野生図鑑 鳥を訪ねて南へ北へ
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Hong Kong 旅日記


 

DAY02

 

昨夜夕食をとった、ホテルに隣接した食堂が開いていなかったので、朝食になるものを売っている所を探しに出掛けるが、近所に食料品店は見当たらない。高層アパートが立ち並ぶ元郎(Yung Long)の街の入口に”買物中心”の文字が見えたので行ってみる。一階は路面電車とバスのターミナルで、二階がショッピングセンターになっていた。大きなレストランがあり客がいっぱい入っていたが、マイポー保護区に入る前の 探鳥時間を確保したかったので、セブンイレブンのおにぎりとお茶で我慢する。部屋で朝食を摂りながら、カメラの点検、さらにタクシーを待つ間も庭でコウラウン、シロガシラを被写体にして動作確認、大丈夫そうだ。昨日ヒメヤマセセミを目撃した地点でタクシーを降り、あたりを探索するが見付からない。今日は土曜日なので、マイポーへ向かうと思われる人達が何組か通り越していく。保護区駐車場近くで、コウラウン、カオグロガビチョウ、カノコバト、オナガ等の撮影を試みるが、またしてもカメラの調子がおかしい。今回は短期なので、つい油断して一台だけしか持ってきていない。10分程いじっているうちに復旧したので、カオグロガビチョウを何とか撮影する。駐車場には十数人が事務所のオープンを待っていた。今日はマイポーの”メイン会場”干潟へ急ぐ。途中、最初の観察小屋から”汐入りの”をちょっと覗いたのと、アカガシラサギYellow-bellied Prinia、養殖池の杭にとまるアオショウビン、カイツブリ等を撮影するためにちょっと立ち止まった以外は速足で遥か彼方の国境フェンスを目指す。フェンスを越え、マングローブ林の中をドラムカンの浮き橋を200メートル、更に木道を100メートルほど進み、観察小屋に到着
する。

 早速、覗き窓を開けて外を覗き込む。目前には広大な干潟が広がり、波打ち際は1キロ以上先。近くに鳥は全くいなっかったが、左手にもうひとつ観察小屋があり、そこから100メートルぐらいの所に白い鳥の群れが見えたので直ぐにそちらに移動する。覗き窓を開けると、近いところにコサギが30−50メートル間隔ぐらいで点々と見え、100メートルほど先に20〜30羽のソリハシセイタガシギがいた。お目当ての鳥との出会いに喜び勇んで撮影&観察に没頭するが、10分程してホバークラフトが近くを走った為に、遠くに翔んでしまった。仕方がないのでスコープで遥か彼方の波打ち際を観察する。サギ類と思われる白い点がいっぱい見えるが、種がはっきり同定出来るのはダイサギぐらい。アオサギがたぶんそうかな、もう少し小さな白点はカモメ類かな、黒い細長い点はカワウだろうと想像するのが精いっぱいの、遠距離である。それでも目が慣れてくるとワシと思われる茶色い点が幾つか見えてきて、更にそれよりも小さいシギと思われる茶色い点々が海岸線を覆い尽くしているのに気づく。大きさから考えてダイシャクシギ以外には考えられないが、もちろんくちばし等全く見える距離ではない。私は、ダイシャク、ホウロクが日本で五羽以上かたまっているのをまだ見たことがないが、今目前には間違いなく千羽以上がいる。Avocet以外のもう一つのお目当て、ニシハイイロペリカンを探すが見付からない。ダイサギよりずっと大きいので海岸線近くにいれば、見逃す筈はないのだが・・・。そのうちに、またAvocet(ソリハシセイタカシギ)が少しずつ近付いてくる。そこへまたしてもホバークラフトが。嫌な予感がしたが、今度は少し海側を通ったので、逆にAvocetが更に近付いて来てくれ楽しませてもらうが、しばらくして一斉に飛び立ってしまった。仕方がないのでムツゴロウspを眺めながら、潮が満ちてきて鳥の方からこちらに近付いて来てくれる幸福な時が訪れるのを期待して待つが、潮が満ちてくる気配は全くない。こんなに沢山ムツゴロウspがいるのに、それを捕食しようとしているのは10羽程のコサギだけなんて信じられない。せめてカラシラサギが1,2羽いてもいいのに、全てコサギだった。見慣れた浅瀬の小魚の漁とは少し違う、泥の上のムツゴロウspを捕まえるところをじっくり観察できたのがせめてもの救い。他にはアカガシラサギ、アオショウビン各1羽が比較的近くに来ただけで、他の鳥はまるで駄目。右手には中国本土の深釧の高層ビル群、左手には今日宿泊するTin Shui Waiの街の高層アパート群と探鳥に訪れる予定の尖鼻咀 (Tsim Bei Tsui), 浮流山 (Lau Fau Sha) が見える。

