デトロイトダイエットの目的
デトロイトダイエットの目的は食欲のリセットです。私たちの大切な脳のエネルギーは糖ですが、脳には糖の貯蔵庫がなく、肝臓に貯えられています。
肝臓に蓄えられた糖が減って血糖値が低下してくると、脳が信号を出して次の食事を促します。これが、私たちの食欲です。つまり、私たちのエネルギーシステムは、お腹がぐ〜と鳴ってから食べると丁度良いのですが、現代人は空腹を嫌がって空腹になる前に食事をします。空腹でないのに食べると、エネルギーが肝臓から溢れることになり、その溢れた糖が食後の高血糖になってゆっくりと体脂肪に吸収されていきます。

メニュー例
デトロイトダイエットは、食事の配分をエネルギーを使い切ってから食事をするように最適化します。このダイエットを経験すると、これまでの食生活がいかに無駄が多かったかが見えてきます。
下図の例は、基礎代謝1400Kcalの人の場合のデトロイトダイエット食です。
1日の摂取量は蛋白質72.8g、脂質22g、糖質143.6gです。熱量に換算すると1066Kcalになります。 たいへんローカロリーですが、厚生労働省栄養必要量を完全にクリアしています。

朝食
蛋白質21.5g 脂質8.3g 糖質43.9g
カロリー336Kcal
昼食
蛋白質33.4g 脂質8.4g 糖質47g
カロリー392Kcal
夕食
蛋白質17.9 脂質5.3g 糖質52.7g
カロリー338Kcal

栄養重視のダイエット
デトロイトダイエットは、栄養基準を満たしながら摂取カロリーだけを落とします。
代謝を高めるために蛋白質を50g以上摂り、健康なホルモンバランスと免疫力を維持するために脂質を38g、脳のエネルギー確保のために糖質を120g以上摂ります。この栄養を合計すると、60 * 4 + 38 * 9 + 120 * 4 = 1062Kcalになります。

栄養バランスを最適化すると、基礎代謝の75%のカロリーでも必要とされる栄養が摂れます。
カロリーオーバーして良いなら、栄養を満たすのは簡単ですが、カロリーを少なくすると、正確な栄養バランスが求められます。
究極の栄養バランスを覚え、カロリーが少なくても必要な栄養が得られることを、身体に覚えこませるのがデトロイトダイエットです。

栄養バランスのとり方
「成功」マークをゲットするコツは、朝食をやや少なめに食べて、夕食で最終調整をします。
もしも、目標カロリーが守れても、べた褒めマークがゲットできなければ、それは単なるローカロリーダイエットです。
ある女性は、カロリー計算を長年続けていましたが、その結果、拒食症になってしまいました。 その女性は、だからカロリー計算はだめと思い込んでいましたが、そうではありませんでした。
身体に必要な栄養は蛋白質が50g、脂質40g、糖質120gと数えるのが栄養計算です。
糖質をゼロにすれば、簡単にカロリーを減らせますが、それでは脳のエネルギーが得られませんから無理に続けると摂食障害になってしまいます。

「べた褒め」マークをゲットするのは、そんなに難しくありません。
食べる前にチェックすればよいのです。
発芽玄米、ライ麦パンや全粒粉パン、グラノーラ、スキムミルクなど、栄養バランスの良い食品を買い込み、冷蔵庫に茹で野菜や常備菜などを用意しておけば、あまり考えなくても栄養バランスがとれます。
この準備をしないで、デトロイトダイエットを始めると、栄養バランスはとれないし、バランスを取ろうとするとカロリーオーバーしてしまい、食事制限は自分には向かないと思い込んでしまいます。
準備を十分にすれば、誰にだってダイエットはできるのです。準備してから再挑戦してみましょう。

点滴患者はお腹がすかない
私は10日間の点滴生活を送ったことがあります。
数年前のことですが、ある朝トイレで大量出血して、緊急入院ということになりました。
病院で内視鏡、CTスキャンなどで身体中を調べましたが、どこを探しても出血場所が見つかりませんでした。
当初は大腸がんを覚悟していましたが、がんはどこにも見つかず、結局、出血は自然に止まったのですが、それまでの10日間は何も食べさせてもらえませんでした。

点滴患者の食事
点滴患者は絶対安静です。トイレ以外はベッドから出ることも許されません。
完全な絶食で、口からは1滴の水も飲ませてもらえず、1日に94gのブドウ糖と2リットルの生理水が点滴されるだけです。しかし、不思議なことに空腹になりません。
看護師が数時間おきに、血圧と血糖値を測定するのですが、血糖値はいつ測っても115mg以上ありました。 健康な人の空腹時血糖値は90mgくらいです。つまり、健康な人は血糖値が110mg以上あると空腹を感じないのです。私は10日間で体重が1.5Kg減少しましたが、一度も空腹を感じることがありませんでした。この経験は目から鱗でした。

100g砂糖水断食
断食法の1つに、100g砂糖水断食というのがあります。
1日に100gの砂糖を水で溶いて、お腹が空いた時にちびりちびりと飲むだけの断食です。
私の点滴は1日に94gのブドウ糖液でしたが、同じように1日に100gの砂糖を水に溶かし、少しずつ飲むことで血糖値を常に110mg以上に保つ断食法方法です。
このようにすると、糖新生によって筋肉が失われることなく、安全で空腹感の少ない断食ができます。 100g砂糖水断食は、やってみると本当にお腹がすきません。

極端な糖質制限
最近は糖質制限ダイエットが流行っています。
私たちの身体には、糖の供給が少ないとき、代わりに体脂肪を燃やす仕組みが備わっていますから、糖質を制限すると、体脂肪が燃やされて体重が減るのですが、あまり制限しすぎるとかえってうまくいきません。
その理由は、内蔵や筋肉は脂肪を燃焼できますが、脳だけは脂肪を燃焼できないからです。先の点滴や100g砂糖水断食の例のように、1日に最低100gは糖を摂った方が良いのです。
もしも、糖の摂取量が100g以下になると、身体は内蔵や筋肉から糖を合成して脳に供給するようになるので、筋肉が失われていきます。
そうなると、一日中食べ物のことばかり考えるようになり、我慢を続けると、10人に1人の割合で拒食症になり、のちに過食症に移行します。
空腹とは、脳のエネルギーを途絶えさせないないための仕組みなので、食欲とうまく付き合うには、1日に少なくとも100g以上の糖質が必要です。
ダイエットは一生涯続けなければならないものですから、どんなときでも最小限度の栄養だけは守り、楽しくつづけられるダイエットでなくてはなりません。

ご注意:
デトロイトダイエットは2週間の勝負ダイエットです。
高度な栄養バランスが求められれるので、充分な準備をしないで実施すると自信を失います。
サキコ理論やどんな食材が必要なのかをよく理解してから実施してください。