野生図鑑 鳥を訪ねて南へ北へ
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G.W. 奄美旅行記


 

Amami-oshima, Kagoshima

 

朝夕は鳥見を楽しみ昼間は綺麗な海を眺めながらのんびりしようとG.W.に奄美大島へ
出かけた。7月下旬、5月下旬に続いて3度目の奄美訪問である。近場の関東甲信越
・伊豆と故郷の北海道の何ヶ所かを除いては、3度も行ったのは、宮崎の御池と奄美
だけだ。ダイビングをしない自分が奄美にはまったのは、美しい海、ルリカケス等の
奄美固有種やアカヒゲ等の琉球列島固有種の存在もあるが、何と言ってもアカショウ
ビンの密度の濃さに魅了されてしまったのが第一の理由だろう。八重山もアカショウ
ビンが多いと聞くが、夏は石垣や宮古行きの格安航空券をとるのが至難の技なので、
アカショウビン&アジサシの季節には未だ行けないでいる。アカショウビンのベスト
シーズンにはまだ1月半以上あるが早い奴はもう渡って来ているはずだし、渡りの季
節なので上手くすると初見の鳥を1〜2種ゲットできるのではないか、それにルリカ
ケス、アカヒゲ、リュウキュウヨシゴイ、ミフウズラ、ヒクイナ等のもっといい写真
が撮れるのではと、勝手な算盤を弾いて出発。総括から先にすると、鳥見の方は外れ
だった。しかし、他の部分で楽しめたのでいい休日だったと言える。
 (1日目)午前、龍郷自然観察の森へ直行。過去二回の訪問でアカショウビンを目撃しているポイントを順に見て回るが、鳥影なし。やはり早すぎたか?キツツキのドラミングの音がする方へ行ってみると、オーストンオオアカゲラのメスメスがいた。過去2回の目撃ポイントの近くだった。付かず離れずついて行き、撮影可能な位置に移動するのを待つ。数ショット撮影して彼女と別れ、トレイルを1時間かけて回る。キビタキ、アカヒゲ、ルリカケス、ズアカアオバトの声を聞くが姿は見えず。過去二回はこれらの種を何度か見ているので、今日は自分の集中力が足りないのか?観察できたのは、リュウキュウサンショウクイ、アマミヒヨドリ、シジュウカラ、ヤマガラのみというお寒い結果。唯一の救いはオーストンオオアカゲラのオスオス・メスが何度も近くに来てくれたこと。森を飛び回る姿は、オオアカゲラというよりクマゲラに近い。幹をつついては、耳をあてて虫の居所を探り、木の皮を剥して捕食する様子をじっくり観察できた。アサギマダラの写真はなかなか上手く撮れないので、他のの写真を撮ってよしとする。ここから観る笠利湾は物凄く綺麗なのだが、生憎曇天で海の色はいまひとつ。
 午後、名瀬市古見方地区で探鳥。以前訪れた時は田んぼが広がっていたが、今回は
畑が多かったので始め別の場所に来たのかと思った。キジバト、セッカ、リュウキュ
ウツバメを見ながら川沿いの道に出る。以前この川でリュウキュウヨシゴイを見てい
るので、それの撮り直しと渡り鳥との遭遇を期待しての探鳥。1キロ弱の川沿いの道
をゆっくり進むが、リュウキュウヨシゴイは見えない。川にはバンとカルガモ、カイ
ツブリ、畑にはキセキレイぐらいでこちらも午前に続いてぱっとしない。向こう岸の
木にアマサギの群れが止っていたので数枚撮影する。復路は川の反対側の道を進む。
反対側の畑にアマサギの群れが3つぐらい降りていたので撮影し、出発点に戻る。も
う帰ろうかと思うが、鳥の動きが活発になるのはこれからと思い直し、もう1往復す
ることにする。復路でリュウキュウヨシゴイが川の上を飛び葦原に入るのを目撃。し
ばらく待つが出てこないので、諦めてさらに50メートル程進むと別の個体が河原に
出ていた。とりあえず1枚写し少しずつ近付こうとするが、中洲から別の個体が飛ん
できて始めの個体を追い払い、自分も葦原の中に消える。余計なことをしやがる!河
口まで行くが、いたのはイソシギが1羽のみ。畑の真ん中を走る電線に鳥の群れが止まっているのを発見。一目でムクドリ類とわかる。種を確かめるために近くまで行ってみることにする。コムクドリだった。繁殖地でみるような綺麗な夏羽ではなかったが、これだけの数を見るのは初めてなので満足。山羊に威嚇されながら記念撮影。陽が山の後ろに隠れ、夜行性のイタチが活動を始めた。ズアカアオバトも活発に動きだすが、撮影には暗い。7時に探鳥を終え、名瀬市街に向かう。

