野生図鑑 鳥を訪ねて南へ北へ
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酷暑の八重山・宮古日記


 

Ishigaki, Iriomote & Miyako Island, Okinawa, JPN

 

(7/11-15)
数年前から夏の南西諸島に鳥見に行きたいとずっと思っていたが、この時期の格安航空券はプラチナチケットでこれまで入手出来ず断念してきたが、今年やっと超割・バーゲン割がゲット出来てはれて出発。お目当てはクロ・セグロ・マミジロの黒いアジサシ3種とツルクイナの初見4種。それに何度みてもわくわくするアカショウビン、サンコウチョウとの再会にも期待がたかまる。ほんとうは仲ノ神島に一番行きたいのだが、チャーター船でしか行けず高いツアーに参加するならロタ島やケアンズに行った方がいいと考え断念し、石垣・西表・宮古の3島に絞る。いつもの鳥見旅行には大口径レンズを持って行くのだが、年齢の為か最近重さがこたえる。今回は手持ちの400ミリ(メイン)&フィールドスコープ(サブ)にした。
 1日目)石垣空港の玄関を1歩出ると強烈な日差しが照りつけ、真夏の亜熱帯の島に着いたのを自覚する。最初に宮良川河口に向かう。海岸に出る前にカンムリワシポイントをのぞくが居ない。次に宮良橋の上から川の両側のマングローブ林を見渡すがダイサギ1羽しか見えず、海岸へ向かう。途中はキジバト、ヒヨドリ、シロガシラのみ。今回はしっかり下調べをしてきたのでアジサシウォッチに最適の干潮だ。、沖の方にはクロサギ(白・黒)とコサギが何羽か見え、オオアジサシが2羽飛んでゆくのが目に入る。潮の引いた砂浜に点在する岩の上にエリグロアジサシが何羽も止って居るのが見えたのでフィールドスコープの準備をして砂浜に降りる。飛翔時は青い海と空に純白が映えて実に美しい。うっかり営巣している大岩に近づき過ぎると、抱卵していない個体が3羽飛び立ち私の周りを旋回して戻っていった。私には威嚇というより、”おとり”の行動に見えた。一方、潮が満ちてくると直ぐに海面下に沈んでしまうような小さな岩の上で休息している個体は警戒心がうすく、400ミリで撮影可能な距離まで近付いても気にする素振りを見せない。さらに沖の方まで行くと波打ち際に数羽のコアジサシが休息していた。先程から山の方に雨雲がかかっているのに気付いていたが、自分の上空は青空だったので安心して岸の方へは戻らなかった。しかしまもなく激しいスコールに襲われる。大岩の少し窪んだ所に逃げ込み、スコープとカメラに防水カバーを掛け、さらに自分の身体でガードして雨が治まるのを待つ。シロチドリやコアジサシが急いで
何処かへ飛んでいく。クロサギだけが土砂降りのなか渚に留まっている。5分程で先程来の雨が嘘の様に強烈な日差しが再び降り注ぐ。2番目のアジサシポイント玉取崎に向かうため海岸を去ろうとしていたとき、海の方へ飛んでいくサギ類が目に入る。灰色のボディーで嘴はIbisの様に見えた。冬や渡りの時期ならともかく真夏の今、99%、目の錯覚なのはわかっているが万一本物のIbisを見逃して帰ったらバーダーの名折れだ。直ぐに引き返すが見失う。玉取崎行きは取り止め、探すが結局見つからなかった。諦め海を撮影することにする。とても綺麗なブルーのシオマネキがいるのに気付き何枚か撮影する。あとで宿の図鑑で名前を調べたがメモしてないので忘れた。ルリゴマフシオマネキだったかな?右手奥の大浜海岸沖の岩に止っている鳥がベニアジサシぽく見えたので双眼鏡で確認出来る距離まで歩いて行くが、エリグロだった。大浜海岸からスタート地点の宮良橋たもとの駐車場までかなりの距離を歩いて戻る。酷暑のなかアスファルトの歩道を、三脚&スコープ、中口径400ミリ付き一眼レフ、広角ズーム付き一眼レフ等を担いで歩きへとへとになる。今回は軽量化の為に大口径レンズは持って来なかったのだが・・・。 
次に予定を変えて宮良川を少し上流に行った所にあるS牧場へ向かう。ここは冬鳥を見るのに良いところらしい。ひとから又聞きで得た話では、バーダー用の記帳簿が置いてあり挨拶をしてそれに記帳し、ズグロミゾゴイの場所を教えてもらうといいとのことだったが、農作業の人は一人も見当たらなかった。当然のことだがやはり真夏は、炎天下を避けて朝と夕方働いているのだろう。途中ツミを見たくらいで直ぐにやる気が失せて、涼しい木陰で横になる。しばらくして目の前をアカショウビンが飛び、宮良川の方に降り、直ぐに鳴き声がしてきた。急にやる気が出てきて川に降りられる場所を探すが見つからない。だいぶ離れたところからようやく川に降りられたが、今度はマングローブの為に前に進めず諦める。牧場をあとにして直ぐにサトウキビ畑の樹にムラサキサギが止っているのを見つけしばらく観察する。その後、この日宿泊するフジゲストハウスに向かう。ここに宿泊したのは、オオクイナを見るためもあるが朝夕に近くの農耕地で クイナ類やミフウズラを探すのに便利と考えたからだ。しかしクールダウンしシャワーを浴びてさっぱりするとツルクイナを探しに行く気力も失せ、お昼寝。夕食後オオクイナが出ないので、アカショウビンがないている林へ行ってみるが、下は薮で道がなく近づけないので、明朝に期待して戻る。集落内ではシロハラクイナがあっちこっちに出ていたが、私の気配で直ぐに薮にかえ蹴込んでしまう。オオクイナは林に飛び込む1羽を見たのみ。オオゴマダラを撮影して民宿に戻る。

