サキコ理論
私たちのカラダには、特に運動をしていない時でも、心臓の拍動や呼吸、胃腸の消化活動などのために動き続づけいているたくさんの筋肉があります。また、どんな時でも、一定の姿勢を保持し、立ったり坐ったりするために、身体中の筋肉が複雑に調節された動きをしています。
 これらの筋肉は、普段は、血液中の脂肪酸を燃料として使っています。食後しばらくは、食事から吸収された脂肪酸が、血液中にたくさんありますが、食後時間が経つと、体脂肪が少しずつ分解されて燃料となります。
 そう、脂肪は、一日中とろりとろりと燃焼しているのです。
 いわゆる有酸素運動を行えば、この燃焼をいっきにすすめることができますが、特に激しい運動をしなくても、体脂肪は自然に、少しずつ燃焼しているのです。要は、体脂肪の蓄積が、この自然な燃焼の速度を上回らなければよいのです。

  体脂肪が蓄積するのは次のような条件の時です。

・血糖値(血液中のグルコース濃度)が高い。
・血液中の脂肪酸濃度が高い。
・血液中のインスリン濃度が高い。
この逆の時は、体脂肪は、つねに分解に向かいます。
体脂肪が増えるのは、主に食後です。

実際には、どうしたら良いでしょうか。その前に基礎知識の復習をしましょう。次の絵を3分間みてください。





エネルギーの転換
この図の中には、ポイントがいくつかあります。

●食後急速に血液中に流入した脂肪酸やグルコースは、いったんグリコーゲンや中性脂肪という形に合成されて、後で小出しに使えるようにストックされます。
この反応を指令するホルモンがインスリンです。
食後時間がたって、血糖値が下がってくると、インスリンの濃度は下がり、グルカゴンというホルモンの指令によって、食後とは逆に、脂肪やグリコーゲンが分解される反応が大きくなってきます。…私達のカラダは24時間休みなくエネルギーを使っているのに、食事は日に数度。
ここのところを、こういうしくみで調節しているのです。

●分解と合成の反応は、常に両方向に起こっています。インスリンやグルカゴンの作用によって、速度が異なるだけです。ところが、図をよく見てください。
グルコースが脂肪に合成される反応だけは、絶対に一方通行なのです。
すなわち、いったん脂肪に蓄積されたエネルギーは二度とグルコースになることが出来ません。
これは後で食欲のしくみを考える時に重要になってきますので、覚えておいてください。







エネルギーのタンクの使い分け
 カラダの中には上の図のように、体脂肪という巨大なエネルギータンクと、筋細胞の中のグリコーゲン、肝細胞の中のグリコーゲンという小さなタンクがあります。(この他に筋肉などの蛋白質もエネルギーとして利用できますが、話を簡単にするために、今は省いてあります。)
それぞれの燃料にはそれぞれの特性があります。
 肝臓のグリコーゲン・タンクは、カロリーにしてわずか300-400kcal程度ですが、血糖値の調節という肝臓の重要な機能を支えています。
すなわち、食後上昇した血液中のグルコースを吸収しで満タンになり、時間が経つとすこしずつ分解されて血液中にグルコースを放出し、血糖値が下がり過ぎないように維持します。
 筋肉のグリコーゲン・タンクは、筋肉の自前のエネルギータンクだと考えて下さい。食後インスリンの作用を受けて満タンになりますが、血糖値が下がってもあまり分解されず、血糖値を維持するためにグルコースを放出することはありません。
そのかわり、筋肉が運動などで大きなエネルギーを必要とする時使われます。スポーツ選手ではこのタンクの容量が非常に大きくなっています。
  食事をした後、肝臓や筋肉のタンクを満タンにしてさらに余ったエネルギーはすべて脂肪細胞に格納されます。
脂肪の1kgは約7200kcalのエネルギーを貯蔵し、逆に供給することが出来ます。
1日に必要なエネルギーを1800kcalとすると、約4日分、10kgの体脂肪があれば40日分の燃料を貯えていることになります。
先程書いたように、筋肉は、直接脂肪酸を燃料とすることができますので、理屈の上では40日間はエネルギーの補充がなくても、私たちの心臓は動き、呼吸を続ける事ができることになりますが、問題は、いったん脂肪に転化されたエネルギーはグルコースに変えることはできず、血糖値の維持には使えないことです。



