東京封鎖〜キミが隣にいた昨日〜

   いや、まあ、なんて言うんですかねえ。決して悪くはないんです。そんなタイトルの「東京封鎖〜キミが隣にいた昨日〜」。

   まずはシナリオのあらすじから説明しますと、主人公にはゲーム開始時点から既に幼馴染みの恋人がいるんですよ。以前は主人公の家の近所に住んでいたんですが、恋人になるのと同じ時期に東京に引っ越してしまった彼女が。引っ越してしまったと言っても主人公の家は千葉で電車でわずか数駅程度の距離なのでそれほど遠くはないんです。なので週末は必ずと言っていいほどデートを重ねて来ている仲なんですが、ある日のデートで主人公が遥の気持ちを全然考えずに突っ走ってしまうんですよ。当然そこで2人の関係はぎくしゃくした気まずい雰囲気になり、その日はそのまま別れたんです。主人公はどう考えても自分に否があることを自覚して遥に謝りたいと思っていたわけですが。ここで東京都が突然独立宣言をして東京を封鎖してしまったんです。東京にいた人は都外に出ることも出来ずに。また周辺の人は東京に行くことも出来ずに。もちろん主人公も遙に会うことが出来なくなってしまったんです。もちろん連絡すらとることも出来ずに。
   そんな悶々とした日々を過ごしながら2年が過ぎ、主人公はカラオケボックスでアルバイトすることになり、そこでオカマの店長を装った東京解放を実行するセクトのメンバーと関わることになり東京へ潜入することになるんです。

   どのヒロインのシナリオでも基本的には東京に潜入して遥に会い、2年前のことを謝ってけじめを付けるという流れ。もちろん遥シナリオの場合はそのままよりを戻すという感じですけど。

   とまあ、シナリオの設定自体はそれほど悪くないんですよ。どのシナリオもそれなりにハッピーエンドで終わるわけですし。でもね、この物語で東京を封鎖した根源となった東京柱と呼ばれていた謎の塔は結局なんだったのかということに一切触れずに物語が終わってしまってるんですよね。
   そりゃあ、主人公や遥にしてみれば2人を引き裂いた原因でもあったわけですけど、再会を果たしてしまった時点でどうでもよくなったんでしょうけどね、プレイヤーは納得してないですよ?知りたがってるんですよ?これからどうなるの?ってところで話が終わってしまうわけですからね。え?ええっ?これで終わり?みたいな気分になるわけですよ。

   このゲームと同じように近代の戦争というか関東の独立をテーマにした「群青の空を超えて」では、関東が独立に至った背景にびしっと筋が通っていてその解説がうんざりするくらいだったわけなんですが、この東京封鎖もそこまで細かくなくても、もう少しだけ、ほんのちょっとだけあと10分でもプレイ時間を延ばしてでもその辺のことを細かく設定してくれていればもっとシナリオは深く面白くなったんじゃないかなと思うわけですよ。テーマが壮大で面白そうに感じていただけにそのボリューム不足が残念でなりません。

   いくらテーマが封鎖だからって、シナリオの設定までユーザに封鎖しなくてもいいんですってば!