 2日目)目が覚めるとオオクイナが鳴いていた。急いで支度をして表に出たが見えるところには出ていなかった。付近の集落内をうろつくと、あちらこちらでシロハラクイナが見られたがオオクイナは視認ゼロ。リュウキュウメジロ、イシガキシジュウカラ等が見られたが、光線が悪かったのでシャッタを切らず。アカショウビンは3個体を目にし、そのうち1個体は1分ぐらい見やすいところで鳴いてくれ撮影もできたが、わたしが近所の犬達に激しく吠え立てられたので、民家の庭に飛んでいってしまった。奄美でも感じたことだが、人間の生活とアカショウビンの距離が近いのを実感する。海岸には小さなヤドカリがいっぱいいたが、鳥はいなかった。
朝食後、西表行きの船に乗る。途中標識ブイに止るアジサシ類やカツオドリに期待するが見たのはエリグロのみ。遠くでアナドリぽいのが飛ぶのが見えたが、高速船なので確認できず。かなりの沖合いをキジバトが飛んでいるのを何度か目にしてちょっと驚く。彼ら頻繁に島の間を移動しているのか?入港後、フェリー会社の連絡バスに乗 って、星立の民宿に到着。今回は島内をあっちこっち動き回る予定はないので無料バスはありがたい。早速集落内のズグロミゾゴイのポイントを2ヶ所のぞくがいないので、集落内を探して回るが会えず。カンムリワシもポイントを3ヶ所回るがいない。夏場は森の中にいるのだろう。暑さにへこみ、民宿に戻るが昼食を買うには歩いて10分ちょっとの祖納集落のスーパーまで行かなければならないと教えられ探鳥を兼ねて向かう。祖納の海岸でお昼を食べていると200メートル程先の海岸でアカショウビンがないているので行ってみる。樹の繁みから飛び出し数十メートル離れた別の繁みに入るという行動を5分おきくらい出繰り返しているが、飛んでいるとき以外は見えない。70メートルほど離れた木陰で見やすい枝に止ってくれるのを待つことにするが、1時間以上出てきてくれなかった。酷暑のなかヤドカリやムシを見ながらひたすら待つ。この間の唯一の収穫は直ぐ頭上の枝に止ったヒヨドリがハシボソガラスそっくりにないているのを目撃したこと。ヒヨドリは他の鳥の鳴きまねをするとは聞いていたが、実際に目の当たりにしてちょっとびっくり。1時間十分程待って、アカショウビンが再び先程と同じ様な行動パターンをとりだした。さらに20分待って、ついに地上2メートル程の突き出た枝の上に5分ほど止ってくれた。30分後には頭上5メートルくらいの枝に15分くらいじっとしていてくれ、暑いなか粘った甲斐があった。その後、築300年以上の伝統的民家や星砂海岸を見ながらズグロミゾゴイを探すが見つからず、部屋に戻って昼寝。5時半に再び探鳥開始。星立集落内をぶらつくが、電線に止っていたリュウキュウサンショウクイ1,2枚撮影したくらいで目ぼしい収穫はなかった。少し離れたところにある水田地帯にツルクイナを探しに出掛けるが、半分くらいまで行ったところで気力が萎え、引き返す。帰り際、山沿いをカンムリワシが飛ぶのを見かける。この旅最初のカンムリワシだ。夏場、こんなに見にくいとは予想していなかった。6時を過ぎ、シロハラクイナやズアカアオバトも動き出し たようだ。集落に戻り、物干し竿に止った個体など、3個体のアカショウビンを見て民宿に戻る。夕陽を眺めながらの夕食。西表の各集落ではリュウキュウコノハズクがいっぱいいると聞いていたので待つがなかなか鳴かない。10時を過ぎて鳴きだしたので、外に出てみると四方八方から聞き覚えのある鳴き声が聞こえてくる。部屋に戻り支度をして再び外に出ると、ピタリと鳴き声がやんでいたので、明日の未明に再挑戦することにする。