飢餓状態
 ところで、血糖値が維持されることはどうして重要なのでしょうか。
 それは、脳や赤血球という自前のエネルギータンクを持たない重要臓器が、平常はグルコースしかエネルギー源として利用しないからです。
そのため、肝臓のグリコーゲンのタンクが空になって血糖値が下がりはじめると、強い空腹感が起こります。

   血糖値を維持している、肝臓のグリコーゲン・タンクは満タンにしても、半日くらいで空になります。
エネルギー源としては脂肪がまだまだたくさんありますが、血糖値の維持には役に立ちません。
それでも、血糖値はそれ以上下がらないようになっています。なぜでしょうか。
 まず、筋肉や脂肪細胞がグルコースの取り込みを止め、少ないグルコースを脳へまわすようになります。
これで消費がかなり節約出来ます。また、体の中にはグルコースに転換できるエネルギー源が他にあります。
脂肪の分解でできるわずかなグリセロール、それと、蛋白質の成分であるアミノ酸です。
グリコーゲンが不足すると、肝臓はアミノ酸をグルコースに転換しはじめます。さらに、グルコースの欠乏状態で脂肪酸が消費されると、ケトン体という物質が増えて、これは、脳の非常用エネルギー源となります。

 さらに絶食状態が長引くと(2、3日以上)、エネルギー代謝の状態は全く変わってしまいます。
脳も、腎臓も、脂肪酸を利用するようになります。こうなると、空腹感もあまり感じなくなるそうです。
 カラダは飢餓に耐えられる様にできています。でも、そのような状態は飢餓状態と言われる異常な状態で、カラダは普通の状態とは全く異なる、ストレスに適応したモードに変わっています。
基礎代謝量も体温も下がり、貧血や抵抗力の低下が起こってきます。筋肉も落ちます。
 ダイエットでこのような状態まで突っ込んで行くことはお勧めできません。
 不健康ですし、基礎代謝が落ちて体重が下げ止まります。
それに何より、平常状態に戻す時に異常な食欲が出て、リバウンドを起しますので、せっかくの努力が水の泡になってしまうことが多いのです。
しかし、このようなダイエットをした人でも、徐々に食べる量を増やし、正しいダイエットに移行すれば、健康を取り戻し、かつ減らした体重を維持することは可能です。

 基礎代謝量の低下は、エネルギー不足状態で一時的に起こるものです。
"ダイエットを繰り返すと太りやすい体質になる"というのは迷信です。



デトロイト式食事の利点
 遠回りをしましたが、いよいよダイエットの話に戻りましょう。

 ダイエットの基本は1日に必要な栄養成分を充分とりながら、カロリーだけを減らす事です。
Diet7ではこれまで、これを守りながら、食事の時間的配分に関してはそれぞれのみなさんの生活パターンや食欲の特性を尊重してきました。
ところが、ML参加者の中に劇的な効果をあげた方が現れ、その人達のメソッドを教えていただいた結果、私達が"デトロイト式"と呼ぶ、非常に規則正しい食事配分が有効であると確信するにいたったのです。
ここではその理由について考察します。
ここからは、基礎代謝量BMRが50kcal/h、睡眠8時間(23時―7時)の人を例にシミュレーションをしてみます。
BMRというのは、"20―25℃の室内で、仰臥位で、目覚めながら安静にしている時のエネルギー消費量(食後6時間後)"ですので、昼間活動中のエネルギー消費量は、軽作業の人でもBMRの30%増しくらいになります。
激しい肉体労働やスポーツをする人は別のシミュレーションが必要です。

