちょっとコレクションとしていろんなジャンルをそろえてみただけで、実際買ったのは長谷川のおっさんだかんね!銀さんの好みじゃないからね!」
…なに必死で言い訳してんの、俺。
男が男にエロDVD貸すっていうのに、何うろたえてんの、俺。
「あ」
土方は一つのDVDをみつけて取り上げ、まじまじとパッケージをみつめた。
「これが見たい」
土方が差し出したDVDは、例の『淫乱病棟』だった。
それは俺がお白州で見たDVD…お前はそれが見たかったってわけですか?
それって俺のこと相当気にしてくれてたってこと?それとも、俺と同じような趣向の持ち主ってわけ?それって嬉しいようないたたまれないような、複雑な気持ちになるんですけど。
「あー、じゃ入れるから。テレビの近くまで来て見ろよ」
素直にテレビに近づく土方の姿に、またまた顔がゆるんでしまう。いつも反抗的で喧嘩腰のくせに、時々ふいにこんな風に素直になる時があるのだ。こんなところも可愛くてたまらない。
テレビをつけてDVDを起動させると、黒い画面のwarningが表示され、場面がパッと切り替わった。
『や、やめてください!先生!』
『君がいけないんだよ。これはお仕置きだ』
やたら肉感的で胸のでかいナースと、医者らしき白衣を着た男の棒読みの演技がはじまった。
だいたいエロDVDのストーリーなんてあるかないかわかんないような内容で、肝心な部分はやってる部分なわけだから、俺がこの手のDVDを見る場合、この辺さくっとすっとばすんだが、初めて見る土方には新鮮なようで、心持ち頬を染めたまま、じっとテレビ画面をみつめている。
うわー、やっぱ可愛いよ、こいつ。めっちゃ可愛い。
エロDVDの白衣のおねーさんより、数百倍可愛い。
もちろん俺があのお白州の場でこのDVDを選んだのは、好みの身体をしたおねーさんだったのと、鼻筋と口元が少しだけ副長さんに似ていたからだったのだ。そのおねーさんは充分に魅力的ではあるけれど、目の前で緊張した様子で真剣な顔をしている副長さんの方が、ずっとずっと扇情的で心を騒せる。
こいつなんで両手を両膝に置いて見ているんだろう。その握りこぶしは手の汗を隠すためなのか?
それじゃまるでワンちゃんだよ、ワンちゃん。犬のお巡りさんかよ?何プレイだよ、それ!
なんでそんな真剣な顔で見てんの、エロDVDだよ、それ。「ペドロ」でも「えいりあん」でもねーよ。
うっすら頬染めて、唇少し噛み締めて…それ、DVD見る顔じゃねえだろ。うわぁ、こいつ、ホント可愛くてたまんない。どうしたらいいんだ、こいつ!
俺、可愛さに殺されそう…っ!!
『あ…っ!』
ついに画面は本題に入った。ナースが声を上げた瞬間、ぴくりと動いた土方に、俺まで反応しそうになった。
『やめてください!人を呼びますよ、先生!』
『こんなところを人に見られて、困るのは君の方じゃないのかな?』
『ああ…っ!』
定番の台詞、定番の抵抗の演技の、定番の押し倒すシーン。医者がナースの胸を激しく揉みしだき、女が今までで一番高いあえぎ声を出したところで、土方の喉がごくりと鳴った。