3日目)真っ暗なうちに探鳥に出る。リュウキュウコノハズクは昨夜の10時頃のように四方八方でないているという状況には程遠いが、それでも時間をおいて何ヶ所から鳴き声がする。鳴いている樹の傍まで行って探すが見えない。やっぱり懐中電灯なしでは無理だった。他の樹に飛び移るのを2個体目にしただけだった。真っ暗な空がかすかに白み始めるとアカショウビンが、集落と幹線道路を挟んだ反対がわのマングローブ林で盛んに鳴きだしたので行ってみる。マングローブ林からアカショウビンが飛んで来て電線に止ってしばらく鳴いて、集落の方へ飛んでいく。間髪置かず5羽が電線のほぼ同じ位置にとまった。シロハラクイナもマングローブ林で盛んに鳴いている。空が明るくなり日出直前になると電線に止っているのはキジバトとヒヨドリに変わったので、集落内を再度一回りした後隣の祖納集落へ向かう。道路脇の川岸にオオクイナがいたが気付かず飛ばしてしまう。橋のところまで行くとカンムリワシが電線に止っていた。学校の前の電線にはBittern 類が止っていたがこれも気付かず飛ばしてしまう。リュウキュウヨシゴイ成鳥より黄色みが強くやや小ぶりだったので、おそらく幼鳥だろう。学校の前の田んぼにはムラサキサギが降りており、シロハラクイナの家族も田んぼに降りようとしていた。その先の坂道になった歩道から下の田んぼをのぞくがカラス、キジバト、シロハラクイナしか見えず、引き返そうかと思っていたとき、足下の側溝にいたヒクイナを飛ばしてしまう。ヒクイは東京近県に何度か見に行って、まだまともな写真が撮れていないので、おしいことをした。昨日のアカショウビンポイントへ行ってみるが、満潮のためアクセスできず。遠くから見ている2羽が飛んで直ぐに繁みのなかへ入ってしまった。祖納集落内を探すがズグロミゾゴイは見つからず。朝食後の星立集落の散策でも、アカショウビンを2羽見た程度でズグロミゾゴイには出会わなかった。
 石垣島に戻って、新川河口にアジサシを見に行く。着いた時にはオオアジサシぽいのが遠くにいたが直ぐに飛んでいってしまった。宮良川河口に沢山いたエリグロも2羽のみ。河口近くに出来た中洲のコアジサシの小さな群れとシロチドリが休息していた。干潟に出て綺麗な海を眺めながらオオグンカンドリ等珍しい鳥が飛んでこないかと期待して待つが現れず。背後の高層マンションの横の公園では炎天下おじー・おばーがゲートボールをしているが、こっちはまたしても暑さにやる気が失せる。公園の真ん中に一本だけ離れて立っている小さな樹でアカショウビンがないていて、近くにいけば丸見え状態なのだが見に行く気力もない。このあと名蔵の水田地帯にツルクイナを探しに行く予定だったが、やめて予約していたペンションに早々とチェックインしてまたしても昼寝。5時から宿を出て平田原の水田へ行く。直ぐにリュウキュウヨシゴイが飛ぶのを見つけ、降りた地点にいってみる。遠くから見たときは、葦原かと思ったが、近くに行ってみると休耕田で、雑草の長けも短めだったので、婚姻色の個体を含めオス2・メス1をじっくり観察できた。田植え直後の田んぼにも何羽か下りていて、こちらも見易かった。訪れる時期(田んぼの状態)によってこうも見易さが変わるのかとみょうなことに感心する。平田原の3分の1くらいを廻り、結局8個体視認。ムラサギサギなどのサギ類も沢山見えたが、クイナ類は見つからなかった。ミフウズラを探してサトウキビ畑を通って帰る。声や動く気配はするが視認できず。その場で1時間くらい粘れば出てきてくれるのだろうが。途中、シロガシラダチョウ牧場を撮影して宿に戻る。