 最初に書いた様に、私たちのカラダは1日中コンスタントにエネルギーを使っています。
脳はグルコースを、筋肉は通常脂肪酸を、そして激しい運動の時には筋肉内のグリコーゲンを燃料として。
 まず、朝起きた時、夜食をしていなければ、肝臓のグリコーゲン・タンクは残り少なくなっていて、目覚めた脳に、これから充分なエネルギーを供給するのが難しくなります。
ここで炭水化物を含んだ朝食を取り、肝臓のタンクをいっぱいにしましょう。その量は、昼食までに使いきる量とします。
基礎代謝量BMRが50Kcal/h、朝食が7時で昼食が12時の人なら、50*1.3*5=325kcal以内となります。
肝臓の筋肉のグリコーゲン・タンクに格納できるエネルギー量もだいたいこの程度以下です。
これ以上のエネルギーは、時間をかけてすべて体脂肪に転化される事をイメージしましょう。
昨夜残しておいたシュークリームには手が出なくなるはずです。
 昼食は夕食までに使いきる量です。夕食が7時なら、50*1.3*7=455kcalです。
ビジネスランチはこの2倍の量がある事に気がつかれることでしょう。こんな昼食では、夕方まで働けない、と感じるかもしれません。
その通りです。4時頃にはお腹が空いてきます。食後4時間で血糖値はやや下降し始め、空腹感を感じます。
高い血糖値、高いインスリン濃度にカラダがなれた人ほど、この空腹感が強くなります。
大丈夫です、まだ肝臓のグリコーゲンは残っています。
デトロイト式を2週間ほど続けると、カラダが低血糖に慣れ、この時間の空腹感は少なくなります。
 ところで、900kcalのランチを食べた時でも、4時間でお腹が空きます(特に、炭水化物の多い時。)昼食のエネルギーはまだ余っているのに、どこへ行ってしまったのでしょう。それは脂肪細胞の中です。
一度に900kcalの食事をすると、インスリンの急上昇が起こり、肝臓や筋肉に格納しきれないエネルギーはすべて、脂肪細胞に格納されます。
4時間たって血糖値が下がってきたところからようやく、脂肪の燃焼が優位になるのですが、繰り返し言うように、脂肪に転化されたエネルギーはグルコースには変わらないので、血糖値は上昇せず、空腹感が起こるのです。
お腹が空いた時、前の食事からの時間と消費カロリーを計算してみて、エネルギーがまだプラスだったら…少し我慢して、脂肪細胞に格納された脂肪を消費しましょう。今朝の体重に戻るために。
 12時に455kcalのランチですませ、夜7時まで我慢すると、エネルギー収支はようやくゼロになります。
ようやく夕ご飯ですが、寝るまでの時間を計算すると、夜11時に寝るなら4時間、12時としても5時間しかありません。
4時間分の必要エネルギーは、50*1.3*4=260kcal、たった260kcalの晩御飯では、余りにさびしいので、もう少しリッチにしましょう。
160kcalアップすればそこそこの食卓になるでしょう…その代わり、その分、寝る前に運動してつじつまを合わせましょう。
160kcalの運動は、ゆるい自転車こぎ、散歩などで40分くらいです。
時間の無い人は、この分を見越して、昼食後に少し体を動かしておくのも良いでしょう。運動量ができない日は、どこかで食べる量を減らします。
 就寝前、エネルギー収支はゼロになっていますので、お腹が空いています。
起きていては駄目です。空腹で寝付かれなくなる前に寝てしまいましょう。これで今日は大成功。
寝ている間はお腹が空かず、朝までにカロリー収支は50*0.9*8= 360kcalマイナスになり、 脂肪が360 / 7.2 = 約50g燃焼します。(就寝中のエネルギー消費はBMR*0.9になります。)

このシミュレーションでは、一日の摂取カロリーは 
(1時間あたりのBMR)*1.3*16+160=(1時間あたりのBMR)*20.8+160 kcal
となり、ほぼ、1日の基礎代謝量をとる事になります。

補足:
・300kcalを超える食事は必ず脂肪の蓄積を起す事を覚えておいてください。
・昼食の量はこの量を超えますので、夕方に間食を取れる人は、量を減らして間食に回すことができればなお結構ですが、400kcalより少ないカロリーで他の栄養素を満たしたバランスのよい献立を考えるのは難しくなりますので、注意して下さい。
・このシミュレーションは、大きな持病(腎臓病、肝臓病)の無い人には無理の無いダイエットです。意外に空腹感がなく、効果は確実です。
また、食欲のしくみをよく理解してダイエットに励めば、生理的な空腹と、ストレスなどによる食欲を自分で区別することができるようになりますので、無理に食欲を押さえつける事がなく、リバウンドしにくいのです。
・さらに劇的な効果を期待するためには、1時間あたりの消費カロリーを、(1時間あたりのBMR)*1.3ではなく、(1時間あたりのBMR)*1に設定します。
この方が効果は劇的で、意外に空腹感も無いことが、実践者の経験から証明済ですが、1日の摂取カロリーが基礎代謝量より少なくなるダイエットは4週間くらいを限度とし、糖尿病などの持病のある方には注意が必要です。



