ToHeart2 AnotherDays

   隣家の幼馴染み萌えやメイドロボ萌えを数多く生み出し、ノベルゲームというジャンルを確立したToHeart(以下、TH)。そのシリーズ続編にあたるToHeart2 XRATED(以下、TH2)、今回レビューするTH2の続編(ファンディスク?)にあたるToHeart2 AnotherDays(以下、AD)。

   このADですが、THの最新作ということで発売日に買ってきたのはいいんですが、しばらく積んだままにしていたんです。いやほら、そこには大人の事情があるんですよ。他のエロゲをプレイしていたとか、そんな事情ですけど。

   積んでいる間にもネットではレビューやら感想やらがアップされ始めてきわけですが、どうもあまりいい評判が見あたらないんですよね。ノベルからAVGになって違和感ありまくりとか、主人公がさらにヘタレになってるとか、中途半端とか、内容が薄いとか、何一つ肯定的な感想が無かったんです。さすがにここまで来るとこれからプレイする身としては…ねえ。プレイする気が失せてくるわけですが、ああ、そうか!これをHTだと思わなければいいんだ!THシリーズじゃないと思ってプレイすればいいんだ!


   これはToHeartじゃない


   これはToHeartじゃない


   これはToHeartじゃない


   ……


   …


   よし、洗脳完了。



   それではプレイした感想を述べます。まずノベルからAVGへの変更ですが、俺の中ではノベルもAVGもあまり区別していないのでこれは気になりませんでした。メッセージが画面いっぱいに表示されるかメッセージウインドウの中に表示されるかの違いしかないですからね。特にシステム的にも劣化しているとか不便になった点はありませんから。

   ところが肝心のゲームの内容はどうなのかというと。確かにADは続編というよりはファンディスクと言うべきなのかもしれません。TH2ではありえなかった設定もアリなのかもしれません。でもね、このADは一体何なのでしょうか。主人公の性格が明らかにヘタレキャラになってるじゃないですか。それでいてTH2以上にモテモテでハーレム状態になっているというのはTH2と比べて違和感があるんです。

   ADには「AD本編」と「郁乃Story」と「このみ&環Story」が収録されているんですが、郁乃Storyはまだいいんです。というか、これは短編ながらもいい話だと思うんです。このみ&環Storyもちょっとアレですけどまあいいとしましょう。
   問題は本編ですよ。メインとなる本編ですよ。これがあまりにもひどすぎるんです。さっきも言ったように主人公がヘタレ過ぎているにもかかわらず、モテモテ過ぎなんですよ。ここまでくると違和感がありすぎて全然面白みも感じない上に内容も薄すぎで、折角のTH2の雰囲気を見事ぶちこわしているんです。はっきり言うとこれはもはやHTではありません。劣化したTHっぽいギャルゲです。

   このADも発売延期をしているわけなんですが、発売を延期してまで作りたかったものがこの内容だったのでしょうか。TH2に関しても傑作までとは言わないまでもいい印象があって発売を楽しみにしていただけに残念でなりません。
   THシリーズは初代も素晴らしく出来が良かったわけではないし、TH2だって最高だとは思っていませんが、好きなシリーズでしたし、これだけ人気のあるシリーズです。続編なりファンディスクなりをリリースすれば確実に売れるんでしょう。実際に続編の要望も多かったはずです。だからこそこうしてADが発売されたと思うんです。でも、今回のADにはガッカリしました。なんかもうADで今までのTH人気を一気にぶち壊してシリーズを終わらせてしまった感があります。発売を延期してこの出来というのは本当に何がしたかったんでしょうか。残念でなりません。

   どうしてもプレイしてみたいというのであれば止めませんが、TH2の印象を壊したくなければADはプレイしない方がいいように思います。もし将来的にTH3が出るのであれば、THとはどんな作品だったのかという原点を思い出して制作をして欲しいと心底思ってしまう作品でした。