野生図鑑 鳥を訪ねて南へ北へ
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年末九州鳥見旅


 

Yamaguchi, Kumamoto, Kagoshima

 

当初の計画では、飛行機で福岡に飛び、和白から八代、出水、川内と定番の探鳥地を南下し、2002年の締めくくりをと考えていたが、オオカラモズをどこかで見たいということで、予定変更。一級の探鳥地、博多湾を泣く泣く諦め、往きの飛行機をキャンセルし、八代までのJR切符を買い、小郡で途中下車することに。オオカラモズ、オオモズ、オオズグロカモメ、クロズル、カラフトワシの5種をライフリストに加え、この年の国内での初見を一挙に倍増することをもくろむ。また、3年まえに出水に行った時には遠かったアネハヅルが近くに来てくれるのを期待して出発。

(第1日)山口県阿知須町の県立きらら浜自然観察公園へ。オオカラモズの話を聞くまでは全く知らない探鳥地だったが、”きらら浜”のホームページを見ると、モズ以外にもいろいろな鳥がいるようなので、期待に胸膨らませてやってくるが、年末年始の休館で、出足からコケる。公園の外の葦原の前に4台の車が止り、バーダーの方々がモズを探していた。昨日はこの辺りにオオカラモズが出ていたそうだが、今日はまだのようだ。その後も何台か車がやって来たが、出ていないとわかるともう一つのポイントである隣の山口市の方へ移動してしまい、葦原の周りをモズを探して走っている1台のみしか見えなくなった。葦原を見つつ、フェンス越しに公園内の池のカモを見る。オオホシハジロやトモエもいるようなので期待していたのだが、逆光で直にやる気が失せる。観察センターの中から見れると順光で距離も近いのに。一台だけ残った車が先程から停車しているので、双眼鏡で見ると。真っ白なオオカラモズがホバリングしていた。止まった場所を確認して近くまで行ってみる。猛禽は別にして、この広大な葦原の主といった貫録だ。25m位の距離で15分程じっくり観察する。離れたところに飛んだのを期に、他の鳥を探しに行く。ミサゴ、チュウヒ、コチョウゲンボウなどが翔んでいる辺りにいってみると、フェンスに囲まれた池がありカモ類やオオバンがいたが、珍しいカモやマガンなどはいなかった。公園の中をのぞき込みながら、海の方へ行って見ることにする。公園内の干潟には1羽のズグロカモメがいた。谷津などと違って、ユリカモメ等他のカモメは1羽もおらず、ズグロ1羽のみであった。公園内の観察小屋からだと写真を撮れる距離なのだが。それにサンカノゴイも入っていると言うことなので、返す返す残念。外の葦原にはホオジロ類の他にツリスガラがいたが、写真は撮らせてもらえず。堤防から海上のコクガンを探すが見当たらず、ツクシガモとミサゴ、ジョウビタキの写真を撮って引き返す。公園外の葦原を離れる直前に10羽程のコホオアカの群れと出会う。春の渡りの時期 に北海道の離島で見て以来2度目であるが、きららのホームページでコホウアカの情 報を得ていなかったらおそらく見過ごしてしまっただろう。”きらら浜”、今度山口 に来た時も必ず寄ろう。その後、もう一つのポイントである山口市の田んぼへ行って みる。きらら浜のオオカラモズより明らかに一回り小さい白モズがいたので、オオモ ズと思い込み、今日2種目と喜んでいたが、後から来た方に聞くとこれもオオカラモズとのこと。この2種の見分けは難しい。図鑑の写真を見比べてもイマイチぴんとこない。ひかりとつばめを乗り継ぎ、この日の宿泊地八代に向かう。