食欲のしくみ
次の図は、「ハリソンの内科学」という教科書に載っている図です。



胃の充満、血糖値とインスリン濃度の上昇、交感神経の緊張は、満腹中枢に働き、食欲を抑制します。
 レプチンなど、脂肪細胞から分泌される何らかの物質も食欲を抑制していると考えられます。
 ところが、他の精神的な要因が直接大脳皮質に働くと、摂食中枢活動が低いときでもこれを増幅し、あまりお腹が空いていなくても食べる、という行動が起こります。

上の図は少しわかりにくいので、正確さには欠けますが、もう少し分かりやすい図を用意しました。




上の図で赤い枠で囲った刺激が、強すぎると、黄色いワクの生理的な抑制がかかっている時にも食べ過ぎてしまいます。血糖値は下がることなく1日中高い状態になり、インスリンも高くなります。脳がこの状態になれてしまうと、インスリン抵抗性という状態になり、満腹感を得るのに、ますます高い血糖値を必要とする、というふうになります。

大脳からの刺激を抑制できるのはやはり大脳です。いったんこの悪循環にストップをかけてしまえば、生理的な食欲調節機構が正常に戻ります。


人の一生の間、食欲というのは非常に厳密に調整されています。
仮に、1日100kcal(小さなキットカット1個とクッキー1枚)を食べ過ぎる人がいたと仮定しましょう。
この100kcalが、その人の消費カロリーより多かったとするのです。
1ヶ月の余剰のカロリーは 100kcal * 30 =3000 kcal、脂肪1gは約7.2kcalですから、
体重の増加は、3000 / 7.2 = 416( g)となります。
1年間では、416 * 12 = 4992グラム。1年間に約5kg、5年間に25kgも太る事になります。
こんな人はあまりいません。
自分は食べ過ぎている、と毎日自己嫌悪に陥っている人でも、食べ過ぎている量はせいぜいその程度なのです。
自然に備わった生理的な能力を信頼しましょう。
あなたも必ず、自然な食欲を取り戻す事が出来ます。



まとめ
・体脂肪はエネルギー源として1日中少しづつ、燃焼し続けています。ダイエットの極意は、蓄積の速度が燃焼の速度を上回らないようにする事です。

・脂肪が蓄積されるのは主に食後です。炭水化物の摂取によってインスリン濃度が高まると、この反応は促進されます。1日の総カロリーが一定なら、炭水化物を控え、何度かに分割して食べる方が有利です。

・空腹感を引き起こす最も大きな要素は血糖値で、血糖値の維持は、脳のエネルギーをまかなう為に絶対必要ですが、血液中のグルコースをストックするタンクはせいぜい300kcalの容量しかありません。食事はこのタンクが減った分だけ補給するようにします。満タン以上に食べても貯蔵ができないのでお腹がすくのは同じです。

・デトロイト食では、食事ごとのカロリーを食事の間隔に合わせ、エネルギーが不足しないようにしながらカロリーをセーブします。ストレスなどで食べ過ぎていて、高い血糖値、インスリン濃度にからだがなれた人には初めはつらいかもしれませんが、いったん悪循環を断ち切ると、自分で正常な食欲の感じが解ってきます。エネルギー計算をすることが、これを助けます。心理的な原因による過食は知性でコントロールできます。

・たんぱく質の代謝、運動時のエネルギー代謝についてはここでは省きました。別の考察が必要です。



サキコ理論 スポーツ
目次
1.【運動なしのダイエットだけでは体脂肪が落とせないというのは本当か?】
2.【筋肉が分解されるダイエットとは】
3.【運動中の筋肉の燃料】
4.【体脂肪を分解したい】
5.【運動と空腹】
6.【さて、どのように運動するのが良いか】