いったんフェンスの内側に入って保護区内を少し散策することにする。学習センターのある辺りまで戻ると、20−30人の子供と先生らしき大人1人の団体や家族連れが数組いて賑わっていた。其所からフェンスまでの1キロ(幅2キロ)の広大な保護区が広がっているが、香港の人達は奥の方へはあまり入らないようだ。奥の方では外国人バーダー数人と会っただけだった。フェンスで囲まれたガン・カモのための池があるが、野良犬・野良猫のみならず人間も入れないのでフェンス越しにわずかな隙間から覗くしかない。ざっと見回して見えるのはヒドリガモだけだった。あっちこっちの隙間から時間をかけてさがすと、キンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモといった日本でお馴染みのカモ達とバン・オオバンが見つかる。中島でシマアジが10羽ほど寝ていた。綺麗な夏羽だった。サカツラ・ハイイロなどのガン類は見つからなかった。もっとも、越冬に来てたとしてももう北帰行の時期は過ぎているだろうけど。カモ池の反対側には水草などが”いい感じで”茂った淡水沼があるのだがこちらにはバンしかいない。売店でホットドックを買って昼食にする。保護区の東側の観察小屋がいくつもある方を通って再びフェンスの方へ向かう。先ず、10分程、ホオジロハクセキレイの撮影に取掛る。途中の観察小屋を全て覗くが目ぼしいものは見えなかった。もっとも、ちょっと覗いただけで、ちゃんと腰を据えて観察していないが。その後トレイルで10羽強のギンムクドリに会う。国内では”外して”いるので、これが初見。フェンス近くの池の畔の木に止まったアオショウビンをしばらく観察した後、再びフェンスを越えて干潟の観察小屋に向かう。海水面はさらに後退していて双眼鏡で覗いてもわからないほど遠い。船が見えるので其所より手前なのは確かなのだが。鳥は全く見えない。”潟スキー”に乗った漁師さんが何人か見えるだけだった。先客の女性2人組も諦めて、スワロのスコープに取り付けたデジカメアダプターを外しているところだった。彼女らのお目当てはSpoonbillとのこと。彼女達が出ていった後、しばらくボーとしていると大型の猛禽類が何羽か飛んでいるの目に入る。カラフトワシとカタシロワシだ。そのうちカラフトワシは近くに来て、ムツゴロウ狩りを見せてくれた。ワシが急降下するとその付近のムツゴロウが一斉に水しぶきを上げて砂に潜り込む。ワシが去ってしまうと見るべきものはなくなったので引き返す。

国境フェンスの入口のところに潮汐表が貼ってあったので確かめると、午前中 Pied Avocetを見ていたころが満潮とわかる。干潟に鳥を見に行くには事前に干満を調べてから出掛けるのが当然なのは百も承知であるが、今日は1日中いるのでその間に必ず満潮が入る筈だから大丈夫とたかをくくっていたが、満潮時の潮位まで把握してから訪問日を決める必要があることを痛感する。このままオメオメ帰国するわけには行かないので、今日より満潮時の潮位が20数cm高い明後日に再訪することにする。先程
小屋であった2人組に会いSpoonbillの情報をもらう、来た道を引き返す。教えてもらったポイントにはいなかったが、直ぐに少し離れた所にいるのを発見。いるとわかって探すと双眼鏡を使わなくても採餌している後ろ姿だけで直ぐにわかった。先程、 彼女達に会う前にも別の地点から同じ辺りを双眼鏡でサーチしたのだが見付からなかった。気持ちの持ち様ひとつでこうも違うものか。Spooonbillはクロツラの方が2羽だった。此処はクロツラヘラサギガ百数十羽来る世界有数の越冬地なのだが、他の個体は何処にいるのか??その後、保護区内でオオバンケン、ハッカチョウ、シキチョウ等を見る。隣接する養殖池では昨日同様、カワセミを数羽目にするがなかなか近くにとまってくれない。100羽近くのクビワムクドリの群れが電線にとまり、交互に池の畔に降りて水を飲んでいた。レアものが混じってないか探すが、自転車のおじさんが通って飛ばしてしまった。帰路、先日のヒメヤマセミ目撃ポイントに期待するが、はずす。今日のホテルはマイポーの観察小屋から見えていた香港の北西端の街、天水圜(Shui Wai)にあるHabour Plaza Resort City。インターネット予約で1泊5千5百円程度だったが、高層階の立派な部屋に通される。窓の外には真新しい高層住宅群が林立し、その奥にはわずかに残る養殖池とDEEP BAYと呼ばれる米埔と尖鼻咀に広がる湾が見えている。

(以下、次ページに続く)