(2日目)朝食後直ぐに、球磨川河口にオオズグロカモメを見に出掛ける。堤防沿い に双眼鏡でカモメの集団をサーチしていくが、遠くてわからない。50メートル程先に 熊本ナンバーの車が停車しており、スコープで観察している方がいたので聞いてみる と、いますよと場所を教えていただく。確かにごつい灰色頭のがいたが、相当遠い。 お願いして高級スコープをのぞかせて頂き、鮮明な姿を見せて頂く。一応証拠写真を 一枚撮るが、スチールカメラ用のレンズでは太刀打ち出来ない距離だ。今度来るとき はスコープ持参で撮影しよう。満潮の少し後のベストタイムはこの日は夜明け前であることは出発前から承知していたが、次の満潮後まで待つ時間的余裕もないので出水 に向かう。荒崎の鶴観察センターの前につくと、メジャー2種マナヅルマナヅルナベヅルの撮影は2、3枚にして、早速双眼鏡で見える範囲を丹念に捜すが、他のツルは見当たらない。誰かに情報を聞こうと 周囲を見渡すが、観光客ばかりで、ちゃんとした双眼鏡を持ったバーダーや長玉を持ったカメラマンは一人もいないので、探索しながら、東干拓へ向かうことにする。3年目前に来たときはなかった橋ができており、東干拓に真直ぐに行ける様になっていた。 これは便利だ。東干拓の監視小屋の所に長玉を構えた御夫婦がいたので、尋ねると奥の方にカナダヅルがいるとのこと。堤防の少し手前にいたが、これも2000ミリ相当以上のスコープでないと撮影はきつい。カナダは3年前に来たとき近くで撮影しているので、シャッターは切らず。アネハヅルは今朝、荒崎(西干拓)にいたとのこと。御主人の方に、以前お会いしましたよねと言われたが心当たりがなく、人違いじゃないですかと 言ってしまったが、別れた後に東京で鳥を待ちながらしばらくお話したのを思いだす。失礼なことをしてしまった。道の両側を丹念にサーチしながら、干拓地の奥へ進む。稲の切り株の間からタゲリの頭がいっぱいのぞいているが、なかなか被写体になりそうなのがいない。私の気配に驚いてタシギが翔んでいく。相当数いるのが想像できる。水を張った田んぼに7,8羽のツクシガモが降りていた。干拓地の最奥にもう一 人バーダーがいた。唯一まだ見ていないクロヅルを探しているとのこと。私と同じような人が他にもいるもんだと妙に感心する。西干拓へ戻る。以前来た時には途中の川にカモ3種、カイツブリ2種、カワセミ、コブハクチョウなどがいたが、ざっと見たかぎりではヒドリガモと橋の上にいたイソヒヨドリだけだった。西干拓の堤防側の柵のない ほう方へいってみる。3年前にはこの辺りでソデグロズルを見ている。途中、農作業をしていた方が、あそこのハウスのところまでなら逃げないよと教えてくれたので、そこでナベヅルの群れを観察することにする。時間を経るにしたがってナベズルはどんどん増えてくるが、レアものは見当たらなかった。そこで今度は西干拓の西の端を通って観察センターの方へ戻ることにする。このあたりは3年前にカナダヅルを見ているので、慎重に探すが何も見付からずにセンター前まで来てしまう。センター正面の観光客がいっぱいやって来るところから20メートル程離れたところで、マナヅル、ナベヅルのメジャー2種を眺めながら、えさ場から帰ってくるツル達を双眼鏡でチェックしながら日没を迎える。