【運動なしのダイエットだけでは体脂肪が落とせないというのは本当か?】
ダイエットの第一法則は、 "体重を減らしたければ、摂取カロリーを消費カロリー以下に抑える" ということです。この法則に違反しては減量はありえません。
さて、それではそうすれば良いかは自明です。次のどちらかです。

1.消費カロリーを増やす
2.摂取カロリーを減らす

摂取カロリーを減らすのは無理だから、消費カロリーを増やすやり方でやってみ よう、と考えるのが人情です。
そこで、代謝を高めるサプリメントだとか、エステだとかが流行ります。また、 消費カロリーを増やす、最も確実な方法は運動だと、誰もが思いつきます。ですが、どの方法も案外上手くいきません。これにはいくつかの理由があります。

まず、運動で消費されるエネルギーは、1時間ジョギングをしてもせいぜい大きめのショートケーキ1個分、2時間のエステのコースでも缶ジュース1本分なのに、たいていのひとは、今日はこんなにがんばったのだから、といって食事制限を甘くしてしまう事です。
"脂肪を燃やす"サプリメントの類に至っては、食べ過ぎた言い訳 の為にとっているような人が多いのではないでしょうか?

また、筋肉を鍛えて基礎代謝量の高い身体を作れば、寝ている間にもエネルギーを消費できる、と考えて筋トレに励むひとたちがいます。良い考え方ですが、週3回以上の運動を習慣化 しない限り、筋肉量は維持できません。
食欲は、身体に蓄えられている総エネルギー量ではなく、その日その時間のエネルギー収支によって調節されています。
どんな方法によっても、エネルギー消費が増えた分だけ余計にお腹が空きますから、エネルギー消費を高めるやり方が食事制限より簡単なはずは無いのです。

正しいダイエットなしで、運動だけによって減量し、それを支持できると言う考え方は、MLのメンバーの皆さんはほぼ皆あきらめています。
成功者の意見は、"標準体重よりかなり多くて減量が必要なひとは、正しく、十分な食事をとり、食欲の感じかたをリセットして、摂取カロリーをコントロールができるようになるまで、運動を取り入れるべきで無い"と言う点で、一致しています。

 ですが、ある程度Dietが成功し、からだが軽くなると、皆取りつかれたように運動をはじめます。時間の許す人はジムに行き、忙しいひとは通勤ウォーク、あるいは休日のウォーキング、ジョギング。半年ほどすると、ランニングホリック病と呼ばれる状態になり、市民マラソンにエントリーしてしまう人が後をたちません。(著者もそのひとりです。昨年とうとうハーフマラソン完走しました☆(*^.^*))…・"やせるため"に歯を食いしばってノルマをこなす運動は、苦しいだけですが、気の向いた時、競争やノルマを考えずに楽しむスポーツが本来こんなに楽しいものだったなんて! と、昔運動部だった人もそうでないひとも、再発見します。

ダイエットもそうですが、運動は苦しいもの、がんばるもの、と言うイメージを捨てましょう。
人間は究極の所、絶対に、自分の好きなこと、心地よい事しかやらない、という前提を受け入れましょう。
同意される方だけ次へお進みください。

◆◆◆

【筋肉が分解されるダイエットとは】
前置きが長くなりました。運動は運動自体が楽しくなければ続かないので、やせるため、とかいう別の目的のために運動を継続することは不可能ですし、何をやるかも、人それぞれが好きなことを、時間の許す限りできる範囲でやるしかありません。
けれども、Diet5MLの理屈っぽいメンバーの皆さんは、少しでもダイエットに有利になる方法を取り入れようと、研究に余念がありません。
もう一度ダイエットの第一法則に戻ります。

"体重を減らしたければ、摂取カロリーを消費カロリー以下に抑える"

もう一歩踏み込みます。
摂取カロリーが消費カロリーを下回った状態で、足りないエネルギーはどこから供給されるのでしょうか?…・
それは体脂肪か、筋肉です。
理想的なダイエットというとき、私たちは、筋肉や重要な臓器重量を減らすことなく、できれば体脂肪だけを減らしたいと考えています。
どうするべきでしょうか?同じようにエネルギーが足りないとき、脂肪が分解されるのはどういう場合で、 筋肉が分解されるのはどういう場合でしょうか。