(2日目)朝早くにチェックアウトして探鳥に出かける予定が寝坊し、9時過ぎにホテルをでる。秋名の水田地帯へ向かう。いい天気だ。川のマガモやバンの色もきれいに見える。リュウキュウメジロが盛んに囀り、セッカやリュウキュウツバメが飛び回り、のどかな田園風景が広がっている。山ではサンコウチョウ、アカヒゲ、ルリカケス等の囀っている。水田にはセイタカシギアオアシシギ等。空港へ向かう途中の笠利湾のコバルトブルーの海も今日はとりわけきれいだ。空港で1日遅れでやって来る連れを出迎え、土盛海岸にあるペンションへ。玄関でオーナーがうちは1歩中に入ってからがいいのよと言うが、なんのことかよくわからない。先に入った連れが、おぉ〜と感嘆の声。後に続くと、全面ガラス張の食堂から、素晴らし色の海が見えていた。荷物を置いて直ぐに海岸に出かける。ちゅら海には休日だというのに、人は10人以下。おかげで、美しい海を一人占めしている気分に。隣の大瀬海岸にも行ってみる。ここは奄美屈指の探鳥地、7月にはアジサシ類、5月下旬にはシギ類が楽しめた。双眼鏡でざっと見渡すが目に入るのは、アオサギ、メダイチドリ、イソシギ、イソヒヨドリ、アマミヒヨドリのみ。ここでの探鳥のためにスコープを持ってきたが、取り出さずに引き返し、昼寝。夕方はサトウキビ畑にミフウズラを探しに行くつもりだったが、目覚めた時には夕食時間だった。横並びに座り、海を眺めながらの夕食。目の前の庭には2−3年おきに彼岸の頃ヤツガシラが1日だけ立ち寄るそうだ。今年はヤツガシラが来たからきっと良いことがあるわよとオーナーが言っていた。美しい海を望む自宅の庭に春にはヤツガシラが立ち寄り、夏にはアカショウビンが訪れる、うらやましぃーい。夕食後は奄美の海のビデオを見る。

(3日目) 未明に海岸に出て、日の出を待つが今一つ。サトウキビ畑でミフウズラを探すも見つからず。大瀬海岸も鳥少なし。朝食後色づき始めた海へ出て、チェックアウトまでの時間をのんびり過ごす。その後、名瀬での昼食休憩の1時間も含めて3時間以上の大移動。奄美大島は1市3町2村がある大きな島であるが、その一番北の笠利町にある土盛海岸から一番南の瀬戸内町の中心地古仁屋までの移動である。古仁屋では半潜水船に乗船して海中散歩に出かける。以前来た時に予約なしで乗ろうとしたら、団体客の予約がいっぱいで2時間後でないと乗れないと言われ諦めたのだが、今回は直ぐ乗れた。20分かけて大島海峡のポイントまで出かけ、そこで20分間海中を観察して、20分かけて戻って来て、2500円×2は高すぎる気もしたが、ダイビングをしない者が奄美の海中を体験するには最善の方策。他のところでもグラスボートに乗って海中観察をしたことがあるが、それらの過去の体験とはまったく比較にならない程、大島海峡の魚達は素晴らしかった。フェリーや水上タクシー、半潜水船の着く港の隣にある漁港には夏ベニアジサシが舞い、背後の山ではアカショウビンがないていたが、今は鳥影なし。今日宿泊するヤドリ浜へ向かうが、途中の蘇刈集落で探鳥。サンコウチョウ、アカヒゲ、ルリカケスなどの声が聞こえるが、見れたのはヒヨドリとズアカアオバトのみ。夕食後は以前にもお世話になった海風舎のナイトツアーをお願いしてある。お目当てはアマミノクロウサギとリュウキュウコノハズク、アマミヤマシギ。夜の鳥2種は過去2回とも見ているが、クロウサギにはまだお目にかかってないので、’3度めの正直’を狙う。林道を車で2時間程走りながら生き物を探すといった内容。途中、ヒメハブ等ヘビ3種、カエル1種(アマミアオガエル)をみる。今日は乾燥しているためか、オットン、イシカワなど他のカエルは見られなかった。リュウキュウコノハズクが近くでないている地点で何度か停車して、トライするが今回は姿をみることはできなかった。星がきれいっだったのと、アマミヤマシギが比較的よく観察できたのでよしとしよう。クロウサギも結局姿を見せず。自分はウサギとの相性が悪いようだ。最後にリュウキュウイノシシを見て帰路につく。

