-序章-
AIRの感動さめやらぬ2000年末頃。「あのスタジオメビウスからKanonをパクったゲームがでるらしいぞ!」という噂がネット上を駆けめぐった。スタジオメビウスといえば悪夢や絶望などのいわゆる鬼畜系のイメージがあるところで、そこがいきなり恋愛系、しかも名作kanonっぽいゲームを出すっていうんだからそら話題になって当然。もちろん、kanon=名作という印象があるわけで、もしかして名作になる?なんて思うわけで、名作としての期待感も上がりまくりなわけで、中には「SNOWるまでエロゲ断ち」と言い切る強者も現れたほど。
しかし、漢どもの期待を裏切るかのように発売日は延びに延びまくりエロゲ雑誌では仮発売日が決まるたびに何度も特集を組み直す有様。しかも発売日が延びるごとに桜花のHシーンが無くなったりとか、ボイス無しなどの仕様変更もといスケールダウンしたり。終いには発売中止なんて噂も流れるほど。
が、世紀を超えて時は2003年1月31日。長い長い沈黙を経てSNOWはやってきた。それは我々が想像していたよりも遙かに高いクオリティだった。その出来に俺、雄叫びを上げながら感動。<危
さて、今回はクリアしていったキャラ(シナリオ)順にレビュっていきます。
雪月澄乃
一言で言い表すと「あんまん」。えぇと、kanonのあゆのたい焼きに対抗してますか?
10年前に主人公に出会ってからずっと好意を抱き続けているつーのは正直言って羨ましいですな!
序盤は、主人公的には初対面なのに妙になれなれしかったり、再開してわずかな数日で主人公が旅館を継ぐことになったり澄乃と結婚することになってたり、つーかなんだこの急な展開は!テンポよすぎ!話が順調に進みすぎ!
でもね、そんなわいわいした物語も終盤は一転して悲しみモードへ。澄乃と小夜里さんと苦労も多いけども楽しく過ごしていた日常が崩れるんです。澄乃の記憶がだんだん無くなっていくんですよ。なんて言うの?AIRでいうところのAIR編の観鈴っていうの?2人の必死の世話もむなしくそれがどんどん進行していくんです。婚約の事はおろか主人公や小夜里さんのことすら忘れてしまうんです。
が、そんな状況を諦めかけていたある日、突然澄乃は回復するんです。全部思い出すんです。いやーよかった!ラストはやっぱハッピーエンドじゃなきゃね!そして今までのように楽しい日々を過ごすことになるんです。2人でピクニックに行ったり。って思ってたら翌日、澄乃が高熱を出すんです。その日は結婚式で着る澄乃のウェディングドレスが出来上がる日なんですが、澄乃はどうしても今日取りに行きたいって言うんですよ。澄乃の意志の強さに負けた主人公は澄乃を背負ってお店まで取りに行くんですよ。でね、取りに行く途中でね、背負っていた澄乃がね!澄乃がね!うあああああああああああああああああああ!こんなエンドでいいのかよ!あまりにも切ないじゃないかよ!おい!ハッピーエンドはどこに行ったんだよ!
俺、ノックダウン。
Legendシナリオ
あれ?なんかタイトルの背景の山が緑色になってるよ?って思ったら"NEWGAME"の下に"Legend"が追加されてるんですが。新しいシナリオですか。って、ちょっと待って。えぇと、まだ全員攻略してないんですけど?新しいシナリオに進んでいいんですか?そうですか。
俺、ここでNEWGAMEを選んで残りのキャラを攻略しようと思いましたが、新しいシナリオに進めるんなら進んだ方がいいよなってことでLegendシナリオへ進んだんですが…あのー、シナリオ開始直後に言うのもなんですが、思いっきり夏なんですが。蝉とかが鳴いてるんですが。これSNOWですよね?冬の物語ですよね?しかも時代が古いんですが?ああ、これ前世の話ですか。そうですか。AIRで言うところのSUMMERシナリオみたいな感じですか。
このシナリオではどうして龍神村は一年中雪に覆われているのかとか、要するに現在の世界観に至る過程が解るんですが、ああ、そうか!オープニングの塚みたいのはこれだったんだね!(伏線)
このLegendシナリオは終盤からラストにかけて来ましたな。これも切ないですな。切なすぎですな!(号泣)
日和川旭
主人公に寄ってくる女性は全て敵だと思いこんでいる少女。他の女性に対して攻撃的な行動が多いので序盤はにぎやかな展開なんだけど、やっぱり終盤は泣きモードに突入するわけ。Kanonで言うところの真琴っぽさって言うか。だってほら、旭も本当は人間じゃないし(伏線)。
だんだん元の姿に戻っていく中、それでも主人公のそばから離れたくないっていう必死さがね!Legendシナリオで正体が分かってるから来るね!ちょっと目頭に来るね!でも、やっぱ真琴のパクr(以下略)。
北里しぐれ
人を避け山の中で動物たちと暮らしているらしいしぐれ。偶然山の中で出会ってからしぐれを意識し始めるんですが、えぇと、そんな薄着で寒くないですか?つーか、雪の中でその格好はないと思うんですが。やっぱ昔の人(?)は寒さに強いんですか?