"サキコ理論"の中に書かせていただいたことですが、体の中にはどうしても、脂肪酸ではなくグルコースを必要とする組織があります。血糖値は維持されなければなりません。
また、体脂肪は分解されても二度と グルコースになることはありません。そこで、著しい糖質の摂取不足が続くとき、体は、グルコースを供給するためにタンパク質(筋肉)を分解し始めます。タンパク質やアミノ酸を十 分取っていれば、大丈夫ではないか?と考える方があると思いますが、だめです。
タンパク質の代謝はやや複雑なので、ここではふれませんが、低血糖状態が続くと、体は、アナボリック(蛋白合成、筋肉増進)の状態ではなく、カタボリック (筋肉減少、蛋白質分解)な状態に代謝モードが変わります。特殊なホルモン剤を用 いれば話は別ですが、ここへいくら反応基質であるアミノ酸を供給しても、筋肉分解は止まりません。

 ですから、筋肉、あるいはlean body mass (LBM) = 除脂肪体重を減らさないためには、 まず、最低限の糖質は摂取し、血糖値と、肝臓のグリコーゲンタンクのストックを維持しなければなりません。過剰な糖質はインスリンの作用下で、体脂肪合成にまわされますので、一度に食べ過ぎることのないように、また、何度にも分けて食べる、グリセミック指数の低い食品や、野菜を一緒に食べるなどの工夫をしてインスリンの分泌を避けることが得策です。
糖質の所要量は余ってもいけないし、足りなくてもいけない、まさにダイエットの核心です。

 余談ですが、美容のために、標準体重よりさらにやせようとする女性の中には、Diet5にしたがって基礎代謝量程度以上を食べていても、元気がなくなってとてもお腹が空く人がいます。女性の体には(年齢により)22-25%くらいの体脂肪率を維持しようとする強いメカニズムが働いていますから、このあたりの値を下回ると、エネルギーのバランスがマイナスであっても、脂肪の分解にストップがかかり、また、空腹感を刺激します。そこで、通常は脂肪酸を利用できる臓器までもが糖質を使うことになると、低血糖状態に傾き、元気がなくなり、お腹が空くのです。
あとでさらに強い、"甘いもの"への欲求が起こり、ダイエットは台無しになってしまいます。後に過食症のきっかけになることもあります。

繰り返しますが、ダイエットが順調に進むのは、糖質不足がなく、かつ 脂肪が必要なだけ分解されている 状態のときです。
一般に、体重が標準体重よりかなり大きい人、体脂肪率が高い(男性で25%、女性で30%以上)人は、Diet7にしたがって食べれば、強い空腹を感じることなく、糖質と、総カロリーの制限をすることができ、それだけで順調に体脂肪率を減らすことが出来ます。
ところが、ほとんどの人はどこかで"下げ止まり"を経験します。どこで下げ止るかは、人によって大きく異なりますが、おおむね標準体重、標準体脂肪率の数値の範囲内で起こります。
まるで生まれつきの理想体重というのが定められているように感じます。そこからさらに減量をしようとすると、食欲のコントロールが、それまでよりとても難しくなります。
ここに至って、皆、もっと積極的に体脂肪を減らし、ただ体重を減らすだけではなく、メリハリの効いたボディメイクに取り掛かろう、と考え始めます。方法は、運動と、エステです。
次に、いよいよ、筋肉の運動が、ダイエット中の人にもたらす効果を考えましょう。

【運動中の筋肉の燃料】
運動によって筋肉は大きなエネルギーを消費します。 燃料は何が使われるでしょうか?
運動中の筋肉が利用する主な燃料のタンクと、それぞれの燃料の特徴は次の通りです.