 4日目)早朝、宿の近くのサトウキビ畑にミフウズラを探しに出掛けるが、地面を歩く姿を見れたのはシロハラクイナだけだった。電線にズアカアオバトが止っていたので撮影。嘴等の色が綺麗に見えているが、早朝なのでボディに赤みがかかるのが残念。海の方にも行くが、見れたのはエリグロアジサシ2のみ。
 朝食後、宮古島に移動し東平安名崎へ向かう。宮古を代表する観光地でさすがに綺麗だ。小さな漁港に下りて行き、黒いアジサシを探すが見えるのはエリグロのみ。隣の小さなビーチでも砂浜にエリグロが降りていたが、黒いのは見当たらない。綺麗な景色にみとれるが暑さには勝てず、岬の上に上がって冷たい飲み物を2本飲んでクールダウン。その後、一般の観光客に混じって、岬の上から”黒いの”を探す。駐車場から岬の先端まで200メートル足らずの距離であるが、酷暑のなかスコープ、三脚などを背負って歩くのはこたえた。岬の先端で黒いアジサシが沖の方へ飛んで行くのを見る。沖合い数百メートルのところにある岩礁地帯の方へとんで行った。行きたいなあ!十中八九、クロアジサシだろうが、ちゃんと観察できず他の2種の可能性も残るのでライフリスト入りならず。駐車場のところの自販機でお茶を買って飲む。ここに来て3本目。岬の付け根に向かって何ヶ所かで下をのぞくがエリグロ以外みつからず。付け根近くまで来たとき、2羽のマミジロが目の前を飛んでいき、下のビーチの方へ降りて行った。直ぐに後を追うがエリグロ以外、見つけられなかった。ひと一人いないビーチだが水の色は最高だった。岬から少し北のところにある岩礁地帯へ行こうと思っていたが、ドライブインに入って冷えた生ビールを飲んでしまった。酔いが醒めるまで付近のビーチ等をうろうろして、そのまま平良のホテルに直行する。
 5日目)7時に朝食をとり、直ぐにお目当ての水場へ向かう。数年前からずっと来たかった場所だ。先客のカメラマンがいるだろうと思っていたが、誰もいなかった。はじめのうちはヒヨドリとキジバトしか来なかったが、直ぐにサンコウチョウのメスがやって来て水浴びをはじめた。撮影に良い場所を探して動いていると、飛んで来たアカショウビンが驚いてユーターンしていくのが目に入った。アカショウビンが止りそうな枝の目星をつけ、簡易ブラインドの中に入って待つ。狙った枝には止ってくれず、少し離れた対岸の枝にばかり止る。三脚を置いてきてしまい、手持ちでは疲れるので直にブラインドはやめにする。こちらは丸見え状態だが、岸辺でじっとしているとアカショウビンは気にせず水浴びを繰り返してくれる。
視界が広くなり、他にも2羽のアカショウビンが木の枝の葉っぱの陰に止っているのが見えてくる。その後もアカショウビンは次から次とやって来て、常に最低でも1羽はいてくれた。最高6羽が同時に視界内にやって来てくれた。まさにPradise of Kingfisher。こんなに凄いのはブラジル・パンタナールの三日月湖以来だ。小一時間、アカショウビンを堪能した後サンコウチョウの撮影へ移るが、やって来るのはほとんどメスばかりで、たまに尾羽の短いオスがやって来るだけ。近くの枝に止ったカラスバトを撮影できたのを機に、歩いて10分程の一回り小さな別の水場に移動する。ここでも直ぐにサンコウチョウがやって来て目の前で水浴びをしてくれる。初めの水場よりオスの比率がアップして、メス2にオス1の割合。しかし、オスはやはり尾羽の短いものばかり。アカショウビンも10分おきくらいにやって来て10分ぐらい居てくれる。こちらの水場は小さいためかほとんどは1個体で、多くても2個体だったが、こんなに頻繁に来てくれのは、他の地域ではあり得ない。圧巻はカメラマンが置いたであろう水場の中から突き出た枝に止ってくれた時。距離7メートル、双眼鏡なしでつぶさに観察できる距離だった。15分以上いて、何度もダイブを披露してくれた。キンバトも水場の近くまで出てきてくれたが、直ぐに林のなかへ入ってしまう。海外で見たことがあるので、あえて石垣のT農園には行かなかったが、国内初見の美しい姿に感激。カラスバトも近くの枝にやってきてくれた。林の中から何かがちょこちょこ出てきて自分の5メートル横を通り池のなかに下りていった。オオクイナだった。5分ぐらいいて水をたっぷり飲んだあと、また自分の直ぐ横を通ってゆっくりと林の中へもどっていった。道で偶然出くわしたときは、30〜50メートル離れていても直ぐにやぶのなかへ逃げ込んでしまうのに・・・。驚きだった。小一時間ほど経って尾羽の長さがやや長いオスのサンコウチョウがやってきた。続いて同じ様な尾の長さのがもう1羽やってきた。さらに15分くらいのちにサンコウチョウの独特のさえずりが聞こえてきた。今日姿はいっぱい見ているが声を聞くのは初めてだ。きっと立派な尾羽を持ったオスに違いないとかってに決め込んでまっていると、数分後に長い尾羽を持った個体がやって来た。その後別の長い尾を持った頭の禿げたオスもやって来た。そのうちアカショウビンやサンコウチョウがいっせいに飛び立つ。何事かと思っているとまもなくしてウォーキングの人が通って行った。地面に降りていた訳でもないのに、野生の聴覚はすごい。その直ぐ後に長玉を担いだ一人のカメラマンがやって来た。名刺をいただく。神奈川県のXさん。今朝、直行便で到着されたそうだ。こんなところにいて大丈夫なのと尋ねられ、じっとしていれば大丈夫、ブラインドは必要ありませんと答える。Xさんは前に来たときはここにブラインドを張って撮影したんだよと場所を指し示してくれた。Xさんの心配も杞憂に終わり、直ぐにサンコウチョウやアカショウビンが戻ってきてくれた。人数が多い時はブラインドは必須だろうけど。Xさんはさっきも来た頭の禿げた長い尾のオスを狙い、私は再び林から出てきたキンバトが少しでも明るいところに出てくれるのを待っていると、ここの主は俺だとばかりに赤い弾丸が何度も水に飛び込む。なんとも贅沢な時を過ごし、12時半にその水場を後にする。

