車輪の国、向日葵の少女

   向日葵と言えば水夏、水夏と言えばさやか先輩を連想してしまう俺ですが、ああ!そうさ!俺は連想したさ!さやか先輩を想像したさ!だって向日葵の少女だぞ?まさにさやか先輩じゃないかよ!って、俺は何のレビューを書こうとしてるんですか?

   …ああ、水夏でしたっけ水夏。じゃねぇよ!車輪の国だよ!向日葵の少女だよ!で、向日葵と言えばやっぱり、さやか先(以下略)


   さて、話を「車輪の国、向日葵の少女」に戻すとして、このタイトルはネット上でもなかなかに評判が良かったのでプレイしてみたんですよ。
   シナリオは、特別高等人という義務を負った人たちを監視し更正させる職業を目指すため、その最終試験が行われるこの小さな町へやってきた主人公と、そこで出会う義務を負ったヒロインたちとの物語となっています。

   物語は章立てになってるんですが、ここではあえてキャラ別にレビューしてみます。たぶんそっちの方が書きやすいので。

・三ッ廣さち
   「1日が12時間しかない義務」を負っているヒロイン。ある意味自業自得って感じですが、本人はその義務に関してはあまり重要に思ってないところが困ったところ。絵を描くことをやめ、ネットで楽して儲けるようなことにしか興味がないわけですが、主人公が彼女を監視することになり、まなという同居していた異国の少女をきっかけに義務の解消へ一直線。まなの無垢な気持ちとさちを信じる真っ直ぐな気持ちに俺は涙腺が崩壊。
   俺はさちよりもまなの健気さと賢さに惚れたね!それよりも画家で向日葵と言えばやっぱり、さやか先(以下略)


・大音灯花
   ぶっ殺すぞ(舌足らずな感じで)。いわゆる委員長タイプのツンデレキャラ。実際に委員長ですけど。「大人になれない義務」を負っているため幼い頃からずっと親権者(母親)から指示ばかりを受けてきたこともあって、自分で判断する能力に欠けているので物語の中盤はなんかこうすっきりしないもやもやした展開にいらいらしながらも初音の歯がゆさにもいらいらしながらも母親も以前は同じ義務を背負ってきたからか肝心なところで歯がゆくなっていらいやしながらもラストでの灯花の母親を信じる気持ちに感動。そして義務も解消。


・日向夏咲
   この娘が何かしましたか?あまりにも不憫じゃないですか?ええ?いや、だって「恋愛できない義務」って!異性との交際が禁止されてるって!異性との接触も出来ないなんて!実際何もしてないのに!
   過去に精神的拷問を受けたのをきっかけに明るかった彼女が目立たないように誰にも関わらないように大人しく過ごす姿の痛々しさったら!心を開きかけたところに特別高等人の法月の精神的な拷問にかけられたりしたけど、最後に満面の笑みで主人公のことを好きだと言ったシーンは眩しかったね!感動だね!


・樋口璃々子
   ずっと主人公の後ろにいたのかよ!気づかなかったよ!新しい演出だよ!そら最も思い極刑と言われる「世界から存在を認められない義務」を負っている姉である彼女の存在を認めちゃいけないとはいえ、ずっと気づかないふりをしてるんだもんなあ!どおりで主人公が独り言が多かったり女性ものの下着を持っていたりしてたと思ったら、そういうことだったのか!


   そんな4人のヒロインの物語が展開するこのタイトル。姉の存在といい部分的な伏線の張り方がうまく、後になってそういうことだったのかと気づいて感心したりすることが多々あったりしてシナリオは非常によくできていると思います。ただ問題点といいますか、4人のシナリオがありながら基本的には1本道のシナリオなので、4人のそれぞれのシナリオも単にHシーンとエンディングくらいの分岐しか違いがないんですよね。なので、1人のシナリオをクリアしてしまうと話の全体が見えてしまうというか、後は未回収のHシーンを回収するだけの作業みたいになってしまうのが残念なところ。ヒロインごとにもっとシナリオが派生するような展開になっていたらまた違った印象になったんじゃないかなと思うわけですよ。それでもシナリオのよく出来たこのタイトルは、評判通りなかなかの良作と言えるんじゃないでしょうか。



   コンプった後にふと思ったんですけど、よく考えてみたら姉の極刑って実はそんなに大した刑じゃないかなと思うんですよね。だって俺、普通にスルーされそうなくらい存在感ないし。基本的に誰とも話さないし。誰からも話しかけられないし。あ、ちなみに恋愛できない義務も大丈夫そう。どうせモテないんで。異性に触れる機会もないんで。俺って車輪の国の中でも何不自由なく生きていけるかもね!