(3日目)夜明け前から、東干拓にて餌をついばむ物凄い数の鶴と西干拓との間を移動する大編隊を見る。鶴にとっては決して好ましい環境とはいえないが、何度見ても圧倒される光景である。朝食後、西干拓の観察センターの前に行くと、1分もしないうちにアネハヅルが見付かった。正面の最奥にいる。3年前同様遠いが、今年のは成鳥できれいだ。少しは近くなるだろうと、会員制の有料の撮影地にビジター料金を払って入れてもらう
が、焼け石に水で大差なし。向こうから近付いて来てくれるのを待つことにする。先に来ていた方にお話を伺うと昨日の朝はワクにいっぱいの近さの所までアネハが来て、飛翔姿もバッチリ撮影出来たそうだ。うらやましい限りだ。1日いや1〜2時間違いで大魚を逃してしまった。先客のお二人はマナヅルが翼を広げる瞬間と飛翔姿を狙っているが、私はアネハが近くに来るのを期待しながら、定期的にアネハの位置を確認しつつ、クロヅルを探す。撮影所の真ん前にいるマナヅルの番いが強すぎて他の鶴を皆追い払ってしまうそうである。その上、翼の上がり方は小さく写真には向かないと言うことだ。確かに見ていると近付いてくるマナヅル、ナベヅルを威嚇し、それでも退散しない場合は徹底的攻撃をかける。追い払われるツルには気の毒だが、見ていて面白い。それでいてそばで餌を採っているオナガガモやキジバトには無関心の様子。1時間半程して、双眼鏡の隅にクロヅルをとらえる。撮影所からでて、民家の陰から撮影する。今回の出水での第一目標達成。撮影所に戻り、第二目標であるアネハヅルの鮮明な写真を狙うが、最奥部から移動する様子はない。11時過ぎに見たのを最後に見失ってしまう。先客のお二人も後から来られた会員の方々もお昼には帰られ、独りになる。ムクドリの撮影やカナダヅルを見に行こうと思うがビール箱にどっかと座ってしまい動きたくない。今回はマナヅルの飛翔姿のいいのも撮りたいと明るいレンズをもって来たのだが、生憎の曇り空でマナズルの白と赤も映えないので、前回よりいいのは撮れないだろうと諦め、もっぱら、家紋や商標にもなっている翼を広げた瞬間を狙うが距離角度広げ具合等思い通りのはなかなか無い。2時半頃、ナベクロが50mの至近距離に来たのが午後の唯一の収穫だった。

(4日目)カラフトワシのポイントへ向かう。堤防の上から探すと、田んぼの中を走る電線に止まっていた。飛ばさないように大回りして順光側に移動するが、途中で飛んでしまった。先客のカメラマンに詫びると、飛んだのはトビのせいだよと慰められ、飛んでいった山の方へ移動する。梢の見やすいところに止まっていてくれたが、暗くて鮮明な写真は無理だった。太陽が顔を出すのを待つが、そのうち山の裏側のほうへ入ってしまった。田んぼでエナガ、ホオジロ、ジョウビタキを見ながら再び現れるのを待つ内に、空が明るくなってきた。先程これだけ明るければとまた愚痴が入る。その内にカラフトワシが出てきてので、飛翔姿を撮影する。離れたところにいたバーダーの人たちはカラフトワシを見てないで、他の鳥を見ているようなのでいってみるとハイタカだった。他にもミサゴやチュウヒが飛んでいた。午後は桜島観光し、鹿児島市内のホテルで新年を迎える。

(5日目)鹿児島市の市街地でジョウビタキを目撃したのが2003年最初の鳥見。鹿児島空港に向かう途中、国分市に立ち寄る。ここは過去にいろいろな珍鳥が現れているところらしいので、どうな場所か一度見ておこうと考えたのだ。着いてすぐに、ヤマセミの声がして振り返ると、池の対岸の枝に止まった。写真撮影にはこれ以上ないというぐらいの絶好の位置。しかし、カメラの用意をしている間に離れたところに飛び、準備が完了した瞬間、飛び去ってしまった。飛んでいった方に行くと直に枝にとまったヤマセミを発見。距離はあるが、双眼鏡でじっくり観察できた。スコープで撮影したらバッチリの距離で、またしても持ってこなかったことを後悔する。その後、時間の許すまで一帯を散策するが、ヤマセミは何度も見かけ長時間観察できたし、カワセミも数個体いたし、ミサゴ等の猛禽も豊富なようだ。元旦からヤマセミ三昧とは縁起がいい。