―――瞬間。
俺の理性が吹き飛んだ。
「な…っ?何しやがんだ、テメッ…!」
俺はテレビに向かう土方の背中から覆いかぶさり、ヤツを抱きしめた。
「いいから、いいから。土方君はそのままDVD見てて」
後ろから首筋にそっと口付ける。
「…っ!」
びくりと震えるカラダに気を良くして、そのままねっとりと耳元まで舐め上げた。
「っ!やめ…っ!
俺はこんなことしに来たわけじゃねえ…っ!」
「うん、だから、DVD見せてあげてるだろ?
暇をもてあましてる俺の為に、カラダだけつきあってくれりゃいーから」
そう言いながら、俺は土方の着流しの胸元から手を入れて、小さな突起を探して撫で回した。
「カラダだけって…っ、…あ!」
途端、反応良く震えるカラダに、やっぱり土方君は敏感だな〜と、これまで何度も思ったことを思う。
「やめろ…っ!」
「ん?いや、俺のことは気にしないで、放っておいてくれていいから。
ほら、DVDに集中して。今、抵抗しながらうまいこと下着脱がされたぜ、あのナース。ちゃんと見てないと」
「邪魔…すんな、こ…んな…!」
乳首をつまんだりひっかいたりするだけで、こんなに息を乱すなんて、副長さんは本当にイヤラシイ身体をしている。本気になったらこのくらいの拘束、簡単に振りほどけるだろうに、快感に弱いばっかりに流されてしまうなんて、銀さんは本当にお前が心配だよ。
土方の股間に下着の上から手を這わしながら、少しばかり言葉に棘を混ぜてみる。
「ああ、やっぱり堅くなってる。お前、本当にエロDVD見るの初めてだったんだな。こんな最初の方でこんな興奮してるなんて、チューボー並みの反応じゃん。何?あのナース、お前の好みのタイプ?」
みっともないけど、これが俺の本音。
俺の前で他の女に欲情しているこいつが許せなくなったのだ。
今お前、俺が横にいることなんかすっかり頭から抜け落ちてたろ。
俺の目の前でこの女のこと、抱きたいって思ったろ。
「…ちがっ!この女はてめー…のっ、好みなんだろ…が、…んあっ!」
いつもよりキツめにしごくと、途端に色っぽい声が漏れる。
「オレの好みじゃねーよ。
オレが興奮すんのは、黒髪で切れ長の目をした気の強そうな美人。しかもやたら抜刀する口の悪いチンピラみてえなおにーさんだけ。
そんなのDVDの中にはいねーだろ?」
「…う…ぁ…っ!」
「もう先っぽ濡れてんじゃねえ?
よっぽど興奮したんだな、人がSEXしてるとこ見て」
「これは…っ、お、前が…!」
「ん〜?俺が、何?」
肩越しに睨みつける土方に、ニンマリと笑ってみせると、ふいと顔を背けて黙ってしまった。
惜しい。ここで「お前が触るから興奮した」とでも言ってくれたら、優しくサービスしてあげたのに。
悪いけど俺、ヤキモチでもう今日は優しくなんて出来そうにないから。ちょっとセーブできそうにないから。
『ああ…んっ、だめぇ…っ』
テレビ画面では、いつの間にか挿入をいたしていた医者とナースが、気持ち良さそうに腰を振っている。
「お、ほら、もう結合してるぜ?
土方君にも入れてあげよっか?その方が臨場感でるんじゃねえ?
土方君のお気に入りのナースの快感が実感できるぜ、きっと」
「…っ!やめろっ!」
土方は俺を振りほどいて立ち上がろうとする。その顔が真っ赤になっているのは、興奮したのでなく怒りで染まっているのだろう。
「離せっ!帰る!」
「おいおい、お前がDVD見せろって言ったんだろ?
こんな途中で帰ったら、お前これからもずっと世間知らずのまんまだぞ。男だったら最後まで見届けろよ」
俺は身をよじって逃げようとする土方を、身体と言葉で拘束する。こいつはこうまで言われて逃げ帰れる男じゃない。可哀想なくらい不器用な性格してるんだから。
「…くそっ!」
ほら、観念した。逃げ道をふさいでしまったから、あとは俺にいいようにされるだけだ。
心のどこかで気の毒に思ったが、俺の方は雄の本能が切羽詰っていて、それどころじゃないのだから仕方がない。
ぐいと腰を土方の尻に押し付けると、土方は俺の熱く堅くなった分身を感じただけでビクッと身体を震わせた。
「大丈夫、いくらなんでも急に突っ込んだりしねーから。てめーは安心してDVD見てろ」
そういうと少しばかり肩の力が抜けた。心外だな、レイプされるとでも思ったのかね、こいつ。
俺達これまで何度も抱き合ったけど、一度だって無理矢理やったことなんてないだろ、銀さんは。
…こいつの過去には、こいつの綺麗な顔が災いして、そんな野郎共が多かったって話は前に聞いたけど。
そんなことを考えると胸がきゅうっと苦しくなって、少しばかり冷静になった。
そうだよ、俺はこいつの嫌がるようなことはしたくない。お前が気持ちよくなけりゃ、こんなこと意味がないんだ。
「…ほら、あいつらキスしてる」
俺の言葉で土方の意識がDVDに向いた。
『んん…っ!あん…』
画面では、気持ち良さそうに濃厚なキスをするナースと医者がいた。
「変だよな、あいつらレイプって設定じゃなかったのかね?やけにラブラブだな〜」
また食い入るように画面を見はじめた土方のあごを後ろから掴み、テレビ画面のヤツらと同じような濃厚なキスをしかける。
「俺達も負けてちゃダメだろ?」
「何バカ言って……んっ」
『んっ…、んぁ…ん』
「…んっ……ぁ」
ナースと土方の漏らす声が重なる。
ああ、やっぱり。あのナースのお姉ちゃんより、お前の方がよっぽど綺麗で色っぽい。
かすかに漏れるいつもより少し高めの声も腰にくる。
イヤだと言いながら自然に開く唇の淫乱さと、この期に及んで快楽に流されまいと抵抗して頭を振る強情さと、心とカラダの狭間で揺れ動くこの潤んだ黒い瞳の魅力には、誰もかなわないだろう。
俺は土方に圧し掛かってソファに押し倒して仰向けにすると、着流しの前を大きく開いて胸元に口を寄せ、少し色づいた突起を口に含んだ。
「は…っ!」
土方は押し寄せる快感に目をつぶって、小さくかぶりをふっている。
「あのお姉ちゃんよりずっと気持ちよくしてやっから」
俺はのびあがって土方の顔を両手で包み、自分の方に向けた。
「だから…」