@脂肪酸: 食物から供給されるほか、脂肪細胞の分解によって作られる。血液によっても運ばれるが、筋肉内にも脂肪は蓄えられている。筋肉では基本的に、グリコーゲンよりも利用されやすい。供給速度にリミットがあってパワーの必要な運動のエネルギー需要を全部まかなうことは出来ないが、安静時の骨格筋や心筋の燃料はほとんど脂肪酸である。脂肪酸の燃焼はすべてが有酸素的反応である。

A筋肉内のグリコーゲン: エネルギー需要が高まったとき筋肉が手っ取り早く利用できるエネルギー。 トレーニングの有無によるが、全部で1000kcalくらい、筋細胞内に蓄えられている。
グリコーゲンは分解されグルコースの代謝物として燃焼される。
グリコーゲンの利用には無酸素的利用と有酸素的利用がある。グリコーゲンを有酸素的に利用した場合、脂肪酸を同じ酸素量で燃やしたときよりも、多くのエネルギーが得られるので、パワーがでる。

B血液中のグルコース: 主に肝臓が血糖値を調節しながら供給している。空腹時には肝臓内のグリコーゲンを分解して作る。
しかしその量は少量で、筋肉の運動のような大きなエネルギーをまかなうことはできない.

一般に、ダイエットの為には空腹時に20分以上の有酸素運動をすると、体脂肪が効果的に燃えると書かれています。どうしてでしょうか。その説明は、こうです:
運動をはじめると、初めは、筋肉への血流、すなわち酸素と燃料である脂肪酸の供給が十分でないので、筋肉は、筋肉の中に蓄えられているグリコーゲンを燃料として使います。
ところが、時間が経って筋肉への血流が増加するにつれて燃料のうち脂肪酸の比率が高まってきます。鍛え方によりますが、心臓の動きが活発になり、筋肉に十分な酸素と燃料を供給できる状態になるのに、ジョギングやサイクリングをはじめてから15分から20分かかります。

脂肪酸、グリコーゲンの比率は、運動の強度によっても変わります。運動選手でない人が、緩やかなジョギング中、筋肉が使っている燃料のうち脂肪酸の比率は約50%です。
走る速度を速めると、グリコーゲンの比率が高くなります。脂肪酸の供給や、燃焼速度には限度があるのに対し、グリコーゲンは筋肉の中に蓄えられていてすばやく利用できるので、枯渇するまで制限なく使えるからです。
一流のマラソン選手では、レース中もグリコーゲンの比率が70%くらいあるそうです。
レースの時には、心臓が運ぶ、限りのある酸素を有効に使うため、グリコーゲンの比率を高くして走る方が得なのです。

また、脂肪の燃焼には、たっぷりの酸素が必要です。
軽いジョギングの途中で、急にダッシュしたりすると、酸素の供給が追いつかなくなり、少ない酸素で大き なエネルギーを取り出すための燃料として、グリコーゲンが無酸素的に使われることになります。
このような燃料の使い方は、排気量の大きいスポーツカーのようなもので、大きなパワーが出来ますが、燃費が悪く、燃料を浪費し、長時間続けることは出来ません。
100mの選手は、100mすべてをグリコーゲンの無酸素的利用によって走りますが、マラソン選手は、限りあるグリコーゲンタンクを有効利用するために、けしてダッシュはぜす、有酸素的利用によって、ちょうどレース の間に使い切るように走るペースを配分します。

私たちのカラダはこのように、情況に応じてエネルギーの燃料タンクを使い分けている事が理解できます。
ところで、その運動強度の目安は何で知ることができるでしょうか?…それは運動中の心拍数です。

【体脂肪を分解したい】
1. 体脂肪を減らしたいなら、脂肪が分解されて脂肪酸が消費されるように、ゆっくりした運動を長時間続けることが良いのがわかると思います。しかしこのような運動は、単位時間あたりの消費カロリーは大きくありません。

