てのひらを、たいよう

   出だしから主人公の明夫は無気力、物事に無関心。周りに親しい異性はおろか友人すらいない。ただ毎日が繰り返しっていう微妙に鬱の入った展開で始まる「てのひらを、たいように」。って、あのー。これでいいんですか?だってこれじゃあ話が広がらないでしょ?しかも恋愛系なのに親しい異性がいないと始まらないでしょ?エロゲとして成り立たないでしょ?いいんですか?これでいいんですか?

   …と思ったのもつかの間。明夫の幼なじみらしい(?)永久というヒロインが転校してくるあたりから徐々に変わってきまして。実は永久以外にも美花と穂という幼なじみのヒロインもいるんですが、主人公ほどじゃないにしろ彼女たち(美花と穂)もまた以前の自分を見失い、主人公を含めた周りを拒んでいるんです。なぜ永久を除く3人がそうなってしまったのかは追々解るんですが、その課程の中でこの全く交流の無くなってしまった幼なじみ4人がまた昔のような仲の良い4人組の関係に戻って、以前の自分たちを取り戻していくわけです。そして、主人公たちは"さとり"と呼ばれていた永久を生け贄にする昔から密かに行われてきた儀式"埋葬の儀"から助けることになるのです。
   結果的に埋葬の儀から永久を助け出す事に成功したわけですが、これを期に主人公たちを取り巻く人間関係がガラッと変わって全てが丸く収まるあたりはなんかこう心が温まるものがありました。この友情と信頼が生み出すほんわかとした温かい感じがいいですな!あ、もちろんここまでくると十分エロゲとして成り立つ展開にもなってますのでご安心を。<何にだ

   …と、これが前半の「てのひらを、」シナリオの概要。

   後半の「たいように」シナリオの方は「てのひらを、」シナリオで永久を守ろうとする主人公達を妨害しつつも、陰では助けたりした明夫の兄貴分にあたる順哉が主人公になるシナリオ。
   俺は正直言って、せっかく前半の永久シナリオ2週目でいい形で丸く収まったエンドを迎えたのに、また違う主人公に違うヒロインに変わるのってどうなの?って思ったんですが、これはこれで、前半の補足的なシナリオを含んだ感じになっていて、プレイしていると「ああ、なるほどね」なんて思ったわけで、その辺は良かったかなと。もちろん後半もエロゲとして成り立つ展開になってますのでご安心を。<だから何にだ


   絵柄やシナリオ的に好みの差が出そうな感じはするものの、シナリオは展開もいいと思いますしボリュームもあってかなり楽しめました。個人的にはかなりの傑作だと思います。それに、まあいいですな!ナイチチが。じゃなくて、つの、とか。つの、とか。つの、とか!