平良市街で昼食をとった後、島の北端から、橋でつながった浮き間島の湿原に向かう。ここは珍鳥が色々来ているところで、今年の5月にも珍鳥がでたとの地元新聞の記事を見ていたので、少し期待していたのだが、Xさんの知人が先月来た時にはもういなかったそうだ。それでも万が一ということもあるので、希望は捨てないことにする。県が公園にして遊歩道を整備する計画もあったそうであるが、地元の反対で中止になったそうだ。一つの見識だと感じた。地元の野鳥の会では長靴で草をかき分けて探鳥会をやっていると聞いていたが、干ばつのせいで水面が後退して、以前は水面下にあった泥地はぬかるみひざ下近くまで埋まり、水辺まで近づけない。それでも畑へ行く道を通って湿原を見渡せる場所2ヶ所になんとか行くことができた。渡り鳥がオアシスとして立ち寄るのが何となくわかる気がした。鳥は、ムラサキサギをはじめとするサギ類、リュウキュウヨシゴイ、キジバト、バン、カルガモなどで特段かわったものは見られなかった。もっとも2カ所から、双眼鏡で見渡しただけなので、見落とす可能性の方がおおきが・・。池間島の美しい海を堪能して宮古を後にする。今度来た時には船で沖の岩礁地帯にも是非いきたいな。

(この項おわり)