2. 単位時間あたりの消費エネルギーが大きいのは、インターバル走や、筋トレ、競泳、など、グリコーゲンタンクを利用するような強度のある運動です。またこの場合も、脂肪酸が利用されないわけではありません。
ところで、運動時にグリコーゲンのタンクから燃料を使った場合、脂肪量を減少させる事はできないのでしょうか。
そんなはずはありません。この問題を考えるために、次に、エネルギーが回復する時のことを考えてみましょう。
運動の後で食事をすると、炭水化物は真っ先に筋グリコーゲンの補充に使われます。
次に肝臓、脂肪に順に補充されます。ヨーイドンで、取り込み速度の早い順です。運動時にグリコーゲンを 使った比率が高ければ、その補充に多く使われて脂肪に回る分は少なくなり、脂肪酸を使った比率が高ければグリコーゲンの補充に使われる分は少なくて脂肪に補充される分が多くなるはずです。
この考え方によると、運動の燃料が脂肪酸であったかグリコーゲンであったかは、エネルギー収支=脂肪量(筋肉の量が変化しない時)には影響がないことになります。

3. まとめると、運動による効果を考えるときは、総消費カロリーと同時に、その燃料として、グリコーゲン(糖質)を使ったか、脂肪酸を使ったかも考慮する必要があります。
なぜならダイエット中の人は、食事ごとの糖質の摂取をぎりぎりに抑えているので、運動で糖質を消費した後では食事をしても、筋肉にグルコースを取られてしまって、肝臓のグリコーゲンタンクを補充されず、すぐにお 腹がすいてしまうかもしれないからです。
このような場合は、栄養中の脂肪を減らして炭水化物を増やす必要があります。

【運動と空腹】
どんな運動でも、運動中と運動直後はお腹がすきません。
運動中は交感神経の働きが活発になり、インスリンのレベルによらず、脂肪やグリコーゲンの分解が活発になり、血糖値が上昇します。ですから、空腹時に運動をすると、血糖値が上がって空腹がおさまります。
しかし、そのままお腹が空かない場合と、しばらくして猛烈にお腹がすいてくるときがあります。
また、久しぶりに運動をはじめた人は、高校生のころを思い出すようなさわやかな食欲に見舞われるのですが、トレーニングを積んだ人ほど激しい運動の後も"腹が減らない"ということが多いようです。 どうなっているのでしょうか?

同じような運動をしても、トレーニングを積んだ人のからだでは、脂肪酸の供給体制も燃焼効率も上昇し、脂肪酸の利用比率が上がっているのです。
涼しい顔をしてさっさと走っていき、あんまり腹も減らない、まるでエネルギーを節約しているように見えますが、これは燃料として脂肪酸を使えるひとのからだの特徴です。消費エネルギーは同じでも、楽そうに見えます。

【さて、どのように運動するのが良いか】
なんでも好きなことをはじめてください。決まりはありませんが、ダイエットを台無しにしないためにいくつかの注意があります。

1. 急に強度のある運動をはじめないこと。いきなりジョギングをはじめるのは危険です、
まず、家の回りか、職場の近くで空気の良いところを、30分ほど歩いてみましょう。
コースを好きになったら、半分くらい駆け足にして見ましょう。
次に歩く距離を伸ばしましょう。次に走る距離を伸ばしましょう。1時間ジョギングできるようになったら、"ランナーズ"の本を買いましょう。
交通事故と、けがには十分注意しましょう。夏は特に給水に注意しましょう、汗をかかなくなったら危険な状態です。

2. 起床後朝食前や、空腹時は、はじめ元気がでませんが、脂肪の分解には最適のコンディションです。ゆっくり、できれば長い時間運動しましょう。強い運動の出来ない人は、食べ過ぎないことと、食前の散歩が最適です。

3. 食後の運動はパワーがでますので、筋肉を増やしたい人に最適です、また、インスリンの高いときに運動すると、糖質が脂肪細胞に吸い込まれるのを防ぎ、筋肉が吸収してくれます。食後30分から1時間、胃を落ち着かせてから、筋トレ、エアロバイクなどはどうでしょうか?

4. 筋グリコーゲンをたくさん使うような強い運動をたくさんしたときは、2時間くらいし、血糖値が下がってくるころを見計らってタイミングよく食事をする必要があります。
思い切って炭水化物をたっぷり摂りましょう、お腹がすきすぎて、カロリーオーバーにならないように気をつけましょう。
また、ジムに行った日と行かなかった日に、食べる量をはっきり区別しましょう。

5. 消費カロリーをすべてマイナスにしようと思わないようにしましょう。それができるのは、100%脂肪酸を燃料にしたときだけですが、そんな運動はほとんどありません。