一人旅で訪れたアメリカでとある事件に巻き込まれ、そこでいままでの記憶を全て消されて自分が誰だったのかすら解らない状況の中で一流の暗殺者として教育され、成長していく主人公の物語。
この手のハードボイルドっぽいゲームって結構ハズレが多いんですけどね、特にこの「ファントム オブ インフェルノ」(以下ファントム)みたいに銃器や車のリアリティに凝りました、っていうゲームほどそればっかりに注力して肝心のシナリオが中途半端に終わる制作者の自己満足的なゲームで終わる物が多いんですけど、ファントムはそういったものはなく、むしろシナリオや設定が凝ってるのでどんどん物語にのめり込んでいけるんです。エロゲでは当たり前になっている萌え要素も少なく、CGのクオリティもそれほど高くないのにこれだけのめり込めるのは、やはりそういった芯の部分がしっかりしているからだと思うんですよ。終盤は胸を打つシーンも結構ありますからね。
特にヒロインの一人であるアインのシナリオは感動もの。ラストのモンゴルの草原で、全てを吹っ切って前に進んでいこうというあたりが。他のエンドもかなり良いんですけど、物語の進み方から言って個人的にはアインが一番じゃないかなと思いました。アイン最高。
そんなわけで、予想以上に重厚なシナリオも良かったですし、銃器や車などの細かい描写も雰囲気を盛り上るのに貢献していて良かったと思います。さすが何回もリメイクされるだけのことはありました。ただ、そのリメイクもただパッケージを変えてるだけに近い物だったので、どうせならシステムを作り直せばもっといい作品に仕上がったんじゃないかなと思うわけですよ。と言うのも、このゲームはマクロメディアのDirectorで作られているようなので、凝った作りにはなってないですし、あまりプレイしやすいシステムでもなかったですから。ファントムはそういう面を進化させてリメイクして欲しいなと思ったタイトルでした。
システム面は気になったものの、ハードボイルドっぽいゲームが好きな人は文句なしにお勧め。
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