(4日目)夜明け前に付近の探鳥に出る。ここに泊まるのは初めてであるが、以前に海
を見に来た時に綺麗な海と鳥が多いことを知りここのホテルに宿泊することにした。
以前にアカショウビンを目撃した地点を順に見て歩くが、目につくにはヒヨドリとシ
ジュウカラのみ。エビの養殖池のある方に向かう。途中樹上の裸の枝にルリカケスが
止っているのを見つけるが、太陽はまだ山の影にあって顔を出さず、シルエットのみ
の観察となる。明るくなるのをその場で待つが、15分くらいして飛んでいってしま
った。ルリカケスの写真はこれまでに何枚も撮っているのだが、ルリ色(紫)が綺麗
に出た写真がまだ撮れないでいる。養殖池を覗くが鳥は全然いない。香港の同じよう
なエビ池は、カワセミをはじめ、アオショウビンやヤマショウビン、アカガシラサギ
の恰好のポイントだったのだが・・・。道の反対側に葦に囲まれた天然の小さな池があるのだ
が、こちらの方には鳥がいるのを以前に確認済みなので、しばらく待つことにする。
コサギ、バン、シロハラクイナを見る。背後の山ではサンコウチョウが3羽鳴いてい
て、距離的には近いが姿の見える所には出てきてくれない。アカヒゲも同様。ルリカ
ケスやズアカアオバトはたまに飛ぶが直ぐに繁みのなかに入ってしまう。ホテルの方
へ戻る途中、茶色の弾丸がこちらに向かって飛んで来るのが目に入る。アカショウビ
ンだ。10メートル横をかすめて、何処かの木に止ってくれとのこちらの祈りも通じ
ず、山の斜面の方に消えていった。2、3秒の目撃だったので自信はないが、奄美大
島で繁殖するリュウキュウアカショウビンではなく、本土で繁殖する”ただの”アカ
ショウビンのようにみえた。程なくしてホテルの裏山の方から別のアカショウビンが
鳴く声が聞こえた。夏、とりわけ雨の日などに聞かれる力強い鳴き声ではなく、実に
弱々しい声だった。しばらく待つが、2度と鳴かなかった。後で聞いた話ではホテルの人が聞いた初鳴きは4月24日頃だそうだ。朝食後、ちょうどヤドリ浜の裏側にあたるホノホシ海岸を訪れる。ヤドリ浜が白砂のビーチで、前には大島海峡の穏やかで美しいサンゴ礁の海が広がっているのに対し、こちらは丸石の海岸で太
平洋の荒波が打ち寄せていて、好対照である。その後、国道から別れ太平洋側を走る林道を走り住用村へ向かう。直ぐに電線に止まるルリカケスを見つけるが、窓を開け撮影しようとして飛ばれる。途中、ヒカゲヘゴの群落などを見る。ニュージーランドの森を思いだす。日本ではこのように大きなシダ植物が混じる森は稀で、マングローブやソテツと並んで奄美の象徴的植相である。次に道端に美しい野生のを見つけ、降車して鑑賞する。近くでアカヒゲやサンコウチョウが鳴いていたのでしばらく粘るが、アカヒゲを一瞬目にするのが精いっぱいだった。途中何度か降車して林道を歩く。あっちこっちからサンコウチョウやルリカケス等の囀りが聞こえるが、視認できたのは、オオアカゲラ、コゲラ、サンショウクイのみ。峠では、天気が良ければさぞ美しいであろうと思わせる風景景色を眺めながら休息。峠を下りきったところで、道路わきの樹に止まるカラスバトを見つけるが、またしてもシャッターを切る直前に飛ばれてしまう。数分走ったところで、連れが別のカラスバトを見つける。今度はかなり遠いが、降車して1枚だけ撮影。昼食後は、昨夜と同じ海風舎のガイドによる、住用村マングローブ林のカヌー探検。潮が満ちてくるまで陸上で花の観察(花1花2パッションフルーツ食虫植物)。果樹園で捕まったリュウキュウイノシシも見学。狩猟期間が終わり肉の値段が上がってから、売られるそうだ。さらに道路脇のマングローブ林に下りメヒルギを観察。この実が落下して砂に突き刺さり発芽してマングローブ林を作ってゆくのだそうだ。最後にカヌーに乗る前に、干潟で蟹の観察(カニ1カニ2カニ3)。カヌーに乗り、先ずは中洲の島を目指す。中洲ではオヒルギの花、発芽した幼木トビハゼ、エビ等を観察。再びカヌーに乗りマングローブ林を眺めながらゆっくりと進む。途中、20人以上の団体、7,8人の団体とすれ違った後、小さな水路に入る。水路では、コサギ、アオアシシギ、キアシシギ、イソシギをみる。早朝に一人でカヌーでのんびりと探鳥すれば、きっといろいろな鳥が観察され楽しいだろうなと思う。帰路、野良山羊を見てこの日の自然観察を終了。