―――俺だけ見てろ。

言いたかった言葉を飲み込んで、俺は土方に噛み付くように口付けた。





「…結局、最後まで見れなかったじゃねーか…」

裸のままの土方が、ソファの上でだるそうにだらりと横たわったまま、恨めしげに俺を見ている。
「一応最後まで映しただろ。見なかったのはおめーが悪い」
肝心の医者がナースを縄で縛ったり、尻を叩くシーンでは、土方は俺の身体の下でお姉ちゃん顔負けの声を上げてたんだから、内容なんてわかるわけがない。
「てめ…っ!」
「見れないようにしたのは俺だけどな」
そう言いながら俺は、濡れタオルで土方の投げ出された身体を拭きはじめた。こういうことをするといつもなら照れて暴れて大変なんだが、今日はよっぽど疲れたのか、されるがままになっている。
そのまま白いのが飛び散ったソファを拭いて丁寧に後始末している俺をじっとみつめて、土方はあきれたような盛大なため息をついた。
「うわっ、それひどくね?
ものすごーく馬鹿にしたため息じゃね?」
「…思いっきり馬鹿にしてんだよ。
ま、確かに俺がバカだった。お前に頼みごとなんてするんじゃなかった。
こんなことになるんなら、長谷川さんにでも頼めば良かった」
こいつはさりげに爆弾発言をかましてくれる。
「な!なんでそこでマダオの名前が出てくんだよ!」
「なんでもなにも、もともとそのDVDは長谷川さんのものだったんだろ?
それにあの人だったら、頼んだらきっと家に上げて、気持ちよく見せてくれそうだしな」
そりゃそうだけど、ヤツは底抜けのお人好しだから。でも、それってめちゃヤバイだろ!
マダオのところに行くなんてもっての他だ!
狭いヤツの部屋で二人っきりで、さっきのこいつの少し照れた初々しい顔や、初心な反応を見たら、ノンケだって押し倒したくなっちまう!いや、そもそもあのおっさんは絶対に怪しい!ヤツは土方に必要以上の好意を持ってそうだから、コイツがDVDに欲情してさっきみたいな色気を撒き散らしたら、理性のたがが外れるのは神楽の父ちゃんの頭より明らかじゃねーか!
「おま…っ!何バカなこと言ってんのォ?
お前、さっきみたいな可愛い顔をマダオの前で晒そうっての?そんなことしたら危ないだろーが!
貞操の危機だよ!お父さんはそんなこと、絶対許しませんよっ!!」
「誰がお父さんだ。なに興奮してんだよ。俺のこと可愛いなんて変なこと言うテメーが一番危ない人間だろーが。
ったく、エロDVD見ただけで、真昼間からさかりやがって…てめえの歳を考えろ」
いや、俺が欲情したのはあのお姉ちゃんじゃなくて、欲情してるお前だったんだけどね。
わかんないだろうな。うん、ま、そういうとこ、お前らしいけどね。
頭良くて人の気持ちもよくわかるヤツだけど、こと恋愛に関しては鈍いよね、君は。
「銀さん、まだ若いからセーブできないんだって…」
「ハ!」
土方は思いっきり馬鹿にして笑った。う…傷つく。ま、似合うからいいけど。
でも、さっきはお前だってけっこうノリノリで昼間っから3回イっただろ。いくら久しぶりとはいえ、お前も俺と同じで若くなんかないくせに。
まぁ、今日は俺が悪かったから、あんま言わねーけどな。
「ともかく、DVD見たいなら、よそには行かないでうちに来いよ。
今度はちょっかい出さねーから。約束する」
俺は心配のあまり念押しをした。本当にマダオのところなんかに行かれたらたまったもんじゃない。
もちろんまた一緒にエロDVDなんか見たら、今日と一緒でオレの理性が持つ自信なんてこれっぽちもないけど、まぁそれはそれとして。
すると土方は、いつの間にかくわえていた煙草に火をつけながら、俺の顔がニヤけるようなことをボソリと言った。

「いや、もう充分だ。
これから先こんなの見るたびに、テメエのこと思い出しそうで、胸糞悪い」




<終>