主人公に接していくうちに心を開き、結ばれるようになるんですが、なんつーか、Hシーン観たらバッドエンドにいっちゃうじゃねぇかこの野郎!とか思ったけどLegendシナリオを考えると当然なんだよね。そして最後はしぐれが消えちゃうんですけどね、ラストの丘での再開に俺、激しく感動。だってお前、線香花火が、線香花火があああああああああ!
若生桜花
まず、ひとこと言わせてくれ。このキャラ設定でHシーンを盛り込もうとしたスタジオメビウスは一体何を考えていたんでしょうか?だってどう見ても一桁中盤でしょこれ?主人公とヤっちゃう予定だったわけ?そら規制も入っちゃうって!
さて、この桜花。ストライクゾーンを下げるキャラということは無く、むしろAIRで言うところのみちる的な存在のキャラ。主人公に懐き、主人公や澄乃を本当の両親だと思い、言うならばお互いにかけがえのない本当の親子のような存在なっていくんですよ。そうしてしばらくは3人(と二匹の動物たち)の幸せな日々を過ごしていくわけですが。
やがて桜花が微熱を出すようになるんです。そしてついに高熱が出てしまい、診療所の誠史郎と芽依子を呼んだんですが、その時に桜花がこの世には存在していないという事実を知ってしまうんです。それは主人公と澄乃にもショックだったけど、桜花もショックを受けそのまま飛び出していってしまうんです。主人公と澄乃は必死になって探し、神社で桜花を見つけそこで3人で雪だるまを作るんです。それは桜花との最後の思い出になるかもしれないと思って。
そうしているうちに、桜花の姿が薄れていくのを感じるんです。姿がだんだん薄れて見えなくなっていく中、3人は一生懸命雪だるまを作り続けるんですが、ついに桜花の姿が見えなくなるところまで来てしまうんです。そして最後は完全に見えなくなるまで抱きしめてるんです。主人公と澄乃は桜花が消えてしまわずにずっとこの世に存在する事を望みながら。桜花はこの世に生き続ける事を望みながら。しかし、非情にも桜花の姿はだんだん薄くなり消えてしまうんですが俺、ここで臨界点突破。
だってこのシーン、BGMが「空の揺りかご」だぜ?しかも「唄:雪月澄乃」だぜ?ここで泣くなという方が無理。そう!ここで俺はAIRの銀色が頭の中にフラッシュバックした!金網越しに美凪とみちるが背中合わせのシーンがフラッシュバックした!むしろkanonのあゆが消えていくシーンがフラッシュバックした!ついでにAIRで晴子さんの絶叫するシーンまでもがフラッシュバック!うがああああああああああああああああ!すげぇ来るって!泣けるって!泣けるのに心の中は暖かいよ!冬の物語なのに!雪が降ってるのに!てか、雪が暖かく感じるよ!雪ってこんなに暖かかったんだね!
そして、桜花の生き写しじゃないですが、主人公と澄乃の間に生まれた子供「さくら」のラストが印象的でした。
さて、延びに延びまくってやっと発売されたSNOW。この延びまくった発売をどう受け止めるかで印象が大きく変わるんじゃないかなと。個人的には延期して正解だったなと思うんですよ。だって、2年も延期しただけあってクオリティは最高!CGも綺麗だし!音楽も凝ってるし!何よりも演出を含めて凄く作りが丁寧な感じを受けるんですよね。正直ここまでだとは思っていませんでした。もし当初の予定通り発売されていたらここまでの作品には仕上がらなかったと思うんですよ。
それと、Kanonをスタジオメビウス風にアレンジしたらどうなるか、っていうのが最初のコンセプトだったらしいけど、どっちかって言うとAIRっぽいかな?っていう感じがしました。
そんなわけでKanon、AIR以上にシナリオが幻想的なので、ちょっと好みに差が出そうな感じだけど、この手のシナリオが嫌いじゃない人にはお勧め。つーか買え。むしろ義務。そして雪の暖かさを体感しろ!号泣しまくれ!
あ、そうそう。スタジオメビウスのホームページをみたら(SNOW発売当時だったけど)、悪夢とか絶望とかの製品情報が一切無くなってたんですけど、それらは黙殺ですか?無かったことになってるんですか?
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