(5日目)早朝、前日と同様にホテル周辺を探鳥。雨が降って来たので6時半で切り上げる。ズアカアオバト、ヒヨドリ、シジュウカラ、アカショウビン(声のみ、2ヶ所)、サンコウチョウ(声のみ、5ヶ所以上)、ルリカケス、アカヒゲ、バン、シロハラクイナ、マガモ、バリケン。チェックアウト後、古仁屋の町にカワセミを見に行く。以前に来た時、町中を流れる、コンクリートブロックで護岸した小さな川でカワセミを見て驚いた記憶がある。その時持っていたテレコン付きの超望遠ではあまりに近すぎて写真が撮れなかったので、300ミリを持っていく。カワセミは数年前に見た場所とほとんど同じ場所にいた。今年のカワセミ類50ポイント目。近くでイソヒヨドリカタツムリを見た後、名瀬へ向かう。名瀬の郷土料理店で昼食後、早い便でひと足先に帰らなければならない連れを空港で見送り、三たび、大瀬海岸へ。今回の旅で初めてスコープを出して、まじめに鳥見をする。取り立てて珍しい種は見当たらないが、綺麗な夏羽のウズラシギが数羽いたので楽しませてもらう。アジサシ類が3羽飛んで来るのが見えたので、あわててスコープをカメラレンズに替えるが、コアジサシだった。カメラのファインダー越しに観察していると、波打ち際に謎の大型の鳥を発見。再度、スコープに付け替えている間に見失ってしまった。時期遅れの迷子のガン類か?ちゃんと確認できなかったので妙に気になる。他には、アオサギ、ダイサギ、コサギ、クロサギ、カワセミ(1)、ホウロクシギ(1)、アオアシシギ、ソリハシシギ、キョウジョシギ、トウネン、ウズラシギ、セイタカシギ、ムナグロ、シロ&メダイチドリ、オオメダイチドリ。

(以上で、奄美の項終わり)