加奈〜いもうと〜

   キングオブ泣きげーとして名高いこのゲーム。各レビューサイトでの絶賛の嵐。某掲示板には「ONE、Kanon、そして加奈は義務!」という書き込が。義務って言い切るのか。それほど凄いのか。しかも、プレイしたら1ヶ月は引きずるとかなんとか。おいおい、どんなゲームだよ!いや、だってD.O.だよ?D.O.つったら凌辱系じゃねぇか!鬼畜系じゃねぇか!んなもん泣けるわけないじゃないかよ!引きずるわけはいじゃないかよ!嘘つくんじゃねぇよコラ。

   …とか思いつつ本当に噂通りなのかどうかやっぱり興味があるじゃないですか。そんなわけで購入しようと思ったんです。どうせ買うなら初回版を。が、時既に遅し。発売時期を微妙に逃してたので加奈の携帯ストラップが付いてる初回版など売ってるはずもなく夕美版(通常版)を購入。

   まあなんて言うかね、パッケージ見て思ったんだけどこの絵柄ってイマイチ好きじゃないんだよね…いや、まあいいか。早速インストールしてゲームを起動させて、っと。

   オープニングデモが流れて…


……


白い季節が〜扉を開けて〜


……

オープニング鑑賞中


   …あのー、何ですか?この切ない音楽は。この切ない歌声は。この切ない歌詞は。この切ないムービーは。やべぇ…これは泣けるかもしれない。もしかしたら泣かされるかもしれない。もしかしなくても泣かされるかもしれない。…号泣の予感が。


   シナリオの方は予想通り号泣もの。もうね、要所要所にちりばめられてるのよ。泣ける要素が。ジワジワと来るのよ。目頭に。それはプチジワジワって感じなんだけど、要所要所でビッグウェーブがあったりするわけ。だって妹が病弱なのよ?病弱。ちょっと待ってよ!これだけでもくるでしょ?しかもその病弱な妹を守る兄(主人公の隆道)。お前!そりゃあ思いっきりツボだろ!しかも、隆道の初恋が撃沈と来てるんですよ!痛い要素まで盛り込まれちゃったら凄いことになるだろ!



   さて、今回はクリアした順番にレビュってみるぞ。

   -ED6 知的ルート第三エンド「今を生きる」-
   中学に上がるまでは持たないと言われてた加奈。それが入退院を繰り返しながらも中学を卒業して高校まで受かったんですよ。でもね、やっぱりそこまでなの。加奈の寿命は。それでも加奈は残された時間を精一杯生きてるの。自分の運命全てを受け入れて。もうそれだけで俺、もの凄く感動。そして加奈がね、息を引き取る最後に言うの。最後に雪を降らせるからって。それでね、加奈が息を引き取るときに本当に雪が降ったの。もう俺、凄く感動しちゃってね。うおおおおおおおお!加奈!頑張って雪降らせたね!いや、それ以前に加奈が死んじゃったことが悲しすぎだって!号泣しちゃったって!


   -ED4 知的ルート第一エンド「雪」-
   ED5との違いはゲーム終盤の選択肢「加奈を抱く」「抱かない」で分岐する模様。加奈を抱くとED5になると。ああ、俺は理性が働いて抱けなかったから先にED4にいっちゃったけどな。
   加奈の死後から半年、加奈が病室で育てていた植木鉢の花が咲いておしまい。割とあっさりとしたエンド。このあっさりとしたところが他の知的エンドと違ってまた泣けるんだよね。だって花が咲いたら加奈を思い出すじゃないかよ!このさりげない切なさがね!切なさがね!切なさがね!


   -ED5 知的ルート第二エンド「おもいで」-
   加奈が病室で書いていた日記を、加奈の死後、隆道がそれを読み返すの。なんていうか加奈と過ごした日々が走馬燈のように蘇ったね!加奈は自分の運命を受け入れつつ、その日が近づくまで毎日を自分なりに楽しみながら精一杯生きてる様子が読みとれるの。そしてこんな風にも書いてるわけ。

「願わくば、明日のわたしが、
今日のわたしより優れた人間でありますように……」

「今日、海を見た。もう怖くない。」


   もうね!心に突き刺さったね!感動を超えたね!っていうかエロゲの域を超えてるだろ!この感動は!この切なさは!

   余談だけど、個人的にはこのED5とED6が良かったかなあと。


   -ED2 ノーマルエンド「追憶」-
   何が泣けるかって言うとさ、加奈がペンダントにメッセージを残してんのよ。遺書の代わりに。このペンダントね、以前隆道がお見舞いの時に持ってきたやつで、5つのメッセージを保存出来るわけ。隆道が加奈の墓参りに来た時にメッセージが録音出来たことを思い出して順番に再生していくの。そしたらね、案の定、加奈がメッセージを吹き込んでたの。もう聞くことも出来ない加奈の声を聞けたの。最初の3つ目までは全てを受け入れて達観したような明るい感じの声だったの。でね、4つ目はね、加奈の本心とも言えるメッセージなの。心の叫びってヤツ?泣きながら死にたくないって言うの。そして5つ目。再び落ち着きを取り戻した加奈の声。これは隆道だけに宛てたメッセージなの。その落ち着いた声から加奈の全てを達観した心境とか、でもその合間に見せる死へ向かうことの恐怖感とかがくみ取れるの。これだけでも心に響くのにね、最後に


「愛しています」


   か、加奈あああああああああああああああああああああああああ!これ以上俺に何を語れって言うのよ?ああ?俺もう崩壊寸前。


   -ED3 夕美エンド「迷宮から」-
   痛いよね。隆道が。そりゃあね、加奈が死んじゃったんだもんね。自分の腎臓まで移植したのにね。だけど、こんな廃人状態になってしまった隆道をなんとか立ち直らせようと懸命に接している夕美が健気だと思うわけ。小学生時代の夕美を見て、なんだこいつとか思ってたけど俺は誤解してた。はっきり言って、夕美最高じゃん!


   -ED1 ベストエンド「はじまりのさよなら」-
   え?加奈が退院?加奈が帰ってきた?加奈が順調に回復?え?何?一人暮らししたいだって?就職したいだって?マジですか?マジですかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
   いやぁ!良かった良かった!元気になったんだね!回復したんだね!いや、だって他のエンディングは全部死んじゃったじゃん加奈が。っていうか本当に生きてるんですよね?空想とかじゃないよね?夢じゃないよね?いやぁ!腎臓を移植した甲斐があったよ!お兄ちゃん嬉しいヨ!
   …でもさ、この2人お互いに愛し合ってるわけでしょ?血は繋がってないけど一応兄妹でしょ?どうなるんだろうねこの2人。なんて考えちゃったりするけど、んなことはどうでもいい!加奈が元気になっただけで俺は十分さ!




   -まとめ-
   最初は噂を半信半疑のままプレイし始めたのに、不覚にも最後の最後まで加奈の健気さつーか、D.O.に泣かされてしまった訳で感動させられてしまった訳で、悔しい気分だけどやるじゃねぇかD.O.!見直したぜ!これはマジで一ヶ月引きずるね!あ、ちなみにED1は最後まで取っておくのが精神衛生上よろしいんじゃないでしょうか。


   そんなわけでだ、お涙頂戴ものは嫌いだとか言わないでとりあえず買っとけ!買って泣け!プレイして泣け!マウスをクリックしながら切なさを噛み締めろ!感動しろ!号泣しろ!はっきり言おう。これ以上の泣きゲーは存在しない!断言する!