3/18(火) 「戦場のピアニスト」


土曜日の夜 映画「戦場のピアニスト」 を観てきました。
この映画は2002年カンヌ映画祭で最高賞のバルムドール賞を受賞し、
感動作と前評判も高く、ピアニストがらみの映画だったので
とても楽しみにしていました。

早速観た感想ですが・・・・・
感動というより、悲しすぎて、恐ろしすぎて、涙する映画
感動というより、心にずしりとのしかかる映画       
でした。

内容は、
1940年、ナチスドイツがポーランドへ侵攻した翌年
ユダヤ系ポーランド人でピアニストのシュピルマンが
収容所行きの列車に乗せられる列の中から一人だけ助けられ、
それから始まるナチスからの逃亡生活を描いています。
前半は
ナチスのユダヤ人に対する暴虐のシーンの容赦ないほどの連続で
目をおおわずには正視できないほど生々しいものでした。
後半は
一人逃げ続ける主人公の絶望的な孤独と恐怖がじっくり描かれていました。
色調を抑えた画面、主演エイドリアン・ブロディの迫真の演技により
理不尽な差別への憤りや反戦のメッセージが込められています。

この映画で印象に残ったシーンは
ナチスドイツ人将校が
シュピルマンの隠れていた廃墟の中でピアノを弾かせる所です。
将校に言われ、シュピルマンはピアノの前に座り、
ゆっくり感触を確かめるようにとショパンのバラード1番を弾き始めます。
何年も物音を立てずに逃げ続けたけど、でも心の中で弾き続けたピアノを弾き始めた
その時の彼の穏やかな顔には
家族や大切な人との別れ、怒りや悲しみなど
様々な浮かんではいることが覗え知ることができました。
その思いが通じて、将校はシュピルマンの命を助けます。
この極限状態で発揮される人間性への礼賛が表現されています。

この映画でピアノはシュピルマンの生命力の象徴でもあります。
そしてラストで演奏される
ショパンの「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。
この世界の無常感、喪失感を超えた中で弾かれる美しい演奏には
心打たれました。

この映画は一人のピアニストの逃亡生活をドキュメンタリー風に淡々と描くことで
観た人に「戦争」について多くのことをを考えさせる映画です。
奇しくも本日アメリカがイラクに対して最終勧告を出し、戦争突入は必至の状況です。
こんな状況の折、この映画があまりにも生々しく感じられ
戦争回避を強く願わずにはおられません。

小さいお子さんには残虐なシーンが多いため
すすめられませんが
お父さん、お母さんにはまず見ていただいて
戦争の悲惨さをお子さんに是非伝えていただきたいと思います。